JP4068010B2 - 掃除機用床ノズルの回転ロータ - Google Patents
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Description
【発明が属する技術分野】
本発明は、電気掃除機のアタッチメントとして使用される床ノズルに内蔵される回転ロータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図10、11に従来の回転ロータを示す。図において、1は回転ロータで、回転ロータ1を構成するロータ2は中空部3を有する金属製の略円筒状とし、その外周に開口する複数条の支持溝4に清掃体5を挿入固定し、ロータ2を軸の周りに捩りを加えて清掃体5を螺旋状とし、ロータ2の両端部に各々従動プーリ6及び軸7を一体に有する従動側ブラケット8、軸7を一体に有する遊び側ブラケット9を固着し、更にその外側にはワッシャ10を介して軸受11を圧入保持した軸受ホルダー12が取り付けられ、回転自在に軸支された状態で組み立てられている。
【0003】
このように構成した従来の掃除機用床ノズルの回転ロータ1を回転させると清掃体5が床面を擦り、床面にある塵埃をかき上げて、清掃効果を発揮するものである。また、ロータ2が中空部3を有しているため、たとえロータ2の外径が大きくなっても軽量化が図れるというメリットを有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記のように構成した掃除機用床ノズルの回転ロータ1は、ロータ2の中空部3により軽量化されるものの、その代償として、捩ることによる断面形状の歪みが中実品に比べてはるかに大きく、回転体として必要とされる真直度がなかなか得られないという欠点を有していた。さらに、上記構成においては、精度の安定しないロータ2を基準として両端の外径部に従動側ブラケット8、遊び側ブラケット9を圧入及び接着固定しているため、組立時に傾いて圧入されたりする場合もあった。
【0005】
さらに、従動側ブラケット8、遊び側ブラケット9は軸7をインサート成形等により一体に有しており、ロータ2に嵌合する内径と軸7との同軸度に関しても完全にゼロにすることはきわめて困難であった。このように従来の構成においては、回転ロータ1に求められる回転体としての精度を悪くする要素が数多く存在し、結果として回転バランスがくずれ、振動、異音、騒音が大きくなり、また、清掃効果にもばらつきが生じて均一な清掃ができないという欠点を有していた。
【0006】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、中空ロータを用いた回転ロータの精度を向上し、回転バランスが優れ、振動、異音、騒音がきわめて小さく、また、均一な清掃ができる回転ロータを提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる掃除機用床ノズルの回転ロータは、次のように構成したものである。
(1)底面に塵埃を吸引するための横長の開口を有する本体ケースに、回転ロータを前記開口の近傍に備えた掃除機用床ノズルにおいて、前記回転ロータを構成するロータは、断面の中心において全長方向に貫通する中空部を有し、且つ、外周に開口する1条乃至複数条の清掃体取付け用の支持溝を有しており、前記中空部には全長が前記ロータより長く形成された棒状の軸体を挿入し、前記ロータの両端から前記軸体が突出した状態で、前記ロータを軸芯の周りに所定の角度捩りを加えて前記中空部を径方向に絞ることで、前記軸体を前記ロータと回転不可能な状態で一体化し、且つ、前記清掃体を前記支持溝に挿入することで前記清掃体を螺旋状にし、前記ロータの長手方向両端にブラケットを取付け、前記ブラケットより更に外側に突出した前記軸体を軸受にて回転自在に軸支したものである。
(2)上記(1)で示す構造と同様の回転ロータにおいて、軸体を中空円筒状としたものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1
図1から図8に実施の形態1の構成を示す。図において、20は床ノズルであり、以下にその構成を説明する。21は、底面に横長の開口22を有する下ケース23と、この下ケース23を覆う上ケース24より形成された本体ケースでその中央には一端が開口22に連通し、他端は本体ケース21の後端まで延在する中央通路25を有している。
【0009】
26は一端が中央通路25に位置し、他端が電気掃除機本体(図示せず)に接続される吸気パイプ、27は回転ロータでロータ28と軸体29、清掃体30、減速プーリ31Aを有する従動側ブラケット32、遊び側ブラケット33、ワッシャ34、軸受35を保持する軸受ホルダー36より構成され、開口22の長手方向の両端に設けられた軸受ホルダー保持部37に、回転ロータ27の両端に取り付けられた軸受ホルダー36を嵌めることにより軸体29が軸受35に回転自在に支持され、清掃体30の自由端38はその回転時に開口22より突出される。
【0010】
回転ロータ27を構成するロータ28はアルミニウムやその合金にて押出し成形された直線状の棒状体であり、その長手方向には外周に開口する一条乃至複数条の清掃体30を支持するための支持溝39が設けられており、断面中央部には長手方向に貫通する中空部40を有している。
【0011】
軸体29は直線状の丸鋼等で作られており、その両端部には軸受ホルダー36の抜け止めの為に溝部41が設けてある。軸体29の溝部41以外の部分の外径は、ロータ28の中空部40の内径よりも僅かに小さく形成されており、ロータ28の中空部40に挿入した際に、回転、摺動はできるが、ガタの少ない嵌め合い寸法に設定されている。また、軸体29の全長はロータ28の全長よりも長く設定されている。
【0012】
ロータ28の中空部40に軸体29を挿入し、軸体29の両端部が各々ロータ28の両端より外側に突出する位置にセットする。この状態で次に、ロータ28を軸の周りに所定の角度捩りを加えてロータ28の支持溝39を螺旋状にする。この時、ロータ28の中空部40の内径は、捩り加工により小さく絞られる方向に変形を開始する。この絞られた内径が、軸体29の外径よりも小さくなろうとする際に、ロータ28と軸体29は互いに回転、摺動不可能な状態に一体化される。
【0013】
次に螺旋状になったロータ28の支持溝39に清掃体30を挿入固定することで清掃体30を螺旋状にする。従動側ブラケット32及び遊び側ブラケット33は、その中心に軸体29を貫通させるための抜き穴42が設けられ、ロータ28に固着される側には回り止めリブ43を有している。従動側ブラケット32及び遊び側ブラケット33を各々ロータ28の両端に固着する。この際にロータ28の両端から突出した軸体29は従動側ブラケット32及び遊び側ブラケット33に設けられた抜き穴42を貫通し、更に外側へ突出する。回り止めリブ43はロータ28の支持溝39と嵌まり合うことで回り止めされる。
【0014】
44は回転ロータ27を回転させる電動機よりなる駆動体で、軸45には減速プーリ31Bが固定されている。46は減速プーリ31Aと減速プーリ31Bに巻回された伝達用のベルトである。
【0015】
この外側にさらにワッシャ34、軸受ホルダー36の順番に取り付けて回転ロータ27が完成する。これにより、軸体29は軸受ホルダー36に圧入された軸受35に回転自在に支持される。
【0016】
このように構成された床ノズル20は掃除機本体(図示せず)の運転に伴い外気は開口22より中央通路25を通過し、吸気パイプ26を介して掃除機本体(図示せず)に吸引される。このとき、駆動体44が回転し、その回転は減速プーリ31B、ベルト46、減速プーリ31Aにより回転ロータ27に伝達される。回転ロータ27に装着された清掃体30は回転し、その自由端38は開口22より突出して回転しながら床面に衝突し、床面に付着した塵埃や散乱したゴミ等を開口22内に直接かき上げたり吸引される外気流に塵埃を乗せる。
【0017】
本実施の形態の回転ロータ27は前記したように、その全長に亘って軸芯に一本の直線状に形成された軸体29が貫通し、この軸体29を両端の軸受35で支持しているため、従動側ブラケット32及び遊び側ブラケット33の組立てによって回転ロータ27の軸芯が傾くことが無く、また、ロータ28の中空部40には軸体29が挿入されているためロータ28に捩り加工を施しても中空部40の内径が軸体29の外径以下に変形することがなく、中空部40内に何も無い状態で捩る場合に比較して、捩りによる断面形状の歪みをはるかに小さくすることができる。
【0018】
このような回転ロータ27は芯振れが非常に小さくなり、結果として回転させたときのアンバランス量、騒音、振動も格段に小さいものとなる。
【0019】
なお、本実施の形態では回転ロータ27の回転を行うための駆動体44を電動機で説明したが、掃除機本体(図示せず)に収納される電動送風機(図示せず)の吸引力によりファンを回転させたり、床ノズル20の走行用車輪(図示せず)の回転等を用いて駆動体を形成してもよいものである。さらに、流れ込む空気を直接、清掃体30に当てることにより回転ロータ27自身を回転させてもよいものである。
【0020】
上記した中で、流れ込む空気を直接、清掃体30に当てることにより回転ロータ27自身を回転させるような構成においては、減速プーリ31Aを必要としないため、例えば、下ケース23や上ケース24に清掃体30のスラスト方向の抜け止めができるようなリブ(図示せず)を設けることで、回転ロータ27を構成する従動側ブラケット32及び遊び側ブラケット33を省略することも可能である。このような構成では、清掃幅も拡大することができる。
【0021】
また、ロータ28については、押出し成形された直線状の棒状体で説明したが、予め捩り押出し成形によって支持溝が螺旋状に形成されたロータを使用して軸体29を挿入後、捩り押出しロータ(図示せず)にさらに捩り加工を施して、より大きな捩り角度をもつ螺旋状を形成してもよいものである。
【0022】
さらに、本実施の形態では中空部40の形状を軸体29の外径輪郭形状と同様に円形にて説明したが、中空部40の断面形状はこの限りではなく、ロータ28を捩って中空部が絞られたときに軸体29をロータ28の中心に締め付けることができる形状であれば、方形や多角形等どのような形状でもよいものである。
【0023】
実施の形態2
図9に実施の形態2の構成を示す。なお、実施の形態1と構成が同様である部分については説明を省略する。軸体47は直線状の丸鋼等で作られており、その両端部には軸受ホルダー36の抜け止めの為に溝部48が設けてある。さらに軸体47の中心部には中空部49を設けてある。このような軸体47を用いることにより、実施の形態1に比較して軽量化が図れるものである。
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の掃除機用床ノズルの回転ロータは次に示すような効果を得ることができる。
【0025】
(1)底面に塵埃を吸引するための横長の開口を有する本体ケースに、回転ロータを前記開口の近傍に備えた掃除機用床ノズルにおいて、回転ロータを構成するロータは、断面の中心において全長方向に貫通する中空部を有し、且つ、外周に開口する1条乃至複数条の清掃体取付け用の支持溝を有しており、中空部には全長が前記ロータより長く形成された棒状の軸体を挿入し、ロータの両端から軸体が突出した状態で、ロータを軸芯の周りに所定の角度捩りを加えて中空部を径方向に絞ることで、軸体をロータと回転不可能な状態で一体化し、且つ、清掃体を支持溝に挿入することで清掃体を螺旋状にし、ロータの長手方向両端にブラケットを取付け、ブラケットより更に外側に突出した軸体を軸受にて回転自在に軸支したので、回転ロータは芯振れが非常に小さくなり、結果として回転させたときのアンバランス量、騒音、振動も格段に小さくでき、掃除むらのない均一な清掃が可能になる。
【0026】
(2)上記(1)で示す構造と同様の回転ロータにおいて、軸体を中空円筒状としたので、回転ロータは芯振れが非常に小さくなり、結果として回転させたときのアンバランス量、騒音、振動も格段に小さくでき、掃除むらのない均一な清掃が可能になるとともに、回転ロータの軽量化が図れ、回転させるために駆動体に必要な負荷も軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の横断面図である。
【図2】図1の上ケースを取り除いた平面図である。
【図3】本発明の実施の形態1の回転ロータの一部を断面にした平面図である。
【図4】本発明の回転ロータを構成するロータの捩り加工前の斜視図である。
【図5】本発明の回転ロータを構成する軸体の斜視図である。
【図6】本発明の回転ロータを構成する軸体を捩り加工前のロータに挿入した状態の斜視図である。
【図7】図6の状態からロータに捩り加工を施した状態を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施の形態の回転ロータを分解した斜視図である。
【図9】本発明の実施の形態2の回転ロータを構成する軸体の斜視図である。
【図10】従来の回転ロータの一部を断面にした平面図である。
【図11】従来の回転ロータを分解した斜視図である。
【符号の説明】
27 回転ロータ
28 ロータ
29 軸体
30 清掃体
32 従動側ブラケット
33 遊び側ブラケット
35 軸受
36 軸受ホルダー
39 支持溝
40 中空部
42 抜き穴
47 軸体
49 中空部
Claims (2)
- 底面に塵埃を吸引するための横長の開口を有する本体ケースに、回転ロータを前記開口の近傍に備えた掃除機用床ノズルにおいて、前記回転ロータを構成するロータは、断面の中心において全長方向に貫通する中空部を有し、且つ、外周に開口する1条乃至複数条の清掃体取付け用の支持溝を有しており、前記中空部には全長が前記ロータより長く形成された棒状の軸体を挿入し、前記ロータの両端から前記軸体が突出した状態で、前記ロータを軸芯の周りに所定の角度捩りを加えて前記中空部を径方向に絞ることで、前記軸体を前記ロータと回転不可能な状態で一体化し、且つ、前記清掃体を前記支持溝に挿入することで前記清掃体を螺旋状にし、前記ロータの長手方向両端にブラケットを取付け、前記ブラケットより更に外側に突出した前記軸体を軸受にて回転自在に軸支したことを特徴とする掃除機用床ノズルの回転ロータ。
- 軸体を中空円筒状としたことを特徴とする請求項1記載の掃除機用床ノズルの回転ロータ。
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