JP4090249B2 - エレベーター用返し車装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、昇降路内に架設された支持梁に設けられて、張設された主索が逆U字状部を形成して巻掛けられるエレベーター用返し車装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
図6及び図7は、例えば特開2001−199659号公報に示された従来のエレベーター用返し車装置を示す図で、図6は返し車の固定的支持状態を示す昇降路の要部縦断面図、図7は図6における返し車を弾性支持に改修した状態を示す図6相当図である。図6において、1はエレベーターの昇降路、2は昇降路1に互いに水平方向に離れて立設された案内レール、3はそれぞれの案内レール2の上端寄りに設けられた支持台である。
【0003】
4は支持台3に載置されて昇降路1内に架設された支持梁、5は支持梁4の上面に設けられた取付台、6は取付台5に車軸が係合された返し車、7は張設されたエレベーターの主索で、返し車6に巻掛けられて逆U字状部を形成してエレベーターの昇降体(図示しない)を吊持する。また、図6における高さHは支持台3の上面から返し車6のケース上面までの高さである。
【0004】
また、図7において、図6と同符号は相当部分を示し、8は支持台3と支持梁4の間に介装された防振ゴムからなる防振体である。
また、図7における高さAは防振体8の高さ、高さH+Aは支持台3の上面から返し車6のケース上面までの高さである。
【0005】
従来のエレベーター用返し車装置は上記のように構成され、図6において、返し車6が支持台3に対して固定的に装着される。また、図7において、支持梁4が防振体8によって支持台3に対して弾性支持されて、返し車6の回転による振動が支持台3、案内レール2に伝わらないようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来のエレベーター用返し車装置において、エレベーターの設置当初では返し車6が取付台5、支持梁4、支持台3、案内レール2に対して固定的に装備される。そして、返し車6の回転による振動が昇降路1、すなわちエレベーターが設置された建物に伝播する不具合が発生した場合に、図7に示すように支持梁4が防振体8によって支持台3に対して弾性支持されて、返し車6の回転による振動の建物への伝播を防ぐ改修工事が行われることがある。
【0007】
このような改修工事において、返し車6の固定支持による図6に示す高さHが、返し車6の弾性支持構造では図7に示す高さH+Aに増加する。このため、昇降路1の頂部に構造物(図示しない)がある場合には、返し車6のケース上面が構造物に当たるため改修工事ができなくなるという問題点があった。
また、返し車6の設置位置が上方に変位するので、主索7の長さを対応させる手数が掛かることになる。
【0008】
この発明は、かかる問題点を解消するためになされたものであり、昇降路に固定的に支持された返し車の弾性支持改修工事が容易にできるエレベーター用返し車装置を得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るエレベーター用返し車装置においては、エレベーターの昇降路内に架設された支持梁と、張設された上記エレベーターの主索が巻掛けられて逆U字状部を形成する返し車と、高さ方向の一面に第一面が形成され上記一面に対向した他面に第二面が形成されて、上記返し車の車軸が上記第一面寄りに係合され、上記返し車の固定的支持状態において上記第二面が上記支持梁に締結された取付台と、上記返し車の弾性支持改修時に装備されて、上記支持梁と上下反転して配置された上記取付台の第一面との間に介装される複数の防振体とを備えたエレベーター用返し車装置であって、上記複数の防振体を予め座板に締結し、上記座板を上記支持梁に締結される。
【0012】
また、この発明に係るエレベーター用返し車装置においては、取付台の第一面に空隙を形成して挿通されて座板及び支持梁の上辺に挿通されたボルト、このボルトにねじ込まれて第一面と座板の間に配置された第一ナット及び第二ナット並びにボルトにねじ込まれて支持梁の上辺の下側に配置された第三ナットによって構成された過変位阻止手段を兼ねた締結手段が設けられる。
【0013】
また、この発明に係るエレベーター用返し車装置においては、締結手段のボルトの頭部と第一ナットとによって取付台の第一面を挟圧して、座板及び支持梁に対して取付台を固定的に締結した締結手段が設けられる。
【0014】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1〜図5は、この発明の実施の形態の一例を示す図で、図1は返し車の固定的支持状態を示す図であり、前述の図6の要部拡大図に相当する図、図2は図1の平面図、図3は図1における返し車を弾性支持した状態を示す図で、前述の図7の要部拡大図に相当する図、図4は図3の平面図、図5は図3の返し車の輸送時の状態を示す図である。なお、図1〜図5の他は前述の図6又は図7と同様にエレベーターが構成されている。
【0015】
図1及び図2において、101は昇降路1の壁、4は支持台3に載置されて昇降路1内に架設された支持梁、9は取付台で、高さ方向の一面に第一面10が形成され上記一面に対向した他面に第二面11が形成されて、返し車12の車軸13が第一面10寄りに係合され、返し車12の固定的支持状態において第二面11が支持梁4の上面に対面して配置されている。
【0016】
14は取付台9の第二面11及び支持梁4の上面に挿通されたボルト並びにボルトの挿通端にねじ込まれたナットからなる締結具、15は返し車12の車軸13を取付台9に締結したリングナットである。高さJは支持梁4の下面から返し車12の上端までの高さである。
【0017】
また、図3〜図5において、図1と同符号は相当部分を示し、16は支持梁4の上面に載置された座板、17は座板16と上下反転して配置された取付台9の第一面10との間に介装された防振ゴムからなる防振体、18は防振体17の下部を座板16に締結するボルトからなる下締結具、19は防振体17の上部を取付台9の第一面10に締結するボルト及びナットからなる上締結具である。なお、座板16には複数の防振体17がそれぞれ下締結具18によって締結されている。
【0018】
20は過変位阻止手段を兼ねた締結手段で、取付台9の第一面10に空隙を形成して挿通されて座板16及び支持梁4の上辺に挿通されたボルト21、ボルト21にねじ込まれて第一面10と座板16の間に配置された第一ナット22及び第二ナット23並びにボルト21にねじ込まれて支持梁4の上辺の下側に配置された第三ナット24によって構成されている。
【0019】
上記のように構成されたエレベーター用返し車装置において、エレベーターの設置当初では返し車12が取付台9、支持梁4、前述の支持台3、前述の案内レール2に対して固定的に装備される。そして、返し車6の回転による振動が昇降路1、すなわちエレベーターが設置された建物に伝播する不具合が発生した場合に、次に述べるような建物への伝播を防ぐ改修工事が行われる。
【0020】
すなわち、図3及び図4に示すように取付台9が上下反転して配置されて、取付台9の第一面10と支持梁4上の座板16との間に防振体17が介装される。これにより、取付台9、すなわち返し車12が防振体17によって支持梁4に対して弾性支持されて、返し車12の回転による振動が支持梁4、前述の支持台3、前述の案内レール2に伝わらないようになる。このようにして返し車12の回転による振動の建物への伝播を防ぐ改修工事が行われる。
【0021】
このような改修工事において、支持梁4の下面から返し車12の上端までの高さJが、返し車12の支持梁4に対する固定的な装備状態における値と、返し車12の支持梁4に対する弾性支持状態における値との差異が生じない。このため、昇降路1内の頂部に構造物(図示しない)がある場合であっても、返し車12の上端が構造物に当たることはなく、容易に改修工事を行うことができる。また、返し車12の固定的な装備状態と弾性支持状態における返し車12の上端までの高さJに差異が生じないので、主索7の長さを対応させる手数を省くことができる。
【0022】
また、返し車12の車軸13が取付台9に対してリングナット15によって締結されている。これにより、取付台9を支持梁4に対して上下反転して配置した場合であっても、取付台9及び車軸13における荷重支持状態が変化することがない。このため、正常に荷重を支持することができ、また返し車12を取付台9に強固に装着することができる。
【0023】
また、図4に示すように水平投影面において返し車12の側面に接近して昇降路1壁101が配置された場合には、防振体17の下締結具18、上締結具19が締め付け難くなる。しかし、座板16を支持梁4に締結する前に防振体17をそれぞれ座板16に締結することによって、返し車12の側面に接近して昇降路1壁101が形成されたときであっても防振体17を正常状態に容易に装着することができる。
【0024】
また、図3に示すように締結手段20のボルト21を座板16及び支持梁4の上辺に挿通し、第二ナット23及び第三ナット24により座板16及び支持梁4を挟圧して、ボルト21、座板16及び支持梁4が一体的に締結される。したがって、防振体17に対する過荷重を防ぐ過変位阻止手段20のための部品点数、また座板16、支持梁4等を締結するための部品点数が減少するので安価に製作できると共に、据付費を低減することができる。
【0025】
また、返し車12の輸送時は図5に示すように締結手段20のボルト21の頭部と第一ナット22とによって、取付台9の第一面10を挟圧してボルト21に対して取付台9が固定的に締結される。これによって、返し車12の輸送時の過大な振動が防振体17に作用して、防振体17の所要の機能が損なわれる不具合を未然に防止することができ、またこのような保護作用を少ない費用によって得ることができる。
【0030】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、エレベーターの昇降路内に架設された支持梁と、張設された上記エレベーターの主索が巻掛けられて逆U字状部を形成する返し車と、高さ方向の一面に第一面が形成され上記一面に対向した他面に第二面が形成されて、上記返し車の車軸が上記第一面寄りに係合され、上記返し車の固定的支持状態において上記第二面が上記支持梁に締結された取付台と、上記返し車の弾性支持改修時に装備されて、上記支持梁と上下反転して配置された上記取付台の第一面との間に介装される複数の防振体とを備えたエレベーター用返し車装置であって、上記複数の防振体を予め座板に締結し、上記座板を上記支持梁に締結するものである。
【0031】
これによって、返し車の回転による振動の建物への伝播を防ぐ改修工事において、支持梁から返し車の上端までの高さが、返し車の支持梁に対する固定的な装備状態における値と、返し車の支持梁に対する弾性支持状態における値との間に差異が生じない。このため、昇降路の頂部に構造物がある場合であっても返し車の上端が構造物に当たることはなく、また返し車の支持梁に対する固定的な装備状態を弾性支持状態に改修したときに主索長さを対応させる手数が解消する。したがって改修工事を容易化し、また費用を低減する効果がある。また、返し車の側面に接近して昇降路壁が配置された場合には、防振体の下締結具、上締結具が締め難くなる。しかし、複数の防振体が締結された座板が支持梁の上に装着されるので、座板を支持梁に締結する前に防振体を座板に締結することによって、防振体の装着を容易化する効果がある。
【0032】
また、この発明に係るエレベーター用返し車装置においては、取付台の第一面に空隙を形成して挿通されて座板及び支持梁の上辺に挿通されたボルト、このボルトにねじ込まれて第一面と座板の間に配置された第一ナット及び第二ナット並びにボルトにねじ込まれて支持梁の上辺の下側に配置された第三ナットによって構成された過変位阻止手段を兼ねた締結手段を設けたものである。
【0033】
これによって、返し車の回転による振動の建物への伝播を防ぐ改修工事において、支持梁から返し車の上端までの高さが、返し車の支持梁に対する固定的な装備状態における値と、返し車の支持梁に対する弾性支持状態における値との間に差異が生じない。このため、昇降路の頂部に構造物がある場合であっても返し車の上端が構造物に当たることはなく、また返し車の支持梁に対する固定的な装備状態を弾性支持状態に改修したときに主索長さを対応させる手数が解消する。したがって改修工事を容易化し、また費用を低減する効果がある。また、過変位阻止手段を兼ねた締結手段が設けられるので、過変位阻止手段のための部品点数、座板と支持梁を締結するための部品点数が減少して安価に製作でき、また据付費を低減する効果がある。
【0034】
また、この発明は以上説明したように、締結手段のボルトの頭部と第一ナットとによって取付台の第一面を挟圧して、座板及び支持梁に対して取付台を固定的に締結した締結手段を設けたものである。
【0035】
これによって、返し車の回転による振動の建物への伝播を防ぐ改修工事において、支持梁から返し車の上端までの高さが、返し車の支持梁に対する固定的な装備状態における値と、返し車の支持梁に対する弾性支持状態における値との間に差異が生じない。このため、昇降路の頂部に構造物がある場合であっても返し車の上端が構造物に当たることはなく、また返し車の支持梁に対する固定的な装備状態を弾性支持状態に改修したときに主索長さを対応させる手数が解消する。したがって改修工事を容易化し、また費用を低減する効果がある。また、締結手段によって座板及び支持梁に対して取付台が固定的に締結されるので、返し車の輸送時の過大な振動が防振体に作用して、防振体の所要の機能が損なわれる不具合を未然に防止する効果があり、またこのような保護作用を少ない費用によって実現する効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1を示す図で、返し車の固定的支持状態を示す図であり後述する図6の要部拡大図に相当する図。
【図2】 図1の平面図。
【図3】 図1における返し車を弾性支持した状態を示す図で、後述する図7の要部拡大図に相当する図。
【図4】 図3の平面図。
【図5】 図3の返し車の輸送時の状態を示す図。
【図6】 従来のエレベーター用返し車装置を示す図で、返し車の固定的支持状態を示す昇降路の要部縦断面図。
【図7】 図6における返し車を弾性支持に改修した状態を示す図で、図6相当図。
【符号の説明】
1 昇降路、 4 支持梁、 7 主索、 9 取付台、 10 第一面、 11 第二面、 12 返し車、 13 車軸、 15 リングナット、 16座板、 17 防振体、 20 過変位阻止手段を兼ねた締結手段、 21 ボルト、 22 第一ナット、 23 第二ナット、 24 第三ナット。
Claims (3)
- エレベーターの昇降路内に架設された支持梁と、張設された上記エレベーターの主索が巻掛けられて逆U字状部を形成する返し車と、高さ方向の一面に第一面が形成され上記一面に対向した他面に第二面が形成されて、上記返し車の車軸が上記第一面寄りに係合され、上記返し車の固定的支持状態において上記第二面が上記支持梁に締結された取付台と、上記返し車の弾性支持改修時に装備されて、上記支持梁と上下反転して配置された上記取付台の第一面との間に介装される複数の防振体とを備えたエレベーター用返し車装置であって、
上記複数の防振体を予め座板に締結し、上記座板を上記支持梁に締結することを特徴とするエレベーター用返し車装置。 - 取付台の第一面に空隙を形成して挿通されて座板及び支持梁の上辺に挿通されたボルト、このボルトにねじ込まれて上記第一面と上記座板の間に配置された第一ナット及び第二ナット並びに上記ボルトにねじ込まれて上記支持梁の上辺の下側に配置された第三ナットによって構成された過変位阻止手段を兼ねた締結手段を備えたことを特徴とする請求項1記載のエレベーター用返し車装置。
- 締結手段を、この締結手段のボルトの頭部と第一ナットとによって取付台の第一面を挟圧して、座板及び支持梁に対して上記取付台を固定的に締結したものとしたことを特徴とする請求項2記載のエレベーター用返し車装置。
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