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JP4008645B2 - 香り特性を付与、改善、強化または改変する方法、香料組成物、付香製品、および新規脂肪族エステル - Google Patents

香り特性を付与、改善、強化または改変する方法、香料組成物、付香製品、および新規脂肪族エステル Download PDF

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JP4008645B2 JP2000210174A JP2000210174A JP4008645B2 JP 4008645 B2 JP4008645 B2 JP 4008645B2 JP 2000210174 A JP2000210174 A JP 2000210174A JP 2000210174 A JP2000210174 A JP 2000210174A JP 4008645 B2 JP4008645 B2 JP 4008645B2
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  • Cosmetics (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、香料分野に関する。本発明は、香料組成物または付香製品の香り特性を付与、改善、強化あるいは改変する方法に関し、該方法は、付香に有効な量の式(I):
【0002】
【化2】
Figure 0004008645
【0003】
[式中、
1は、メチルまたはエチル基であり、
2は、エチル基、直鎖または分枝鎖のプロピル基、またはイソブチル基であり、
波線の結合は、番号2の炭素が非対称でありかつRまたはS配置に成り得ることを示す]の化合物を、香料組成物または付香製品の製造時に香料成分として、光学活性な異性体または異性体混合物の形で、該組成物または製品に添加することから成る。
【0004】
本発明はまた、エチル(S)−tert−ブトキシプロピオン酸エステルを除く、前記の式(I)の化合物に関する。
【0005】
式(I)のエステルは、非常に有益かつ顕著な香り特性を有する。その結果、このような化合物は、ナチュラルでフルーティーなノートを付与した付香製品の製造だけでなく、香料および香料組成物の製造にも使用できる。
【0006】
【従来の技術】
1がメチル基でR2がエチル基である式(I)の化合物、すなわちエチル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステルは従来技術において公知である。この化合物は、合成中間体として、Tetrahedron; EN; 52; 5; 1996; 1685〜1698中でG. Cainelli、M. Panunzio、E. Bandini、G. MartelliおよびG. Spuntaによって記載されている。しかし従来技術では、この化合物の香りについても香料への応用の可能性についても示唆されていない。
【0007】
式(I)の他の化合物は全て新規である。
【0008】
式(I)の化合物と類似した構造を有するエステルの多くは、従来技術において公知である。Rev. Agroquim. Tecnol. Aliment. (1986), 26(4), 597〜601には、エチル2−エトキシプロピオン酸エステルを、チーズ、特にパルメザンチーズをフレーバリングするためのラセミ混合物として使用することが記載されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明と類似した構造を有する他の化合物の多くが有機合成分野に記載されているが、我々の知る限り、従来技術において、これらのエステルの香料成分としての使用の可能性に関する言及もしくは示唆はない。
【0010】
【課題を解決するための手段】
意外にも、式(I)の化合物が、従来技術の観点からは全く予想されない嗅覚特性を有しており、香料分野への使用に大変有効であることが見出された。
【0011】
式(I)の化合物は、非常にナチュラルでフルーティーなトップノートを有する香りに特徴があり、調香師等に評価されている。このノートの強度は化合物によって変化する。さらに、関連するアンダーノートも化合物によって変化するので、基本組成物にあらゆる範囲の嗅覚的変化をもたらすことが可能であり、各化合物は調香師のパレットに多様性をもたらす。
【0012】
実施例から分かるように、本発明のいくつかのエステルが有する芳香性のノートの中に、カモミールタイプのコノテーションを見出すことができる。このノートは、特に、エチル(R)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステルの香りの中に顕著であり、フルーティーなノートも非常に強力である。エチル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステルはよりスパイシーなノートを有し、これもカモミールタイプのアンダーノートを含みかつエチル2−アセチル−4−メチル−4ペンタノエート(EP B1 0178532;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス)、ワインリース、リナロールおよびコリアンダーを想起する別のノートも含有する。プロピル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステルのカモミールノートは、非常に快いピーチ−アプリコットコノテーションを有するリコリスのアンダーノートを伴う。
【0013】
イソブチル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステルおよびイソプロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステルの香りも、カモミールの香りを想起するコノテーションを有するが、前記の化合物ほど強力ではない。
【0014】
エチル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステルはフルーティーな特徴の香りを有し、その香りはベルベット様、エーテル様、アルコール様、さらにミント様のノートでもある。その目新しい芳香は、本発明の化合物全てに共通するナチュラルな特性を有する。
【0015】
本発明の化合物の中から、プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステルを、香料成分として選択する。これは、さわやかでスモーキーなノートを伴うフルーティーなトップノートの香りを有する。この香りはナチュラルな側面を保持している。この香りは、実際、8−p−メンテン−2−オールアセテートの香りを想起し、フローラル、リナロール、シトラタミント(citrata mint)のコノテーションをも有する。クラリーセージ、シトラタミントのコノテーションを伴うフルーティーでフローラルなノートは、非常にナチュラルでフレッシュな特徴を有し、調香師に高く評価されている。さらに、プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステルを、香料組成物に芳香性のフレッシュでフローラルな香りをもたらす芳香性のノートを付与するとして公知のジヒドロミルセノール(製造元:International Flavor & Fragrances)と比較した。この比較から、本願発明の化合物が非常に有利であり、そのフレッシュな香りが、よりアロマティックなサルビア様、ベルガモット様であるのに対し、ジヒドロミルセノールは、よりアロマティックなラベンダー様の香りであることが見出された。本願発明は、工場での製造が可能であり、広範囲に使用でき、すでに市場で入手可能な化合物と同等の利点を有する新規香料成分を見出すという不変的課題に、新しくかつ予想もしない成果をもたらした。
【0016】
本発明の化合物は、香料石鹸、シャワーまたはバスジェル、衛生用品、ヘアケア製品、たとえばシャンプーまたはコンディショナーあるいは他のボディーデオドラントまたは空気脱臭剤または化粧品調整物のような香料製品への一般的な使用だけでなく、ファインパフューマリー、香水、コロンまたはアフターシェービングローションにも使用できる。
【0017】
(I)のエステルを、例えば織物に使用する液体または固体洗剤、織物柔軟剤、家庭内あるいは工業規模で使用する洗剤組成物または家庭用品に適用できる。
【0018】
これらの適用に関し、本発明の化合物を、単独であるいは他の香料成分、溶剤または香料に常用される添加物と混合して使用できる。これらの補足成分の性質および種類はここでより詳細な記載を必要とせず、また完全な記載に成り得ない;当業者は、その一般的知識を生かし、付香製品の性質および所望の嗅覚的効果に応じて、このような成分を選択することが可能であろう。
【0019】
これらの香料成分は、様々な化学クラス、例えばアルコール、アルデヒド、ケトン、エステル、エーテル、アセテート、ニトリル、テルペン炭化水素、硫黄または窒素を含む複素環式化合物、および合成または天然起源の精油に属する。さらに、これらの成分の多くは、例えばアークタンダー(S. Arctander, Perfume and Flavor Chemicals, 1969, Montclaie, New Jersey, USA)の本、またはその最新版、あるいは類似の性質を有する他の書物のような参考文献中に列記されている。
【0020】
本発明の化合物を前記製品に組み込む際の比率は、広い範囲の異なった値でよい。これらの値は、付香される製品の性質および所望の嗅覚的効果に依存し、本発明の化合物を香料成分、溶剤または香料に常用される添加物と混合して得られた組成物においては、補助成分の性質に依存する。
【0021】
1例として、化合物を組み込まれた香料組成物の質量に対する該化合物5〜30質量%、あるいはそれを上回る範囲の典型的な濃度を挙げることができる。これらの化合物を前記の様々な消費者製品の付香に直接使用する場合には、前記よりも低濃度で使用してよい。
【0022】
式(I)の化合物は下記の一般的なスキームに従い、光学活性な配置に基づいて、あるいは異性体混合物として、エチルラクテートから1または2工程を経て獲得される:
【0023】
【化3】
Figure 0004008645
【0024】
[式中、記号は式(I)と同様の意味を有する]。第一の工程で、エチルラクテートのヒドロキシル基をアルキル化し;次いで、場合により、先に獲得された化合物をトランスエステル化して所望のエステルを得る。このような二段階の反応は標準的であり、当業者に公知である。
【0025】
ここで本発明を、以下の実施例においてより詳細に説明する。なお、温度は摂氏であり、略号は従来技術に慣用の意味を有する。
【0026】
【実施例】
式(I)の化合物の製造
a)エチル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル
イソアミレン3534g(50.5mol)、エチル(S)−ラクテート600g(5.08モル、[α]D 20=−12.4゜)およびアンベルリスト(R)15 20gの混合物を66時間攪拌しながら10゜に保持した。得られた混合物を濾過し、次いで水中の10%炭酸ナトリウム1lで3回洗浄した。蒸留後(110゜の浴中、圧力=20×102Pa)、エチル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル692.2gを得た(純度95%および収率69%)。
【0027】
【表1】
Figure 0004008645
【0028】
b)プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル
a)で得られたエチル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル535g(2.8mol)およびテトライソプロピルオルトチタネート(製造元:Fluka)8g(28mmol)をプロパノール430g(7.1mol)に添加し、混合物を攪拌しながら還流温度で加熱した。生じたエタノールをヴィグロウカラム(最高塔頂温度:95゜)を使用した蒸留により分離した。冷却後、混合物を10%塩化水素/氷混合物、水、炭酸水素ナトリウム溶液および食塩水で連続して洗浄した。プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル539g得た(純度:97.2%;収率:94%)。
【0029】
【表2】
Figure 0004008645
【0030】
c、d)イソブチル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステルおよびイソプロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル
これらの2つの化合物は2工程で合成される。第一工程はa)に記載されている。第2工程は、所望の最終生成物に相応する適切なアルコールを反応体として使用し、b)に記載される工程と同様の実験手順で実施する(スキーム1参照)。
【0031】
【表3】
Figure 0004008645
【0032】
e)エチル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステル
この化合物は、スキーム1(工程a))の記載のように、適切な反応体を選択することにより、a)に記載される工程と同様の実験手順で獲得される。
【0033】
【表4】
Figure 0004008645
【0034】
f、g)プロピル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステルおよびイソブチル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステル
これらの2つの化合物は2工程で合成される。第一の工程はe)に記載されている。第2の工程は、所望の生成物に相応する適切なアルコールを反応体として使用し、b)に記載される工程と同様の実験手順で実施する(スキーム1参照)。
【0035】
【表5】
Figure 0004008645
【0036】
h)エチル(R)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル
この化合物は、出発物質としてエチル(R)−ラクテート([α]D 20=+11゜)を使用し、a)に記載される工程と同様の実験手順で獲得される。
【0037】
【表6】
Figure 0004008645
【0038】
i)プロピル(R)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル
この化合物は2工程で合成される。第一工程はa)に記載されている。第2工程は、所望の生成物に相応する適切なアルコールを反応体として使用し、b)に記載される工程と同様の実験手順で実施する(スキーム1参照)。
【0039】
【表7】
Figure 0004008645
【0040】
例2
男性用コロンのための香料組成物の製造
男性用コロンのためのベース組成物を以下の成分から製造した:
【0041】
【表8】
Figure 0004008645
【0042】
*ジプロピレングリコール中
1)製造元:Givaudan-Roure SA、ベルナー、スイス
2)8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノールラブダン;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3)製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
4)4ー(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;製造元:International Flavors & Fragrances、USA
5)3,3−ジメチル−5−(2,2,3−トリメチル−3−シクロペンテン−1−イル)−4−ペンテン−2−オール;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
6)2,4−ジメチル−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル300質量部をこの組成物に添加すると、わずかにシトラス様で独特なフレッシュ−ハーブのコノテーションを有する香りを伴う新規組成物が得られる。ベース組成物と比較した場合、香りの拡散性は明らかに強化されている。さらに、この新規化合物の芳香性のノートはより強烈でより顕著である。
【0043】
例3
ボディーデオドラント用の香料組成物の製造
ボディーデオドラント用のベース組成物を以下の成分から製造した:
【0044】
【表9】
Figure 0004008645
【0045】
*ジプロピレングリコール中
1)8,12−エポキシ−13,14,15,16−テトラノールラブダン;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
2)4−(1,1−ジメチル)−1−シクロヘキシルアセテート;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
3)1,3,4,6,7,8−ヘキサヒドロ−4,6,6,7,8,8−ヘキサメチル−シクロペンタ−g−2−ベンゾピラン;製造元:International Flavors & Fragrances、USA
4)製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
5)メチルジヒドロジャスモネート;製造元:Firmenich SA、ジュネーブ、スイス
6)1−(オクタヒドロ−2,3,8,8−テトラメチル−2−ナフタレニル)−1−エタノン;製造元:International Flavors & Fragrances、USA
7)メチルリオノンの異性体混合物
8)4−(4−ヒドロキシ−4−メチルペンチル)−3−シクロヘキセン−1−カルバルデヒド;製造元:International Flavors & Fragrances、USA
9)(5,6,7,8−テトラヒドロ−3,5,5,6,8,8−ヘキサメチル−2−ナフチル)−1−エタノン;製造元:PWF、オランダ
10)製造元:International Flavors & Fragrances、USA
プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル200質量部を、このフレッシュな脱臭性のコノテーションを伴う香りを有するベース組成物に添加すると、トップノートのフレッシュさが明かに増加し、芳香が強化され、ラバンジンによって付与される芳香性のノートが高まり、クラリーセージタイプのハーバルコノテーションが付加される。

Claims (5)

  1. 香料組成物または付香製品の香り特性を付与、改善、強化あるいは改変する方法において、付香に有効な量の式(I):
    Figure 0004008645
    [式中、
    波線の結合は、番号2の炭素が非対称でありかつRまたはS配置に成り得ることを示し、
    1は、メチルまたはエチル基であり、
    2は、エチル基、直鎖または分枝鎖のプロピル基、またはイソブチル基である]の化合物を、光学活性な異性体または異性体混合物の形で、該組成物または製品に添加する、香料組成物または付香製品の香り特性を付与、改善、強化あるいは改変する方法。
  2. 請求項1に定義される式(I)の化合物を活性成分として含有する、香料組成物または付香製品。
  3. 香水、コロン、アフターシェーブローション、化粧品調製物、石鹸、シャンプーまたはヘアコンディショナーまたは他のヘアケア製品、シャワージェルまたはバスジェル、ボディーデオドラントまたは空気脱臭剤、洗剤または織物柔軟剤あるいは家庭用品の形である、請求項2記載の付香製品。
  4. エチル(S)−2−tert−ブトキシプロピオン酸エステルを除く、請求項1記載の式(I)の化合物。
  5. 請求項4記載の化合物である、プロピル(S)−2−(1,1−ジメチルプロポキシ)プロピオン酸エステル。
JP2000210174A 1999-07-14 2000-07-11 香り特性を付与、改善、強化または改変する方法、香料組成物、付香製品、および新規脂肪族エステル Expired - Lifetime JP4008645B2 (ja)

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