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JP4065741B2 - 吸収冷温水機 - Google Patents

吸収冷温水機 Download PDF

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JP4065741B2 JP2002225489A JP2002225489A JP4065741B2 JP 4065741 B2 JP4065741 B2 JP 4065741B2 JP 2002225489 A JP2002225489 A JP 2002225489A JP 2002225489 A JP2002225489 A JP 2002225489A JP 4065741 B2 JP4065741 B2 JP 4065741B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収冷温水機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、吸収剤として例えば臭化リチュウム水溶液を用い、冷媒として水を用いる吸収冷温水機が一般に知られている。吸収冷凍機のサイクルでは冷媒を吸収した溶液を再生するために、加熱減より溶液に熱を加え、冷媒を蒸発させることで濃縮を行う。この加熱源にバーナによる燃焼ガスを用い、さらに暖房運転も行えるようにしたものを直火焚き吸収冷温水機と呼び、広く空調用の熱源機として用いられている。又、吸収冷温水機は種々の熱源の利用が可能であることから、ガスタービンから排出される高温の燃焼排ガスを熱源として駆動することもある。
【0003】
この吸収冷温水機のエネルギ効率を高めるために、高温再生器で熱を与えた後の排ガスから熱回収を行う技術が提案されており、例えば特開平6−257891号公報に提案されたものがある。図5にその構成を示す。図5では、バーナ75から燃料を供給し、高温再生器76で燃焼ガスと溶液を熱交換させることで吸収液を濃縮し、排出される排ガスを低温再生器110に導き、ここでさらに溶液の濃縮を行うことで排ガスから熱回収を行っている。また、溶液は濃縮される際、冷媒蒸気を蒸発させるため、この蒸気が上部に抜けやすいように伝熱管122は地面に対して垂直に配置され、排ガスに接するフィン120は水平に配置されている。
【0004】
その他、排ガスから回収した熱を使用する手段には、低温再生器で溶液を濃縮することに使う他にも、特開2000−304370号公報に記載されているように燃焼用空気を加熱する手段も提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記の吸収冷温水機では、燃焼排ガスの温度が低下するため、排ガス中の水蒸気が結露しやすく、水分にさらされると吸収冷温水機の耐食性が低下するという問題が生じる。水を冷媒に用いる吸収冷温水機は、一般に高度な真空状態を必要とするため、腐食によって穴があくと空気が漏れ込み、真空状態が破壊される。このため、例え小さな穴でも機械に大きなダメージを受ける。排ガスの結露防止には、燃焼排ガスからの熱回収を行い過ぎないようにし、排ガスの温度を下げ過ぎないようにすることが最も効果的である。一般に燃料には水素元素が含まれるため、燃焼に伴なって水が生成されることから、燃焼排ガスにおける水蒸気の割合は空気よりも高く、空気よりも結露しやすい。排ガス中の水分が結露する温度は燃料の種類や条件によって異なるが、50〜100℃程度である。排ガスから熱回収を行うにあたっては、熱を与える相手の温度と流量、熱交換器における伝熱能力で排ガスの最低温度を制御することが可能である。このため、定常運転に関する限りでは排ガスからの熱回収を行いながら排ガスの結露防止を行うことは可能である。しかし、吸収冷温水機の起動時は機械が温まっていないために、排ガスは必ず冷えた機械にさらされることになり、排ガスからの結露が起きる。機械が温まってきて、排ガス温度が十分に上昇すると、結露して溜まっていた水を蒸発させることは可能であるが、水分が乾くまでの時間は腐食環境にさらされることになる。このため、吸収冷温水機においてエネルギ効率を高めるために燃焼排ガスからの熱回収を行うには、結露水に対する耐食性の向上が一番の課題であった。
【0006】
また、排ガスから回収した熱を低温再生器で溶液を濃縮するために用いる場合、冷媒蒸気が抜けやすいように、伝熱管を地面に対して垂直方向になるように配置する必要がある。この場合、伝熱管に直交するフィンの向きは水平方向になる。フィンが水平方向を向いていると、結露水が発生した場合にフィン表面に水が留まりやすく、腐食環境にさらされる時間が長くなるという問題がある。このため、結露水に対する対策を果たしながら、排ガスから回収した熱をいかに利用して吸収冷温水機のエネルギ効率を高めるかが課題であった。
【0007】
また、一般に気体の熱伝達率は液体に比べてかなり低いことから、排ガスから充分な熱回収を行うには大きな伝熱面積を必要とする。排ガスと燃焼用空気を熱交換させる場合は、気体同士の熱交換であるため互いの熱伝達が低く、溶液で熱回収する場合よりさらに大きな伝熱面積が必要となる。このため、多大な伝熱面積を有する排ガス熱交換器を安価な材料と手段で構成することも課題であった。
【0008】
そのため、本発明では上記課題を解決して、腐食の発生しにくい排ガス熱交換器を備え、かつエネルギ効率の向上を図った吸収冷温水機を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明では高温熱交換器と並列に排ガス熱交換器を設け、前記排ガス熱交換器の複数のフィンを重力方向に並行な向きに、溶液を流す伝熱管を重力方向に略直角方向に配置した構成とした。さらにまた、溶液を流す伝熱管を排ガスの流路方向に複数本設け、排ガスの流路方向の下流側から上流側に向かって溶液が連続して流れるように接続した構成とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を、水を冷媒とし、臭化リチュウム水溶液を吸収剤にした吸収冷温水機を例に挙げて説明する。
【0011】
図1は本発明の第1の実施の形態となる吸収冷温水機の概略的な系統図であり、冷凍サイクルにおける循環を示している。二重効用サイクルを用いた吸収冷温水機は、蒸発器1、吸収器2、凝縮器3、低温再生器4、高温再生器5、低温熱交換器6、高温熱交換器7を主な構成要素としている。蒸発器1には伝熱管を配置し、管内側に冷水を流し、管外側に冷媒を散布する。蒸発器1および吸収器2は同程度の圧力で1/100気圧程度であり、蒸発器では低圧であることから冷媒が蒸発する。この時の蒸発潜熱を冷水から奪うことで冷水は冷やされる。この冷水が空調用の冷熱源として利用される。
【0012】
蒸発器で蒸発した冷媒は吸収器2で吸収される。吸収器2には伝熱管が配置され、伝熱管内側に冷却水を流し、伝熱管外側に溶液を散布する。溶液が冷媒蒸気を吸収する時に生じる凝縮潜熱を冷却水が奪うことにより吸収器2での吸収が進む。冷媒を吸収して濃度が低下した希溶液は、循環ポンプを用いて低温熱交換器6に送られる。低温熱交換器6では、低温再生器および高温再生器側から戻ってくる高濃度の濃溶液と、吸収器2からの希溶液との間で熱交換する。ここで冷やされた濃溶液は吸収器2に送られ、吸収液として利用される。低温熱交換器6を出た希溶液は分岐され、一方は低温再生器4、他方は高温再生器5側に送られる。このように希溶液を分岐して循環させることをパラレルフロート呼ぶ。低温再生器4には伝熱管が配設されており、伝熱管内側に高温再生器5で生じた冷媒蒸気を流し、伝熱管外側に低温熱交換器6からの希溶液を散布する。低温再生器4に送られた希溶液は伝熱管上で加熱されて冷媒蒸気を発生し、伝熱管内側の冷媒蒸気は溶液に熱を与えることで凝縮する。低温再生器4で濃縮した溶液は、高温再生器5で濃縮した溶液と合流させて低温熱交換器6に送られる。低温再生器4で溶液から発生した冷媒蒸気および低温再生器4の管内で凝縮した冷媒は凝縮器3へ送られる。凝縮器3には伝熱管が配置されており、管内側に冷却水を流し、管外側で冷媒蒸気を冷却し、冷媒蒸気を凝縮させる。凝縮器3内で生成された液冷媒は蒸発器1に送られる。
【0013】
低温熱交換器6を出た希溶液は低温再生器4側と高温再生器5側に分岐される。高温再生器5側送られた希溶液は、さらに分岐され、一方は高温熱交換器7に送られ、他方は排ガス熱交換器9に送られる。高温熱交換器7では、高温再生器5から戻ってくる濃溶液と低温熱交換器6からの希溶液との間で熱交換される。排ガス熱交換器9では、高温再生器5から出される排ガスと低温熱交換器6からの希溶液との間で熱交換する。高温熱交換器7と排ガス熱交換器9とを出た希溶液は再び合流されて高温再生器5に送られる。高温再生器5ではバーナ8で生じた燃焼ガスで溶液を加熱・沸騰させ、溶液を濃縮する。高温再生器5の熱源としては、バーナ8による燃焼ガス以外にも、ガスタービン等の高温排ガスを用いることが可能である。吸収冷温水機は、バーナ8で消費する燃料が主要なエネルギ消費となる。このため、高温再生器5に投入するエネルギを低減することがエネルギ効率を高めることになる。排ガス熱交換器9は希溶液を加熱することで、高温再生器5に流入する溶液の温度を高め、高温再生器5で溶液を加熱するために消費するエネルギを低減することができる。
【0014】
高温熱交換器7で熱交換する濃溶液は高温再生器5からの戻り溶液であるため、高温再生器5で冷媒が蒸発する分だけ、高温再生器5に流入する溶液より流量が少ない。このため排ガス熱交換器9を用いない場合、高温熱交換器7で熱交換する溶液の流量は濃溶液の方が希溶液より必ず少なくなる。この場合、熱容量の関係から濃溶液と希溶液が熱交換を行っても、濃溶液の温度が低下する程には希溶液は温度上昇しない。このため、高温熱交換器7はどれだけ伝熱面積を増やしても希溶液の出口温度を濃溶液の入口温度に近づけることに限界がある。高温熱交換器7と並列に希溶液を流す排ガス熱交換器9を配置した場合、高温熱交換器7単独に希溶液を流す場合に比べて、高温熱交換器7に流れる希溶液の流量は減少する。このため、高温熱交換器7の希溶液の出口温度と濃溶液入口温度との差が小さくなり(前述の限界がなくなり)、高温熱交換器7における希溶液の出口温度を高めることにも役立つ。排ガス熱交換器9に対する希溶液の流し方としては、高温熱交換器7と排ガス熱交換器9を直列に配置し、希溶液の全量を流す方法なども提案されている。しかし、排ガスから充分に熱回収を行い、かつ高温再生器5に流入する希溶液の温度を高めるためには、排ガス熱交換器9と高温熱交換器7とを並列に配置し、希溶液を分岐させてそれぞれの熱交換器に流す構成とした方が、直列に配置した場合よりもエネルギ効率を高めることができる。
【0015】
また、パラレルフローを用いる場合、循環する希溶液(低温熱交換器6を出た希溶液)が低温再生器4側と高温再生器5側(高温熱交換器7側)に分岐される。このために、高温熱交換器7を流れる溶液量が、低温熱交換器6に流れる溶液量に比べて半分になる。従って、高温熱交換器7を流れる希溶液が少ないために、高温熱交換器7の希溶液の出口温度と濃溶液の入口温度の差が小さくなる。このため、高温熱交換器7における温度効率の向上を図りやすいという特徴がある。ただし、排ガス熱交換器9を並列に設けていない場合は、前述のように高温熱交換器7を出る希溶液の温度を上げることに限界がある。高温熱交換器7と排ガス熱交換器9とを並列に配置することで、高温熱交換器7に流す希溶液の量がさらに少なくなる。このため、高温熱交換器7の出口側の希溶液の温度を上げることができ、限界を高くすることができる。このように、パラレルフローの吸収冷温水機において、高温熱交換器7と排ガス熱交換器9とを並列に配置した構成とすることで、最もエネルギ効率を高めることができる。
【0016】
なお、暖房サイクルによって吸収冷温水機を暖房運転で使用する場合も、溶液の循環は図1と同じであるため、排ガス熱交換器9は有効に働き、エネルギ効率を高めることができる。
【0017】
図2は本発明に用いる排ガス熱交換器の基本的な構成を説明する図である。高温再生器6から排出される排ガス10と希溶液11は、伝熱管12とフィン13を通じて熱交換される。ここでは例として排ガス10を重力方向に対して直角方向(水平)に流す場合を示しているが、排ガスを重力方向(地面に対して垂直)に流す場合も同様の構成とすることができる。熱交換器の形態としてフィン・アンド・チューブの方式を取ることにより、熱伝達率の悪い排ガス側の伝熱面積を増やし、熱伝達率のよい希溶液側は伝熱面積を減らし、有効な伝熱面積の使い方ができるようになる。
【0018】
排ガスに接するフィン13は排ガス10の流れに平行に配置すると同時に、重力方向(地面に対して垂直)に配置する。これにより、フィン13に直交する伝熱管12は必然的に水平(重力方向に対して直角)に配置される。フィン13が重力方向に配置されているために、一時的に排ガスから結露が生じフィン13に水が付いた場合でも水は流れ落ち、フィン13および伝熱管12が長時間腐食環境にさらされることがなくなる。すなわち、フィン13を重力方向に並行に配置することで防食対策を施している。又伝熱管12を水平にして問題が起きない理由は、溶液を沸騰させないためである。これは、沸騰の起きない条件に構成したためで、特に排ガス熱交換器9を高温熱交換器7と並列に溶液を流す構成とすることで、排ガス熱交換器9の出入口の温度差を大きくして、顕熱により充分熱回収できるようにしたことによって可能になる。伝熱管12は、直線部でフィン13と接して、複数本存在しているが、両端でU字状に接続し、希溶液11を排ガス10の下流側から流入させ、上流側の伝熱管12から取り出すことが可能になり、排ガス10と希溶液11の流れが対向流になる。このように対向流方式にすると、排ガス熱交換器9の出口側の希溶液の温度を排ガス入口側温度まで上げることができ、入口側温度と出口側温度の差を大きくでき、温度効率を向上できる。
【0019】
本発明で、使用する排ガス熱交換器9は排ガス10および希溶液11とも顕熱の交換を行うため、温度効率をもっとも高めることができる対向流で使用するこのとの効果は大きい。温度効率が上がると希溶液11の出口温度が上がるために、少量の希溶液11で排ガス10から充分な熱回収ができるようになり、かつ、伝熱面積も増やさずに済む。少量の希溶液11を流すだけで済むことは、排ガス熱交換器9を高温熱交換器7と並列に配置したことによる利点である。あまり多くの希溶液11を排ガス熱交換器9に流すと、高温熱交換器7で回収できる熱が低下してしまい、吸収冷温水機としてのエネルギ効率が向上しなくなってしまうが、高温熱交換器7に流す量よりも少量の希溶液11を排ガス熱交換器9に流すことで吸収冷温水機のエネルギ効率が充分に向上する。このように、排ガス熱交換器9へ流す流量を制限する方法としては、排ガス熱交換器9の流路抵抗が大きくなるように設計する方法や、オリフィスを設ける等の方法で実現することができる。
【0020】
図2における伝熱管12の材質にはSUS316LもしくはSUS316を使用するのが好適で、フィン13には酸化皮膜処理を行ったアルミ材を使用することが好適である。排ガス熱交換器9における伝熱管12は、外側を排ガス10による結露水による腐食環境下にさらされ、内側を溶液による腐食環境にさらされる。一般に、溶液に用いられる臭化リチウム水溶液は強い腐食性を有することから、吸収冷温水機における排ガス熱交換器9はより厳しい腐食環境にされされる。このため、伝熱管12の材質は耐食性に優れたステンレス材を使用することが考えられる。ただし、吸収冷温水機は気密性の確保が重要であるため、伝熱管12を接続する上では、溶接による完全な気密性の確保を必要とする。このため、伝熱管12の材質にステンレス材を用い、なおかつ、オーステナイト系ステンレスを用いることを考案した。しかし、一方でオーステナイト系ステンレスは応力腐食割れを起こすという危険性を有している。応力腐食割れは、腐食性の液にさらされること、拘束される環境にあること、高い温度環境にさらされることによって発生しやすくなり、排ガス熱交換器9の伝熱管12もこの条件に当てはまる。
【0021】
これらの条件を踏まえて種々の材料を試験した結果、排ガス熱交換器9における伝熱管12には、SUS316LもしくはSUS316を使用することが最も安全であるという結果を得た。フィン13に関しては伝熱面積を多く必要とすることから安価な材料を使用することが最も重要であるが、一方排ガスの結露水からの腐食環境にさらされることから、耐食性の向上も必要とする。このため、フィン13にはアルミ材を使用し、その際、表面に酸化皮膜を形成する処理を施すのが最も効率的であるという結論に達した。
【0022】
図3は本発明で用いる排ガス熱交換器の実用上の構成を説明する図である。図2で示したフィン・アンド・チューブのユニットを排ガス10の流路方向と垂直な方向に複数積層し、それぞれのユニットの伝熱管12の出入口部をヘッダ14に接続している。これにより、希溶液11はヘッダ14で分配され、分配された溶液はそれぞれのユニットの中で排ガスと対向して流れる。図2の構造のままでも熱交換器として成立するが、排ガスの流路断面積を増やすことが可能になり、かつ、排ガス10と希溶液11の対向流を実現して熱交換器としての温度効率を上げるという図2の構造の利点を損なうことがない。このように、ユニット化した排ガス熱交換器を多段に積層する構成とすることで、熱交換器の必要とする容量(排ガスの流量)に応じて簡単に構成を変更することができる。
【0023】
図4は本発明の第2の実施の形態となる吸収冷温水機の概略的な系統図である。図1と異なる点は、低温熱交換器6に並列にドレン熱交換器15を設けた点である。すなわち、吸収器2を出た希溶液を低温熱交換器6に流入させる手前で分岐させ、一方は通常通り低温熱交換器6に流し、もう一方をドレン熱交換器15に流す。そして、ドレン熱交換器15を出た希溶液は低温熱交換器6を出た希溶液と合流させる構成とすることで、ドレン熱交換器15が低温熱交換器6と並列に配置される。ドレン熱交換器15で熱交換するもう一方の流体には、低温再生器4から出てくる液冷媒をあてる。この液冷媒は低温再生器4で溶液に熱を与えることで蒸気から凝縮したものであり、ドレン熱交換器15を出た後は凝縮器3に送られる。凝縮器3の温度と低温再生器4の温度には、温度差があることから熱回収を行うことができる。
【0024】
一方で低温熱交換器6で熱交換する希溶液と濃溶液には、高温熱交換器7の場合と同様に流量に差が有る。すなわち、ドレン熱交換器15がなければ、濃溶液の流量が希溶液より必ず少なくなる。このため、低温熱交換器6はどれだけ伝熱面積を増やしても希溶液の出口温度を濃溶液の入口温度に近づけることに限界が生じる。そのため、高温熱交換器7と排ガス熱交換器9の関係と同様に、低温熱交換器6とドレン熱交換器15を並列に配置することで、希溶液の温度を上げることができ、図1の実施形態に比べて、さらにエネルギ効率を高めることが可能となる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、重力方向を向けて配置したフィンで排ガスと接触し、溶液と熱交換させる排ガス熱交換器を備えることで、排ガスの結露水をフィンから落下させることで、結露水に対する耐食性を高めた上で排ガスから熱回収行うことができるようになり、吸収冷温水器のエネルギ効率を向上させることが可能になる。又、排ガスと溶液の対向流による熱交換を実現することで、排ガス熱交換器の温度効率を高めることが可能になり、吸収冷温水機のエネルギ効率を向上させることが可能になる。また、排ガスと溶液が対向流で熱交換するフィン・アンド・チューブのユニットを積層して、排ガス熱交換器を構成することで、対向流の長所を生かしたままで、排ガスの流量に応じた熱交換器を製作することが可能になる。また、排ガス熱交換器の伝熱管にSUS316LもしくはSUS316を使用し、フィンに酸化皮膜処理を施したアルミ材を使用することで、コスト増加を抑え耐食性を向上させることが可能になる。また、吸収冷温水機における溶液の循環方式として、パラレルフローで、高温熱交換器と並列に排ガス熱交換器を配置することで、より高いエネルギ効率を実現することが可能になる。さらに、低温熱交換器と並列にドレン熱交換器を配置することで、排ガス熱交換器の効果に上乗せしたエネルギ効率の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る吸収冷温水機の概略的な系統図である。
【図2】本発明に用いる排ガス熱交換器の基本構成を示す図である。
【図3】本発明に用いる排ガス熱交換器の構成を示す図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る吸収冷温水機の概略的な系統図である。
【図5】吸収冷温水機において排ガスから熱回収を行う技術の一例を示す図である。
【符号の説明】
1…蒸発器、2…吸収器、3…凝縮器、4…低温再生器、5…高温再生器、6…低温熱交換器、7…高温熱交換器、9…排ガス熱交換器、12…伝熱管、13…フィン、15…ドレン熱交換器。

Claims (5)

  1. 蒸発器、凝縮器、低温再生器、高温再生器、低温熱交換器、高温熱交換器を備え、溶液を循環させることで吸収冷凍サイクルを構成し、燃焼ガスで高温再生器を加熱する吸収冷温水機において、
    高温再生器を出た排ガスと溶液を熱交換させる排ガス熱交換器を備え、前記排ガス熱交換器は、排ガスに接するフィンを重力方向に配置し、溶液を流す伝熱管を重力方向に略直角で排ガスの流路方向に対して複数本配置し、それら複数本の伝熱管を連続して溶液が流れるように接続し、排ガスの下流側の伝熱管から溶液を流入させ、排ガスの上流側の伝熱管から溶液を流出させることを特徴とする吸収冷温水機。
  2. 請求項1に記載の吸収冷温水機において、
    排ガスの流路方向に連なった伝熱管と排ガスに接するフィンをユニットとして、前記ユニットを排ガスの流路方向と垂直な方向に複数配置し、各ユニットに溶液を分配して流すように伝熱管を接続することを特徴とする吸収冷温水機。
  3. 請求項に記載の吸収冷温水機において、
    前記排ガス熱交換器の伝熱管を材質がSUS316LもしくはSUS316で形成し、フィンに酸化皮膜処理を行ったアルミ材を用いることを特徴とする吸収冷温水機。
  4. 蒸発器、吸収器、凝縮器、低温再生器、高温再生器、低温熱交換器、高温熱交換器を備え、溶液を循環させることで吸収冷凍サイクルを構成し、燃焼ガスで高温再生器を加熱する吸収冷温水機において、
    前記吸収器を出た希溶液を前記低温熱交換器に流し、この低温熱交換器を出た希溶液を分岐し、一方を低温再生器に流し、もう一方をさらに分岐し、その一方を高温熱交換器に流し、もう一方を排ガス熱交換器に流し、前記高温熱交換器と前記排ガス熱交換器とから出た希溶液を合流させて高温再生器に流す構成とし、
    前記排ガス熱交換器は、排ガスに接するフィンを重力方向に配置し、溶液を流す伝熱管を重力方向に略直角で排ガスの流路方向に対して複数本配置し、それら複数本の伝熱管を連続して溶液が流れるように接続し、排ガスの下流側の伝熱管から溶液を流入させ、排ガスの上流側の伝熱管から溶液を流出させることを特徴とする吸収冷温水機。
  5. 請求項4に記載の吸収冷温水機において、
    前記吸収器を出た希溶液を分岐し、一方を低温熱交換器に流し、もう一方を低温再生器を出た冷媒と熱交換するドレン熱交換器に流し、前記低温熱交換器と前記ドレン熱交換器とから出た希溶液を合流させる構成としたことを特徴とする吸収冷温水機。
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