JP4075450B2 - 自動車のカウルボックス構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のフロント部に車幅方向に延在配置された、車体フロント部の車幅方向骨格部材としての機能と、車載空調ユニットの外気導入部としての機能を併有するカウルボックス構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
カウルボックスは前述のように車体フロント部の車幅方向骨格部材として機能していることから、このカウルボックスにフロントウインドウパネルの下端部を固定支持するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カウルボックスは閉断面構造としてあるため、フロントウインドウパネルの支持剛性が高く上方から外部荷重がフロントウインドウパネル支持部近傍に入力した場合、その入力荷重に対する反力が大きくなって衝撃エネルギーを効果的に吸収できない。
【0004】
そこで、カウルボックスをフロントウインドウパネル下端部の支持部前方で開断面としたものも知られているが、このようにカウルボックスを開断面構造とした場合は車体剛性が必然的に低下されることになり、また、この車体剛性の低下によりアイドル振動時にこもり音が発生し易いという問題を生じる。
【0005】
そこで、本発明は車体剛性の維持と入力荷重に対する衝撃エネルギーの吸収効率の向上との両立を図ることができる自動車のカウルボックス構造を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、車体のフロント部に車幅方向に延在配置されてフロントウインドウパネルの下端部を支持する自動車のカウルボックス構造において、前記フロントウインドウパネルの下端部を前縁側を自由端部とした支持パネルの前端部に固定して片持ち梁を構成し、この支持パネルの前端部の下側に所定間隔をおいて、閉断面のカウルボックスを形成し、前記支持パネルの前端部とカウルボックスとを、フロントウインドウパネルが膜振動する際の少なくとも腹となる位置、若しくはその近傍位置でステイ部材により連結したことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載の自動車のカウルボックス構造において、支持パネルの前端部とカウルボックスとの連結位置を、フロントウインドウパネル下端部の車幅方向両端から全幅の略1/4だけ内側に寄った位置と、車幅方向略中央位置とに設定したことを特徴としている。
【0009】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、フロントウインドウパネルの下端部の固定支持部を片持ち梁として構成としたので、このフロントウインドウパネルの支持部近傍に入力される上方からの外部荷重に対して支持パネルを容易に変形させることができる一方、この支持パネルの下方には閉断面のカウルボックスが存在しているため車体剛性が低下するのを防止することができる。
【0010】
そして、前記支持パネルと閉断面のエアボックスとの間には所定間隔を設けてあるので、前記入力荷重に対する支持パネルの変形量を十分に確保して、この入力荷重に対する衝撃エネルギーの吸収効率を十分に高めることができる。
【0011】
また、カウルボックスを閉断面として車体剛性を維持できることから、アイドル振動時等におけるこもり音の発生を防止することができる。
【0012】
さらに、支持パネルの前端部と閉断面のカウルボックスとを、フロントウインドウパネルが膜振動する際の少なくとも腹となる位置、若しくはその近傍位置でステイ部材により連結したので、フロントウインドウパネルが膜振動する際の振幅増大部分を剛性の高いカウルボックスで支持できるため、このフロントウインドウパネル下端部の振動を効果的に抑制し、ひいては、アイドリング時等に発生する車体振動に起因するこもり音を低減することができる。
【0013】
また、支持パネルが閉断面のカウルボックスに部分的に固定されるため、車体剛性を更に向上することができる。
【0014】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、支持パネルとカウルボックスとの連結位置を、フロントウインドウパネル下端部の車幅方向両端から全幅の略1/4だけ内側に寄った位置と、車幅方向略中央位置とに設定したので、フロントウインドウパネルが車幅方向両端を固定点として膜振動する際に、振幅が特に顕著な一次モード若しくは二次モードの振動を効果的に抑制することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0016】
図1,図2は本発明にかかるカウルボックス構造の第1実施形態を示し、図1はエンジンフードを外してカウル部を車両前方から見た斜視図、図2は図1中A−A線に対応する位置の拡大断面図である。
【0017】
図1に示す自動車Mのフロント部に車幅方向にカウル部11を構成してある。
【0018】
このカウル部11はダッシュアッパパネル15とカウルフロントパネル16とを備え、該ダッシュアッパパネル15の上端部に車両前方に張り出す支持パネル12を接合固定し、この支持パネル12の前側縁を自由端部12aとして、該自由端部12aをフロントウインドウパネル10の傾斜角に沿って折曲してある。
【0019】
そして、前記支持パネル12の傾斜した自由端部12aに、フロントウインドウパネル10の下端部10aを接着材13により接着固定して片持ち梁を構成している。
【0020】
そして、前記ダッシュアッパパネル15の内側には、底壁15aと縦壁15bとに跨って断面く字状の隔壁20をスポット溶接することにより、前記支持パネル12の前端部の下側に車幅方向に延在する閉断面構造のカウルボックス21を構成してある。
【0021】
このとき、カウルボックス21と前記片持ち梁を構成する支持パネル12の前端部12aとの間に所定間隔Lを設けてあり、この所定間隔Lは、フロントウインドウパネル10の下端部10aの支持固定部周りへの入力荷重の大きさに対するこの支持パネル12の前端部12aに必要な変形量によって決定され、この変形量以上の間隔L寸法が設けられる。
【0022】
前記カウルフロントパネル16の下端部16aは前記底壁15aの前側縁と隔壁20の前端部との重合部にスポット溶接されて、隔壁20との間に断面U字状の樋構造17を構成してあって、該カウルフロントパネル16の上端部16bには、ウエザーストリップ18を介在させてフード19の後端部が液密に当接しており、このフード19の後端部と前記ウインドウパネル10の下端部10aとの間には、外気やフロントウインドウパネル10表面を流れ落ちた雨水を取り込むために適宜の間隔Sを設けてある。
【0023】
以上の構成により本実施形態のカウルボックス構造にあっては、支持パネル12の自由端部12aにフロントウインドウパネル10の下端部10aを接着固定して片持ち梁を構成しているので、このフロントウインドウパネル10の下端部10aの支持固定部周りに入力される上方からの外部荷重、例えばインパクターHからの入力荷重Fに対して支持パネル12が容易に変形することができる。
【0024】
一方、前記支持パネル12の下方には閉断面のカウルボックス21が存在しているため、この閉断面のカウルボックス21によって車体剛性が低下するのを防止することができる。
【0025】
そして、前記支持パネル12と前記閉断面のカウルボックス21との間には所定間隔Lを設けてあるので、前記入力荷重Fに対する支持パネル12の変形量を十分に確保でき、この荷重Fの入力に対する衝撃エネルギーの吸収効率を高めることができる。
【0026】
更に、前述のようにカウルボックス21を閉断面として車体剛性を維持できることから、アイドル振動時等におけるこもり音の発生を防止できるという利点も有する。
【0027】
図3,図4は本発明の第2実施形態を示し、前記第1実施形態と同一構成部分に同一符号を付して重複する説明を省略して述べる。
【0028】
図3は前記第1実施形態に示した図1中B−B線に対応する位置の拡大断面図、図4はフロントウインドウパネル下端部の振動モードを示す平面図である。
【0029】
この第2実施形態では前記第1実施形態における片持ち梁を構成する支持パネル12の前端部12aと閉断面のカウルボックス21とを、フロントウインドウパネル10が膜振動する際の腹となる位置でステイ部材22により連結してある。
【0030】
即ち、この第2実施形態では膜振動の二次モード振動を対象として、前記支持パネル12とカウルボックス21とを、フロントウインドウパネル10の下端部10aの車幅方向両端から全幅の略1/4だけそれぞれ内側に寄った位置でステイ部材22を介して溶接して連結している。
【0031】
従って、この第2実施形態のカウルボックス構造では、図4に示すようにフロントウインドウパネル10が車幅方向両端を固定点K1,K2として振動した場合の振幅増大部分を、閉断面のカウルボックス21に固定できるため、このフロントウインドウパネル10の振動を効果的に抑制し、ひいては、アイドリング時等に発生する車体振動に起因するこもり音を低減することができる。
【0032】
即ち、フロントウインドウパネル10の振動モードを図4に示したが、この場合、図中破線に示す膜振動の一次モードでは、フロントウインドウパネル10は車幅方向両端の固定点K1,K2を節として振動することになり、車幅方向中央部C0が腹となって最大振幅W1の箇所となる。
【0033】
また、図中一点鎖線に示す膜振動の二次モードでは、前記固定点K1,K2および中央部C0をそれぞれ節として振動することになり、車幅方向両端から全幅の略1/4だけ内側に寄った位置C1,C2が腹となって最大振幅W2の箇所となる。
【0034】
従って、この第2実施形態では支持パネル12とカウルボックス21とのステイ部材22による連結位置が、車幅方向両端から全幅の略1/4だけ内側に寄った位置、つまり前記二次モードの腹部分(C1,C2)であるため、フロントウインドウパネル10の二次モードの振動を効果的に抑制することができ、ひいては、アイドル振動などに起因するこもり音を最も効率良く低減することができる。
【0035】
また、車幅方向両端から全幅の略1/4だけ内側に寄った位置にステイ部材22を設けたことは、中央部C0を腹とする一次モードの振動に対しても、最大振幅W1の位置でないにしても、ある程度大きな振幅を発生する箇所であり、この一次モードの振動に対しても振動抑制効果を発揮することができる。
【0036】
尚、前記支持パネル12と前記カウルボックス21との連結位置は、車幅方向両端から全幅の略1/4だけそれぞれ内側に寄った位置(C1,C2)に限ることなく、一次モードの振動を対象として車幅方向中央部C0の位置のみ、若しくは、この中央部C0と前記1/4位置C1,C2とを併せたそれぞれの位置に設定することができる。
【0037】
ところで、本発明のカウルボックス構造は前記第1,第2実施形態に例をとって説明したが、勿論これらに限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において各種実施形態を採用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態におけるフードを外してカウル部を車両前方から見た斜視図。
【図2】図1中A−A線に対応する位置の拡大断面図。
【図3】本発明の第2実施形態における図1に対応する拡大断面図。
【図4】本発明の第2実施形態におけるフロントウインドガラス下端部の振動モードを示す平面図である。
【符号の説明】
10 フロントウインドウパネル
11 カウル部
12 支持パネル
12a 自由端部
21 カウルボックス
22 ステイ部材
Claims (2)
- 車体のフロント部に車幅方向に延在配置されてフロントウインドウパネルの下端部を支持する自動車のカウルボックス構造において、
前記フロントウインドウパネルの下端部を前縁側を自由端部とした支持パネルの前端部に固定して片持ち梁を構成し、この支持パネルの前端部の下側に所定間隔をおいて、閉断面のカウルボックスを形成し、
前記支持パネルの前端部とカウルボックスとを、フロントウインドウパネルが膜振動する際の少なくとも腹となる位置、若しくはその近傍位置でステイ部材により連結したことを特徴とする自動車のカウルボックス構造。 - 支持パネルの前端部とカウルボックスとの連結位置を、フロントウインドウパネル下端部の車幅方向両端から全幅の略1/4だけ内側に寄った位置と、車幅方向略中央位置とに設定したことを特徴とする請求項1に記載の自動車のカウルボックス構造。
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