JP4004269B2 - 両面同時パターン塗工材の製造方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は両面同時パターン塗工材の製造方法及び装置に関し、さらに詳しくは、特に張力等により簡単に変形する寸法安定性(形態保持性)が悪い基材の両面に同一形状の塗膜パターンを同時塗工する両面同時パターン塗工材の製造方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、張力等により簡単に変形しやすい寸法安定性(形態保持性)の良くない基材の表面に所定の塗膜パターンを塗工する場合、その基材を樹脂フィルム(離型フィルム)等の張力等で簡単には変形しない支持シートに片面を貼り付けた状態にして塗工作業を行っている。
【0003】
しかし、このような寸法不安定性の基材の両面に、同一形状の塗膜パターンを塗工しようとする場合には、従来の作業方法を使用する限りは、上記のように支持シートで基材を支持しても実施することは不可能である。すなわち、基材を支持シートに貼りつけた状態で片面の塗工を完了したのち、支持シートを剥離して表裏貼り替えようとすると、支持シートから基材を剥離したとき、剥離部の平面性が直ちに損なわれるため、それ以後の作業が実施不可能になるためである。
【0004】
つまり、通常の方法を使用する限り、寸法不安定性の特殊基材の両面に同一パターンを塗工することは実質的に不可能であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、寸法不安定性の基材の両面に任意の塗膜パターンを精度良く塗工可能にする両面同時パターン塗工材の製造方法及び装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の両面同時パターン塗工材の製造方法は、寸法不安定性の基材Mを保持させた基材支持シートに、塗膜Aを保持した第1支持シートを積層して前記寸法不安定性の基材Mに塗膜Aが対面する第1段階の積層シートを形成し、該積層シートから前記基材支持シートを剥離すると共に、その剥離後の表面に、塗膜Bを保持した第2支持シートを積層して、前記寸法不安定性の基材Mの反対側の面に前記塗膜Bが対面する第2段階の積層シートを形成し、該積層シートを塗膜パターン成形機構で挟圧して前記寸法不安定性の基材Mの両面に塗膜A,Bのパターンを同時圧着させることを特徴とするものである。
【0007】
また、本発明の両面同時パターン塗工材の製造装置は、寸法不安定性の基材Mを保持した基材支持シートの基材供給機構 (100)と、第1支持シートに塗膜Aを塗布する第1塗工機構 (200)と、第2支持シートに塗膜Bを塗布する第2塗工機構 (300)と、前記基材供給機構 (100)から送出した寸法不安定性の基材M付き基材支持シートに前記第1塗工機構 (200)から供給した塗膜A付き第1支持シートを寸法不安定性の基材Mと塗膜Aが対面するように積層する基材積層機構 (400)と、該基材積層機構(400) から送出した積層シートから前記基材支持シートを剥離する剥離機構 (405)と、該基材支持シート分離後の積層シートに前記第2塗工機構 (300)から供給した塗膜B付き第2支持シートを寸法不安定性の基材Mと塗膜Bが対面するように積層したのち該積層シートを挟圧して前記寸法不安定性の基材Mの両面に塗膜A,Bのパターンを同時圧着する塗膜パターン成形機構(500) とからなることを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明において寸法不安定性の基材とは、ロール等により搬送するときの張力により簡単に変形する寸法安定性(形態保持性)が良くない材料をいい、以下の説明では文字Mを以って表示する。このような寸法不安定性の基材Mとしては、例えば、極薄ポリエステルフィルム、極薄ポリプロピレンフィルム、極薄フッ素樹脂フィルム、極薄銅箔、極薄アルミニウム箔などを挙げることができる。
【0009】
また、基材の両面に塗工される塗膜は、塗工時は液状であるが、乾燥によって固相に変化するものをいう。例えば、接着剤、粘着剤、シーラント、塗料、顔料、炭素粉末、触媒剤などの材料を例示することができる。この塗膜が基材の表面に特定の形状をなすように圧着されたものを塗膜パターンという。
【0010】
両面同時パターン塗工材の製造工程或いは製品化後において、主として張力を支えるための補助材として使用される基材支持シート、第1支持シート、第2支持シート、製品支持シートは、基材に比べて搬送張力に対して簡単に変化せず、寸法安定性(形態安定性)を有するものであれば、特に材料の種類は限定されない。例えば、連続帯状の樹脂フィルム、紙、織物、不織布などを挙げることができる。これらの中でも特に樹脂フィルムが好ましい。
【0011】
また、支持シートは、一時的に基材、塗膜、或いはパターン塗工材を保持することを役割とし、その役割が終了した後は剥離させるものであるので、例えばシリコーン等の離型剤で表面処理されていることが好ましい。このように離型剤で処理されていることにより、基材や塗膜を損傷しないように貼り付けや剥離を円滑に行うことができる。
【0012】
以下、本発明を図面に示す実施形態を参照して説明する。
【0013】
図1は、本発明の両面同時パターン塗工材の製造方法を実施する装置の全体構成図である。パターン塗工材は、基材が極薄ポリエステルフィルム、塗膜Aが触媒剤、塗膜Bが触媒剤からなり、また基材支持シート、第1支持シート、第2支持シート、製品支持シートには、それぞれ樹脂フィルムが使用される場合について例示する。
【0014】
図1において、100は基材供給機構、200は第1塗工機構、300は第2塗工機構、400は基材積層機構、500は塗膜パターン成形機構、600は製品支持シート積層機構、700は製品巻取機構である。
【0015】
基材供給機構100は、寸法不安定性の基材Mを剥離可能に貼り付けた基材支持シート103をロール状に巻き上げて巻出装置1に回転可能に支持している。この巻出装置1から寸法不安定性の基材M付き基材支持シート103が一定長ずつ巻き出され、ガイドロール2を介して基材積層機構400に供給される。
【0016】
第1塗工機構200は、第1支持シート101をロール状に巻いて支持するシート供給機構3を上流側に設置し、そのシート供給機構3から第1支持シート101をガイドロール4を介して塗布機構5に供給する。塗布機構5は下端部にスリットダイを備え、塗液供給部6から供給された塗液をフィルム状の塗膜Aにして第1支持シート101の表面に塗工する。塗膜Aを塗工された第1支持シート101は、乾燥オーブン7を通過する間に塗膜Aが乾燥し、塗膜A付き支持シート102になる。塗膜A付き支持シート102は、ガイドロール8を介して基材積層機構400に供給される。乾燥オーブン7は、乾燥を必要としない場合には省略することができる。また、乾燥オーブン7の構成は特に限定されるものではなく、公知の乾燥手段がいずれも使用可能である。
【0017】
第2塗工機構300は、第1塗工機構200とほぼ同じ構成からなる。ロール状に巻かれた第2支持シート105を支持したシート供給機構9を上流側に設置し、そのシート供給機構9から第2支持シート105をガイドロール10を介して塗布機構11に供給する。塗布機構11は下端部にスリットダイを備え、塗液供給部12から塗液を第2支持シート105の表面にフィルム状の塗膜Bとして塗工する。
【0018】
塗膜Bが塗工された第2支持シート105は、乾燥オーブン13で塗膜Bを乾燥固化させ、塗膜B付き支持フィルム106になる。塗膜B付き支持フィルム106は、ガイドロール14および加熱ロール23,24介して塗膜パターン成形機構500に供給される。乾燥オーブン13は、第1塗工機構200と同様に乾燥を必要としない場合は省略することができる。また、乾燥オーブン13としては、公知の乾燥手段がいずれも使用可能であり、特に種類は限定されない。
【0019】
基材積層機構400は、モータで積極駆動される加熱ロール15と回動自在な弾性ニップロール16からなる。弾性ニップロール16は、図示しない流体シリンダ等の加圧機構により加熱ロール15に対して圧接されるようになっている。弾性ニップロール16は、ゴム、弾性樹脂などから構成されている。
【0020】
基材積層機構400は、第1塗工機構200で形成された塗膜A付き支持シート102と、基材供給機構100から巻き出された寸法不安定性の基材M付き基材支持シート103とを加熱ロール15と弾性ニップロール16との間に挟圧して積層し、第1段階の積層シートにする。このときの積層シートは、塗膜A付き支持シート102の塗膜Aと寸法不安定性の基材M付き基材支持シート103の寸法不安定性の基材Mとを直接対面させるようにして、圧着形成される。
【0021】
基材積層機構400で形成された積層シートは、その出口側において、剥離バー17とガイドロール18とシート巻取機構19とからなる剥離機構405により、支持シート103が剥離される。剥離バー17で剥離された支持シート103は、ガイドロール18を介してシート巻取機構19に巻き取られる。
【0022】
支持シート103が剥離された後の積層シート104は、塗膜A付き支持シート102の塗膜Aの表面に寸法不安定性の基材Mを接合するように構成されている。この積層シート104は、ガイドローラ20,21,22を経由して加熱ローラ24に至り、この加熱ローラ24において、第2塗工機構300から供給される塗膜B付き支持シート106を積層し、一体になって塗膜パターン成形機構500に供給される。このときの積層は、積層シート104の寸法不安定性の基材Mと塗膜B付き支持シート106の塗膜Bとが対面するように行われる。したがって、寸法不安定性の基材Mを挟んで両側に塗膜AとBが配置された関係になっている。また、塗膜B付き支持シート106は、加熱ローラ24で積層シート104に積層されるとき、その直前で加熱ローラ23により予備加熱されるようになっている。
【0023】
塗膜パターン成形機構500は、パターン刻印ロール25と加熱弾性ニップロール26とから構成され、かつ加熱弾性ニップロール26は図示しない流体シリンダ等の加圧機構によりパターン刻印ロール25に向け圧接されている。パターン刻印ロール25は加熱ロールからなり、また加熱弾性ニップロール26はゴム、弾性樹脂などから構成されている。パターン刻印ロール25と加熱弾性ニップロール26とは、共にモータ駆動されるようになっている。
【0024】
塗膜パターン成形機構500では、積層シート104の寸法不安定性の基材Mと塗膜B付き支持シート106の塗膜Bとが直接対面し、寸法不安定性の基材Mの両側に塗膜AとBとが配置された積層状態で、パターン刻印ロール25と加熱弾性ニップロール26との間に挟圧される。この挟圧により、パターン刻印ロール25のパターン部(図示の例ではドーナツ状パターン)が、寸法不安定性の基材Mの両側の塗膜AとBを同パターン部と同じドーナツ形状になるように寸法不安定性の基材Mに圧着させる。したがって、塗膜パターン成形機構500から送り出された第2段階の積層シートが、剥離機構505の剥離バー27で第2支持シート105を剥離されるとき、パターン部で圧着された以外の塗膜Bが第2支持シート105に残った状態になって剥離される。
【0025】
剥離機構505は、剥離バー27とガイドロール28とシート巻取機構29から構成されているので、上記のように剥離バー27で剥離された第2支持シート105は、圧着パターン部以外の塗膜Bと共にガイドロール28を介してシート巻取機構29に巻き上げられる。他方、第2支持シート105が分離された残りの積層シート108は、パターン成形済み中間製品として、ガイドロール30,31,32を経て製品支持シート積層機構600に供給される。
【0026】
製品支持シート積層機構600は、モータで駆動される金属ロール36と回動自在な弾性ニップロール37からなる。また、弾性ニップロール37は、図示しないが流体シリンダ等の加圧機構により金属ロール36に向け圧接されている。製品支持シート積層機構600の上流側には製品支持シート109のシート供給機構33が設置され、このシート供給機構33から製品支持シート109がガイドロール34と加熱ロール35を介して製品支持シート積層機構600に供給されるようになっている。また、加熱ロール35はモータで積極駆動されるようになっている。
【0027】
製品支持シート積層機構600では、上記パターン成形済み中間製品の積層シート108の塗膜Bパターン側に製品支持シート109を圧着して積層シート110を形成する。この積層シート110からは、製品支持シート積層機構600の出口側に設けた剥離機構605により、第1支持シート101が剥離される。剥離機構605は剥離バー38とガイドロール39とシート巻取機構40とから構成されている。剥離バー38で剥離される第1支持シート101には、塗膜パターン成形機構500で圧着されたパターン部以外の塗膜Aが付着していて、この付着した塗膜Aと共にガイドロール39を経てシート巻取機構40に巻き取られる。
【0028】
最後に残された積層シートは、寸法不安定性の基材Mの両面に塗膜パターン成形機構500で圧着されたパターン部と同パターンの塗膜A,Bを同じ対応位置に圧着した両面パターン成形品111を製品支持シート109に支持された状態になってシート巻取機機構42からなる製品巻取機構700に巻き取られる。
【0029】
以下、寸法不安定性の寸法不安定性の基材Mに塗膜A,Bの両面同時パターン塗工を行う一連の工程を図1〜図8を参照して説明する。
【0030】
先ず、シート供給機構3から第1支持シート101をガイドロール4を経て第1塗工機構200に供給し、その第1塗工機構200の塗布機構5で、図2及び図3に示すように、塗液供給機構6から供給された塗液を第1支持シート101の表面に塗布して塗膜Aを形成する。このときの塗膜Aの幅としては、後述する塗膜パターン成形機構500で成形するパターンより少し大きめの幅にする。次いで、第1支持シート101を乾燥オーブン7に通して塗膜Aを乾燥させ、塗膜A付き支持シート102にし、ガイドロール8を経て基材積層機構400へ供給する。
【0031】
一方、基材供給機構100からは、寸法不安定性の基材Mを支持した支持シート103をガイドロール2を経て同じく基材積層機構400へ供給する。基材積層機構400には、寸法不安定性の基材M付きの支持シート103と塗膜A付き支持シート102とが、図4に示すように双方の寸法不安定性の基材Mと塗膜Aとが直接接触するように供給され、互いに圧着積層される。このとき基材積層機構400の加熱ロール15は、塗膜A付き支持シート102に対して熱を与えることにより良好な圧着効果を与えることができる。ただし、塗膜Aの性状により常温でも圧着可能な場合には加熱を省略することができる。
【0032】
基材積層機構400で形成された積層シートは、その下流に設けた剥離機構405の剥離バー17により、寸法不安定性の基材Mを支持していた支持シート103だけを剥離し、ガイドロール18を経てシート巻取機構19に巻き取らせる。一方、支持フィルム103が剥離された後の積層シート104は、塗膜A付き支持シート102の塗膜Aに寸法不安定性の基材Mを圧着させた状態になり、ガイドロール20、21、22を経て加熱ロール24に至り、この加熱ロール24で、第2塗布機構300から供給される塗膜B付き支持シート106を積層して塗膜パターン成形機構500へ供給される。
【0033】
第2塗工機構300では、シート供給機構9から第2支持シート105を塗布機構11に供給し、その第2支持シート105の片面に、図2及び図3に示すように塗膜Bを形成する。塗膜Bが塗布された第2支持シート105は、乾燥オーブン13で塗膜Bが乾燥されて塗膜B付き支持フィルム106になり、ガイドロール14を経て加熱ロール23によって予備加熱され、加熱ロール24で積層シート104が積層され、その積層状態で塗膜パターン成形機構500に供給される。
【0034】
加熱ロール23と加熱ロール24とは、第1支持シート101や第2支持シート105の性状によっては、そのいずれか一方或いは両方を省略することができる。また、塗膜B付き支持シート106の塗膜Bの加熱、或いは積層シート104の寸法不安定性の基材Mの加熱を直接加熱にした方が良い場合には、加熱ロール23,24の代わりに、その反対面にラジエーションヒーター等を設けて非接触加熱にすることができる。
【0035】
塗膜パターン成形機構500に積層状態で供給する積層シート104と塗膜B付き支持シート106とは、図5に示すように、積層シート104の寸法不安定性の基材Mと塗膜B付き支持シート106の塗膜Bとを直接接触させた状態にしてあり、塗膜パターン成形機構500を通過するときに、加熱されたパターン刻印ロール25と加熱ゴムロール26との間に挟まれて圧接される。この挟圧により、積層シート104内の寸法不安定性の基材Mを挟んで片側の塗膜Aと反対側の塗膜Bとが所定のパターン部(図ではドーナツ状パターン部)で同時に寸法不安定性の基材Mに加熱圧着される。
【0036】
このように寸法不安定性の基材Mの片面に塗膜Aが、反対面に塗膜Bが所定のパターン形状に圧着されると、次の段階で剥離バー27により第2支持シート105が剥離され、ガイドロール28を経てシート巻取機構29に巻き取られる。このときの第2支持シート105は、寸法不安定性の基材Mに所定パターン形状(ドーナツ状パターン形状)に圧着された塗膜B以外の塗膜Bが残った状態で付着している。(図7参照)一方、第2支持シート105が剥離された後の積層シート108は、寸法不安定性の基材Mに塗膜Bのパターンが成形されたパターン成形済み中間製品として、ガイドロール30、31、32を経て製品支持シート積層機構600へ供給される。
【0037】
積層シート108(パターン成形済み中間製品)から第1支持シート101を剥離すると、その剥離と同時に寸法不安定性の基材Mの寸法が変動して製品の寸法精度を維持できなくなる。製品支持シート積層機構600は、これを防止するためのもので、第1支持シート101を剥離する前にその反対面に製品支持シート109を圧着して製品の寸法精度を維持するのである。この製品支持シート109は、製品支持シート積層機構600の上流に設けたシート供給機構33からガイドロール34、加熱ロール35を経て製品支持シート積層機構600に供給されるようになっている。
【0038】
図8に示されるように、製品支持シート積層機構600に供給される製品支持シート109は、積層シート108の塗膜Bのパターン面に圧着される。製品支持シート109が積層されると、次いで剥離機構605の剥離バー38により積層シート108から第1支持シート101が剥離され、その第1支持シート101はガイドロール39を経てシート巻取機構40に巻き取られる。このときの第1支持シート101には、寸法不安定性の基材Mに所定パターン形状で圧着された塗膜A以外の塗膜Aが残った状態で付着している。(図7参照)一方、第1支持シート101が剥離された後の積層シート108は、寸法不安定性の基材Mの両面に所定パターンの塗膜A,Bを塗工した両面パターン塗工材111となって、片面に製品支持シート109を圧着した状態でガイドロール41を経て製品巻取機構700のシート巻取機42に巻き取られる。巻き取られた両面パターン塗工材111は、片面に製品支持シート109を圧着していることにより、寸法不安定性の基材Mの寸法安定性が良好な状態に維持される。
【0039】
なお、上述した実施形態では、塗膜パターン成形機構500で成形後のパターン成形済み中間製品108から第1支持シート101と第2支持シート105を剥離し、改めて製品支持シート109を貼り付けるようにした場合を例示したが、上記パターン成形済み中間製品108をそのまま製品巻取機構に巻き取るようにし、巻き戻して両面パターン塗工材111を使用する時に、第1支持シート101と第2支持シート105とを剥離するようにしてもよい。
【0040】
上述した本発明によれば、基材供給機構から製品巻取機構に至るまで、どの時点においても基材が支持シートに保持されるようにしたので、寸法不安定性の基材の両面に任意パターン形状の塗膜を寸法精度良く塗工することができる。
【0041】
また、実施形態に示すように、塗工すべき塗液を予め支持シートに塗布し乾燥しておくようにすれば、基材への塗工に伴う溶剤や熱の影響を基材に与えることがない。また、基材積層機構では、寸法不安定性の基材Mを塗膜A付き支持シートの塗膜Aに精度良く圧着できるので、支持シートを剥離しても寸法不安定性の基材Mの寸法安定性を損なわれないようにすることができる。さらに、塗膜パターン成形機構において、塗膜Aと寸法不安定性の基材Mおよび塗膜Bはそれぞれの支持シートに固定された状態で1回のパターン成形で圧着されるため、塗膜Aと塗膜Bとが同一形状に精度良く形成され、基材Mの寸法安定性も損なわれない。
【0042】
最終工程で巻き上げられた両面パターン塗工材に製品支持シートを圧着した場合には、製品として巻き取った状態でも寸法不安定性の基材Mの寸法安定性を損なわれないようにすることができる。
【0043】
【発明の効果】
本発明によれば、基材供給機構から製品巻取機構に至るまで、どの時点においても基材が支持シートに保持されるようにしたので、寸法不安定性の基材の両面に任意パターン形状の塗膜を寸法精度良く塗工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の両面同時パターン塗工材の製造方法の一例を示す工程図である。
【図2】本発明における第1塗工機構及び第2塗工機構の機能を示す説明図である。
【図3】図2で塗膜が塗布される支持シートを例示する平面図である。
【図4】本発明における基材積層機構の機能を示す説明図である。
【図5】本発明における塗膜パターン成形機構の機能を示す説明図である。
【図6】図5、図8におけるX矢視図及びX’矢視図である。
【図7】図5、図8におけるY矢視図及びY’矢視図である。
【図8】本発明における製品支持シート積層機構の機能を示す説明図である。
【符号の説明】
1,3,9,33 シート供給機構
5,11 塗布機構
6,12 塗液供給機構
17,27,38 剥離バー
19,29,40 シート巻取機構
25 パターン刻印ロール
26 加熱弾性ニップロール
42 製品巻取機
100 基材供給機構
200 第1塗工機構
300 第2塗工機構
400 基材積層機構
500 塗膜パターン成形機構
600 製品支持シート積層機構
700 製品巻取機構
405,505,605 剥離機構
M 基材
A,B 塗膜
Claims (8)
- 寸法不安定性の基材Mを保持させた基材支持シートに、塗膜Aを保持した第1支持シートを積層して前記寸法不安定性の基材Mに塗膜Aが対面する第1段階の積層シートを形成し、該積層シートから前記基材支持シートを剥離すると共に、その剥離後の表面に、塗膜Bを保持した第2支持シートを積層して、前記寸法不安定性の基材Mの反対側の面に前記塗膜Bが対面する第2段階の積層シートを形成し、該積層シートを塗膜パターン成形機構で挟圧して前記寸法不安定性の基材Mの両面に塗膜A,Bのパターンを同時圧着させる両面同時パターン塗工材の製造方法。
- 前記塗膜パターン成形機構をパターン刻印ロールと加熱弾性ニップロールとを対設させて構成した請求項2に記載の両面同時パターン塗工材の製造方法。
- 前記塗膜パターン成形機構で成形後の積層シートから、前記第1支持シートと第2支持シートを剥離すると共に、新たに製品支持シートを積層する請求項1または2に記載の両面同時パターン塗工材の製造方法。
- 前記基材支持シート、第1支持シート及び第2支持シートがそれぞれ樹脂フィルムからなる請求項1,2または3に記載の両面同時パターン塗工材の製造方法。
- 前記製品支持シートが樹脂フィルムからなる請求項1〜4のいずれかに記載の両面同時パターン塗工材の製造方法。
- 寸法不安定性の基材Mを保持した基材支持シートの基材供給機構 (100)と、第1支持シートに塗膜Aを塗布する第1塗工機構 (200)と、第2支持シートに塗膜Bを塗布する第2塗工機構 (300)と、前記基材供給機構 (100)から送出した寸法不安定性の基材M付き基材支持シートに前記第1塗工機構 (200)から供給した塗膜A付き第1支持シートを寸法不安定性の基材Mと塗膜Aが対面するように積層する基材積層機構 (400)と、該基材積層機構(400) から送出した積層シートから前記基材支持シートを剥離する剥離機構 (405)と、該基材支持シート分離後の積層シートに前記第2塗工機構(300)から供給した塗膜B付き第2支持シートを寸法不安定性の基材Mと塗膜Bが対面するように積層したのち該積層シートを挟圧して前記寸法不安定性の基材Mの両面に塗膜A,Bのパターンを同時圧着する塗膜パターン成形機構(500) とからなる両面同時パターン塗工材の製造装置。
- 前記塗膜パターン成形機構(500) をパターン刻印ロールと加熱弾性ニップロールとを対設させて構成した請求項6に記載の両面同時パターン塗工材の製造装置。
- 前記塗膜パターン成形機構(500) の後工程に、パターン成形後の積層シートから前記第2支持シートを剥離する剥離機構 (505)と、前記第1支持シートを剥離する剥離機構 (605)と、前記積層シートに製品支持シートを積層する製品支持シート積層機構 (600)とを配置した請求項6または7に記載の両面同時パターン塗工材の製造装置。
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