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JP4065637B2 - 電池用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

電池用セパレータ及びその製造方法 Download PDF

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JP4065637B2 JP32749899A JP32749899A JP4065637B2 JP 4065637 B2 JP4065637 B2 JP 4065637B2 JP 32749899 A JP32749899 A JP 32749899A JP 32749899 A JP32749899 A JP 32749899A JP 4065637 B2 JP4065637 B2 JP 4065637B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電池用セパレータ及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、電池の正極と負極とを分離して短絡を防止すると共に、電解液を保持して起電反応を円滑に行なわせるために、正極と負極との間にセパレータが使用されている。
近年、電子機器の小型軽量化に伴って、電池の占めるスペースも狭くなっているにもかかわらず、電池には従来と同等以上の性能が必要とされるため、電池の高容量化が要求されている。そのためには、電極の活物質量を増やす必要があるため、必然的に前記セパレータの占める体積が少なくならざるを得ない。また、電気抵抗を小さくするうえからも前記セパレータの占める体積が少なくならざるを得ない。
従来このようなセパレータとして不織布が使用されているが、前述のようにセパレータ(不織布)の厚さを薄くして、厚さが0.15mm以下というレベルに達すると、不織布を構成する繊維量が少なくなるために孔径が大きくなる傾向があり、しかもセパレータの占める体積を少なくするために大きい張力で極板群に巻回する必要があるため、破断したり、極板のバリが貫通してショートしやすくなる傾向があった。
また、例えば、ニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池などのような二次電池の場合、充放電を繰り返しているうちに金属結晶が形成され、この金属結晶がセパレータを貫通してショートするという場合もあった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点を解決するためになされたものであり、極板群を形成する際や電池使用時に金属結晶によって、ショートしにくい電池用セパレータを提供すること、及びこの電池用セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池用セパレータ(以下、「セパレータ」という)は、不織布の厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を有し、前記フィルム状の層の両面に、前記フィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を備えている不織布、不織布の厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を片面に有し、前記フィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を他面に有する不織布の群から選ばれる不織布からなる。このようにフィルム状の層が全面的に存在しているため、このフィルム状の層によって極板のバリを受け止めることができ、また引張り強さに優れ巻回する際に破断しにくいものであるため、極板群形成時にショートしにくいものである。また、電池使用時においても、フィルム状の層によって金属結晶を受け止めることができるためショートしにくい電池とすることができる。更に、フィルム状の層によって適度な腰が付与されているため、電池製造時の取り扱い性にも優れている。また、本発明のセパレータは繊維層を備えているため、この繊維層によって電解液を保持して起電反応を円滑に行なわせることができるものである。
【0005】
本発明の電池用セパレータの製造方法は、熱可塑性繊維を含む繊維ウエブの全体に対して、加熱処理及び加圧処理を実施して圧着繊維ウエブを形成した後、前記圧着繊維ウエブの片面又は両面に対して流体流を作用させる、前述のようなセパレータの製造方法である。
このように、本発明の製造方法によれば、前述のようなセパレータを簡易に製造することができる。
また、微孔フィルムと繊維ウエブ又は不織布とを一体化した場合と異なり、適度な微孔(極板で発生した酸素等が通過できる程度)を有するセパレータを容易に製造できる方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明のセパレータは極板のバリや金属結晶を受け止めることができ、引張り強さに優れるように、厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を有している。セパレータの厚さ方向に対して直角方向に、繊維の圧着によるフィルム状の領域を部分的に有する場合、前記のような効果が不十分である。
なお、「不織布(セパレータ)の厚さ方向」とは、1cm2あたり500g荷重した時の不織布(セパレータ)表面を構成する繊維と接触できる表裏の仮想平面に対して直角方向をいう。
【0007】
本発明のセパレータのフィルム状の層は繊維の圧着により形成された層である。この「圧着」とは個々の繊維が本来有する断面形状を留めないほどに変形し、密着して周囲の繊維と一体化している状態をいう。なお、圧着した繊維中に圧着していない樹脂が含まれていても良い。このようなフィルム状の層は、例えば不織布(セパレータ)の断面における電子顕微鏡写真から確認することができる。
【0008】
このように、本発明のフィルム状の層は繊維の圧着により形成されているため、本発明の不織布(セパレータ)はある程度の通気性を有するものである。しかしながら、本発明の不織布(セパレータ)の通気度が高いということは、それだけ繊維の圧着の程度が低いことを意味し、結果として極板のバリや金属結晶を受け止めることが困難であったり、引張り強さの低いものとなってしまうため、本発明の不織布(セパレータ)の通気度は15cm/s以下であるのが好ましく、10cm/s以下であるのがより好ましい。なお、本発明のセパレータを密閉型のニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池用に使用する場合には、過充電時に正極から発生する酸素を負極へ速やかに透過させ、電池内圧の上昇を抑えることができるように、2cm/s以上であるのが好ましい。
本発明における「通気度」は、JIS L 1096(6.27.1 A法(フラジール法))に規定されている方法により測定して得られる値をいう。
【0009】
同様に、極板のバリや金属結晶を受け止めることができ、また引張り強さに優れるように、本発明の不織布(セパレータ)の平均孔径は15μm以下であるのが好ましく、10μm以下であるのがより好ましい。なお、本発明のセパレータを密閉型のニッケル−水素電池やニッケル−カドミウム電池用に使用する場合には、過充電時に正極から発生する酸素を負極へ速やかに透過させ、電池内圧の上昇を抑えることができるように、3μm以上であるのが好ましい。
本発明における「平均孔径」はポロメータ(コールター社製)を用いてバブルポイント法により測定される値をいう。
【0010】
本発明の不織布(セパレータ)は極板群を形成する際の張力によっても破断することがないように、少なくとも一方向における引張り強さが150N/50mm幅以上であるのが好ましく、170N/50mm幅以上であるのがより好ましく、190N/50mm幅以上であるのが更に好ましい。
従来からセパレータを構成する不織布として、繊維の均一分散性の点から湿式不織布が用いられているが、この湿式不織布に使用できる繊維の繊維長は最大25mm程度であり、また繊維同士の絡みも弱いこともあり、150N/50mm幅以上の引張り強さを有するものではない。
これに対して、本発明の不織布(セパレータ)は繊維の均一分散性に優れる繊維長25mm以下の繊維から構成されていても、150N/50mm幅以上の優れた引張り強さを有するものである。
この引張り強さは少なくとも一方向における値であるが、一般的に不織布を製造する際に、不織布の流れ方向に繊維が配向しやすいため、不織布の流れ方向(いわゆる、たて方向)における引張り強さが最も強い。
なお、「引張り強さ」は幅50mmの不織布を、引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離:10cm)に固定し、引張り速度300mm/minで引張った時の値をいう。
【0011】
このフィルム状の層の厚さは極板のバリや金属結晶を受け止めることができ、引張り強さに優れるように、また、電池の高容量化が可能であるように、10〜150μm程度であるのが好ましく、20〜100μm程度であるのがより好ましい。
【0012】
このフィルム状の層を構成するもととなった繊維としては、圧着しやすいように、熱可塑性繊維であるのが好ましい。この熱可塑性繊維として、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などの結晶性の熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系などの非晶性の熱可塑性樹脂などの樹脂1種類以上からなるものを使用できる。
これらの中でも、アルカリ電池用に使用する場合には、耐アルカリ性及び耐酸化性に優れているように、ポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましい。
このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)などを挙げることができる。
【0013】
なお、圧着性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合熱可塑性繊維は、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が圧着したとしても、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂により繊維強度を維持でき、引張り強さのより優れる不織布(セパレータ)とすることができるため好適である。
この複合熱可塑性繊維の断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができる。
本発明のセパレータをアルカリ電池用に使用する場合、この複合熱可塑性繊維も耐アルカリ性及び耐酸化性に優れているように、上述のようなポリオレフィン系樹脂のみから構成されているのが好ましい。
このようなポリオレフィン系樹脂のみからなる複合熱可塑性繊維としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)とポリプロピレン系樹脂との組み合せ、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの組み合せなどがある。
【0014】
また、フィルム状の層のもととなった繊維として、引張り強さが4.4cN/dtex以上の高強度繊維が含まれていると、極板のバリや金属結晶がセパレータを貫通しにくくなるため好適である。高強度繊維の引張り強さは6.2cN/dtex以上であるのが好ましく、7.9cN/dtex以上であるのがより好ましく、10.6cN/dtex以上であるのが更に好ましい。なお、高強度繊維の引張り強さの上限は特に限定するものではないが、50cN/dtex程度が適当である。
本発明における「引張り強さ」はJIS L 1015(化学繊維ステープル試験法)に規定されている方法によって測定した値をいう。
本発明のセパレータをアルカリ電池に使用する場合、高強度繊維を構成する樹脂は耐アルカリ性や耐酸化性に優れるように、ポリオレフィン系樹脂からなるのが好ましい。より具体的には、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)から構成することができる。これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂からなるのが好ましい。
この高強度繊維は1種類の樹脂成分から構成されていても、2種類以上の樹脂成分が混合又は複合されていても良い。この高強度繊維も2種類以上の樹脂成分が複合されていると、フィルム状の層の形成に貢献できるとともに極板のバリや金属結晶の貫通を抑えることができるため好適である。この複合された高強度繊維の繊維断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができ、フィルム状の層の形成に貢献度の高い芯鞘型、偏芯型或いは海島型であるのが好ましく、特に芯鞘型であるのが好ましい。より具体的には、圧着性の点において差の大きい、ポリプロピレン系樹脂を芯成分としポリエチレン系樹脂を鞘成分とする高強度繊維が好ましい。
【0015】
本発明の不織布は前述のようなフィルム状の層の片面又は両面(好ましくは両面)に、前述のフィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を備えているため、この繊維層によって電解液を保持して、円滑な起電反応を保証することができる。
この繊維層を構成する繊維のフィルム状の層との接合状態としては、例えば、圧着、融着、フィルム状の層を構成する繊維の一部、などを挙げることができる。
この繊維層を構成する繊維はフィルム状の層のもととなった繊維と同じ樹脂から構成されていても良いし、異なる樹脂から構成されていても良いが、接合性の点から、フィルム状の層のもととなった繊維の樹脂を1種類以上含んでいるのが好ましい。
本発明のセパレータをアルカリ電池用に使用する場合、前述のようにフィルム状の層のもととなった繊維がポリオレフォン系樹脂から構成されているのが好ましいため、繊維層を構成する繊維もポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましい。より具体的には、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)から構成されているのが好ましい。これらの中でも、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂から構成されているのがより好ましい。
【0016】
繊維層を構成する繊維の繊維径は特に限定するものではないが、繊維径が6μm以下の極細繊維を含んでいると、電解液の保持性に優れているため好適である。より好ましくは5μm以下である。下限は特に限定するものではないが、0.1μm程度が適当である。
このような極細繊維の存在比率が高ければ高いほど電解液の保持性に優れているため、各々の繊維層中10mass%以上含まれているのが好ましく、20mass%以上含まれているのがより好ましく、30mass%以上含まれているのが更に好ましい。
本発明における繊維径は繊維断面形状が円形である場合の繊維の直径をいい、繊維断面形状が非円形である場合には、繊維断面形状を円形に換算した際の繊維の直径をいう。
【0017】
繊維層を構成する繊維として、引張り強さが4.4cN/dtex以上(6.2cN/dtex以上であるのが好ましく、7.9cN/dtex以上であるのがより好ましく、10.6cN/dtex以上であるのが更に好ましい)の高強度繊維が含まれていると、更に極板のバリや金属結晶がセパレータを貫通しにくくなるため好適である。
この高強度繊維はフィルム状の層を構成する高強度繊維を構成するポリオレフィン系樹脂から構成されているのが好ましく、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂から構成されているのがより好ましい。
このような高強度繊維は各々の繊維層中、5mass%以上含まれているのが好ましく、10mass%以上含まれているのがより好ましい。
【0018】
このような繊維層を構成する繊維(例えば、極細繊維や高強度繊維など)の繊維長は特に限定するものではないが、繊維の分散性に優れるように、25mm以下であるのが好ましく、20mm以下であるのがより好ましく、15mm以下であるのが更に好ましい。
【0019】
このように本発明の不織布(セパレータ)の繊維層はフィルム状の層と接合した繊維を含んでいるが、繊維層を構成する繊維がフィルム状の層と接合していると、繊維の脱落という問題が発生しにくいため、フィルム状の層と接合している繊維は多ければ多いほど好ましい。なお、繊維層を構成する繊維はフィルム状の層と接合していなくても、繊維層を構成するフィルム状の層と接合している別の繊維と接合していれば、脱落の問題は解決できる。
【0020】
本発明のセパレータはフィルム状の層の片面又は両面に繊維層を備えた不織布からなり、好ましくは両面に繊維層を備えている。両面に繊維層を備えている場合、両面とも同じ繊維層から構成されている必要はなく、構成繊維の樹脂組成、繊度、繊維長、構成繊維の配合などの点で相違していても良い。
【0021】
本発明のセパレータをアルカリ電池用に使用する場合、本発明のセパレータのフィルム状の層のもととなった繊維及び繊維層を構成する繊維を構成する樹脂として、ポリオレフィン系樹脂が好適であるため、電解液の保持性が悪い傾向がある。そのため、電解液の保持性に優れるように、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理の中から選ばれる親水化処理が不織布に施されているのが好ましい。これら親水化処理に関しては、後述の製造方法において説明する。
【0022】
次に、本発明のセパレータ(不織布)の製造方法について説明する。
本発明の上述のようなセパレータ(不織布)は、熱可塑性繊維を含む繊維ウエブの全体に対して、加熱処理及び加圧処理を実施して圧着繊維ウエブを形成した後、前記圧着繊維ウエブの片面又は両面に対して流体流を作用させて製造することができる。
本発明の製造方法によれば、最初に加熱処理及び加圧処理により、通気度が低く、平均孔径の小さいフィルム状の層のみからなる圧着繊維ウエブを形成し、その後の流体流の作用によりフィルム状の層を構成する繊維を解きほぐして繊維を露出させ、繊維層を形成しているため、前述のようなセパレータ、つまり極板のバリや金属結晶の貫通を抑えることができ、しかも引張り強さの優れるセパレータを容易に製造することができる。
なお、加熱処理、加圧処理、或いは流体流の条件を調節することにより、適宜通気度を調整することができるため、各種電池に対応させることができる。
また、加熱処理及び加圧処理によって厚さを薄くすることができるため、高容量化に対応したセパレータを容易に製造することができる。
更に、微孔フィルムと不織布又は繊維ウエブとを積層することなく製造できる方法であるため、セパレータを簡便に製造できる方法である。
【0023】
本発明のセパレータ(不織布)の製造方法においては、まず熱可塑性繊維を含む繊維ウエブを製造する。
この熱可塑性繊維としては、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂など)、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などの結晶性の熱可塑性樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアクリロニトリル系樹脂、ポリビニルアルコール系などの非晶性の熱可塑性樹脂などの樹脂1種類以上からなる熱可塑性繊維を1種類以上使用することができる。
本発明のセパレータをアルカリ電池用に使用する場合には、耐アルカリ性及び耐酸化性に優れているように、ポリオレフィン系樹脂から構成されている繊維を使用するのが好ましい。
このポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)、ポリプロピレン系樹脂(例えば、ポリプロピレン、プロピレン共重合体など)、ポリメチルペンテン系樹脂(例えば、ポリメチルペンテン、メチルペンテン共重合体など)などがある。
【0024】
この熱可塑性繊維として、圧着性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合熱可塑性繊維を使用すると、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が圧着したとしても、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂により繊維強度を維持できるため、より引張り強さの優れるセパレータ(不織布)とすることができ、また、後工程である流体流の作用により、圧着した少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が破壊され、圧着されていない少なくとも1種類の熱可塑性樹脂からなる繊維(好適には繊維径6μm以下の極細繊維)を発生して繊維層を形成しやすいため好適である。
この複合熱可塑性繊維の断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型であることができる。これらの中でも、流体流の作用により圧着した少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を破壊しやすい、サイドバイサイド型、オレンジ型、多重バイメタル型であるのが好ましく、極細繊維を発生しやすいオレンジ型、多重バイメタル型であるのがより好ましく、圧着する熱可塑性樹脂が繊維表面に均一に位置することのできるオレンジ型であるのが最も好ましい。
このような複合熱可塑性繊維の繊度は繊維径6μm以下の極細繊維を発生しやすいように、0.1〜7dtex(デシテックス)程度であるのが好ましい。
このような複合熱可塑性繊維は繊維ウエブ中、5mass%以上含まれているのが好ましい。
なお、「圧着性が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂」とは、個々の熱可塑性樹脂からなる繊維から構成される繊維ウエブに対して、後述のような加熱処理及び加圧処理を実施した場合に、得られる引張り強さが1割以上異なる熱可塑性樹脂の組み合せをいう。この圧着性に影響を与える大きな要因として、熱可塑性樹脂の融点があり、熱可塑性樹脂の融点差が10℃以上(好ましくは20℃以上)あると、圧着性が異なる2種類以上の熱可塑性樹脂である場合が多い。
アルカリ電池用に使用する場合、この複合熱可塑性繊維も耐アルカリ性及び耐酸化性に優れているように、上述のようなポリオレフィン系樹脂のみから構成されているのが好ましい。
このようなポリオレフィン系樹脂のみからなる複合熱可塑性繊維としては、例えば、ポリエチレン系樹脂(例えば、超高分子量ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン共重合体など)とポリプロピレン系樹脂との組み合せ、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとの組み合せなどがある。
本発明における「融点」は示差熱量計を用い、昇温速度10℃/分で室温から昇温して得られる融解吸熱曲線の極大値を与える温度をいう。
【0025】
また、熱可塑性繊維として、引張り強さが4.4cN/dtex以上(6.2cN/dtex以上であるのが好ましく、7.9cN/dtex以上であるのがより好ましく、10.6cN/dtex以上であるのが更に好ましい)の高強度繊維を含んでいると、フィルム状の層及び/又は繊維層に高強度繊維が存在していることによって、極板のバリや金属結晶がセパレータを貫通しにくくなるため好適である。
本発明のセパレータをアルカリ電池用に使用する場合、高強度繊維を構成する樹脂はポリオレフィン系樹脂からなるのが好ましく、ポリプロピレン系樹脂やポリエチレン系樹脂からなるのがより好ましい。また、この高強度繊維は1種類の樹脂成分から構成されていても、2種類以上の樹脂成分が混合又は複合されていても良いが、2種類以上の樹脂成分が複合されていると、フィルム状の層の形成に貢献できるため好適である。この複合された高強度繊維の繊維断面形状としては、例えば、芯鞘型、偏芯型、サイドバイサイド型、海島型、オレンジ型、多重バイメタル型などを挙げることができ、フィルム状の層の形成に貢献できる芯鞘型、偏芯型或いは海島型であるのが好ましく、特に芯鞘型であるのが好ましい。より具体的には、圧着性の差の大きいポリプロピレン系樹脂を芯成分としポリエチレン系樹脂を鞘成分とする高強度繊維が好ましい。
なお、高強度繊維以外の熱可塑性繊維を含んでいる場合、この高強度繊維はセパレータの繊維層を構成するのが好ましいため、高強度繊維以外の熱可塑性繊維を圧着する際に高強度繊維も圧着されないように、高強度繊維を構成する樹脂として、熱可塑性繊維の圧着可能な樹脂よりも圧着されにくい樹脂を含んでいるのが好ましい。融点の点からいえば、熱可塑性繊維の圧着可能な樹脂の融点よりも10℃以上、好ましくは20℃以上高い融点を有する樹脂を含む高強度繊維を使用するのが好ましい。
例えば、熱可塑性繊維の圧着可能な樹脂がポリエチレン系樹脂からなる場合には、高強度繊維を構成する樹脂として、ポリプロピレン系樹脂を含んでいるのが好ましい。なお、熱可塑性繊維の圧着可能な樹脂が低密度ポリエチレン又はエチレン共重合体からなる場合には、高強度繊維を構成する樹脂として、超高分子量ポリエチレンを含んでいても良い。
このような高強度繊維は繊維ウエブ中、5mass%以上含まれているのが好ましく、10mass%以上含まれているのがより好ましい。
【0026】
本発明の繊維ウエブは前述のような熱可塑性繊維を含むものであるが、熱可塑性繊維の量が少ないと、後述の加熱処理及び加圧処理によって圧着が不十分となり、結果としてフィルム状の層の形成が困難になる傾向があるため、熱可塑性繊維は繊維ウエブ中、60mass%以上含まれているのが好ましく、80mass%以上含まれているのが好ましく、100mass%熱可塑性繊維であるのが最も好ましい。
なお、2種類以上の熱可塑性繊維を含んでいる場合、いずれの熱可塑性繊維も全部圧着してしまうと、流体流の作用によって繊維層を形成しにくい傾向があるため、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂は他の熱可塑性樹脂よりも圧着性が低いのが好ましい。より好ましくは、少なくとも1種類の熱可塑性繊維は複合熱可塑性繊維であり、その複合熱可塑性繊維の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂は、その複合熱可塑性繊維の他の熱可塑性樹脂よりも圧着性が低いのが好ましい。
最も大きな要因である融点の観点からいうと、少なくとも1種類の熱可塑性樹脂は他の熱可塑性樹脂よりも10℃以上(好ましくは20℃以上)、融点が高いのが好ましい。より好ましくは、少なくとも1種類の熱可塑性繊維は複合熱可塑性繊維であり、その複合熱可塑性繊維の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂は、その複合熱可塑性繊維の他の熱可塑性樹脂よりも10℃以上(好ましくは20℃以上)、融点が高いのが好ましい。
熱可塑性繊維が2種類のポリオレフィン系繊維からなる場合、例えば、(1)ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とからなるポリオレフィン系複合熱可塑性繊維とポリプロピレン系熱可塑性繊維との組み合せ、(2)ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とからなるポリオレフィン系複合熱可塑性繊維とポリエチレン系熱可塑性繊維との組み合せ、(3)ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とからなるポリオレフィン系複合熱可塑性繊維と、同じ又は異なるポリプロピレン系樹脂と同じ又は異なるポリエチレン系樹脂とからなるポリオレフィン系複合熱可塑性繊維との組み合せ、などの組み合せであるのが好ましい。
なお、熱可塑性繊維以外の繊維としては、例えば、レーヨン、ポリノジック、キュプラなどの再生繊維、アセテートなどの半合成繊維、ガラス繊維、炭素繊維などの無機繊維、綿、麻などの植物繊維、羊毛、絹などの動物繊維などを使用することができる。
また、これら繊維ウエブを構成するいずれの繊維の繊度も0.1〜7dtex程度であるのが好ましい。
【0027】
本発明の繊維ウエブは前述のような熱可塑性繊維を含むものであるが、繊維ウエブの形成方法としては、例えば、湿式法、カード法やエアレイ法などの乾式法、スパンボンド法やメルトブロー法などの直接法を採用することができる。これらの中でも、通気度が低くしかも平均孔径の小さいフィルム状の層を形成しやすい湿式法により形成するのが好ましい。
繊維ウエブを構成する繊維の繊維長は繊維ウエブの形成方法によって異なり、湿式法により形成する場合には1〜25mm程度であるのが好ましく、乾式法により形成する場合には、25〜160mm程度であるのが好ましい。
本発明の製造方法によれば、湿式法のように繊維長の短い熱可塑性繊維を使用した場合であっても、十分な引張り強さを有するセパレータ(不織布)を製造することができる。
この湿式法としては、従来公知の方法、例えば、水平長網方式、傾斜ワイヤー型短網方式、円網方式、又は長網・円網コンビネーション方式などがある。
なお、少なくとも一方向における引張り強さを大きくしやすいように、繊維を抄き上げるネットの移動速度とスラリー流量とを調節することにより、繊維の配向が一方向に近い状態となるようにするのが好ましい。
また、繊維ウエブは一層から構成されていても良いし、繊維ウエブの形成方法、繊維ウエブを構成する繊維の種類(特に熱可塑性繊維の種類)、繊維ウエブを構成する繊維の配合(特に熱可塑性繊維の配合)、繊維ウエブを構成する繊維の繊度(特に熱可塑性繊維の繊度)、繊維ウエブを構成する繊維の繊維長(特に熱可塑性繊維の繊維長)などの点で相違する繊維ウエブの二層以上から構成されていても良い。
例えば、オレンジ型断面を有するポリオレフィン系熱可塑性繊維の配合量の多い繊維ウエブの間に、芯鞘型断面を有するポリオレフィン系熱可塑性繊維の配合量の多い繊維ウエブを配置させると、後述の加熱処理及び加圧処理によって中央部近辺に通気度が低くしかも平均孔径の小さいフィルム状の層を形成しやすく、しかも流体流の作用によって繊維径が6μm以下の極細繊維を多く含む、電解液の保持性に優れる繊維層を有するセパレータを容易に製造できる。
また、繊維ウエブの面密度は、繊維ウエブ全体を圧着して繊維ウエブ全体をフィルム状とできるように、20〜100g/m2であるのが好ましく、40〜80g/m2であるのがより好ましい。
【0028】
次いで、このような繊維ウエブの全体に対して加熱処理及び加圧処理を実施して圧着繊維ウエブを形成する。このように、繊維ウエブに対して全体に加熱処理及び加圧処理を実施しているため、部分的に加熱処理及び加圧処理を実施した場合や、繊維ウエブに対して加熱処理のみを全体的に実施した場合には得られない、フィルム状の層を形成することができる。
【0029】
このような加熱処理及び加圧処理は同時に実施することもできるし、別々に実施することもできる。前者の加熱処理と加圧処理とを同時に実施できる装置としては、例えば、熱カレンダーなどがある。また、加熱処理のみを実施できる装置として、熱風貫通式熱処理器などがあり、加圧処理のみを実施できる装置として、カレンダーなどがある。
なお、繊維ウエブが複合熱可塑性繊維を含んでいる場合には、繊維の圧着によるフィルム状の層を形成しやすいように、全ての複合熱可塑性繊維の、複合熱可塑性繊維を構成する少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が圧着する条件下で、加熱処理及び加圧処理を実施するのが好ましい。
最も大きな要因である融点の観点からいうと、全ての複合熱可塑性繊維の、複合熱可塑性繊維を構成する少なくとも1種類の熱可塑性樹脂を圧着させるために、各々の複合熱可塑性繊維を構成する最も融点の低い熱可塑性樹脂の中で、最も融点の高い熱可塑性樹脂の融点よりも10℃低い温度以上の高い温度で加熱処理を実施するのが好ましい。
例えば、最も融点の低い熱可塑性樹脂の融点が120℃である複合熱可塑性繊維と、最も融点の低い熱可塑性樹脂の融点が130℃である複合熱可塑性繊維とを含む繊維ウエブの場合には、温度120℃以上の温度で加熱処理を実施するのが好ましい。また、加圧処理は熱可塑性樹脂が十分に圧着するように、圧力0.05〜0.5MPa程度であるのが好ましい。
また、全ての熱可塑性繊維の全体が圧着するような条件下で加熱処理及び加圧処理すると、次の流体流の作用によって繊維層を形成するのが難しい傾向があるため、少なくとも1種類の熱可塑性繊維が複合熱可塑性繊維であり、その複合熱可塑性繊維の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が圧着しにくい条件下で、加熱処理及び加圧処理を実施するのが好ましい。
最も大きな要因である融点の観点からいうと、複合熱可塑性繊維の最も融点の高い熱可塑性樹脂が圧着しないように、その最も融点の高い熱可塑性樹脂の融点よりも5℃以上、好ましくは8℃以上低い温度で加熱処理を実施するのが好ましい。
例えば、最も融点の高い熱可塑性樹脂の融点が160℃である複合熱可塑性繊維を含む繊維ウエブの場合には、温度155℃以下の温度で、好ましくは温度152℃以下の温度で加熱処理を実施するのが好ましい。
例えば、芯鞘型複合熱可塑性繊維とオレンジ型複合熱可塑性繊維とを含む湿式繊維ウエブに対して加熱処理及び加圧処理を実施した場合、この加熱処理及び加圧処理によって、圧着繊維ウエブの少なくとも一方向における引張り強さが250N/50mm幅以上となる程度まで十分に圧着するのが好ましい。
【0030】
次いで、前述のようにして製造した圧着繊維ウエブの片面又は両面に対して流体流を作用させて、本発明のセパレータ(不織布)を製造することができる。この圧着繊維ウエブに対して流体流を作用させることにより、流体流を作用させた面に繊維層を形成することができるため、片面に対して流体流を作用させれば片面に繊維層を有しかつ他面にフィルム状の層を有するセパレータ(不織布)を製造することができ、両面に対して流体流を作用させれば両面に繊維層を有しかつ中央部近辺にフィルム状の層を有するセパレータ(不織布)を製造することができる。一般的に両電極の周囲に電解液が存在しているのが好ましいため、フィルム状の層の両面に繊維層を有するのが好ましい。
このように繊維層を形成できるのは、流体流によって圧着した繊維を圧着状態から解除したり、流体流によって圧着した熱可塑性樹脂を破壊して取り除いて、圧着していない熱可塑性樹脂からなる繊維を表面に露出させることによると考えられる。
このような観点からすると、圧着繊維ウエブを構成する熱可塑性繊維はいずれも複合熱可塑性繊維であり、全ての複合熱可塑性繊維の少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が圧着していないのが好ましい。このような状態であることによって、繊維径6μm以下の極細繊維を発生しやすくもなる。
例えば、圧着繊維ウエブを構成する繊維が2種類のポリオレフィン系複合熱可塑性繊維からなる場合、ポリプロピレン系樹脂とポリエチレン系樹脂とからなるポリオレフィン系複合熱可塑性繊維と、同じ又は異なるポリプロピレン系樹脂と同じ又は異なるポリエチレン系樹脂とからなるポリオレフィン系複合熱可塑性繊維の組み合せからなるのが好ましい。
なお、圧着繊維ウエブの両面に対して流体流を作用させる場合、その作用条件は同じであっても異なっていても良い。流体流の作用の程度を調節することにより、繊維層の状態を変化させることができ、結果として、電極周辺の電解液量を調節することができる。
【0031】
この流体流としては、取り扱いやすい水であるのが好ましい。
より具体的には、例えば、直径0.05〜0.3mm、ピッチ0.2〜3mmで一列又は二列以上にノズルを配置したノズルプレートから流体流を圧着繊維ウエブに対して噴出すれば良い。このような流体流は1回以上噴出すれば良い。なお、前述のように流体流によって圧着した繊維を圧着状態から解除したり、圧着した熱可塑性樹脂を破壊して取り除いていると考えられるため、比較的高い圧力の流体流を作用させるのが好ましく、より具体的には5MPa以上、好ましくは8MPa以上の流体流を噴出するのが好ましい。
なお、流体流を作用させる際に、圧着繊維ウエブを支持する支持材はネットなどの開口を有するものであっても良いし、開口を有しないものであっても良い。後者のように開口を有しないものであると、流体流が作用しても圧着繊維ウエブに開口が形成されにくく、通気度が低く、平均孔径が小さく、しかもショートしにくいセパレータを製造できるため好適な支持材である。なお、開口を有しない、つまり無孔質である部分は支持材全体である必要はなく、少なくとも流体流の作用部に相当する箇所が無孔質であれば十分である。この無孔質支持材の形状としては、例えば、ロール状、平板状などであることができる。
また、このように無孔質である支持材を使用した場合、開口部を有する支持材のように、流体流を排出できるところが少ないため、圧着繊維ウエブ上に流体が滞留して、流体流の作用を減じる傾向がある。そのため、圧着繊維ウエブ上に流体が滞留しないように、流体流の反射流を吸引除去できる手段(例えば、サクション装置)を圧着繊維ウエブ近傍(例えば、上方)に設置するのが好ましい。
【0032】
前述のような流体流の作用により、フィルム状の層の片面又は両面に繊維層を有するセパレータを製造することができる。なお、更に引張り強さや剛性を必要とする場合には、繊維層を構成する繊維同士を融着させても良い。なお、この繊維層は電解液を保持できる必要があるため、繊維層を構成する繊維を融着させる場合には圧力は加えないのが好ましい。
【0033】
以上のようにして、本発明のセパレータ(不織布)、つまり、不織布の厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を有し、前記フィルム状の層の片面又は両面に、前記フィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を備えているセパレータ(不織布)を製造することができる。
なお、繊維層を構成する繊維として、繊維径6μm以下の極細繊維を含むセパレータ(不織布)は、例えば、圧着繊維ウエブを構成する熱可塑性繊維として、繊維径が6μm以下の繊維を使用したり、圧着繊維ウエブを形成する際の加熱処理及び加圧処理によっては圧着しない、直径6μm以下の熱可塑性樹脂を含む複合熱可塑性繊維を使用することによって製造することができる。
また、繊維層を構成する繊維の繊維長が25mm以下であるセパレータ(不織布)は、例えば、繊維長が25mm以下の繊維から繊維ウエブ(例えば、湿式繊維ウエブ)を使用することによって製造することができる。
繊維層を構成する繊維として引張り強さが4.4cN/dtex以上の高強度繊維を含んでいるセパレータ(不織布)は、例えば、繊維ウエブを構成する繊維として、引張り強さが4.4cN/dtex以上の高強度繊維を含ませることによって製造することができる。
更に、通気度が15cm/s以下であったり、平均孔径が15μm以下であったり、少なくとも一方向における引張り強さが150N/50mm幅以上である不織布は、例えば、熱可塑性繊維量を多くすること、熱可塑性繊維として複合熱可塑性繊維量を多くすること、緻密な繊維ウエブを形成すること(例えば、湿式法により形成)、加熱処理及び加圧処理により繊維ウエブを十分に圧着すること、無孔質支持材を使用するなどフィルム状の層を損傷しないようにすること、などの条件を満たすことにより製造することができる。
【0034】
本発明のセパレータは上述のような不織布からなるが、耐アルカリ性や耐酸化性に優れるように、熱可塑性繊維としてポリオレフィン系繊維を使用するのが好ましいため、電解液の保持性が悪い傾向がある。そのため、更に、スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理の中から選ばれる親水化処理を実施するのが好ましい。
以下、不織布に対して親水化処理を実施する態様について説明するが、不織布を構成する繊維に対して親水化処理を実施した後に、不織布を製造する場合にも全く同様に親水化処理を実施すれば良い。
【0035】
スルホン化処理としては、特に限定するものではないが、例えば、発煙硫酸、硫酸、クロロ硫酸又は塩化スルフリルからなる溶液中に、前述のような不織布を浸漬したり、三酸化硫黄ガスを不織布と接触させたり、一酸化硫黄ガスや二酸化硫黄ガスの存在下に不織布を配置した状態で放電を作用させて、スルホン酸基を導入する方法がある。
【0036】
フッ素ガス処理についても、特に限定するものではないが、例えば、不活性ガス(例えば、窒素ガス、アルゴンガスなど)で希釈したフッ素ガスと、酸素ガス、二酸化炭素ガス、及び二酸化硫黄ガスなどの中から選んだ少なくとも1種類のガスとの混合ガスに、不織布をさらすことにより不織布の繊維表面を親水化することができる。なお、不織布に二酸化硫黄ガスをあらかじめ付着させた後に、フッ素ガスを接触させると、より効率的に恒久的な親水性を付与することができる。
【0037】
ビニルモノマーのグラフト重合としては、ビニルモノマーとして、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ビニルピリジン、ビニルピロリドン或いはスチレンを使用することができる。なお、スチレンをグラフト重合した場合には、電解液との親和性を付与するために、スルホン化するのが好ましい。これらの中でもアクリル酸は電解液との親和性に優れているため好適に使用できる。
これらビニルモノマーの重合方法としては、例えば、ビニルモノマーと重合開始剤を含む溶液中に不織布を浸漬して加熱する方法、不織布にビニルモノマーを塗布した後に放射線を照射する方法、不織布に放射線を照射した後にビニルモノマーと接触させる方法、増感剤を含むビニルモノマー溶液を不織布に含浸した後に紫外線を照射する方法などがある。なお、ビニルモノマー溶液と不織布とを接触させる前に、紫外線照射、コロナ放電、プラズマ放電などにより、不織布表面を改質処理すると、ビニルモノマー溶液との親和性が高いため、効率的にグラフト重合できる。
【0038】
界面活性剤処理としては、例えば、アニオン系界面活性剤(例えば、高級脂肪酸のアルカリ金属塩、アルキルスルホン酸塩、もしくはスルホコハク酸エステル塩など)、又はノニオン系界面活性剤(例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、もしくはポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテルなど)の溶液中に不織布を浸漬したり、この溶液を不織布に塗布又は散布して付着させることができる。
【0039】
放電処理としては、例えば、コロナ放電処理、プラズマ処理、グロー放電処理、沿面放電処理又は電子線処理などがある。これら放電処理の中でも、空気中の大気圧下で、それぞれが誘電体を担持する一対の電極間に、これら両方の誘電体と接触するように不織布を配置し、これら両電極間に交流電圧を印加し、不織布内部空隙で放電を発生させる方法であると、不織布の外側だけではなく、不織布の内部を構成する繊維表面も処理することができる。したがって、セパレータの内部における電解液の保持性に優れている。
【0040】
親水性樹脂付与処理としては、例えば、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、架橋可能なポリビニルアルコール、又はポリアクリル酸などの親水性樹脂を付着させることができる。これらの親水性樹脂は適当な溶媒に溶解又は分散させた後、この溶媒中に不織布を浸漬したり、この溶媒を不織布に塗布又は散布し、乾燥して付着させることができる。なお、親水性樹脂の付着量は、通気性を損なわないように、セパレータ全体の0.3〜1mass%であるのが好ましい。
この架橋可能なポリビニルアルコールとしては、例えば、水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールがあり、より具体的には、感光性基としてスチリルピリジニウム系のもの、スチリルキノリニウム系のもの、スチリルベンゾチアゾリウム系のもので置換したポリビニルアルコールがある。この架橋可能なポリビニルアルコールも他の親水性樹脂と同様にして不織布に付着させた後、光照射によって架橋させることができる。このような水酸基の一部を感光性基で置換したポリビニルアルコールは耐アルカリ性に優れ、しかもイオンとキレートを形成できる水酸基を多く含んでおり、放電時及び/又は充電時に、極板上に樹枝状の金属が析出する前のイオンとキレートを形成し、電極間の短絡を生じにくいので好適に使用できる。
【0041】
本発明のセパレータの面密度は20〜100g/m2であるのが好ましく、より好ましくは40〜80g/m2である。面密度が20g/m2未満であると、引張り強さが不足する場合があり、100g/m2を越えると、厚さが厚くなり過ぎる傾向があるためである。また、セパレータの厚さは0.02〜0.21mmであるのが好ましい。
【0042】
本発明のセパレータはフィルム状の層によって極板のバリを受け止めることができ、引張り強さに優れ、巻回するなどの際に破断しにくいものであるため、ショートしにくいものである。また、電池使用時においても、フィルム状の層によって金属結晶を受け止めることができるため、ショートしにくいものである。更に、フィルム状の層によって適度な腰があるため、電池製造時の取り扱い性にも優れるものである。
そのため、例えば、アルカリマンガン電池、水銀電池、酸化銀電池、空気電池などの一次電池、ニッケル−カドミウム電池、銀−亜鉛電池、銀−カドミウム電池、ニッケル−亜鉛電池、ニッケル−水素電池などの二次電池のセパレータとして好適に使用できるものである。
【0043】
以下に、本発明の実施例を記載するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各種物性は次のようにして測定した値である。
「引張り強さ」は幅50mmの試験片を引張り強さ試験機(オリエンテック製、テンシロンUTM−III−100)のチャック間(チャック間距離:10cm)に固定し、引張り速度300mm/minで引張った時の値である。
「通気度」はJIS L 1096(6.27.1 A法(フラジール法))に規定される方法により測定した値である。
「平均孔径」はポロメーター(コールター社製)を用いてバブルポイント法により測定した値である。
【0044】
【実施例】
(実施例1)
芯成分がポリプロピレン(融点:160℃、断面円形)からなり、鞘成分が低密度ポリエチレン(融点:110℃)からなる、繊度2.2dtex、繊維長10mmの芯鞘型複合熱可塑性繊維20mass%と、引張り強さが10.6cN/dtex、繊度1.33dtex、繊維長10mmの高強度ポリプロピレン熱可塑性繊維(融点:166℃、断面円形)20mass%と、図1に示すような、ポリプロピレン成分(図中記号12、略三角形状で繊度0.133dtex(直径:4.3μm)のポリプロピレン極細繊維(融点:160℃)を8本と、略円形状で繊度0.089dtex(直径:3.5μm)のポリプロピレン極細繊維(融点:160℃)を1本発生可能)と、高密度ポリエチレン成分(図中記号11、略三角形状で繊度0.133dtex(直径:4.2μm)の高密度ポリエチレン極細繊維(融点:130℃)を8本発生可能)とからなる、繊度2.2dtex、繊維長5mmのオレンジ型複合熱可塑性繊維60mass%とを混合分散させたスラリーを、傾斜ワイヤー型短網方式により抄造して繊維ウエブ(面密度70g/m2)を形成し、乾燥した。なお、この湿式繊維ウエブは長さ方向に繊維が配向したものであった。
次いで、この湿式繊維ウエブをリライアントプレス機(アサヒ繊維機械工業、JR−1000LTS−E)により、湿式繊維ウエブ全体に対して、温度140℃での加熱処理及び圧力0.2MPaでの加圧処理を実施して、芯鞘型複合熱可塑性繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン成分)及びオレンジ型複合熱可塑性繊維の高密度ポリエチレン成分を圧着して、圧着繊維ウエブを形成した。この圧着繊維ウエブのたて方向における引張り強さは272N/50mm幅であった。
次いで、この圧着繊維ウエブを無孔ロールからなる支持材上で、ノズル径0.13mm、ピッチ0.6mmで一列に配列したノズルプレートから圧力15MPaの水流を両面交互に2回づつ作用させた後に乾燥して不織布を製造した。なお、水流の反射流を吸引除去できるように、サクション装置を圧着繊維ウエブの上方に設置し、水流の反射流を吸引除去した。
この不織布の断面における電子顕微鏡写真(図2参照)から、厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層(厚さ:約45μm)を有し、このフィルム状の層の両面にフィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を備えたものであった。この繊維層を構成する繊維はいずれの繊維層も、繊維径12μmのポリプロピレン繊維(繊維長:10mm以下、繊維層中約7mass%を占める)、繊維径4.3μmのポリプロピレン極細繊維(繊維長:5mm以下、繊維層中約42mass%を占める)、繊維径4.2μmの高密度ポリエチレン極細繊維(繊維長:5mm以下、繊維層中約24mass%を占める)、及び繊維径13.7μmのポリプロピレン高強度繊維(引張り強さ:10.6cN/dtex、繊維長:10mm以下、繊維層中約27mass%を占める)から構成されていた。
次いで、この不織布を温度60℃の発煙硫酸溶液(15%SO3溶液)中に2分間浸漬して、スルホン化処理を実施した。次いで、このスルホン化処理した不織布を十分に水洗し、乾燥した後、カレンダー処理を実施して、本発明のセパレータ(面密度:66g/m2、厚さ:0.15mm)を製造した。このセパレータのたて方向における引張り強さは162N/50mm幅であった。また、セパレータの通気度は5.2cm/sで、平均孔径は8.3μmであった。
【0045】
(比較例1)
実施例1と同様にして製造した面密度70g/m2の湿式繊維ウエブ全体に対して、温度135℃に設定されたオーブンにより熱処理(無圧下)を実施して、芯鞘型複合熱可塑性繊維の鞘成分(低密度ポリエチレン)及びオレンジ型複合熱可塑性繊維の高密度ポリエチレン成分を融着して、融着繊維ウエブを形成した。この融着繊維ウエブのたて方向における引張り強さは130N/50mm幅であった。
次いで、実施例1と全く同様に水流を作用させて面密度70g/m2の不織布を製造した。この不織布の断面における電子顕微鏡写真(図3参照)から、厚さ方向に対して直角方向に、繊維の圧着によるフィルム状の層は全く存在しないものであることがわかった。
次いで、実施例1と同様にスルホン化処理、水洗、乾燥及びカレンダー処理を実施して、セパレータ(面密度:72g/m2、厚さ:0.15mm)を製造した。このセパレータのたて方向における引張り強さは133N/50mm幅であった。また、セパレータの通気度は18cm/sで、平均孔径は15.5μmであった。
【0046】
(電池製造時の不良率)
電池の集電体として、水酸化ニッケルを発泡ニッケル支持体に充填した正極(33mm幅、182mm長)と、ペースト式水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金MmNi5型、33mm幅、247mm長)とを用意した。
次いで、33mm幅、410mm長に裁断した実施例1及び比較例1のセパレータをそれぞれ正極と負極との間に挟み、渦巻き状に巻回して、SC型対応の電極群を作成した。この時に、極板のバリによってショートしてしまい、電池を製造することができなかった割合を電池製造時の不良率とした。この結果は表1に示す通りであった。
【0047】
(容量維持率の測定)
電池の集電体として、水酸化ニッケルを発泡ニッケル支持体に充填した正極(33mm幅、182mm長)と、ペースト式水素吸蔵合金負極(メッシュメタル系合金MmNi5型、33mm幅、247mm長)とを用意した。
次いで、35mm幅、410mm長に裁断した各々のセパレータを、それぞれ正極と負極との間に挟み込み、渦巻き状に巻回して、SC型対応の電極群を作成した。次いで、この電極群を外装缶に収納した後、電解液として5N−水酸化カリウム及び1N−水酸化リチウムを外装缶に注液し、封缶して円筒型ニッケル−水素電池を作成した。
次いで、それぞれの円筒型ニッケル−水素電池を、充電率0.1Cで容量に対して150%充電した後、放電率0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの初期容量(A)を測定した。次いで、充電率0.1Cで容量に対して150%充電した後、温度65℃の恒温室内に5日間放置した。その後、再度、放電率0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの容量(B)を測定した。これらの結果から、次式により初期容量維持率(Ci、%)を算出した。この結果も表1に示す通りであった。
Ci=(B/A)×100
ここでCiは初期容量維持率、Aは初期容量、Bは放置後の容量をそれぞれ意味する。
これに続いて、前記と同様の充放電、つまり充電率0.1Cで容量に対して150%充電した後、終止電圧が1.0Vで放電率0.1Cで放電することを1サイクルとする充放電を200サイクル実施した後に、充電率0.1Cで容量に対して150%充電した後、温度65℃の恒温室内に5日間放置した。その後、再度、放電率0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの容量(C)を測定した。これらの結果から、次式により200サイクル後の容量維持率(C200、%)を算出した。この結果も表1に示す通りであった。
200=(C/A)×100
ここでC200は200サイクル後の容量維持率、Aは初期容量、Cは200サイクル後の容量をそれぞれ意味する。
更に、前記と同様の充放電、つまり充電率0.1Cで容量に対して150%充電した後、終止電圧が1.0Vで放電率0.1Cで放電することを1サイクルとする充放電を500サイクル実施した後に、充電率0.1Cで容量に対して150%充電した後、温度65℃の恒温室内に5日間放置した。その後、再度、放電率0.1Cで放電し、終止電圧が1.0Vでの容量(D)を測定した。これらの結果から、次式により500サイクル後の容量維持率(C500、%)を算出した。この結果も表1に示す通りであった。
500=(D/A)×100
ここでC500は500サイクル後の容量維持率、Aは初期容量、Dは500サイクル後の容量をそれぞれ意味する。
【0048】
【表1】
Figure 0004065637
この表1から明らかなように、本発明のセパレータは安定して電池を製造できるものであった。また、電池を繰り返し使用しても容量が低下しにくいものであった。
【0049】
【発明の効果】
本発明の電池用セパレータは、フィルム状の層によって極板のバリを受け止めることができ、また引張り強さに優れ、巻回するなどの際に破断しにくいものであるため、ショートしにくいものである。また、電池使用時においても、フィルム状の層によって金属結晶を受け止めることができるため、ショートしにくいものである。更に、フィルム状の層によって適度な腰があるため、電池製造時の取り扱い性にも優れるものである。
また、本発明のセパレータは繊維層を備えているため、この繊維層によって電解液を保持して、電池の起電反応を円滑に行なわせることができるものである。
【0050】
本発明の電池用セパレータの製造方法は、前記セパレータを簡易に製造することができる。
また、微孔フィルムと繊維ウエブ又は不織布とを一体化した場合と異なり、適度な微孔(極板で発生した酸素等が通過できる程度)を有するセパレータを容易に製造できる方法である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 オレンジ型複合熱可塑性繊維の模式的断面図
【図2】 実施例1のセパレータの断面の電子顕微鏡写真
【図3】 比較例1のセパレータの断面の電子顕微鏡写真
【符号の説明】
1 オレンジ型複合熱可塑性繊維
11 高密度ポリエチレン成分
12 ポリプロピレン成分

Claims (14)

  1. 不織布の厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を有し、前記フィルム状の層の両面に、前記フィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を備えている不織布、不織布の厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を片面に有し、前記フィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を他面に有する不織布の群から選ばれる不織布からなることを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 繊維層を構成する繊維として、繊維径6μm以下の極細繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1記載の電池用セパレータ。
  3. 繊維層を構成する繊維の繊維長が25mm以下であることを特徴とする、請求項1又は請求項2記載の電池用セパレータ。
  4. 繊維層を構成する繊維として、引張り強さが4.4cN/dtex以上の高強度繊維を含んでいることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  5. 通気度が15cm/s以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  6. 平均孔径が15μm以下であることを特徴とする、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  7. 少なくとも一方向における引張り強さが150N/50mm幅以上であることを特徴とする、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  8. スルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理の中から選ばれる親水化処理が施された不織布からなることを特徴とする、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の電池用セパレータ。
  9. 熱可塑性繊維を含む繊維ウエブの全体に対して、加熱処理及び加圧処理を実施して圧着繊維ウエブを形成した後、前記圧着繊維ウエブの片面又は両面に対して流体流を作用させることを特徴とする、不織布の厚さ方向に対して直角方向全面に、繊維の圧着によるフィルム状の層を有し、前記フィルム状の層の片面又は両面に、前記フィルム状の層と接合した繊維を含む繊維層を備えている不織布からなる電池用セパレータの製造方法。
  10. 熱可塑性繊維として、圧着性の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂からなる複合熱可塑性繊維を含んでいることを特徴とする、請求項9に記載の電池用セパレータの製造方法。
  11. 繊維ウエブが湿式法により製造された湿式繊維ウエブからなることを特徴とする、請求項9又は請求項10記載の電池用セパレータの製造方法。
  12. 全ての複合熱可塑性繊維の、複合熱可塑性繊維を構成する少なくとも1種類の熱可塑性樹脂が圧着する条件下で、加熱処理及び加圧処理を実施することを特徴とする、請求項10に記載の電池用セパレータの製造方法。
  13. 流体流を作用させる際に、圧着繊維ウエブを支持する支持材として、少なくとも流体流の作用部に相当する箇所が無孔質である支持材を使用することを特徴とする、請求項9〜請求項12のいずれかに記載の電池用セパレータの製造方法。
  14. 不織布を形成した後、更にスルホン化処理、フッ素ガス処理、ビニルモノマーのグラフト重合処理、界面活性剤処理、放電処理、或は親水性樹脂付与処理の中から選ばれる親水化処理を実施することを特徴とする、請求項9〜請求項13のいずれかに記載の電池用セパレータの製造方法。
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