JP4085368B2 - 車体振動抑制装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鉄道車両等の車両に用いられる車体振動抑制装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車体振動抑制装置の一例として、本願発明者等が特開2001−10324号公報で提案した車体振動抑制装置がある。
この車体振動抑制装置は鉄道車両に適用可能であり、この車体振動抑制装置20について、図20に示す鉄道車両21に適用した場合を例にして説明する。図20に示す鉄道車両21は、レール22に移動可能に載置される前方、後方の台車23,23Aと、台車23,23Aに緩衝部材24を介して水平方向の変位及び上下動可能に載置される車体25とを備えている。車体25の下面部の左側前方部、左側後方部にはそれぞれ車体側取付部材26が固定され、台車23,23Aの上面部の右側には台車側取付部材27が固定されている。台車23,23Aに対応する2組の車体側、台車側取付部材26,27間には減衰力可変型の油圧ダンパ28,28A(セミアクティブサスペンション機構)が介装されている。図20中、31は横加速度センサ、45はコントローラである。
以下、台車23,23A及び油圧ダンパ28,28Aを含め、台車23,23Aに対応して同等に設けられる部材については、便宜上、台車23側の部材を対象にして説明する。
【0003】
この車体振動抑制装置20は、減衰力可変型の油圧ダンパ28の減衰力を調整することにより車体25の振動抑制をするものであり、いわゆるセミアクティブサスペンション制御を行っている。この場合、左右絶対速度に基づいて後述するスカイフックダンパ理論に基づくスカイフックダンパの減衰力(スカイフック減衰力)を演算し、このスカイフック減衰力と等価になるように、油圧ダンパ28を制御する(スカイフックダンパ理論に基づく制御を行なう)ようにしている。
【0004】
また、この装置は、給排油弁29(低消費エネルギー型アクティブサスペンション機構)を設けており、油圧ダンパ28がスカイフック減衰力を再現できない方向(後述する)に作動している場合に、給排油弁29が作動され油圧ダンパ28に対して給排油を行ない、所望の減衰力(制振力)を得られるように補償する。
【0005】
ここで、前記スカイフックダンパ理論に基づく制御及び油圧ダンパのスカイフック減衰力を再現できない方向について、図21〜図23に基づいて、以下に説明する。なお、以下の説明では、便宜上、自動車の上下動の制振を行なう場合を例にするが、鉄道車両21の左右動の制振を行なう場合にも同様のものとなる。
【0006】
前記スカイフックダンパ理論に基づく制御は、例えば図21に示すスカイフックシステム6と、図22に示すセミアクティブシステム8とを対比し、セミアクダンパ7の減衰力F1 (減衰係数)がスカイフックシステム6のスカイフックダンパ5の減衰力FS に近いもの(同等が望ましい)になるように次の演算を行い、セミアクダンパ7の減衰力(減衰係数)を調整する制御をいう。
ここで、スカイフックシステム6は、車体1と路面2〔車軸〕との間にばね定数がKのばね3を介装し、車体1(ばね上)と空4との間に減衰係数がCS のスカイフックダンパ5を介装して構成される。また、セミアクティブシステム8は、車体1(ばね上)と車軸〔路面2(ばね下)〕との間にばね3及び減衰係数可変型のセミアクティブショックアブソーバ(油圧ダンパ。以下、セミアクティブダンパという。)7〔減衰係数C1 〕を介装して構成される。
【0007】
この場合、S′(S′−X)>0〔S′:車体1の上下絶対速度、X:車軸(ばね下)の上下絶対速度〕
であるなら、F1 =−CS S′=−C1 (S′−X)
〔F1 :セミアクティブダンパ7の減衰力〕
すなわち、C1 =CS S′/(S′−X)となるようにセミアクティブダンパ7の減衰係数C1 を調整する。
【0008】
また、S′(S′−X)<0であるなら、F1 =0、すなわち、C1 =0となるようにセミアクティブダンパ7の減衰係数C1 を調整する。
【0009】
ここで、スカイフックダンパ理論に基づく制御によりセミアクティブダンパ7が発生する減衰力、及び車体1の上下絶対速度等を示すと、例えば図23のようになる。図23中、S、S′、B、FS 及びF1 は次の内容を示す。
【0010】
S :車体1の上下絶対変位
S′:車体1の上下絶対速度
B :セミアクティブダンパ7のピストン速度
FS :スカイフックダンパ5の減衰力
F1 :セミアクティブダンパ7の減衰力
【0011】
また、図23に示すように、セミアクティブダンパ7の発生する減衰力F1 は、概ねスカイフックシステム6のスカイフックダンパ5の減衰力FS を再現することになるが、スカイフックダンパ5の減衰力FS のうち斜線部d〔ピストン速度Bの方向とスカイフックダンパ5の減衰力FS (上下絶対速度S′と180°異なる位相)の方向とが同じ方向(スカイフックダンパ5のスカイフック減衰力を再現できない方向。加振する方向)になっている部分(なお、時間で示せば時間Tの領域となる)〕では対応した大きさにはなっていない。これは、前記斜線部dでは、スカイフックダンパ5の減衰力FS は上向きの力(縮み減衰力)を要求しているのに対して、セミアクティブダンパ7は伸び行程にあり、縮み減衰力を発生できず(すなわち、セミアクティブダンパ7は、その伸縮に逆らう方向にしか減衰力を発生できず)、伸び側減衰力を最低値(0)に設定することにより起こるものである。
また、縮み側減衰力についても同様である。この場合、斜線部dに代る斜線部eでスカイフックダンパ5の減衰力FS を再現し得ないものになる。斜線部eに対応する時間も斜線部dの場合と同様に時間Tで示す。
【0012】
そして、前記図20に示す従来技術では、図23の時間Tの時間領域(斜線部d又は斜線部eに対応した部分)、すなわち、油圧ダンパ28がスカイフック減衰力を再現できない方向に作動している場合に、上述したように給排油弁29を作動して油圧ダンパ28に対して給排油(図23符号d´及びe´で示す)を行なって、所望の制振力〔理想とするスカイフック減衰力〕が得られるようにしている。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来技術は、セミアクティブサスペンション制御〔油圧ダンパ28〕及びアクティブサスペンション制御(給排油弁29)を組合せ、いわゆるハイブリッド型サスペンションを構成しており、エネルギー消費を抑えて所望の減衰力を発生することができ、便利なものとなっている。
しかしながら、上述した従来技術は、(1)アクティブシステムが高圧の油圧式であるため、機器(ポンプ、流量制御弁、アキュムレータ)が複雑であり、油圧機器の信頼性/耐久性の確保、性能維持、保守、油性状の管理、油圧配管を有することによる車両搭載性の悪さ等の問題点を有しており、その改善を図ることが望まれている。
【0014】
また、上述した従来技術は、(2)セミアクティブダンパ7(油圧ダンパ28)がスカイフック減衰力を再現できない方向に作動している場合、すなわちセミアクティブダンパ7(油圧ダンパ28)の制御力がゼロとなっている時にのみ、アクティブサスペンション(給排油弁29)が作動しており、セミアクティブダンパが制振側に働いており、ピストンの低速領域などで、油の圧縮性、取付ゴムブッシュの影響により、力不足等が発生する場合その補助は行なえない。
また、(3)油圧ダンパ28(図22ではセミアクティブダンパ7)がスカイフック減衰力を再現できない方向に作動している場合に生じ得る加振力〔必要とされる方向と逆方向の伸縮方向での動きに伴う力(後述する図9の加振力s12参照)〕をキャンセルすることができず、その分、スカイフック減衰力の再現性が低下する。
【0015】
なお、上記問題点の改善を図るために、車体25の振動抑制を電磁力ダンパのみを用いて行うことが考えられる。しかしながら、(4)電磁力ダンパのみで車体、特に鉄道車両のように重い車体の振動抑制を行なう場合、多大な電流が必要とされ、消費エネルギーが過大となる上、発熱量が増加することになる。また、(5)電磁力ダンパのみにより制振制御を行なう場合、ショート、断線などのフェイル時に対処することが難しくなる(フェイルセーフ性が悪くなる)。
【0016】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、良好な制振効果を発揮できる車体振動抑制装置を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明に係る車体振動抑制装置は、鉄道車両の車体と台車との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車体と前記台車との間に介装された電磁力ダンパとを設け、該電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせる電磁力ダンパ作動制御部を設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明に係る車体振動抑制装置は、車両の車体側と車輪側との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車体側と車輪側との間に介装された電磁力ダンパとを別個に並列に設け、該電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせる電磁力ダンパ作動制御部を設けたことを特徴とする。
請求項3記載の発明に係る車体振動抑制装置は、連結された車両と車両との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車両と車両との間に介装された電磁力ダンパとを設け、該電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせる電磁力ダンパ作動制御部を設けたことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の構成において、前記油圧ダンパが車体を制振する方向で作用する場合は、電磁力ダンパが発生する力を小さく若しくはゼロとし、油圧ダンパが車体を加振する方向で作用する場合は、電磁力ダンパが発生する力を大きくして車体の振動を抑制することを特徴とする。
請求項5記載の発明は、請求項1から3までのいずれかに記載の構成において、スカイフックダンパ理論に基づいて定められるスカイフック減衰力から前記油圧ダンパが発生している力を減算して得られる差分力が発生するように電磁力ダンパを調整する電磁力演算部を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項6記載の発明は、請求項1から5までのいずれかに記載の構成において、電磁力ダンパと該電磁力ダンパに電流を供給する電源とを接続する回路のフェイルが検出された場合、電磁力ダンパへの通電を停止させる電磁力ダンパ通電停止手段を備えたことを特徴とする。
請求項7記載の発明は、請求項1に記載の構成において、前記台車は、前記車体の前後側に夫々配置された第1、第2台車の2つの台車からなり、前記第1台車に対応して設けられる前記電磁力ダンパ及び前記油圧ダンパについて、前記第1台車の略中央部に設けた車体側取付部材を中心にして、前記車体の進行方向に対して左右方向の一方に前記電磁力ダンパが設けられ、他方に前記油圧ダンパが設けられ、前記第2台車に対応して設けられる前記電磁力ダンパ及び前記油圧ダンパについて、前記第2台車の略中央部に設けた車体側取付部材を中心にして、前記車体の進行方向に対して前記左右方向の一方に前記油圧ダンパが設けられ、他方に前記電磁力ダンパが設けられたことを特徴とする。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1実施の形態に係る車体振動抑制装置30を図1ないし図7、図20及び図23に基づいて説明する。図1ないし図3において、鉄道車両21は、レール22に移動可能に載置される2台の台車23,23A〔以下、図1左側(前方)の台車23を第1台車23、図1右側(後方)の台車23Aを第2台車23Aという。〕と、第1、第2台車23,23Aに緩衝部材24(図20参照)を介して水平方向及び上下動可能に載置される車体25とを備えている。
【0020】
車体25の下面部における第1台車23の略中央部に対応した部分には車体側取付部材(以下、車体側前方取付部材という。)26が固定されている。車体25の下面部における第2台車23Aの略中央部に対応した部分には車体側取付部材26(以下、車体側後方取付部材という。)26Aが固定されている。車体25の第1台車23及び第2台車23Aにそれぞれに対応した部分には左右方向の加速度を検出する加速度センサ(以下、便宜上、それぞれ、第1、第2加速度センサという。)31,31Aが別個に設けられている。
【0021】
車体側前方取付部材26と第1台車23の右側台車枠32との間には、減衰力可変型の油圧ダンパ28が介装されている。また、車体側前方取付部材26と第1台車23の左側台車枠33との間には電磁力ダンパ34が介装されている。この場合、油圧ダンパ28と車体側前方取付部材26との間、油圧ダンパ28と右側台車枠32との間には、図示しないピン付きのゴムブシュ構造が設けられており、車体25と第1台車23とはそれぞれ絶縁され、油圧ダンパ28のこじれ又はねじれ等をゴムの変形で逃げるようにしている。また、同様に、電磁力ダンパ34と車体側前方取付部材26との間、電磁力ダンパ34と右側台車枠32との間には、図示しないピン付きのゴムブシュ構造が設けられており、車体25と第1台車23とはそれぞれ絶縁されており、電磁力ダンパ34のこじれ又はねじれ等をゴムの変形で逃げるようにしている。油圧ダンパ28及び電磁力ダンパ34は、上述したように配置されることにより、第1台車23と車体25との間に並列に介装されたものになっている。そして、車体25が図2上側(進行方向に対して右側)に動く(振動する)と、油圧ダンパ28は縮み、電磁力ダンパ34は伸びることとなる。
【0022】
また、車体側後方取付部材26Aと第2台車23Aの左側台車枠33Aとの間には、減衰力可変型の油圧ダンパ28Aが介装されている。また、車体側後方取付部材26Aと第2台車23Aの右側台車枠32Aとの間には電磁力ダンパ34Aが介装されている。油圧ダンパ28A及び電磁力ダンパ34Aは、上述したように配置されることにより、第2台車23Aと車体25との間に並列に介装されたものになっている。
図3に示されるように、第1台車23の油圧ダンパ28及び電磁力ダンパ34の配列関係は、第2台車23Aの油圧ダンパ28A及び電磁力ダンパ34Aの配列関係と左右反対となっている。
【0023】
第2台車23Aの油圧ダンパ28Aは、第1台車23の油圧ダンパ28と同等特性を有している。又、第2台車23Aの電磁力ダンパ34Aは、第1台車23の電磁力ダンパ34と同等特性を有している。
以下、便宜上、第1、第2台車23,23A、油圧ダンパ28,28A及び電磁力ダンパ34,34Aを含め、第1、第2台車23,23Aで共通的に設けられる部材については、適宜、第1台車23側の部材で代表させて、重複した記載は行なわずに説明する。これと同様に、後述する他の実施の形態についても、適宜、重複した記載を避けて説明する。
【0024】
油圧ダンパ28は、図4の指示電流―減衰力特性及び図5のピストン速度―減衰力特性を有しており、いわゆる減衰力伸縮反転型とされている。すなわち、指示電流値をI1〜I2(I1>I2)とすることで伸び側の減衰力が大きい範囲で可変とする一方、縮み側減衰力を小さくする(なお、ゼロとしてもよい。)ようにしている。さらに、指示電流値をI2〜I3(I2>I3)とすることで縮み側の減衰力が大きい範囲で可変とする一方、伸び側減衰力を小さくする(なお、ゼロとしてもよい。)ようにしている。そして、この油圧ダンパ28は、上述した減衰力特性を有することから、伸び側の減衰力又は縮み側の減衰力を小さな値(又は値ゼロ)に固定することができるものになっている。
油圧ダンパ28(28A)の基本的な構成については、便宜上、後述する第4実施の形態(図14及び図15参照)で説明する。
【0025】
電磁力ダンパ34は、図6に示すように、指示電流値に応じて伸び側の力、縮み側の力を任意に発生できるようになっている。
油圧ダンパ28のアクチュエータ28aには電流調整部40を介して電源41が接続されており油圧ダンパ28のアクチュエータ28aへの電流(指示電流)を調整し得るようにしている。又、同様に電磁力ダンパ34には電流調整部42を介して電源41が接続されており電磁力ダンパ34への電流(指示電流)を調整し得るようにしている。また、電磁力ダンパ34及び電源41を接続する回路43には、この回路43のショート、断線などのフェイルを検出するフェイル検出手段44が設けられている。
電磁力ダンパ34(34A)の基本的な構成については、便宜上、後述する第4実施の形態(図13参照)で説明する。また、電磁力ダンパ34(34A)には、ストロークセンサが備えられており、コイルに対する磁石の相対位置(又は磁石に対するコイルの相対位置)を検出するようにしている。なお、このストロークセンサについては、便宜上、後述する第4実施の形態(図12参照)で説明する。
【0026】
前記第1、第2加速度センサ31,31A、油圧ダンパ28,28A用の電流調整部40、電磁力ダンパ34,34A用の電流調整部41、フェイル検出手段44及び電源41にはコントローラ45が接続されており、第1、第2加速度センサ31,31Aのセンサ信号などに応じて、スカイフック演算等を含む図7の演算処理を行なって制振制御を行なうようにしている。
【0027】
このように構成された車体振動抑制装置30の作用を、コントローラ45の演算内容と共に、図7に基づいて以下に説明する。
コントローラ45は電源41が投入されると、演算を開始し(ステップf1)、初期設定を行なう(ステップf2)。次に、制御周期が経過したか否かを判定する(ステップf3)。制御周期が経過していない場合はステップf3でNoと判定し、上流に戻り再度ステップf3の判定を行なう。
ステップf3の判定において、Yes(制御周期が経過した)と判定すると、前制御周期における演算結果に基づく指示電流の出力などの出力処理(ステップf4)、第1加速度センサ31のセンサ信号(実際には、第2加速度センサ31Aのセンサ信号も入力するが、上述したように、便宜上、第1台車23側のみを対象にして説明する。)等の入力(ステップf5)を順次、実施する。
【0028】
ステップf5に続いて、第1加速度センサ31のセンサ信号に基づいて左右方向の絶対速度を演算しスカイフック減衰力を求める等のスカイフック演算を行なう(ステップf6)。ステップf6で求めたスカイフック減衰力に基づいて、油圧ダンパ28の目標減衰力を決定する(ステップf7)。ステップf7に続いて、油圧ダンパ28は、加振作用(図23の時間Tの領域)を発揮するか否〔制振作用を発揮する〕かの判定を行なう(ステップf8)。
【0029】
ステップf8でYes(加振作用を発揮する)と判定すると、電磁力ダンパ34がスカイフック減衰力を発揮するように電磁力ダンパ34に指示電流を供給し(電磁力ダンパ34にスカイフック減衰力を設定し)〔ステップf9〕、ステップf3に戻る。
また、ステップf8でNo(制振作用を発揮する)と判定すると、電磁力ダンパ34への通電を停止し(電磁力ダンパ34を開放し)〔ステップf10〕、ステップf3に戻る。
【0030】
また、回路43にフェイルが発生した場合には、このフェイルをフェイル検出手段44が検出し、ステップf10と同様に電磁力ダンパ34への通電が停止され、油圧ダンパ28による単独制御に切り替えられる。なお、回路43にフェイルが検出された場合には、自動復旧又は修理などにより回路43が正常な状態になったことが確認されるまで電磁力ダンパ34への通電停止が継続される。
【0031】
この車体振動抑制装置30では、油圧ダンパ28が加振作用をするとき、即ち、油圧ダンパ28ではスカイフック減衰力を発生できないときに、この発生できないスカイフック減衰力を電磁力ダンパ34が分担して補い、油圧ダンパ28の制振作用時のスカイフック減衰力と合わせて理想的なスカイフック減衰力を確保するようにしている。
そして、上述したように理想的なスカイフック減衰力を確保する上で、電磁力ダンパ34がその一部を分担するので、その分、油圧ダンパ28の負担が減ることになる。このため、油圧ダンパ28に用いられるポンプ等の部材及び給排油系統を小型軽量にでき、ひいては装置全体の小型軽量化及び鉄道車両21への搭載性の向上を図ることができる。また、各部材及び及び給排油系統を小型化できることから保守し易くなる。また、小型化に伴い使用する油量が少なくなり管理し易くなる。
【0032】
油圧ダンパ28が加振作用を発揮する場合には、電磁力ダンパ34がスカイフック減衰力を発揮するように制御され〔ステップf9〕、スカイフックダンパ理論に基づくスカイフック減衰力を、油圧ダンパ28が加振作用をする領域をも含む広範囲にわたって発揮するので、制振性ひいては乗り心地の向上を図ることができる。
【0033】
また、電磁力ダンパ34は、油圧ダンパ28が加振作用を発揮する場合にのみ作動され、油圧ダンパ28が制振作用を発揮する場合には、通電が停止される(開放される)。このため、消費エネルギーは少なくて済む上、発熱量を抑制できる。
また、前記回路43にフェイルが発生した場合は、電磁力ダンパ34への通電が停止され、電磁力ダンパ34の予想外の挙動を回避することができると共に、油圧ダンパ28が制振制御を行うので、制振制御の停止を招くことがなく、良好なフェイルセーフ性を確保できる。
【0034】
また、第1台車23の油圧ダンパ28は、車体25の前方において車体25の右側に配置され、第2台車23Aの油圧ダンパ28Aは、車体25の後方において車体25の左側に配置されており、油圧ダンパ28,28Aを車体25の左右同一側に配置させていない。このため、第1台車23の電磁力ダンパ34の回路43及び第2台車23Aの電磁力ダンパ34の回路43にフェイルが同時に発生して、上述したように、両電磁力ダンパ34,34Aが開放されて、第1台車23の油圧ダンパ28及び第2台車23Aの油圧ダンパ28Aが作動する場合、車体25の左右側でバランスよく制振制御されるので、良好な走行安定性を確保することができる。
【0035】
次に、本発明の第2実施の形態に係る車体振動抑制装置を図8のフローチャート及び図9の波形図に基づいて説明する。
この第2実施の形態は、図8に示すように、ステップf1〜f7までの処理は前記第1実施の形態(図7)と同等である。そして、ステップf7に続いて、スカイフックダンパ理論に基づいて定められるスカイフック減衰力(目標となるスカイフック減衰力)から前記油圧ダンパ28が発生している力(油圧ダンパ力)を減算して〔(スカイフック減衰力)−(油圧ダンパ力)〕、この減算により得られる力(差分力)が発生するように電磁力ダンパ34を調整し(ステップf11)、ステップf3に戻る。本実施の形態では、ステップf11が電磁力演算部を構成している。
【0036】
この場合、油圧ダンパ力では、目標減衰力、図示しない油圧ダンパ速度検出器(ピストン速度検出器)の検出値に基づいて推定される推定減衰力、ダンパ力センサ値、又は油圧ダンパ28のシリンダ圧力からの換算により得られる減衰力値を用いるようにする。
【0037】
この第2実施の形態に係る車体振動抑制装置の作用を図9に基づいて説明する。図9に示すように、レール22が左右方向に変位(変位s1で示す)すると、車体25はs3に示すように変位する。この時、油圧ダンパ28はs2に示すように変位する。
また、車体25の左右速度、油圧ダンパ28のシリンダとピストンの相対速度はそれぞれ、s5及びs4に示すようになる。スカイフック減衰力は、車体25の左右速度s5と位相が180°ずれて、大きさがこれに比例するものであるから、s6で示されるようになる。
【0038】
また、油圧ダンパ28の油圧ダンパ力はs7に示すようになり、油圧ダンパ28が制振力を発生する(制振側に働く)場合は、スカイフック減衰力s6と同等の大きさの値s11となる。また、油圧ダンパ28が加振力を発生する(加振側に働く)場合は、減衰力を小さい値(以下、加振力という。)s12として振動伝達を最小に抑えている。言い換えると、値s12を示す領域(前記図23の時間Tの領域に相当する。)では、油圧ダンパ28はスカイフック減衰力s6を再現(模擬)できていない。
【0039】
一方、この第2実施の形態の電磁力ダンパ34が発生する力はs10に示すものになる。なお、前記第1実施の形態(図7のフローチャート)における電磁力ダンパ34の発生力(制御力)はs9に示すものになる。この制御力s9は、加振力s12をキャンセルできないため、スカイフック減衰力s6に比して歪50を発生することになる。このため、第1実施の形態の油圧ダンパ28の減衰力と電磁力ダンパ34の制御力s9の合力を求めると、スカイフック減衰力s6に対して歪50を有する波形の制御力(以下、第1実施形態制御力という。)s13となる。
【0040】
なお、この第1実施形態制御力s13は、歪50を有しているものの、上述したように、油圧ダンパ28が加振作用を発揮する場合には電磁力ダンパ34が分担して補うようにして得られるものであることから、油圧ダンパ28のみにより得られる油圧ダンパ力s7と異なり、制御できない領域(図23の時間Tの領域)がなくなり、その分、上述したようにスカイフック減衰力の再現をより近い形で果たすことができる。
【0041】
また、この第2実施の形態の電磁力ダンパ34の発生力(制御力)s10は、スカイフック減衰力s6から油圧ダンパ力はs7を減算する(s6−s7)ことにより得られるものであり、加振力s12が考慮されているので、油圧ダンパ28の減衰力と電磁力ダンパ34の発生力s10の合力を求めると、スカイフック減衰力s6と同等の波形の制御力(以下、第2実施形態制御力という。)s14となる。第2実施形態制御力s14を第1実施形態制御力s13と比較して明らかなように、この第2実施の形態によれば、スカイフック減衰力s6を、より精度高く再現(模擬)できることになる。
【0042】
次に、本発明の第3実施の形態に係る車体振動抑制装置30を図10のフローチャート及び図11の波形図に基づいて説明する。
この第3実施の形態は、図10に示すように、ステップf1〜f5までの処理は、前記第1、第2実施の形態と同等である。そして、ステップf5に続いて、図示しない車速センサが検出する車速Kが油圧ダンパ28による制御(セミアクティブ制御)を必要とする車速(セミアクティブイネーブル車速K1)以上であるか否か〔K≧K1?〕を判定する(ステップf12)。
【0043】
ステップf12でNo(K<K1。セミアクティブイネーブル車速K1未満である)と判定すると、油圧ダンパ28の減衰力を固定する(ステップf14)と共に、電磁力ダンパ34を開放し消費エネルギーの低減を図り、発熱しやすい電磁力ダンパ34の放熱を行なって冷却させ (ステップf15)、ステップf3に戻る。
【0044】
ステップf12でYes(K≧K1。セミアクティブイネーブル車速K1以上である)と判定すると、車速が電磁力ダンパ28による制御(アクティブ制御)を必要とする車速(アクティブイネーブル車速K2)以上であるか否か〔K≧K2?〕を判定する(ステップf13)。
ステップf13でNo(K<K2。アクティブイネーブル車速K2未満である)と判定すると、スカイフック演算を行ない(ステップf16)、油圧ダンパ28の目標減衰力を求める演算(セミアクティブ制御演算)を行ない(ステップf17)、さらに、この車速において、電磁力ダンパ34を開放して油圧ダンパ28のみによる車体25の制振を行ない(ステップf18)、ステップf3に戻る。なお、上述したステップf18による車体25の制振の際には、電磁力ダンパ34は開放され放熱(冷却)状態となる。
【0045】
ステップf13でYes(K≧K2)と判定する、即ち、アクティブ制御が必要であると判定した場合、スカイフック演算を行ない(ステップf19)、油圧ダンパ28の目標減衰力を求める演算(セミアクティブ制御演算)を行ない(ステップf20)、さらにステップf20に続いて、スカイフックダンパ理論に基づいて定められるスカイフック減衰力(目標となるスカイフック減衰力)から前記油圧ダンパ28が発生している力(油圧ダンパ力)を減算して〔(スカイフック減衰力)−(油圧ダンパ力)〕、この減算により得られる力(差分力)が発生するように電磁力ダンパ34を調整し(ステップf21)、ステップf3に戻る。本実施の形態では、ステップf21が電磁力演算部を構成している。
本実施の形態では、上述したようにステップf12及びステップf13の判定により、電磁力ダンパ34の作動を低車速域(車速k1未満又は車速K2未満)では行なわず(ステップf15、ステップf18)、高車速域(車速K2を超える車速領域)でのみ行なう (ステップf20)ようにしており、ステップf12,f13,f15,f18,f20が電磁力ダンパ作動制御部を構成している。
【0046】
この第3実施の形態に係る車体振動抑制装置の作用を、図11に基づいて説明する。
鉄道車両21の車速Kがセミアクティブイネーブル車速K1より低い時間Taまでは、油圧ダンパ28及び電磁力ダンパ34は共に作動しておらず、この車体振動抑制装置30はパッシブダンパの状態にある。車速Kが上昇し、時間Taにセミアクティブイネーブル車速K1を超えると油圧ダンパ28は、セミアク制御オンとなり、積極的に車体25の振動を低減させ始める。しかし、車速Kがセミアクティブイネーブル車速K1を超えた程度の車速領域(アクティブイネーブル車速K2に達していない車速領域)ではアクティブ制御までは必要でなく電磁力ダンパ34は開放状態とされ、放熱(冷却)状態にある。
【0047】
さらに、車速Kが上昇し、時間Tbにアクティブイネーブル車速K2を超えると油圧ダンパ28は、アクティブ制御が必要となり、電磁力ダンパ34も制御がオンとなり、装置全体としてはアクティブサスペンション制御となる。
また、走行中も、時間Tc〜Tdの時間領域に示すように車速Kが低下してK1〜K2の車速領域(K1<K<K2)になると、電磁力ダンパ34は開放され、放熱(冷却)状態になる。
一般に鉄道車両では、低車速に比して高車速の方が振動しやすいが、本実施の形態では、電磁力ダンパ34の作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせるため、振動の発生に対して電磁力ダンパ34を使用する機会が多くなり、その分、電磁力ダンパ34の有効利用を図ることができる。
【0048】
また、低車速域においては、電磁力ダンパ34への通電は停止されるので、消費エネルギーの低減及び電磁力ダンパ34の冷却を効率的に行うことができる。また、この実施の形態においても、フェイル検出手段44が回路43のフェイルを検出した場合、電磁力ダンパ34への通電を停止して、車体25の振動の制振を油圧ダンパ28で行なうようにしている。フェイル発生時には、電磁力ダンパ34を停止して油圧ダンパ28に制振作用を発揮させるので、フェイルセーフ性の向上を図ることができる。
【0049】
次に、本発明の第4実施の形態に係る車体振動抑制装置を図12〜図19に基づいて説明する。なお、図1〜図11に示す部材、部分と同等の部材、部分は同一の符号を用い、その説明は、適宜省略する。
この第4実施の形態では、前記第1実施の形態に比して、図7に示す演算制御を行うコントローラ45(図1)に代えて、図12に示すように、後述する図19に示す演算制御を行うコントローラ45Aを設けたこと、減衰力―ストローク速度特性が前記第1実施の形態のものと異なる油圧ダンパ28(28A)〔減衰力―ストローク速度特性が異なるが、便宜上、第1実施の形態と同一の符号で示す。〕を設けたこと、及びコントローラ45Aに車両の現在位置を示す地点情報D1、現在時刻を示す時刻情報D2が入力されること、車速センサ61を設けたことが大きく異なっている。
この第4実施の形態では、車体振動抑制装置が新幹線車両に用いられる場合を例にする。
【0050】
電磁力ダンパ34(34A)及び油圧ダンパ28(28A)は、前記第1実施の形態で用いたものと同等のものが用いられている。ここで、それぞれの基本的な構成について説明する。
電磁力ダンパ34(34A)は、略有底の二重筒状の基準ヨーク101を有している。この基準ヨーク101は、一端側に底部103を有する大径の外側ヨーク104と、この外側ヨーク104の一端側の底部103に形成された孔102の縁部から立上るようにして外側ヨーク104と一体的に設けられた筒状のセンターヨーク105とから大略構成されている。センターヨーク105は、外側ヨーク104の軸方向に沿って延び、先端側(図13右側)が後述するボビン106の底部115に臨んでいる。
【0051】
外側ヨーク104は、底部103を介してセンターヨーク105に連接する外側ヨーク本体108と、外側ヨーク本体108の先端部に嵌合して外側ヨーク本体108と一体化された筒状の外側ヨーク補助部109とから大略構成されている。外側ヨーク本体108及び外側ヨーク補助部109は略同等長さに設定されており、両者の嵌合部10が外側ヨーク104の略中心位置になるようにしている。
【0052】
外側ヨーク補助部109の嵌合部10の内側及び外側ヨーク補助部109の先端部(図13右側)の内側には、それぞれ、ボビン本体113(後述する)の外周部に摺動するドライメタル111が設けられている。ドライメタル111は、ボビン本体113に対してかじりやこじりを起こすことなく低摩擦で摺動することを可能とする特性を有している。ドライメタル111の外気側には塵埃の内部への侵入防止のために図示しないシール部材が設けられている。外側ヨーク104とセンターヨーク105との間には、前記ボビン106が挿入されている。ボビン106は、円板状の底部115と、底部115を嵌合するようにしてこの底部115から直立して設けられた筒状の前記ボビン本体113とから大略構成されている。
【0053】
ボビン本体113の内周側には、先端部(図13中左側)からボビン本体113の略中央部分までの範囲にわたって、略円筒状に形成されたコイル122が設けられている。コイル122は、Y結線されるU相、V相及びW相の3相のコイル群からなり、電流調整部〔電磁力ダンパドライバ〕42(42A)を介してコントローラ45Aに接続されている。一方、センターヨーク105の外周部には、複数個のリング状の永久磁石124が、コイル122との間にギャップ(符号省略)を形成させた状態で、センターヨーク105の基端部の近傍部分(図13中左側)から先端部(図13中右側)までの範囲にわたって設けられている。そして、複数個の永久磁石124は、図13に示すように、外周側(コイル122側)の磁極が、軸方向に交互に異なる(N極、S極、N極、S極、 … )ように、予め着磁されている。
【0054】
この構成の電磁力ダンパ34(34A)は、大略、永久磁石124とコイル122との間にギャップを形成した状態で、基準ヨーク101の外側ヨーク104とセンターヨーク105との間の環状空間部に、ボビン106の筒状のボビン本体113が挿入され、ボビン106がドライメタル111を介して外側ヨーク104に摺動可能とされており、基準ヨーク101に対し相対伸縮可能になっている。
【0055】
ボビン106(永久磁石124)が、基準ヨーク101(コイル122)に対してストロークすれば、フレミング右手則によりコイル122には起電力が発生する。すなわち、電磁力ダンパ34(34A)は、発電機として動作し、コイル122の端子端を抵抗などのエネルギー消費部材を介して接続すれば、コイル122ひいてはエネルギー消費部材に電流が流れ、前記ボビン106(永久磁石124)及び基準ヨーク101(コイル122)の相対変位エネルギーが消費される。この結果、この電磁力ダンパ34(34A)は、ストローク速度に応じた減衰力を発生することになる。
【0056】
また、コイル122と永久磁石124との相対的な位置関係(電気角)をストロークセンサ60(60A)により求めることが可能である。そして、この相対的な位置関係(電気角)に応じて、コイル122に電流を流せば、この電磁力ダンパ34(34A)はモータ(アクチュエータ)〔3相同期モータ〕として機能し、コイル122への通電により前記永久磁石124との間に生じる電磁力によって推進力を得ることになる。
【0057】
第4実施の形態の油圧ダンパ28は、図14及び図15に示すように、シリンダボア201及びリザーバ室202を有し両端側が閉塞された略筒状のダンパ本体203と、シリンダボア201及びリザーバ室202に連通してダンパ本体203に設けられる流路調整機構204とから大略構成されている。ダンパ本体203は、シリンダボア201内に摺動可能に収納されて、シリンダボア201を第1、第2室205,206に画成するピストン207と、一端側がピストン207に連結されたピストンロッド208とを有している。ピストンロッド208の他端側は、ダンパ本体203の一端部(図14左側)に形成した孔(符号省略)をシール状態で挿通されて外部に突出されている。ピストンロッド208が車体側前方取付部材26(車体25側)に取付けられ、ダンパ本体203が第1台車23の右側台車枠32に取付けられている。この取付け関係は反対にしてもよい。前記ピストン207及びピストンロッド208については、断面積の比が2:1になるように径寸法が定められている。
【0058】
リザーバ室202は、シリンダボア201に沿うようにして、ダンパ本体203の一端部から他端部(以下、底板という。)210まで延びて形成されている。ダンパ本体203の底板210には、一端部がリザーバ室202に連通し、他端部がダンパ本体203の外部に開口する通路(底板通路)215が形成されている。底板210には、底板通路215と第2室206を連通する孔216が形成され、この孔216に対面するようにして第2室206側には、逆止弁(底板逆止弁)217が設けられている。ピストン207には第1、第2室205,206を連通する孔218が形成され、この孔218に対面するようにして第1室205側には、逆止弁(ピストン逆止弁)219が設けられている。
【0059】
流路調整機構204は、第1室205及び底板通路215に連通するように設けられたリリーフ弁機構230と、このリリーフ弁機構230に並列するように設けられたオリフィス機構231とを備えている。リリーフ弁機構230は、直列に接続された伸び行程用リリーフ弁232及び縮み行程用リリーフ弁233から大略構成されている。伸び行程用リリーフ弁232及び縮み行程用リリーフ弁233は、油圧がある一定の圧力(リリーフ圧力)に達すると開弁するようになっており、減衰力の上がり過ぎを防ぐ。オリフィス機構231は、直列に接続された伸び行程用可変オリフィス234及び縮み行程用可変オリフィス235から大略構成されている。伸び行程用、縮み行程用リリーフ弁232,233の接続部(符号省略)と伸び行程用、縮み行程用可変オリフィス234,235の接続部(符号省略)とは連通され、両接続部はさらに連通路236を介して第2室206に連通されている。
【0060】
第4実施の形態の油圧ダンパ28は、伸び行程時には、図14に示すようにピストン逆止弁219が閉弁し、第1室205の油圧が上昇する(第1室205が圧力室となる)。すると、伸び行程用可変オリフィス234と伸び行程用リリーフ弁232に作動油が流れ、減衰力が発生する。このとき、伸び行程用可変オリフィス234の絞りを変えると減衰力を任意に変更できる。なお、作動油は第2室206に供給されると共に、ピストン207及びピストンロッド208の体積分の作動油がリザーバ室202から第2室206に供給され、次の行程に備える。
【0061】
また、縮み行程時には、図15に示すように底板逆止弁217が閉弁すると共にピストン逆止弁219が開弁し、第2室206の油圧が上昇する(第2室206が圧力室となる)。すると、縮み行程用可変オリフィス235と縮み行程用リリーフ弁233に作動油が流れ、減衰力が発生する。このとき、縮み行程用可変オリフィス235の絞りを変えると減衰力を任意に変更できる。なお、作動油はリザーバ室202に戻され、次の行程に備える。
【0062】
ピストン207及びピストンロッド208については、断面積の比が2:1になるように設定されているので、ピストンロッド208、ピストン207の伸縮による可変オリフィス(伸び行程用、縮み行程用可変オリフィス234,235)への作動油の通過流量及びリリーフ弁(伸び行程用、縮み行程用リリーフ弁232,233)への作動油の通過流量が同等になる。このため、伸び行程及び縮み行程とも同等の減衰力特性を得ることができる。
【0063】
第4実施の形態の油圧ダンパ28は、図16に示す減衰力―ストローク特性を有しており、縮み側減衰力を制御している場合は、伸び側減衰力が最低(アンロード)となり、一方、伸び側減衰力を制御している場合は縮み側減衰力が最低(アンロード)となる減衰力反転式とされている。このため、例えば、縮み側減衰力を縮み行程用可変オリフィス235によって可変制御している場合は、伸び行程用可変オリフィス234は絞りを常に最大〔絞り径を最大とし、絞りが開放された状態〕とし、伸び側減衰力をアンロード状態とするように制御される。
【0064】
上述した可変オリフィス(伸び行程用、縮み行程用可変オリフィス234,235)の絞り調整については、比例ソレノイドを用いて行うことが可能であり、このように構成することにより減衰力を連続的に可変制御することができるようになる。なお、減衰力を連続的に可変制御する必要がなければ,可変オリフィス(伸び行程用、縮み行程用可変オリフィス234,235)を多段の電磁弁(オン/オフ弁)等に置き換えて、減衰力を多段切換することができる。
【0065】
この第4実施の形態では、上述したように車体振動抑制装置が新幹線車両に用いられるが、その新幹線車両における車速と車体の左右振動レベルとの関係を図示すると、例えば、図17に示すようになる。すなわち、車速がおよそ200Km/hまでは車体の左右振動レベルは車速に比例して略直線的に増加し、200Km/hを超える車速では、車体の左右振動レベルが急激に増加する特性を有する。
【0066】
この第4実施の形態では、電磁力ダンパのみでの振動抑制に伴う消費エネルギーの過大及び発熱量の増加を回避するため、後述するように車速などに応じて、油圧ダンパのみでの振動抑制と、電磁力ダンパ及び油圧ダンパを共に用いる振動制御(便宜上、両ダンパ併用制御という。)とを選択的に実行するようにしている。そして、油圧ダンパのみでの振動抑制及び両ダンパ併用制御による車体の左右振動加速度(車体共振周波数付近の)の低減度合いは、図19に示すようになる。すなわち、上述したように車速が200Km/hを超えると、車体の左右振動レベルが急激に増加するが、前記車速が200Km/hを超える範囲では、油圧ダンパのみでの振動抑制及び両ダンパ併用制御のいずれの振動制御の場合も、左右振動加速度の低減度合い、ひいては制御効果が大きい。この場合、油圧ダンパのみでの振動抑制及び両ダンパ併用制御について比較すると、両ダンパ併用制御の方が車速の大きさによらず制御効果が大きく、両者に差があるものになっている。特に、車速が大きい領域で、両者(両ダンパ併用制御による左右振動の低減度合い、油圧ダンパのみでの振動抑制による左右振動の低減度合い)の差がより顕著になる。
【0067】
一方、車速が200Km/h以下では、両者(両ダンパ併用制御による左右振動の低減度合い、油圧ダンパのみでの振動抑制による左右振動の低減度合い)の差は小さい。これは、車速が200Km/h以下では、図17に示されるように車体の左右振動レベルがあまり大きくないために、制御効果に差が出にくいためである。
【0068】
また、電磁力ダンパ34は、連続して大きな力を出していると、コイルが過熱しやすいという課題がある。このため、コイルの熱を放熱しやすい構造にする必要がある。しかし、スペース上の制約がある等のことから、ヒートシンク等を設けにくく、放熱性を大きくすることが難しい。また、制御効果を得るために大きな力を出していると、消費電力も増大してしまうという課題がある。
【0069】
本実施の形態では、電磁力ダンパ34が有する上記課題を解決するように、上述したように、車速などに応じて、油圧ダンパのみでの振動抑制と、両ダンパ併用制御とを選択的に実行するようにしている。
ここで、本実施の形態のコントローラ45Aの制御内容を図19に基づいて説明する。この説明に合わせて、油圧ダンパのみでの振動抑制又は両ダンパ併用制御の選択の判定条件を説明する。
【0070】
コントローラ45Aは、図19に示すように、所定のサンプリング周期(本実施の形態では10ms)毎に処理を行ない、まず、車速センサ61からの車両速度情報(車速)を取り込み(ステップf31)、これに続いて、地点情報D1の取り込み(ステップf32)、現在時刻情報D2の取り込み(ステップf33)を順次行なう。
ステップf33に続いて、車速が200Km/h以上か否かを判定する(ステップf34)。車速が200Km/h以上である(Yes)と判定すると、両ダンパ併用制御を選択して実行する(ステップf35)。
【0071】
車速が200Km/h未満である(No)と判定すると、駅に停車中であるか否かを車速センサ61の検出値がゼロ(0)であるか否かにより判定する(ステップf36)。なお、駅等に停車している場合、後続車両の通過待ちや、対向する車両とのすれ違い等が起こる場合がある。この際、停車している車両と通過車両、あるいはすれ違い車両とは、速度差が大きいため、停車している車両には大きな左右振動が発生することが知られている。従って、駅等に車両が停車している場合(車速が0の場合)、両ダンパ併用制御を用いた方が左右振動の抑制に有効なものとなる。
車両の停車に対して上記事情があることに基づき、ステップf36の判定を行ない、このステップf36で、停車中(例えば駅に停車中)である(Yes)と、判定すると、ステップf35に進んで両ダンパ併用制御〔油圧ダンパ+電磁力ダンパで左右振動を制御〕を選択して実行する。
【0072】
また、ステップf36で駅に停車中でない(No)と判定すると、地点情報D1に基づいて、車両がポイントを通過するタイミングであるか否かを判定する(ステップf37)。駅構内へ車両が進入する場合、車速が小さくてもポイントの通過を伴うと大きな左右振動を生じる。ポイントの通過と左右振動の発生には上記対応関係があることに基づき、上記ステップf37の判定を行なう。そして、このステップf37で、ポイント通過タイミングである(Yes)と判定すると、ステップf35に進んで両ダンパ併用制御を選択して実行する。
【0073】
また、ステップf37でポイント通過タイミングでない(No)と判定すると、地点情報D1に基づいて、車両がトンネルを通過するタイミングであるか否かを判定する(ステップf38)。車両がトンネルを通過する際も、車両には大きな左右振動が生じることが知られている。トンネルの通過と左右振動の発生には上記対応関係があることに基づき、上記ステップf38の判定を行なう。そして、このステップf38で、トンネル通過タイミングである(Yes)と判定すると、ステップf35に進んで両ダンパ併用制御を選択して実行する。
【0074】
また、ステップf38でトンネル通過タイミングでない(No)と判定すると、地点情報D1及び現在時刻情報D2に基づいて、車両がすれ違いであるか否かを判定する(ステップf39)。車両がすれ違う場合、たとえ車両が200Km/h以下で走行していても、車両には大きな左右振動が生じることが知られている。車両のすれ違いと左右振動の発生には上記対応関係があることに基づき、上記ステップf39の判定を行なう。そして、このステップf39で、車両すれ違いタイミングである(Yes)と判定すると、ステップf35に進んで両ダンパ併用制御を選択して実行する。また、ステップf39で車両すれ違いタイミングでない(No)と判定すると、油圧ダンパのみでの振動抑制〔油圧ダンパのみで左右振動を制御〕を実行する(ステップf40)。
【0075】
この第4実施の形態では、車両に大きな左右振動が生じると予想されるような場合には、両ダンパ併用制御(ステップf35)を実行して、左右振動を確実に抑制する。また、車両に大きな左右振動が発生する虞が少ないときは、油圧ダンパのみでの振動抑制を実行する(ステップf40)。このため、発生する左右振動の大きさに適切に対処した振動制御を行うことができる。また、上述した制御を行うことにより、電磁力ダンパ34,34Aの作動は、車両に大きな左右振動が発生する虞が少ないとき(例えば低車速域での走行時)には行なわれず、車両に大きな左右振動が生じると予想されるような場合(例えば高車速域での走行時)にのみ行なわれるので、振動抑制を電磁力ダンパ34,34Aを常に用いて行なう場合に比して、消費エネルギーが少なくて済む上、発熱量を抑制できる。また、低車速に比して振動しやすい高車速時に電磁力ダンパを使用する機会が多くなり、その分、電磁力ダンパ34,34Aの有効利用を図ることができる。
【0076】
なお、上記各実施の形態では、油圧ダンパ28,28Aが反転型である場合を例にしたが、これに限らず、非反転型、多段切換型、2段切換式セミアクティブシステムを適用するようにしてもよい。
また、上記各実施の形態では、鉄道の横揺れ用の装置について記載したが、これに限らず、鉄道の上下振動用や、車両間に設けられるダンパに用いてもよく、さらに、自動車の上下振動にも適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
請求項1、請求項4から請求項7に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、鉄道車両の車体と台車との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車体と前記台車との間に介装された電磁力ダンパとを設けたので、油圧ダンパ及び電磁力ダンパが車体の振動抑制を分担して果たすようにすることにより、油圧ダンパの負担を減らして、油圧ダンパに用いられるポンプ等の部材及び給排油系統を小型軽量にでき、ひいては装置全体の小型軽量化及び鉄道車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
さらに、電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせるので、振動抑制を電磁力ダンパを常に用いて行なう場合に比して、消費エネルギーが少なくて済む上、発熱量を抑制できる。また、低車速に比して振動しやすい高車速時に電磁力ダンパを使用する機会が多くなり、その分、電磁力ダンパの有効利用を図ることができる。
【0078】
請求項2、請求項4から請求項6に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、車両の車体側と車輪側との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車体側と車輪側との間に介装された電磁力ダンパとを別個に並列に設けたので、油圧ダンパ及び電磁力ダンパが車体の振動抑制を分担して果たすようにすることにより、油圧ダンパの負担を減らして、油圧ダンパに用いられるポンプ等の部材及び給排油系統を小型軽量にでき、ひいては装置全体の小型軽量化及び車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
さらに、電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせるので、振動抑制を電磁力ダンパを常に用いて行なう場合に比して、消費エネルギーが少なくて済む上、発熱量を抑制できる。また、低車速に比して振動しやすい高車速時に電磁力ダンパを使用する機会が多くなり、その分、電磁力ダンパの有効利用を図ることができる。
【0079】
請求項3、請求項4から6に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、連結された車両と車両との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車両と車両との間に介装された電磁力ダンパとを設けたので、油圧ダンパ及び電磁力ダンパが車体の振動抑制を分担して果たすようにすることにより、油圧ダンパの負担を減らして、油圧ダンパに用いられるポンプ等の部材及び給排油系統を小型軽量にでき、ひいては装置全体の小型軽量化及び車両への搭載性の向上を図ることが可能となる。
さらに、電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせるので、振動抑制を電磁力ダンパを常に用いて行なう場合に比して、消費エネルギーが少なくて済む上、発熱量を抑制できる。また、低車速に比して振動しやすい高車速時に電磁力ダンパを使用する機会が多くなり、その分、電磁力ダンパの有効利用を図ることができる。
【0080】
請求項4に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、上記効果に加えて、油圧ダンパが車体を加振する方向で作用する場合に、電磁力ダンパが発生する力を大きくして車体の振動を抑制するので、車体制振を行なう上で油圧ダンパでは不足となる制御力を電磁力ダンパが補うことができ、良好な制振性を確保することができる。請求項7に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、上記効果に加えて、スカイフックダンパ理論に基づいて定められるスカイフック減衰力から前記油圧ダンパが発生している力を減算して得られる差分力が発生するように電磁力ダンパを調整するので、油圧ダンパが車体を加振する方向で作用する場合における当該加振力を前記差分力がキャンセルするように構成することにより、スカイフック減衰力の再現性を向上して良好な制振性を確保することが可能となる。
【0081】
請求項6に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、上記効果に加えて、電磁力ダンパと該電磁力ダンパに電流を供給する電源とを接続する回路のフェイルが検出された場合、電磁力ダンパへの通電を停止させる電磁力ダンパ通電停止手段を備えたので、前記回路のフェイルが検出された場合、電磁力ダンパへの通電を停止し、車体振動の制振を油圧ダンパで行なうようにすることが可能であり、これによりフェイルセーフ性の向上を図ることができる。
請求項7に記載の発明に係る車体振動抑制装置によれば、前記台車は、前記車体の前後側に夫々配置された第1、第2台車の2つの台車からなり、前記第1台車に対応して設けられる前記電磁力ダンパ及び前記油圧ダンパについて、前記第1台車の略中央部に設けた車体側取付部材を中心にして、前記車体の進行方向に対して左右方向の一方に前記電磁力ダンパが設けられ、他方に前記油圧ダンパが設けられ、前記第2台車に対応して設けられる前記電磁力ダンパ及び前記油圧ダンパについて、前記第2台車の略中央部に設けた車体側取付部材を中心にして、前記車体の進行方向に対して左右方向の一方に前記電油圧ダンパが設けられ、他方に前記電磁力ダンパが設けられたので、上記効果に加えて、前記両電磁力ダンパについて、その制御回路のフェイルなどに起因する開放に際しても、前記両油圧ダンパの作動により車体の左右側でバランスよく制振制御が行われ、良好な走行安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施の形態に係る車体振動抑制装置が用いられる鉄道車両を模式的に示す側面図である。
【図2】図1の第1台車における車体振動抑制装置を模式的に示す平面図である。
【図3】第1実施の形態における油圧ダンパ及び電磁力ダンパの配置状態を模式的に示す平面図である。
【図4】図2の油圧ダンパの電流―減衰力特性を示す図である。
【図5】図2の油圧ダンパのピストン速度―減衰力特性を示す図である。
【図6】図2の電磁力ダンパの電流―発生力特性を示す図である。
【図7】図1のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図8】本発明の第2実施の形態に係る車体振動抑制装置のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図9】第2実施の形態の作用を説明するための各種発生力等を時間対応させて示す図である。
【図10】本発明の第3実施の形態に係る車体振動抑制装置のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図11】第3実施の形態の作用を説明するための車速及び各種発生力等を時間対応させて示す図である。
【図12】本発明の第4実施の形態に係るコントローラを含む制御回路を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4実施の形態に係る電磁力ダンパを示す断面図である。
【図14】本発明の第4実施の形態に係る油圧ダンパの伸び行程時の油圧回路を模式的に示す図である。
【図15】図14の油圧ダンパの縮み行程時の油圧回路を模式的に示す図である。
【図16】図15の油圧ダンパの減衰力―ストローク速度特性を示す図である。
【図17】車速と車体の左右振動レベルと関係を示す図である。
【図18】油圧ダンパ単独の場合及び電磁力ダンパ及び油圧ダンパの場合のそれぞれの場合における、車速と左右振動の低減度合との関係を示す図である。
【図19】図12のコントローラの制御内容を示すフローチャートである。
【図20】従来の一例の車体振動抑制装置を用いた鉄道車両の前方部分を模式的に示す背面図である。
【図21】スカイフックダンパ理論を説明するためのスカイフックシステムを模式的に示す図である。
【図22】スカイフックダンパ理論を説明するためのセミアクティブシステムを模式的に示す図である。
【図23】スカイフックシステム、セミアクティブシステムの作用を模式的に示すための波形図である。
【符号の説明】
23 第1台車
25 車体
28 油圧ダンパ
30 車体振動抑制装置
34 電磁力ダンパ
Claims (7)
- 鉄道車両の車体と台車との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車体と前記台車との間に介装された電磁力ダンパとを設け、該電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせる電磁力ダンパ作動制御部を設けたことを特徴とする車体振動抑制装置。
- 車両の車体側と車輪側との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車体側と車輪側との間に介装された電磁力ダンパとを別個に並列に設け、該電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせる電磁力ダンパ作動制御部を設けたことを特徴とする車体振動抑制装置。
- 連結された車両と車両との間に介装された減衰力可変の油圧ダンパと、前記車両と車両との間に介装された電磁力ダンパとを設け、該電磁力ダンパの作動を低車速域では行なわせず高車速域でのみ行なわせる電磁力ダンパ作動制御部を設けたことを特徴とする車体振動抑制装置。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の構成において、前記油圧ダンパが車体を制振する方向で作用する場合は、電磁力ダンパが発生する力を小さく若しくはゼロとし、油圧ダンパが車体を加振する方向で作用する場合は、電磁力ダンパが発生する力を大きくして車体の振動を抑制することを特徴とする車体振動抑制装置。
- 請求項1から3までのいずれかに記載の構成において、スカイフックダンパ理論に基づいて定められるスカイフック減衰力から前記油圧ダンパが発生している力を減算して得られる差分力が発生するように電磁力ダンパを調整する電磁力演算部を設けたことを特徴とする車体振動抑制装置。
- 請求項1から5までのいずれかに記載の構成において、電磁力ダンパと該電磁力ダンパに電流を供給する電源とを接続する回路のフェイルが検出された場合、電磁力ダンパへの通電を停止させる電磁力ダンパ通電停止手段を備えたことを特徴とする車体振動抑制装置。
- 請求項1に記載の構成において、
前記台車は、前記車体の前後側に夫々配置された第1、第2台車の2つの台車からなり、
前記第1台車に対応して設けられる前記電磁力ダンパ及び前記油圧ダンパについて、前記第1台車の略中央部に設けた車体側取付部材を中心にして、前記車体の進行方向に対して左右方向の一方に前記電磁力ダンパが設けられ、他方に前記油圧ダンパが設けられ、
前記第2台車に対応して設けられる前記電磁力ダンパ及び前記油圧ダンパについて、前記第2台車の略中央部に設けた車体側取付部材を中心にして、前記車体の進行方向に対して前記左右方向の一方に前記油圧ダンパが設けられ、他方に前記電磁力ダンパが設けられたことを特徴とする車体振動抑制装置。
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