JP4006750B2 - 固定化微生物担体及びそれを用いた環境浄化方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、固定化微生物担体及びそれを用いた環境浄化方法に係り、特に、排水中又は大気中の窒素成分を生物学的に除去するための固定化微生物担体及びそれを用いた環境浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
廃水や下水を微生物で処理する生物学的処理は、 比較的低コストであることから広く採用されている。 しかし、 微生物の種類によっては、 増殖速度が遅いものや、 被毒し易いもの、 又はその環境中において増殖し難いものがあり、 必ずしも効率的な方法とはいえない場合がある。そこで、 微生物が繁殖しやすい環境を積極的に形成するために、活性汚泥や特定の微生物を予め内部に包括固定化した固定化微生物担体を用いて生物学的処理を行うことが既に実用化されている。
【0003】
活性汚泥や微生物を包括固定化する固定化材料としては、 自然環境に無害であること、微生物によって変質又は分解されないこと、機械的強度が高いこと、微生物を多量に保持できること等が要求される。これまで実用化されている固定化材料としては、ポリエチレングリコール系のポリマ、 ポリビニルアルコール系の樹脂等がある。ゲル材料に包括固定化する微生物としては、下水処理場の活性汚泥や純粋培養した微生物を微生物供給源として主にアンモニア性窒素を酸化する硝化菌が用いられている。
【0004】
アンモニア性窒素を含有する廃水や下水の生物学的処理は、硝化工程においてアンモニア性窒素を硝化菌により亜硝酸や硝酸とし、脱窒工程において亜硝酸や硝酸を脱窒菌で窒素ガスにすることにより廃水中の窒素成分を除去していた。この脱窒工程では水素供与体が必要であり、廃水や下水中の有機物を用いるか、メタノールを添加していた。水素供与体の供給が不足すると、亜硝酸や硝酸が十分に脱窒されずに、処理水中に残存して放流されてしまうので、湖沼、河川等が、富栄養化を起こし環境汚染の原因になる。
【0005】
この水素供与体の不足を解消するための従来技術としては、特開平8−323381号公報に開示されるように固定化担体内部に有機物、例えばデンプン、セルロースなどをポリマにコーティングした粒子を固定化材料に包括固定化する方法、或いは特開2000−153293号公報に開示されるように処理槽に生分解性プラスチックを添加する方法がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平8−323381号公報の方法は、拡散及び分解抵抗があり脱窒速度が遅くなるという欠点がある。一方、特開2000−153293号公報の方法は、脱窒反応の持続性(寿命)が極めて短く、脱窒に必要な理論炭素量以上の生分解性プラスチックを処理槽に添加しなくてはならず、ランニングコストがかかるという欠点がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、脱窒速度が速く、且つ脱窒反応の持続性が極めて長いので、脱窒に必要な炭素量を少なくできる固定化微生物担体及びそれを用いた環境浄化方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1は前記目的を達成するために、微生物が分解する生分解性有機物である高級脂肪酸と、微生物とを、固定化材料で包括固定化したことを特徴とする。
【0009】
脱窒処理における水素供与体として、分解し易い有機物にポリマコーティングして徐放性をもたせると、拡散及び分解抵抗が生じて脱窒速度が遅くなってしまい、そうかといって、生分解性プラスチックのように徐放性のあるものであっても、廃水中にそのまま投入して活性汚泥で処理すると、脱窒以外の酸化分解反応で生分解性プラスチックが分解されてしまい、脱窒反応に利用されにくく、脱窒反応の持続性(寿命)が極めて短くなってしまう。しかし、比較的分解しにくい有機物である高級脂肪酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムのうちの少なくとも1つの生分解性有機物を、固定化材料で包括固定化すると、拡散及び分解抵抗がないように徐放性を確保すことができ、しかも脱窒以外の酸化分解反応で分解されてしまうことがないとの知見を得た。
【0010】
本発明はかかる知見に基づいてなされたもので、本発明によれば、微生物が分解する高級脂肪酸と、微生物とを、固定化材料で包括固定化するようにしたので、脱窒速度が速く、且つ脱窒反応の持続性が極めて長いので、脱窒に必要な炭素量を少なくできる固定化微生物担体を得ることができる。
【0011】
本発明の請求項2は、請求項1において、生分解性有機物の粒径が5mm以下にしたもので、これにより脱窒速度を一層大きくできる。
【0012】
本発明の請求項3は、生分解性有機物は、固定化微生物担体に対して2〜50重量%含有されているので、脱窒率を大きくすることができる。
【0013】
本発明の請求項4は前記目的を達成するために、請求項1〜3の何れか1の固定化微生物担体と、窒素成分を含有する水又は気体と接触させることにより、前記水又は気体から前記窒素成分の除去を行うことを特徴とする。
【0014】
本発明によれば、微生物が分解する脂肪酸と、微生物とを、固定化材料で包括固定化した固定化微生物担体を使用して、窒素成分を含有する水又は気体と接触させることにより、前記水又は気体から前記窒素成分の除去を行うようにしたので、脱窒に必要な炭素量を少なくできる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って、本発明に係る固定化微生物担体及びそれを用いた環境浄化方法の好ましい実施の形態について詳説する。
【0016】
本発明の固定化微生物担体の製造は、高級脂肪酸と、微生物とを混合した混合物を形成し、この混合物に、さらに固定化材料を混合して良く攪拌する。この場合、固定化材料には、水や反応調整剤としての希硫酸が加えられる。次に、過硫酸カリウム等の重合開始剤により重合反応を起させて固定化材料をゲル化し、微生物を固定化材料がゲル化したゲル担体内に包括固定化する。これにより、従来の固定化微生物担体よりも脱窒速度が速く、且つ脱窒反応の持続性が長い固定化微生物担体を得ることができる。この場合、高級脂肪酸と、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムのうちの少なくとも1つの生分解性有機物とを固定化材料に包括固定してもよい。また、固定化材料をゲル化する方法は、上記した重合法の他に、ポリビニルアルコール(PVA)を固定化材料として用いる場合には、PVAと微生物を混合させた後、凍結と解凍を繰り返すことによりゲル化反応させてPVA内に微生物を包括固定化するPVA冷凍法、あるいはPVAと微生物を混合させた後、ホウ酸と混合させてゲル化反応させてPVA内に微生物を包括固定化するPVAホウ酸法の何れでも良い。
【0017】
ここで、固定化材料に包括固定化する微生物には、下水処理場の活性汚泥、湖沼、河川や海の汚泥、土壌などの各種の微生物を含む複合微生物含有物の他に、培養等により濃縮分離された窒素除去を目的とした微生物、例えば脱窒菌や硝化菌が含まれる。特に、硝化菌と脱窒菌とを共存させた状態で、生分解性有機物と共に包括固定した固定化微生物担体や、脱窒菌のみを生分解性有機物と共に包括固定した固定化微生物担体が、窒素除去の固定化微生物担体として有効である。
【0018】
包括固定化担体の固定化材料としては、ポリエチレングリコール系のプレポリマとしてはモノメタクリレート類、モノアクリレート類、ジメタクリレート類、ジアクリレート類、トリメタクリレート類、トリアクリレート類、テトラアクリレート類などを使用することができる。また、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、その他、ポリビニルアルコール、アクリルアミド、光硬化性ポリビニルアルコール、光硬化性ポリエチレングリコール、光硬化性ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールプレポリマ等を使用することができる。
【0019】
固定化微生物担体の大きさは、10μm〜50cmまで幅広く作製でき、さらには1m以上の大きさのものも利用できる。固定化微生物担体の形状としては、球形、角形、円柱状などを用いることができる。また、ブロック状にしたものに蜂の巣状に穴を開けて被処理水や被処理ガスとの接触効率をあげるとよく、ハニカム状の型枠を利用して製造するとよい。
【0020】
図1は、以上の如く製造された固定化微生物担体において、固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の濃度と脱窒率の関係を調べたものである。図1の横軸は、固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の濃度(重量%)を示し、縦軸は脱窒率(%)を示す。生分解性有機物は、高級脂肪酸、ポリ乳酸、ポリポリカプロラクタムのそれぞれについて調べた。
【0021】
実験条件は、容積が2Lの反応槽に固定化微生物担体を200mL添加し、60rpmで攪拌する完全混合型の装置を用いた。反応槽には、硝酸性窒素濃度40mg/Lの原水を供給し、反応時間3時間後の脱窒率で評価した。
【0022】
【数1】
その結果、図1に示すように、何れの生分解性有機物の場合にも、生分解性有機物の濃度が0から2%になる間で、脱窒率が急激に増加する。生分解性有機物の濃度が2%での脱窒率は、ポリ乳酸で60%、ポリカプロラクタムで70%、高級脂肪酸で80%になる。生分解性有機物の濃度を大きくしていくと、脱窒率はゆるやかに増加して濃度10%近傍で脱窒率が最大になる。生分解性有機物の濃度が10%での脱窒率は、ポリ乳酸で64%、ポリカプロラクタムで80%、高級脂肪酸で98%になる。生分解性有機物の濃度が30%まで最大の脱窒率を維持し、その後、脱窒率は次第に低下する。生分解性有機物の濃度が40%での脱窒率は、ポリ乳酸で40%、ポリカプロラクタムで55%、高級脂肪酸で80%になり、生分解性有機物の濃度が50%での脱窒率は、ポリ乳酸で25%、ポリカプロラクタムで30%、高級脂肪酸で55%になる。生分解性有機物の濃度が60%での脱窒率は、ポリ乳酸及びポリカプロラクタムで5%、高級脂肪酸で20%まで低下する。そして、実用上、使用可能な脱窒率としては20%以上が好ましいことから、固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の好適な濃度としては、2〜50重量%の範囲であることが好ましく、更に好ましくは5〜30重量%の範囲である。
【0023】
また、高級脂肪酸、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムの含有濃度と脱窒率の関係を個別に見た場合、高級脂肪酸の脱窒率が最も高く、固定化微生物担体に含有される生分解性有機物が10〜30%の範囲では、略100%の脱窒率になる。
【0024】
表1は、固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の粒子径と固定化微生物担体の脱窒速度(mg-N/h/L-担体)との関係を調べたものである。
【0025】
生分解性有機物として高級脂肪酸を用い、千葉県のA下水処理場から採取した活性汚泥と、高級脂肪酸とを、ポリエチレングリコール系のプレポリマで包括固定化した固定化微生物担体(20mm角型担体)を製造した。そして、固定化微生物担体に含有される高級脂肪酸の粒子径が、100μ、1mm、2mm、5mm、10mmの5種類の固定化微生物担体を調製した。
【0026】
固定化微生物担体の組成は、表2に示す。
【0027】
固定化微生物担体の脱窒速度の測定は、容積が2Lの反応槽に、固定化微生物担体を200mL添加して充填率が10%になるようにし、60rpmで攪拌する完全混合型の装置を用いた。曝気槽には、硝酸性窒素濃度が40mg/Lの廃水を張り込み、5種類の粒子径の高級脂肪酸ごとに回分試験を行った。
【0028】
【表1】
【0029】
【表2】
【0030】
表1の結果から分かるように、固定化微生物担体に含有される高級脂肪酸の粒子径が、5mm以下で脱窒速度(mg-N/h/L-担体)が90〜110(mg-N/h/L-担体)の高い値を得ることができ、更には2mm以下で脱窒速度が105〜110(mg-N/h/L-担体)となり、極めて高く且つ安定した脱窒速度を得ることができる。尚、表1は、生分解性有機物が高級脂肪酸の例で説明したが、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムの場合も同様の結果であった。このことから、固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の粒子径は5mm以下が好ましく、更には2mm以下が好ましい。
【0031】
図1の固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の濃度、及び表1の生分解性有機物の粒子径の、好ましい条件を全て勘案して窒素成分を除去するための固定化微生物担体を構成すると、硝化菌と脱窒菌、又は脱窒菌のみの微生物に、2mm以下の高級脂肪酸を含有濃度が10〜30重量%なるように包括固定化することが最も良く、脱窒速度が速く、脱窒反応の持続性が長く、脱窒に必要な炭素量を少なくできると共に、高い脱窒率を発揮することができ極めて有効な窒素成分除去用の固定化微生物担体を得ることができる。
【0032】
本発明の環境浄化方法は、上記説明した本発明の固定化微生物担体と、窒素成分を含有する水又は気体と接触させることにより、水又は気体から窒素成分の除去を行う方法である。ここで、水とは、下水処理場、湖沼、河川等を含み、気体とは工場排気ガス、大気等を含む。水や気体からの窒素除去を目的とした固定化微生物担体に包括固定する微生物としては、活性汚泥、純粋培養した硝化菌、脱窒菌を好適に用いることができる。
【0033】
図2〜図4は、本発明の環境浄化方法を適用する環境浄化装置の例を示したものであり、図2及び図3は水から窒素成分を除去する環境浄化装置であり、図4は気体から窒素成分を除去する環境浄化装置の場合である。
【0034】
図2の環境浄化装置10は、硝化・脱窒を単一槽で行う場合で、本発明の固定化微生物担体12が処理槽14に投入される。この場合、固定化微生物担体12の微生物としては、硝化菌と脱窒率とが共存した状態で包括固定される。処理槽14の底部には散気管16が設けられ、ブロア18からのエアが散気管16から処理槽14内に散気される。散気されることによる処理槽14内の溶存酸素濃度は0.2〜2mg/L、好ましくは0.5〜1.5mg/Lになるようにし、処理槽14内に弱い好気性条件が形成されるようにする。これにより、アンモニア窒素等の窒素成分を含有する被処理水は、処理槽14において硝化反応と脱窒反応の両方が同時に行われる。処理槽14で硝化・脱窒された液は、固液分離槽20にて上澄水と沈降汚泥とに分離され、上澄水が処理水として系外に引き抜かれると共に、沈降汚泥の一部が循環汚泥として処理槽14の入口側に戻される。
【0035】
図3の環境浄化装置30は、硝化槽32と脱窒槽34の2槽を設ける場合で、硝化槽32には、微生物として硝化菌を使用した本発明の固定化微生物担体36が投入され、脱窒槽34には、微生物として脱窒菌を包括固定した固定化微生物担体38が投入される。硝化槽32の底部には散気管40が設けられ、ブロア42からのエアが散気管40から硝化槽32内に散気される。散気されることによる硝化槽32内の好気性は、硝化槽32内の溶存酸素濃度が2mg/L以上になるようにして好気性条件を形成する。脱窒槽34には攪拌器44が設けられ、脱窒槽34内の被処理水が脱気されて嫌気性条件が形成される。また、硝化槽32の硝化液の一部は固液分離槽46に流入すると共に、残りは脱窒槽34に循環される。これにより、硝化槽と脱窒槽でそれぞれ硝化・脱窒を行い、硝化処理された硝化液の一部を脱窒槽34に循環することで被処理水中の窒素成分が除去される。硝化槽32と脱窒槽34で硝化・脱窒された液は、固液分離槽46にて上澄水と沈降汚泥とに分離され、上澄水が処理水として系外に引き抜かれると共に、沈降汚泥の一部が循環汚泥として脱窒槽34の入口側に戻される。
【0036】
図4の気体から窒素成分を除去する環境浄化装置50は、処理塔52の内部に、固定化微生物担体54によって形成された固定式ろ過層56が設けられる。固定化微生物担体54の微生物としては、硝化菌と脱窒率とが共存した状態で包括固定される。そして、窒素成分を含有したガスは、処理塔52の底部に繋がれた給気管58から処理塔52内に供給され、固定式ろ過層56を通過した後、処理塔52の上端に繋がれた排気管60から排出される。また、処理塔52内の上部位置には散水管62が設けられ、循環配管64を介して循環水ピット66に連結されると共に、循環配管64には循環ポンプ68が設けられる。一方、処理塔52の底部から排水管70が循環水ピット66に連結される。これにより、散水管62から散水された水は、循環水ピット66を介して散水管62に循環される。かかる環境浄化装置50では、窒素成分を含有するガスを固定式ろ過層56の下から上に流し、散水管62からの水を固定式ろ過層56の上から下に流すカウンターカレントによって、ガス中の窒素成分を除去する。
【0037】
【実施例】
(実施例1)
実施例1は、本発明の固定化微生物担体の窒素除去の寿命と処理性能を試験したものである。
【0038】
試験は、本発明の固定化微生物担体を使用した本発明法と、特開平8−323381号公報の方法をベースにした従来法1、特開2000−153293号公報の方法をベースにした従来法2とを対比した。
【0039】
本発明法の固定化微生物担体の組成は、表3の通りである。
【0040】
【表3】
【0041】
表3の組成を有する20mm角の固定化微生物担体を、攪拌混合可能な2Lの処理槽に200mL投入して、担体充填率が10%になるようにした。従って、処理槽に投入された固定化微生物担体における高級脂肪酸の含有合計量は20gになる。そして、窒素成分を含有する被処理水を、槽上部から流入させ、槽側面に形成された担体流出防止網から槽外に流出することにより連続処理を行った。担体流出防止網は、目開き1mmの塩化ビニール製のものを使用した。
【0042】
従来法1は、2mm粒子径の高級脂肪酸をポリエチレンでコーティングした粒子を、活性汚泥と共にポリエチレングリコール系プレポリマに包括固定化して調製した固定化微生物担体を使用した以外は、本発明法と同様である。
【0043】
従来法2は、2mm粒子径の高級脂肪酸20gを先ず、本発明で使用したと同じ処理槽に投入し、更に活性汚泥のみを包括固定化した固定化微生物担体200mLを処理槽に投入して、本発明で使用したと同じ被処理水を連続処理した。
【0044】
これら、本発明法、従来法1、従来法2について、立ち上げ期間経過後の安定した脱窒性能を維持している期間である固定化微生物担体の寿命、及び寿命期間中に処理槽から排出される処理水の硝酸性窒素の濃度を調べた。試験結果を表4に示す。
【0045】
【表4】
【0046】
表4に示すように、本発明の固定化微生物担体を使用した本発明法は、固定化微生物担体の寿命が6か月と一番長く、処理水の硝酸濃度も2mg/L以下で最も低く、寿命及び処理水質ともに良い結果であった。
【0047】
これに対し、従来法1は、寿命は5か月と本発明法と比べて1カ月短いだけであったが、処理水の硝酸性窒素濃度が5〜10mg/Lと高く、処理水質が悪かった。これは、高級脂肪酸をポリエチレンでコーティングすることにより、拡散及び分解抵抗があり脱窒速度が遅くなるためと考えられる。
【0048】
また、従来法2は、処理水の硝酸濃度が5mg/L以下であり、従来法1よりも良い結果であったが、寿命が1か月と極端に短くなった。これは、水素供与体である高級脂肪酸を廃水中にそのまま投入して活性汚泥のみを包括固定化した固定化微生物担体で処理すると、脱窒以外の酸化分解反応で高級脂肪酸が分解されてしまい、脱窒反応に利用されにくく、利用されない高級脂肪酸が処理水に同伴されて流出してしまうためと考えられる。
【0049】
尚、本比較実験で本発明と従来法について、ポリ乳酸、ポリカプロラクタムでも行ったが、同様の結果であった。
(実施例2)
実施例2は、本発明の環境浄化方法を用いて、化学工場から排出されるアンモニア性窒素含有排水(原水)について窒素除去性能を試験したものである。
【0050】
試験装置は、図2に示した環境浄化装置を使用し、本発明の生分解性有機物を含有する3mm球形の固定化微生物担体(表5)を担体充填率10%になるように処理槽に充填し、原水を流入させて固定化微生物担体と接触させた後、固液分離槽で上澄液と沈降汚泥に固液分離した。処理槽における滞留時間を4時間にすると共に、処理槽内の溶存酸素濃度(DO濃度)が1mg/Lになるようにした。
【0051】
従来法は、生分解性有機物を含有しない固定化微生物担体を使用した以外は、本発明法と同様である。
【0052】
そして、本発明法、従来法のそれぞれについて、固液分離槽から越流する処理水のアンモニア性窒素(NH4 -N)、亜硝酸性窒素(NO2 -N)、硝酸性窒素(NO3 -N)、全窒素、BOD、浮遊物質の各濃度を測定して比較した。
【0053】
【表5】
【0054】
試験結果を表6に示す。
【0055】
【表6】
【0056】
表6に示すように、本発明法の環境浄化方法は、全窒素濃度23〜44(mg/L)の原水が、5 〜10(mg/L)の処理水になり、大幅に低減することができた。また、処理水中の亜硝酸性窒素が1(mg/L)以下、硝酸性窒素が5〜9(mg/L)であり、硝化反応により生成された亜硝酸性窒素や硝酸性窒素の脱窒反応が十分に進行していた。このことは、固定化微生物担体にポリカプロラクタムを含有させて水素供与体を確保し、且つ処理槽内を溶存酸素濃度(DO濃度)が1mg/L程度の弱い好気性条件にすることで、単一の処理槽で硝化反応と脱窒反応とを同時に生じさせて原水を効率的に処理することができることを示している。
【0057】
これに対し、従来法の処理水は、原水の全窒素濃度23〜44(mg/L)に対して処理水の全窒素濃度が21〜42であり、残存した全窒素の種類の大部分は硝酸性窒素であった。このことは、固定化微生物担体に生分解性有機物を含有しないで、脱窒の際の水素供与体が欠乏している状態では、硝酸性窒素から窒素ガスへの脱窒反応が進行しないことが分かる。
(実施例3)
実施例3は、本発明の環境浄化方法により、大気中の悪臭成分であるアンモニアの除去を行った試験であり、固定化微生物担体は、表5と同じ組成のものを使用した。
【0058】
試験装置は、図3に示す環境浄化装置を試験用に縮尺したものを使用した。即ち、直径5cm、高さ100cmの約2Lのカラム(処理塔)に、本発明の固定化微生物担体を充填率70%になるように充填して固定式ろ過層を形成し、アンモニアガスを含有する空気をカラムの下から通気させ、固定式ろ過層を通過させてからカラムの上端から排気する一方、散水管から固定式ろ過層に常時散水すると共に、散水された水が再び散水管に循環するようにした。このときのカラム内での空気滞留時間は2分とした。そして、カラムの下部から流入される流入ガス中のアンモニア濃度とカラムの上端から排気される排気ガスのアンモニア濃度を測定して、アンモニア除去率を求めると共に、循環水ピットの水のアンモニア性窒素濃度を測定した。
【0059】
その結果、本発明の環境浄化方法を用いることにより、大気中のアンモニアを99%の除去率で除去することができた。このとき、散水した水を固定式ろ過層に循環することにより、アンモニア性窒素の約70%以上脱窒することができた。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る固定化微生物担体及びそれを用いた環境浄化方法よれば、脱窒速度が速く、且つ脱窒反応の持続性が極めて長いので、脱窒に必要な炭素量を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】固定化微生物担体に含有される生分解性有機物の濃度と脱窒率の関係を説明するグラフ
【図2】本発明の環境浄化方法を適用する装置の例で、水を対象とした環境浄化装置の概念図
【図3】本発明の環境浄化方法を適用する装置の例で、水を対象とした別の環境浄化装置の概念図
【図4】本発明の環境浄化方法を適用する装置の例で、ガスを対象とした環境浄化装置の概念図
【符号の説明】
10、30、50…環境浄化装置、12、36、38、54…固定化微生物担体、14…処理槽、16、40…散気管、18、42…ブロア、20、46…固液分離槽、52…処理塔、56…固定式ろ過層、58…給気管、60…排気管、62…散水管、64…循環配管、66…循環水ピット、68…循環ポンプ、70…排水管
Claims (4)
- 微生物が分解する生分解性有機物である高級脂肪酸と、微生物とを、固定化材料で包括固定化したことを特徴とする固定化微生物担体。
- 前記生分解性有機物の粒径が5mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の固定化微生物担体。
- 前記生分解性有機物は、前記固定化微生物担体に対して2〜50重量%含有されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の固定化微生物担体。
- 請求項1〜3の何れか1の固定化微生物担体と、窒素成分を含有する水又は気体と接触させることにより、前記水又は気体から前記窒素成分の除去を行うことを特徴とする環境浄化方法。
Priority Applications (1)
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