JP4007476B2 - 車両用交流発電機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、車両に搭載される交流発電機に関し、特に回転子に設けられるファンのブレードの枚数に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図24は一般的な車両用交流発電機の構成を示す断面図である。図25は図24の回転子の斜視図である。
この車両用交流発電機は、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1およびリヤブラケット2から構成されたケース3内にシャフト6を介して回転自在に装着され、固定子8が回転子7の外周側を覆うようにケース3の内壁面に固着されて構成されている。
【0003】
シャフト6は、フロントブラケット1およびリヤブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。
【0004】
回転子7に電流を供給するスリップリング9がシャフト6の他端部に固着され、一対のブラシ10がこのスリップリング9に摺接するようにケース3内に配設されたブラシホルダ11に収納されている。固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ18がブラシホルダ11に嵌着されたヒートシンク17に接着されている。固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12がケース3内に装着されている。
【0005】
回転子7は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆うように設けられ、回転子コイル13で発生された磁束によって磁極が形成される一対のポールコア20、21とから構成される。一対のポールコア20、21は、鉄製で、それぞれ円柱状のコア基部22a、23aと、コア基部22a、23aの外周縁に周方向に等角ピッチで複数突設された爪状磁極22、23とからなり、コア基部22a、23aの端面同士が当接され、さらに爪状磁極22、23が互いにかみ合うように、対向してシャフト6に固着されている。
【0006】
回転駆動される回転子7の軸方向の両端においては、円柱状のコア基部22a、23aの端面に、それぞれ複数のブレード5cを外周付近に配したファン5が取り付けられている。ファン5は、薄板基部5aとこの基部5aから切り起こして形成される複数のブレード5cとからなる。
【0007】
固定子8は、固定子コア15と、この固定子コア15に導線を巻回してなり、回転子7の回転に伴い、回転子7からの磁束の変化で交流が生じる固定子コイル16とから構成されている。
【0008】
このように構成された車両用交流発電機では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10およびスリップリング9を介して回転子コイル13に供給され、磁束が発生される。この磁束により、一方のポールコア20の爪状磁極22がN極に着磁され、他方のポールコア21の爪状磁極23がS極に着磁される。一方、エンジンの回転トルクがベルトおよびプーリ4を介してシャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこで、固定子コイル16に回転磁界が与えられ、固定子コイル16に起電力が発生する。この交流の起電力が整流器12を通って直流に整流されるとともに、その大きさがレギュレータ18により調整され、バッテリに充電される。
【0009】
この車両用交流発電機においては、回転子コイル13、固定子コイル16、整流器12およびレギュレータ18は、発電中、常に発熱している。そこで、発電により発生する熱を冷却するために、吸気孔1a、2aおよび排気孔1b、2bがフロントブラケット1およびリヤブラケット2に設けられている。
そして、リヤ側では、図24に矢印で示されるように、ファン5の回転により、外気が吸気孔2aを通じてケース3内に吸い込まれて整流器12およびレギュレータ18を冷却し、ついでファン5により遠心方向に曲げられて固定子コイル16のリヤ側のコイルエンド部を冷却し、その後排気孔2bから外部に排出される。
【0010】
一方、フロント側では、図24に矢印で示されるように、ファン5の回転により、外気が吸気孔1aを通じてケース3内に吸い込まれ、ついでファン5により遠心方向に曲げられて固定子コイル16のフロント側のコイルエンド部を冷却し、その後排気孔1bから外部に排出される。さらに、フロント側とリヤ側との圧力差に起因して、冷却風が回転子7内を通ってフロント側からリヤ側に流れ、固定子コイル13を冷却している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、車両に搭載される補機である車両用発電機は、車外騒音の低減化や、車室の静粛化の要請に合う性能が求められている。発電機は、常に回転する回転体を有し、回転数も高いものであるので風騒音、電磁騒音等が問題となってきている。また、車両の機器搭載スペースの縮小化に伴い、発熱体である発電機は熱的にもますます厳しい状況におかれるようになってきている。その対策として、例えば冷却効率向上をねらって冷却手段であるファン5の能力を上げると、ファン5による騒音が拡大してしまう場合がある。また、冷却性が下がると、発電機出力が低下することになる。
【0012】
このような問題を解消する一つの方法として、特開平11−220851号公報には、ファン5のブレード枚数を爪磁極数より少なくすることで騒音増大を防止することが開示されている。すなわち、回転時の爪磁極数の振動によって生じる騒音と、ファンブレード5cによって生じる騒音とが同期することを防止している。
【0013】
ところで、一般的に、爪磁極数は、NS極を交互に構成することから偶数で設けられる。そのため、フロント側とリヤ側のいずれかのファンブレード5cの枚数が偶数であった場合、爪磁極数と共振してしまう共振数を含むことになり、特に、回転周波数がかなり広範囲にわたる車両用発電機においては干渉音を抑える完全な対策にはなっていないことが問題であった。
【0014】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、ファン騒音が低く、高雰囲気温度の環境においても冷却性を低下させない小型で高出力、またコスト的にも優れた車両用交流発電機を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る車両用交流発電機は、複数の吸気孔が軸方向面に設けられ、複数の排気孔が径方向面に設けられたケースと、爪状磁極が外周縁部に等角ピッチで軸方向に突設されてなる、一対のポールコアを有し、各々のポールコアの爪状磁極が互いに噛み合うようにシャフトに固定されてケース内に回転自在に配設され、一対のポールコアの軸方向のそれぞれの端面には、外周部に複数のブレードを有するファンがそれぞれ固着されている回転子と、回転子の外周側を覆うようにケースに固定され、回転子と対向する内周側に複数のスロットが形成された固定子鉄心、及びスロットに収納される固定子巻線を有する固定子と、ケースのリヤ側に設けられ、固定子で生じた交流を直流に整流する整流器とを備えた車両用交流発電機において、スロットは偶数個形成され、爪状磁極は各々のポールコアについて偶数個形成され、一対のファンのブレードの枚数は互いに等しくかつ各々奇数個であり、固定子巻線は、長尺の素線が、固定子鉄心の両端面側のスロット外で折り返されて、所定スロット数毎にスロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装された巻線を複数有し、固定子鉄心の両端面側のスロット外で折り返された素線のターン部が周方向に並んでコイルエンド群を構成しており、コイルエンド群はフロント側とリヤ側とで略同一形状であり、ブレードの外周側端部における接線と、シャフトの軸心を中心として外周側端部を通る円の外周側端部における接線とのなす角である出口角度について、ケースのフロント側のファンの出口角度は、ケースのリヤ側のファンの出口角度よりも大きく、フロント側のファンの発生する風量は、リヤ側のファンの発生する風量よりも多い。
【0016】
また、ファンブレードの枚数は、一対の爪状磁極の総磁極数の1/2以下である。
【0019】
また、フロント側のファンの外径寸法は、リヤ側のファンの外径寸法よりも大きい。
【0020】
また、固定子鉄心の端面側のスロット外で折り返された素線が周方向に並んで略同一形状のコイルエンド群を構成している。
【0022】
また、スロットの数は、毎極、毎相あたり2である。
【0023】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図である。図2は図1の回転子の斜視図である。図3は図1の回転子のフロント側から見た平面図である。図4は図1の回転子のリヤ側から見た平面図である。図5はこの車両用交流発電機の固定子を示す斜視図である。図6はこの車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を説明する平面図である。図7はこの車両用交流発電機の回路図である。
【0024】
また、図8および図9はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する巻線群の製造工程を説明する図である。図10はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する内層側の素線群を示す図であり、図10の(a)はその側面図、図10の(b)はその平面図である。図11はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する外層側の素線群を示す図であり、図11の(a)はその側面図、図11の(b)はその平面図である。図12はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の要部を示す斜視図である。図13はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の配列を説明する図である。図14はこの車両用交流発電機の適用される固定子鉄心の構造を説明する図であり、図14の(a)はその側面図、図14の(b)はその背面図である。図15はこの車両用交流発電機の適用される固定子の製造工程を説明する工程断面図である。図16はこの車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線群の鉄心への装着状態を示す平面図である。図17はこの車両用交流発電機の適用される固定子の断面図である。なお、図5では口出し線および渡り結線が省略されている。
【0025】
図1及び図2において、車両用交流発電機は、ランドル型の回転子7がアルミニウム製のフロントブラケット1およびリヤブラケット2から構成されたケース3内にシャフト6を介して回転自在に装着され、固定子8が回転子7の外周側を覆うようにケース3の内壁面に固着されて構成されている。
【0026】
シャフト6は、フロントブラケット1およびリヤブラケット2に回転可能に支持されている。このシャフト6の一端にはプーリ4が固着され、エンジンの回転トルクをベルト(図示せず)を介してシャフト6に伝達できるようになっている。
【0027】
回転子7に電流を供給するスリップリング9がシャフト6の他端部に固着され、一対のブラシ10がこのスリップリング9に摺接するようにケース3内に配設されたブラシホルダ11に収納されている。固定子8で生じた交流電圧の大きさを調整するレギュレータ18がブラシホルダ11に嵌着されたヒートシンク17に接着されている。固定子8に電気的に接続され、固定子8で生じた交流を直流に整流する整流器12がケース3内に装着されている。
【0028】
また、吸気孔1a、2aがフロントブラケット1およびリヤブラケット2の軸方向の端面に設けられ、排気孔1b、2bがフロントブラケット1およびリヤブラケット2の外周両肩部に固定子巻線16のフロント側およびリヤ側のコイルエンド群16a、16bの径方向外側に対向して設けられている。
【0029】
図2において、回転子7は、電流を流して磁束を発生する回転子コイル13と、この回転子コイル13を覆うように設けられ、回転子コイル13で発生された磁束によって磁極が形成される一対のポールコア20、21とから構成される。一対のポールコア20、21は、鉄製で、それぞれ8つの爪形状の爪状磁極22、23が外周縁に周方向に等角ピッチで突設され、爪状磁極22、23をかみ合わせるように対向してシャフト6に固着されている。すなわち、回転子7は、一側のポールコアに8個、全体で16個の爪状磁極を有している。回転子7のフロント側の端面にはファン105が固着されている。一方、回転子7のリア側の端面にはファン205が固着されている。
【0030】
図3において、フロント側のファン105は、金属薄板からなり、円環状のファン基部105aとファン基部105aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された曲面状のブレード105cとを有している。ファン105は、ファン基部105aをポールコア20の端面に当接させた状態でプロジェクション溶接されている。
【0031】
図4において、リヤ側のファン205は、フロント側のファン105と同様に金属薄板からなり、円環状のファン基部205aとファン基部205aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された平面状のブレード205cとを有している。ファン205は、ファン基部205aをポールコア21の端面に当接させた状態でプロジェクション溶接されている。
【0032】
ここでは、ファン105及びファン205のブレードの枚数は、ポールコア20及びポールコア21の爪状磁極22および爪状磁極23の数を合わせた総磁極数である16の半分の8より少なく且つ奇数の数である7枚とされている。
【0033】
固定子8は、図5に示されるように、軸方向に延びるスロット15aが周方向に所定ピッチで複数形成された円筒状の積層鉄心から成る固定子鉄心15と、固定子鉄心15に巻装された多相固定子巻線16と、各スロット15a内に装着されて多相固定子巻線16と固定子鉄心15とを電気的に絶縁するインシュレータ19とを備えている。そして、多相固定子巻線群16は、1本の素線30が、固定子鉄心15の端面側のスロット15a外で折り返されて、所定スロット数毎にスロット15a内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように波巻きされて巻装された巻線を複数備えている。ここでは、固定子鉄心15には、回転子7の磁極数(16)に対応して、3相固定子巻線160を2組収容するように、96本のスロット15aが等間隔に形成されている。また、素線30には、例えば絶縁被覆された長方形の断面を有する長尺の銅線材が用いられる。
【0034】
つぎに、1相分の固定子巻線群161の巻線構造について図6を参照して具体的に説明する。
1相分の固定子巻線群161は、それぞれ1本の素線30からなる第1乃至第4の巻線31〜34から構成されている。そして、第1巻線31は、1本の素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットごとに、スロット15a内の外周側から1番目の位置と外周側から2番目の位置とを交互に採るように波巻きして構成されている。第2巻線32は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットごとに、スロット15a内の外周側から2番目の位置と外周側から1番目の位置とを交互に採るように波巻きして構成されている。第3巻線33は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットごとに、スロット15a内の外周側から3番目の位置と外周側から4番目の位置とを交互に採るように波巻きして構成されている。第4巻線34は、素線30を、スロット番号の1番から91番まで6スロットごとに、スロット15a内の外周側から4番目の位置と外周側から3番目の位置とを交互に採るように波巻きして構成されている。そして、各スロット15a内には、素線30が長方形断面の長手方向を径方向に揃えて径方向に1列に4本並んで配列されている。
【0035】
そして、固定子鉄心15の一端側において、スロット番号の1番から延出する第1巻線31の端部31aと、スロット番号の91番から延出する第3巻線33の端部33bとが接合され、さらにスロット番号の1番から延出する第3巻線33の端部33aと、スロット番号の91番から延出する第1巻線31の端部31bとが接合されて、2ターンの巻線が形成されている。
【0036】
また、固定子鉄心15の他端側において、スロット番号の1番から延出する第2巻線32の端部32aと、スロット番号の91番から延出する第4巻線34の端部34bとが接合され、さらにスロット番号の1番から延出する第4巻線34の端部34aと、スロット番号の91番から延出する第2巻線32の端部32bとが接合されて、2ターンの巻線が形成されている。
【0037】
さらに、スロット番号の61番と67番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第2巻線32の素線30の部分が切断され、スロット番号の67番と73番とから固定子鉄心15の一端側に延出する第1巻線31の素線30の部分が切断される。そして、第1巻線31の切断端31cと第2巻線32の切断端32cとが接合されて、第1乃至第4巻線31〜34を直列接続してなる4ターンの1相分の固定子巻線群161が形成されている。
【0038】
なお、第1巻線31の切断端31cと第2巻線32の切断端32cとの接合部が渡り結線接続部となり、第1巻線31の切断端31dと第2巻線32の切断端32dとがそれぞれ口出し線(O)および中性点(N)となる。
【0039】
同様にして、素線30が巻装されるスロット15aを1つづつずらして6相分の固定子巻線161が形成されている。そして、図7に示されるように、固定子巻線群161が3相分づつ星型結線されて2組の3相固定子巻線群160を形成し、各3相固定子巻線群160がそれぞれ整流器12に接続されている。各整流器12の直流出力は並列に接続されて合成される。
【0040】
ここで、第1乃至第4巻線31〜34を構成するそれぞれの素線30は、1つのスロット15aから固定子鉄心15の端面側に延出し、折り返されて6スロット離れたスロット15aに入るように波巻きに巻装されている。そして、それぞれの素線30は、6スロット毎に、スロット深さ方向(径方向)に関して、内層と外相とを交互に採るように巻装されている。
【0041】
固定子鉄心15の端面側に延出して折り返された素線30のターン部30aがコイルエンドを形成している。そこで、固定子鉄心15の両端において、ほぼ同一形状に形成されたターン部30aが周方向に、かつ、径方向に互いに離間して、2列となって周方向に整然と配列されてコイルエンド群16a、16bを形成している。
【0042】
ついで、固定子8の組立方法について図8乃至図14を参照しつつ具体的に説明する。
まず、図8に示されるように、12本の長尺の素線30を同時に同一平面上で雷状に折り曲げ形成する。ついで、図9に矢印で示されるように、直角方向に治具にて折り畳んでゆき、図10に示される素線群35Aを作製する。さらに、同様にして、図11に示されるように、渡り結線および口出し線を有する素線群35Bを作製する。そして、巻線群35A、35Bが装着された鉄心36を環状に成形しやすくするために、後巻線群35A、35Bは300℃で10分間アニール処理される。
【0043】
なお、各素線30は、図12に示されるように、ターン部30aで連結された直線部30bが6スロットピッチ(6P)で配列された平面状パターンに折り曲げ形成されている。そして、隣り合う直線部30bが、ターン部30aにより、素線30の幅(W)分ずらされている。素線群35A、35Bは、このようなパターンに形成された2本の素線30を図13に示されるように6スロットピッチずらして直線部30bを重ねて配列された素線対が1スロットピッチづつずらして6対配列されて構成されている。そして、素線30の端部が素線群35A、35Bの両端の両側に6本づつ延出されている。また、ターン部30aが素線群35A、35Bの両側部に整列されて配列されている。
【0044】
また、台形形状のスロット36aが所定のピッチ(電気角で30°)で形成されたSPCC材を所定枚数積層し、その外周部をレーザ溶接して、図14に示されるように、直方体の鉄心36を作製する。
【0045】
そして、図15の(a)に示されるように、インシュレータ19が鉄心36のスロット36aに装着され、2つの素線群35A、35Bの各直線部を各スロット36a内に重ねて押し入れる。これにより、図15の(b)に示されるように、2つの素線群35A、35Bが鉄心36に装着される。この時、素線30の直線部30bは、インシュレータ19により鉄心36と絶縁されてスロット15a内に径方向に4本並んで収納されている。また、2つの素線群35A、35Bは、図16に示されるように、重なって鉄心36に装着されている。
【0046】
ついで、鉄心36を丸め、その端面同士を当接させて溶接し、図12の(c)に示されるように、円筒状の鉄心37を得る。鉄心36を丸めることにより、スロット36a(固定子鉄心のスロット15aに相当)は略矩形断面形状となり、その開口部36b(スロット15aの開口部15bに相当)は直線部30bのスロット幅方向寸法より小さくなる。そして、図6に示される結線方法に基づいて、各素線30の端部同士を結線して固定子巻線群161を形成する。
【0047】
このように構成された車両用交流発電機では、電流がバッテリ(図示せず)からブラシ10およびスリップリング9を介して回転子コイル13に供給され、磁束が発生される。この磁束により、一方のポールコア20の爪状磁極22がN極に着磁され、他方のポールコア21の爪状磁極23がS極に着磁される。一方、エンジンの回転トルクがベルトおよびプーリ4を介してシャフト6に伝達され、回転子7が回転される。そこで、多相固定子巻線16に回転磁界が与えられ、多相固定子巻線16に起電力が発生する。この交流の起電力が整流器12を通って直流に整流されるとともに、その大きさがレギュレータ18により調整され、バッテリに充電される。
【0048】
そして、リヤ側においては、ファン205の回転により、外気が整流器12のヒートシンクおよびレギュレータ18のヒートシンク17にそれぞれ対向して設けられた吸気孔2aを通じて吸い込まれ、シャフト6の軸に沿って流れて整流器12およびレギュレータ18を冷却し、その後ファン205により遠心方向に曲げられて多相固定子巻線16のリヤ側のコイルエンド群16bを冷却し、排気孔2bより外部に排出される。一方、フロント側においては、ファン105の回転により、外気が吸気孔1aから軸方向に吸い込まれ、その後ファン105により遠心方向に曲げられて多相固定子巻線16のフロント側のコイルエンド群16aを冷却し、排気孔1bより外部に排出される。
【0049】
このように、この実施の形態によれば、車両用交流発電機は、複数の吸気孔1aが軸方向面に設けられ、複数の排気孔1bが径方向面に設けられたケース3と、爪状磁極22,23が外周縁部に等角ピッチで軸方向に突設されてなる、一対のポールコア20,21を有し、各々のポールコア20,21の爪状磁極22,23が互いに噛み合うようにシャフト6に固定されてケース3内に回転自在に配設され、一対のポールコア20,21の軸方向のそれぞれの端面には、外周部に複数のブレード105c,205cを有するファン105,205がそれぞれ固着されている回転子7と、回転子7の外周側を覆うようにケース3に固定され、回転子7と対向する内周側に複数のスロット15aが形成された固定子鉄心15、及びスロット15aに収納される固定子巻線16を有する固定子8とを備えた車両用交流発電機において、スロット15aは偶数個形成され、爪状磁極22及び爪状磁極23は各々偶数個形成され、一対のファン105,205のブレード105c,205cの枚数は互いに等しくかつ各々奇数個である。
【0050】
そのため、回転子7の回転時に発生する爪状磁極22,23自体の振動と、爪状磁極22,23に固着されて軸方向に突出するブレード105c,205cを有するファン105,205の各々の振動とが同期することなく、騒音を低減することができる。また、フロント側とリヤ側のブレード105c,205cの枚数が同じなのでそれぞれが爪状磁極22,23と同期することがなく、騒音をさらに低減することができる。さらには、ブレード105c,205c自体の風切り音が前後で個別の周波数で発生することを防止することができる。
【0051】
また、ファンブレード105c,205cの枚数は、一対の爪状磁極22,23の総磁極数(両方の爪状磁極22,23を合わせたもの)の1/2以下である。そのため、ブレード105c,205cの枚数が少なくなり、各ブレード105c,205cの面積を比較的大きく構成することができる。これにより、ファン105,205の冷却能力を向上させることができる。すなわち、本実施の形態のブレード105c,205cの枚数は、フロント側とリヤ側で同じで7枚とされている。つまり、総磁極数16の半分の8より少ない奇数であり、全体の冷却性を低下させない少な過ぎずものとなっている。
【0052】
また、固定子巻線16は、固定子鉄心15の端面側のスロット15a外で折り返されて、所定スロット15a数毎にスロット15a内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装された巻線31〜34を複数有し、固定子鉄心16の端面側のスロット15a外で折り返された素線30が周方向に並んで略同一形状のコイルエンド群16a,16bを構成している。そのため、全周にわたって整列されたコイルエンド部が形成され、これにより通風抵抗が低減されて冷却性および風騒音が向上される。
【0053】
また、固定子巻線16は、長尺の素線30が、固定子鉄心15aの端面側のスロット15a外で折り返されて、所定スロット15a数毎にスロット15a内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装された巻線31〜34を複数有し、固定子鉄心15の端面側のスロット15a外で折り返された素線30のターン部が周方向に並んでコイルエンド群16a,16bを構成しており、コイルエンドはフロント側とリヤ側とで略同一形状である。そのため、両コイルエンド群16a、16bがバランス良く冷却され、固定子巻線温度が均一に、かつ、大きく低減される。また、固定子巻線16のフロント側とリヤ側でそれぞれブレード105c,205cとの干渉が同等となり、干渉音を低減することができる。
【0054】
また、本実施の形態においては、スロット15aの数は、毎極、毎相あたり2とされている。そのため、スロット15aの数が極数の6倍となり、ファン105c,205cの振動と爪状磁極22,23の振動の周波数が離れて、より騒音が分散され、騒音を低減することができる。また、スロット15aからの素線30の延出数が増し、騒音低減効果がさらに増す。
【0055】
また、コイルエンド群16a、16bの内周側を構成する素線30の傾斜方向が平行となっているので、ケース3内の軸方向流れが素線30の傾斜に沿って旋回する。これにより、回転子7の回転によって生じる軸方向流れがコントロールされる。
【0056】
つまり、コイルエンド群16a、16bの内周側を構成する素線30が回転子7の回転方向成分と冷却風の軸方向流れ成分との合成方向に傾斜していれば、冷却風の軸方向流れが促進される。これにより、回転子コイル13が効率よく冷却されるので、回転子コイル13の温度が下がり、界磁電流が大きくなり、出力向上が望める。この場合、コイルエンド群16a、16bの内周側を構成する素線30が軸方向流れ成分に沿って傾斜しているので、干渉による風騒音も低減される。
【0057】
一方、コイルエンド群16a、16bの内周側を構成する素線30が回転子7の回転方向成分と冷却風の反軸方向流れ成分との合成方向に傾斜していれば、冷却風の軸方向流れが低減される。これにより、径方向の吐出側の風量が増加し、吐出側に配置されているコイルエンドの冷却性が向上される。
【0058】
尚、ブレード105c,205cは薄板基部から必ずしも軸に平行に切り起こされなくてもよい。また、ケース3に設けられる吸気孔1aおよび排気孔1bは、ファンブレード105c,205cによる冷却風がスムーズに流れればよいので、形状、個数、固定子巻線16との位置関係等は、図示のものに限定されるものではない。
【0059】
実施の形態2.
図18はこの発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機の回転子のフロント側から見た平面図である。図19は回転子のリヤ側から見た平面図である。
本実施の形態においては、回転子7のフロント側の端面にはファン305が固着されている。一方、回転子7のフロント側の端面にはファン405が固着されている。
【0060】
図18において、フロント側のファン305は、金属薄板からなり、円環状のファン基部305aとファン基部305aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された曲面状のブレード305cとを有している。ファン305は、ファン基部305aをポールコア20の端面に当接させた状態でプロジェクション溶接されている。
【0061】
図19において、リヤ側のファン405は、フロント側のファン405と同様に金属薄板からなり、円環状のファン基部405aとファン基部405aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された平面状のブレード405cを有している。ファン405は、ファン基部405aをポールコア21の端面に当接させた状態でプロジェクション溶接されている。
【0062】
本実施の形態のファン305及びファン405のブレードの枚数は、ポールコア20及びポールコア21の爪状磁極22および爪状磁極23の数を合わせた総磁極数である16の半分の8より多く且つ奇数の数である9枚とされている。
【0063】
このようなことから、回転子7の回転時に発生する爪状磁極22,23自体の振動と、爪状磁極22,23に固着されて軸方向に突出するブレード305c,405cを有するファン305,405の各々の振動とが同期することなく、騒音を低減することができる。また、フロント側とリヤ側のブレード305c,405cの枚数が同じなのでそれぞれが爪状磁極22,23と同期することがなく、騒音をさらに低減することができる。さらには、ブレード305c,405c自体の風切り音が前後で別々に(交互に)発生することを防止することができる。
【0064】
また、ファンブレード305c,405cの枚数は、一対の爪状磁極22,23の総磁極数(両方の爪状磁極22,23を合わせたもの)の1/2以下より多いる。そのため、ファン305,405の冷却能力を向上させることができる。
【0065】
実施の形態3.
図20はこの発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機の回転子のフロント側から見た平面図である。図21は回転子のリヤ側から見た平面図である。
図20において、フロント側のファン505は、ファン基部505aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された曲面状のブレード505cとを有している。ブレード505cは、外方に円弧中心を有する湾曲面とされている。
【0066】
図21において、リヤ側のファン605は、実施の形態1と概略同様に、ファン基部605aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された平面状のブレード605cを有している。
【0067】
そして、本実施の形態においては、ブレードの外周側端部における接線と、シャフト6の軸心を中心として外周側端部を通る円の外周側端部における接線とのなす角度である出口角度について、フロント側のファン505の出口角度Aは、リヤ側のファン606の出口角度Bよりも大きい。出口角度Bが大きくなると、同じ面積のブレードであっても発生する風量が多くなる。従って、本実施の形態においては、フロント側のファン505の発生する風量は、リヤ側のファン605の発生する風量より多い。
【0068】
一方、ケース3内のリヤ側には、実施の形態1と同様に冷却されるべき内蔵物である整流器12、レギュレータ18、及びそれらのヒートシンク17が設けられており、通風路が狭くなるので圧力損失大きくなる。しかし、本実施の形態においては、上述のように、フロント側のファン505の発生する風量は、リヤ側のファン605の発生する風量より多くされている。そのため、フロント側とリヤ側の冷却風の圧力損失が等しくなり、ファンが発生する騒音をフロント側とリヤ側でほぼ等しくすることができる。
【0069】
また、本実施の形態においては、フロント側のファン505の出口角度Aを、リヤ側のファン605の出口角度Bよりも大きくすることで、フロント側のファンの発生する風量をリヤ側のファンの発生する風量より多くしている。そのため、簡単な構成で風量の差を実現させている。
【0070】
尚、本実施の形態のフロント側のファン505のブレード505cは、外方に円弧中心を有する湾曲面とされているが、出口角度Aが大きければ本実施の形態の効果を得ることができ平面状であっても良い。
【0071】
実施の形態4.
図22はこの発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機の回転子のフロント側から見た平面図である。図23は回転子のリヤ側から見た平面図である。
図22において、フロント側のファン705は、ファン基部705aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された平面状のブレード705cとを有し、外径寸法はφEである。
一方、図23において、リヤ側のファン805は、ファン基部805aの外周縁部から径方向外方に延出する複数の縁部を切り起こして形成された平面状のブレード805cを有し、外径寸法はφFである。
【0072】
そして、本実施の形態においては、フロント側のファン705の外径寸法φEを、リヤ側のファン805の外径寸法φFよりも大きくすることで、フロント側のファンの発生する風量をリヤ側のファンの発生する風量より多くしている。そのため、簡単な構成で風量の差を実現させている。
【0073】
上記各実施の形態では、整流器、レギュレータ等の内蔵物は、リア側のケース内に収められているが、これらの内蔵物がケース外に配置されて保護カバー等でおおわれているタイプの発電機においても、同様の回転子と固定子の構造を有しておれば、本発明を適応することができる。
【0074】
【発明の効果】
この発明に係る車両用交流発電機は、複数の吸気孔が軸方向面に設けられ、複数の排気孔が径方向面に設けられたケースと、爪状磁極が外周縁部に等角ピッチで軸方向に突設されてなる、一対のポールコアを有し、各々のポールコアの爪状磁極が互いに噛み合うようにシャフトに固定されてケース内に回転自在に配設され、一対のポールコアの軸方向のそれぞれの端面には、外周部に複数のブレードを有するファンがそれぞれ固着されている回転子と、回転子の外周側を覆うようにケースに固定され、回転子と対向する内周側に複数のスロットが形成された固定子鉄心、及びスロットに収納される固定子巻線を有する固定子と、ケースのリヤ側に設けられ、固定子で生じた交流を直流に整流する整流器とを備えた車両用交流発電機において、スロットは偶数個形成され、爪状磁極は各々のポールコアについて偶数個形成され、一対のファンのブレードの枚数は互いに等しくかつ各々奇数個である。
そのため、回転子の回転時に発生する爪状磁極自体の振動と、爪状磁極に固着されて軸方向に突出するブレードを有するファンの各々の振動とが同期することなく、騒音を低減することができる。また、フロント側とリヤ側のブレードの枚数が同じなのでそれぞれが爪状磁極と同期することがなく、騒音をさらに低減することができる。さらには、ブレード自体の風切り音が前後で個別の周波数を発生することを防止することができる。
また、固定子巻線は、長尺の素線が、固定子鉄心の両端面側のスロット外で折り返されて、所定スロット数毎にスロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装された巻線を複数有し、固定子鉄心の両端面側のスロット外で折り返された素線のターン部が周方向に並んでコイルエンド群を構成しており、コイルエンド群はフロント側とリヤ側とで略同一形状である。
そのため、固定子巻線のフロント側とリヤ側でそれぞれブレードとの干渉が同等となり、干渉音を低減することができる。
また、ケースのフロント側のファンの出口角度は、ケースのリヤ側のファンの出口角度よりも大きい。そのため、簡単な構成で、フロント側のファンの発生する風量をリヤ側のファンの発生する風量よりも多くすることができ、ファンが発生する騒音をフロント側とリヤ側とでほぼ等しくすることができる。
すなわち、ファンが発生する騒音は、冷却風の圧力損失とファンの発生する風量とに基づいて算出され、圧力損失の影響を大きく受けること、また、この冷却風の圧力損失は、通風路の通風抵抗とファンの発生する風量の二乗とを互いに乗算して算出されることが知られている。
上記ケースのリヤ側には、整流器が設けられているので、リヤ側の通風抵抗は、フロント側の通風抵抗よりも大きくなる。
したがって、フロント側のファンの発生する風量をリヤ側のファンの発生する風量よりも多くすることによって、冷却風の圧力損失をフロント側とリヤ側とで等しくすることができ、ファンが発生する騒音をフロント側とリヤ側とでほぼ等しくすることができる。
【0075】
また、ファンブレードの枚数は、一対の爪状磁極の総磁極数の1/2以下である。そのため、ブレードの枚数が少なく、各ブレードの面積を比較的大きく構成することができ、冷却性能を向上させることができる。
【0078】
また、フロント側のファンの外径寸法は、リヤ側のファンの外径寸法よりも大きい。そのため、フロント側の発生する風量をリヤ側のファンの発生する風量より多くすることを簡単な構成で実現することができる。
【0079】
また、固定子鉄心の端面側のスロット外で折り返された素線が周方向に並んで略同一形状のコイルエンド群を構成している。
そのため、全周にわたって整列されたコイルエンド部が得られ、これにより通風抵抗が低減されて冷却性および風騒音が向上される。
【0081】
また、スロットの数は、毎極、毎相あたり2である。そのため、スロット数が、毎極、毎相あたり2であるので、3相交流発電機の場合、スロット数が極数の6倍となり、ファンの振動と爪状磁極の振動数の周波数が離れて、より騒音が分散され、騒音を低減することができる。また、スロットからのコイルの延出数が増し、騒音低減効果が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1に係る車両用交流発電機の構成を示す断面図である。
【図2】 図1の回転子の斜視図である。
【図3】 図1の回転子のフロント側から見た平面図である。
【図4】 図1の回転子のリヤ側から見た平面図である。
【図5】 この車両用交流発電機の固定子を示す斜視図である。
【図6】 この車両用交流発電機における固定子巻線の1相分の結線状態を説明する平面図である。
【図7】 この車両用交流発電機の回路図である。
【図8】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する巻線群の製造工程を説明する図である。
【図9】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する巻線群の製造工程を説明する図である。
【図10】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する内層側の素線群を示す図であり、図10の(a)はその側面図、図10の(b)はその平面図である。
【図11】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する外層側の素線群を示す図であり、図11の(a)はその側面図、図11の(b)はその平面図である。
【図12】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の要部を示す斜視図である。
【図13】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線の配列を説明する図である。
【図14】 この車両用交流発電機の適用される固定子鉄心の構造を説明する図であり、図14の(a)はその側面図、図14の(b)はその背面図である。
【図15】 この車両用交流発電機の適用される固定子の製造工程を説明する工程断面図である。
【図16】 この車両用交流発電機に適用される固定子巻線を構成する素線群の鉄心への装着状態を示す平面図である。
【図17】 この車両用交流発電機の適用される固定子の断面図である。
【図18】 この発明の実施の形態2に係る車両用交流発電機の回転子のフロント側から見た平面図である。
【図19】 回転子のリヤ側から見た平面図である。
【図20】 この発明の実施の形態3に係る車両用交流発電機の回転子のフロント側から見た平面図である。
【図21】 回転子のリヤ側から見た平面図である。
【図22】 この発明の実施の形態4に係る車両用交流発電機の回転子のフロント側から見た平面図である。
【図23】 回転子のリヤ側から見た平面図である。
【図24】 従来の一般的な車両用交流発電機の構成を示す断面図である。
【図25】 図24の回転子の斜視図である。
【符号の説明】
3 ケース、6 シャフト、7 回転子、8 固定子、20,21 ポールコア、 22,23 爪状磁極、105〜805 ファン、105a〜805a ファン基部、105c〜805c ブレード、A フロント側のファンの出口角度、B リヤ側のファンの出口角度、φE フロント側のファンの外径寸法、φF リア側のファンの外径寸法。
Claims (5)
- 複数の吸気孔が軸方向面に設けられ、複数の排気孔が径方向面に設けられたケースと、
爪状磁極が外周縁部に等角ピッチで軸方向に突設されてなる、一対のポールコアを有し、各々の上記ポールコアの爪状磁極が互いに噛み合うようにシャフトに固定されて上記ケース内に回転自在に配設され、上記一対のポールコアの軸方向のそれぞれの端面には、外周部に複数のブレードを有するファンがそれぞれ固着されている回転子と、
上記回転子の外周側を覆うように上記ケースに固定され、上記回転子と対向する内周側に複数のスロットが形成された固定子鉄心、及び上記スロットに収納される固定子巻線を有する固定子と、
上記ケースのリヤ側に設けられ、上記固定子で生じた交流を直流に整流する整流器と
を備えた車両用交流発電機において、
上記スロットは偶数個形成され、上記爪状磁極は各々の上記ポールコアについて偶数個形成され、上記一対のファンのブレードの枚数は互いに等しくかつ各々奇数個であり、
上記固定子巻線は、長尺の素線が、上記固定子鉄心の両端面側の上記スロット外で折り返されて、所定スロット数毎に上記スロット内でスロット深さ方向に内層と外層とを交互に採るように巻装された巻線を複数有し、上記固定子鉄心の両端面側の上記スロット外で折り返された上記素線のターン部が周方向に並んでコイルエンド群を構成しており、上記コイルエンド群はフロント側とリヤ側とで略同一形状であり、
上記ブレードの外周側端部における接線と、上記シャフトの軸心を中心として上記外周側端部を通る円の上記外周側端部における接線とのなす角である出口角度について、上記ケースのフロント側のファンの出口角度は、上記ケースのリヤ側のファンの出口角度よりも大きく、フロント側の上記ファンの発生する風量は、リヤ側の上記ファンの発生する風量よりも多い
ことを特徴とする車両用交流発電機。 - 上記ファンのブレードの枚数は、一対の上記爪状磁極の総磁極数の1/2以下である
ことを特徴とする請求項1に記載の車両用交流発電機。 - フロント側の上記ファンの外径寸法は、リヤ側の上記ファンの外径寸法よりも大きい
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用交流発電機。 - 上記固定子鉄心の両端面側の上記スロット外で折り返された上記素線が周方向に並んで略同一形状のコイルエンド群を構成している
ことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の車両用交流発電機。 - 上記スロットの数は、毎極、毎相あたり2である
ことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の車両用交流発電機。
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