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JP4078770B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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JP4078770B2
JP4078770B2 JP28321299A JP28321299A JP4078770B2 JP 4078770 B2 JP4078770 B2 JP 4078770B2 JP 28321299 A JP28321299 A JP 28321299A JP 28321299 A JP28321299 A JP 28321299A JP 4078770 B2 JP4078770 B2 JP 4078770B2
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一雄 奥西
健太郎 永谷
敦 河合
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、記録材の表裏両面に画像形成を行うことができる電子写真方式、静電記録方式等の画像形成装置に関し、転写ベルトや転写ドラムを有するカラー複写機やカラープリンタ等に好適に採用できる画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、転写ベルトを有し、記録材としての用紙の表裏両面に画像形成を行うことができるタンデム式のカラー複写機として、給紙部から給紙された用紙を転写ベルトに吸着保持させるための第1の吸着手段と、片面コピー済みの用紙を反転部で反転して、裏面へのコピーのために再度転写ベルトに吸着保持させる第2の吸着手段とを設けた複写機が知られている。
【0003】
前記のような吸着手段は、用紙に電流を流すことで用紙と転写ベルトとがそれぞれ誘電分極を起こし、これにより用紙は転写ベルトに静電吸着される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、転写ベルトが半導電(又は導電体)の特性を有するものである場合、時間が経過すると電荷が逃げて吸着力が低下する。
【0005】
しかるに、上記のような吸着手段を複数個有する従来のカラー複写機においては、電荷の逃げに対する配慮がなされておらず、用紙の搬送方向の上流側の吸着手段で吸着した用紙が下流側の吸着手段に到達するまでの間に、吸着力が弱まって、甚だしくは用紙が転写ベルト等から分離してしまうおそれもあった。
【0006】
このような欠点は、転写ベルトに用紙を吸着して搬送する形式の画像形成装置に限らず、転写ドラムに用紙を吸着して搬送する形式の画像形成装置においても、同様に生じるものであった。
【0007】
この発明は、このような欠点を解消するためになされたものであって、転写ベルトや転写ドラムに吸着されて搬送される記録材が、一つ下流側の吸着手段に達するまで、十分な吸着力を保持できる画像形成装置の提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、無端環状の転写ベルトまたは転写ドラムと、該転写ベルトまたは転写ドラム上の記録材に画像を形成する画像形成手段と、該転写ベルトまたは転写ドラムから分離された記録材を反転させて再び該転写ベルトまたは転写ドラムに導く用紙反転手段と、を備え、前記転写ベルトまたは転写ドラムはその周方向において往路領域と復路領域とからなり、往路領域は記録材が給送される位置から該転写ベルトまたは転写ドラムの移動方向下流側の復路領域の上流端までであって、かつ記録材上に画像形成される領域であり、復路領域は往路領域を経て用紙反転手段が反転させた後の記録材が給送される位置から往路領域上流端までであり、さらに、前記往路領域内の上流側に設けられた第1の吸着手段と、前記復路領域内の上流側に設けられた第2の吸着手段と、記録材が前記第2の吸着手段を通過してから第1の吸着手段に到達するまでの時間に基づいて、第2の吸着手段の出力値を決定する決定手段と、を備えたことを特徴とする画像形成装置によって解決される。
【0009】
この画像形成装置においては、第2の吸着手段の出力値が、記録材が前記第2の吸着手段を通過してから第1の吸着手段に到達するまでの時間に基づいて決定されるから、この時間内、換言すれば記録材が第1の吸着手段に到達するまでは十分な吸着力が確保され、安定した用紙搬送が行われる。
【0010】
上記の画像形成装置において、第2の吸着手段は、記録材が到達したタイミングで決定手段において決定された値の出力を出し、記録材が通過するタイミングで出力を停止するのが良い。この場合には、記録材が吸着手段を通過中のときには、吸着手段から確実に出力が出されることになり、必要な吸着力がより適正な領域に対して付与される。
【0011】
前記決定手段は、さらに記録材のサイズ、記録材の種類、環境、前記第1吸着手段の出力値、第1の吸着手段までの転写ベルトまたは転写ドラムの形状、の各条件のうちの少なくとも1つの条件に基づいて、前記第2の吸着手段の出力を決定する構成であっても良い。
【0012】
この場合には、第1の吸着手段への記録材の到達時間に加えて、記録材のサイズ、記録材の種類、環境、前記第1吸着手段の出力値、第1の吸着手段までの転写ベルトまたは転写ドラムの形状、の各条件のうちの少なくとも1つの条件に基づいて、前記第2の吸着手段の出力が決定されるから、より正確な出力により記録材はさらに安定的に保持される。
【0013】
また、転写ベルトまたは転写ドラムを清掃するためのクリーニング手段を有し、前記決定手段は、クリーニング手段の動作状態に基づいて、前記第2の吸着手段の出力を決定する構成としても良い。
【0014】
この場合も、第1の吸着手段への記録材の到達時間に加えて、クリーニング手段の動作状態に基づいて、前記第2の吸着手段の出力が決定されるから、より適正な出力により記録材は安定的に保持される。
【0015】
また、前記決定手段は、前記第1の吸着手段の出力値を、それよりも下流にある、転写ベルトまたは転写ドラムから記録材を分離する分離手段までの記録材の到達時間に基づいて決定するのがよい。これにより、第1の吸着手段からそれよりも下流にある分離手段までの間においても、十分な吸着力を付与できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1はこの発明の実施形態である画像形成装置が適用された電子写真方式のフルカラー複写機における画像形成主要部を示す概略断面図である。
【0017】
同図に示すように、この画像形成装置は、装置内に4つの画像形成手段Pc、Pm、Py、Pkを有するタンデム型として構成され、その下側に給紙部1、左側に定着器(定着手段)2が配置されている。更に定着器2の左側にはソータ3が配置されている。このソータ3はステープル機能やシフトトレー機能を有している。
【0018】
定着器2とソータ3の間には、用紙を反転排出するための用紙反転手段9が設けられている。この用紙反転手段9は、用紙を反転させる他に、用紙をソータ3へ排出するか、用紙を裏面コピーのために、転写ベルト5の復路領域5Rに導くかを切り替える手段を兼用している。
【0019】
給紙部1から定着器2に至る搬送経路の下側には、用紙を担持、搬送する無端環環状の転写ベルト5が複数のローラ(図示省略)間に架張されている。
【0020】
転写ベルト5は、半導電(又は導電体)の特性を持った樹脂からなるフィルムシートの両端部を、融着等の手段により無端状につなぎ合わせたものであり、駆動ローラ(図示省略)により矢印方向に一定速度で循環駆動される。
【0021】
この転写ベルト5は、上側(画像形成手段側)が往路領域5Gとして構成されるとともに、下側(給紙部側)が復路領域5Rとして構成されており、給紙部1を通じて、往路領域5Gの上流位置に給送される用紙を担持し、各画像形成手段Pc、Pm、Py、Pkへと順次搬送するものである。
【0022】
転写ベルト5における往路領域5Gのベルト回転方向に対し上流側の端部には、第1吸着手段51が設けられるとともに、復路領域5Rの上流側端部には、第2吸着手段52が設けられており、これらの吸着手段51、52により用紙を転写ベルト5上に静電的に確実に吸着担持できるように構成されている。
【0023】
前記吸着手段51、52の構成は特に限定されることはなく、公知の構成を任意に採用すればよい。一般的には、転写ベルト5の内周側に用紙と転写ベルト間に電流を流すためのチャージャーが配置され、これに対向する転写ベルトの外周側に該ベルトに用紙を押さえつけるローラーが配置されて構成される。しかし、図2に示すように、例えばチャージャーと一体となった直流低電流型(−極性)駆動ローラ(電流範囲−5〜−100μA、電圧範囲0.5〜5kv)からなる吸着ローラ51(52)によって構成されたものでも良いし、他の構成であっても良い。なお、図2に示す5aは、転写ベルト5の駆動ローラである。
【0024】
転写ベルト5の往路領域5Gにおける画像形成手段Pkの下流側には、除電帯電器53が設けられており、この除電帯電器53により転写ベルト5に吸着された用紙を分離させることができるように構成されている。
【0025】
また転写ベルト5における往路領域5Gから復路領域5Rへの折り返し部には、ベルト5に付着したトナーを除去するためのクリーナー手段54、ベルト5に付着する定着オイルを回収除去するためのオイル回収手段55が設けられ、これらの手段によってクリーニング手段が構成されている。なお、クリーニング手段は、転写ベルト5の不要電荷を除去するものであっても良い。
【0026】
各画像形成手段Pc、Pm、Py、Pkは実質的に同一の構成を有し、図示矢印の方向に回転駆動される像担持体としての感光体ドラム6c、6m、6y、6kが配置されている。また図示は省略するが、感光体ドラムの周辺には、各感光体ドラムを一様に帯電させる帯電チャージャ、各感光体ドラム上に形成された静電潜像を現像する現像器、現像されたトナー像を用紙へ転写する転写チャージャ、感光体ドラムに残存するトナーを除去するクリーナーが、各感光体ドラムの回転方向に順次配設されている。なお、画像形成手段Pcの現像器にはシアン色のトナーが、画像形成手段Pmの現像器にはマゼンタ色のトナーが、画像形成手段Pyの現像器にはイエロー色のトナーが、画像形成手段Pkの現像器には黒色のトナーがそれぞれ収納されている。
【0027】
感光体ドラム6c、6m、6y、6kの上方には、像露光装置7c、7m、7y、7kが設けられている。これらの像露光装置7c、7m、7y、7kは、半導体レーザー、ポリゴンミラー、fθレンズ等からなり、電気デジタル画像信号の入力を受けてこの信号に対応して変調されたレーザービームを、帯電チャージャおよび現像器の間で感光体ドラム6c、6m、6y、6kの母線方向に走査してドラム面を露光し、各感光体ドラム上に静電潜像を形成するようになっている。
【0028】
なお、画像形成手段Pcの像露光装置7cにはカラー画像のシアン成分に対応する画像信号が、画像形成手段Pmの像露光装置7mにはカラー画像のマゼンタ成分に対応する画像信号が、画像形成手段Pyの像露光装置7yにはカラー画像のイエロー成分に対応する画像信号が、画像形成手段Pkの像露光装置7kにはカラー画像の黒成分に対応する画像信号がそれぞれ入力される。
【0029】
給紙部1は、サイズの異なる用紙を収納する給紙カセット12a〜12dや手差しトレーがセットされた複数個の給紙口1a〜1dと、各給紙口から用紙を1枚ずつ給紙するための給紙ローラ11a〜11dとを有している。
【0030】
また給紙部1と転写ベルト5との間には、給紙部1により給紙された用紙を所定のタイミングで転写ベルト5上における往路領域5Gの上流位置に給送するための第1のタイミングローラ61が設けられるとともに、用紙反転手段9と転写ベルト5との間には、用紙反転手段9により反転された用紙を所定のタイミングで転写ベルト5上における復路領域5Rの上流位置に給送するための第2のタイミングローラ62が設けられている。
【0031】
図3は図1のフルカラー複写機の操作パネル200の一部を示す平面図である。同図に示すように、この複写機は、操作パネル200により各種コピーモードの設定やコピー動作の開始を行ったり、表示によりコピーモード等の設定状態、装置状態を知らせることができる。
【0032】
すなわち、枚数設置部201はコピー枚数を設定し、あるいは設定されたコピー枚数をクリアするためのキー群である。
【0033】
プリントキー202は、コピー動作を開始するキーであり、コピー中断キー203は、動作中のコピー動作を中断するためのキーであり、濃度設定キー204は、コピーされる画像の濃度を調整するキーであり、倍率設定キー205は、コピーされる画像の変倍率を設定するキーであり、カラーモード選択キー206は、コピーされる画像の色をフルカラーで印字するか黒色一色で印字するかを設定するキーである。
【0034】
また、両面キー207は、コピーされる画像を用紙の片面のみに印字するか両面に印字するかを設定するキーであり、カセット選択キー208は、1段目から4段目の給紙カセットの中でどのカセットの用紙をコピー動作に用いるかを選択するキーである。
【0035】
枚数表示部210は、設定された枚数、又はコピー動作中は残コピー枚数を表示する表示部であり、倍率表示部211は、設定された変倍率を表示する表示部であり、液晶表示部212は、枚数変倍率以外の、設定されている各種コピーモードや装置の状態等の多くの情報を表示する多目的表示部である。
【0036】
図4は図1〜図3に示したフルカラー複写機の全体の制御系を示すブロック図である。
【0037】
このフルカラー複写機は、図1〜図3で説明した画像形成主要部やパネル部分に加えて、複写機としての機能として原稿の画像情報を読み込むイメージリーダー(IR)や、複数の原稿を1枚ずつ順次イメージリーダーの画像読み取り部へ給紙搬送する自動原稿送り装置(ADF)等を有しており、これらの各駆動部が図4に示す制御手段により制御されて、後述するコピー動作が行われる。
【0038】
図4の制御手段において、システムコントローラー301は、この画像形成装置全体を統括制御する制御部である。
【0039】
ADF制御部302は、イメージリーダーの画像読み取り部に原稿を1枚ずつ給紙搬送し、画像読み取りが完了すれば、その原稿の原稿排出部への排出を行うように、原稿送り装置を制御する制御部である。
【0040】
IR制御部303は、原稿の画像を読み込むためのスキャナーの走査速度制御、位置制御を行う制御部である。
【0041】
画像処理制御部304は、コピーシーケンスやコピーモードに応じてマルチメモリ画像制御部312の動作指示等を行う制御部である。具体的には、スキャナー画像処理部311で処理された画像信号を原稿のページ単位で記録する制御や、コピーシーケンス等に応じた順序で、記憶させたページ単位の原稿の画像信号を選択させ、その階調処理部313に画像信号を送る制御、コピーモード等に応じて画像方向を90度あるいは180度回転する制御を行う。
【0042】
パネル制御部305は、図3で説明したように操作パネル200のキー入力処理や表示を行う制御部である。
【0043】
本体制御部306は、図1で説明した給紙部1の制御、定着器2の制御、転写ベルト5の制御、感光体ドラム6c、6m、6y、6kとその周辺機器の制御、用紙反転手段9の制御、第1及び第2の吸着手段51、52の制御、第1及び第2のタイミングローラ61、62の制御等を行う制御部である。この制御部306によって、第1及び第2の吸着手段51、52の出力値が決定される。
【0044】
ソータ制御部307は、ソータ3内での用紙搬送排出制御やビンの移動、シフトトレーの位置制御、ステープル動作の制御を行う制御部である。
【0045】
画像入力部310は、原稿の画像を読み込むCCD等からなるセンサ部と、その信号をデジタル化する回路部から構成されている。この実施形態では、CMYKの各成分を同時並行処理する回路構成となっている。
【0046】
スキャナー画像処理部311は、デジタル化された画像信号をコピーモード等に応じて、変倍処理や画像シフト処理やイレース処理を行う回路から構成される。
【0047】
マルチメモリ画像処理部312は、画像情報を記憶するメモリや、画像の回転あるいは画像の圧縮伸長を行う等の回路から構成される。
【0048】
階調処理部313は、回路構成に応じた階調データへの変換(8階調から3階調変換等)を行う等の回路から構成される。
【0049】
フレームメモリ314は、両面コピー時に複数ページの画像信号を一時的に記憶し、必要なタイミングで必要なページの画像信号を出力する回路から構成されている。
【0050】
レジスト補正部315は、カラー画像のCMYK各成分に対応する画像信号を、用紙が画像形成手段Pc、Pm、Py、Pkの下部を順次に通過していくタイミングのずれに相当する時間分だけ遅らせる回路から構成されている。この回路により、CMYK各成分の画像信号を、画像入力部310から階調処理部313又はフレームメモリ314までの間は同時並行処理することができる。
【0051】
像露光装置316は、図1の符号7c、7m、7y、7kに対応するものであり、CMYK各成分ごとに、対応する画像信号に応じて感光体6c、6m、6y、6k上に静電潜像を形成する回路から構成される。
【0052】
次にこの複写機におけるコピー動作について説明する。
【0053】
まず画像読み取り部において、イメーリーダーによって読み取られた原稿の画像情報が、デジタル化されて、その電気デジタル画像信号が、CMYK各成分ごとに、像露光装置7c、7m、7y、7kに入力され、その信号に対応して変調されたレーザービームが感光体ドラム6c、6m、6y、6kに照射されてドラム面が露光され、各感光体ドラム6c、6m、6y、6k上にCMYK各成分ごとの静電潜像が形成される。更に現像器によって各ドラム6c、6m、6y、6kの静電潜像が現像されて、CMYK各成分ごとのトナー像が形成される。
【0054】
その一方、給紙部1において、所定の給紙カセット等から用紙(記録材)が、第1のタイミングローラ61まで搬送され、その用紙が、第1のタイミングローラ61によって、各感光体ドラム6c、6m、6y、6kのトナー像に合致するタイミングで、転写ベルト5上における往路領域5Gに給送されて、第1の吸着手段51により転写ベルト5上に静電的に吸着担持される。そして用紙は、転写ベルト5の移動により、画像形成手段Pc、Pm、Py、Pkの各感光体ドラム6c、6m、6y、6kの下部を順次に通過して定着器2の方向へ搬送されるとともに、その搬送中に、各画像形成手段の転写チャージャーにより、CMYK各成分ごとのトナー像が用紙上に順次に重ねて転写され、カラー画像が合成される。
【0055】
こうして、画像形成手段Pkを通過した用紙は、除電帯電器53により除電されて、転写ベルト5から分離された後、定着器2によって合成画像が定着される。
【0056】
そして、片面コピー時には、定着器2を通過した用紙は、用紙反転手段9によってソータ3へと排出される。
【0057】
また、両面コピー時には、定着器2を通過した用紙は、ソータ3へ排出されることなく、用紙反転手段9によって反転された後、第2のタイミングローラ62へと送られる。なお、画像形成部においては、用紙裏面に形成すべき画像に対応して、各感光体ドラム6c、6m、6y、6kにトナー像が形成される。
【0058】
第2のタイミングローラ62へと搬送された用紙は、第2のタイミングローラ62によって、各感光体ドラム6c、6m、6y、6kのトナー像に合致するタイミングで、転写ベルト5上における復路領域5Rに給送されて、その用紙が第2の吸着手段52により転写ベルト上に静電的に吸着される。尚、第2タイミングローラの代わりに、用紙反転手段9に設けられた反転ローラにより、タイミングをとって、用紙を転写ベルトの復路領域に給送するように構成しても良い。
【0059】
そして用紙は、転写ベルト5の移動に伴って、復路領域5Rから往路領域5Gに導かれ、更に各感光体ドラム6c、6m、6y、6kを順次に通過して、裏面側にカラー画像が上記と同様に合成されて、定着器2によって定着される。
【0060】
こうして両面に画像が形成された用紙は、用紙反転手段9によってソータ3へと排出される。
【0061】
図5は、本体制御部306のCPUが実行するメインルーチンのフローチャートである。なお、以下の説明及び図面では、ステップをSと略記する。
【0062】
まず、電源が投入され、本体制御部306のCPUの動作がスタートすると、S1で所定の初期化処理を行う。初期化処理では、CPUの初期設定、メモリ・I/O等の初期化、初期設定などを行う。
【0063】
S2の給紙搬送処理では、選択された給紙口から用紙を給紙し、転写ベルト上に第1吸着手段51にて吸着する。その後、分離手段(除電帯電器)53にて転写ベルト5から用紙を分離し、定着器2まで搬送し、両面コピーの場合にはその後反転手段9へと搬送を行う。さらに、第2タイミングローラ62にてタイミングをとり、第2吸着手段52にて用紙を転写ベルト5へと吸着させる。つまり、給紙搬送処理はこのような用紙の搬送に関わる処理を行う。
【0064】
S3の第2吸着手段出力値設定処理では、第2吸着手段52の出力値を決定する。決定された値での実際の出力操作は、前述したように、S2の給紙搬送処理で行われる。
【0065】
S4のその他の処理では、他のCPUとの通信に関わる処理や、異常検出に関わる処理、I/Oポートからの入出力処理、作像プロセス制御、転写ベルト駆動制御など、本発明と直接関係のない画像形成装置の処理を行う。
【0066】
S5のルーチンタイマーは、S2の給紙搬送処理からS4のその他の処理までの時間を所定時間毎に実行するためのタイマーで、タイマーがフローする毎に、各処理が1回実行される。
【0067】
図6は、図5に示した第2吸着手段出力値設定処理S3のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0068】
この処理では、まずS31において、用紙種類、用紙サイズ、温度、湿度その他の環境状態、第1吸着手段51の用紙通過時の出力値、1つ下流の吸着手段までの転写ベルトや転写ドラムの形状、等の条件のうちの全部又は少なくとも1つを取得する。これらの条件によっては、第2吸着手段52で転写ベルト5に付与した電荷の逃げる度合いが影響され、ひいては表面コピー済みの反転用紙が第1吸着手段51に到達したときに保持されている吸着力が変化するからである。また、転写ベルト等の形状によっては(例えば、曲率の小さい場合)、用紙のこしにより、用紙先端が転写ベルトから分離してしまうこともある。用紙種類、用紙サイズ、温度、湿度等は操作者の入力操作により、あるいは適当なセンサを設けることにより取得すればよい。
【0069】
次に、S32で、クリーニング動作状態からの補正処理を行う。この処理については後述する。
【0070】
次に、S33で、表面コピー済み用紙が第2吸着手段52を通過中かどうかを判断する。この判断は、例えば、第2タイミングローラ62から第2吸着手段52までの距離と、第2タイミングローラ62から第2吸着手段52へ搬送される用紙の搬送速度とに基づいて演算によって行うことができるし、用紙検出センサを設けても良い。
【0071】
図7(a)に示すように、表面コピー済み用紙13が第2吸着手段52を通過中のときは(S33にてYES)、S34で、第2吸着手段52の出力値として、用紙通過時の出力値を設定したのち、リターンする。
【0072】
用紙13が第2吸着手段52を通過中でなければ(S33にてNO)、S35で、給紙カセットから給紙された次の用紙が載るべき転写ベルト上の位置が、第2吸着手段52を通過中かどうかを判断する。この判断は、次のようにして行われる。即ち、カセット12a〜12dから給紙される用紙のピッチをP、通紙方向の用紙サイズをT、1つ前の用紙の位置(第1吸着手段51を基準として、上流を−、下流を+)をXpとしたとき、第2吸着手段52から第1吸着手段51までの用紙搬送方向の距離Xが、|Xp−P|<X<|Xp−P−T|を満たすときは、その用紙の位置が、転写ベルト5上の第2吸着手段52を通過中であると判断できる。
【0073】
図7(b)に示すように、給紙カセットから給紙される用紙14が載るべき転写ベルト5の位置(範囲)14’が、第2吸着手段52を通過中のときは(S35にてYES)、S36で、第2吸着手段52の出力値として、紙間出力値1を設定したのち、リターンする。
【0074】
一方、図7(C)に示すように、給紙カセットから給紙された用紙14が載るべき転写ベルト5の位置14’が、第2吸着手段52を通過中でないときは(S35にてNO)、S37で、第2吸着手段52の出力値として、紙間出力値2を設定したのち、リターンする。
【0075】
ここで、S34で設定される表面コピー済み用紙13の通過時の第2吸着手段52の出力値の決定方法について説明すると、以下の通りである。
【0076】
すなわち、転写ベルト5の周速をAmm/sec、第2吸着手段52から第1吸着手段51までの用紙搬送方向の距離をXmmとしたとき、表面コピー済みの反転用紙が第2吸着手段52から第1吸着手段51に到達するまでの時間t(sec)は、t=X/Aにて計算される。転写ベルトの5の周速Aは、例えば用紙の種類によって異なった速度となる。このとき、表面コピー済みの反転用紙に対する第2吸着手段52の出力値V1は、
V1=f(t)
として決定される。このf(t)は、転写ベルト5の特性に合わせた関数であり、例えば一次関数、二次関数、N次関数、指数関数など、転写ベルト5の特性に応じて、換言すれば転写ベルト5から電荷が逃げることによる吸着力の低下の仕方に応じて、種々考えられる。また、S31で取得した、用紙種類、用紙サイズ、温度、湿度その他の環境状態、第1吸着手段51の用紙通過時の出力値等の条件によっても吸着力の低下の仕方が変わるので、これらの条件を考慮した補正を行う。その補正も四則演算であっても良いし、前記関数等の補正関数であっても良いし、ルックアップテーブルであっても良いし、様々な形態が考えられる。
【0077】
仮に、第2吸着手段52から第1吸着手段51までの用紙搬送方向の距離Xを900mm、システム速度を60mm/secとすると、t=15秒となり、f(t)=2t+5とすると、V=35(μA)となる。
【0078】
用紙サイズがA3のときは、補正として5を加算し、絶対湿度が20%Rhとしこれに対する補正として、絶対湿度の20%の1/2の値を採用するとすれば、
V=35+5+10=50(μA)となり、この値にて出力を行うことになる。
【0079】
次に、給紙カセット12a〜12dから給紙された用紙が載るべき転写ベルト上の位置14’が第2吸着手段52を通過中のときの紙間出力値1(S36)については、第1吸着手段51と電圧値が同じであって逆極性の電圧を出力するのがよい。例えば、第1吸着手段51の出力電圧が例えば100Vとすると、その逆極性の−100Vを出力する。そうすることで、転写ベルト5上の単位電量を抑えることができる。
【0080】
また、給紙カセット12a〜12dから給紙された用紙が載るべき転写ベルト上の位置14’が第2吸着手段52を通過していないときの紙間出力値2(S37)については、図1に示したようなタンデム方式の画像形成装置において、各感光体ドラム6c、6m、6y、6kが感光体周長間隔にて配置されている場合、各感光体の周面について同じ位置関係で転写ベルトの紙間が通過することになる。このため、紙間出力値2はゼロにするのが望ましい。
【0081】
図8は、図6のフローチャートにおけるクリーニング動作状態からの補正処理S32のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0082】
まずS321で、クリーニング動作を行っているか否か、すなわちクリーナー手段54、オイル回収手段55が動作中かどうかを判断する。動作中であれば(S321にてYES)、S322でタイマをデクリメントしたのち、S323で、タイマがゼロより小さいかどうかを判断する。このタイマは、クリーニング手段が動作を行っている転写ベルト5上の位置が、第2吸着手段52に到達するまでの遅延タイマであり、該タイマがゼロより小さくなると、クリーニングされた転写ベルト上の位置が第2吸着手段52に到達していることを意味する。
【0083】
タイマがゼロより小さいと(S323にてYES)、クリーニング動作時の補正値を決定する。
【0084】
一方、クリーナー手段54、オイル回収手段55が動作中でない場合(S321にてNO)や、タイマがゼロ以上である場合(S323にてNO)には、タイマを初期値に設定し、クリーニング動作していないときの補正値を決定する。
【0085】
クリーニング動作時の補正値、あるいはクリーニング動作していないときの補正値もまた、前述した第2吸着手段52の出力値Vの決定に際して考慮される。従ってより的確な出力値Vが得られる。
【0086】
なお、第1吸着手段51の出力値については、それよりも下流に存在する、転写ベルト5に対しての出力手段である除電帯電器53(分離手段)に到達するまで、十分な吸着力を付与しておく必要があることから、用紙が除電帯電器53(分離手段)に到達する時間に基づいて決定される。
【0087】
また、上記実施形態では、吸着手段が2個の場合を例示したが、図9に示すように、転写ベルト5の周長を長くして、4個の給紙カセット12a〜12dから給紙された各用紙が、共通の搬送路を通過することなく転写ベルト5上に直接に搬送される構成とするとともに、各カセット12a〜12dからの搬送路と転写ベルト5との合流部の下流側にそれぞれ第3〜第6の吸着手段56〜59を設けることにより、第1、第2吸着手段51、52と合わせて3個以上(図9では合計6個)の吸着手段を備えたものに構成しても良い。この場合には、第2の吸着手段52は、1つ下流側の吸着手段56に用紙が到達するまでの時間に基づいて出力値を決定し、第3、第4、第5、第6の吸着手段56、57、58、59は、それぞれ第4、第5、第6、第1の吸着手段57、58、59、51に用紙が到達するまでの時間に基づいてそれぞれの出力値を決定すればよい。
【0088】
また、転写ベルト5に用紙を吸着させる画像形成装置を例示したが、複数個の吸着手段によって転写ドラムに用紙を吸着させる方式の画像形成装置にも適用可能である。
【0089】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、第2の吸着手段の出力値が、記録材が前記第2の吸着手段を通過してから第1の吸着手段に到達するまでの時間に基づいて決定されるから、この時間内、換言すれば記録材が第1の吸着手段に到達するまでは十分な吸着力を確保することができ、この間に記録材が転写ベルトや転写ドラムから分離するおそれを排除でき、安定した用紙搬送を行うことができる。
【0090】
請求項2に係る発明によれば、記録材が第2の吸着手段を通過中のときには、第2の吸着手段から確実に出力が出されるから、必要な吸着力をより適正な領域に対して付与することができる。
【0091】
請求項3に係る発明によれば、第1の吸着手段への記録材の到達時間に加えて、記録材のサイズ、記録材の種類、環境、前記第1吸着手段の出力値、第1の吸着手段までの転写ベルトまたは転写ドラムの形状、の各条件のうちの少なくとも1つの条件に基づいて、前記第2の吸着手段の出力が決定されるから、より正確な出力により記録材を安定的に保持することができる。
【0092】
請求項4に係る発明によれば、第1の吸着手段への記録材の到達時間に加えて、クリーニング手段の動作状態に基づいて、前記第2の吸着手段の出力が決定されるから、より適正な出力により記録材を安定的に保持することができる。
【0093】
請求項5に係る発明によれば、第1の吸着手段からそれよりも下流にある分離手段までの間においても、十分な吸着力を付与できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態である画像形成装置が適用されたフルカラー複写機における画像形成主要部を示す概略構成図である。
【図2】吸着手段の構成例の概略図である。
【図3】実施形態の複写機における操作パネルの一部を示す平面図である。
【図4】実施形態の複写機における全体の制御系を示すブロック図である。
【図5】本体制御部のCPUが実行するメインルーチンのフローチャートである。
【図6】図5のフローチャートにおける第2吸着手段出力値設定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図7】第2吸着手段の出力値の決定に際しての、用紙と転写ベルトとの位置関係を説明するための図である。
【図8】図6のフローチャートにおけるクリーニング動作状態からの補正処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図9】この発明の他の実施形態である画像形成装置が適用されたフルカラー複写機における画像形成主要部を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1…給紙部
5…転写ベルト
51…第1吸着手段
52…第2吸着手段
56〜59…第3〜第6吸着手段
54…クリーナー手段
55…オイル回収手段
306…本体制御部(決定手段)
Pc、Pm、Py、Pk…画像形成手段

Claims (5)

  1. 無端環状の転写ベルトまたは転写ドラムと、
    該転写ベルトまたは転写ドラム上の記録材に画像を形成する画像形成手段と、
    該転写ベルトまたは転写ドラムから分離された記録材を反転させて再び該転写ベルトまたは転写ドラムに導く用紙反転手段と、
    を備え、
    前記転写ベルトまたは転写ドラムはその周方向において往路領域と復路領域とからなり、往路領域は記録材が給送される位置から該転写ベルトまたは転写ドラムの移動方向下流側の復路領域の上流端までであって、かつ記録材上に画像形成される領域であり、復路領域は往路領域を経て用紙反転手段が反転させた後の記録材が給送される位置から往路領域上流端までであり、
    さらに、
    前記往路領域内の上流側に設けられた第1の吸着手段と、
    前記復路領域内の上流側に設けられた第2の吸着手段と、
    記録材が前記第2の吸着手段を通過してから第1の吸着手段に到達するまでの時間に基づいて、第2の吸着手段の出力値を決定する決定手段と、
    を備えたことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記第2の吸着手段は、記録材が到達したタイミングで決定手段において決定された値の出力を出し、記録材が通過するタイミングで出力を停止する請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記決定手段は、さらに記録材のサイズ、記録材の種類、環境、前記第1吸着手段の出力値、第1の吸着手段までの転写ベルトまたは転写ドラムの形状、の各条件のうちの少なくとも1つの条件に基づいて、前記第2の吸着手段の出力を決定する請求項1に記載の画像形成装置。
  4. 転写ベルトまたは転写ドラムを清掃するためのクリーニング手段を有し、前記決定手段は、クリーニング手段の動作状態に基づいて、前記第2の吸着手段の出力を決定する請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 前記決定手段は、前記第1の吸着手段の出力値を、それよりも下流にある、転写ベルトまたは転写ドラムから記録材を分離する分離手段までの記録材の到達時間に基づいて決定する請求項1に記載の画像形成装置。
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