JP4094185B2 - 冷熱利用発電システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、液化天然ガス(以下、LNGと称する)の保有している冷熱を有効に利用して発電を行う冷熱利用発電システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
LNGが保有している冷熱は、莫大であるにもかかわらず、LNGのガス化に海水が用いられているため、LNGの液化エネルギーの大半が海に捨てられているのが現状である。LNGの冷熱利用は、約25%程度に過ぎない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
LNGの冷熱を利用する方法としては、空気の深冷分離、冷熱発電、低温破砕などがあるが、中でも、冷熱発電が最も有効な方法であると思われる。
【0004】
しかしながら、従来の冷熱発電は、旧来のランキンサイクル方式を利用したものであるから効率が悪く、処理するLNGに比べて出力が低い。
【0005】
本発明の目的は、従来の問題を解消し、LNGの冷熱を有効に利用して高効率の発電が可能である冷熱利用発電システムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明にかかる冷熱利用発電システムは、作業流体である高圧の二酸化炭素、蒸気及び酸素の存在下で燃料を燃焼させる燃焼器と、該燃焼器で生じた高温高圧の燃焼ガスを動力源とするガスタービンと、該ガスタービンにより駆動される発電機と、前記ガスタービンの排ガスから廃熱を回収する廃熱ボイラと、該廃熱ボイラを経たガスタービン排ガス中から二酸化炭素を分離すると同時に低温高圧の包接化合物を分解させる凝縮器と、該凝縮器で分離された二酸化炭素を昇圧するコンプレッサと、該コンプレッサで昇圧された二酸化炭素と液化天然ガスとを熱交換させて液化天然ガスをガス化させると同時に昇圧された二酸化炭素を0℃以下に冷却する気化器と、該気化器で冷却された二酸化炭素と純水及び溶媒を混合反応させて生成した包接化合物を蓄える貯蔵タンクと、該貯蔵タンクに蓄えられている包接化合物をガスタービンの要求圧まで昇圧するポンプにより閉ループサイクルを形成して成ることを特徴としている。
【0007】
本発明によれば、コンプレッサによって昇圧された二酸化炭素とLNGとを気化器にて熱交換させてLNGをガス化させる一方、LNGの冷熱を利用して二酸化炭素を0℃以下に冷却する。そして、0℃以下に冷却された二酸化炭素と純水及び溶媒を混合させてハイドレート又はクラスレート(以下、包接化合物と称する)を生成させる。貯蔵タンクに蓄えられた包接化合物は、ポンプによってガスタービンの要求圧まで昇圧されたのち、凝縮器を通過する間にガスタービンの排ガスと熱交換してガスタービン排ガス中の二酸化炭素を分離する一方、自分自身も分解し、作業流体ガス、即ち、高圧の二酸化炭素及び蒸気となって燃焼器に供給される。
【0008】
更に説明すると、液化天然ガス(LNG)の冷熱によって0℃以下に冷却された二酸化炭素と純水との混合時に純水の製氷現象が優先され、包接化合物の生成が困難な場合がある。純水中に、ある種の溶媒、例えば、アルコールやアルコール類などを混合すると、純水の氷結がなく、選択的に包接化合物を生成することが可能であるため、上記溶媒を同時に混合させる。溶媒は、比重差を利用して包接化合物から分離可能であるから循環して使用される。
【0009】
一方、ガスタービンの高温部分、例えば、タービン翼列に、燃焼器に供給する作動流体(二酸化炭素及び蒸気)の一部を導入することにより、ガスタービンの高温部分を冷却することができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は本発明の冷熱利用発電システムの概略図であり、本システムは、燃焼器1と、ガスタービン2と、廃熱ボイラ3と、凝縮器4と、コンプレッサ5と、気化器6と、貯蔵タンク7と、ポンプ8により、閉ループサイクル9を形成している。そして、作業流体である二酸化炭素(CO2 )が、上記閉ループサイクル9を循環するようになっている。
【0012】
上記燃焼器1は、液化天然ガス(LNG)を燃料cとしており、これに極力理論空気量に相当する量の純酸素(O2 )bを供給して燃焼させている。燃焼器1で生じた高温高圧の燃焼ガスdは、ガスタービン2に導入され、発電機10を駆動する動力源になっている。
【0013】
上記ガスタービン2から排出された排ガスeは、廃熱回収する廃熱ボイラ3を経て凝縮器4に導入される。凝縮器4は、ポンプ8によって昇圧された0℃以下の二酸化炭素ハイドレート又はクラスレート(以下、包接化合物と称する)hを利用して排ガスe中の蒸気(H2 O)を凝集し、除去するようになっている。
【0014】
蒸気(H2 O)を分離したガス状の二酸化炭素(CO2 )gは、作業流体として閉ループサイクル9に戻されるが、燃焼の際に生じた余分な二酸化炭素などは、排気fとして大気中に放出される。
【0015】
ガス状の二酸化炭素(CO2 )gは、コンプレッサ5によって昇圧(2atm)されたのち、気化器6に導入される。そして、液化天然ガス(LNG)jと熱交換して液化天然ガス(LNG)jをガス化させる一方、自分自身も0℃以下、即ち、マイナス45℃に冷却される。
【0016】
LNGによってマイナス45℃に冷却されたガス状の二酸化炭素gは、純水(H2 O)w、およびアルコールやアルコール類などの溶媒iと一緒に図示しないノズルから貯蔵タンク7内に噴出され、包接化合物hを選択的に生成する。貯蔵タンク7に貯蔵された包接化合物hは、ポンプ8によってガスタービン2の要求圧まで昇圧されたのち、凝縮器4に供給される。そして、ガスタービン2の排ガスeと熱交換して分解されたのち、高圧の作業流体ガス(二酸化炭素及び蒸気)aとして燃焼器1に供給される。
【0017】
溶媒iの一部は、比重差を利用して包接化合物hから分離され、ポンプ15を有する循環ライン16を経て図示しないノズルに戻される。水槽11には、純水w及び溶媒iが補給されるようになっている。
【0018】
一方、ガスタービン2の高温部分、例えば、タービン翼(図示せず)の部分は、燃焼器1の手前で配管12から分岐した分岐管13を経て供給される高圧の作業流体ガス(二酸化炭素及び蒸気)aによって冷却されるようになっている。また、廃熱ボイラ3は、起動用バーナー14を備えている。
【0019】
一般に、純酸素(O2 )の製造に要する原単価は高いが、LNGが保有している冷熱を利用した深冷分離法を利用すると、比較的安価に純酸素(O2 )を製造することができる。
【0020】
【実施例】
(実施例)
本発明の発電効率と、通常のガスタービン発電(以下、通常のGT発電と称する)の発電効率を「表1」に示す。この「表1」から本発明の方が通常のGT発電より発電効率が格段に高いことが分かる。
【0021】
なお、発電出力は、いずれも、24,000kWに設定した。また、「表1」中、※1は、残存酸素が3.6%有り、また、※2は、深冷分離法による酸素製造時の製造動力を差し引いた後の発電効率を示している。
【0022】
【表1】
【0023】
【発明の効果】
上記のように、本発明は、作業流体である高圧の二酸化炭素、蒸気及び酸素の存在下で燃料を燃焼させる燃焼器と、該燃焼器で生じた高温高圧の燃焼ガスを動力源とするガスタービンと、該ガスタービンにより駆動される発電機と、前記ガスタービンの排ガスから廃熱を回収する廃熱ボイラと、該廃熱ボイラを経たガスタービン排ガス中から二酸化炭素を分離すると同時に低温高圧の包接化合物を分解させる凝縮器と、該凝縮器で分離された二酸化炭素を昇圧するコンプレッサと、該コンプレッサで昇圧された二酸化炭素と液化天然ガスとを熱交換させて液化天然ガスをガス化させると同時に昇圧された二酸化炭素を0℃以下に冷却する気化器と、該気化器で冷却された二酸化炭素と純水及び溶媒を混合反応させて生成した包接化合物を蓄える貯蔵タンクと、該貯蔵タンクに蓄えられている包接化合物をガスタービンの要求圧まで昇圧するポンプにより閉ループサイクルを形成させたので、次のような優れた効果を有する。
【0024】
すなわち、
▲1▼ LNGの冷熱を有効に利用することにより、従来、海に捨てられていたLNGの液化エネルギーの一部を電力として高効率で回収することが可能になった。
【0025】
▲2▼ 作業流体である二酸化炭素に付与する純水中にアルコールやアルコール類などの溶媒を混合させることにより、純水の製氷現象を抑制することが可能になり、安定した運転が可能になった。
【0026】
▲3▼ 燃焼に必要な酸素濃度を任意に制御できるため、燃焼排ガス中の酸素濃度を少なくでき、NOxなどの削減にも寄与することが可能である。
【0027】
▲4▼ 通常の空気圧縮機が不要であり、既存のガスタービンよりコスト的に安価である。
【0028】
▲5▼ 凝縮器の作業流体(非凝縮ガス)の分圧を増大することができ、凝縮器をコンパクト化することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る冷熱利用発電システムの系統図である。
【符号の説明】
1 燃焼器
2 ガスタービン
3 廃熱ボイラ
4 凝縮器
5 コンプレッサ
6 気化器
7 貯蔵タンク
8 ポンプ
9 閉ループサイクル
10 発電機
b 酸素
c 燃料
d 燃焼ガス
e ガスタービン排ガス
g 二酸化炭素
h 包接化合物
i 溶媒
j 液化天然ガス
w 純水
Claims (2)
- 作業流体である高圧の二酸化炭素、蒸気及び酸素の存在下で燃料を燃焼させる燃焼器と、該燃焼器で生じた高温高圧の燃焼ガスを動力源とするガスタービンと、該ガスタービンにより駆動される発電機と、前記ガスタービンの排ガスから廃熱を回収する廃熱ボイラと、該廃熱ボイラを経たガスタービン排ガス中から二酸化炭素を分離すると同時に低温高圧の包接化合物を分解させる凝縮器と、該凝縮器で分離された二酸化炭素を昇圧するコンプレッサと、該コンプレッサで昇圧された二酸化炭素と液化天然ガスとを熱交換させて液化天然ガスをガス化させると同時に昇圧された二酸化炭素を0℃以下に冷却する気化器と、該気化器で冷却された二酸化炭素と純水及び溶媒を混合反応させて生成した包接化合物を蓄える貯蔵タンクと、該貯蔵タンクに蓄えられている包接化合物をガスタービンの要求圧まで昇圧するポンプにより閉ループサイクルを形成して成る冷熱利用発電システム。
- 前記燃焼器の上流で分枝した作業流体の一部によりタービン翼列を冷却することを特徴とする請求項1記載の冷熱利用発電システム。
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