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JP4086410B2 - 記録信号供給装置、情報処理装置、情報処理方法、記録装置 - Google Patents

記録信号供給装置、情報処理装置、情報処理方法、記録装置 Download PDF

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    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
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    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
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  • Quality & Reliability (AREA)
  • Ink Jet (AREA)
  • Record Information Processing For Printing (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行う記録装置、この記録装置に対し記録を行うための記録信号を供給する記録信号供給装置、記録信号を処理する情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、紙、OHP用シートなどの記録媒体に対して記録を行う画像形成装置としては、種々の記録方式による記録ヘッドを搭載した形態で提案されている。この記録ヘッドには、ワイヤードット方式、感熱方式、熱転写方式、インクジェット方式によるものなどがあり、特に、インクジェット方式は、記録用紙に直接インクを噴射するものであるので、ランニングコストが安く、静粛性に優れた記録動作が可能な方式として注目されている。
【0003】
また、上記のような記録装置は、記録ヘッドを搭載したキャリッジが水平方向へと移動するキャリッジ走査型となっており、このキャリッジ走査型のインクジェットプリンタにおいては、キャリッジの走査によって記録ヘッドに具備された多数のノズルが記録情報に基づき駆動され、1走査記録領域の記録を行なった後、記録媒体をキャリッジの進行方向に対して垂直な方向に1走査記録領域分だけ送るようになっており、この走査と記録媒体の搬送とを交互に行なうことによって所定の画像が形成される。
【0004】
このため、記録媒体の摩擦係数や搬送機構の送り誤差等によって用紙が正規の位置から若干ずれて停止した場合には、次回のキャリッジ動作時の記録のつなぎ目が重合してその部分の濃度が高まり、これがいわゆる黒スジとなって現れ画像品位を低下させるという問題が生じる。このため、用紙搬送精度の向上を図る手段が種々提案されているが、使用する記録媒体が普通紙等のようにインクのにじみが生じ易いものであった場合には、用紙をいかに正確に停止させたとしても、前回の走査記録領域の最下段と次回の走査記録領域の最上段のつなぎ領域に黒スジが発生するという不具合が生じた。これは、詳細な原理は不明であるが前回の走査記録領域にインクが記録されるとその記録領域の浸透性が高まり、次回の記録領域のインクが前回の記録領域に流れ出すことで発生すると考えられる。
【0005】
そこで、特開平05−220977号公報ではノズルに対応する元画像の各ラスタに対して濃度補正を施すことにより、画像上のいわゆる濃度ムラ・濃度スジ(黒すじ)を解消するヘッドシェーディング方法が提案されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術にあっては次のような不都合があった。
【0007】
すなわち、特開平05−220977号公報に開示の技術にあっては、記録ヘッドの上段あるいは下段のノズルに対して濃度補正を行なうようになっているため、カラーインクジェット記録装置のように2つ以上の記録ヘッドで記録を行なう場合には、各色のインクの重なりによるにじみ具合まで検知できず、フルカラー画像の黒スジを解消できないという問題があった。
【0008】
また、にじみの発生を防止するため、1走査記録領域を2回のキャリッジ走査と1走査記録領域の長さの1/2の紙送りで画像を完成させるいわゆる2パス記録を行なうことも従来より実施されているが、この場合には、にじみの発生を抑制し得る反面、記録速度が大幅に低下するという問題があった。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたもので、複数の記録ヘッドを用いたフルカラー画像等の形成において、つなぎ領域に黒スジが発生するのを防止し得ると共に良好な記録速度を達成し得る記録方法及び記録装置の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は次のような構成を有するものとなっている。
【0011】
すなわち、本発明の第1の形態は、複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行う記録装置に対し、前記記録を行うための記録信号を供給する記録信号供給装置であって、前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出手段と、前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0012】
本発明の第2の形態は、複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行うための記録信号を処理する情報処理装置であって、前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出手段と、前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0013】
本発明の第3の形態は、複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行うための記録信号を処理する情報処理方法であって、前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出工程と、前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正工程と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
本発明の第4の形態は、複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行う記録装置であって、前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出手段と、前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正手段と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
上記のように本発明にあっては、つなぎ領域の記録における記録信号の値のトータルを算出し、そのトータルによって記録信号の値を制御するようになっているため、つなぎ領域に常に適度な量のインクで記録動作を行なうことができ、黒すじの発生を防止することができる。すなわち、濃度の高いカラー記録などを行なう場合、色の異なる各記録ヘッドから多量のインクが吐出されれば、各走行記録領域の中の隣接する前後のつなぎ領域においてインクのにじみが広範囲かつ高濃度に発生し、つなぎ領域において黒スジが発生する可能性が高いが、本発明においては、各記録ヘッドに対して供給される記録信号の値を算出し、その信号値が所定の閾値などを越えた場合には、つなぎ領域における記録信号の値を減少させるべく補正されるため、インクが過剰につなぎ領域に供給されることはなくなり、インクのにじみを最小限に抑えることができ、黒スジの発生を未然に防止することができる
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。
<記録装置概要>
まず、本発明の各実施形態に適用する記録装置の概要を説明する。
この実施形態における記録装置は、インクジェット方式を採るカラー記録装置であって、その要部は、図1に示すような構造の記録手段200aを有している。図1において、1は紙またはプラスチックシート等からなる記録シートであって、カセット等に複数枚積層された状態で収納されており,その積層されたシート束の最上位または最下位記録シート1の一面に接する給紙ローラ(不図示)が回転することによってカセットから記録シートが一枚ずつ供給され、一定間隔を隔ててプラテンに配置される。そして、プラテンに配置された記録シート1は、それぞれ個々のステッピングモータ(図示せず)によって駆動する一対の第1搬送ローラ3,3及び一対の第2搬送ローラ4,4によって矢印A方向(副走査方向)に搬送されるようになっている。
【0023】
6は前記副走査方向Aと直交する主走査方向に保持された水平なガイドシャフトに沿って直線往復動可能に設けられたキャリッジであり、このキャリッジ6はべルト7及びプーリ8a,8bを介してキャリッジモータ23に連動しており、前記キャリッジモータ23を駆動することにより、前記ガイドシャフト9に沿って往復動を行なうようになっている。また、このキャリッジ6には、記記録シート1に記録を行うためのインクジェット方式の記録ヘッド5とこのヘッドにインクを供給する不図示のインクカートリッジが設けられている。ここでは、記録ヘッドとして、C,M,Y,Kの4色のインクの吐出を行なう4種類の記録ヘッド及びこれらにインクを供給するインクカートリッジが搭載されており、各記録ヘッドには、256本のノズルが設けられている。
【0024】
上記構成を有する記録手段200aにおいて、記録ヘッド5は、主走査方向(矢印B方向)に移動しながら記録信号に応じてインクを記録シート1に吐出し、副走査方向において256本の配設幅に対応する1走査記録領域に記録を行う。そして、必要に応じて記録ヘッド5はホームポジショシに戻り、インク回復装置によってノズルの目詰まりを解消すると共に、一対の搬送ローラ3,4の駆動によって記録シート1を矢印A方向へ前記1走査記録領域分搬送する。この動作を繰リ返すことによって記録シート1には、所定数のラスタからなるインク画像が形成される。
【0025】
次に前記記録手段200aを有する記録装置200の制御系について説明する。
【0026】
この制御系は図2に示すように、例えばマイクロプロセッサ等のCPU20aによって実行される制御プログラムや各種データを格納しているROM20c、及びCPU20aのワークエリアとして使用されると共に記録画像データなどの各種データの一時記憶等を行うRAM20b等を有する演算制御部20が設けられ、この演算制御部20にはインターフェイス21、操作パネル22、各モータ(キャリッジモータ23、給紙モータ24、第1搬送ローラ駆動モータ25、第2搬送ローラ駆動モータ26)を駆動するためのドライバー27、及び記録ヘッド駆動用のドライバー28が接続されている。
【0027】
上記演算制御部20はインターフェイス21を介して後述のホスト201からの各種情報(例えば文字ピッチ、文字種類等)や、外部装置との画信号などの入出力(情報の入出力)を行う。また前記制御部20はインターフェイス21を介して各モータ23〜26を駆動させるためのON,OFF信号、及び画信号を出力し、その画信号によって各部の駆動を行なう。
【0028】
<画像処理装置概要>
次に、前記記録装置200にて記録動作を実行させるための記録信号データを生成する記録情報処理装置について説明する。
【0029】
図3は本発明の各実施形態における情報処理装置としてのホストコンピュータ(以下、単にホストと称す)を示す図である。図において、ホスト201はCPU202と、メモリ204(記録情報発生手段)と、外部記憶装置203と、入力部205と、記録装置202とのインターフェイス206とを備える。CPU202は、メモリ204に格納されたプログラムを実行することで種々の演算、判別、制御などの動作を行い、後述の色処理、量子化処理及び補正処理などを実現するものとなっており、トータル算出手段、記録信号補正手段(第1,第2の補正手段)等として機能する。このプログラム及び記録情報は外部記憶装置203に記憶されており、ここから読み出されてCPU202に供給され、一旦メモリ204に格納される。ホスト201はインターフェイス206を介して前記記録装置202と接続されており、色処理を施した画像データを記録装置202に送信して記録動作を実行させるようになっている。
【0030】
また、図4は前記ホスト201によって実現される画像処理部230の機能を説明する機能ブロック図である。この画像処理部230は、入力されるR,G,B各色8ビット(256階調)の画像データをC,M,Y,K各色1ビットデータとして出力するものとなっており,色処理部210と量子化部220とからなる。前記色処理部210は、色空間変換処理部211と、色変換処理部212と,出力γ処理部213とからなる。このうち,前記色空間変換処理部211及び色変換処理部212は、3次元LUT(ルックアップテーブル)によって構成され、出力γ処理部213は1次元LUT(ルックアップテーブル)によって構成されている。なお、前記各LUTは、ホストコンピュータ201における前記メモリ204に格納されている。
【0031】
以上の構成を有する画像処理部230において、外部記憶装置203から読み出されるR,G,B各色ビットデータは、まず3次元のルックアップテーブルによりR',G',B'各色8ビットデータに変換される。この処理は色空間変換処理(前段色処理)と称し、入力画像の色空聞(カラースペース)と出力装置の再現色空間の差を補正するための変換処理となっている。この色空間変換処理を施されたR',G',B'各色8ビットデータは次の3次元LUTによりC,M,Y,K各色8ビットデータに変換される。この色変換処理は後段色処理と称し、入力画像の色空間(カラースペース)と出力装置の再現色空間の差を補正するための変換処理となっている。
【0032】
また、前段色処理を施されたR',G',B'各色8ビットデータは、次の色変換処理部212を構成する3次元LUTによりC,M,Y,K各色8ビットデータに変換される。この色変換処理は後段色処理と称し、入力系のRGB系カラーから出力系のC,M,Y,K系カラーに変換する処理となっている。なお、入力される画像データは、ディスプレイなど発光体の加法混色の3原色(R,G,B)であることが多いが、プリンターなど光の反射で色を表現する場合は減法混色の3原色系(C,M,Y)の色材が用いられるので前記色変換処理が必要となる。
【0033】
前段色処理に用いられる3次元LUTや後段色処理に用いられる3次元LUTは離散的にデータを保持しており、保持しているデータ間は補間処理で求めるが、その補間処理は公知の技術であるので、ここでは前記補間処理に関する詳細な説明は省略する。
【0034】
この後、後段色処理が施されたC,M,Y,K各色8ビットデータは、前記出力γ処理部213を構成する1次元LUTによって出力γ補正が施される。単位面積当たりの記録ドット数と出力特性(反射濃度など)の関係は多くの場合に線形関係とはならないので、出力γ補正を施すことでC,M,Y,K8ビットの入力レベルと、その時の出力特性との線形関係とを保証する。後述のつなぎ補正あるいは、ラスタ濃度補正はその出力γ処理の1値LUTを変更するかあるいはその出力γ補正と同様の1次LUTによる補正処理を前記その出力γ補正後に追加することで実現される。
【0035】
以上が画像処理部201の概略説明であり、入力R,G,B各色8ビットのデータは記録装置の有するインクC,M,Y,K各色8ビットのデータ変換される。本案施形態におけるカラー記録装置は2値記録装置であるので上記C,M,Y,K各色8ビットのデータは、次段の量子化処理部221においてC,M,Y,K各色1ビットのデータに量子化処理される。本案施形態では、写真調の中間調画像を2値記録装置で滑らかに表現させることが可能な誤差拡散法による量子化法を採用しており、この誤差拡散法によって前記C,M,Y,K各色の8ビットデータはC,M,Y,K各色の1ビットの記録データに量子化される。
【0036】
なお、この誤差拡散法を用いた量子化方法の詳細は「日経エレクトロニクス1978年5月号P50−P65」を始めとして既に様々な文献や論文が発表されており公知の技術であるので詳細な説明は省略する。
【0037】
また、ここでは、各色(イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)のインクをそれぞれ100%で打ち込み得るものとしており、従って、各画素には各色の記録ヘッドによって最大で400%のインク打ち込みが行なわれるものとなっている。また、記録信号に対して補正を実施する領域は、前後の各走査記録領域E1,E2の中の互いに隣接する前後のつなぎ領域e1,e2の中の後方のつなぎ領域e2であって(図7(a),(b)参照)、ここでは、後方の記録領域の中の上部4ラスタがこれに相当する。さらに、信号値は各色8ビットの0〜255の値であるものとする。
【0038】
上記のように構成された記録装置200において、ホストにて前述の各種信号変換及び後述のつなぎ補正などを施した記録信号は、インターフェースを介してホスト側から記録装置200側へと転送され、その信号は記録装置200のRAM20bに一旦格納され、その格納された記録信号に基づき記録動作が実行される。
そして、記録装置200に対し記録指令が入力されると、記録装置200のCPU20aはキャリッジモータ23を駆動させ、キャリッジ6を移動させると共に2値化された前記記録信号を読み出し、ヘッドドライバ28を駆動して記録動作を開始し、1走査記録領域E1に対する記録動作、すなわち256のラスタを形成する。
続いて、CPU20aは、給紙モータを駆動して、256ラスタ分の紙送りを行ない、再びキャリッジ6を移動させて2回目の主走査を行ない走査記録領域E2に対する記録動作を実行する。この2回目以降の主走査においては、上部4ラスタ(後側つなぎ領域e2)の記録信号に対して前述の補正処理が施されており、その記録信号を2値化したデータに基づき256ラスタ分の記録動作を行う。
【0039】
このようにこの記録装置では、1走査記録領域の幅を用紙の搬送ピッチとするいわゆる1パス方式を採用しているため、これによって高速記録が可能となっている。
【0040】
<つなぎ補正方法>
次に上記画像処理部201におけるつなぎ補正処理を説明する。
[処理ルーチン]
図5は本実施形態のつなぎ補正方法を説明するフローチャートである。
記録装置によって記録処理を実行させる場合には、まず、記録データをホストによって図4に示す前述の信号処理を行ない、その信号処理によって得られたC,M,Y,Kの多値化された各記録信号に対し、さらに情報処理部230の出力γ処理部213によって、以下のつなぎ補正処理をそれぞれ施すようになっている。
【0041】
すなわち、C,M,Y,Kの記録信号が出力されると、まず、その記録信号が第1回目の主走査によって形成される第1番目の走査記録領域を形成する記録信号であるかどうかを判断し、第1番目の走査記録領域を形成するための記録信号であった場合には、そのラスタ1〜4はつなぎ領域とはならないため、以下のステップ101〜109によるつなぎ補正処理を実行しない。また、このステップ100において、入力された記録信号が第2回目以降の主走査によって形成される第2番目以降の走査記録領域を形成するための記録信号であった場合には、そのラスタ1〜4は、第1番目の走査記録領域とのつなぎ領域となるため、ステップ101〜109を実行する。
【0042】
まず、ステップ2では、CPUにおけるラスタカウンタのカウント値を1に設定する。次いで、ラスタカウンタ(Raster Counter)のカウント値が5未満であるか否か、つまり入力された記録信号が1〜4ラスタ目であるか否かを判断し(ステップ3)、ラスタカウンタの値が5に達した場合には、ステップ106に移行し、また、カウント値が5未満であると判断された場合には、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの各色の記録信号値Y[IN],M[IN],C[IN],K[IN]からこれら記録信号のトータル信号値Total[IN]を算出する(ステップ103)。
【0043】
すなわち、トータル信号値は、
Total[IN]=Y[IN]+M[IN]+K[IN]
によって算出される。
【0044】
ここで、トータル信号値Total[IN]の最大は、各色の記録信号値の最大が255であるため、255×4=1020となる。そして、この信号値によって記録ヘッドより吐出されるインク量(インク打ち込み量)は最大値となり、その割合は400%となる。
【0045】
次に、各色の記録信号に対する補正割合(Y[Ratio],M[Ratio],C[Ratio],K[Ratio])を各色の入力信号値(Y[IN],M[IN],C[IN],K[IN])とトータル信号値(Total[IN])とから算出する(ステップ104)。
【0046】
すなわち、前記各補正割合は、
Y[Ratio]=Y[IN]/Total[IN]
M[Ratio]=M[IN]/Total[IN]
C[Ratio]=C[IN]/Total[IN]
K[Ratio]=K[IN]/Total[IN]
によって算出する。
【0047】
この後、先に求めた各ラスタのトータル信号値(Total[IN])に応じて後述するつなぎスジ補正テーブルから読み出された値T[N]と、前記補正割合とを乗じた値が補正後の各色の信号値(Y[OUT],M[OUT],C[OUT],K[OUT])となる(ステップ105)。
【0048】
すなわち、補正後の記録信号値は、
OUT =Y[Ratio]×T[N]
OUT =M[Ratio]×T[N]
OUT [Ratio]×T[N]
OUT =K[Ratio]×T[N]
によって算出される。
【0049】
ここで、ステップ107では、ラスタカウンタをインクリメントし、さらにラスタカウンタの値から全てのラスタにおける記録信号に対してつなぎ補正処理がなされたか否かを判別し(ステップ106)、終了すればつなぎ補正処理を終了する(ステップ107)。また、記録媒体に対して記録すべき全てのラスタに対する記録信号の補正処理が終了たか否かを判断し、全ラスタに対するの補正処理がなされた場合には、補正動作を停止する。
【0050】
また、補正動作が完全になされていないと判断された場合には、ラスタカウンタのカウント値が記録ヘッド5に設けられているノズル数(255本)分のラスタの記録動作が終了したか否かを判断し、ラスタの本数がノズル数に達していれば、1走査記録領域分の記録信号が処理されたこととなり、ラスタカウンタのカウント値を1に設定した後、次に隣接する走査記録領域への記録を行なう記録信号に対してステップ102〜ステップ108のステップを実行する。また、ラスタカウント値がノズル数に達していない場合には、ステップ102へと移行し、上記ステップ103〜108のステップを実行する。
【0051】
なお、ステップ102の判断において、ラスタ数が5以上であると判断された場合、すなわち入力された記録信号がつなぎ領域以外の領域における記録信号であると判断された場合には、ステップ106へと移行し、前述の補正処理は行なわず、ラスタカウンタのカウント値を1カウントインクリメントし、以後、カウント値がノズル数分に達するまでステップ103〜ステップ106を除いたステップを繰り返し行なう。
【0052】
[つなぎスジ補正テーブル]
ここで、前記ステップ105の演算処理に用いられるつなぎスジ補正テーブルを説明する。
【0053】
図6はつなぎ補正テーブルの内容を表わすグラフである。
【0054】
このグラフにおいて、横軸はトータル信号値を示し、各トータル信号値に対応する補正信号値を示している。また、このグラフに示される曲線のうち、実線にて示される曲線がラスタ1の補正曲線を、破線にて示される曲線がラスタ2の補正曲線を、一点鎖線にて示される曲線がラスタ3の補正曲線を、ニ点鎖線にて記載される曲線がラスタ4の補正曲線をそれぞれ示している。ここで、ラスタ1は、図に示すように、隣接する前後の走査記録領域E1,E2のうち、先に記録されるべき領域(前側走査記録領域)の最終番号(256番)のラスタに最も近接するラスタであって、ステップ101におけるラスタカウンタにおけるカウント値が1となるラスタを意味し、このラスタ1から副走査方向に沿って離間する方向に順次ラスタ2、ラスタ3、ラスタ4……が位置する。
【0055】
そして、各補正曲線には、それぞれ1つの閾値P1,P2,P3,P4が設けられており、各閾値以の範囲では、トータル信号値の増加、減少に伴って補正信号値が増加、減少し、閾値より大なる範囲では、トータル信号値の増加、減少に伴って補正値が減少、増加するように設定されている。この実施形態においては、閾値より小なる範囲において、トータル信号値と補正信号値との関係は、比例関係にあり、その比例係数は1となっている。このため、閾値まではトータル信号値と補正信号値とは同一となる。また、閾値を越える範囲についてはトータル値応じて等差的に減少し、その最小値は0となっている。
【0056】
例えば、ラスタ1の記録信号においては、トータル信号値が100付近(インク打ち込み量=100÷1020×400=約39(%)付近)からドットを間引く方向に補正が開始され、トータル信号値200付近(インク打ち込み量=200÷1020×400=約78(%)付近)で全てのドットが間引かれるように補正信号値はOとなっている。
【0057】
これは、つなぎ領域のトータルインク打ち込み量が約78%の場合に、直前に記録した領域E1に最も近い1ラスタを全く記録しなければつなぎ領域の黒スジの発生が解消されることを意味する。なお、ラスタ2,ラスタ3,ラスタ4にあっても同様に、トータル信号値が閾値よりさらに大きくなってきたときにそれぞれ間引き補正が開始されるようになっている。
【0058】
このようなつなぎスジ補正テーブルを用いて、例えば、図7(a)及び図7(b)に示すような記録動作を行なう場合、ホストでは前述のつなぎ補正動作によって、第2番目以降の走査記録領域のつなぎ領域に対し、次のような記録補正値を算出する。
【0059】
ここで、図7(a),(b)は、256本のノズルを有する記録ヘッド5を用いて行なわれる記録動作を模式的に示した図であり、(a)はシアンの記録信号値C[IN]=20、マゼンタの記録信号値M[IN]=20として512ラスタ分の記録を行なう場合、すなわち前後2回の主走査によって2つの走査記録領域E1,E2を形成する場合を示し、(b)はシアンの信号値C[IN]=128、マゼンタMの信号値M[IN]=255とし、同じく前後2回の主走査によって512ラスタ分の記録(E1,E2の記録)を行なう場合をそれぞれ表わしている。なお、各記録動作による実際のインク打ち込み率は、図7(a)においては、20÷255×2×100=約16%となり、図7(b)においては、(128÷255+255÷255)×100=約150%となる。
【0060】
そして、上記走査記録領域E1,E2を形成するに際し、後側の各走査記録領域E2に含まれるつなぎ領域e2(上位4ラスタ)に対する記録信号の補正値は次のような値となる。
【0061】
すなわち、図7(a)に示す記録動作にあっては、C[IN]=20、M[IN]=20であるから、トータル信号値Total[IN]は、
トータル信号値Total[IN]=20+20=40
であり、また、このトータル信号値に対応して各テーブルより読み出される各ラスタ1〜4の補正信号値T1〜T4は、
T1=40,T2=40,T3=40,T4=40
となる。
【0062】
従って、ラスタ1からラスタ4におけるシアン,マゼンタの補正値は、
ラスタ1:
C[OUT]=C[IN]÷Total[IN]×T1=20÷40×40=20
M[OUT]=M[IN]÷Total[IN]×T1=20÷40×40=20
ラスタ2:
C[OUT]=C[IN]÷Total[IN]×T2=20÷40×40=20
M[OUT]=M[IN]÷Total[IN]×T2=20÷40×40=20
ラスタ3:
C[OUT]=C[IN]÷Total[IN]×T3=20÷40×40=20
M[OUT]=M[IN]÷Total[IN]×T3=20÷40×40=20
ラスタ4:
C[OUT]=C[IN]÷Total[IN]×T4=20÷40×40=20
M[OUT]=M[IN]÷Total[IN]×T4=20÷40×40=20
となる。これは、約16%のインク打ち込み量の記録においては補正を行なわないことでつなぎ領域の黒スジの発生を防ぐことが可能となることを意味する。
また、図7(b)に示す記録動作にあっては、C[IN]=128、M[IN]=255であるから、トータル信号値Total[IN]は、
トータル信号値Total[IN]=128+255=383
であり、また、このトータル信号値に対応して各テーブルより読み出される各ラスタ1〜4の補正信号値T1〜T4は、
T1=0,T2=15,T3=215,T4=383
となる。
【0063】
このように、約150%のインク打ち込み量の記録においては直前の記録領域に最も遠いラスタ4〜ラスタ1までの順にドットの間引き量を0%(ラスタ4)〜100%(ラスタ1)へと増加させており、これによってつなぎ領域e1,e2における黒スジの発生を防止するようになっている。すなわち、トータル信号値Total[IN]が383というある程度の大きさとなった場合、この記録信号を全く補正せずに記録動作を行ったとすると、既に形成されている直前のつなぎ領域e1部分にまでインクがにじみ出し、黒スジが発生する可能性があるが、この実施形態においては、前述のようにラスタ1においては信号値を0とし、ラスタ2においては、
信号値をC[IN]=5,M[IN]=10という極めて少ない値に設定しているため、直前のつなぎ領域e1へのにじみ出しもなく、確実に黒スジの発生を抑えることができる。
【0064】
このように、本実施形態における記録装置では、インク打ち込み量に応じたつなぎ領域e2の信号値をイエロー,マゼンタ,シアン,ブラックの4色の記録信号値のトータルで規定しており、記録信号に対する補正値の設定を、前記記録信号のトータルに応じた値をつなぎ補正テーブルから各色の補正値を独立に計算して求めるものとなっている。
【0065】
なお、上記第1の実施形態においては、シアン、マゼンタの2色のインクにより、512ラスタ全体を均一な値の記録信号によって記録する場合を例にとり説明したが、自然画像を形成する場合のようにイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのインクに対し、種々変化する記録信号を用いて記録動作を行う場合にも本発明は適用可能であることは勿論であり、この場合、黒スジの発生を抑えることによって良好な画質を得ることができる。
【0066】
[第2の実施形態]
前述の第1の実施形態では、同一信号値であればつなぎ領域において黒スジとして認識される程度は各色同一であることを想定してつなぎ補正処理を行なった。
【0067】
ところが実際には同一信号値であってもインクの組成や人間の色に対する知覚特性によって黒スジの認識レベルが異なる場合がある。
【0068】
そこでこの第2の実施形態では、各色の組み合わせによる黒スジの認識レベルの違いに対応したつなぎ補正を行なうものとなっている。
【0069】
このつなぎ補正処理では、まず、入力記録信号Y[IN],M[IN],C[IN],K[IN]をそれぞれ3次色成分と2次色成分と単色成分に分解し、各々の値を算出する。3次色成分CMYはシアン(C)とマゼンタ(M)とイエロー(Y)の信号値の中の最も低い値を選択することによって設定し、2次色成分であるブルー(B),グリーン(G),レッド(R)は、CとM、CとY、MとYのそれぞれの組合わせにおいてぞれぞれ小さい信号値を選択することによって設定し、単色成分Y,M,Cはそれぞれ入力信号値から3次色成分と2つの2次色成分を差し引いた値として設定し、単色成分Kは入力値をそのまま設定する。
【0070】
すなわち、
3次色成分:
CMY=MIN(C[IN],M[IN],Y[IN]
2次色成分:
B=MIN(C[IN],M[IN])
G=MIN(C[IN],Y[IN])
R=MIN(M[IN],Y[IN])
単色成分:
Y=Y[IN]−(CMY+G+R)
M=M[IN]−(CMY+B+R)
C=C[IN]−(CMY+B+G)
K=K[IN]
として設定する。
【0071】
ここで、各成分に対して黒スジの認識レベルに応じた補正係数a1〜a3,b1〜b3,c1〜c3,d1を乗じ、それぞれに含まれる成分を加算した値をイエロー,マゼンタ,シアン,ブラック各色の補正値(TotalY,TotalM,TotalC,TotalK)とする。
【0072】
すなわち、各色の補正記録信号値は、
TotalY=(a1×Y)+(a2×G)+(a2×R)+(a3×CMY)
TotalM=(b1×)+(b2×)+(b2×R)+(b3×CMY)
TotalC=(c1×)+(c2×G)+(c2×)+(c3×CMY)
TotalK=d1×K
として算出する。
次いで、各色の補正記録信号値を加算することによってトータル補正記録信号値TotalSを算出する。
すなわち、トータル補正記録信号値Sは、
TotalS=TotalY+TotalM+TotalC+TotalK
となる。
【0073】
そして、各色の補正割合(Y[Ratio],M[Ratio],K[Ratio])を、先に算出した補正記録信号値(TotalY,TotalM,TotalC,TotalK)とトータル信号値TotalSとを用いて算出する。
【0074】
すなわち、各補正割合は、
Y[Ratio]=TotalY÷TotalS
M[Ratio]=TotalM÷TotalS
C[Ratio]=TotalC÷TotalS
K[Ratio]=TotalK÷TotalS
となる。
【0075】
そして、ラスタ1〜4における記録信号の補正値(Y[OUT],M[OUT],C[OUT],K[OUT])の算出は、上記トータル信号値Tota_Sに応じた補正テーブルT[N]の値を読み出し、そのテーブル値に、前記補正割合を乗じることによって求める。
【0076】
すなわち、各色の補正値は、
Y[OUT]=Y[Ratio]×T[N]
M[OUT]=M[Ratio]×T[N]
C[OUT]=C[Ratio]×T[N]
K[OUT]=K[Ratio]×T[N]
(N=1,2,3,4)
となる。
【0077】
以上説明したようにこの第2の実施形態においては、入力される記録信号を単色成分と2次色成分と3次色成分とに分解し、各成分別に補正係数を乗じて補正するようにしたため、インクの特性や人間の色に対する知覚特性による認識レベルに応じた黒スジの補正が可能となる。
【0078】
[その他の実施の形態]
上記実施形態にあっては、各主走査によって形成される前後の走査記録領域におけるつなぎ領域に対して補正処理を施すものとしたが、この補正処理に先立ち、全ラスタに対しラスタ単位の濃度補正処理を施すようにすれば、各走査記録領域における補正処理だけでなく、全ラスタ間の濃度ムラ・濃度スジなどの発生も防止でき、より高品質な画像を得ることができる。このラスタ間の補正処理は、各ラスタに対応した補正テーブルを使用して補正を行なえば良く、処理ルーチンを共有して処理可能である。すなわち、図5のつなぎ補正動作において、ステップ102において入力される記録信号が1〜4のラスタに対応する信号であると判断された場合に、上記実施形態のようにステップ102へ移行するのではなく、補正テーブル値を用いた補正処理を施すステップ105へと移行させ、ここでラスタ毎に設定された補正テーブルを用いて補正処理を施すようにすることも可能である。
【0079】
さらに、全ラスタに対するラスタ単位の濃度補正と前記つなぎ補正とを共に行なう場合、ラスタ単位の補正処理を施して得られる値にさらにつなぎ補正処理を施して得られる結果を共通の補正テーブルと持つことで一度の処理ルーチンでラスタ濃度補正とつなぎ補正処理を実行可能となる。この場合、前述したつなぎ補正処理におけるラスタ1からラスタ4以外には入力値と出力値が等しい架空のテーブル値を設定しておけば良い。
【0080】
また、上記各実施形態においては、隣接する前後のつなぎ領域のうち,後側のつなぎ領域における記録信号のトータルに基づいて後側のつなぎ領域における記録信号の補正を行うようにしたが、記録信号値のトータルを求める領域としては、後側のつなぎ領域に限らず、前方のつなぎ領域、あるいは各つなぎ領域の双方を対象とすることも可能であり、また、得られたトータルに基づき補正を加える対象となる領域としても後側領域に限らず、前方の領域あるいは、各つなぎ領域の合成領域としすることも可能である。
従って、例えば前方のつなぎ領域における信号のトータルに基づき後方のつなぎ領域における記録信号の補正を行うことも可能であるし、また、前後のつなぎ領域における記録信号値のトータルに基づき前後いずれか一方のつなぎ領域における記録信号の補正を行うことも可能であるり、いずれの補正も黒スジの発生防止に有効である。
【0081】
なお、つなぎ領域は4ラスタによって構成されるものとしたが、その他の数のラスタによってつなぎ領域を構成しても良いことは勿論であり、要は黒スジが発生する可能性の有る範囲に設定すれば良い。
【0082】
また、上記実施形態にあっては、つなぎ補正処理をはじめとする各種補正処理をホストによって行なうようにしたが、これらの処理を記録装置によって施すようにしても良い。
【0083】
さらに、以上の説明では、インクのにじみに起因する黒スジの発生を防止する場合について述べたが、記録装置によっては、用紙搬送不足やインク吐出方向の傾斜などにより、前後のつなぎ領域内にインクが十分に塗布されない、いわゆる白スジが発生し易い傾向のものもある。こうした傾向の装置に対しては、上記各実施形態のようにトータル記録信号値が閾値以下の場合において、記録信号を入力値より増大させて出力し、インクのにじみを積極的に利用して白スジの発生を防止するようにすることも可能である。
【0084】
また、本発明は上述のように、複数の機器(たとえばホストコンピュータ、インタフェース機器、リーダ、プリンタ等)から構成されるシステムに適用しても一つの機器(たとえば複写機、ファクシミリ装置)からなる装置に適用してもよい。
【0085】
さらに、上述した各実施形態では、つなぎ補正テーブルを用いて2値化される前の濃度データを補正するものとしたが、本発明の黒すじ補正は、これに限らず、例えば、記録ヘッドの各発熱素子を駆動する駆動信号のパルス幅等を変調することにより、インク吐出量自体を変更するものであっても良い。
【0086】
また、前述した実施形態の機能を実現するように各種のデバイスを動作させるように該各種デバイスと接続された装置あるいはシステム内のコンピュータに、前記実施形態機能を実現するためのソフトウェアのプログラムコードを供給し、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(CPUあるいはMPU)を格納されたプログラムに従って前記各種デバイスを動作させることによって実施したものも本発明の範疇に含まれる。
【0087】
またこの場合、前記ソフトウェアのプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコード自体、およびそのプログラムコードをコンピュータに供給するための手段、例えばかかるプログラムコードを格納した記憶媒体は本発明を構成する。
【0088】
かかるプログラムコードを格納する記憶媒体としては例えばフロッピーディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0089】
またコンピュータが供給されたプログラムコードを実行することにより、前述の実施形態の機能が実現されるだけではなく、そのプログラムコードがコンピュータにおいて稼働しているOS(オペレーティングシステム)、あるいは他のアプリケーションソフト等と共同して前述の実施形態の機能が実現される場合にもかかるプログラムコードは本発明の実施形態に含まれることは言うまでもない。
【0090】
さらに供給されたプログラムコードが、コンピュータの機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに格納された後そのプログラムコードの指示に基づいてその機能拡張ボードや機能格納ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も本発明に含まれることは言うまでもない。
【0091】
【発明の効果】
以上説明した通り、本発明にあっては、前記記録ヘッドによって形成される隣り合う前後の走査記録領域内の互いに隣接する前後のつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域内の記録を行なうための記録信号値のトータルを算出すると共に、記録信号値のトータルの大小に応じて、前記つなぎ領域の記録を行なうための記録信号値の大小を、互いに隣接する前後のつなぎ領域のうち少なくとも一方の記録領域の記録を行なうための記録信号を補正するようにしたため、つなぎ領域に常に適度な量のインクで記録動作を行なうことができ、黒すじの発生を防止することができる。しかも、本発明においては、記録ヘッドによる記録走査領域分だけ搬送する順次隣接形成するものとなっており、記録領域が重合しないため、高速にて記録動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の各実施形態における記録装置の要部機構を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した記録装置の制御系の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の各実施形態における記録情報処理装置の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の各実施形態における記録情報処理部の概略構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の第1の実施形態におけるつなぎ補正処理方法を説明するフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態におけるつなぎ補正テーブルの内容を表わすグラフである。
【図7】本発明の第1の実施形態における記録動作を説明する模式図である。
【符号の説明】
1 用紙(記録媒体)
6 キャリッジ
5 記録ヘッド
200 記録装置
200a 記録手段
201 ホスト
202 CPU
204 メモリ
230 記録情報処理部
213 出力γ処理部
E1 前側走査記録領域
e1 つなぎ領域
E2 後側走査記録領域
e2 つなぎ領域

Claims (12)

  1. 複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行う記録装置に対し、前記記録を行うための記録信号を供給する記録信号供給装置であって、
    前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出手段と、
    前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、
    前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正手段と、
    を備えたことを特徴とする記録信号供給装置。
  2. 前記トータル算出手段は、前記互いに隣接するつなぎ領域のうち、後の主走査で記録される前記つなぎ領域に対応する前記各色の補正記録信号が表す値のトータルを算出することを特徴とする請求項1記載の記録信号供給装置。
  3. 前記記録信号補正手段は、前記互いに隣接するつなぎ領域のうち、後の主走査で記録される前記つなぎ領域に対応する前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の記録信号供給装置。
  4. 前記記録信号補正手段は、前記トータル値が閾値を超える場合に、前記トータル値の増加に伴って前記入力多値記録信号の値の減少割合を増加させることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか記載の記録信号供給装置。
  5. 前記記録信号補正手段は、前記トータル値と閾値との比較結果に基づいて、前記入力多値記録信号の値を減少させる処理を行うものであり、
    前記閾値として、前記つなぎ領域を構成する複数のラスタ夫々について異なる値が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の記録信号供給装置。
  6. 前記記録信号補正手段は、前記つなぎ領域に含まれる複数の画素のうち、前記トータル値が閾値を超えた画素について、当該画素に対応する前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行うことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の記録信号供給装置。
  7. 前記閾値は画素の位置に応じて異なることを特徴とする請求項6に記載の記録信号供給装置。
  8. 前記隣り合う走査記録領域間の境界からの距離が大である画素に比べて、前記境界からの距離が小である画素について、より小さい閾値が適用されることを特徴とする請求項7に記載の記録信号供給装置。
  9. 前記複数色は、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の記録信号供給装置。
  10. 複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行うための記録信号を処理する情報処理装置であって、
    前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出手段と、
    前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、
    前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正手段と、
    を備えたことを特徴とする情報処理装置。
  11. 複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行うための記録信号を処理する情報処理方法であって、
    前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出工程と、
    前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、
    前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正工程と、
    を備えたことを特徴とする情報処理方法。
  12. 複数色の記録を可能な記録ヘッドを主走査方向に主走査させながら記録媒体上の走査記録領域に記録を行う記録装置であって、
    前記主走査方向に直交する方向に隣り合う走査記録領域内の互いに隣接するつなぎ領域のうち、少なくとも一方のつなぎ領域に対応する各色の入力多値記録信号を、単色成分、2次色成分、及び3次色成分に分解し、前記各成分それぞれに対応した補正係数を前記各成分に乗じることで各色の補正記録信号を算出する補正記録信号算出手段と、
    前記各色の補正記録信号が表す値のトータル値を算出するトータル算出手段と、
    前記トータル値と、前記各色の補正記録信号とに基づいて、前記各色の入力多値記録信号の値を減少させる処理を行う記録信号補正手段と、
    を備えたことを特徴とする記録装置。
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