JP4085235B2 - プーリ支持用単列玉軸受 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベルトによって駆動されるカーエアコンコンプレッサ用電磁クラッチなどの自動車補機用のプーリを支持するのに好適な多点接触玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】
上記のようなプーリを軸受で支持した場合、プーリに掛け回されるベルトの幅方向中心位置と軸受の軸方向中心位置とがずれている場合がある。この場合、ベルトの張力は、軸受にラジアル荷重を与えると同時に、上記ずれ(オフセット)量に比例したモーメント荷重を与える。モーメント荷重は、支持軸に対してプーリを傾けるように作用する。
ここで、プーリが大きく傾くと、ベルトが偏磨耗し、ベルト早期破損の原因となる。また、電磁クラッチの場合には、プーリの変位や傾きが大きくなると、クラッチOFFの状態に必要な、クラッチ部材間の一定の隙間が確保されない。クラッチ部材間の隙間が大きくなると電磁クラッチの動作不良が生じ、逆に隙間が小さくなると部材の衝突や磨耗、異音発生などの不具合が生じる。したがって、このような用途には、従来、剛性の高い複列アンギュラ玉軸受が用いられてきた。
【0003】
しかし、昨今、自動車のコンパクト化、コストダウン化に対応するため、プーリ支持用軸受を単列化する傾向がある。複列アンギュラ玉軸受は、単列玉軸受に比べて幅寸法が大きいため、昨今の自動車に要求される省スペース化には適さない。また、複列アンギュラ玉軸受は、構造上も大きさからも、単列玉軸受に比べてコスト高になる。
【0004】
プーリ支持用単列軸受として、上記のようなプーリの変位や傾きを抑える必要から、モーメント剛性の高い4点接触玉軸受や、3点接触玉軸受を使おうとする動きがある(例えば、特開平11−336795号公報、特開平11−210766号公報、特開2000−120668号公報等)。
【0005】
また、複列アンギュラ玉軸受を使用した際に発生する異音抑制の観点から、4点接触玉軸受や3点接触玉軸受を使おうとする動きもある(例えば、特開平9−119510号公報、特開平9−126303号公報、特開2000−170752号公報等)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記4点接触玉軸受や3点接触玉軸受では、特開平11−210766号公報で指摘されているように、転動体である玉と2点で接触する軌道輪上において、玉と軌道間のスピン運動によるすべりが大きく、過大な発熱、焼付き、磨耗などの問題が生じやすい。プーリ支持用軸受は自動車のエンジン近傍で使用されるため、使用条件によっては、軸受周囲の温度がかなりの高温になる。周囲が高温で、更に軸受内部の発熱が高いとき、軸受内部の温度、特に玉と内輪軌道との接触楕円内で、局所的に温度が著しく高くなることが想定できる。
この局所的な高温にさらされることで、軸受内部の潤滑グリースが劣化し、潤滑不良から最終的には軸受がロックしてしまう不具合が考えられる。高温下で使用されるプーリ支持用多点接触玉軸受では、転がり疲れ寿命に到達する前に、グリースの劣化による潤滑不良によって軸受の運転性能が損なわれてしまう可能性が高い。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、モーメント荷重もしっかりと支持でき、高温下で使用されても異常発熱及び潤滑剤劣化が生じないプーリ支持用単列玉軸受を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記構成により達成される。
(1) ベルト駆動されるプーリ支持用単列玉軸受であって、前記単列玉軸受は、グリース潤滑される4点接触玉軸受から成り、前記ベルトから前記単列玉軸受に作用するラジアル荷重の軸方向における荷重負荷中心位置は、当該単列玉軸受の軸方向中心位置からずれており、前記単列玉軸受の内輪は、軸方向の前記荷重負荷中心位置側に第一の接触点を提供する曲率半径がR i1 の第1の軌道輪溝を有し、軸方向の前記軸受中心位置を越え前記荷重負荷中心位置から遠い側に第二の接触点を提供する曲率半径がR i2 の第2の軌道輪溝を有し、R i1 >R i2 であることを特徴とするプーリ支持用単列玉軸受。
(2) 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の0.5%以上である前記(1)に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
(3) 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 が、玉径の54.5%以上であり、前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の3%以上である前記(1)または(2)に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
(4) ベルト駆動されるプーリ支持用単列玉軸受であって、前記単列玉軸受は、グリース潤滑される3点接触玉軸受から成り、前記ベルトから前記単列玉軸受に作用するラジアル荷重の軸方向における荷重負荷中心位置は、当該単列玉軸受の軸方向中心位置からずれており、前記単列玉軸受の内輪は、軸方向の前記荷重負荷中心位置側に第一の接触点を提供する曲率半径がR i1 の第1の軌道輪溝を有し、軸方向の前記軸受中心位置を越え前記荷重負荷中心位置から遠い側に第二の接触点を提供する曲率半径がR i2 の第2の軌道輪溝を有し、R i1 >R i2 であることを特徴とするプーリ支持用単列玉軸受。
(5) 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の0.5%以上である前記(4)に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
(6) 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 が、玉径の54.5%以上であり、前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の3%以上である前記(4)または(5)に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
【0009】
上記構成によれば、内輪にある第一溝の溝曲率半径を大きくすることにより、その溝と玉との間にできる接触楕円内のすべりが小さくなるため、接触楕円内での局所的な発熱を抑えることができる。このため、潤滑剤劣化が少なく、高温下での使用に耐えることができる。また、2個の溝の両方について溝曲率半径を大きくしたとき(2個の溝を対称にしたとき)に比べて、プーリの変位や傾きを小さく抑えることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。図1は自動車補機用プーリの構成を示す要部の拡大断面図である。この自動車補機用プーリ1は、カーエアコンコンプレッサ用電磁クラッチに関するものである。この電磁クラッチは、車両走行用エンジンに発生する回転動力を冷凍サイクルのコンプレッサに伝達したり遮断したりするものである。図1に示すように、コンプレッサハウジング2の中心から回転自在に突出した駆動軸3の先端部に回転円盤4が設けられ、回転円盤4の外周側には可撓部材5を介してアーマチュア6が取り付けられている。駆動軸3の周囲を囲むようにして、コンプレッサハウジング2と一体に円筒軸2aが突出するように設けられ、その外周面に、多点接触玉軸受の一例である4点接触玉軸受11の内輪12が固定されている。
【0011】
4点接触玉軸受11の外輪13には、ロータ7が外嵌されている。ロータ7の外周面には、プーリ7aが一体的に設けられている。プーリ7aの外周面に、想像線で示すようにベルト8が掛け回される。ロータ7のコンプレッサハウジング2側とは反対側の側面には、アーマチュア6と接触して摩擦力により回転力を伝達する摩擦面7bが形成されている。ロータ7のコンプレッサハウジング2側の側面には凹所7dが設けられている。凹所7d内には、電磁コイル9が、ロータ7と接触しないように収容されている。電磁コイル9は、コンプレッサハウジング2に固定されている。
【0012】
電磁コイル9の非励磁時には、摩擦面7bとアーマチュア6との間に隙間Gがあいている。
電磁コイル9に電流を流すと磁界が発生し、アーマチュア6が可撓部材5の弾性に抗して電磁コイル9側に引き付けられ、摩擦面7bに押圧接触する。この結果、プーリ7aの回転力がアーマチュア6、回転円盤4、駆動軸3を介してコンプレッサを駆動するように伝達される。
ベルト8の幅方向中心位置αと、軸受11の軸方向中心位置βとは、オフセット量δでずれており、軸受11にはモーメント荷重が作用する。
【0013】
上記4点接触玉軸受11は、図2に示すように、内輪12と外輪13との間に複数の玉14を転動自在に配設したものである。内輪12の外径面には玉14との第一の接触点を提供する第一溝12aと、玉14との第二の接触点を提供する第二溝12bとが設けられ、それらによって内輪軌道が形成されている。外輪13の内径面にも、玉14との第一の接触点を提供する第一溝13aと、玉14との第二の接触点を提供する第二溝13bとが設けられ、それらによって外輪軌道が形成されている。外輪軌道の断面形状は、玉14とレスト角θで接触するゴシックアーチ形状にされ、軸受の軸方向中心線βに対して対称な形状になっている。外輪13の第一溝13aの曲率半径RO1と第二溝13bの曲率半径RO2とは等しい。第一溝13aの曲率半径中心Po1と、第二溝13bの曲率半径中心Po2とは、径方向同位置、かつ玉14の中心Pから軸方向に同距離離れた対称位置に配置されている。第一溝13aの曲率半径中心Po1は、レスト角を示す線La上に配置され、第二溝13bの曲率半径中心Po2は、レスト角を示す線Lb上に配置されている。
なお、図2の左方に付した符号Dpはピッチ円径を表し、Doは玉14の直径(玉径)を表し、Pは玉14の中心を表している。
【0014】
内輪軌道を形成する第一溝12aの曲率半径Ri1は、第二溝12bの曲率半径Ri2より大きくなっている。第一溝12aの曲率半径中心Pi1と、第二溝12bの曲率半径中心Pi2とは、径方向に異なる位置、かつ玉14の中心Pから軸方向反対側に異なる距離離れた位置に配置されている。第一溝12aと第二溝12bとの接続点(内輪軌道の頂点)12cは、軸受軸方向中心位置βからずれている。接続点12cが、図1に示したベルト8の幅方向中心位置α側に位置するように、軸受11は自動車補機用プーリ1に組み付けられる。
ここでは、第一溝12aの曲率半径中心Pi1は、レスト角を示す線Lb上に配置され、第二溝12bの曲率半径中心Pi2は、レスト角を示す線La上に配置されている。しかし、これに限定されず、例えば内輪12のレスト角を、外輪13のレスト角と異ならせてもよい。例えば内輪12のレスト角を外輪13のそれより小さくしてもよい。
【0015】
玉14は保持器18によって転動自在に保持されている。玉14を挟む軸方向両側に、シール部材15,15が設けられている。シール部材15の外周部は、外輪13の内径面に設けられた係止溝17に固定され、シール部材15の内周部(リップ部)は、内輪の外径面に設けられたシール溝16の側面に接している。
潤滑方式としては、グリース潤滑を採用することができる。
【0016】
以上のような4点接触玉軸受11を自動車補機用プーリ1に用いることで、内輪12の第一溝12aと玉14との間にできる接触楕円内のすべりが小さくなり、接触楕円内での局所的な発熱を抑えることができる。このため、潤滑剤劣化が少なく、高温下での使用に長期間耐えることができる。
【0017】
図3に、多点接触玉軸受の別の例として、3点接触玉軸受11’を示す。図3に示すように、内輪12の外径面には第一溝12aと第二溝12bとが設けられ、それらによって内輪軌道が形成されている。一方、外輪13の内径面には、単一の接触点で玉14と接する外輪軌道13dが形成されている。
他の構成は、図2に示した玉軸受11と同様とすることができる。
【0018】
図4に示すような、内輪軌道及び外輪軌道の双方を軸方向中心線βに対称なゴシックアーチ形状にされた従来品の4点接触玉軸受に、ラジアル荷重を負荷したときの運転状態を、計算機を用いた解析でシミュレートした。解析に用いた条件を表1に示す。ラジアル荷重は、軸受中心(図1〜図3に示したβ)から軸方向に4.35mmずれた(オフセットした)位置(図1のα)に負荷されるものとした。
【0019】
【表1】
【0020】
解析手法には「4点接触玉軸受の性能解析」(谷口、荒牧、正田;(社)日本トライボロジー学会、トライボロジー会議1996年春 東京 講演予稿集)に記載の方法を採用した。本解析によって計算される軸受の摩擦トルクは、実験によるトルク測定結果に一致することが報告されている。
ここでは、計算によって得られる最大PV値に注目する。PV値は、玉と内外輪軌道面の接触点における発熱や摩耗の指標として、しばしば用いられるパラメータである(例えば特開平11−210766号公報など)。
玉と軌道との接触点は、実際には表面の弾性変形により、ヘルツの接触理論において楕円形で表される領域をもつ面となる。PV値は、この接触面内の面圧Pとすべり速度Vとの積である。解析では、各玉と各軌道との接触面内において、PV値を計算している。PV値に表面間のすべり摩擦係数μを乗じた値μPVは、単位面積・単位時間当たりのすべりによる摩擦損失(=発熱)である。
【0021】
図4の4点接触玉軸受51に、ラジアル荷重1000Nを負荷した際の、玉54の各接触点における最大PV値を計算機によって解析した結果を図5に示す。図5に示すように、外輪53にかかるラジアル荷重の位置に近い側の内輪軌道(第一溝)上のPV値が、他の接触点に比べて大きくなった。
【0022】
軸受の耐久性を低下させる高温下のグリース劣化については、玉一個分や、接触楕円一つ分といった局所的な発熱、温度上昇が影響していると考えられる。したがって、PV値に代表されるすべり発熱をできるだけ小さく抑えることによって、高温下で使用されるプーリ用軸受の寿命延長を図ることができる。
【0023】
PV値を抑えるためには、接触楕円内のすべり速度Vを小さくすることが有効である。軌道の溝曲率半径を大きくし、接触楕円の大きさを小さくすることによって、すべり速度Vを小さく抑えることができる。そこで、内輪52の第一溝の溝曲率半径のみを変えて計算を行った。この計算結果を図6に示す。外輪53の第一溝及び第二溝並びに内輪52の第二溝の溝曲率半径は、表1の条件と同じである。ラジアル荷重を1000Nとしたときも2000Nとしたときも、内輪第一溝の溝曲率半径を大きくすると、接触点における最大PV値が減少した。このため、局所的な発熱が減少し、耐久時間延長の効果が期待できる。
【0024】
PV値の限界には諸説あるが、発明者らの研究では、計算によるPV値が1.5〜2.0GPam/sを超えると、軌道面の摩耗が問題になることがわかっている(特開平11−210766号公報)。ラジアル荷重2000Nに対する計算結果から、内輪第一溝の溝曲率半径を玉径の52%以上、すなわち内輪第一溝と内輪第二溝(溝曲率半径=玉径の51.5%)の溝曲率半径の差を玉径の0.5%以上とすると、PV値が2.0GPam/sを下まわり、摩耗などの問題が発生しにくくなる。さらに、内輪第一溝の溝曲率半径を玉径の54.5%以上、すなわち内輪第一溝と内輪第二溝の溝曲率半径の差を玉径の3%以上とすると、PV値が1.5GPam/s以下となり、軌道の摩耗による問題が発生しなくなることが期待できる。
【0025】
実際の軸受では、溝曲率半径を過度に大きくすると、接触点における圧力が大きくなるため、転がり疲れ寿命が短くなる可能性がある。本発明で取り上げた溝曲率半径の大きさには、転がり疲れ寿命の観点から上限が決定されると考えられる。この観点から溝曲率半径の上限を玉径の60%とすることが好ましい。
また、プーリや自動車用補機への組み付けを考慮すると、溝曲率半径が第一溝、第二溝で異なる軸受には、オフセット荷重の方向に対して正しい向きに軸受を組み付けることができるように、方向を示す識別マークを表示することが好ましい。
【0026】
単に接触点のPV値、発熱を抑えるだけなら、図4に示した第一溝、第二溝が対称となる断面をもつ4点接触玉軸受において、溝曲率半径を大きくすることも有効である。すなわち、例えば内輪において、第一溝と第二溝の溝曲率半径を両方とも大きくする方法が考えられる。この方法と非対称溝による本発明の方法を比較する。
【0027】
図7は、内輪第一溝の溝曲率半径のみを変化させた場合と、内輪第一溝と第二溝の両方の溝曲率半径を一致させたまま変化させた場合の、ラジアル負荷位置にある玉の接触点における最大PV値を計算機によって解析した結果を示すものである(ラジアル荷重1000N)。溝曲率半径を大きくすると、どちらの場合も同様に最大PV値が下がり、発熱を抑え、グリースの劣化防止に効果があることがわかる。
しかし、最大PV値は、内輪第一溝の溝曲率半径のみを変化させた場合の方が、内輪第一溝と第二溝の両方の溝曲率半径を一致させたまま変化させた場合に比べて小さく、本発明の手法が有利であるといえる。
【0028】
図8は、上記と同様に溝曲率半径を変化させた場合の、プーリ外径部(φ110mm)の軸方向変位を示すものである(ラジアル荷重1000N)。内輪第一溝の溝曲率半径のみを変化させた場合は、プーリ外径部の移動量はあまり変化しない。
一方、内輪第一溝、第二溝の溝曲率半径をともに変化させて、対称断面の内輪としたときには、溝曲率半径を大きくすると、プーリ外径部の変位も増加することがわかる。ベルトがかかるプーリ外径部の変位が大きくなることは、ベルトの偏摩耗や、電磁クラッチの場合は、クラッチの動作不良につながるため好ましくない。4点接触玉軸受内輪の2個の溝のうち、すべり発熱の大きい一方の溝曲率半径を他方に比べて大きくすることは、プーリ軸受としての剛性を維持しながら、局所的な接触楕円内のすべり発熱を抑え、軸受の耐久時間延長に大きな効果がある。
【0029】
以上、単列4点接触玉軸受の内輪について、本発明の作用効果について説明した。外輪上の2個の溝についても同様に、すべりの大きい側の溝の溝曲率半径を、他方の溝の溝曲率半径よりも大きくすることによって、局所的な発熱を抑えて、グリース劣化を低減させる効果がある。
なお、図3に示した3点接触玉軸受においても、玉と2点で接触する軌道輪上の2個の溝の溝曲率半径に上記同様の違いをもたせることは、スピンすべりを低減し、発熱を抑制する効果がある。したがって、本発明は3点接触玉軸受に適用しても有効である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る多点接触玉軸受によれば、軌道上の局所的な発熱を抑え、グリース劣化や摩耗による寿命低下を防ぐことができる。また、この多点接触玉軸受を適用した自動車補機用プーリは、所定の剛性を維持しながら、多点接触玉軸受が局所的な発熱の抑制、耐久時間延長等を可能にする構成であることから、自動車補機用プーリ自体の信頼性向上はもとより、自動車の信頼性向上をも図り得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態である自動車補機用プーリの構成を示す要部の拡大断面図である。
【図2】多点接触玉軸受の第1例を示す断面図である。
【図3】多点接触玉軸受の第2例を示す断面図である。
【図4】従来品における玉と軌道との接触点の位置を示す模式的断面図である。
【図5】玉と軌道との接触点の位置と最大PV値との関係を示す特性図である。
【図6】溝曲率半径と最大PV値との関係を示す特性図である。
【図7】溝曲率半径と最大PV値との関係を示す特性図である。
【図8】溝曲率半径とプーリ外径部の軸方向移動量との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 自動車補機用プーリ
7a プーリ
8 ベルト
11 4点接触玉軸受(多点接触玉軸受)
12 内輪
12a 第一溝
12b 第二溝
14 玉
Claims (6)
- ベルト駆動されるプーリ支持用単列玉軸受であって、
前記単列玉軸受は、グリース潤滑される4点接触玉軸受から成り、
前記ベルトから前記単列玉軸受に作用するラジアル荷重の軸方向における荷重負荷中心位置は、当該単列玉軸受の軸方向中心位置からずれており、
前記単列玉軸受の内輪は、軸方向の前記荷重負荷中心位置側に第一の接触点を提供する曲率半径がR i1 の第1の軌道輪溝を有し、軸方向の前記軸受中心位置を越え前記荷重負荷中心位置から遠い側に第二の接触点を提供する曲率半径がR i2 の第2の軌道輪溝を有し、R i1 >R i2 であることを特徴とするプーリ支持用単列玉軸受。 - 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の0.5%以上である請求項1に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
- 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 が、玉径の54.5%以上であり、前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の3%以上である請求項1または2に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
- ベルト駆動されるプーリ支持用単列玉軸受であって、
前記単列玉軸受は、グリース潤滑される3点接触玉軸受から成り、
前記ベルトから前記単列玉軸受に作用するラジアル荷重の軸方向における荷重負荷中心位置は、当該単列玉軸受の軸方向中心位置からずれており、
前記単列玉軸受の内輪は、軸方向の前記荷重負荷中心位置側に第一の接触点を提供する曲率半径がR i1 の第1の軌道輪溝を有し、軸方向の前記軸受中心位置を越え前記荷重負荷中心位置から遠い側に第二の接触点を提供する曲率半径がR i2 の第2の軌道輪溝を有し、R i1 >R i2 であることを特徴とするプーリ支持用単列玉軸受。 - 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の0.5%以上である請求項4に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
- 前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 が、玉径の54.5%以上であり、前記第1の軌道輪溝の曲率半径R i1 と前記第2の軌道輪溝の曲率半径R i2 との差が、玉径の3%以上である請求項4または5に記載のプーリ支持用単列玉軸受。
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---|---|---|---|
JP2001339410A JP4085235B2 (ja) | 2001-11-05 | 2001-11-05 | プーリ支持用単列玉軸受 |
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JP2001339410A JP4085235B2 (ja) | 2001-11-05 | 2001-11-05 | プーリ支持用単列玉軸受 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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