JP4065508B2 - 画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置、静電記録装置、磁気記録装置などに用いられる画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
また、本発明は、予め像担持体上にトナー画像を形成後、転写材の如き記録媒体上にトナー画像を転写させて画像形成する複写機、プリンタ、ファクシミリ及びプロッタなどの画像形成装置及びこれらの画像形成装置に着脱可能なプロセスカートリッジに関する。
【0003】
近年では、電子写真法による画像形成方法において、潜像担持体等の被帯電体の帯電装置として、コロナ帯電器に比べて低オゾン・低電力等の利点があることから接触帯電装置が多く提案され、また実用化されている。
【0004】
接触帯電装置は、像担持体等の被帯電体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この接触帯電部材に所定の電圧バイアスを印加して被帯電体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0005】
帯電ローラは、導電あるいは中抵抗のゴム材または発泡体を用いて作製され、さらにこれらのゴム材や発泡体を積層して所望の特性を得たものもある。
【0006】
帯電ローラは被帯電体との一定の接触状態を得るために弾性を持たせているが、そのため摩擦抵抗が大きく、多くの場合、被帯電体に従動あるいは若干の速度差をもって駆動される。従って、直接注入帯電しようとしても、絶対的帯電能力の低下、接触性の不足やローラ形状による接触ムラ、被帯電体の付着物による帯電ムラは避けられない。
【0007】
図2は電子写真法における接触帯電の帯電効率の例を表したグラフである。横軸に接触帯電部材に印加したバイアス、縦軸にその時得られた被帯電体(以下、感光体と記す)の帯電電位を表している。
【0008】
ローラ帯電の場合の帯電特性はAで表される。即ち、印加電圧がおよそ−500Vの放電閾値を過ぎてから感光体の表面電位が上昇し始め、それ以降は印加電圧に対してほぼ傾き1で線形に感光体表面電位が増加する。この閾値電圧を帯電開始電圧Vthと定義する。従って、−500Vに帯電する場合は、−1000Vの直流電圧を印加するか、または、−500V直流の帯電電圧に加えて、放電閾値以上の電位差を常に持つように、例えばピーク間電圧1200Vの交流電圧を印加して感光体電位を帯電電位に収束させる方法が一般的である。
【0009】
つまり、電子写真に必要とされる感光体表面電位Vdを得るためには、Vd+Vthという必要とされる以上のDC電圧を帯電ローラに印加する必要がある。このようにしてDC電圧のみを接触帯電部材に印加して帯電を行う方法を「DC帯電方式」と称する。
【0010】
しかし、DC帯電においては環境変動等によって接触帯電部材の抵抗値が変動するため、また、感光体が削れることによって膜厚が変化するとVthが変動するため、感光体の電位を所望の値にすることが難しかった。
【0011】
また、帯電均一化のためにAC帯電を行った場合には、さらなるオゾンの発生、AC電圧の電界による接触帯電部材と感光体の振動騒音(AC帯電音)の発生、また、放電による感光体表面の劣化等が顕著になり、新たな問題点となっていた。
【0012】
また、ファーブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性繊維のブラシ部を有する部材(ファーブラシ帯電器)を用い、その導電性繊維ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、導電性繊維ブラシ部に所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。
【0013】
ファーブラシ帯電器は固定タイプとロールタイプが実用化されている。中抵抗の繊維を基布に折り込みパイル状に形成したものを電極に接着したものが固定タイプで、ロールタイプはパイルを芯金に巻き付けて形成する。繊維密度としては100本/mm2程度のものが比較的容易に得られるが、直接注入帯電により十分均一な帯電を行うにはそれでも接触性は不十分である。直接注入帯電により十分均一な帯電を行うには、ファーブラシ帯電器に感光体に対して機械構成としては困難なほどに速度差を持たせる必要があり、現実的ではない。
【0014】
このファーブラシ帯電の直流電圧印加時の帯電特性を図2のBに示す。従って、ファーブラシ帯電の場合においても、固定タイプ、ロールタイプのいずれも、多くは高い帯電バイアスを印加し放電現象を用いて帯電を行っている。
【0015】
これらに対し、磁気ブラシ帯電は、接触帯電部材として導電性磁性粒子をマグネットロール等で磁気拘束してブラシ状に形成した磁気ブラシ部を有する部材(磁気ブラシ帯電器)を用い、その磁気ブラシ部を被帯電体としての感光体に接触させ、所定の帯電バイアスを印加して感光体面を所定の極性・電位に帯電させるものである。この磁気ブラシ帯電の場合、その帯電機構は直接注入帯電機構が支配的である。
【0016】
磁気ブラシ部を構成させる導電性磁性粒子として粒径5〜50μmのものを用い、感光体と十分速度差を設けることで、均一に近い直接注入帯電を可能にする。
【0017】
磁気ブラシ帯電の直流印加時の帯電特性は、図2のCで表される。図2に示すように、印加バイアスとほぼ比例した帯電電位を得ることが可能にある。
【0018】
しかしながら、磁気ブラシ帯電には、機器構成が複雑であること、磁気ブラシ部を構成している導電性磁性粒子が脱落して感光体に付着する等の弊害もある。このように、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電装置が望まれている。
【0019】
一方、省資源、廃棄物削減の観点及びトナーの有効活用と言う意味で廃トナーの出ない画像形成法が望まれている。例えば、潜像をトナーにより現像して可視像とし、紙などの記録媒体にトナー像を転写した後に、記録媒体に転写されずに潜像担持体上に残余したトナーが種々の方法でクリーニングされ、このトナーを現像装置内に循環させ再利用する、いわゆるトナーリユースが実用化されている。しかしながら、クリーニング部材が潜像担持体表面に押し当てられることに起因して潜像担持体が磨耗して短命化する問題があった。また、装置面からは、かかるトナーリユース装置及びクリーニング装置を具備するために画像形成装置が必然的に大きくなり、装置のコンパクト化を目指すときのネックになっていた。
【0020】
これに対し、廃トナーのでないシステムとして、現像兼クリーニング又はクリーナレスと呼ばれる技術も提案されている。従来の現像兼クリーニング又はクリーナレスに関する技術は特開平5−2287号公報に開示されているように、転写残余のトナーの画像への影響によるポジメモリ、ネガメモリなどに焦点を当てたものが主であった。しかし、電子写真の利用が進んでいる今日、様々な記録媒体に対してトナー像を転写する必要性がでてきており、この意味で様々な記録媒体に対して満足し得るものではなかった。
【0021】
クリーナレスに関連する技術の開示を行っているものに特開平2−302772号公報、特開平5−2289号公報、特開平5−53482号公報、特開平5−61383号公報等があるが、望ましい画像形成方法については述べられておらず、トナー構成についても言及されていなかった。
【0022】
本質的にクリーニング装置を有さない、現像兼クリーニングまたはクリーナレスに好ましく適用される現像方法として、従来は潜像担持体表面をトナー及びトナー担持体により擦る構成が必須とされてきたため、トナー或いは現像剤が潜像担持体に接触する接触現像方法が多く検討されてきた。これは、現像手段において転写残トナー粒子を回収するために、トナー或いは現像剤が潜像担持体に接触し、擦る構成が有利であると考えられるためである。しかしながら、接触現像方法を適用した、現像兼クリーニング又はクリーナレスプロセスでは、長期間使用によりトナー劣化、トナー担持体表面劣化、感光体表面劣化又は磨耗等を引き起こし、耐久特性に対して充分な解決がなされていない。そのため、非接触現像方法による現像兼クリーニング方法が望まれていた。
【0023】
この現像兼クリーニング方法、クリーナレス画像形成方法では、感光体上の転写残トナー粒子の帯電極性及び帯電量を制御し、現像工程で安定して転写残トナー粒子を回収し、回収トナーが現像特性を悪化させないようにすることがポイントとなる。このため、転写残トナー粒子の帯電極性及び帯電量の制御を帯電部材によって行うこととなる。これについて一般的なレーザープリンターを例として具体的に説明する。
【0024】
マイナス極性電圧を印加する帯電部材、マイナス帯電性の感光体及びマイナス帯電性のトナーを用いる反転現像の場合、その転写工程において、プラス極性の電圧を印加する転写部材によって可視化された像を記録媒体に転写することになるが、記録媒体の種類(厚み、抵抗、誘電率等の違い)と画像面積等の関係により、転写残余のトナーの帯電極性は変動してしまい、プラスの電荷を有するものからマイナスの電荷を有するものまで生じる。しかし、転写残余のトナーが転写工程においてプラス極性に振れていたとしても、マイナス極性の帯電部材によって感光体を帯電する際に、感光体表面と共に一様にマイナス側へ転写残余のトナーの帯電極性を揃えることが出来る。これゆえ、現像方法として反転現像を用いた場合、トナーの現像されるべき明部電位部にはマイナスに帯電された転写残余のトナーが残り、一方、トナーの現像されるべきでない暗部電位に存在するトナーは、現像電界の関係上、トナー担持体の方に引き寄せられ、暗部電位をもつ感光体上に転写残トナー粒子は残留することなく回収される。すなわち、帯電部材によって感光体の帯電と同時に転写残余のトナーの帯電極性を制御することにより、現像兼クリーニング、クリーナレス画像形成方法が成立する。
【0025】
しかしながら、転写残トナー粒子が接触帯電部材のトナー帯電極性の制御能力を超えて、接触帯電部材に付着或いは混入すると、一様に転写残トナー粒子の帯電極性を揃えることができず、現像工程においてトナーを回収することが困難となる。また、転写残トナー粒子が摺擦等の機械的力によってトナー担持体に回収されたとしても、転写残トナー粒子の帯電が均一に揃えられていないと、トナー担持体上のトナーの摩擦帯電性に悪影響を及ぼし、現像特性を低下させる。すなわち、現像兼クリーニング、クリーナレス画像形成方法においては、転写残トナー粒子の帯電部材通過時の帯電制御特性及び帯電部材への付着・混入特性が、耐久特性、画像品質特性に密接につながっている。
【0026】
現像兼クリーニング画像形成方法において、転写残トナー粒子の帯電部材通過時の帯電制御特性を向上させることで現像兼クリーニング性能を向上させるものとして、特開平11−15206号公報では、特定のカーボンブラック及び特定のアゾ系鉄化合物を含有するトナー粒子と無機微粉体とを有するトナーを用いた画像形成方法が提案されている。更に、現像兼クリーニング画像形成方法において、トナーの形状係数を規定した転写効率に優れたトナーにより、転写残トナー粒子量を減少させることで現像兼クリーニング性能を向上させることも提案されている。しかしながら、ここで用いられた接触帯電も放電帯電機構によるもので、直接注入帯電機構ではないため、放電帯電による前述の問題がある。更に、これらの提案は、接触帯電部材の転写残トナー粒子による帯電性低下を抑制する効果はあっても、帯電性を積極的に高める効果は期待できない。
【0027】
更には、市販の電子写真プリンタの中には、転写工程と帯電工程の間に感光体に当接するローラ部材を用い、現像での転写残トナー粒子回収性を補助或いは制御する現像兼クリーニング画像形成装置もある。このような画像形成装置は、良好な現像兼クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができるが、コストが高くなり、小型化の点でも現像兼クリーニングの利点を損ねている。
【0028】
また、帯電ムラを防止し安定した均一帯電を行うために、接触帯電部材の被帯電体面との接触面に粉末を塗布する構成も特公平7−99442号公報に開示されている。しかしながら、接触帯電部材(帯電ローラ)が被帯電体(感光体)に従動回転(速度差駆動なし)する構成であり、スコロトロン等のコロナ帯電器と比べるとオゾン生成物の発生は格段に少なくなっているものの、前述のローラ帯電の場合と同様に、帯電原理は依然として放電帯電機構を主としている。特に、より安定した帯電均一性を得るためには、DC電圧にAC電圧を重畳した電圧を印加するために、放電によるオゾン生成物の発生はより多くなってしまう。よって、長期に装置を使用した場合には、オゾン生成物による画像流れ等の弊害が現れやすい。更に、上記構成をクリーナレスの画像形成装置に適用した場合には、転写残トナー粒子の混入のため塗布した粉末が均一に帯電部材に付着していることが困難となり、均一帯電を行う効果が薄れてしまう。
【0029】
また、特開平5−150539号公報には、接触帯電を用いた画像形成方法において、長時間画像形成を繰り返すうちにブレードクリーニングしきれなかったトナー粒子やシリカ微粒子が帯電手段の表面に付着・蓄積することによる帯電阻害を防止するために、現像剤中に、少なくとも顕画粒子と、顕画粒子より小さい平均粒径を有する導電性粒子を含有することが開示されている。しかし、ここで用いられた接触帯電または近接帯電は放電帯電機構によるものであり直接注入帯電機構ではないため、放電帯電による前述の問題がある。更に、この構成をクリーナレスの画像形成装置へ適用した場合には、クリーニング機構を有する場合と比較して、多量の導電性微粒子及び転写残トナー粒子が帯電工程を通過することによる帯電性への影響、これら多量の導電性微粒子及び転写残トナー粒子の現像工程における回収性、回収された導電性微粒子及び転写残トナー粒子による現像剤の現像特性への影響に関しては何ら考慮されていない。更に、接触帯電に直接注入帯電機構を適用した場合には、導電性微粒子が接触帯電部材に必要量供給されず、転写残トナー粒子の影響による帯電不良を生じてしまう。
【0030】
また、近接帯電では、多量の導電性微粒子及び転写残トナー粒子により感光体を均一帯電することが困難であり、転写残トナー粒子のパターンを均す効果が得られないため、転写残トナー粒子がパターン画像露光を遮光してパターンゴーストを生ずる。更に、画像形成中の電源の瞬断或いは紙詰まり時には現像剤による機内汚染が著しくなる。
【0031】
これらに対し、特開平10−307456号公報において、トナー粒子及びトナー粒径の1/2以下の粒径を有する導電性を有する帯電促進粒子を含む現像剤を直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用した画像形成装置が開示されている。この提案によると、放電生成物を生ずることなく、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成装置が得られ、帯電不良、画像露光の遮光或いは拡散を生じない良好な画像が得られる。しかしながら、さらなる改良が望まれる。
【0032】
また、特開平10−307421号公報においては、トナー粒径の1/50〜1/2の粒径を有する導電性粒子を含む現像剤で直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法に適用し導電性粒子に転写促進効果を持たせた画像形成装置が開示されている。
【0033】
更に、特開平10−307455号公報では、導電性微粉末の粒径を構成画素1画素の大きさ以下とすること、及びより良好な帯電均一性を得るために導電性微粉末の粒径を10nm〜50μmとすることが記載されている。
【0034】
特開平10−307457号公報では、人の視覚特性を考慮して帯電不良部の画像への影響を視覚的に認識されにくい状態とするために導電性粒子を約5μm以下、好ましくは20nm〜5μmとすることが記載されている。
【0035】
更に、特開平10−307458号公報によれば、導電性微粉末の粒径をトナー粒径以下とすることで、現像時にトナーの現像を阻害することや現像バイアスが導電性微粉末を介してリークすることを防止し画像の欠陥をなくすことができることが記載されている。同時に、上記導電性微粉末の粒径を0.1μmより大きく設定することにより、像担持体に導電性微粉末が埋め込まれ、露光光を遮光する弊害も解決し優れた画像記録を実現する直接注入帯電機構を用いた現像兼クリーニング画像形成方法が記載されている。しかしながら、さらなる改良が望まれる。
【0036】
特開平10−307456号公報によれば、トナーに導電性微粉末を外部添加し、少なくとも可撓性の接触帯電部材と像担持体との接触部に前記トナー中に含有の導電性微粉末が、現像工程で像担持体に付着し転写工程の後も像担持体上に残留し持ち運ばれて介在していることで、帯電不良、画像露光の遮光を生じない良好な画像が得られる現像兼クリーニング画像形成装置が開示されている。しかしながら、これらの提案も長期にわたる繰り返し使用における安定した性能、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる場合の性能に更なる改良の余地があった。
【0037】
また、平均粒子径を規定した導電性粒子を外部添加する提案も為されている。例えば、特開平9−146293号公報においては、平均粒子径5〜50nmの微粉末A及び平均粒子径0.1〜3μmの微粉末Bを外部添加剤とし、4〜12μmのトナー母粒子に規定する程度以上に強く付着させたトナーが提案されているが、微粉末Bの遊離しているもの及びトナー母粒子から離脱するものの割合を少なくすることを目的としている。また、特開平11−95479号公報においては、粒径を規定した導電性シリカ粒子及び疎水化された無機酸化物を含むトナーが提案されているが、トナーに過剰に蓄積される電荷の、導電性シリカ粒子による外部へのリーク作用を目的としたものでしかない。
【0038】
更に特開平11−194530号公報においては、0.6〜4μmの外添剤微粒子A及び無機微粉末Bを有し、且つ粒度分布が規定されたトナーが提案されているが、外添剤微粒子Aの介在による無機微粉末Bのトナー母粒子への埋め込み等によるトナー劣化防止を目的としており、トナー母粒子への外添剤微粒子Aの付着・遊離に対して考慮されていない。また、特開平10−83096号公報においては、着色剤が内包された球形樹脂微粒子表面に導電性微粒子及びシリカ微粒子が添加されたトナーが提案されているが、これは、トナー粒子表面に導電性を持たせ、トナー粒子間の電荷の移動・交換を迅速化させ、トナーの摩擦帯電の均一性を高めることを目的としたものである。
【0039】
このように、注入帯電工程を有する画像形成方法、現像兼クリーニング工程を有する画像形成法またはクリーナレス画像形成法に用いるための現像剤には、外部添加剤に対する検討が十分に為されておらず、外部添加剤を含めた現像剤の提案にも、注入帯電工程を有する画像形成方法、現像兼クリーニング画像形成法或いはクリーナレス画像形成法に適応するために十分な検討が為されたものがない。
【0040】
ところで、画像形成装置は、より高速でより低コストであることがますます求められつつある。例えば、普及している電子写真方式を利用したレーザープリンターでは、ローエンドと呼ばれる個人向け入門機種の印字速度が1分当たり6〜8枚であったのが、1分当たり10〜15枚程度まで高速化され、かつ低価格化が進んでいる。印字速度を像担持体の移動速度(プロセススピード)に換算すると50mm/sec程度から100mm/sec近くにまで高速化されており、今後も更に高速化されていくものと考えられる。
【0041】
プロセススピードが速くなると、一般には現像兼クリーニングにおける転写残トナー粒子の回収性が低下する傾向がある。プロセススピードが速くなることで、一次帯電における転写残トナー粒子の帯電制御が十分には行われ難く、一次帯電から吐き出されて現像での回収に向かう転写残トナー粒子の帯電が不均一となり易いこと、及び現像にて回収された転写残トナー粒子の混入による現像剤の摩擦帯電性への影響を抑制することが困難となる方向であることが理由として考えられる。特にこの傾向は、非接触現像法において顕著である。これは、接触現像法における転写残トナー粒子の回収では、現像剤担持体と像担持体との接触により静電気的な力がより有効に働き、且つ摺擦による物理的な力が働くため、プロセススピードの増大による転写残トナー粒子の回収性の低下を補い易いためと推測される。
【0042】
また、直接注入帯電の帯電性も、プロセススピードの増大に伴い低下する傾向がある。これは、導電性微粉末を介しての像担持体と接触帯電部材との接触確率の低下、または電荷を注入して像担持体を帯電させるための帯電時間の短縮のためと推測される。更に、前記接触確率を維持するために、プロセススピードの増大と併せて、像担持体の移動速度に対する帯電部材の移動速度比を維持或いは増大させると、トルクの大幅な増大がコストアップ要因となり、像担持体及び帯電部材の傷、帯電部材に付着或いは混入する転写残トナー粒子の飛散による機内汚染等の問題を生じ易くなる。従って、より速いプロセススピードで、帯電部材の移動速度を低く抑えて、パターン回収不良と画像汚れが発生せず、繰り返し使用後の像担持体の帯電性の低下を十分に小さくすることが可能な現像剤及び画像形成方法が求められる。
【0043】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑みなされたものであり、良好な現像兼クリーニング工程によるトナー画像形成を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0044】
また本発明の目的は、オゾンなどの放電生成物の生成が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構による、簡易で安定した一様帯電を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0045】
また、本発明の目的は、廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング工程を可能とする画像形成方法を提供することにある。
【0046】
さらに、本発明の目的は、解像性を高めるためにより粒径の小さなトナー粒子を用いる際においても良好な画像を安定して得られる現像兼クリーニング工程を有する画像形成方法を提供することにある。
【0047】
また、本発明の目的は、繰り返し複写又は耐久による現像剤担持体表面の導電性被覆層の劣化が生じ難く、高耐久性を有し、安定した画質が得られる画像形成方法を提供することである。
【0048】
本発明の目的は、異なる環境条件下においても長期に渡って、濃度低下、スリーブゴースト及びカブリの如き問題点が発生せず、文字ラインのシャープ性が良好で、画像濃度が高い高品位の画像を安定して得ることのできる画像形成方法を提供することである。
【0049】
本発明の目的は、粒径の小さいトナーを用いた場合に現れる、現像剤担持体表面でのトナーの不均一な帯電を制御し、トナーに迅速且つ適正に帯電を与えることのできる現像剤担持体を用いる画像形成方法を提供することである。
【0050】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、以下の本発明の構成によって達成される。
【0051】
すなわち、本発明の画像形成方法は、潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、前記現像剤は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有し、該トナー粒子は下記式より求められる円形度aが0.970未満であり、該導電性微粒子は、体積平均粒径が0.1〜10μmであり、前記帯電工程は、前記潜像担持体に帯電手段を接触させて帯電を行う工程であり、帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する前記導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行う工程であり、前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、転写工程後、帯電工程に至るまでの間には、クリーニング工程が無く、前記現像工程において、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収し、該現像剤担持体は、少なくとも基体と該基体上に形成された樹脂被覆層とを有しており、該樹脂被覆層は、少なくとも被覆層用結着樹脂と正帯電性物質を含有しており、該正帯電性物質がイミダゾール化合物或いは含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体であることを特徴とする。
【0052】
【数4】
(式中、L0は、粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長を示し、Lは、粒子の投影像の周囲長を示す。)
前記現像剤担持体の基体上に形成された樹脂被覆層中には、少なくとも被覆層用結着樹脂及び導電性物質を含有することが好ましい。
【0053】
前記現像剤担持体の基体上に形成された樹脂被覆層中には、少なくとも被覆層用結着樹脂及び潤滑性物質を有することが好ましい。
【0056】
また、イミダゾール化合物が、下記式(1)又は(2)で示される化合物であることが好ましい。
【0057】
【化4】
〔式中、R1及びR2は、水素原子、又は、アルキル基、アラルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基を表わし、R1及びR2は同一であっても異なっていても良く、R3及びR4は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表わし、R3及びR4は同一であっても異なっていても良い。〕
【0058】
【化5】
〔式中、R5及びR6は、水素原子、又は、アルキル基、アラルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基を表わし、R5及びR6は同一であっても良く、R7は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表わす。〕
該樹脂被覆層が、導電性物質及び含窒素複素環化合物に加えて更に、個数平均粒径0.3〜30μmの球状粒子を有することが好ましい。
【0059】
球状粒子が、樹脂粒子であることが好ましい。
【0060】
球状粒子が、真密度3g/cm3以下の導電性球状粒子であることが好ましい。
【0062】
該含窒素ビニルモノマーはビニル重合性モノマーを有することが好ましい。
【0063】
該共重合体は、3,000〜50,000の重量平均分子量(Mw)を有していることが好ましい。
【0064】
該共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)3.5以下を有していることが好ましい。
【0065】
該含窒素ビニルモノマーは、窒素含有基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及び含窒素複素環式N−ビニル化合物からなるグループから選択される1種以上のモノマーを有することが好ましい。
【0066】
該含窒素ビニルモノマーとしては、下記一般式(3)
【0067】
【化6】
〔式中、R7,R8,R9及びR10は、水素原子あるいは炭素数1〜4の飽和炭化水素基を示し、nは1〜4の整数を示す。〕
で示されるものが好ましい。
【0068】
また上記の現像装置において、前記現像剤担持体の基体上に形成された該樹脂被覆層中には、正帯電性物質として、結着樹脂及びビニル重合性単量体とスルホン酸基含有アクリルアミド単量体との共重合体を含有していることが好ましい。また、同時に被覆層用結着樹脂はその一部又は全てが、その分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを有することが好ましい。
【0069】
前記ビニル重合性単量体とスルホン酸基含有アクリルアミド系単量体の共重合比(質量%)が、98:2〜80:20であり、重量平均分子量(Mw)が2,000〜50,000の共重合体であることが好ましい。
【0070】
前記共重合体が、ビニル重合性単量体と2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体であることが好ましい。
【0071】
前記結着樹脂中に、少なくともフェノール樹脂が含有されることが好ましい。
【0072】
前記フェノール樹脂が、含窒素化合物を触媒として用いて製造されたフェノール樹脂であり、その構造中に−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを有するが好ましい。
【0073】
前記結着樹脂中に、少なくともポリアミド樹脂が含有されることが好ましい。
【0074】
前記結着樹脂中に、少なくともポリウレタン樹脂が含有されることが好ましい。
【0075】
前記樹脂層中に被覆層表面に凹凸を形成するために、球状粒子が含有されていることが好ましく、該球状粒子の個数平均粒径が0.3〜30μmであることがより好ましい。
【0076】
被覆層表面に凹凸を形成するための粒子が球状であり、且つ真密度が3g/cm3以下であることが好ましい。
【0077】
被覆層表面に凹凸を形成するための粒子が導電性の球状粒子であることが好ましい。
【0078】
さらに上記の本発明の現像装置の有する前記現像剤層厚規制部材が、磁性ブレード或いは弾性ブレードであることが好ましい。
【0079】
前記現像剤が、磁性トナー粒子を有する磁性現像剤であることが好ましい。
【0080】
前記現像剤の重量平均粒径(D4)が、4〜10μmであることが好ましい。
【0081】
前記現像剤が粒径0.60〜159.21μmの粒子に関する個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15〜70個数%含有することが好ましい。
【0082】
前記現像剤は、体積平均粒径が0.1〜10μmである導電性微粒子を有していることが好ましい。
【0083】
前記現像剤は、体積抵抗値が100〜109Ω・cm、より好ましくは101〜106Ω・cmである導電性微粒子を有していることが好ましい。
【0084】
前記導電性微粒子が非磁性であることが好ましい。
【0085】
前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することが好ましい。
【0097】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
【0098】
<現像剤>
本発明に用いられる現像剤としては、トナー粒子及び導電性微粉末を少なくとも有する一成分系現像剤が好ましい。
【0099】
本発明に用いられる現像剤は、結着樹脂および着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と導電性微粉末とを少なくとも有し、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15〜70個数%含有することが好ましい。更には、外添剤として、平均一次粒径が4〜80nmである無機微粉末を含有していることが好ましい。
【0100】
このような現像剤を用いることにより、良好な帯電性を安定して現像剤に付与することができ、現像剤の長期にわたる繰り返し使用においても帯電不良が生じずに良好な画像が得られ、且つ廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング工程を有する画像形成方法が可能となる。
【0101】
また、このような現像剤を用いることにより、オゾンなどの放電生成物が実質的に無く、低い印加電圧で均一な帯電が得られる直接注入帯電機構を用いた帯電を簡易な構成で良好に行うことができ、現像剤の長期にわたる繰り返し使用においても帯電不良を生じない良好な画像が得られる画像形成方法が可能となる。また、このような現像剤を用いることによって、多量の現像剤成分が接触帯電部材に付着または混入しても、一様帯電性の低下を抑制することができ、像担持体の帯電不良による画像不良を抑制することができる、接触帯電による画像形成方法が可能となる。
【0102】
また、このような現像剤を用いた現像兼クリーニング画像形成方法において、良好な摩擦帯電特性を安定して示す現像剤が得られ、現像剤の長期にわたる繰り返し使用においても、転写残トナー粒子の回収不良や、一様帯電または潜像形成の阻害による画像不良を生ずることなく良好な画像が得られ、且つ廃トナー量を大幅に減らすことが可能な、低コストで小型化に有利な現像兼クリーニング画像形成方法が可能となる。
【0103】
現像剤が有する導電性微粉末は、像担持体に形成された静電潜像が現像される際に、トナー粒子とともに適当量が現像剤担持体から潜像担持体に移行する。静電潜像が現像されることにより潜像担持体上に形成されたトナー画像は、転写工程において紙などの転写材に転移する。このとき、潜像担持体上の導電性微粉末も一部は転写材に付着するが、残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。トナー粒子の帯電極性と逆極性の転写バイアスを印加して転写を行う場合には、トナーは転写材側に引かれて積極的に転移するが、潜像担持体上の導電性微粉末は導電性であるため転写材側に転移し難い。このため、導電性微粉末の一部は転写材に付着するものの残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。
【0104】
クリーニング工程のように、潜像担持体上に付着保持されて残留した導電性微粉末を潜像担持体上から取り除く工程を持たない画像形成方法では、転写工程後の潜像担持体表面に残存したトナー粒子(以下、これを「転写残トナー粒子」という)および導電性微粉末は、潜像担持体において像を担持する面(以下、これを「像担持面」という)の移動に伴って帯電部に運ばれる。すなわち、帯電工程に接触帯電部材を用いる場合は、導電性微粉末は潜像担持体と接触帯電部材とが接触して形成される接触部に運ばれ、接触帯電部材に付着・混入する。従って、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に導電性微粉末が介在した状態で潜像担持体の接触帯電が行われる。
【0105】
本発明においては、導電性微粉末を帯電部に積極的に運ぶことにより、転写残トナー粒子の付着・混入により接触帯電部材が汚染されるにも拘わらず、接触帯電部材の接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による潜像担持体の帯電を良好に行うことができる。
【0106】
しかし、接触帯電部材の帯電部に十分な量の導電性微粉末が介在しない場合には、転写残トナー粒子の接触帯電部材への付着・混入による像担持体の帯電の低下が容易に起こり、画像汚れを生ずる。
【0107】
更に、導電性微粉末を潜像担持体と接触帯電部材とが接触して形成する接触部に積極的に持ち運ぶことにより、接触帯電部材の潜像担持体への緻密な接触性と接触抵抗を維持できるため、接触帯電部材による潜像担持体の直接注入帯電を良好に行わせることができる。
【0108】
また、接触帯電部材に付着・混入した転写残トナー粒子は、接触帯電部材から徐々に潜像担持体上に吐き出され、像担持面の移動に伴って現像部に至り、現像工程において現像兼クリーニング、すなわち転写残トナー粒子の回収が行われる。接触帯電部材に付着・混入した導電性微粉末も同様に接触帯電部材から徐々に像担持体上に吐き出され、像担持面の移動に伴って現像部に至る。すなわち、転写残トナー粒子とともに導電性微粉末が潜像担持体上に存在し、現像工程において転写残トナー粒子の回収が行われる。現像工程における転写残トナー粒子の回収が現像バイアス電界を利用するものである場合には、転写残トナー粒子が現像バイアス電界によって回収されるのに対して、潜像担持体上の導電性微粉末は導電性であるため回収され難い。このため、導電性微粉末の一部は回収されるものの、残りは潜像担持体上に付着保持されて残留する。本発明者らの検討によれば、このように現像工程で回収され難い導電性微粉末が像担持体上に存在することで、潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収性を向上させる効果を有することが判明した。すなわち、像担持体上の導電性微粉末が潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収助剤として働き、現像工程における転写残トナー粒子の回収をより確実なものとし、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0109】
従来、現像剤に導電性微粉末を外部添加する目的の多くが、トナー粒子表面に導電性微粉末を付着させることによってトナーの摩擦帯電性を制御することであり、トナー粒子から遊離或いは脱離する導電性微粉末は、現像剤特性の変化或いは劣化を招く弊害として扱われてきた。これに対し、本発明の現像剤は、導電性微粉末をトナー粒子表面から積極的に遊離させる点で、従来多く検討されてきた現像剤への導電性微粉末の外部添加とは異なる。導電性微粉末を、転写後の潜像担持体上を経由させて像担持体と接触帯電部材とが接触して形成する接触部である帯電部に持ち運び、介在させることによって潜像担持体の帯電性を積極的に向上させることにより、安定して均一な一様帯電を可能とし、潜像担持体の帯電低下による画像不良の発生を防止する。また、現像工程において導電性微粉末が潜像担持体上に存在することで、導電性微粉末が潜像担持体上の転写残トナー粒子の回収助剤として働き、現像工程における転写残トナー粒子の回収をより確実なものとし、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0110】
本発明の現像剤においては、トナー粒子表面に付着してトナー粒子と共に挙動する導電性微粉末は、本発明の現像剤が効果として発現する潜像担持体の帯電性の促進及び現像兼クリーニング性能の向上に対しての寄与が少なく、トナー粒子の現像性の低下、現像兼クリーニング工程での転写残トナー粒子回収性の低下、及び転写性の低下によって転写残トナー粒子量が増加することにより、一様帯電を阻害する等の弊害を生む場合がある。
【0111】
本発明の現像剤に含有される導電性微粉末は、画像形成が繰り返されることにより、帯電工程および現像工程を経て像担持面に移行し、さらに像担持面の移動に伴い転写工程を経て再び帯電部に持ち運ばれることにより、帯電部に導電性微粉末が逐次供給され続ける。従って、帯電部において導電性微粉末が脱落するなどして減少したり、導電性微粉末の一様帯電性促進能力が劣化した場合でも、帯電部に導電性微粉末が供給され続けるため、装置の長期にわたる繰り返し使用においても像担持体の帯電性の低下を防止し、良好な一様帯電が安定して維持される。
【0112】
現像剤に添加する導電性微粉末の粒径の、潜像担持体の帯電性促進効果及び現像兼クリーニング性に対する影響についての本発明者らの検討によれば、導電性微粉末のうち粒子径が非常に小さいもの(例えば0.1μm程度以下のもの)は、トナー粒子表面に強固に付着し易く、現像工程で潜像担持体上の非画像部に導電性微粉末を十分に供給することができず、転写工程においてもトナー粒子表面から導電性微粉末が遊離しない。このため、転写後の潜像担持体上に導電性微粉末を積極的に残留させ、帯電部に導電性微粉末を積極的に供給することができない。従って、潜像担持体の帯電性を向上させる効果が得られず、接触帯電部材に転写残トナー粒子が付着混入した場合には潜像担持体の帯電性低下による画像不良を生ずる。
【0113】
また、現像兼クリーニング工程においても、潜像担持体上に導電性微粉末を供給することができないため、また、潜像担持体上に供給されたとしても導電性微粉末の粒子径が小さすぎるために、転写残トナー粒子の回収性を向上させる効果が得られず、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができない。
【0114】
また、導電性微粉末のうち粒子径が大きすぎるもの(例えば4μm程度以上のもの)は、帯電部に供給されても粒径が大きいために、導電性微粉末が帯電部材から脱落しやすくなり、安定して十分な粒子数の導電性微粉末を帯電部に介在させ続けることが困難となり、均一な潜像担持体の帯電性を促進することができない。更に、単位重量当たりの導電性微粉末の粒子数が減少するため、潜像担持体の均一帯電促進効果を十分に得られるだけの粒子数の導電性微粉末を帯電部に介在させる(帯電部における潜像担持体と導電性微粉末との接触点数を多くすることによって、潜像担持体の一様帯電性を促進する効果が高まるため、帯電部に介在する導電性微粉末の粒子数が多いことが求められる。)には、導電性微粉末の現像剤に対する添加量を大きくせざるを得なくなる。しかし、導電性微粉末の添加量を多くしすぎると、現像剤全体としての摩擦帯電能や現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる。また、導電性微粉末の粒径が大きいために、現像工程における転写残トナー粒子の回収助剤としての効果が十分には得られない。転写残トナー粒子の回収を高めるために、導電性微粉末の像担持体上での存在量を大きくしすぎると、粒径が大きいために潜像形成工程への悪影響、例えば画像露光を遮ることによる画像欠陥を生じる場合がある。
【0115】
本発明者らは、導電性微粉末の粒径の検討から、さらに実際の現像剤の挙動に直接関与する、外部添加剤を含む現像剤の粒度分布の検討へ進め、鋭意検討の末、本発明に至った。
【0116】
すなわち、現像剤を、結着樹脂および着色剤を少なくとも含有するトナー粒子と、一次粒子の個数平均粒径が4〜80nmである無機微粉末と、導電性微粉末とを少なくとも有し、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15〜70個数%含有する構成とすることで、接触帯電による潜像担持体の帯電不良を有効に防止することができ、直接注入帯電機構での潜像担持体の一様帯電性を向上させることができる。また、現像兼クリーニングでの転写残トナー粒子の回収を高め、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を有効に防止することができる。
【0117】
より詳細に説明すると、本発明の現像剤が有する一次粒子の個数平均粒径が4〜80nmである無機微粉末は、トナー粒子表面に付着してトナー粒子とともに挙動することで、現像剤の流動性を改良し、トナー粒子の摩擦帯電特性を均一化させる。このため、トナー粒子の転写性を向上させ、接触帯電部材への転写残トナー粒子の混入量を低減し、潜像担持体の帯電性低下を防止し、現像工程における転写残トナー粒子の回収での負荷を低減できる。
【0118】
この無機微粉末は、トナー粒子表面に付着してトナー粒子とともに挙動すること、および一次粒子の個数平均粒径が4〜80nmと小さく、トナーに付着している状態での粒径も一次粒径から凝集体でも0.1μm以下のものであり、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲における個数基準の粒度分布に実質的に影響を与えない。
【0119】
これに対し、本発明の現像剤が有する導電性微粉末は、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数墓準の粒度分布において、粒径が1.00μm以上2.00μm未満の粒子を15〜60個数%含有させることに寄与する。より具体的には、本発明の現像剤が有する導電性微粉末を、少なくとも1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を有するものとし、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が上記範囲となるように、この導電性微粉末を現像剤中に含有させることにより、上記本発明の効果を得ることができる。本発明者らの検討によれば、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の導電性微粉末が現像剤中に存在することにより、接触帯電における接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着・混入による像担持体の帯電不良を防止し、直接注入帯電における潜像担持体の一様帯電性を向上させ、現像兼クリーニングを用いた画像形成方法における帯電不良および転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が大きいことが判明した。また、導電性微粉末の現像工程における転写残トナー粒子の回収助剤としての効果には、導電性微粉末の粒径が大きく関与し、転写残トナー粒子の回収助剤として最適な導電性微粉末の粒径範囲が存在し、特に1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒径を有する導電性微粉末の含有量(個数%)が転写残トナー粒子の回収助剤として効果に深く関与することが判明した。
【0120】
1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の導電性微粉末の粒子は、トナー粒子表面に強固に付着しにくく、現像工程において像担持体上の非画像部にまで十分に供給され、転写工程においてトナー粒子表面から積極的に遊離し、転写後の潜像担持面を経て効率良く帯電部に供給される。また、上記導電性微粉末は、帯電部において均一に分散して介在できることにより潜像担持体の帯電促進効果が高く、帯電部に安定して保持されるため、画像形成装置の長期にわたる繰り返し使用においても潜像担持体の帯電性の低下を防止し、良好な一様帯電が安定して維持される。また、帯電工程に接触帯電部材を用いた現像兼クリーニング画像形成法のように、転写残トナー粒子による帯電部材の汚染が避けられない場合でも、潜像担持体の帯電性の低下を防止することができる。さらに、導電性微粉末の粒子が転写後の潜像担持面へ効率良く供給され、転写残トナー粒子の回収助剤として特に優れた効果を発揮することで、現像兼クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収性を高めることができる。
【0121】
上述したように、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が15〜60個数%であることを特徴とする。上記粒径測定範囲における1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量を上記範囲とすることにより、帯電工程における像担持体の一様帯電性の向上を図ることができる。また、適度な量の導電性微粉末を帯電部に安定して存在させることができるため、後の露光工程において、導電性微粉末が像担持体上に過剰に存在することによる露光不良を防止することができる。現像剤中の1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、接触帯電による像担持体の一様帯電性を充分に向上させることができず、現像兼クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が十分ではない。また、現像剤中の1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも多すぎる場合には、過剰の導電性微粉末が帯電部に供給されるため、帯電部に保持しきれない導電性微粉末が露光光を遮る程度までに像担持体上に排出され、露光不良による画像欠陥を生じる、或いは飛散して機内を汚染する等の弊害を著しく生じ易くなる。
【0122】
本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における粒子径が1.00以上2.00μm未満の粒子の含有量は、20〜50個数%であることがより好ましく、20〜45個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、接触帯電による潜像担持体の一様帯電性をより向上させ、且つ現像兼クリーニングを用いた画像形成方法における転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果がより高まる。更に、過剰の導電性微粉末が帯電部に供給されることを防止し、帯電部に保持しきれない導電性微粉末が多量に潜像担持体上に排出されることによる露光不良による画像欠陥の発生をより確実に抑制できる。
【0123】
上述したように、本発明の現像剤に、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15〜60個数%含有させるには、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が上記範囲となるように、この導電性微粉末を現像剤中に含有させればよい。しかしながら、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子は上記導電性微粉末のみに限られるものではなく、トナー粒子や現像剤に添加される他の粒子が含まれていてもよい。
【0124】
本発明の現像剤に含有される少なくとも結着樹脂および着色剤を含有するトナー粒子は、公知の製法によって得ることが可能であり、トナー製法及び製造条件(例えば、トナーの平均粒径や粉砕法によって作製される場合の粉砕条件)によって生じる1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子の量は変化する。しかし、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、トナー粒子に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が10個数%を超えると、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子が有する摩擦帯電性が、平均粒径付近の粒径のトナー粒子が有する摩擦帯電性と大きく異なるため、トリボ分布がブロードになり、現像性が低下する傾向にある。
【0125】
すなわち、現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、導電性微粉末に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒子を5〜60個数%含有することが好ましい。
【0126】
また、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15〜70個数%含有することを特徴とする。
【0127】
本発明の現像剤において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子は、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像してトナー画像を形成し、このトナー画像を転写材に転写することにより転写材上にトナー画像を形成するために、所定量が必要である。また、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子には、潜像担持体上に形成された静電潜像に静電的に付着し、静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせることができる。
【0128】
3.00μm未満の粒径の粒子は、過剰な帯電を保持するまたは過度に摩擦帯電電荷を減衰させる等、安定した摩擦帯電特性を持たせることが困難となる。そのため、潜像担持体上の静電潜像のない部分(画像の白地部)への付着量が多くなり易く、忠実に静電潜像をトナー画像として現像することが困難である。また、3.00μm未満の粒径の粒子は、表面に凹凸を有する転写材(例えば、表面に繊維による凹凸を有する紙)に対しては良好な転写性を維持することが困難となるため、転写残トナー粒子が増大する。このため、転写残トナー粒子が潜像担持体に多量に付着した状態で帯電工程に供され、更には接触帯電部材に多量の転写残トナー粒子が付着・混入するため、潜像担持体の帯電が阻害され、導電性微粉末を介して接触帯電部材が潜像担持体と緻密な接触性を有することで潜像担持体の帯電性を高める本発明の効果を阻害する傾向がある。また、転写残トナー粒子の粒径が小さくなると、現像工程において転写残トナー粒子に働く機械的、静電的、さらに磁性トナーの場合には磁気的な回収力が小さくなるため、相対的に転写残トナー粒子と潜像担持体との付着カが大きくなり、現像工程での転写残トナー粒子の回収性が低下し、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストやカブリ等の画像欠陥を生じやすくする傾向がある。
【0129】
また、8.96μm以上の粒径の粒子は、静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難である。一般に、現像剤の粒径が大きいほど得られるトナー画像の解像性が低いものになるが、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が所定の範囲となるように導電性微粉末を含有させた本発明の現像剤では、現像剤中に多くの導電性微粉末の粒子を含有するため、特に粒子径の大きいトナー粒子の摩擦帯電量がより低下し易くなり、8.96μm以上の粒径の粒子には、静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難となり、良好な解像性を有するトナー画像を得ることがより困難となる。
【0130】
従って、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量を上記範囲とすることにより、静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせるトナー粒子を確保し、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が所定の範囲となるように導電性微粉末を含有させた本発明の現像剤を用いて、高画像濃度で解像性に優れた画像を得ることが可能となる。
【0131】
本発明において、現像剤中の3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持つトナー粒子を確保することが困難となる。このため、得られる画像がカブリが多い、画像濃度が低いまたは解像性の低いものとなる。
【0132】
また、現像剤中の3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量が上記範囲よりも多すぎる場合は、前述した1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量を本発明において規定する範囲内とすることが困難となる。また、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が本発明において規定する範囲内にあったとしても、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量に対して、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子が相対的に不足する。このため、接触帯電による像担持体の一様帯電性を十分に向上させることができず、現像兼クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果が十分には得られない。
【0133】
本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布における粒径が3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量は、20〜65個数%であることがより好ましく、25〜60個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、接触帯電による像担持体の一様帯電性をより向上させ、現像兼クリーニングを用いた画像形成方法における転写残トナー粒子の回収不良を有効に防止する効果をより高めることができ、かつ高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得ることができる。
【0134】
上述したように、静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに適した摩擦帯電特性を持たせる粒子を確保し、高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得るために、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を、15〜70個数%含有する。従って、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が、トナー粒子に起因することが望ましい。しかしながら、現像剤中の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子はトナー粒子のみに限られるものではなく、導電性微粉末や現像剤に添加される他の粒子が含まれていてもよい。
【0135】
本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、8.96μm以上の粒径の粒子を0〜20個数%含有することが好ましい。
【0136】
前述したように、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の現像剤中の含有量が本発明において規定する範囲となるように導電性微粉末を含有させた本発明の現像剤では、現像剤中に多くの導電性微粉末の粒子を含有するため、8.96μm以上の粒径の粒子に静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難となる。このような上記粒径測定範囲における8.96μm以上の粒子の現像剤中の含有量が、上記範囲よりも多すぎる場合は、現像剤全体として静電潜像を忠実にトナー画像として現像するのに十分に高い摩擦帯電特性を持たせることが困難となり、得られる画像の解像性が低いものになりやすい。
【0137】
また、粒子径が8.96μm以上のトナー粒子では、トナー粒子表面において局所的に高い摩擦帯電電荷を保持しやすく、このような部位に導電性微粉末が付着すると、導電性微粉末がトナー粒子から遊離せずにトナー粒子とともに挙動するようになり、転写後の潜像担持体上に供給される導電性微粉末が減少しやすくなる。
【0138】
このため、帯電部に導電性微粉末が介在することによる潜像担持体の帯電促進効果が十分には得られない場合がある。また、転写後の潜像担持体上に供給される導電性微粉末が減少しやすいことで、転写残トナーの回収性を向上させる効果が得られない場合がある。
【0139】
更に、粒径の大きなトナー粒子が、転写残トナー粒子として帯電部に持ち運ばれると、接触帯電部材の潜像担持体への接触性を損ない、潜像担持体の帯電不良を引き起こし易くなる。すなわち、導電性微粉末を介して接触帯電部材が潜像担持体と緻密な接触性を有することで潜像担持体の一様帯電性を高める本発明の効果が得られない場合がある。また、粒径の大きな転写残トナー粒子を現像工程で回収しようとする場合にも、粒径の大きな転写残トナー粒子が回収されずに画像欠陥を生じてしまう、あるいは潜像形成工程での露光を遮ることで画像欠陥となってしまう場合がある。
【0140】
従って、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、8.96μm以上の粒子径の粒子が現像剤中で0〜10個数%であることがより好ましく、0〜7個数%であることがさらに好ましい。上記粒子の含有量をこの範囲とすることで、より高画像濃度でカブリが少なく解像性に優れた画像を得ることができる。また、導電性微粉末を介して接触帯電部材が潜像担持体と緻密な接触性を有することで潜像担持体の一様帯電性を高める上でより優位であり、現像での転写残トナーの回収不良及び潜像形成工程での露光の遮光による画像欠陥の発生を抑制する上でより優位となる。
【0141】
また、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量をA個数%、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量をB個数%としたときに、A>Bの関係を満足することが好ましく、A>2Bの関係を満足することがより好ましい。
【0142】
すなわち、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量B個数%は、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量A個数%よりも少ないことが好ましい。本発明の現像剤の0.60μm以上159.21μm未満の測定粒径範囲における個数基準の粒度分布が上記関係を満足する場合、帯電部において導電性微粉末が均一に分散して介在することができ、良好な一様帯電性が得られる。
【0143】
上記AおよびBがA>Bの関係を満足しない場合には、帯電部に介在する導電性微粉末の均一分散性が低下し、あるいは接触帯電部材での導電性微粉末の保持性が劣り、潜像担持体の帯電均一化効果が低下し易くなる。また、帯電部への導電性微粉末の供給性が劣り、長期にわたる繰り返し使用によって、潜像担持体の帯電の促進効果が低下して潜像担持体の帯電が不安定となりやすい。また、上記A>Bの関係が成立しない場合には、転写性が比較的低い2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子がより多く帯電部に供給され保持されるために、導電性微粉末の帯電部での保持性を相対的に低下させ、画像形成装置の長期にわたる繰り返し使用によっては潜像担持体の一様帯電を阻害しやすく、転写残トナー粒子中のトナー粒子の微粒子が増加することで、転写残トナー粒子の回収性が低下し、ポジゴーストやカブリを生じ易くなる。
【0144】
つまり、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子のうちの導電性微粉末粒子は、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒径を有する導電性微粉末よりも帯電部に導電性微粉末が介在することによって得られる帯電促進効果が大幅に劣り、転写残トナー粒子の現像での回収性向上効果にも劣る。2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子のうちのトナー粒子は、摩擦帯電性が不安定であるためにカブリを生じやすく、転写性も低い。このため、より多くの転写残トナー粒子が帯電部に供給されることとなり、潜像担持体の一様帯電を阻害しやすい。また、転写残トナー粒子が増加すること、及び転写残トナーの摩擦帯電性が不安定であることにより、現像での転写残トナー粒子の回収性が低下しやすい。よって、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒径を有する粒子の含有量が少ないことが好ましい。すなわち、現像剤の粒度分布全体における、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒径を有する粒子の含有比率が少ない方が好ましい。
【0145】
これらの観点より、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量A個数%が、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量B個数%よりも多いことが好ましく、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量A個数%が、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量B個数%の2倍よりも大きいことがより好ましい。
【0146】
また、3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量をC個数%とするとき、このC個数%が2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量B個数%の2倍よりも大きいことが好ましく、3倍よりも大きいことがより好ましい。
【0147】
0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、2.00μm以上3.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量B個数%は、20個数%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下であり、特に好ましくは5%以下である。
【0148】
また、本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布において、3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲での次式で示される個数分布の変動係数Knが、5〜40であることが好ましい。
【0149】
個数基準の粒度分布の変動係数Kn=(Sn/D1)×100
〔式中、Snは3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲における個数分布の標準偏差を表し、D1は3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲における個数基準の平均円相当径(μm)を表す。〕
上記変動係数Knを5〜40とすることにより、トナー粒子と導電性微粉末との均一な混合性が得られ、導電性微粉末が潜像担持体上へより均一に供給されることにより、潜像担持体の帯電均一化効果をより高めることができる。また、トナー粒子の帯電量分布がシャープ化され、カブリとなるトナー粒子及び転写残トナー粒子が減少し、潜像担持体の帯電阻害をより安定して抑制できる。また、現像工程での転写残トナー粒子の回収をより安定して行うことができるため、回収不良に起因する画像欠陥をより確実に抑制できる。トナー粒子の帯電量分布をさらにシャープ化させるためには、上記変動係数Knが5〜30であることがより好ましい。
【0150】
また本発明の現像剤は、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる現像剤の重量平均粒径(D4)が4〜10μmであることが好ましく、3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲において下記式で示される体積基準の粒度分布の変動係数Kvが10〜30であることが好ましい。
【0151】
体積基準の粒度分布の変動係数Kv=(Sv/D4)×100
〔式中、Svは3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲における体積分布の標準偏差を表し、D4は3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲における体積基準の体積平均粒径(μm)を表す。〕
上記体積基準の粒度分布の変動係数Kvが10〜30であることで、現像剤の3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲での粒子の帯電量分布がシャープ化され、カブリとなるトナー粒子及び転写残トナー粒子が減少し、より安定して像担持体の帯電阻害を抑制できる。また、現像兼クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収性を高めることができるため、回収不良による画像欠陥を有効に防止できる。したがって、上記変動係数Kvは10〜25であることがより好ましい。
【0152】
上記変動係数KnまたはKvが上記範囲よりも小さすぎる場合には、トナー粒子の製造が困難となリ、上記変動係数KnまたはKvが上記範囲よりも大きすぎる場合には、トナー粒子と無機微粉末及び導電性微粉末との均一な混合性が得られにくく、像担持体の安定した帯電促進効果が得られにくい。また、現像剤全体としての帯電量分布がブロードとなり、画像濃度の低下、カブリの増大などによる画質低下を生じる。更には、転写残トナー粒子量が増大し、帯電性を阻害し、現像兼クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収率が低下する。
【0153】
上記変動係数Kvを15〜30とすることにより、現像剤の3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲における粒子の帯電量分布がシャープ化され、カブリとなるトナー粒子及び転写残トナー粒子が減少し、像担持体の帯電阻害をより安定して抑制できる。また、現像兼クリーニング工程での転写残トナー粒子の回収性を高めることができるため、トナー粒子の回収不良による画像欠陥を有効に防止できる。なお、上記変動係数Kvは15〜25であることがより好ましい。
【0154】
更に、本発明の現像剤は、下記式より求められるトナーの平均円形度が0.970未満が好ましい。平均円形度が0.970以上である場合には、トナー表面上に外添剤が保持されにくくなり、結果として帯電が不均一となりカブリが発生しやすくなる。また、耐久使用中の現像剤撹拌や昇温などによる外添剤の埋め込まれ等が起こり、トナー表面の劣化が著しいものとなり耐久性等に問題を生じる様になる。
【0155】
円形度a=L0/L
〔式中、L0は粒子の投影像と同じ面積をもつ円の周囲長を示し、Lは粒子の投影像の周囲長を表す。〕
本発明の現像剤は、3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲において、下記式より求められる円形度分布の標準偏差SDが0.045以下であることが好ましい。
標準偏差SD={Σ(ai−am)2/n}1/2
〔式中、aiは3.00μm以上15.04μm未満の粒径範囲における各粒子の円形度を表し、amは3.00μm以上15.04μm未満の粒子の平均円形度を表し、nは粒径が3.00μm以上15.04μm未満の全粒子数を示す。〕
現像剤の上記円形度分布の標準偏差SDが0.045以下であることで、トナー粒子からの導電性微粉末の遊離性が安定し、像担持体上への導電性微粉末の供給がより安定するため、より安定して像担持体の帯電阻害を抑制でき、現像とクリーニングを行う工程(すなわち、現像兼クリーニング工程)でのトナー粒子の回収性がより安定する。
【0156】
本発明において、現像剤の粒径、粒度分布及び円形度分布は、フロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)によって測定される円相当径を「粒径」と定義し、粒径0.60μm以上159.21μm未満の個数基準の粒度分布及び円形度分布を用いて求められる値である。
【0157】
フロー式粒子像分析装置による測定は以下の方法によって行われる。フィルターを通して微細なごみを取り除き、その結果として103cm3中に測定範囲(例えば、円相当径0.60μm以上159.21μm未満)の粒子数が20個以下とした水10ml中に希釈した界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を微細なごみを取り除いた水で10倍程度に薄めたもの)を数滴加える。これに測定試料を適当量(例えば、0.5〜20mg)加え、超音波ホモジナイザー(出力50W、6mm径ステップ型チップ)で3分間分散処理を行い、測定試料の粒子濃度を7000〜10000個/10−3cm3(測定円相当径範囲の粒子を対象として)に調整した試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布及び円形度分布を測定する。
【0158】
測定の概略は、東亜医用電子社(株)発行のFPIA−1000のカタログ(1995年6月版)、測定装置の操作マニュアル及び特開平8−136439号公報に記載されているが、以下の通りである。
【0159】
試料分散液は、フラットで扁平な透明フローセル(厚み約200μm)の流路(流れ方向に沿って広がっている)を通過させる。フローセルの厚みに対して交差して通過する光路を形成するように、ストロボとCCDカメラが、フローセルに対して、相互に反対側に位置するように装着される。試料分散液が流れている間に、ストロボ光がフローセルを流れている粒子の画像を得るために1/30秒間隔で照射される。その結果、それぞれの粒子は、フローセルに平行な一定範囲を有する2次元画像として撮影される。それぞれの粒子の2次元画像の面積から、この2次元画像の面積と同一の面積を有する円の直径を円相当径として算出する。
【0160】
また、それぞれの粒子の2次元画像から各粒子の周長が求められ、この2次元画像の面積と同一の面積を有する円の周長との比を算出することにより円形度分布が求められる。
【0161】
測定結果(粒度分布及び円形度分布の頻度%及び累積%)は、下記の表1に示す通り、0.06〜400μmの範囲を226チャンネル(1オクターブに対し30チャンネルに分割)に分割して得ることができる。実際の測定では、円相当径が0.60μm以上159.21μm未満の範囲で粒子の測定を行う。
【0162】
【表1】
【0163】
なお、本発明で用いている測定装置である「FPIA−1000」は、各粒子の円形度を算出後、平均円形度の算出に当たって、粒子を得られた円形度によって、円形度0.40〜1.00を61分割したクラスに分け、分割点の中心値と頻度を用いて平均円形度の算出を行う算出法を用いている。しかしながら、この算出法で算出される平均円形度の値と、各粒子の円形度の相加平均によって算出される平均円形度との誤差は、非常に少なく、実質的には無視できる程度のものであり、本発明においては、算出時間の短縮化や算出演算式の簡略化等のデータの取り扱い上の理由で、このような算出法を用いてもよい。
【0164】
また、本発明の現像剤は、粒径が0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり5〜500個有することが好ましい。粒径が0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子は、トナー粒子から遊離して挙動し易く、帯電部材に均一に付着し且つ安定して保持される。このため、現像剤中に粒径が0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり5〜500個有することで、現像工程及び転写工程において像担持体上への導電性微粉末の供給がより促進され、像担持体の帯電性をより安定して均一化できる。また、現像剤中に粒径が0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり5〜500個有することで、現像兼クリーニング工程における転写残トナー粒子の回収性がより安定する。
【0165】
本発明の現像剤において、粒径が0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子がトナー粒子100個あたり5個未満の場合には、導電性微粉末に起因する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を5〜60個数%含有させることが困難であり、上述した1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15〜60個数%含有することによる像担持体の帯電促進効果および現像兼クリーニングにおける転写残トナー粒子の回収性向上効果等の本発明の効果が著しく減少する場合もある。また、本発明の現像剤において、粒径が0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子がトナー粒子100個あたり500個よりも大幅に多いと、トナー粒子に対する導電性微粉末の粒子の比率が高すぎるために、トナー粒子の摩擦帯電を阻害し、現像剤としての現像性および転写性を低下させ、画像濃度の低下、カブリの増加、転写残トナー粒子の増加による一様帯電性の低下および現像兼クリーニングでの転写残トナー粒子の回収不良の発生を生じ易くなる。このような観点から、現像剤中に0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子をトナー粒子100個あたり5〜300個有することがより好ましく、10〜200個有することが更に好ましい。
【0166】
本発明の現像剤中でのトナー粒子100個あたりの0.1〜10μmの導電性微粉末の個数は、以下のように測定することにより得られる値である。すなわち、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した現像剤の写真と、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって導電性微粉末の含有する元素でマッピングされた現像剤の写真を対照し、トナー粒子100個に対して、トナー粒子表面に付着或いは遊離して存在している導電性微粉末を特定し、特定された導電性微粉末のうち画像処理装置(例えば、日立製作所製FE−SEMS−800から、3000〜10000倍に拡大した画像情報をインターフェースを介して、例えばニレコ社製画像解析装置LuzexIIIに導入し解析する)によって求められる円相当径0.1〜10μmの導電性微粉末の粒子数をカウントして得られる値である。
【0167】
また、本発明の現像剤は、導電性微粉末の含有量が現像剤全体の0.1〜10質量%であることが好ましい。導電性微粉末の含有量を上記範囲とすることにより、像担持体の帯電を促進するための適度な量の導電性微粉末を帯電部に供給することができ、現像兼クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性を高めるために必要な量の導電性微粉末を像担持体上に供給することができる。現像剤の導電性微粉末の含有量が上記範囲よりも小さすぎる場合には、帯電部に供給される導電性微粉末量が不足し易く、像担持体の安定した帯電促進効果が得られにくい。この場合、現像兼クリーニングを用いる画像形成においても、現像時に転写残トナー粒子とともに像担持体上に介在する導電性微粉末量が不足し易く、転写残トナー粒子の回収性が十分には向上しない場合がある。また、現像剤の導電性微粉末の含有量が上記範囲よりも大きすぎる場合には、過剰の導電性微粉末が帯電部に供給され易く、帯電部に保持しきれない導電性微粉末が多量に像担持体上に排出されることによる露光不良を生じ易くなる。また、トナー粒子の摩擦帯電特性を低下させる、或いは乱し、画像濃度低下やカブリの増加の原因となる場合がある。
【0168】
このような観点から、現像剤の導電性微粉末の含有量は、0.1〜10質量%であることがより好ましく、0.2〜5質量%であることがさらに好ましい。
【0169】
また、導電性微粉末の抵抗は、潜像担持体の帯電促進効果および転写残トナー粒子回収性の向上効果を現像剤に付与するために、109Ω・cm以下であることが好ましい。導電性微粉末の抵抗が上記範囲よりも大きすぎると、導電性微粉末を帯電部材と潜像担持体との接触部或いはその近傍の帯電領域に介在させ、導電性微粉末を介しての接触帯電部材の潜像担持体への緻密な接触性を維持させても、潜像担持体の良好な一様帯電性を得るための帯電促進効果が小さくなる。現像兼クリーニングにおいても、導電性微粉末が転写残トナー粒子と同極性の電荷を帯び易くなり、導電性微粉末の電荷が転写残トナー粒子と同極性で大きくなると、転写残トナー粒子回収性の向上効果が大幅に低下する。
【0170】
導電性微粉末による潜像担持体の帯電促進効果を十分に引き出し、潜像担持体の良好な一様帯電性を安定して得るためには、導電性微粉末の抵抗が接触帯電部材の表面部或いは潜像担持体との接触部の抵抗よりも小さいことが好ましく、この接触帯電部材の抵抗の1/100以下であることがさらに好ましい。
【0171】
更に、導電性微粉末の抵抗が106Ω・cm以下であることが、絶縁性の転写残トナー粒子の接触帯電部材への付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の一様帯電をより良好に行わせる上で、また、現像兼クリーニングにおいて転写残トナー粒子の回収性の向上効果をより安定して得る上で好ましい。この導電性微粉末の抵抗は100〜105Ω・cmであることがさらに好ましい。
【0172】
本発明において、導電性微粉末の抵抗測定は錠剤法により測定し正規化して求めることができる。即ち、底面積2.26cm2の円筒内に約0.5gの粉体試料を入れ、粉体試料の上下に配置された上下電極間に147N(15kg)の加圧を行うと同時に100Vの電圧を印加して抵抗値を計測し、その後正規化して比抵抗を算出する。
【0173】
また、導電性微粉末は、透明、白色または淡色の導電性微粉末であることが、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たないため好ましい。潜像形成工程における露光光の妨げになることを防ぐ点からも、導電性微粉末は透明、白色或いは淡色の導電性微粉末であることが好ましい。さらに、導電性微粉末はこの静電潜像を形成する像露光光に対する透過率が30%以上であることが好ましい。この透過率は35%以上であることがさらに好ましい。
【0174】
以下、本発明における導電性微粉末の光透過性の測定方法の一例を示す。片面に接着層を有する透明なフィルムの接着層上に導電性微粉末を一層分固定した状態で透過率を測定する。光はシートの鉛直方向から照射し、フィルム背面まで透過した光を集光してその光量を測定する。フィルムのみの場合と導電性微粉末を付着したときの光量の差に基づいて、正味の光量としての光透過率を算出した。実際にはX−Rite社製310T透過型濃度計を用いて測定することができる。
【0175】
また、導電性微粉末は非磁性であることが好ましい。導電性微粉末が非磁性であることで、透明、白色または淡色の導電性微粉末が得られやすい。反対に、磁性を有する導電性材料は、透明、白色または淡色とすることが困難である。また、現像剤担持のために磁気力による現像剤の搬送及び保持を行う画像形成法においては、磁性を有する導電性微粉末は現像されにくいため、像担持体上への導電性微粉末の供給が不足したり、現像剤担持体表面に導電性微粉末が蓄積することにより、トナー粒子の現像を妨げる等の弊害を起こし易い。更に、磁性トナー粒子に磁性を有する導電性微粉末を添加すると、磁気的凝集力によりトナー粒子から導電性微粉末が遊離しにくくなる傾向があり、導電性微粉末の像担持体上への供給性が低下し易い。
【0176】
本発明における導電性微粉末としては、例えばカーボンブラック、グラファイトの如き炭素微粉末;銅、金、銀、アルミニウム、ニッケルの如き金属微粉末;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化錫、酸化アルミニウム、酸化インジウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化バリウム、酸化モリブデン、酸化鉄、酸化タングステンの如き金属酸化物;硫化モリブデン、硫化カドミウム、チタン酸カリの如き金属化合物、あるいはこれらの複合酸化物が必要に応じて粒度及び粒度分布を調整することで使用できる。
【0177】
導電性微粉末は、これらの中でも酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選ばれる少なくとも一種の酸化物を含有していることが好ましい。更には、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンの如き無機酸化物を少なくとも表面に有する微粒子が特に好ましい。これらの酸化物は、導電性微粉末としての抵抗を低く設定することが可能であり、非磁性であり、白色或いは淡色であり、転写材上に転写される導電性微粉末がカブリとして目立たないため好ましい。
【0178】
また、導電性微粉末が導電性無機酸化物からなる場合或いは導電性無機酸化物を含む場合には、抵抗値を制御する等の目的で、該導電性無機酸化物の主金属元素と異なるアンチモン、アルミニウムの如き元素を含有させた金属酸化物や、導電性材料を用いることもできる。例えば、アルミニウムを含有する酸化亜鉛、アンチモンを含有する酸化第二スズ微粒子、あるいは酸化チタン、硫酸バリウム或いはホウ酸アルミニウムの表面をアンチモンを含有する酸化スズで処理して得られる微粒子である。導電性無機酸化物にアンチモン、アルミニウムなどの元素を含有させる量としては、0.05〜20質量%とすることが好ましく、より好ましくは0.05〜10質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0179】
また、該無機酸化物を酸素欠損型とした導電性無機酸化物も好ましく用いられる。
【0180】
市販の酸化スズ・アンチモン処理された導電性酸化チタン微粒子としては、例えばEC−300(チタン工業株式会社)、ET−300、HJ−1、HI−2(以上、石原産業株式会社)、W−P(三菱マテリアル株式会社)などが挙げられる。
【0181】
市販のアンチモンドープの導電性酸化スズとしては、例えばT−1(三菱マテリアル株式会社)やSN−100P(石原産業株式会社)などが、また市販の酸化第二スズとしては、SH−S(日本化学産業株式会社)などが挙げられる。
【0182】
特に好ましいものとしては、高い白色度或いは透光性が得られる点で、アルミニウムを含有する酸化亜鉛等の金属酸化物、酸素欠損型の酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタン等の金属酸化物、及びこれらを少なくとも表面に有する微粒子が挙げられる。
【0183】
また、粒径は0.1〜10μmであることが好ましい。導電性微粉末の体積平均粒径が上記範囲よりも小さすぎると、現像性の低下を防ぐために、導電性微粉末の現像剤に対する含有量を小さく設定しなければならない。導電性微粉末の添加量を少なく設定しすぎると、導電性微粉末の有効量を確保できず、帯電工程において、絶縁性の転写残トナー粒子の付着・混入による接触帯電部材への帯電阻害に打ち勝って潜像担持体の帯電を良好に行わせるのに十分な量の導電性微粉末を、帯電部材と潜像担持体との接触部或いはその近傍の帯電領域に介在させることができず、帯電不良を生じ易くなる。この観点から、導電性微粉末の体積平均粒径は0.1μm以上、好ましくは0.15μm以上、更に好ましくは0.2μm以上が良い。
【0184】
また、導電性微粉末の体積平均粒径が上記範囲よりも大きすぎると、帯電部材から脱落した導電性微粉末が、静電潜像を形成する露光光を遮光或いは拡散するため、静電潜像の欠陥を生じて画像品位を低下させる場合があり好ましくない。更に、導電性微粉末の体積平均粒径が上記範囲よりも大きすぎると、単位重量当たりの導電性微粉末の粒子数が減少するため、転写残トナー粒子の回収性向上が十分には得られなくなる。また、導電性微粉末の粒子数が減少するため、帯電部材からの導電性微粉末の脱落等による帯電部材及びその近傍に介在する導電性微粉末の減少、劣化を考慮すると、導電性微粉末を帯電部材と像担持体との接触部或いはその近傍の帯電領域に逐次供給し続け介在させるために、また、接触帯電部材が導電性微粉末を介して像担持体への緻密な接触性を維持し良好な一様帯電性を安定して得るためには、導電性微粉末の現像剤に対する含有量を大きくせざるを得なくなる。しかし、導電性微粉末の含有量を大きくしすぎると、特に高湿環境下での現像剤全体としての帯電能、現像性を低下させ、画像濃度低下やトナー飛散を生ずる。このような観点から、導電性微粉末の体積平均粒径は10μm以下であることがより好ましく、最適には5μm以下であることが良い。
【0185】
上記導電性微粉末の体積平均粒径及び粒度分布の測定法を例示する。コールター社製、LS−230型レーザー回折式粒度分布測定装置にリキッドモジュールを取り付けて0.04〜2000μmの粒径を測定範囲とし、得られる体積基準の粒度分布より導電性微粉末の体積平均粒径を算出する。測定手順としては、純水10ccに微量の界面活性剤を添加し、これに導電性微粉末の試料10mgを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0186】
トナーからの測定においては、純水100gに対して、微量の界面活性剤を添加してトナーを2〜10gを加え、超音波分散機(超音波ホモジナイザー)にて10分間分散した後、遠心分離機等により、トナー粒子と上記導電性微粉末を分離する。磁性トナーの場合は磁石を利用することもできる。分離した分散液を測定時間90秒、測定回数1回で測定する。
【0187】
本発明において、導電性微粉末の粒径及び粒度分布の調整方法としては、導電性微粉末の一次粒子が製造時において所望の粒径及び粒度分布が得られるように製造法、製造条件を設定する方法以外にも、一次粒子の小さな粒子を凝集させる方法、一次粒子の大きな粒子を粉砕する方法或いは分級による方法等が可能であり、更には、所望の粒径及び粒度分布の基材粒子の表面の一部もしくは全部に導電性粒子を付着或いは固定化する方法、所望の粒度及び粒度分布の粒子に導電性成分が分散された形態を有する導電性微粒子を用いる方法等も可能であり、これらの方法を組み合わせて導電性微粉末の粒径及び粒度分布を調整することも可能である。
【0188】
導電性微粉末の粒子が凝集体として構成されている場合の粒径は、その凝集体としての平均粒径として定義される。導電性微粉末は、一次粒子の状態で存在するばかりでなく二次粒子の凝集した状態で存在することも間題はない。どのような凝集状態であれ、凝集体として帯電部材と像担持体との接触部或いはその近傍の帯電領域に介在し、帯電補助或いは促進の機能が実現できればその形態は問わない。
【0189】
本発明の現像剤は、一次粒子の個数平均粒径が4〜80nmの無機微粉末をさらに有する。無機微粉末の一次粒子の個数平均粒径が上記範囲よりも大きすぎる場合、または上記範囲の無機微粉末が添加されていない場合には、転写残トナー粒子が帯電部材へ付着した際に帯電部材に固着し易くなり、潜像担持体の良好な一様帯電性を安定して得ることが困難となる。また、導電性微粉末を現像剤中でトナー粒子に対して均一に分散させることが困難となり、導電性微粉末の潜像担持体上への供給むらを生じやすく、接触帯電部材への供給むらを生じた場合には導電性微粒子の供給が不足した部分に対応した潜像担持体の帯電不良を生じ、画像欠陥となりやすい。また、現像兼クリーニング時において潜像担持体上の導電性微粉末の介在量のむらが生ずる場合には、転写残トナー粒子の回収性が一時的或いは部分的に低下することによる回収不良を生じる。更に、現像剤の良好な流動性が得られず、トナー粒子への摩擦帯電付与が不均一になり易いため、カブリの増大、画像濃度の低下、トナー飛散等の問題が生じやすい。無機微粉末の一次粒子の個数平均粒径が4nmよりも小さい場合には、無機微粉末の凝集性が強まり、一次粒子ではなく解砕処理によっても解れ難い強固な凝集性を持つ粒度分布の広い凝集体として挙動し易くなるため、無機微粉末の凝集体の現像による画像抜け、像担持体、現像剤担持体或いは接触帯電部材等を傷つけるなどによる画像欠陥を生じ易くなる。これらの観点から、無機微粉末の一次粒子の個数平均粒径は6〜50nmであることがより好ましく、8〜35nmであることが更に好ましい。
【0190】
すなわち本発明において、上記一次粒子の平均径を有する無機微粉末は、トナー粒子の表面に付着させることで現像剤の流動性を改良し、トナー粒子の摩擦帯電を均一化するために添加されるのみでなく、導電性微粉末を現像剤中でトナー粒子に対して均一に分散させ、潜像担持体上に均一に導電性微粉末を供給せしめる効果も併せ持つ。
【0191】
本発明において、無機微粉末の一次粒子の個数平均粒径は以下の方法により測定することにより得られる値である。すなわち、走査型電子顕微鏡により拡大撮影した現像剤の写真と、更に走査型電子顕微鏡に付属させたXMA等の元素分析手段によって無機微粉末の含有する元素でマッピングされた現像剤の写真を対照し、トナー表面に付着或いは遊離して存在している無機微粉末の一次粒子を100個以上測定し、個数平均粒径を求めることが出来る。
【0192】
また、本発明において無機微粉末は、一次粒子の個数平均粒径4〜80nmのシリカ、チタニア、アルミナから選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。例えば、シリカ微粉体としてはケイ素ハロゲン化物の蒸気相酸化により生成されたいわゆる乾式法又はヒュームドシリカと称される乾式シリカ、及び水ガラス等から製造されるいわゆる湿式シリカの両者が使用可能であるが、表面及びシリカ微粉体の内部にあるシラノール基が少なく、またNa2O、SO3−等の製造残滓の少ない乾式シリカの方が好ましい。また乾式シリカにおいては、製造工程において例えば、塩化アルミニウム、塩化チタンの如き金属ハロゲン化合物をケイ素ハロゲン化合物と共に用いることによって、シリカと他の金属酸化物の複合微粉体を得ることも可能でありそれらも包含する。
【0193】
また、本発明において無機微粉末は、疎水化処理されていることが好ましい。無機微粉末を疎水化処理することによって、無機微粉末の高湿環境における帯電性の低下を防止し、無機微粉末が表面に付着したトナー粒子の摩擦帯電量の環境安定性を向上させることで、現像剤としての画像濃度、カブリ等の現像特性の環境安定性をより高めることができる。無機微粉末の帯電性、及び無機微粉末が表面に付着したトナー粒子の摩擦帯電量の環境による変動を抑制することで、導電性微粉末のトナー粒子からの遊離し易さが変動することを防止でき、導電性微粉末の像担持体上への供給量を安定化し、像担持体の帯電性及び転写残トナー粒子回収性の環境安定性を高めることができる。
【0194】
疎水化処理の処理剤としては、シリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シラン化合物、シランカッブリング剤、その他有機硅素化合物、有機チタン化合物の如き処理剤を単独で或いは併用して処理しても良い。その中でも、無機微粉末は少なくともシリコーンオイルで処理されていることが特に好ましい。
【0195】
上記シリコーンオイルは、25℃における粘度が10〜200,000mm2/sのものが、さらには3,000〜80,000mm2/sのものが好ましい。シリコーンオイルの粘度が上記範囲よりも小さすぎる場合には、無機微粉末の処理に安定性が無く、処理したシリコーンオイルが熱および機械的な応力により脱離、転移或いは劣化して画質が劣化する傾向がある。また、粘度が上記範囲よりも大きすぎる場合には、無機微粉末の均一な処理が困難になる傾向がある。
【0196】
使用されるシリコーンオイルとしては、例えばジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、α−メチルスチレン変性シリコーンオイル、クロルフェニルシリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイルが特に好ましい。
【0197】
シリコーンオイルの処理の方法としては、例えばシラン化合物で処理された無機微粉末とシリコーンオイルとをヘンシェルミキサー等の混合機を用いて直接混合してもよいし、無機微粉末にシリコーンオイルを噴霧する方法を用いてもよい。あるいは適当な溶剤にシリコーンオイルを溶解あるいは分散せしめた後、シリカ微粉体を加え混合し溶剤を除去する方法でもよい。無機微粉末の凝集体の生成が比較的少ない点から、噴霧機を用いる方法がより好ましい。
【0198】
シリコーンオイルの処理量は無機微粉末100質量部に対し1〜23質量部、好ましくは5〜20質量部が良い。シリコーンオイルの量が上記範囲よりも少なすぎると良好な疎水性が得られず、多すぎるとカブリ発生等の不具合が生ずることがある。
【0199】
また、本発明において無機微粉末は、少なくともシラン化合物で処理すると同時に、またはその後にシリコーンオイルで処理されていることが好ましい。無機微粉末の処理にシラン化合物を用いることが、シリコーンオイルの無機微粉末への付着性を高めて、無機微粉末の疎水性及び帯電性を均一化する上で特に好ましい。
【0200】
無機微粉末の処理条件としては、例えば第一段反応としてシリル化反応を行いシラノール基を化学結合により消失させた後、第二段反応としてシリコーンオイルにより表面に疎水性の薄膜を形成することができる。
【0201】
また、本発明の現像剤は、無機微粉末の含有量が現像剤全体の0.1〜3.0質量%であることが好ましい。無機微粉末の含有量が上記範囲より少なすぎる場合には、無機微粉末を添加することの効果が十分に得られず、また上記範囲より多すぎる場合には、トナー粒子に対して過剰な無機微粉末が導電性微粉末を被覆してしまい、導電性微粉末が抵抗が高い場合と同様な挙動を示すようになり、像担持体上への導電性微粉末の供給性の低下、帯電促進効果の低下、転写残トナー粒子の回収性の低下等の本発明の効果を損なうようになる。無機微粉末の含有量は、現像剤全体の0.3〜2.0質量%であることがより好ましく、さらに好ましくは0.5〜1.5質量%である。
【0202】
本発明で用いられる一次粒子の個数平均径が4〜80nmの無機微粉末は、BET法で測定した窒素吸着による比表面積が20〜250m2/gのものが好ましく、40〜200m2/gのものがより好ましい。比表面積は、BET法に従い、比表面積測定装置オートソーブ1(湯浅アイオニクス社製)を用いて試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて算出することができる。
【0203】
本発明において、トナー粒子は結着樹脂及び着色剤を少なくとも含有する着色樹脂粒子である。トナー粒子の抵抗は1010Ω・cm以上であることが好ましく、1012Ω・cm以上であることがより好ましい。トナー粒子が実質的に絶縁性を示さなければ、現像性と転写性とを両立することが困難である。また、トナー粒子への現像電界による電荷の注入を生じ易く、現像剤の帯電を乱しカブリを生ずる。
【0204】
本発明に使用されるトナー粒子が含有する結着樹脂の種類としては、例えば、スチレン系樹脂、スチレン系共重合樹脂、ポリエステル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、天然変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニール、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロンインデン樹脂、石油系樹脂等が使用できる。
【0205】
スチレン系共重合体のスチレンモノマーに対するコモノマーとしては、例えば、ビニルトルエンの如きスチレン誘導体;例えば、アクリル酸又はアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類;例えば、メタクリル酸又はメタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸オクチルの如きメタクリル酸エステル類;例えば、マレイン酸又はマレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸エステル類;例えば、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ブタジエン又は塩化ビニル、酢酸ビニル、安息香酸ビニルの如きビニルエステル類;例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンの如きエチレン系オレフィン類;例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトンの如きビニルケトン類;例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル類;といったビニル系単量体が単独もしくは2つ以上用いられる。
【0206】
ここで、架橋剤としては、主として2個以上の重合可能な二重結合を有する化合物が用いられ、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレンの如き芳香族ジビニル化合物;例えばエチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレートの如き二重結合を2個有するカルボン酸エステル;ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルスルフィド、ジビニルスルホンの如きジビニル化合物;及び3個以上のビニル基を有する化合物;が単独もしくは混合物として用いられる。
【0207】
結着樹脂のガラス転移点温度(Tg)は、50〜70℃であることが好ましい。ガラス転移点温度が上記範囲よりも低すぎると場合には現像剤の保存性が低下し、高すぎる場合には定着性に劣る。
【0208】
本発明に係る現像剤は、示差熱分析測定装置(DSC)によるDSCチャートの吸熱曲線において、最大吸熱ピークが70℃以上120℃未満の温度領域にあることが好ましい。このような温度領域に最大吸熱ピークを有するためには、トナー粒子中にワックス成分を含有させることが好ましい。
【0209】
本発明に用いられるトナー粒子に含有されるワックスとしては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン、ポリオレフィン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物;または、それらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部または全部を脱酸化したものなどが挙げられる。さらに、パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルカルボン酸類の如き飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、バリナリン酸の如き不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セチルアルコール、メリシルアルコール、あるいは更に長鎖のアルキル基を有する長鎖アルキルアルコール類の如き飽和アルコール類;ソルビトールの如き多価アルコール類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドの如き脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカブリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドの如き飽和脂肪酸ビスアミド類、エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’−ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’−ジオレイルセバシン酸アミドの如き不飽和脂肪酸アミド類;m−キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’−ジステアリルイソフタル酸アミドの如き芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムの如き脂肪酸金属塩(一般に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドの如き脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加などによって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物などが挙げられる。
【0210】
本発明においては、該ワックスを結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.5〜20質量部、より好ましくは0.5〜15質量部の範囲で用いられる。
【0211】
本発明に使用されるトナー粒子が含有する着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6G、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリールメタン系染料、モノァゾ系、ジスアゾ系染顔料といった従来公知の染顔料を単独或いは混合して使用し得る。
【0212】
本発明の現像剤は、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが10〜40Am2/kgである磁性現像剤であることが好ましい。現像剤の磁化の強さは20〜35Am2/kgであることがより好ましい。
【0213】
本発明において磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定する理由は以下の通りである。通常、磁性体の磁気特性を表す量としては磁気飽和における磁化の強さ(飽和磁化)が用いられるが、本発明においては画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場における磁性現像剤の磁化の強さが重要であるためである。画像形成装置に磁性現像剤が適用される場合、磁性現像剤に作用する磁場は、画像形成装置外への磁場の漏洩を大きくしないため或いは磁場発生源のコストを低く抑えるために、市販されている多くの画像形成装置において数十から百数十kA/mであり、画像形成装置内で実際に磁性現像剤に作用する磁場の代表的な値として磁場79.6kA/m(1000エルステッド)を選択し、磁場79.6kA/mにおける磁化の強さを規定した。
【0214】
現像剤の磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも小さすぎる場合には、磁気力により現像剤搬送を行うことが困難となり、現像剤担持体上に均一に現像剤を担持させることができなくなる。また、磁気力により現像剤搬送を行う場合には、一成分系磁性現像剤の穂立ちを均一に形成できないために、導電性微粉末の潜像担持体への供給性が低下し、転写残トナー粒子の回収性も低下する。磁場79.6kA/mにおける磁化の強さが上記範囲よりも大きすぎる場合には、トナー粒子の磁気凝集性が高まり、導電性微粉末の現像剤中での均一な分散及び潜像担持体への供給が困難となり、本発明の効果である像担持体の帯電促進効果又はトナー回収性促進効果が損なわれる。
【0215】
このような磁性現像剤を得る手段としては、トナー粒子に磁性体を含有させる。本発明において現像剤を磁性現像剤とするためトナー粒子に含有させる磁性体としては、マグネタイト、マグヘマイト、フェライトの如き磁性酸化鉄、鉄;コバルト、ニッケルの如き金属或いはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、錫、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムの如き金属の合金及びその混合物が挙げられる。
【0216】
これらの磁性体の磁気特性としては、磁場795.8kA/m下で飽和磁化が10〜200Am2/kg、残留磁化が1〜100Am2/kg、抗磁力が1〜30kA/mであるものが好ましく用いられる。これらの磁性体は結着樹脂100質量部に対し、20〜200質量部で用いられる。このような磁性体の中でもマグネタイトを主とするものが特に好ましい。
【0217】
本発明において磁性現像剤の磁化の強さは、振動型磁カ計VSMP−1−10(東英工業社製)を用いて、25℃の室温にて外部磁場79.6kA/mで測定することができる。また、磁性体の磁気特性は、25℃の室温にて外部磁場796kA/mで測定することができる。
【0218】
また、本発明において現像剤は、目開き149μmの篩を通過し、目開き74μmの篩を通過できない(目開き149μmパス−目開き74μmオン)粒径の球形鉄粉に対する摩擦帯電量が、絶対値で20〜100mC/kgであることが好ましい。現像剤の摩擦帯電量が絶対値で上記範囲よりも小さすぎる場合には、トナー粒子の転写性が低下することで転写残トナー粒子が増大するため、潜像担持体の帯電性が低下し易くなり、転写残トナー粒子の回収の負荷が大きくなり回収不良を生じ易くなる。現像剤の摩擦帯電量が絶対値で上記範囲よりも大きすぎる場合には、現像剤の静電的凝集性が高まり、導電性微粉末の現像剤中での均一な分散及び像担持体への供給が困難となり、本発明の効果である像担持体の帯電促進効果又はトナー回収性促進効果が損なわれる。特に磁性現像剤の場合には、現像剤が磁気凝集性を併せ持つために静電的凝集性をより抑制することが必要であり、磁性現像剤の目開き149μmパス−目開き74μmオンの球形鉄粉に対する摩擦帯電量は絶対値で25〜50mC/kgであることが好ましい。
【0219】
本発明における現像剤の摩擦帯電量の測定法を図面を用いて詳述する。図4は現像剤の摩擦帯電量を測定する装置の説明図である。23℃,相対湿度60%の環境下、先ず摩擦帯電量を測定しようとする現像剤と目開き149μmパス−目開き74μmオンの粒径の球形の鉄粉キャリア(例えば、同和鉄粉社製球形鉄粉DSP138を使用することが可能である)の質量比5:95(例えば、現像剤0.5gに鉄粉キャリア9.5g)の混合物を50〜100mlの容量のポリエチレン製の瓶に入れ100回振とうする。次いで、底に目開き31μmのスクリーン23を備える金属製の測定容器22に前記混合物約0.5gを入れ、金属製のフタ24をする。この時の測定容器22全体の重量を秤り、これをW1(g)とする。次に、吸引機21(少なくとも測定容器22と接する部分は絶縁体)において、吸引口27から吸引し、風量調節弁26を調整することにより真空計25の圧力を2450Paとする。この状態で充分(約1分間)吸引を行いトナーを吸引除去する。この時の電位計29の電位をV(ボルト)とする。ここで28はコンデンサーであり容量をC(μF)とする。また、吸引後の測定容器全体の重量を秤りW2(g)とする。この現像剤の摩擦帯電量は下式の如く計算される。
【0220】
現像剤の摩擦帯電量(mC/kg)=C×V/(W1−W2)
本発明において現像剤は、荷電制御剤を含有することが好ましい。荷電制御剤のうち、現像剤を正荷電性に制御するものとして、例えば下記の物質がある。
【0221】
ニグロシン及び脂肪酸金属塩等による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩等のオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、りんタングステン酸、りんモリブデン酸、りんタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など)、高級脂肪酸の金属塩;ジブチルスズオキサイド、ジオクチルスズオキサイド、ジシクロヘキシルスズオキサイドの如きジオルガノスズオキサイド;ジブチルスズボレート、ジオクチルスズボレート、ジシクロヘキシルスズボレートの如きジオルガノスズボレート類;グアニジン化合物、イミダゾール化合物。これらを単独で或いは2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、トリフェニルメタン化合物、カウンターイオンがハロゲンでない四級アンモニウム塩が好ましく用いられる。また一般式(4)で表されるモノマーの単重合体:前述したスチレン、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの如き重合性モノマーとの共重合体を正荷電性制御剤として用いることができる。この場合これらの荷電制御剤は、結着樹脂(の全部または一部)としての作用をも有する。
【0222】
【化7】
[但し、R1、R2、R3は水素原子あるいは炭素数1〜4の飽和炭化水素基を示す。]
本発明の構成においては、正荷電制御剤としては、特に下記一般式(5)で表される化合物が好ましい。
【0223】
【化8】
〔式中、R1,R2,R3,R4,R5,R6は、各々互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、置換もしくは未置換のアルキル基または、置換もしくは未置換のアリール基を表す。R7,R8,R9は、各々互いに同一でも異なっていてもよく、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基を表す。A−は、硫酸イオン、硝酸イオン、ほう酸イオン、りん酸イオン、水酸イオン、有機硫酸イオン、有機スルホン酸イオン、有機りん酸イオン、カルボン酸イオン、有機ほう酸イオン、テトラフルオロボレートの如き陰イオンを示す。〕
また、現像剤を負荷電性に制御するものとして次の物質が挙げられる。例えば、有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸系の金属錯体がある。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノール等のフェノール誘導体類がある。
【0224】
また、次に示した一般式(6)で表されるアゾ系金属錯体が好ましい。
【0225】
【化9】
〔式中、Mは配位中心金属を表わし、Sc、Ti、V、Cr、Co、Ni、Mn、Feが挙げられる。Arはアリール基であり、フェニル基、ナフチル基が挙げられ、置換基を有していてもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基ハロゲン基、カルポキシル基、アニリド基および炭素数1〜18のアルキル基、アルコキシ基が挙げられる。X、X′、Y、Y′は−O−、−CO−、−NH−又は−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。Kは水素、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、脂肪族アンモニウムを示す。〕
特に中心金属としてはFe、Crが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。
【0226】
あるいは、次の一般式(7)に示した塩基性有機酸金属錯体も負帯電性を与えるものであり、本発明に使用できる。
【0227】
【化10】
【0228】
一般式(7)において、特に中心金属としてはFe、Al、Zn、Zr、Crが好ましく、置換基としてはハロゲン、アルキル基、アニリド基が好ましく、カウンターイオンとしては水素、アルカリ金属、アンモニウム、脂肪族アンモニウムが好ましい。またカウンターイオンの異なる錯塩の混合物も好ましく用いられる。
【0229】
荷電制御剤を現像剤に含有させる方法としては、トナー粒子内部に添加する方法と外添する方法とがある。これらの荷電制御剤の使用量としては、結着樹脂の種類、他の添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部、より好ましくは0.1〜5質量部の範囲で用いられる。
【0230】
本発明に係るトナー粒子を製造するにあたっては、上述したような構成材料をボールミルその他の混合機により十分混合した後、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダー等の熱混練機を用いて良く混練し、冷却固化後、粉砕、分級、必要に応じてトナー形状調整等の表面処理を行ってトナー粒子を得る方法がい。
【0231】
トナー粒子の形状調整のための処理としては、粉砕法により得られたトナー粒子を水中或いは有機溶液中に分散させ加熱或いは膨潤させる方法、熱気流中を通過させる熱処理法、機械的エネルギーを付与して処理する機械的衝撃法などが挙げられる。機械的衝撃力を加える手段としては、例えばホソカワミクロン社製のメカノフージョンシステムや奈良機械製作所製のハイブリダイゼーションシステム等の装置のように、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、圧縮力又は/及び摩擦力等の力によりトナー粒子に機械的衝撃力を加える方法が挙げられる。
【0232】
本発明においては、機械的衝撃を加える処理を行う場合には、処理時の雰囲気温度をトナー粒子のガラス転移点Tg付近の温度(Tg±30℃)とすることが、凝集防止、生産性の観点から好ましい。さらに好ましくは、処理時の雰囲気温度がトナーのガラス転移点Tg±20℃の範囲の温度で、熱機械的衝撃によるトナー粒子の球形化処理を行うことが、導電性微粉末を有効に働かせるのに特に有効である。
【0233】
熱機械的衝撃力を繰り返し与えることによりトナー粒子の球形化処理を行う方法の一例を図6及び図7を参照しながら具体的に説明する。
【0234】
図6は後述のトナー粒子の製造例2〜4で用いたトナー粒子球形化処理装置の構造を示す模式的概略構成図であり、図7は、図6の処理部1の構造を示す模式的部分的断面図である。
【0235】
このトナー粒子球形化処理装置は、高速回転する羽根によりトナー粒子をケーシングの内側に遠心力により押しつけ、少なくとも圧縮力及び摩擦力による熱機械的衝撃力を繰り返し与えることによりトナー粒子を球形化処理するものである。図7に示すように、処理部Iには鉛直方向に4枚の回転ロータ72a、72b、72cおよび72dが設置されている。これら回転ロータ72a〜72dは、最外縁部の周速が例えば100m/秒となるように、電動モータ84により回転駆動軸73を回転させることによって回転される。この時の回転ロータ72a〜72dの回転数は、例えば、130s−1である。さらに、吸引ブロア85(図6参照)を稼働させて、各回転ロータ72a〜72dと一体に設けられたブレード79a〜79dの回転によって発生する気流量と同等、またはそれよりも多い風量を吸引する。フィーダ86からトナー粒子が空気とともにホッパー82に吸引導入され、導入されたトナー粒子は、粉体供給管81及び粉体供給口80を通って第1の円筒状処理室89aの中央部に導入される。このトナー粒子は、第1の円筒状処理室89aでブレード79aと側壁77により球形化処理を受け、次いで、球形化処理を受けたトナー粒子はガイド板78aの中央部に設けられた第1の粉体排出口90aを通って、第2の円筒状処理室89bの中央部に導入され、さらにブレード79bと側壁77により球形化処理を受ける。
【0236】
第2の円筒状処理室89bで球形化処理されたトナー粒子は、ガイド板78bの中央部に設けられた第2の粉体排出口90bを通って第3の円筒状処理室89cの中央部に導入され、さらにブレード79cと側壁77により球形化処理を受け、さらに、ガイド板78cの中央部に設けられた第3の粉体排出口90cを通って第4の円筒状処理室89dの中央部にトナー粒子は導入され、ブレード79dと側壁77により球形化処理を受け、さらに、ガイド板78dの中央部に設けられた第3の粉体排出口90dを通って、搬出管93より搬出される。トナー粒子を搬送している空気は、第1〜第4の円筒状処理室89a〜89dを経由し、搬出管93、サイクロン91、バグフィルター92、及び吸引ブロア85を通って装置システムの系外に排出される。
【0237】
各円筒状処理室89a〜89d内に導入されたトナー粒子は、各ブレード79a〜79dによって瞬聞的に機械的打撃作用を受け、さらに、側壁77に衝突して機械的衝撃力を受ける。回転ロータ72a〜72dにそれぞれ設置されている所定の大きさのブレード79a〜79dの回転により、回転ロータ面の上方空間に、中央部から外周へ、外周から中央部へ循環する対流が発生する。トナー粒子は円筒状処理室89a〜89d内に滞留し、球形化処理を受ける。この機械的衝撃力により発生する熱により、トナー粒子表面がトナー粒子を構成する結着樹脂のガラス転移温度付近にまで温度上昇する場合には、熱機械的衝撃力によるトナー粒子の球形化がなされる。各円筒状処理室89a〜89dを経由することにより、連続的に効率良くトナー粒子は球形化される。
【0238】
トナー粒子の球形化の度合いは、トナー粒子の球形化処理部での滞留時間及び温度等によって調整することが可能であり、具体的には、回転ロータの回転速度、回転数、ブレードの高さ、幅及び枚数、ブレード外周と側壁とのクリアランス、吸引ブロアの吸引風量、また、球形化処理部に導入される際のトナー粒子温度及びトナー粒子を搬送する空気温度等によって調整される。
【0239】
また、バッチ式の装置として、奈良機械(株)製として商品化されているハイブリタイゼーションシステムを用いるのも好ましい例の一つである。
【0240】
粉砕法により得られるトナー粒子の形状を制御するには、結着樹脂等のトナー粒子構成材料の選択及び粉砕時の条件を適宜設定することで可能であるが、気流式粉砕機でトナー粒子の円形度を高めようとすると生産性が低下し易く、機械式粉砕機を用いてトナー粒子の円形度を高める条件を設定することが好ましい。
【0241】
本発明においては、トナー粒子の粒度分布の変動係数を低く抑えるためには、分級工程において多分割分級機を用いることが生産性の点で好ましい。また、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲のトナー粒子の超微粒子を少なくするためには、粉砕工程において機械式粉砕機を用いることが好ましい。
【0242】
上記のようにして得られたトナー粒子に外部添加剤を加え混合機により混合し、さらに必要に応じ篩を通過させることで、本発明に係る現像剤を製造することができる。
【0243】
粉砕法によってトナー粒子を製造する場合に用いられる製造装置としては、例えば混合機としては、ヘンシェルミキサー(三井鉱山社製);スーパーミキサー(カワタ社製);リボコーン(大川原製作所社製);ナウターミキサー、タービュライザー、サイクロミックス(ホソカワミクロン社製);スパイラルピンミキサー(太平洋機工社製);レーディゲミキサー(マツボー社製)が挙げられ、混練機としては、KRCニーダー(栗本鉄工所社製);ブス・コ・ニーダー(Buss社製);TEM型押し出し機(東芝機械社製);TEX二軸混練機(日本製鋼所社製);PCM混練機(池貝鉄工所社製);三本ロールミル、ミキシングロールミル、ニーダー(井上製作所社製);ニーデックス(三井鉱山社製);MS式加圧ニーダー、ニダールーダー(森山製作所社製);バンバリーミキサー(神戸製鋼所社製)が挙げられ、粉砕機としては、カウンタージェットミル、ミクロンジェット、イノマイザ(ホソカワミクロン社製);lDS型ミル、PJMジェット粉砕機(日本ニューマチック工業社製);クロスジェットミル(栗本鉄工所社製);ウルマックス(8曹エンジニアリング社製);SKジェット・オー・ミル(セイシン企業社製);クリプトロン(川崎重工業社製);ターボミル(ターボ工業社製)が挙げられ、この中でもクリプトロン、ターボミル等の機械式粉砕機を用いることがより好ましい。分級機としては、クラッシール、マイクロンクラッシファイアー、スペディッククラシファイアー(セイシン企業社製);ターボクラッシファイアー(日清エンジニアリング社製);ミクロンセパレータ、ターボプレックス(ATP)、TSPセパレータ(ホソカワミクロン社製);エルボージェット(日鉄鉱業社製)、ディスパージョンセパレータ(日本ニューマチック工業社製);YMマイクロカット(安川商事社製)が挙げられ、この中でもエルボージェット等の多分割分級機を用いることがより好ましい。粗粒などをふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製);円形振動篩い等が挙げられる。
【0244】
本発明で用いられる各種特性付与を目的とした現像剤への添加剤としては、例えば、以下のようなものが用いられる。
【0245】
(1)研磨剤としては、チタン酸ストロンチウム、酸化セリウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化クロムの如き金属酸化物;窒化ケイ素の如き窒化物;炭化ケイ素の如き炭化物;硫酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸カルシウムの如き金属塩が挙げられる。
【0246】
(2)滑剤としては、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンの如きフッ素系樹脂粉末;シリコーン系樹脂粉末;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウムの如き脂肪酸金属塩が挙げられる。
【0247】
これら添加剤は、トナー粒子100質量部に対し、0.05〜10質量部が用いられ、好ましくは0.1〜5質量部が用いられる。これら添加剤は、単独で用いても、また、複数併用しても良い。
【0248】
<現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法>
次に、本発明の現像剤を好適に用いることができる本発明の現像装置及び画像形成方法について説明する。また、本発明のプロセスカートリッジについても説明する。
【0249】
本発明の現像装置は、(I)現像剤を収容するための現像容器、(II)該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び(III)現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有するものである。
【0250】
本発明の画像形成方法は、(I)潜像担持体を帯電する帯電工程、(II)帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に静電潜像として画像情報を書き込む潜像形成工程、(III)前記静電潜像を、現像剤を担持しながら前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程、(IV)現像工程において形成された現像剤画像を転写材に転写する転写工程、及び(V)前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程を有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う方法である。
【0251】
そして、本発明の画像形成方法の第1態様は、上記帯電工程が、潜像担持体に帯電手段を接触させて帯電を行う工程であり、帯電手段と潜像担持体との当接部に、上記現像剤が有する導電性粒子が介在した状態で電圧を印加することにより像担持体を帯電する、接触帯電方法を用いたものである。
【0252】
また、本発明の画像形成方法の第2の態様は、上記現像工程が、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収する工程である。
【0253】
すなわち、この第2態様の画像形成方法は、現像工程がトナー画像を転写材に転写した後に像担持体上に残留した現像剤を回収する工程を兼ねる、いわゆる現像兼クリーニング法を用いたものである。
【0254】
本発明のプロセスカートリッジは、静電潜像を担持するための潜像担持体と、前記潜像担持体を帯電するための帯電手段と、前記像担持体に形成された静電潜像を、本発明の現像剤を用いて現像することにより現像剤像を形成する現像手段とを少なくとも有し、前記現像装置及び前記潜像担持体は一体化され、画像形成装置本体に対して着脱可能に装着される構成を有する。
【0255】
本発明のプロセスカートリッジの第1の態様は、前記帯電手段が、潜像担持体に接触しており、当接部において、上記現像剤が有する導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することにより潜像担持体を帯電する、接触帯電方法を用いたものである。
【0256】
本発明のプロセスカートリッジの第2の態様は、前記現像装置が、前記潜像担持体に形成された静電潜像を、現像剤を用いて現像を行うことにより現像剤像として可視化するとともに、該現像剤像が転写材に転写された後に前記潜像担持体上に残留した現像剤の回収を行う。
【0257】
本発明の前記現像手段は、前記潜像担持体に対向して配置される現像剤担持体とこの現像剤担持体上に薄層の現像剤層を形成する現像剤層規制部材とを少なくとも有し、前記現像剤担持体上の現像剤層から前記潜像担持体へ前記現像剤を転移させることにより前記トナー画像を形成する手段であることが好ましい。
【0258】
前記現像手段は、前記潜像担持体に対向して配置される現像剤担持体とこの現像剤担持体上に薄層の現像剤層を形成する現像剤層規制部材とを少なくとも有することが好ましい。
【0259】
以下、本発明の現像装置、プロセスカートリッジ及び画像形成方法について詳細に説明する。
【0260】
まず、本発明の画像形成方法における帯電工程は、帯電手段としてのコロナ帯電器等の非接触型の帯電装置、または被帯電体である像担持体に、ローラ型(帯電ローラ)、ファーブラシ型、磁気ブラシ型、ブレード型等の導電性の帯電部材(接触帯電部材・接触帯電器)を接触させ、この帯電部材(以下「接触帯電部材」と表記する)に所定の帯電バイアスを印加して、被帯電体面を所定の極性および電位に帯電させる接触帯電装置によって行われる。本発明においては、コロナ帯電器等の非接触型の帯電装置と比較して低オゾン、低電カ等の利点がある接触帯電装置を用いることが好ましい。
【0261】
また、潜像担持体上の転写残トナー粒子は、形成する画像のパターンに対応するものと、画像の形成されていない部分のいわゆるカブリトナーに起因するものが考えられる。形成する画像のパターンに対応する転写残トナー粒子は、現像兼クリーニングでの完全な回収が困難であり、回収が不十分であると回収不良のトナー粒子がそのまま次に形成される画像に現れてパターンゴーストを生ずる。このような画像のパターンに対応する転写残トナー粒子は、転写残トナー粒子のパターンを均すことによって現像兼クリーニングでの回収性を大幅に向上させることができる。例えば、現像工程が接触現像プロセスであれば、現像剤を担持する現像剤担持体の移動速度と、現像剤担持体に接触している潜像担持体の移動速度に相対的速度差を持たせることで、転写残トナー粒子のパターンを均すと同時に転写残トナー粒子を効率良く回収することができる。しかしながら、画像形成中の電源の瞬断または紙詰まり時のように多量の転写残トナー粒子が像担持体上に残る場合には、転写残トナー粒子が像担持体上に残ったパターンで画像露光等の潜像形成を阻害するためのパターンゴーストを生ずる。これに対し、接触帯電装置を用いた場合は、接触帯電部材によって転写残トナー粒子のパターンを均すことで、現像工程が非接触現像プロセスであっても転写残トナー粒子を効率良く回収することができ、回収不良によるパターンゴーストの発生を防止することができる。また、多量の転写残トナー粒子が潜像担持体上に残る場合にも、接触帯電部材が一旦転写残トナー粒子を堰き止め、転写残トナー粒子のパターンを均して徐々に転写残トナー粒子を像担持体上に吐き出すことにより、潜像形成阻害によるパターンゴーストを防止することができる。多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に堰き止められる場合の接触帯電部材の汚染による潜像担持体の帯電性の低下に関しては、本発明の特定の現像剤を用いることで潜像担持体の一様帯電性の低下を実用上問題ない範囲にまで低減することができる。この点からも、本発明においては接触帯電装置を用いることが好ましい。
【0262】
本発明においては、帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に、相対的速度差を設けることが好ましい。帯電部材の表面における移動速度と像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設けると、接触帯電部材と潜像担持体との間での大幅なトルクの増大、接触帯電部材及び潜像担持体表面の顕著な削れ等を生じるが、接触帯電部材と潜像担持体との接触部に現像剤が有する成分を介在させることにより、潤滑効果(摩擦低減効果)が得られ、大幅なトルクの増大や顕著な削れを伴うことなく速度差を設けることが可能となる。
【0263】
また、潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に介在する現像剤の有する成分が、少なくとも上述の導電性微粉末を含有することが好ましい。更には、この接触部に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粉末の含有比率が、上記本発明の現像剤に含有される導電性微粉末(本発明の画像形成に供される前の現像剤中の導電性微粉末)の含有比率よりも高いことがより好ましい。上記接触部に介在する現像剤の有する成分が、少なくとも導電性微粉末を含有することで、潜像担持体と接触帯電部材との間の導通路が確保され、接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着或いは混入による潜像担持体の一様帯電性の低下を抑制することができる。また、上記接触部に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粉末の含有比率が、上記本発明の現像剤に含有される導電性微粉末の含有比率よりも高いことにより、接触帯電部材への転写残トナー粒子の付着或いは混入による潜像担持体の一様帯電性の低下をより安定して抑制することができる。更に、本発明の現像剤を用いることで、帯電部において接触帯電部材と潜像担持体との相対移動速度を比較的大きく持たせた場合でも、優れた潤滑性を発揮する1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を多く含む導電性微粉末が帯電部に供給されることで、接触帯電部材及び潜像担持体の削れ・傷を抑制することができる。
【0264】
接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、直流電圧のみであっても潜像担持体の良好な帯電性を得ることが可能であるが、直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳したものであってもよい。このような交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、交番電圧は、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波の電圧であっても良い。このように、交番電圧としては、周期的にその電圧値が変化するような波形を有するバイアスが使用できる。
【0265】
本発明において、接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、放電生成物を生じない範囲で印加することが好ましい。すなわち、接触帯電部材と被帯電体(潜像担持体)との間の放電開始電圧よりも低いことが好ましい。また、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法であることが好ましい。
【0266】
現像兼クリーニング方法では、潜像担持体上に残余する絶縁性の転写残トナー粒子が接触帯電部材に接触し、付着或いは混入することで潜像担持体の帯電性が低下するが、放電帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材表面に付着したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗となるあたりから、潜像担持体の帯電性の低下が急激に起こる。これに対し、直接注入帯電機構が支配的である帯電方法の場合には、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナー粒子が接触帯電部材表面と被帯電体との接触確率を低下させることにより被帯電体(潜像担持体)の一様帯電性が低下し、これが静電潜像のコントラスト及び均一性の低下となり、画像濃度を低下させる或いはカブリを増大させる。放電帯電機構および直接注入帯電機構の帯電性低下のメカニズムに基づくと、少なくとも潜像担持体と像担持体に接触する帯電部材との接触部に導電性微粉末を介在させることによる潜像担持体の帯電性低下の防止効果及び帯電促進効果は、直接注入帯電機構においてより顕著であり、直接注入帯電機構に本発明の現像剤を適用することが好ましい。すなわち、放電帯電機構において潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に少なくとも導電性微粉末を介在させることによって、転写残トナー粒子が接触帯電部材に付着或いは混入して形成するトナー層が帯電部材から潜像担持体への放電電圧を阻害する抵抗とならないようにするためには、潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部およびその近傍の帯電領域に介在する現像剤成分全体に対する導電性微粉末の含有比率をより大きくしなければならない。従って、多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に付着或いは混入する場合には、接触帯電部材に付着或いは混入したトナー層が放電電圧を阻害する抵抗とならないように付着或いは混入する転写残トナー粒子量を制限するために、潜像担持体上により多くの転写残トナー粒子を吐き出さねばならず、潜像形成を阻害し易くなるのである。これに対し、直接注入帯電機構においては、少なくとも潜像担持体と潜像担持体に接触する帯電部材との接触部に導電性微粉末を介在させることによって、容易に導電性微粉末を介して接触帯電部材と被帯電体との接触点を確保でき、接触帯電部材に付着或いは混入した転写残トナー粒子が接触帯電部材と被帯電体との接触確率を低下させることを防止し、潜像担持体の帯電性の低下を抑制することができる。
【0267】
特に、接触帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設ける場合、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する現像剤成分全体の量が接触帯電部材と潜像担持体との摺擦によって制限されることで潜像担持体の帯電阻害をより確実に抑制し、かつ接触帯電部材と潜像担持体の接触部において導電性微粉末が潜像担持体に接触する機会を格段に増加することで、接触帯電部材と潜像担持体のより高い接触性を得ることができ、導電性微粉末を介しての潜像担持体への直接注入帯電をより促進することができる。これに対して、放電帯電は潜像担持体と接触帯電部材との接触部ではなく、潜像担持体と接触帯電部材とが非接触で微小間隙を有する領域で放電が行われるため、接触部に介在する現像剤成分全体の量が制限されることによる帯電阻害を抑制する効果が期待できない。
【0268】
この観点からも、本発明においては直接注入帯電機構が支配的である帯電方法を用いることが好ましく、放電帯電機構に頼らない直接注入帯電機構が支配的である。
【0269】
帯電方法を実現するために、接触帯電部材に対する印加帯電バイアスは、接触帯電部材と被帯電体(潜像担持体)との間の放電開始電圧よりも低いことが好ましい。
【0270】
接触帯電部材の表面における移動速度と潜像担持体の表面における移動速度との間に相対的速度差を設ける構成としては、接触帯電部材を回転駆動することによって速度差を設けることが好ましい。
【0271】
また、帯電部材の表面における移動方向と潜像担持体の表面における移動方向とは、互いに逆方向であることが好ましい。すなわち、帯電部材と潜像担持体は互いに逆方向に移動することが好ましい。接触帯電部材に持ち運ばれる潜像担持体上の転写残トナー粒子を接触帯電部材に一時的に回収し均す効果を高めるために、接触帯電部材と潜像担持体は互いに逆方向に移動させることが好ましい。例えば、接触帯電部材を回転駆動し、さらに、その回転方向は潜像担持体表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することが望ましい。すなわち、逆方向回転で像担持体上の転写残トナー粒子を一旦、潜像担持体から引き離し帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うこと、及び潜像形成の阻害を抑制することが可能である。更には、転写残トナー粒子のパターンを均す効果を高めることで、転写残トナー粒子の回収性を高め、回収不良によるパターンゴーストの発生をより確実に防止することが可能となる。
【0272】
帯電部材を潜像担持体表面の移動方向と同じ方向に移動させて相対的速度差をもたせることも可能である。しかし、直接注入帯電の帯電性は潜像担持体の移動速度と潜像担持体の移動遠度に対する帯電部材の相対移動速度との比に依存するため、逆方向と同じ相対移動速度比を得るには、順方向では帯電部材の移動速度が逆方向の時に比べて大きくなるので、帯電部材を逆方向に移動させる方が移動速度の点で有利である。また、転写残トナー粒子のパターンを均す効果においても、帯電部材を潜像担持体表面の移動方向と逆方向に移動させる方が有利である。
【0273】
本発明においては、潜像担持体の移動速度と帯電部材の移動速度の比(相対移動速度比)は、10〜500%であることが好ましく、20〜400%であることがより好ましい。相対移動速度比が、上記範囲よりも小さすぎる場合には、接触帯電部材と潜像担持体との接触確率を増加させることが十分にはできず、直接注入帯電による潜像担持体の帯電性を維持することが難しい場合がある。更に、上述の潜像担持体と接触帯電部材との接触部に介在する導電性微粉末の量を接触帯電部材と潜像担持体との摺擦によって制限することにより潜像担持体の帯電阻害を抑制する効果、及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像兼クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が十分には得られない場合もある。相対移動速度比が、上記範囲よりも大きすぎる場合には、帯電部材の移動速度を高めることとなるために、潜像担持体と接触帯電部材との接触部に持ち連ばれた現像剤成分が飛散することによる装置内の汚染を生じ易く、潜像担持体及び接触帯電部材が摩耗し易くなるあるいは傷の発生を生じ易くなり短寿命化する傾向がある。
【0274】
また、帯電部材の移動速度が0である場合(帯電部材が静止している状態)は、帯電部材の潜像担持体との接触点が定点となるため、帯電部材の像担持体への接触部の摩耗または劣化を生じ易く、像担持体の帯電阻害を抑制する効果及び転写残トナー粒子のパターンを均し現像兼クリーニングでの現像剤の回収性を高める効果が低下しやすく好ましくない。
【0275】
ここで記述した相対的速度差を示す相対移動速度比は次式で表すことができる。なお、ここで帯電部材の移動速度をVc、像担持体の移動速度をVpとし、帯電部材の移動速度は接触部において帯電部材表面が潜像担持体表面と同じ方向に移動するときを潜像担持体の移動速度と同符号の値としている。
【0276】
相対移動速度比(%)=|[(Vc−Vp)/Vp]×100|
本発明においては、潜像担持体上の転写残トナー粒子を一時的に帯電部材に回収するとともに、導電性微粉末を帯電部材に担持し、潜像担持体と帯電部材との接触部を設けて直接注入帯電を優位に実行するために、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。また、接触帯電部材によって転写残トナー粒子のパターンを均すことで転写残トナー粒子の回収性を高める上でも、接触帯電部材が弾性を有することが好ましい。
【0277】
また、本発明においては、帯電部材に電圧を印加することにより潜像担持体を帯電するために、帯電部材は導電性であることが好ましい。従って、帯電部材は弾性導電ローラ、磁性粒子を磁気拘束させた磁気ブラシ部を有し該磁気ブラシ部を被帯電体に接触させた磁気ブラシ接触帯電部材、または導電性繊維からなるブラシであることが好ましい。帯電部材の構成が簡易化できる点で、帯電部材は弾性導電ローラ或いは導電性を有するブラシローラであることがより好ましく、帯電部材に付着或いは混入する現像剤成分(例えば、転写残トナー粒子や導電性微粉末)を飛散することなく安定して保持しやすい点で、帯電部材は弾性導電ローラであることが特に好ましい。
【0278】
ローラ部材としての弾性導電ローラの硬度は、硬度が低すぎると形状が安定しないために被帯電体との接触性が悪くなり、更に、帯電部材と潜像担持体との接触部に介在する導電性微粉末が弾性導電ローラ表層を削る或いは傷つけてしまうため、潜像担持体の安定した帯電性が得られない。また、硬度が高すぎると被帯電体との間に帯電接触部を確保できないだけでなく、被帯電体(潜像担持体)表面へのミクロな接触性が悪くなるので、潜像担持体の安定した帯電性が得られない。更には、転写残トナー粒子のパターンを均す効果が低下して転写残トナー粒子の回収性を高めることができなくなる。そこで、帯電接触部及び均し効果が十分得られるように、潜像担持体への弾性導電口ーラの接触圧を高めると、接触帯電部材或いは潜像担持体の削れ、傷等が発生し易くなる。これらの観点よりローラ部材としての弾性導電ローラのアスカーC硬度は20〜50の範囲であることが好ましく、25〜50の範囲であることがより好ましく、25〜40の範囲であることがさらに好ましい。ここで、アスカーC硬度は、JlSK6301で規定されるスプリング式硬度計アスカーC(高分子計器株式会社製)を用いて測定される硬度である。本発明においては、荷重を9.8Nとし、ローラの形態において測定を行う。
【0279】
本発明においては、接触帯電部材としてのローラ部材表面は、導電性微粒子を安定して保持させるために微少なセルまたは凹凸を有していることが好ましい。
【0280】
また、導電性弾性ローラは弾性を持たせて潜像担持体との十分な接触状態を得ると同時に、移動する潜像担持体を帯電するのに十分低い抵抗を有する電極として機能することが重要である。一方では、潜像担持体にピンホールなどの欠陥部位が存在した場合に、電圧のリークを防止する必要がある。被帯電体として電子写真用感光体等の潜像担持体を用いた場合、十分な帯電性と耐リークを得るには、導電性弾性ローラの抵抗は、103〜108Ω・cmであることが好ましく、104〜107Ω・cmであることがより好ましい。導電性弾性ローラの抵抗は、ローラに49N/mの当接圧があかるよう直径30mmの円筒状アルミドラムにローラを圧着した状態で、芯金とアルミドラムとの間に100Vを印加し、計測することができる。
【0281】
例えば、導電性弾性ローラは芯金上に可撓性部材としてのゴムあるいは発泡体の中抵抗層を形成することにより作製される。中抵抗層は樹脂(例えばウレタン)、導電性粒子(例えばカーボンブラック)、硫化剤、発泡剤等により処方され、芯金の上にローラ状に形成され、その後必要に応じて切削、表面を研磨して形状を整え導電性弾性ローラを作製することができる。
【0282】
導電性弾性ローラの材質としては、弾性発泡体に限定するものでは無く、弾性体の材料として、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)、ウレタン、ブタジエンアクリロニトリルゴム(NBR)、シリコーンゴムやイソプレンゴムの如きゴム材が挙げられ、抵抗調整のためにカーボンブラックや金属酸化物等の導電性物質を分散させることもでき、また、これらを発泡させたものが挙げられる。また、導電性物質を分散せずに、或いは導電性物質と併用してイオン導電性の材料を用いて抵抗調整をすることも可能である。
【0283】
導電性弾性ローラは被帯電体である潜像担持体に対して、弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設され、導電性弾性ローラと潜像担持体との接触部である帯電接触部が形成される。この帯電接触部の幅は特に制限されるものではないが、導電性弾性ローラと潜像担持体とが安定して密な密着性を得るために1mm以上、より好ましくは2mm以上であることが好ましい。
【0284】
また、本発明の帯電工程に用いられる帯電部材は、導電性繊維からなるブラシ(ブラシ部材)に電圧を印加することにより像担持体を帯電するものであっても良い。このような接触帯電部材としての帯電ブラシは、一般に用いられている繊維に導電材を分散させて抵抗調整されたものを用いることができる。繊維としては、一般に知られている繊維が使用可能であり、例えばナイロン、アクリル、レーヨン、ポリカーボネート、ポリエステルが挙げられる。導電材としては、一般に知られているものが使用可能であり、例えば、ニッケル、鉄、アルミニウム、金、銀の如き導電性金属、或いは酸化鉄、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化チタンの如き導電性の金属酸化物、更にはカーボンブラックの如き導電粉が挙げられる。なおこれら導電材は必要に応じ疎水化、抵抗調整の目的で表面処理が施されていてもよい。なお、使用に際しては、繊維との分散性や生産性を考慮して上記導電材を適宜選択して用いる。
【0285】
接触帯電部材としての帯電ブラシには、固定型と回動可能なロール状のものがある。ロール状の帯電ブラシとしては、例えば導電性繊維をパイル地にしたテープを金属製の芯金にスパイラル状に巻き付けてロールブラシとしたものがある。導電性繊維は、繊維の太さが1〜20デニール(繊維径10〜500μm程度)、ブラシの繊維の長さは1〜15mm、ブラシ密度は1平方インチ当たり1万〜30万本(1平方メートル当たり1.5×107〜4.5×108本)のものが好ましく用いられる。
【0286】
帯電ブラシは、極力ブラシ密度の高い物を使用することが好ましく、1本の繊維を数本〜数百本の微細な繊維から作ることも好ましい。例えば、300デニール/50フィラメントのように300デニールの微細な繊維を50本束ねて1本の繊維として植毛することも可能である。しかしながら、本発明においては、直接注入帯電の帯電ポイントを決定しているのは、主には帯電部材と潜像担持体との帯電接触部及びその近傍の導電性微粉末の介在密度に依存しているため、帯電部材の選択の範囲は広められている。
【0287】
帯電ブラシの抵抗値は、弾性導電性ローラの場合と同様に、像担持体の十分な帯電性と耐リークを得るためには103〜108Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは104〜107Ω・cmである。
【0288】
帯電ブラシの材質としては、ユニチカ(株)製の導電性レーヨン繊維REC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10、さらに東レ(株)製のSA−7、日本蚕毛(株)製のサンダーロン、カネボウ製のベルトロン、クラレ(株)製のクラカーボ、レーヨンにカーボンを分散したもの、三菱レーヨン(株)製のローバル等があるが、環境安定性の点でREC−B、REC−C、REC−M1、REC−M10を用いることが特に好ましい。
【0289】
また、接触帯電部材が可撓性を有していることが、接触帯電部材と潜像担持体の接触部において導電性微粉末が潜像担持体に接触する機会を増加させ、高い接触性を得ることができ、直接注入帯電性を向上させる点で好ましい。つまり、接触帯電部材が導電性微粉末を介して密に潜像担持体に接触して、接触帯電部材と潜像担持体の接触部に存在する導電性微粉末が潜像担持体表面を隙間なく摺擦することで、接触帯電部材による潜像担持体の帯電は、放電現象を用いない、導電性微粉末を介した安定かつ安全な直接注入帯電が支配的となる。従って、導電性微粉末を介しての直接注入帯電を適用することにより、従来の放電帯電によるローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られ、接触帯電部材に印加した電圧とほぼ同等の電位を潜像担持体に与えることができる。更に、接触帯電部材が可撓性を有していることで、多量の転写残トナー粒子が接触帯電部材に供給された場合に、一時的に転写残トナー粒子を堰き止める効果及び転写残トナー粒子のパターンを均す効果が高まることで、潜像形成阻害及び転写残トナー粒子の回収不良による画像不良の発生をより確実に防止することができる。
【0290】
潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量は、少なすぎると導電性微粉末による潤滑効果が十分に得られず、潜像担持体と接触帯電部材との摩擦が大きくなるため、接触帯電部材を潜像担持体に対して速度差を持って回転駆動させることが困難となる。つまり、導電性微粉末の介在量が少ないと駆動トルクが過大となり、無理に回転させると接触帯電部材や潜像担持体の表面が削れやすくなる。更に導電性微粉末による接触機会増加の効果が十分には得られないこともあり、潜像担持体の良好な帯電性能が得られない場合がある。一方、上記接触部における導電性微粉末の介在量が多すぎると、導電性微粉末の接触帯電部材からの脱落が著しく増加し、画像露光の遮光等の潜像形成阻害を起こして作像上に悪影響が出やすい。
【0291】
本発明者らの検討によると、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量は、103個/mm2以上であることが好ましく、104個/mm2以上であることがより好ましい。この導電性微粉末の介在量が103個/mm2以上であることで、駆動トルクが過大となることがなく、導電性微粉末による潤滑効果が十分に得られる。介在量が103個/mm2より大幅に低いと十分な所望の接触機会増加の効果が得られず、像担持体の帯電性の低下が生じる傾向がある。
【0292】
また、直接注入帯電方式を現像兼クリーニング画像形成における潜像担持体の一様帯電として適用する場合には、転写残トナー粒子の帯電部材への付着或いは混入による潜像担持体の帯電性の低下が懸念される。転写残トナー粒子の帯電部材への付着及び混入を抑制し、または転写残トナー粒子の帯電部材への付着或いは混入による潜像担持体の帯電阻害に打ち勝って、良好な直接注入帯電を行うには、像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量が104個/mm2以上であることが好ましい。介在量が104個/mm2より大幅に低いと、転写残トナー粒子が多い場合に潜像担持体の帯電性が低下しやすい。
【0293】
帯電工程における潜像担持体上での導電性微粉末の存在量の適正範囲は、導電性微粉末をどれぐらいの密度で潜像担持体上に塗布することで、潜像担持体の均一帯電性の効果が得られるかによっても決定される。
【0294】
潜像担持体の帯電時は、少なくとも記録解像度よりは均一な接触帯電が必要なことは言うまでもない。しかしながら、図3の人間の目の視覚特性を示すグラフのように、空間周波数が10cycles/mm以上では、画像上の識別諧調数が限りなく1に近づいていく、すなわち濃度ムラを識別できなくなる。この特性を積極的に利用すると、潜像担持体上に導電性微粉末を付着させた場合、少なくとも像担持体上で10cycles/mm以上の密度で導電性微粉末を存在させ、直接注入帯電を行えば良いことになる。たとえ導電性微粉末の存在しないところに潜像担持体上でミクロな帯電不良が発生したとしても、その帯電不良によって発生する画像上の濃度ムラは、人間の視覚特性を越えた空間周波数領域に発生するため、画像上では問題は無いことになる。
【0295】
導電性微粉末の潜像担持体上への塗布密度が変化したときに、画像上に濃度ムラとしての帯電不良が認知されるかどうかについては、導電性微粉末がわずかにでも塗布されれば(例えば10個/mm2)、帯電ムラ発生の抑制に効果が認められるが、画像上の濃度ムラが人間にとって許容可能かどうかと言う点においてはまだ不十分である。ところがその塗布量を102個/mm2以上にすると、画像の客観評価において急激に好ましい結果が得られるようになる。更に、塗布量を103個/mm2以上増加させていくことにより、帯電不良に起因する画像上の問題点は皆無となる。
【0296】
直接注入帯電方式による帯電では、放電帯電方式とは根本的に異なり、帯電部材が被帯電体に確実に接触する事で帯電が行われているが、たとえ導電性微粉末を像担持体上に過剰に塗布したとしても、接触できない部分は必ず存在する。ところが本発明の人間の視覚特性を積極的に利用した導電性微粉末の塗布を行うことで、実用上この問題点を解決する。
【0297】
また、導電性微粉末の潜像担持体上での存在量の上限値は、導電性微粉末が潜像担持体上に1層が均一に塗布されるまでであり、それ以上塗布されても効果が向上するわけではなく、逆に帯電工程後に過剰の導電性微粉末が吐き出されることで露光光源を遮ったり、散乱させたりという弊害が生じる。
【0298】
塗布密度上限値は、導電性微粉末の粒径や接触帯電部材の導電性微粉末の保持性等によっても変わってくるために、一概にはいえないが、強いて記述するならば導電性微粉末が像担持体上に1層が均一に塗布される量が上限とすることができる。
【0299】
導電性微粉末の潜像担持体上での存在量は、導電性微粉末の粒径等にもよるが、5×105個/mm2を超えると、導電性微粉末の潜像担持体からの脱落が著しく増加する傾向にあり、画像形成装置内を汚染するとともに、導電性微粉末自体の光透過性を問わず潜像担持体への露光量不足が生じる場合がある。この存在量が5×105個/mm2以下であれば、脱落する粒子量も低く抑えられ、導電性微粉末の飛散による装置内の汚染を低減するとともに、露光の阻害を改善できる。
【0300】
更に、現像兼クリーニング工程において、潜像担持体上での導電性微粉末の存在量による転写残トナー粒子の回収性の向上効果についても実験を行ったところ、帯電後現像前の潜像担持体上での導電性微粉末の存在量が102個/mm2を超えると、潜像担持体上に導電性微粉末が存在しない場合と比較して明らかに転写残トナー粒子の回収性が向上し、潜像担持体上に導電性微粉末が1層均一に塗布される程度まで画像欠陥のない現像兼クリーニングによる画像が得られた。転写後帯電前の潜像担持体上での導電性微粉末の存在量の場合と同様に、導電性微粉末の存在量が5×105個/mm2を超えるあたりから、徐々に導電性微粉末の潜像担持体からの脱落が顕著となり、潜像形成に影響を与えカブリが増加する傾向が見られた。
【0301】
すなわち、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量を103個/mm2以上に設定し、且つ潜像担持体上の導電性微粉末の存在量を102個/mm2以上とし5×105個/mm2を大きく超えないように設定することが、潜像担持体の帯電性が良好であり、転写残トナー粒子の回収性が良好であり、装置内汚染や露光阻害による画像欠陥のない画像を形成するためには好ましい。潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量は104個/mm2以上に設定することがより好ましい。
【0302】
潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量と潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粉末の存在量との関係は、▲1▼潜像担持体と接触帯電部材との接触部への導電性微粉末の供給量、▲2▼潜像担持体及び接触帯電部材への導電性微粉末の付着性、▲3▼接触帯電部材の導電性微粉末に対する保持性、▲4▼潜像担持体の導電性微粉末に対する保持性等の要因があるため、一概には決定されない。実験的には、潜像担持体と接触帯電部材との接触部における導電性微粉末の介在量が103〜106個/mm2の範囲において、潜像担持体上に脱落した粒子の存在量(潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粉末の存在量)を測ると102〜105個/mm2であった。
【0303】
帯電接触部での導電性微粉末の介在量及び潜像形成工程での潜像担持体上の導電性微粉末の存在量の測定方法について述べる。帯電部での導電性微粉末の介在量は接触帯電部材と潜像担持体の接触面部における値を直接測ることが好ましいが、接触部を形成する接触帯電部材の表面の移動方向が潜像担持体の表面の移動方向とは逆方向である場合、接触帯電部材に接触する前に潜像担持体上に存在した粒子の多くは逆方向に移動しながら接触する帯電部材に剥ぎ取られることから、本発明では接触面部に到達する直前の接触帯電部材表面の粒子量をもって介在量としている。具体的には、帯電バイアスを印加しない状態で像担持体及び弾性導電性ローラの回転を停止し、潜像担持体及び弾性導電性ローラの表面をビデオマイクロスコープ(OLYMPUS製OVM1000N)及びデジタルスチルレコーダ(DELTIS製SR−3100)で撮影する。弾性導電性ローラについては、弾性導電性ローラを像担持体に当接するのと同じ条件でスライドガラスに当接し、スライドガラスの背面からビデオマイクロスコープにて接触面を1000倍の対物レンズで10箇所以上撮影した。得られたデジタル画像から個々の粒子を領域分離するため、ある閾値を持って2値化処理し、粒子の存在する領域の数を所望の画像処理ソフトを用いて計測する。また、潜像担持体上の存在量についても像担持体上を同様のビデオマイクロスコープにて撮影し同様の処理を行い計測する。
【0304】
潜像担持体上の導電性微粉末の存在量は、上記と同様の手段で転写後帯電前及び帯電後現像前の潜像担持体上を撮影して画像処理ソフトを用いて計測する。
【0305】
本発明において、潜像担持体の最表面層の体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cm、より好ましくは1×1010〜1×1014Ω・cmであることにより、より良好な潜像担持体の帯電性を与えることができ好ましい。電荷の直接注入による帯電方式においては、被帯電体側の抵抗を下げることでより効率良く電荷の授受が行えるようになる。このためには、最表面層の体積抵抗値としては1×1014Ω・cm以下であることが好ましい。一方、潜像担持体として静電潜像を一定時間保持するためには、最表面層の体積抵抗値としては1×109Ω・cm以上であることが好ましい。高湿環境下においても微小な潜像まで乱されることなく静電潜像を保持するためには抵抗値として1×1010Ω・cm以上であることが好ましい。
【0306】
更に、潜像担持体が電子写真感光体であり、該電子写真感光体の最表面層の体積抵抗が1×109〜1×1014Ω・cmであることにより、プロセススピードの速い装置においても、像担持体に十分な帯電性を与えることができより好ましい。
【0307】
また、潜像担持体はアモルファスセレン、CdS、ZnO2、アモルファスシリコン又は有機系感光物質の様な光導電絶縁物質層を持つ感光ドラムもしくは感光ベルトであることが好ましく、アモルファスシリコン感光層、又は有機感光層を有する感光体が特に好ましく用いられる。
【0308】
有機感光層としては、感光層が電荷発生物質及び電荷輸送性能を有する物質を同一層に含有する単一層型でもよく、又は電荷輸送層と電荷発生層を有する機能分離型感光層であっても良い。導電性基体上に電荷発生層、次いで電荷輸送層の順で積層されている構造の積層型感光層は好ましい例の一つである。
【0309】
潜像担持体の表面抵抗を調整することで、更に安定して潜像担持体の均一な帯電を行うことができる。
【0310】
潜像担持体の表面抵抗を調整することによって電荷注入をより効率化或いは促進する目的で、電子写真感光体の表面に電荷注入層を設けることも好ましい。電荷注入層は、樹脂中に導電性微粒子を分散させた形態が好ましい。
【0311】
電荷注入層を設ける形態としては、例えば、
(i)セレン、アモルファスシリコンの如き無機感光体もしくは単一層型有機感光体の上に、電荷注入層を設ける
(ii)機能分離型有機感光体の電荷輸送層として、電荷輸送剤と樹脂を有する表面層を持つものに電荷注入層としての機能を兼ねさせる(例えば、電荷輸送層として樹脂中に電荷輸送剤と導電性粒子を分散させる、あるいは電荷輸送剤自体もしくはその存在状態によって、電荷輸送層に電荷注入層としての機能を持たせる)
(iii)機能分離型有機感光体上に最表面層として電荷注入層を設ける等があるが、最表面層の体積抵抗が好ましい範囲にあることが重要である。
【0312】
電荷注入層としては、例えば、金属蒸着膜等の無機材料の層、あるいは導電性微粒子を結着樹脂中に分散させた導電粉分散樹脂層等によって構成され、蒸着膜は蒸着、導電粉分散樹脂層はディッピング塗工法、スプレー塗工法、ロールコート塗工法及びビーム塗工法等の適当な塗工法にて塗工することによって形成される。
【0313】
また、絶縁性のバインダーに光透過性の高いイオン導電性を持つ樹脂を混合もしくは共重合させて構成するもの、または中抵抗で光導電性のある樹脂単体で構成するものでもよい。
【0314】
この中でも、潜像担持体の最表面層が、少なくとも金属酸化物からなる導電性微粒子(以下、「酸化物導電微粒子」と表記する)が分散された樹脂層であることが好ましい。すなわち、像担持体の最表面層をこのような構成にすることにより、電子写真感光体の表面の抵抗を下げてより効率良く電荷の授受を行うことができ、かつ表面の抵抗を下げたことで像担持体が静電潜像を保持している間に潜像電荷が拡散することによる潜像のボケもしくは流れを抑制できるため好ましい。
【0315】
上記酸化物導電微粒子が分散された樹脂層の場合、分散された粒子による入射光の散乱を防ぐために、入射光の波長よりも酸化物導電微粒子の粒径の方が小さいことが好ましい。従って、分散される酸化物導電微粒子の粒径としては0.5μm以下であることが好ましい。酸化物導電微粒子の含有量は、最外層の総質量に対して2〜90質量%が好ましく、5〜70質量%がより好ましい。酸化物導電微粒子の含有量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、所望の体積抵抗値を得にくくなる。また、含有量が上記範囲よりも多すぎる場合には、膜強度が低下してしまうため、電荷注入層が削り取られやすくなり、感光体の寿命が短くなる傾向があり、また抵抗が低くなりすぎてしまうことによって潜像電位が流れることによる画像不良を生じやすくなる。
【0316】
また、電荷注入層の層厚は、0.1〜10μmが好ましく、潜像の輪郭のシャープさを得る上では5μm以下であることがより好ましく、電荷注入層の耐久性の点からは1μm以上であることがより好ましい。
【0317】
電荷注入層のバインダーは下層のバインダーと同じとすることも可能であるが、この場合には電荷注入層の塗工時に下層(例えば電荷輸送層)の塗工面を乱してしまう可能性があるため、形成方法を特に選択する必要がある。
【0318】
なお、本発明における潜像担持体の最表面層の体積抵抗値の測定方法は、表面に金を蒸着させたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に像担持体の最表面層と同様の組成からなる層を作成し、これを体積抵抗測定装置(ヒューレットパッカード社製4140BpAMATER)にて、温度23℃,湿度65%の環境で100Vの電圧を印加して測定するというものである。
【0319】
また、本発明においては、潜像担持体表面に離型性を付与することが好ましく、潜像担持体表面の水に対する接触角は85度以上であることが好ましい。より好ましくは潜像担持体表面の水に対する接触角は90度以上である。
【0320】
潜像担持体表面が高い接触角を有することは、潜像担持体表面がトナー粒子に対して高い離型性を有することを示す。この効果により、現像兼クリーニング工程においては現像剤の回収効率が向上する。また、転写残トナー粒子量を著しく減少させることができるため、転写残トナー粒子による潜像担持体の帯電性低下を抑制することもできる。
【0321】
潜像担持体表面に離型性を付与する手段としては、例えば、
▲1▼膜を構成する樹脂自体に表面エネルギーの低いものを用いる。
▲2▼撥水、親油性を付与するような添加剤を加える。
▲3▼高い離型性を有する材料を粉体状にして分散する。
が挙げられる。
【0322】
▲1▼としては、樹脂の構造中にフッ素含有基、シリコーン含有基を導入することにより達成する。▲2▼としては、界面活性剤を添加剤として添加すればよい。▲3▼としては、ポリ4フッ化エチレン、ポリフッ化ビニリデン及びフッ化カーボンの如きフッ素原子を含む化合物、シリコーン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂を用いることが挙げられる。
【0323】
これらの手段によって潜像担持体表面の水に対する接触角を85度以上とすることが可能である。
【0324】
この中でも潜像担持体の最表面層が、少なくともフッ素系樹脂、シリコーン系樹脂又はポリオレフィン系樹脂から選ばれる少なくとも1種以上の材料からなる滑剤微粒子が分散された層であることが好ましい。特に、ポリ4フッ化エチレンやポリフッ化ビニリデンの如き含フッ素樹脂を用いることが好適である。本発明においては、▲3▼の粉体として含フッ素樹脂を離型性粉体として用いた場合には、最表面層への分散が好適である。
【0325】
これらの粉体を表面に含有させるためには、バインダー樹脂中に該粉体を分散させた層を感光体最表面に設けるか、あるいは、元々樹脂を主体として構成されている有機感光体であれば、新たに表面層を設けなくても、最表面層に該粉体を分散させれば良い。
【0326】
上記の離型性を有する粉体の潜像担持体の表面層への添加量は、表面層総質量に対して、1〜60質量%であることが好ましく、2〜50質量%であることがより好ましい。添加量が上記範囲よりも少なすぎると転写残トナー粒子が充分に減少せず、現像兼クリーニング装置での現像剤の回収効率が充分でない。添加量が上記範囲よりも大きすぎると膜の強度が低下したり、感光体への入射光量が著しく低下して像担持体の帯電性を損ねたりするため好ましくない。該粉体の粒径については、画質の面から1μm以下であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好まし粒径が上記範囲よりも大きすぎると入射光の散乱によりラインの切れが悪くなりやすく、解像性を損ねやすい。
【0327】
本発明において、接触角の測定は純水を用い、装置は協和界面科学(株)製接触角計CA−DS型を用いた。
【0328】
本発明に用いられる潜像担持体としての感光体の好ましい様態のひとつを以下に説明する。導電性基体としては、アルミニウム又はステンレスの如き金属;アルミニウム合金又は酸化インジウム−酸化錫合金による被膜層を有するプラスチック;導電性粒子を含浸させた紙又はプラスチック;導電性ポリマーを有するプラスチック;の円筒状シリンダー及びフィルムが用いられる。
【0329】
これら導電性基体上には、感光層の接着性向上、塗工性改良、基体の保護、基体上に欠陥の被覆、基体からの電荷注入性改良または感光層の電気的破壊に対する保護を目的として下引き層を設けても良い。
【0330】
下引き層は、ポリビニルアルコール、ポリ−N−ビニルイミダゾール、ポリエチレンオキシド、エチルセルロース、メチルセルロース、二トロセルロース、エチレン−アクリル酸コポリマー、ポリビニルブチラール、フェノール樹脂、カゼイン、ポリアミド、共重合ナイロン、ニカワ、ゼラチン、ポリウレタン又は酸化アルミニウムの如き材料によって形成される。下引き層の膜厚は通常0.1〜10μm、好ましくは0.1〜3μmが良い。
【0331】
電荷発生層は、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、インジゴ系顔料、ペリレン系顔料、多環キノン系顔料、スクワリリウム色素、ピリリウム塩類、チオピリリウム塩類、トリフェニルメタン系色素又はセレンや非晶質シリコンの如き無機物質等の電荷発生物質を適当な結着剤に分散し塗工する、あるいは蒸着により形成する。なかでもフタロシアニン系顔料が感光体感度を本発明に適合する感度に調整するうえで好ましい。結着剤としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、酢酸ビニル樹脂が挙げられる。電荷発生層中に含有される結着剤の量は80質量%以下、好ましくは0〜40質量%であることが良い。電荷発生層の膜厚は5μm以下、特には0.05〜2μmが好ましい。
【0332】
電荷輸送層は、電界の存在下で電荷発生層から電荷キャリアを受け取り、これを輸送する機能を有している。電荷輸送層は電荷輸送物質を必要に応じて結着樹脂と共に溶剤中に溶解し、塗工することによって形成され、その膜厚は一般的には5〜40μmである。電荷輸送物質としては、主鎖または側鎖にビフェニレン、アントラセン、ピレン及びフェナントレンの如き多環芳香族化合物;インドール、カルバゾール、オキサジアゾール及びピラゾリンの如き含窒素環式化合物;ヒドラゾン化合物;スチリル化合物;セレン;セレン−テルル;非晶質シリコン;硫化カドニウムが挙げられる。
【0333】
これら電荷輸送物質を分散させる結着樹脂としては、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ポリメタクリル酸エステル、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂及びポリアミド樹脂の如き樹脂;ポリ−N−ビニルカルバゾール及びポリビニルアントラセンの如き有機光導電性ポリマーが挙げられる。
【0334】
表面層として、電荷注入をより効率化或いは促進するために樹脂中に導電性微粒子を分散させた層を設けてもよい。表面層の樹脂としては、ポリエステル、ポリカーボネート、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、あるいはこれらの樹脂の硬化剤が単独あるいは2種以上組み合わされて用いられる。導電性微粒子の例としては、金属又は金属酸化物が挙げられる。好ましくは、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化スズ被膜酸化チタン、スズ被膜酸化インジウム、アンチモン被膜酸化スズ又は酸化ジルコニウムの超微粒子がある。これらは単独で用いても2種以上を混合して用いても良い。
【0335】
図5は、表面層として電荷注入層を設けた潜像担持体(感光体)の層構成模型図である。即ち感光体は、導電性基体(アルミニウムドラム基体)11上に導電層12、正電荷注入防止層13、電荷発生層14、電荷輸送層15の順に重ねて塗工された一般的な有機感光体ドラムに電荷注入層16を塗布することにより、電荷注入による帯電性能を向上させたものである。
【0336】
潜像担持体の最表層に形成される電荷注入層16として重要な点は、表層の体積抵抗値が1×109〜1×1014Ω・cmの範囲にあることである。本構成のように電荷注入層16を設けない場合でも、例えば潜像担持体の最表層となる電荷輸送層15が上記抵抗範囲にある場合は同等の効果が得られる。例えば、表層の体積抵抗が約1013Ω・cmであるアモルファスシリコン感光体等を用いても同様に電荷注入による良好な帯電性が得られる。
【0337】
本発明においては、潜像担持体の帯電面に静電潜像を形成する潜像形成工程及び潜像形成手段が、潜像担持体表面に静電潜像としての画像情報を像露光により書き込む工程及び像露光手段であることが好ましい。静電潜像形成のための画像露光手段としては、デジタル的な潜像を形成するレーザー走査露光手段に限定されるものではなく、通常のアナログ的な画像露光やLEDなどの他の発光素子でも構わないし、蛍光燈等の発光素子と液晶シャッター等の組み合わせによるものなど、画像情報に対応した静電潜像を形成できるものであるなら構わない。
【0338】
潜像担持体は静電記録誘電体であっても良い。この場合は、像担持体面としての誘電体面を所定の極性、電位に一様に一次帯電した後、除電針ヘッド、電子銃等の除電手段で選択的に除電して目的の静電潜像を書き込み形成する。
【0339】
前述したように本発明の現像剤は、トナー劣化防止のためのトナー表面上の外添剤の保持といった観点から、トナーの平均円形度が0.970未満が好ましい。しかしトナーの円形度が低いと帯電量が不十分となり、転写効率の低下を生じやすい。また更に、たとえトナー粒子に添加する導電性微粒子の粒径を巧く調整したとしても、やはりトナー粒子の摩擦帯電特性の低下は、完全には防ぐことが出来ない場合が多い。そのためこのような平均円形度が0.970未満で、且つ導電性微粒子が外添されたトナーを用いる場合、現像剤担持体による帯電付与性を高める必要がある。
【0340】
そこで本発明において、該現像剤担持体として、基体と該基体上に形成された樹脂被覆層とを有しており、該樹脂被覆層に正帯電性の物質を含有させたものを用いている。更に現像剤の過剰帯電を防止し帯電量を適正化するため、該樹脂被覆層中には、少なくとも導電性物質を含有し、該樹脂被覆層は導電性樹脂被覆層となっていることが好ましい。
【0341】
本発明で使用する現像剤担持体の被覆層用結着樹脂としては、一般に公知の樹脂がいずれも使用可能である。例えば、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、スチレン−ジエン系樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、繊維素系樹脂、アクリル系樹脂等の熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ポリウレタン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド樹脂等の熱硬化性或いは光硬化性の樹脂等を使用することができる。これらの中でも、シリコーン樹脂、フッ素樹脂のような離型性に優れるもの、或いは、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂のような機械的性質に優れたものを使用することがより好ましい。
【0342】
これら公知の結着樹脂に正帯電性物質を添加して用いることも好ましい。
【0343】
正帯電性物質とは、単独で鉄粉と混合して摩擦帯電させた場合に正極性に帯電するものであれば良い。また、分散される被覆層用結着樹脂中において正帯電を示すのであれば、そのような樹脂と組み合わせて用いる場合には、必ずしも単独で鉄粉と混合して摩擦帯電させた場合において正極性に帯電するものとは限らない。
【0344】
そのような正帯電性物質としては、ニグロシン系染料,トリフェニルメタン系染料,四級アンモニウム塩,グアニジン誘導体,イミダゾール誘導体,アミン系及びポリアミン系化合物の如き一般に正電荷制御剤として用いられるもの;合成シリカ、石英粉、アルミナ、ハイドロタルサイト類化合物の如き無機粉体;スルホン酸基含有アクリルアミドを構成モノマーとして有する共重合体がある。またこれら無機微粉体にアミノシランカップリング剤を処理して用いる方法もある。
【0345】
これらの中でも、次に挙げる化合物が、現像剤を良好に帯電させるために、好ましく用いられる。
【0346】
▲1▼正帯電性物質として、被覆層中に含窒素複素環化合物を含有することが好ましい。
【0347】
この際に使用する含窒素複素環化合物としては、個数平均粒径が、好ましくは20μm以下、より好ましくは0.1〜15μmのものを使用する。即ち、含窒素複素環化合物の個数平均粒径が20μmを超える場合には、現像スリーブを構成する導電性樹脂被覆層中における含窒素複素環化合物の分散不良が生じ、帯電性能の向上効果が充分に得られ難くなり、好ましくない。
【0348】
本発明で使用し得る含窒素複素環化合物としては、イミダゾール、イミダリン、イミダゾロン、ピラゾリン、ピラゾール、ピラゾロン、オキサゾリン、オキサゾール、オキサゾロン、チアゾリン、チアゾール、チアゾロン、セレナゾリン、セレナゾール、セレナゾロン、オキサジアゾール、チアジアゾール、テトラゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾセレナゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、オキサジン、チアジン、テトラジン、ポリアザイン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、インドール、イソインドール、インダゾール、カルバゾール、キノリン、ピリジン、イソキノリン、シンノリン、キナゾリン、キナキサリン、フタラジン、プリン、ピロール、トリアゾール、フェナジンの如き化合物が挙げられる。本発明においては、特にイミダゾール化合物が、本発明に用いる現像剤担持体とトナーとの相互作用による効果を促進するため好ましい。
【0349】
本発明においては、イミダゾール化合物の中でも、特に、下記一般式(1)又は(2)で示されるイミダゾール化合物を、現像剤担持体の導電性樹脂被覆層に用いれば、トナーに対する迅速且つ均一な帯電付与能を与えることができ、更に、導電性樹脂被覆層の強度を高めることができるのでより好ましい。
【0350】
【化11】
[式中、R1及びR2は、水素原子、又は、アルキル基、アラルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基を表し、R1及びR2は、同一であっても異なっていてもよい。R3及びR4は、炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表し、R3及びR4は、同一であっても異なっていてもよい。]
【0351】
【化12】
[式中、R5及びR6は、水素原子、又は、アルキル基、アラルキル基及びアリール基からなる群より選ばれる置換基を表し、R5及びR6は、同一であっても異なっていてもよい。R7は炭素数が3〜30の直鎖状アルキル基を表す。]
上記した構造を有するイミダゾール化合物を用いることが好ましい理由としては、上記一般式(1)又は(2)で示される構造を有するイミダゾール化合物は、置換基として炭素数3〜30の直鎖状アルキル基を有するため、被覆層用結着樹脂に対する分散性が良好であるので、現像スリーブの導電性樹脂被覆層の他の構成材料と共に良好に分散され、特に優れた分散状態の導電性樹脂被覆層表面の形成が可能となる結果、現像スリーブのトナーに対する摩擦帯電特性がより良好になるものと考えている。
【0352】
本発明において好適に使用し得る上記一般式(1)又は(2)で示される構造を有するイミダゾール化合物の如き含窒素複素環化合物は、これを構成する含窒素複素環基が、単環であってもよいし、他の基と縮環していてもよく、また、置換されていてもよい。更に、本発明で好適に使用し得る含窒素複素環化合物の含複素環基が置換されている場合には、その置換基として、例えば、アルキル基、アラルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アリール基、置換アミノ基、ウレイド基、ウレタン基、アリールオキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルキル又はアリールチオ基、アルキル又はアリールスルホニル基、アルキル又はアリールスルフィニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、スルホ基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アシルオキシ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、カルボシル基、リン酸アミド基、ジアシルアミノ基、イミド基等を有するものを用いることができる。これらの置換基は、さらに置換基を有していてもよい。その際の置換基の例としては、含窒素複素環の置換基として上記で挙げた置換基を用いることができる。
【0353】
次に導電性樹脂被覆層の含窒素複素環化合物及び導電性微粒子の含有量について説明する。しかし、これは本発明において特に好ましい範囲であって、本発明はこれに限定されるものではない。先ず、導電性樹脂被覆層中に分散させる含窒素複素環化合物の含有量としては、被覆層用結着樹脂100質量部に対して、好ましくは0.5〜60質量部、より好ましくは1〜50質量部の範囲とした場合に、特に好ましい結果を与える。即ち、含窒素複素環化合物の含有量が0.5質量部未満の場合には含窒素複素環化合物の添加効果が小さく、60質量部を超える場合には、導電性樹脂被覆層の体積抵抗を低く制御することが難しくなり、チャージアップ現象が発生し易くなる。
【0354】
導電性樹脂被覆層中に含窒素複素環化合物と併用して分散含有させる導電性微粒子の含有量としては、被覆層用結着樹脂100質量部に対して、好ましくは40質量部以下、より好ましくは2〜35質量部の範囲で使用すると特に好ましい結果が得られる。即ち、導電性微粒子の含有量が40質量部を超える場合には、導電性樹脂被覆層の被膜強度の低下、及びトナーの帯電量の低下が認められるため、好ましくない。
【0355】
▲2▼本発明の現像剤担持体においては、正帯電性の物質として被覆層中に含窒素化合物を含有することも好ましい。そのような材料としては、例えば含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体が挙げられる。共重合体を形成するポリマーとしては、ビニル重合性モノマーが好ましい。樹脂被覆層が含有するバインダー樹脂が、機械的強度が高いビニル重合性モノマーと、現像剤に対して高い負摩擦帯電特性を有する含窒素ビニルモノマーの共重合体を有していることにより、現像剤担持体は、樹脂被覆層の耐摩耗性、耐トナー付着・融着性が高く、多数枚耐久後まで良好な摩擦帯電付与特性を有する。
【0356】
また、この共重合体は、含窒素ビニルモノマーを有していることから、カーボンブラック及びグラファイトの如き導電性微粉末の樹脂被覆層中での分散性が向上する。よって、樹脂被覆層の電気的抵抗が良好に低下し、且つ樹脂被覆層表面での摩擦帯電付与特性の均一性が向上し、より現像剤に対する摩擦帯電付与特性が高く、且つ現像剤の帯電量分布がシャープになり、さらに、樹脂被覆層自体の被膜強度も向上するため、より多数枚耐久性に優れるものである。共重合体がこの含窒素ビニルモノマーを有していることで、カーボンブラック及びグラファイトの如き導電性微粉末の樹脂被覆層中での分散性が向上する理由は、明確には分からないが、含窒素ビニルモノマーにおける窒素原子に基づく極性基を含むことにより、溶媒、特に極性を有する溶媒への溶解性が良好となるため、樹脂が溶解している溶解液の導電性微粒子に対する濡れ性が向上し、溶解液中での導電性微粒子を塗工して樹脂被覆層を形成した場合に、樹脂被覆層中での導電性微粒子の分散性が向上するためと考えられる。特に、導電性微粒子が、カーボンブラックの如き極性基を表面に有する物質の場合には、窒素原子に基づく極性基により親和性がより高まるため、より効果的である。
【0357】
本発明において、ビニル重合性モノマー(M)及び含窒素ビニルモノマー(N)を有する共重合体の共重合mol比率は、M:N=4:1〜999:1を満たすことが好ましい。Mの割合が999:1を超える場合には、含窒素ビニルモノマーの添加効果がほとんどない、すなわち摩擦帯電付与性を向上させる効果が極めて少なく、共重合させる効果がほとんどみられなくなってしまう。Mの割合が4:1未満の場合には、例えばTgが下がることにより樹脂層が安定せず、電子写真装置本体の昇温により樹脂層の帯電付与、耐摩耗性の特性が損なわれたり、トナーが固着しやすくなったりする可能性がある。また、これ以上含窒素ビニルモノマーの比率を上げても帯電付与効果は飽和されるため特に必要とされない。
【0358】
本発明において、上記共重合体の主成分と為りうるビニル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、アクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸iso−ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸フェニル、アクリル酸シクロヘキシル、ヒドロキシエチルアクリレート、ジメチル(アミノ)エチルアクリレート、ジエチル(アミノ)エチルアクリレート、メタクリル酸、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸iso−ブチル、メタクリル酸オクチル、メタクリル酸シクロヘキシル、ヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチル(アミノ)エチルメタクリレート、ジエチル(アミノ)エチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如き二重結合を有するモノカルボン酸、若しくはそのエステル化合物;例えば、マレイン酸、マレイン酸ブチル、マレイン酸メチル、マレイン酸ジメチルの如き二重結合を有するジカルボン酸、及びそのエステル化合物;が挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上の混合で使用することができる。特に、ビニル基を有する酸モノマー或いは酸エステルモノマーを含有させると、現像剤担持体上での現像剤の帯電安定性に効果がある。その場合、摩擦帯電量の安定効果としては、酸エステルモノマーよりも酸モノマーを用いた方がやや良好である。
【0359】
本発明ではビニル重合性モノマーとしてメチルメタクリレートを用いることが好ましい。メチルメタクリレートはポリマーとして用いられた場合、機械的強度に優れている。またスリーブ表面層の結着樹脂に含有させて用いた場合には、良好な現像剤に対する摩擦帯電付与性が得られる。しかしながら、ホモポリマーとして用いた場合には摩擦帯電付与性が不十分であることが多く、カーボンブラック、グラファイトなどの顔料の分散性もそれほど良くはない。本発明のように含窒素ビニルモノマーを含む共重合体として用いることによって、摩擦帯電付与性を向上させることができる。また本発明においては、好ましくはメチルメタクリレート成分が80%以上の比率で含有されることから、メチルメタクリレートのホモポリマーと比較しても機械的強度、例えば耐磨耗性を損なうことはない。さらに含窒素ビニルモノマー成分が含有されていることから、樹脂層中に導電性微粉末などの顔料成分を分散した場合においては、分散性が向上し、この点においても耐磨耗性等にとっては好ましい。
【0360】
含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体の分子量としては、重量平均分子量Mwで、3000〜50000の範囲にあることが好ましい。分子量Mwが3000未満の場合には低分子量成分が多すぎるため、トナーがスリーブに付着または固着しやすくなったり、樹脂の帯電付与性が低下したりする。またMwが50000を超える場合には、分子量が高すぎ、また溶媒中の樹脂粘度が高いため、塗工不良や顔料類を添加した場合には分散不良の原因となり、樹脂層の組成が不均一になりトナー帯電が安定しない、表面粗さが安定しない、耐磨耗性が減少するなどの原因となる。
【0361】
また含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体の重量平均分子量と数平均分子量の比を表すMw/Mnは3.5以下であることが好ましい。Mw/Mnが3.5を超えた場合、低分子量成分が増加するために、トナーの付着性の増加や融着が増加したり、トナーへの摩擦帯電付与性の低下が生じたりしやすい。
【0362】
本発明において、含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体のGPCによるクロマトグラムの分子量分布は次のように測定される。すなわち、40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてTHFを毎分1mlの流速で流し、THF試料溶液を約100μl注入して測定する。試料の分子量測定にあたっては、試料の有する分子量分布を、数種類の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量性の対数値とカウント数との関係から算出した。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、東ソー社製あるいは、昭和電工製の分子量が102〜107程度のものを用い、少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。また、検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。なおカラムとしては、市販のポリスチレンジェルカラムを複数本組み合わせるのが良く、例えば昭和電工社製のShodexGPCKF−801,802,803,804,805,806,807,800Pの組み合わせや、東ソー社製のTSKgelG1000H(HXL),G2000H(HXL),G3000H(HXL),G4000H(HXL),G5000H(HXL),G6000H(HXL),G7000H(HXL),TSKguardcolumnの組み合わせを挙げることができる。
【0363】
含窒素ビニルモノマーの代表例としては、例えば、p−ジメチルアミノスチレン、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートが挙げられ、さらに、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルベンズイミダゾール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロール、N−ビニルピペリジン、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルインドールの如き含窒素複素環式N−ビニル化合物が挙げられる。
【0364】
特には、ジメチルアミノメチルアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノプロピルアクリレート、ジエチルアミノメチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノプロピルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレートの如き下記一般式(3)
【0365】
【化13】
〔式中、R7,R8,R9及びR10は、水素原子あるいは炭素数1〜4の飽和炭化水素基を示し、nは1〜4の整数を示す。〕
で表される含窒素ビニルモノマーを用いることが好ましい。
【0366】
特には、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレートの如き下記一般式(8)
【0367】
【化14】
[但し、R1、R2、R3は水素原子あるいは炭素数1〜4の飽和炭化水素基を示す。]
に示される含窒素ビニルモノマーを用いることが好ましい。
【0368】
また、本発明に用いられる含窒素ビニルモノマーとしては、4級アンモニウム基含有ビニルモノマーを用いることもできる。4級アンモニウム基含有ビニルモノマーとしては、下記一般式(9)に示されるものが挙げられる。
【0369】
【化15】
〔式中、R5は水素原子又はメチル基を示し、R6は、炭素数1〜4のアルキレン基を示し、R7〜R9は、メチル基、エチル基又はプロピル基を示し、X1は、−COO−又は−CONH−を示し、A-はCl-,(1/2)SO4 2-の如きアニオンを示す。〕
本発明において、含窒素ビニルモノマーを含む共重合体は、それ単独で被覆層用結着樹脂として用いても、他の結着樹脂に添加して使用しても良い。他の結着樹脂に添加して使用する場合、上述したような一般に公知の樹脂が使用可能である。現像剤担持体に要求される機械的強度を考慮すると熱硬化性の樹脂がより好ましいが、十分な機械的強度を有するものであれば、熱可塑性樹脂も適用可能である。
【0370】
また、この様な樹脂を荷電制御剤的にこれより更に強度の高い熱硬化性樹脂等にブレンドして用いても良い。そのような場合にも、該含窒素ビニルモノマーに起因する効果によってスリーブの正帯電性は良好なものとなる。
【0371】
▲3▼更に本発明の現像剤担持体においては、正帯電性物質として、現像担持体表面の被覆層中に、少なくともビニル重合性モノマーとスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとの共重合体を含有させ、且つ同時に、被覆層用結着樹脂として、その分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを含有する樹脂を用いることも好ましい。
【0372】
本発明において、正帯電性を示すという明確な理由は定かではないが、ビニル重合性モノマーとスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとの共重合体を、分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを有する被覆層用結着樹脂に分散させて用いると、均一に分散し、前記共重合体と結着樹脂との構造的な相互作用により、樹脂組成物全体の帯電性が均一且つ十分な正帯電性を有するようになるためではないかと考えられる。
【0373】
本発明における上記重合体は、ビニル重合性モノマーとスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとの質量に基づく共重合比が98:2〜80:20であり、重量平均分子量が2000〜50000の重合体であることが好ましい。スルホン酸基含有アクリルアミドモノマーの割合が2質量%より少なくなると、トナーに対し正電荷を誘起させる能力に劣る。20質量%超になると、耐湿性などの環境安定性の低下、被覆膜特性の低下が生じ好ましくない。また重量平均分子量が2000未満になると低分子量成分が多すぎるため、トナーがスリーブに付着または固着しやすくなったり、樹脂の帯電付与性が低下したりする。重量平均分子量が50000超になると、樹脂との相溶性が低下し、環境変動や経時により安定した帯電性が得られなくなり、また、溶媒中の樹脂粘度が高いため、塗工不良や顔料類を添加した場合には分散不良の原因となり、樹脂被覆層の組成が不均一になりトナー帯電が安定せず、さらに樹脂被覆層の表面粗さが安定せず、耐摩耗性が減少するなどの原因となる。
【0374】
上記に示したような本発明で使用するスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーの添加量は、結着樹脂100質量部に対して1〜100質量部とすることが好ましい。1質量部未満では添加による帯電付与性の向上が見られず、100質量部を超えると結着樹脂中への分散不良となり被膜強度の低下を招きやすい。
【0375】
本発明における上記共重合体を製造するのに用いることのできるビニル重合性モノマーとしては、スチレン、α−メチルスチレン、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジメチル(アミノ)エチル(メタ)アクリレート、ジエチル(アミノ)エチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルが挙げられ、これらは単独で、もしくは2種以上の混合で使用することができる。好ましくはスチレンとアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルとの組み合わせが挙げられる。なお、一般にトナー用結着剤樹脂のガラス転移点は、70℃以下ないし60℃以下である場合が多いので、上記ビニル重合性モノマーを使用するに際しては、被覆膜表面へのトナーの付着を避ける上で65℃以上、好ましくは70℃以上、さらに好ましくは90℃以上のガラス転移点を有する被覆膜が形成されるように適宜選択して被覆層用結着樹脂とするのが好ましい。
【0376】
またスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとしては、2−アクリルアミドプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ブタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ヘキサンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−オクタンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−ドデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−フェニルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミドー2,2,4−トリメチルペンタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルフェニルエタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(4−クロロフェニル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−カルボキシメチルプロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−(2−ピリジル)プロパンスルホン酸、2−アクリルアミド−1−メチルプロパンスルホン酸、3−アクリルアミド−3−メチルブタンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−デカンスルホン酸、2−メタクリルアミド−n−テトラデカンスルホン酸を挙げることができる。好ましくは2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸が挙げられる。
【0377】
前記ビニル重合性モノマーと、スルホン酸基含有アクリルアミドモノマーを共重合させるに際して用いることのできる重合開始剤としては、過酸化物開始剤またはアゾ系開始剤等であるが、その分解物がカルボキシル基を有し、負帯電性に効果のある過酸化物開始剤が良く、その開始剤をモノマー混合物に対し、0.5〜5質量%の範囲で用いるのが好ましい。また、その重合法としては、溶液重合、懸濁重合、塊状重合などいずれの方法を用いることも可能であり、特に限定するものではないが、メタノール、イソプロパノール、ブタノール等の低級アルコールを含む有機溶剤中で、上記モノマー混合物を共重合させる溶液重合法を採用するのが特に好ましい。
【0378】
この場合の現像剤担持体における被覆層の結着樹脂としては、前記ビニル重合性モノマーとスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとの共重合体、及び、その一部又は全てに、その分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを有する結着樹脂を使用する。
【0379】
−NH2基を有する物質としては、R−NH2で表される第1アミンもしくはそれらを有するポリアミン、RCO−NH2で表される第1アミドもしくはそれらを有するポリアミド等、=NH基を有する物質としては、R=NHで表される第2アミンもしくはそれらを有するポリアミン、(RCO)2=NHで表される第2アミドもしくはそれらを有するポリアミド等、−NH−結合を有する物質としては、前述したポリアミン、ポリアミドの他に−NHCO−結合を有するポリウレタン等が挙げられ、以上の物質を1種又は2種以上、あるいは共重合体として含有し、工業的に合成された樹脂が好適に用いられる。それらのうちアンモニアを触媒としたフェノール樹脂、ポリアミド樹脂、及びウレタン樹脂が好ましい。本発明において使用する結着樹脂を構成するフェノール樹脂としては、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、その製造工程において含窒素化合物を触媒として使用したフェノール樹脂を用いることで、加熱硬化時に前記共重合体との構造的な相互作用が起こりやすく、樹脂組成物全体の帯電性が均一且つ十分な正帯電性を有するようになることがわかった。
【0380】
そのためこのようなフェノール樹脂を本発明における現像剤担持体上の被覆層を構成する材料の1つとして用いることで、良好なネガ付与性が得られる。本発明に使用するフェノール樹脂の製造工程において触媒として用いられる含窒素化合物としては、例えば酸性触媒としては、硫酸アンモニウム、燐酸アンモニウム、スルファミド酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、マレイン酸アンモニウムといった、酸のアンモニウムまたはアミノ塩類、また、塩基性触媒としては、アンモニア、或はジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ジイソブチルアミン、ジアミルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−ブチルアミン、トリアミルアミン、ジメチルベンジルアミン、ジエチルベンジルアミン、ジメチルアニリン、ジエチルアニリン、n,n−ジn−ブチルアニリン、n,n−ジアミルアニリン、n,n−ジt−アミルアニリン、n−メチルエタノールアミン、n−エチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、エチルジエタノールアミン、n−ブチルジエタノールアミン、ジn−ブチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラアミンの如きアミノ化合物、ピリジン、αピコリン、βピコリン、γピコリン、2,4−ルチジン、2,6−ルチジンの如きピリジン及びその誘導体、キノリン化合物、イミダゾール、2−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールの如き含窒素複素環式化合物がある。
【0381】
また、本発明において使用する結着樹脂を構成するポリアミド樹脂としては、例えば、ナイロン6、66、610、11、12、9、13、Q2ナイロン、或いはこれらを主成分とするナイロンの共重合体、或いはN−アルキル変性ナイロン、N−アルコキシルアルキル変性ナイロン、いずれも好適に用いることができる。更にはポリアミド変性フェノール樹脂等のようにポリアミドにて変性された各種樹脂、或いは、硬化剤としてポリアミド樹脂を用いたエポキシ樹脂、といったように、ポリアミド樹脂分を含有している樹脂であれば、いずれも好適に用いることができる。
【0382】
また、本発明において使用する結着樹脂を構成するウレタン樹脂としてはウレタン結合を含んだ樹脂で有れば、いずれも好適に用いることができる。このウレタン結合はポリイソシアネートとポリオールとの重合付加反応によって得られる。
【0383】
このポリウレタン樹脂の主原料となるポリイソシアネートとしては、ジフェニレンメタン−4,4’−ジイソシアネート(MDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,5−ナフタリンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、トリメチルヘキサャ`レンジイソシアネート、オルトトルイジンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、ジメチルジイソシアネートが使用可能である。
【0384】
またポリウレタン樹脂の主原料となるポリオールとしては、ポリエチレンアジペートエステル、ポリブチレンアジペートエステル、ポリジエチレングリコールアジペートエステル、ポリヘキセンアジペートエステル、ポリカプロラクトンエステルの如きポリエステルポリオール、ポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコールの如きポリエーテルポリオールが使用可能である。
【0385】
本発明においては、上記のような材料で現像剤担持体表面に形成する樹脂被覆層の体積抵抗を103Ω・cm以下、更には、103〜10−2Ω・cmに調整することが好ましい。即ち、樹脂被覆層の体積抵抗が103Ω・cmを超える場合には、チャージアップが発生し易くなり、ゴーストの悪化や濃度低下を引き起こし易い。そこで、本発明の現像装置では、現像剤担持体表面の樹脂被覆層の体積抵抗を上記のような好ましい範囲に調整するために、樹脂被覆層の被膜形成材料である結着樹脂中に導電性物質を分散含有させる。この際に使用する導電性物質としては、その粒径が、個数平均粒径で20μm以下のものであることが好ましく、10μm以下のものを用いることがより好ましい。更に、樹脂被覆層表面に形成される凹凸を避けるためには、1μm以下のものを用いることが好ましい。
【0386】
この際に使用し得る導電性物質としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックの如きカーボンブラック;酸化チタン、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化モリブデン、チタン酸カリ、酸化アンチモン及び酸化インジウムの如き金属酸化物;アルミニウム、銅、銀、ニッケルの如き金属、グラファイト、金属繊維、炭素繊維の如き無機系充填剤が挙げられる。樹脂被覆層中におけるこれらの導電性物質の添加量としては、結着樹脂100質量部に対して100質量部以下の範囲で使用することが好ましい。添加量が100質量部を超えると被膜強度の低下が起こり易く、また、多量の導電性物質の添加は、トナーの帯電量の低下を引き起こす傾向がある。
【0387】
更に、本発明の現像装置においては、使用する現像剤担持体の表面に設ける樹脂被覆層の構成として、上記した正帯電性物質や導電性物質に加えて、更に、粒径が0.3〜30μm程度の球状粒子を被覆樹脂層中に分散させた構成とすることが好ましい。このような構成とすれば、現像剤担持体の表面粗さを安定化させることができ、現像剤担持体上のトナーコート量を最適化することが可能となる。また、球状粒子を樹脂被覆層中に含有させることは、現像剤担持体表面に均一な表面粗度を保持させると同時に、現像剤担持体表面に設けた樹脂被覆層が摩耗した場合でも該被覆層の表面粗度の変化を少なくできるので、現像剤担持体へのトナー汚染やトナー融着を発生しにくくする効果が得られる。更に、上記のような球状粒子を含有させると、樹脂被覆層中に含有している含窒素複素環化合物との相互作用により、含窒素複素環化合物の有する荷電制御の効果がより高まり、トナーに対する迅速且つ均一な帯電付与特性をより向上させることができ、更に、帯電付与性能を安定化させる効果もある。
【0388】
本発明において使用する球状粒子としては、個数平均粒径が0.3〜30μm、更には、2〜20μmのものが好ましい。即ち、樹脂被覆層中に含有させる球状粒子の個数平均粒径が0.3μm未満であると、現像剤担持体の表面に均一な粗さを付与する効果と、帯電付与性能を高める効果が少なく、現像剤への迅速且つ均一な帯電が不充分となると共に、樹脂被覆層の磨耗によってトナーのチャージアップや、トナー汚染及びトナー融着が発生する傾向があり、ゴーストの悪化、画像濃度低下を生じ易くなるため好ましくない。一方、個数平均粒径が30μmを超える球状粒子を加えた場合には、樹脂被覆層表面の粗さが大きくなり過ぎる傾向があり、トナーの帯電が充分に行なわれにくくなってしまうと共に、樹脂被覆層の機械的強度が低下してしまうため、好ましくない。
【0389】
更に、本発明で使用する球状粒子としては、その真密度が、3g/cm3以下、好ましくは2.7g/cm3以下、より好ましくは0.9〜2.3g/cm3のものを使用するとよい。即ち、球状粒子の真密度が3g/cm3を超える場合には、樹脂被覆層中における球状粒子の分散性が不充分となり、被覆層表面に均一な粗さを付与しにくくなると共に、含窒素複素環化合物の分散も均一に行われなくなり、トナーへの迅速且つ均一な帯電付与能、及び被覆層の強度が不充分となるので好ましくない。一方、球状粒子の真密度が0.9g/cm3より小さい場合にも、被覆層中での球状粒子の分散性が不充分となり易いため、好ましくない。
【0390】
本発明で言う球状粒子における球状とは、粒子の長径/短径の比が1.0〜1.5程度のものを意味しているが、更に好ましくは、長径/短径の比が1.0〜1.2の真球状により近い球状粒子を使用することがよい。即ち、球状粒子の長径/短径の比が1.5を超える場合には、導電性樹脂被覆層中での球状粒子の分散性が低下すると共に、該被覆層中への正帯電性物質の分散性の低下、及び被覆層表面の粗さの不均一化が発生し、トナーに対する迅速且つ均一な帯電付与性、及び、形成される樹脂被覆層の被膜強度の点からも好ましくない。
【0391】
本発明に用いられる球状粒子としては、公知の球状粒子が使用可能である。例えば、球状の樹脂粒子、球状の金属酸化物粒子、球状の炭素化物粒子等が挙げられる。また、球状の樹脂粒子としては、例えば、懸濁重合、分散重合法等によって直接得られる所望の粒径を有する球状の樹脂粒子が挙げられる。本発明においては、これらの中でも特に球状の樹脂粒子が、より少ない添加量で好適な表面粗さが得られ、更に均一な表面形状が得られ易いので好適である。この様な球状の樹脂粒子としては、ポリアクリレート、ポリメタクリレートの如きアクリル系樹脂粒子、ナイロンの如きポリアミド系樹脂粒子、ポリエチレン、ポリプロピレンの如きポリオレフィン系樹脂粒子、シリコーン系樹脂粒子、フェノール系樹脂粒子、ポリウレタン系樹脂粒子、スチレン系樹脂粒子、ベンゾグアナミン粒子が挙げられる。これらの樹脂粒子は、先に述べた重合法によって得られるものに限定されず、粉砕法により得られた樹脂粒子を、熱的に或いは物理的な球形化処理を行ったものを用いてもよい。
【0392】
更に、本発明においては、上記した球状粒子の表面に、無機微粉末を付着或いは固着させて用いてもよい。この際に用いる無機微粉体としては、例えば、SiO2、SrTiO3、CeO2、CrO、Al2O3、ZnO、MgOの如き酸化物、Si3N4の如き窒化物、SiCの如き炭化物、CaSO4、BaSO4、CaCO3の如き硫酸塩や炭酸塩が挙げられる。このような無機微粉末は、カップリング剤により処理したものを用いてもよい。
【0393】
特に、結着樹脂との密着性を向上させる目的で、或いは球状粒子に疎水性を与える等々の目的で、無機微粉末をカップリング剤で処理すしたものを使用することが好ましい。この際に用いるカップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤がある。より具体的には、例えば、シランカップリング剤としては、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン、α−クロルエチルトリクロルシラン、β−クロルエチルトリクロルシラン、クロルメチルジメチルクロルシラン、トリオルガノシリルメルカプタン、トリメチルシリルメルカプタン、トリオルガノシリルアクリレート、ビニルジメチルアセトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジャ`ルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、1,3−ジビニルテトラメチルジシロキサン、1,3−ジフェニルテトラメチルジシロキサン、及び、1分子当たり2〜12個のシロキサン単位を有し、末端に位置する単位に夫々1個あての硅素原子に結合した水酸基を含有したジメチルポリシロキサンが挙げられる。
【0394】
以上のようにして、好ましくはカップリング剤で処理された無機微粒子を球状粒子表面に付着或いは固着して処理することによって、導電性樹脂被覆層中への球状粒子の分散性、該被覆層表面の均一性や耐汚染性、トナーへの帯電付与性、導電性樹脂被覆層の耐磨耗性等を向上させることができる。
【0395】
更に、本発明においては、上記の球状粒子として導電性のものを使用することが好ましい。即ち、球状粒子に導電性を持たせることによって、その導電性のゆえに球状粒子表面にチャージが蓄積しにくくなるので、現像剤担持体へのトナー付着の軽減や、トナーに対する帯電付与能を向上させることができる。その際に使用する球状粒子としては、体積抵抗値が106Ω・cm以下、より好ましくは10−3〜106Ω・cmの導電性を有するものが好ましい。即ち、本発明において使用する球状粒子の体積抵抗が106Ω・cmを超えると、摩耗によって被覆層表面に露出した球状粒子を核としてトナーの汚染や融着が発生し易くなると共に、迅速且つ均一なトナーの帯電が行われにくくなるため、好ましくない。
【0396】
このような体積抵抗を有する導電性球状粒子を得る方法としては、以下のような方法を用いること好ましいが、必ずしもこれらの方法に限定されるものではない。即ち、本発明に好適に使用できる導電性球状粒子を得る方法としては、例えば、樹脂系球状粒子やメソカーボンマイクロビーズを焼成して、炭素化及び/又は黒鉛化して低密度且つ良導電性の球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。そして、この際に用いる樹脂系球状粒子としては、例えば、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き樹脂が挙げられる。また、メソカーボンマイクロビーズは、通常、中ピッチを加熱焼成していく過程で生成する球状結晶を、多量のタール、中油、キノリンの如き溶剤で洗浄することによって製造することができる。
【0397】
本発明で使用できるより好ましい導電性球状粒子を得る方法としては、フェノール樹脂、ナフタレン樹脂、フラン樹脂、キシレン樹脂、ジビニルベンゼン重合体、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、ポリアクリロニトリルの如き球状樹脂粒子表面に、メカノケミカル法によってバルクメソフェーズピッチを被覆し、被覆された粒子を酸化性雰囲気化で熱処理した後に、不活性雰囲気下又は真空下で焼成して炭素化及び/又は黒鉛化し、導電性球状炭素粒子を得る方法が挙げられる。この方法で得られる球状炭素粒子は、黒鉛化されることによって球状炭素粒子の被覆部の結晶化が進み、導電性が向上したものとなるので、本発明において使用する球状粒子としてはより好ましい。
【0398】
上記した方法で得られる導電性の球状炭素粒子は、いずれの方法で製造する場合においても、焼成条件を変化させることによって得られる球状炭素粒子の導電性をある程度制御することが可能であるので、本発明において好ましく使用できる球状炭素粒子が容易に得られる。又、上記の方法で得られる球状炭素粒子は、場合によっては更に導電性を高めるために、導電性球状粒子の真密度が3g/cm3を超えない程度の範囲で、その表面に、導電性の金属及び/又は金属酸化物のメッキを施してもよい。
【0399】
本発明で好適に使用できる導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状樹脂粒子からなる芯粒子に対して、芯粒子の粒径より小さい導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合することによって、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により、芯粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することによって生ずる局部的温度上昇により芯粒子表面を軟化させ、芯粒子表面に導電性微粒子を固着させて該粒子で芯粒子表面を被覆し、導電化処理した球状樹脂粒子を得る方法が挙げられる。上記の芯粒子には、有機化合物からなる真密度の小さい球形の樹脂粒子を使用することが好ましく、樹脂としては、例えば、PMMA、アクリル樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、又はこれらの共重合体、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ポリアミド樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル樹脂が挙げられる。これらの材料からなる芯粒子(母粒子)の表面に被覆させる導電性微粒子(小粒子)としては、導電性微粒子からなる被膜が芯粒子表面に均一に設けられるようにするために、小粒子として、その粒径が母粒子の粒径に対して1/8以下であるものを使用することが好ましい。
【0400】
更に、本発明に好適に使用できる導電性球状粒子を得る他の方法としては、球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させることにより、導電性微粒子が分散された導電性球状粒子を得る方法が挙げられる。球状樹脂粒子中に導電性微粒子を均一に分散させる方法としては、例えば、結着樹脂と導電性微粒子とを混練して導電性微粒子を分散させた後、冷却固化し、所定の粒径に粉砕し、機械的処理及び熱的処理により球形化して導電性球状粒子を得る方法;又は、重合性単量体中に重合開始剤、導電性微粒子及びその他の添加剤を加え、分散機によって均一に分散せしめた重合性単量体組成物を、分散安定剤を含有する水相中に撹拌機等によって所定の粒子径になるように懸濁させて重合を行い、導電性微粒子が分散された球状粒子を得る方法等が挙げられる。
【0401】
これらの方法で得られる結着樹脂中に導電性微粒子が分散された導電性球状樹脂粒子の場合においても、これを芯粒子とし、前記したと同様に、該芯粒子よりも小さい粒径の導電性微粒子を適当な配合比で機械的に混合して、ファンデルワールス力及び静電気力の作用により、導電性球状粒子の周囲に均一に導電性微粒子を付着させた後、例えば、機械的衝撃力を付与することにより生ずる局部的温度上昇により導電性球状粒子の表面を軟化させ、芯粒子表面に導電性微粒子を固着させて導電性微粒子で芯粒子表面を被覆して、更に導電性を高めて使用してもよい。
【0402】
更に、上記導電性樹脂被覆層中に分散させる球状粒子の含有量としては、被覆層用結着樹脂100質量部に対して、好ましくは2〜120質量部、より好ましくは2〜80質量部の範囲とした場合に、特に好ましい結果が得られる。即ち、球状粒子の含有量が2質量部未満の場合には球状粒子の添加効果が小さく、120質量部を超える場合にはトナーの帯電性が低くなり過ぎてしまう場合がある。
【0403】
更に、本発明の現像装置においては、現像担持体として、その表面に設けられている樹脂被覆層中に、上記構成に加えて更に潤滑性物質が分散されていると、より本発明の効果が促進されるので好ましい。この際に使用できる潤滑性物質としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデン、窒化硼素、雲母、フッ化グラファイト、銀−セレン化ニオブ、塩化カルシウム−グラファイト、滑石、ステアリン酸亜鉛の如き脂肪酸金属塩が挙げられる。これらのなかでも特にグラファイトは、導電性樹脂被覆層の導電性を損なわないので好ましく用いられる。また、これらの潤滑性物質としては、個数平均粒径が、好ましくは0.2〜20μm程度、より好ましくは、0.3〜15μmのものを使用するとよい。
【0404】
更に、上記潤滑性物質の添加量としては、被覆層用結着樹脂100質量部に対して好ましくは5〜120質量部、より好ましくは10〜100質量部の範囲とした場合に特に好ましい結果を与える。即ち、潤滑性粒子の含有量が120質量部を超える場合には、被膜強度の低下及びトナーの帯電量の低下が認められ、5質量部未満では、7μm以下の小粒径トナーを用いて、長期間に渡って現像装置を使用した場合等において、樹脂被覆層表面にトナー汚染が発生し易くなる傾向がみられる。
【0405】
本発明で使用する現像剤担持体は、少なくとも、基体及びその上に形成した上記で説明した材料からなる導電性樹脂被覆層から構成される。基体としては、金属円筒管が使用されるが、金属円筒管としては、例えば、ステンレススチール及びアルミニウム製の円筒管が好適に用いられる。
【0406】
本発明においては、上記のような構成材料によって樹脂被覆層を形成する場合に、その表面粗度を中心線平均粗さ(以下、「Ra」と称す)で表した場合に、Raの値が好ましくは0.3〜3.5μm、より好ましくは0.5〜3.0μmとなるように調整することが好ましい。即ち、導電性樹脂被覆層表面のRaが0.3μm未満の場合には、トナーの搬送性が低下してしまい充分な画像濃度が得られなくなる場合があり、一方、導電性樹脂被覆層表面のRaが3.5μmを超える場合には、トナーの搬送量が多くなり過ぎてトナーが充分に帯電できなくなることが生じる場合がある。
【0407】
更に、上記したような構成の樹脂被覆層は、その層厚を、好ましくは25μm以下、より好ましくは20μm以下、更に好ましくは4〜20μmとすると均一な膜厚が得られるのでる好ましい。しかし、特にこの層厚に限定されるものではない。このような層厚の樹脂被覆層は、該樹脂被覆層の形成材料にもよるが、付着重量として、4,000〜20,000mg/m2程度にすれば良い。
【0408】
以下に本発明に関わる物性の測定方法について述べる。
【0409】
(1)樹脂被覆層の帯電極性の測定
<サンプル板の作製方法>:帯電極性を測定したい樹脂被覆層(カーボン及びグラファイト等の導電性物質を除いたもの)の形成用の樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを乾燥・加熱等によって成膜させ(乾燥・加熱温度及び時間は、熱可塑性樹脂の場合は溶液が完全に蒸発するまで、熱硬化性樹脂の場合は樹脂の架橋が完全に行われるまで)、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩放置する。
【0410】
<粒子の調整方法>:鉄粉(粒径約100μm)を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩以上放置する。
【0411】
<測定方法>:測定は23℃、相対湿度60%環境下で行う。先ず、上記で作製したサンプル板を図8に示す表面帯電量測定装置TS−100AS(東芝ケミカル(株)製)にセットし、電位計55を接地して値を0にする。上記で調湿した鉄粉51を滴下器52に入れ、STARTスイッチを押して20秒間鉄粉51をサンプル板53上に滴下し、予め接地を施した受容器54で受ける。この時の電位計55の示す極性を読み取って、鉄粉に対する樹脂被覆層(樹脂分のみ)の帯電極性とする。尚、56はコンデンサーである。
【0412】
(2)中心線平均粗さ(Ra)の測定
JISB0601の表面粗さの測定方法に基づき、小坂研究所製サーフコーダーSE−3300にて、軸方向3点×周方向2点=6点について各々測定し、その平均値をとった。
【0413】
(3)粒子の体積抵抗の測定
粒状試料を直径40mmのアルミリングに入れ、2500Nで加圧成型し、抵抗率計ロレスタAP、又はハイレスタIP(共に、三菱油化製)にて4端子プローブを用いて体積抵抗値を測定した。尚、測定環境は、20〜25℃,50〜60%RHとした。
【0414】
(4)樹脂被覆層の体積抵抗の測定
厚さ100μmのPETシート上に、7〜20μmの厚さの被覆層を形成して測定用サンプルを作製し、該サンプルについてASTM規格(D−991−82)及び、日本ゴム協会標準規格SRIS(2301−1969)に準拠した、導電性ゴム及びプラスチックの体積抵抗測定用の4端子構造の電極を設けた電圧降下式デジタルオーム計(川口電機製作所製)を使用して測定した。尚、測定環境は20〜25℃,50〜60RH%とした。
【0415】
(5)球状粒子の真密度の測定
本発明で使用する球状粒子の真密度は、乾式密度計アキュピック1330(島津製作所製)を用いて測定した。
【0416】
(6)球状粒子の粒径測定
レーザー回折型粒度分布計のコールターLS−130型粒度分布計(コールター社製)を用いて下記のようにして測定した。測定方法としては、水系モジュールを用い、測定溶媒としては純水を使用する。先ず、純水にて粒度分布計の測定系内を約5分間洗浄し、消泡剤として測定系内に亜硫酸ナトリウムを10〜25mg加えてバックグラウンドファンクションを実行する。次に、純水10ml中に界面活性剤3〜4滴を加え、更に測定試料を5〜25mg加える。この試料を懸濁した水溶液を超音波分散機で約1〜3分間分散処理を行い測定用の試料液を得て、前記測定装置の測定系内に試料液を徐々に加えて測定を行う。その際、装置の画面上のPIDSが45〜55%になるように測定系内の試料濃度を調整して測定を行い、個数分布から算術して個数平均粒径を求める。
【0417】
(7)現像剤に含有される導電性微粒子の粒径測定
導電性微粒子の粒径は、電子顕微鏡を用いて測定した。撮影倍率は6万倍とするが、難しい場合は、低倍率で撮影した後に6万倍となるように写真を拡大プリントする。写真上で一次粒子の粒径を測る。この際、長軸と短軸を測り、平均した値を粒径とする。これを、100サンプルについて測定し、50%値をもって平均粒径とする。
【0418】
次に、本発明において好適な現像条件に関して説明する。
【0419】
本発明において、現像剤担持体上に3〜30g/m2の現像剤層を形成することが好ましい。現像剤担持体上に3〜30g/m2の現像剤層を形成することで、均一な現像剤層を形成し易く、導電性微粉末が像担持体上に均一に供給されることで、像担持体の均一な帯電が得られ易い。現像剤担持体上の現像剤量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、十分な画像濃度が得られにくく、現像剤担持体上の現像剤層の微小なむらが、画像濃度むら及び導電性微粉末の供給むらによる像担持体の帯電むらとして現れ易くなる。現像剤担持体上の現像剤量が上記範囲よりも多すぎる場合には、トナー粒子への摩擦帯電の付与が不十分となり易く、トナー飛散を生じ易くなり、カブリの増大、転写性の低下により像担持体の帯電を阻害し易くなる。
【0420】
また、現像剤担持体上に5〜25g/m2の現像剤層を形成することがより好ましい。現像剤担持体上に5〜25g/m2の現像剤層を形成することで、現像剤担持体上の現像剤への摩擦帯電付与がより均一に行われ易く、回収した転写残トナー粒子が現像剤担持体近傍のトナー粒子の摩擦帯電に与える影響を軽減し、より安定した現像兼クリーニング性が得られる。現像剤担持体上の現像剤量が上記範囲よりも少なすぎる場合には、回収した転写残トナー粒子が現像担持体近傍のトナー粒子の摩擦帯電に影響を与え易く、一部のトナー粒子の摩擦帯電が過剰になることによる現像剤層のムラを生じ、転写残トナー粒子の回収性が不均一となることがある。現像剤担持体上の現像剤量が上記範囲よりも多すぎる場合には、回収した転写残トナー粒子が再度の摩擦帯電を十分には付与されることなく再び現像部に搬送され、現像に供されることでカブリをより生じ易くなる。
【0421】
また、本発明においては、現像剤を担持する現像剤担持体表面は、像担持体表面の移動方向と同方向に移動していてもよいし、逆方向に移動していてもよい。その移動方向が同方向である場合、像担持体の移動速度に対して比で100%以上であることが望ましい。100%未満であると画像品質が悪くなる場合がある。
【0422】
現像剤担持体表面の移動速度の像担持体表面の移動速度に対する移動速度比が100%以上(現像剤担持体表面の移動速度が、像担持体表面の移動逮度よりも大きいまたは同じ)であれば、現像剤担持体側から像担持体側へのトナー粒子の供給が十分に行われるため、十分な画像濃度を得易く、導電性微粉末の供給も十分に行われるため、像担持体の良好な帯電性を得ることができる。
【0423】
更に、現像剤担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.05〜3.0倍の速度であることがより好ましい。移動速度比が高まるほど現像部位に供給されるトナーの量は多く、潜像に対しトナーの脱着頻度が多くなり、不要な部分は掻き落とされ必要な部分には付与されるという繰り返しにより、転写残トナー粒子の回収性が向上し、回収不良によるパターンゴーストの発生をより確実に抑制することができる。更には、潜像に忠実な画像が得られる。また、接触現像プロセスにおいては、移動速度比が高まるほど像担持体と現像剤担持体との摺擦により転写残トナー粒子の回収性がより向上する。しかし、移動速度比が上記範囲を大きく超えると、現像剤担持体上からの現像剤の飛散によるカブリ、画像汚れを生じ易くなり、接触現像プロセスでは像担持体あるいは現像剤担持体が摺擦による摩耗や削れのために短寿命化し易くなる。現像剤担持体上の現像剤量を規制する現像剤層厚規制部材が現像剤を介して現像剤担持体に当接されている場合には、現像剤層厚規制部材または現像剤担持体が摺擦による摩耗や削れのために短寿命化し易い。上記観点から、現像剤担持体表面の移動速度が像担持体表面の移動速度に対し、1.1〜2.5倍の遠度であることがさらに好ましい。
【0424】
本発明において、非接触型現像方法を適用するために、現像剤担持体の像担持体に対する所定の離間距離よりも、現像剤担持体上の現像剤層を薄く形成することが好ましい。本発明によって、従来は困難であった非接触型現像方法を用いた現像兼クリーニング画像形成を高い画像品位で実現することが可能となった。現像工程において、像担持体に対して現像剤層を非接触とし、像担持体の静電潜像をトナー画像として可視化する非接触型現像方法を適用することで、電気抵抗値が低い導電性微粉末を現像剤中に多量に添加しても、現像バイアスが像担持体へ注入することによる現像かぶりが発生しない。そのため、良好な画像を得ることができる。
【0425】
また、現像剤担持体は像担持体に対して100〜1000μmの離間距離を有して対向して設置されることが好ましい。現像剤担持体の像担持体に対する離間距離が上記範囲よりも小さすぎると、離間距離の振れに対する現像剤の現像特性の変化が大きくなるため、安定した画像性を満足する画像形成装置を量産することが困難となる。現像剤担持体の像担持体に対する離間距離が上記範囲よりも大きすぎると、像担持体上の潜像に対するトナー粒子の追従性が低下するために、解像性の低下、画像濃度の低下等の画質低下を招きやすい。また、像担持体上への導電性微粉末の供給性が低下し易く、像担持体の帯電性が低下し易くなる。より好ましくは現像剤担持体は像担持体に対して100〜600μmの離間距離を有して対向して設置されることである。現像剤担持体の像担持体に対する離間距離が100〜600μmであることで、現像兼クリーニング工程における転写残トナー粒子の回収性がより優位に行える。離間距離が上記範囲よりも大きすぎると、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。
【0426】
本発明では、現像剤担持体と像担持体との間に交番電界(交流電界)を形成して現像を行う現像工程で現像されることが好ましい。交番電界は現像剤担持体と像担持体との間に交番電圧を印加することにより形成することができる。印加する現像バイアスは直流電圧に交番電圧(交流電圧)を重畳したものであってもよい。
【0427】
交番電圧の波形としては、正弦波、矩形波、三角波等適宜使用可能である。また、直流電源を周期的にオン/オフすることによって形成されたパルス波であっても良い。このように交番電圧の波形としては周期的にその電圧値が変化するようなバイアスが使用できる。
【0428】
現像剤を担持をする現像剤担持体と像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で3×106〜10×106V/m、周波数100〜5000Hzの交流電界(交番電界)を、現像バイアスを印加することによって形成することが好ましい。現像バイアスを印加することにより上記範囲の交流電界を形成することで、現像剤中に添加された導電性微粉末が均等に像担持体側に移行されやすく、帯電部において導電性微粉末を介しての接触帯電部材と像担持体との均一かつ緻密な接触を得ることで、像担持体の一様帯電(特に直接注入帯電)を顕著に促進することができる。また、交流電界を現像バイアスにより形成することで、現像剤担持体と像担持体間に高電位差がある場合でも、現像部における像担持体への電荷注入が生じないため、導電性微粉末を現像剤中に多量に添加しても、現像バイアスが像担持体へ電荷注入することによる現像かぶりが発生せず、良好な画像を得ることができる。現像剤担持体と像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の強度が上記範囲よりも小さすぎると、像担持体に供給される導電性微粉末の量が不足しやすく、像担持体の一様帯電性が低下し易い。また、現像力が小さいために画像濃度の低い画像となり易い。一方、交流電界の強度が上記範囲よりも大きすぎると、現像力が大き過ぎるために細線の潰れによる解像性の低下、カブリの増大による画質低下及び像担持体の帯電性の低下を生じ易く、現像バイアスの像担持体へのリークによる画像欠陥を生じ易くなる。また、現像剤担持体と像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の周波数が上記範囲よりも小さすぎると、像担持体に均一に導電性微粉末が供給されにくく、像担持体の一様帯電のむらを生じ易くなる。交流電界の周波数が上記範囲よりも大きすぎると、像担持体に供給される導電性微粉末の量が不足しやすく、像担持体の一様帯電性が低下し易い。
【0429】
さらに、現像剤を担持する現像剤担持体と潜像担持体との間に、少なくともピークトゥーピークの電界強度で4×106〜10×106V/m、周波数500〜4000Hzの交流電界(交番電界)を、現像バイアスを印加することによって形成することがより好ましい。上記範囲の交流電界を現像バイアスにより形成することで、現像剤中に添加された導電性微粉末が均等に潜像担持体側に移行されやすく、転写後の潜像担持体に均一に導電性微粉末を塗布することができ、非接触型現像方法を適用した場合においても高い転写残トナー粒子の回収性が維持できる。
【0430】
現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の強度が上記範囲よりも小さすぎると、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下し、回収不良によるカブリを生じ易くなる。また、現像剤担持体と潜像担持体との間に現像バイアスを印加することで形成される交流電界の周波数が上記範囲よりも小さすぎると、潜像に対するトナーの脱着頻度が少なくなり、現像装置への転写残トナー粒子の回収性が低下しやすく、画像品質も低下し易い。交流電界の周波数が上記範囲よりも大きすぎると、電界の変化に追従できるトナー粒子が少なくなるために、転写残トナー粒子の回収性が低下し、転写残トナー粒子の回収不良によるポジゴーストを生じ易くなる。
【0431】
本発明において、転写工程は現像工程によって形成されたトナー画像を中間転写体に転写した後に、紙等の記録媒体に再転写する工程であっても良い。すなわち、潜像担持体からトナー画像の転写を受ける転写材は転写ドラム等の中間転写体であってもよい。転写材を中間転写体とする場合、中間転写体から紙などの記録媒体に再度転写することでトナー画像が得られる。中間転写体を適用することで厚紙等の種々の記録媒体に寄らず潜像担持体上の転写残トナー粒子量を低減できる。
【0432】
また、本発明において、転写時に転写部材が転写材(配録媒体)を介して潜像担持体に当接していることが好ましく良い。
【0433】
潜像担持体と転写材を介して転写手段を当接しながら潜像担持体上のトナー画像を転写材に転写する接触転写工程では、転写手段の当接圧力としては線圧2.94〜980N/mであることが好ましく、より好ましくは19.6〜490N/mである。転写手段の当接圧力が上記範囲よりも小さすぎると、転写材の搬送ずれや転写不良の発生が起こりやすくなるため好ましくない。当接圧力が上記範囲よりも大きすぎる場合には、潜像担持体表面の劣化やトナー粒子の付着を招き、結果として潜像担持体表面へのトナー融着を生じる場合がある。
【0434】
また、接触転写工程における転写手段としては、転写ローラあるいは転写ベルトを有する装置が好ましく使用される。転写ローラは少なくとも芯金と芯金を被覆する導電性弾性層とを有し、導電性弾性層はポリウレタンゴム、エチレン−プロピレン−ジエンポリエチレン(EPDM)の如き弾性材料に、カーボンブラック、酸化亜鉛、酸化スズ、炭化硅素のごとき導電性付与剤を配合分散して電気抵抗値(体積抵抗率)を106〜1010Ω・cmの中抵抗に調整した、ソリッドあるいは発泡肉質の層等による弾性体であることが好ましい。
【0435】
転写ローラでの好ましい転写プロセス条件としては、転写ローラの当接圧が2.94〜490N/mであり、より好ましくは19.6〜294N/mである。当接圧力としての線圧が上記範囲よりも小さすぎる場合には、転写残トナー粒子が増加し潜像担持体の帯電性を阻害し易くなる。転写手段の当接圧力が上記範囲よりも大きすぎると、押圧力により導電性微粉末が転写材に転写され易くなり、導電性微粉末の潜像担持体または接触帯電部材への供給量が減少することで、潜像担持体の帯電促進効果が低下し、現像兼クリーニングでの転写残トナー粒子の回収性が低下する。また、画像上でのトナーの飛び散りが増加する。
【0436】
転写材を介して潜像担持体に転写手段を当接させながらトナー画像を転写材に静電転写する接触転写工程では、印加される直流電圧は±0.2〜±10kVであることが好ましい。
【0437】
また、本発明の現像装置は、潜像担持体として直径が30mm以下の小径の感光体を有する画像形成装置に対し特に有効に用いられる。即ち、転写工程後かつ帯電工程前に独立したクリーニング工程を有さないことで、帯電、露光、現像、転写各工程の配置の自由度が高まり、直径が30mm以下の小径の感光体と組み合わせて、画像形成装置の小型化、省スペース化を達成できる。ベルト状感光体でも同様に各工程の配置の自由度が高まることで、画像形成装置の小型化、省スペース化を達成する上で、当接部での曲率半径が25mm以下の感光体ベルトを用いた画像形成装置に対しても有効である。
【0438】
また、本発明の画像形成装置は、上記したような潜像担持体と現像手段とを少なくとも有するプロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱可能に装着するものであっても良い。なお、このプロセスカートリッジは、上記帯電手段をさらに有するものであってもよい。
【0439】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0440】
まず、本発明の実施例に用いる潜像担持体としての感光体の製造例について述べる。
【0441】
<感光体製造例>
負帯電用の有機光導電性物質を用いた感光体(以下「OPC感光体」と表記する)を製造した。感光体の基体には、直径24mmのアルミニウム製のシリンダーを用いた。このシリンダー上に下記の各層を浸漬塗布することにより順次積層して、図5に示すような構成の感光体を作製した。
【0442】
第1層は導電層12であり、アルミニウム基体11の欠陥等をならすため、またレーザー露光の反射によるモアレの発生を防止するために設けられている厚さ約20μmの導電性粒子分散樹脂層(酸化錫及び酸化チタンの粉末をフェノール樹脂に分散したものを主体とする)である。
【0443】
第2層は正電荷注入防止層13であり、アルミニウム基体11から注入された正電荷が感光体表面に帯電された負電荷を打ち消すのを防止する役割を果たし、メトキシメチル化ナイロンによって106Ω・cm程度に抵抗調整された厚さ約1μmの中抵抗層である。
【0444】
第3層は電荷発生層14であり、ジスアゾ系の顔料をプチラール樹脂に分散した厚さ約0.3μmの層であり、レーザー露光を受けることによって正負の電荷対を発生する。
【0445】
第4層は電荷輸送層15であり、ポリカーボネート樹脂にヒドラゾン化合物を分散した厚さ約25μmの層であり、P型半導体である。従って、感光体表面に帯電された負電荷はこの層を移動することはできず、電荷発生層で発生した正電荷のみを感光体表面に輸送することができる。
【0446】
第5層は電荷注入層16であり、光硬化性のアクリル樹脂に導電性酸化スズ超微粒子及び粒径約0.25μmの四フッ化エチレン樹脂粒子を分散したものである。具体的には、樹脂に対して、アンチモンをドーピングし低抵抗化した粒径約0.03μmの酸化スズ粒子を100質量%、更に四フッ化エチレン樹脂粒子を20質量%、分散剤を1.2質量%を分散したものである。このようにして調製した塗工液をスプレー塗工法にて厚さ約2.5μmに塗工して電荷注入層16とした。
【0447】
このようにして得られた感光体の最表面層における体積抵抗は、5×1012Ω・cm、感光体表面の水に対する接触角は、102度であった。
【0448】
次に、本発明の実施例で用いられる帯電部材の製造例について述べる。
【0449】
<帯電部材の製造例>
直径6mm,長さ264mmのSUSローラを芯金とし、芯金上にウレタン樹脂、導電性粒子としてのカーボンブラック、硫化剤、発泡剤等を処方した中抵抗の発泡ウレタン層をローラ状に形成し、さらに切削研磨し形状及び表面性を整えた。このようにして、直径12mm,長さ234mmの可撓性を有する発泡ウレタンローラを有する帯電ローラを作製した。
【0450】
得られた帯電ローラは、発泡ウレタンローラの抵抗が105Ω・cmであり、硬度は、アスカーC硬度で30度であった。
【0451】
<トナー粒子の製造例Ts−1>
・スチレン−アクリル酸ブチル−マレイン酸ブチルハーフエステル共重合体(Tg63℃、分子量:Mp12000、Mn6500、Mw230000) 100質量部
・磁性酸化鉄(平均粒子径0.22μm、795.5kA/m磁場での抗磁力(Hc)5.2kA/m、飽和磁化(σs)85Am2/kg、残留磁化(σr)5.0Am2/kg) 90質量部
・モノアゾ鉄錯体(負帯電性制御剤) 2質量部
・低分子量エチレン−プロピレン共重合体 4質量部
上記材料をブレンダーにて混合し、混合物を130℃に加熱したエクストルーダーにより溶融混練し、得られた混練物を冷却後、粗粉砕し、ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕した。さらに得られた微粉砕品をコアンダ効果を利用した多分割分級装置で厳密に分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる重量平均粒径7.9μmのトナー粒子Ts−1を得た。トナー粒子Ts−1の抵抗は、1014Ω・cm以上であった。
【0452】
円形度分布は、発明の実施の形態で述べようにフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)を用いた方法で測定した。より詳細に記述すると、内径30mm、高さ65mmの硬質ガラス製ネジ口瓶(例えば、日電理化硝子株式会社製30ml用ネジ口瓶SV−30)に、フィルターを通して微細なごみを取り除いた水(円相当径0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の粒子数が103cm3中に測定20個以下とすることが好ましい)10mlと、希釈した界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を微細なごみを取り除いた水で10倍程度に薄めたもの)を数滴加えた。これに測定試料を測定円相当径範囲の粒子を対象として測定試料の粒子濃度が7000〜10000個/103cm3となるように適当量(例えば、0.5〜20mg)加え、超音波ホモジナイザーで3分間分散処理(出カ50W、周波数20kHzの株式会社エスエムテー社製ULTRASONICHOMOGENIZERUH−50に6mm径ステップ型チップを適用し、パワーコントロールボリュームの目盛りを7に設定して、すなわち同チップを用いた場合の最大出カの半分程度の分散力で処理)を行った試料分散液を用いて、0.60μm以上159.21μm未満の円相当径を有する粒子の粒度分布及び円形度分布を測定した。
【0453】
得られた粒度分布から、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子の含有量(個数%)、円形度を求めた。トナー粒子Ts−1の上記各物性値を表2に示す。
【0454】
<トナー粒子の製造例Ts−2>
トナー粒子の製造例Ts−1で得られた粗粉砕物を機械式粉砕機により微粉砕した。得られた微粉砕品を多分割分級装置で分級し、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる重量平均粒径6.8μmのトナー粒子Ts−2を得た。トナー粒子の抵抗は、1014Ω・cm以上であった。
【0455】
<トナー粒子の製造例Ts−3>
トナー粒子の製造例Ts−2で得られた分級品を、図6および図7に示すトナー粒子球形化処理装置を用いて熱機械的衝撃力を粒子に繰り返し与えることにより球形化処理し、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる重量平均粒径6.5μmのトナー粒子Ts−3を得た。
【0456】
<トナー粒子の製造例Ts−4>
トナー粒子の製造例Ts−3で得られた分級品を、300℃熱風中を瞬間的に通過させる球形化処理を行い、重量平均粒径6.9μmの磁性のトナー粒子Ts−4を得た。磁性のトナー粒子Ts−4の抵抗は1014Ω・cmであった。
【0457】
<トナー粒子の製造例Tp−1>
・ポリエステル樹脂(Tg60℃、酸価20mgKOH/g、水酸基価30mgKOH/g、分子量:Mp7000、Mn3000、Mw55000) 100質量部
・磁性酸化鉄(平均粒子径0.20μm、795.5kA/m磁場でのHc9.2kA/m、σs82Am2/kg、σr11.5Am2/kg) 90質量部
・モノアゾ鉄錯体(負帯電性制御剤) 2質量部
・低分子量エチレン−プロピレン共重合体 4質量部
上記材料をトナー粒子の製造例Ts−1と同様の方法で溶融混練・粗粉砕・ジェット気流を用いた微粉砕機を用いて微粉砕し、分級して、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる重量平均粒径8.1μmのトナー粒子Tp−1を得た。トナー粒子Tp−1の抵抗は、1014Ω・cm以上であった。
【0458】
<トナー粒子の製造例Tp−2>
トナー粒子の製造例Tp−1で得られた粗粉砕物を機械式粉砕機により微粉砕した。得られた微粉砕品を多分割分級装置で分級し、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる重量平均粒径7.0μmのトナー粒子Tp−2を得た。トナー粒子の抵抗は、1014Ω・cm以上であった。
【0459】
<トナー粒子の製造例Tp−3>
トナー粒子の製造例Tp−2で得られた分級品を、図6および図7に示すトナー粒子球形化処理装置を用いて熱機械的衝撃力を粒子に繰り返し与えることにより球形化処理し、0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の体積基準の粒度分布から求められる重量平均粒径6.7μmのトナー粒子Tp−3を得た。
【0460】
<トナー粒子の製造例Tp−4>
トナー粒子の製造例Tp−3で得られた分級品を、300℃熱風中を瞬間的に通過させる球形化処理を行い、重量平均粒径7.2μmの磁性のトナー粒子Tp−4を得た。磁性のトナー粒子Tp−4の抵抗は1014Ω・cmであった。
【0461】
上記各トナー粒子Ts−1〜4及びTp−1〜4の代表的物性値を表2に示す。
【0462】
【表2】
【0463】
<無機微粉末の製造例I−1>
ヘキサメチルジシラザンで処理した後にジメチルシリコーンオイルで処理された疎水性乾式シリカ微粉体を無機微粉末I−1とした。この無機微粉末I−1の一次粒子の個数平均径は12nm、BET比表面積は120m2/gであった。
【0464】
<無機微粉末の例I−2>
ヘキサメチルジシラザンで処理した乾式シリカ微粉体を無機微粉末I−2とした。この無機微粉末I−2の一次粒子の個数平均径は16nm、BET比表面積は170m2/gであった。
【0465】
上記各無機微粉末I−1〜I−2の代表的物性値を表3に示す。
【0466】
【表3】
【0467】
<導電性微粒子の例C−1〜3>
体積平均粒径0.07μm、1.52μm、2.03μmの酸化亜鉛を導電性微粒子C−1、C−2、C−3とした。発明の実施の形態において述べた錠剤法によって測定された導電性微粒子の抵抗はそれぞれ1.2×103Ω・cm、8.9×103Ω・cm、2.7×104Ω・cmであった。
【0468】
<導電性微粒子の例C−4〜6>
体積平均粒径0.50μm、1.15μm、5.22μmの酸化スズを導電性微粒子C−4、C−5、C−6とした。発明の実施の形態において述べた錠剤法によって測定された導電性微粒子の抵抗はそれぞれ7.3×104Ω・cm、1.2×105Ω・cm、1.8×107Ω・cmであった。
【0469】
<導電性微粒子の例C−7>
粒径約0.1μmの酸化チタン粉体に質量比で50%の酸化スズを付着させた導電性微粒子を導電性微粒子C−7とした。発明の実施の形態において述べた錠剤法によって測定された導電性微粒子の抵抗は3.1×102Ω・cmであった。
【0470】
上記各導電性微粒子C−1〜C−7の代表的物性値を表4に示す。
【0471】
【表4】
【0472】
<現像剤の製造例Rs−0>
トナー粒子の製造例Ts−1で得られた磁性トナー粒子Ts−1を100質量部に対し、無機微粉末I−1を1.23質量部添加し、ミキサーで均一に混合して現像剤Rs−0を得た。
【0473】
得られた磁性現像剤Rs−0の0.60μm以上159.21μm未満の粒径範囲の個数基準の粒度分布は、前記トナー粒子製造例で述べようにフロー式粒子像分析装置FPIA−1000(東亜医用電子社製)を用いた方法で測定した。現像剤Rs−0の上記各物性値を表5に示す。
【0474】
<現像剤の製造例Rs−1>
トナー粒子の製造例Ts−1で得られた磁性トナー粒子Ts−1を100質量部に対し、無機微粉末I−1を1.23質量部及び導電性微粒子C−4を1.03質量部添加し、ミキサーで均一に混合して現像剤Rs−1を得た。
【0475】
<現像剤の製造例Rs−2〜7>
現像剤の製造例Rs−1において、導電性微粒子C−4をそれぞれC−5、C−2、C−3、C−7、C−6、C−1とした以外は、現像剤の製造例RS−1と同様にして現像剤Rs−2、Rs−3、Rs−4、Rs−5、Rs−6、Rs−7を得た。
【0476】
<現像剤の製造例Rs−8〜10>
現像剤の製造例Rs−1において、トナー粒子Ts−1の代わりにトナー粒子Ts−2、Ts−3、Ts−4をそれぞれ用いた以外は、現像剤の製造例Rs−1と同様にして現像剤Rs−8、Rs−9、Rs−10を得た。
【0477】
<現像剤の製造例Rp−0>
トナー粒子の製造例Tp−1で得られた磁性トナー粒子Tp−1を100質量部に対し、無機微粉末I−2を1.23質量部添加し、ミキサーで均一に混合して現像剤Rp−0を得た。
【0478】
<現像剤の製造例Rp−1>
トナー粒子の製造例Tp−1で得られた磁性トナー粒子Tp−1を100質量部に対し、無機微粉末I−2を1.23質量部及び導電性微粒子C−4を1.03質量部添加し、ミキサーで均一に混合して現像剤Rp−1を得た。
【0479】
<現像剤の製造例Rp−2〜7>
現像剤の製造例Rp−1において、導電性微粉末C−4をそれぞれC−5、C−2、C−3、C−7、C−6、C−1とした以外は、現像剤の製造例Rp−1と同様にして現像剤Rp−2、Rp−3、Rp−4、Rp−5、Rp−6、Rp−7を得た。
【0480】
<現像剤の製造例Rp−8〜10>
現像剤の製造例Rp−1において、トナー粒子Tp−1の代わりにトナー粒子Tp−2、Tp−3、Tp−4をそれぞれ用いた以外は、現像剤の製造例Rp−1と同様にして現像剤Rp−8、Rp−9、Rp−10を得た。
【0481】
上記各現像剤Rs−0〜10及びRp−0〜10の重量平均粒径、1.00μm以上2.00μm未満および3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子の含有量(個数%)を表5にそれぞれ示す。
【0482】
【表5】
【0483】
<現像剤担持体製造例Dp−l−1>
正帯電性物質である含窒素複素環化合物としては、一般式B−1で示される個数平均粒径3μmのイミダゾール化合物粒子を用いた。
【0484】
【化16】
【0485】
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 400質量部
・含窒素複素環化合物B−1(イミダゾール化合物) 15質量部
・イソプロピルアルコール 335質量部
上記材料を直径2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行い、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製した。このサンプル板を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩放置し、これを前述したようにして鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。
【0486】
導電性球状粒子として、個数平均粒径7.8μmの球状フェノール樹脂粒子100質量部にライカイ機(自動乳鉢、石川工業製)を用いて個数平均粒径2μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14質量部を均一に被覆し、空気中下280℃で熱安定化処理した後に窒素雰囲気下2000℃で焼成することにより黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均粒径7.2μmの球状導電性炭素粒子を用いた。
・導電性カーボンブラック20質量部
・個数平均粒径3.4μmのグラファイト80質量部
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有)400質量部
・含窒素複素環化合物B−1(イミダゾール化合物)15質量部
・球状炭素粒子(個数平均粒径7.2μm)10質量部
・イソプロピルアルコール125質量部
上記材料を直径2mmのジルコニア粒子にて3時間サンドミル分散を行い、その後ジルコニア粒子を篩いで分離し、イソプロピルアルコールで固形分を40%に調整し塗工液(c(カーボン)/GF(グラファイト)/B(フェノール樹脂)/CA(含窒素複素環化合物B−1)/R(球状粒子)=0.2/0.8/2.0/0.15/0.1)を得た。この塗工液を絶縁シート上にバーコーターにてコート・乾燥させ、これを定形にカットし、低抵抗率計ロレスター(三菱化学社製)にて測定したところ、体積抵抗率は3.52Ω・cmであった。
【0487】
この塗料をスプレー法にて直径16mmのAl円筒体上に15μmの被膜を形成させ、次いで熱風乾燥器により150℃/30分間加熱・硬化させ現像剤担持体Dp−l−1を作製した。この現像剤担持体上の導電性被覆層表面のRaをサーフコーダーSE−3300(小坂研究所製)にて、評価長さ4mm、6点測定しその平均値を算出したところ、Ra=1.21μmであった。
【0488】
<現像剤担持体製造例Dp−l−2〜4>
含窒素複素環化合物としては、一般式B−2〜4で示される個数平均粒径3μmのイミダゾール化合物粒子を用いた。
【0489】
【化17】
【0490】
これを現像剤担持体製造例Dp−l−1と同様にして鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、いずれも正帯電性を示した。
【0491】
これを現像剤担持体製造例Dp−l−1と同様の操作で分散・塗工し、現像剤担持体Dp−l−2〜4を作製し、同様の評価を行った。
【0492】
<現像剤担持体製造例Dp−n−1>
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 600質量部
・含窒素複素環化合物B−1(イミダゾール化合物) 20質量部
・イソプロピルアルコール 447質量部
上記材料を、直径2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行い、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩放置する。これを発明の実施の形態で述べたように、鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。
・導電性カーボンブラック 20質量部
・個数平均粒径3.4μmのグラファイト 80質量部
・レゾール型フェノール樹脂溶液(メタノール50%含有) 600質量部
・含窒素複素環化合物B−1(イミダゾール化合物) 20質量部
・球状炭素粒子(個数平均粒径3.7μm) 10質量部
・イソプロピルアルコール 700質量部
上記材料に直径2mmのジルコニアビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて2時間分散し、フルイを用いてビーズを分離し、イソプロピルアルコールで固形分を40%に調整し塗工液(c(カーボン)/GF(グラファイト)/B(結着樹脂)/CA(含窒素複素環化合物B−1)/R(球状粒子)=0.2/0.8/3.0/0.2/0.1)を得た。
【0493】
これを現像剤担持体製造例Dp−l−1と同様の操作で分散・塗工し、現像剤担持体Dp−n−1を作製し、同様の評価を行った。
【0494】
<現像剤担持体製造例Dp−n−2〜4>
現像剤担持体製造例Dp−n−1において、含窒素複素環化合物をB−2〜4に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Dp−n−1と同様にして現像剤担持体Dp−n−2〜4を作製し、同様の評価を行った。
【0495】
【表6】
【0496】
<現像剤担持体製造例Dm−l−1>
・レゾール型フェノール樹脂(固形分50%) 320質量部
・メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−1(固形分50%)(モル比90:10、Mw=10,200、Mn=4,500、Mw/Mn=2.3) 80質量部
・MEK 400質量部
上記材料を直径2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行い、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩放置する。これを発明の実施の形態で述べたように、鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。
【0497】
球状粒子として、個数平均粒径7.8μmの球状フェノール樹脂粒子100部にライカイ機(自動乳鉢、石川工場製)を用いて個数平均粒径2μm以下の石炭系バルクメソフェーズピッチ粉末14部を均一に被覆し、空気中下280℃で熱安定化処理した後に窒素雰囲気下2000℃で焼成することにより黒鉛化し、更に分級して得られた個数平均径11.7μmの球状導電性炭素粒子を用いた。
・カーボンブラック 20質量部
・個数平均粒径4.8μmの結晶性グラファイト 80質量部
・レゾール型フェノール樹脂(固形分50%) 320質量部
・メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−1(固形分50%)(モル比90:10、Mw=10,200、Mn=4,500、Mw/Mn=2.3) 80質量部
・球状炭素粒子(個数平均粒径11.7μm) 30質量部
・MEK 130質量部
上記材料をφ2mmのジルコニア粒子にて3時間サンドミル分散を行い、その後ジルコニア粒子を篩いで分離し、MEKで固形分を40%に調整し、塗工液(c(カーボン)/GF(グラファイト)/B(フェノール樹脂)/D(共重合体P−1)/R(球状粒子)=0.2/0.8/1.6/0.4/0.3)を得た。この塗工液を絶縁シート上にバーコーターにてコート・乾燥させ、これを定形にカットし、低抵抗率計ロレスター(三菱化学社製)にて測定したところ、体積抵抗率は5.03Ω・cmであった。
【0498】
この塗料をスプレー法にて直径16mmのAl円筒体上に15μmの被膜を形成させ、次いで熱風乾燥器により150℃/30分間加熱・硬化させ現像剤担持体D−1を作製した。この現像剤担持体上の導電性被覆層表面のRaをサーフコーダーSE−3300(小坂研究所製)にて、評価長さ4mm、6点測定しその平均値を算出したところ、Ra=1.27μmであった。
【0499】
<現像剤担持体製造例Dm−l−2〜4>
現像剤担持体製造例Dm−l−1で用いた共重合体P−1に替えて、共重合体の分子量及びメチルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレートのモル比を変化させた共重合体P−2〜4を用いて、現像剤担持体製造例Dm−l−1と同様にして現像剤担持体Dm−l−2〜4を作製し、現像剤担持体製造例Dm−l−1と同様の評価を行った。
【0500】
現像剤担持体Dm−l−2に使用した共重合体
メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−2(固形分40%)(モル比90:10、Mw=40,000、Mn=19,000、Mw/Mn=2.1)
現像剤担持体Dm−l−3に使用した共重合体
メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−3(固形分40%)(モル比90:10、Mw=3,700、Mn=2,300、Mw/Mn=1.6)
現像剤担持体Dm−l−4に使用した共重合体
メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−4(固形分40%)(モル比70:30、Mw=8,500、Mn=2,900、Mw/Mn=2.9)
<現像剤担持体製造例Dm−n−1>
・レゾール型フェノール樹脂(固形分50%) 460質量部
・メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−1(固形分50%) 140質量部
・MEK 400質量部
上記材料を上記材料を直径2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行い、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩放置する。これを発明の実施の形態で述べたように、鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。
・カーボンブラック 20質量部
・個数平均粒径4.8μmの結晶性グラファイト 80質量部
・レゾール型フェノール樹脂(固形分50%) 460質量部
・メチルメタクリレート−ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体P−1(固形分50%) 140質量部
・球状炭素粒子(個数平均粒径7.2μm) 30質量部
・MEK 130質量部
上記材料に直径2mmのジルコニアビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて2時間分散し、フルイを用いてビーズを分離し、MEKで固形分を40%に調整し塗工液(c(カーボン)/GF(グラファイト)/B(結着樹脂)/D(共重合体P−1)/R(球状粒子)=0.2/0.8/2.3/0.7/0.3)を得た。
【0501】
これを現像剤担持体製造例Dm−l−1と同様の操作で分散・塗工し、現像剤担持体Dm−n−1を作製し、同様の評価を行った。
【0502】
<現像剤担持体製造例Dm−n−2〜4>
現像剤担持体製造例Dm−n−1において、共重合体をP−2〜4に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Dm−n−1と同様にして現像剤担持体Dm−n−2〜4を作製し、同様の評価を行った。
【0503】
【表7】
【0504】
<現像剤担持体製造例Df−l−1>
<電荷制御樹脂の製造>
・メタノール: 300質量部
・トルエン: 100質量部
・スチレン: 468質量部
・2−エチルヘキシルアクリレート: 90質量部
・2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸: 42質量部
・ラウロイルパーオキサイド: 6質量部
上記原料をフラスコに仕込み、撹拌装置、温度測定装置、窒素導入装置を装着して、窒素雰囲気下65℃で溶液重合させ、10時間保持して重合反応を終了させた。得られた重合物を減圧乾燥、粉砕して、重量平均分子量10,000の電荷制御樹脂F−1を得た。
【0505】
以下、組成比を表8に示すように変更することにより、電荷制御樹脂F−2、F−3を得た。
【0506】
電荷制御樹脂F−1 50質量部をメチルエチルケトン50質量部に溶解させることにより、電荷制御樹脂溶液F−1を作製した。
・フェノール樹脂(メタノール50%含有) 340質量部
・電荷制御樹脂溶液F−1(MEK50%含有) 60質量部
・イソプロピルアルコール 267質量部
上記材料を直径2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行い、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃,相対湿度60%環境下にて一晩放置する。これを発明の実施の形態で述べたように、鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。
・カーボンブラック 20質量部
・個数平均粒径5.5μmの結晶性グラファイト 80質量部
・アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂(メタノール50%含有)
340質量部
・電荷制御樹脂溶液F−1(MEK50%含有) 60質量部
・球状炭素粒子(個数平均粒径11.7μm) 20質量部
・イソプロピルアルコール 120質量部
【0507】
この塗料をスプレー法にて直径16mmのAl円筒体上に15μmの被膜を形成させ、次いで熱風乾燥器により150℃/30分間加熱・硬化させ現像剤担持体Df−l−1を作製した。この現像剤担持体上の導電性被覆層表面のRaをサーフコーダーSE−3300(小坂研究所製)にて、評価長さ4mm、6点測定しその平均値を算出したところ、Ra=1.07μmであった。
【0508】
<現像剤担持体製造例Df−l−2>
現像剤担持体製造例Df−l−1において、アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂を、ヘキサメチレンテトラミンを触媒として製造されたフェノール樹脂に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Df−l−1と同様にして現像剤担持体Df−l−2を作製し、現像剤担持体製造例Df−l−1と同様の評価を行った。
【0509】
<現像剤担持体製造例Df−l−3>
現像剤担持体製造例Df−l−1で用いた電荷制御樹脂F−1に代えて、組成比を表8に示すように変更することにより得られた電荷制御樹脂F−2を用い、アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂をポリアミド樹脂に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Df−l−1と同様にして現像剤担持体Df−l−3を作製し、現像剤担持体製造例Df−l−1と同様の評価を行った。
【0510】
<現像剤担持体製造例Df−l−4>
現像剤担持体製造例Df−l−1で用いた電荷制御樹脂F−1に代えて、組成比を表8に示すように変更することにより得られた電荷制御樹脂F−3を用い、アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂をポリウレタン樹脂に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Df−l−1と同様にして現像剤担持体Df−l−4を作製し、現像剤担持体製造例Df−l−1と同様の評価を行った。
【0511】
<現像剤担持体製造例Df−n−1>
・フェノール樹脂(メタノール50%含有) 500質量部
・電荷制御樹脂溶液F−1(MEK50%含有) 100質量部
・イソプロピルアルコール 400質量部
上記材料を直径2mmのガラス粒子にて1時間サンドミル分散を行い、その後ガラス粒子を篩いで分離し、この樹脂溶液を、SUS板上にバーコーター(#60)にて塗布し、これを150℃/30分で加熱・硬化させ、サンプル板を作製する。このサンプル板を接地した状態で、23℃、相対湿度60%環境下にて一晩放置する。これを発明の実施の形態で述べたように、鉄粉との摩擦帯電極性を測定したところ、正帯電性を示した。
・カーボンブラック 20質量部
・個数平均粒径5.5μmの結晶性グラファイト 80質量部
・アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂(メタノール50%含有)
500質量部
・電荷制御樹脂溶液F−1(MEK50%含有) 100質量部
・球状炭素粒子(個数平均粒径7.2μm) 20質量部
・イソプロピルアルコール 120質量部
上記材料に直径2mmのジルコニアビーズをメディア粒子として加え、サンドミルにて2時間分散し、フルイを用いてビーズを分離し、イソプロピルアルコールで固形分を40%に調整し塗工液(c(カーボン)/GF(グラファイト)/B(結着樹脂)/CA(電荷制御樹脂F−1)/R(球状粒子)=0.2/0.8/2.5/0.5/0.2)を得た。
【0512】
これを現像剤担持体製造例Df−l−1と同様の操作で塗工し現像剤担持体Df−n−1を作製し、現像剤担持体製造例Df−l−1と同様の評価を行った。
【0513】
<現像剤担持体製造例Df−n−2>
現像剤担持体製造例Df−n−1において、アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂を、ヘキサメチレンテトラミンを触媒として製造されたフェノール樹脂に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Df−n−1と同様にして現像剤担持体Df−n−2を作製し、現像剤担持体製造例Df−n−1と同様の評価を行った。
【0514】
<現像剤担持体製造例Df−n−3>
現像剤担持体製造例Df−n−1で用いた電荷制御樹脂F−1に代えて、組成比を表8に示すように変更することにより得られた電荷制御樹脂F−2を用い、アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂をポリアミド樹脂に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Df−n−1と同様にして現像剤担持体Df−n−3を作製し、現像剤担持体製造例Df−n−1と同様の評価を行った。
【0515】
<現像剤担持体製造例Df−n−4>
現像剤担持体製造例Df−n−1で用いた電荷制御樹脂F−1に代えて、組成比を表8に示すように変更することにより得られた電荷制御樹脂F−3を用い、アンモニアを触媒として製造されたフェノール樹脂をポリウレタン樹脂に代えたこと以外は現像剤担持体製造例Df−n−1と同様にして現像剤担持体Df−n−4を作製し、現像剤担持体製造例Df−n−1と同様の評価を行った。
【0516】
【表8】
【0517】
<画像形成装置例の説明>
図1は、本発明の画像形成装置の構成の一例を示す図である。この画像形成装置は、転写式電子写真プロセスを利用した現像兼クリーニングプロセス(クリーナレスシステム)のレーザープリンター(記録装置)である。クリーニングブレードなどのクリーニング部材を有するクリーニングユニットを除去したプロセスカートリッジを有し、現像剤としては磁性1成分系現像剤(すなわち、外添剤と磁性トナー粒子を有する磁性トナー)を使用し、現像剤担持体上の現像剤層と像担持体とが非接触となるように配置された非接触現像の画像形成装置の一例である。
【0518】
(1)画像形成装置の構成
1は潜像担持体としての、感光体製造例1の回転ドラム式のOPC感光体であり、時計方向(矢印の方向)に100mm/secの周速度(プロセススピード)をもって回転駆動される。
【0519】
2は接触帯電部材としての帯電部材製造例の帯電ローラであり、芯金2aと弾性層2bとよりなる。帯電ローラ2は感光体1に対して弾性に抗して所定の押圧力で圧接させて配設してある。nは感光体1と帯電ローラ2との接触部である帯電部である。本実施例では、帯電ローラ2は感光体1との接触部である帯電部nにおいてカウンター方向(感光体表面の移動方向と逆方向)に141mm/sec(相対移動速度比250%)の周速度で回転駆動されている。また、帯電ローラ2の表面には、塗布量がおよそ一層で均一になるように、トナー粒子tに外添された導電性微粉末mと同一の導電性微粉末mをあらかじめ塗付した。
【0520】
また帯電ローラ2の芯金2aには、帯電バイアス印加電源S1から−700Vの直流電圧を帯電バイアスとして印加した。本実施例では、感光体1の表面は帯電ローラ2に対する印加電圧とほぼ等しい電位(−680V)に直接注入帯電方式によって一様に帯電処理される。これについては後述する。
【0521】
3はレーザダイオード、ポリゴンミラー等を含むレーザビームスキャナ(露光器)である。このレーザビームスキャナは、目的の画像情報の時系列電気デジタル画素信号に対応して強度変調されたレーザー光(波長740nm)を出力し、該レーザ光で感光体1の一様帯電面を走査露光する。この走査露光により感光体1に目的の画像情報に対応した静電潜像が形成される。
【0522】
4は現像装置である。感光体1表面の静電潜像がこの現像装置によりトナー画像として現像される。本実施例の現像装置4は、現像剤として負帯電性1成分絶縁現像剤である現像剤1を用いた、非接触型の反転現像装置である。現像剤4dはトナー粒子tおよび導電性微粉末mを有する。
【0523】
4aは現像剤担持搬送部材としての、マグネットロール4bを内包させた直径16mmの非磁性現像スリーブである。この現像スリーブ4aは、感光体1に対して300μmの離間距離をあけて対向配設され、感光体1との対向部である現像部(現像領域部)aにて感光体1の回転方向と順方向に感光体1の周速の120%の周速(周速度120mm/sec)で回転される。
【0524】
この現像スリーブ4a上に、現像剤4dが弾性ブレード4cによって薄層にコートされる。現像剤4dは、弾性ブレード4cによって現像スリーブ4上での層厚が規制されるとともに電荷が付与される。
【0525】
現像スリーブ4aにコートされた現像剤4dは、スリーブ4aが回転することによって、感光体1と当該スリーブ4aとの対向部である現像部aに搬送される。また、スリーブ4aには、現像バイアス印加電源S2により現像バイアス電圧が印加される。現像バイアス電圧は−420Vの直流電圧と、周波数1600Hz、ピーク間電圧1500V(電界強度5×106V/m)の矩形の交流電圧とを重畳したものを用いて、現像スリーブ4aと感光体1との間で1成分のジャンピング現像を行った。
【0526】
5は接触転写手段としての中抵抗の転写ローラであり、感光体1に98N/mの線圧で圧接させて転写当接部bを形成している。この転写当接部bに図示せぬ給紙部から所定のタイミングで記録媒体としての転写材Pが給紙され、かつ転写ローラ5に転写バイアス印加電源S3から所定の転写バイアス電圧が印加されることで、感光体1側のトナー像が転写当接部bに給紙された転写材Pの面に順次に転写されていく。
【0527】
本実施例では、転写ローラ5は抵抗が5×108Ωcmのものを用い、+3000Vの直流電圧を印加して転写を行った。即ち、転写当接部bに導入された転写材Pはこの転写当接部bを挟持搬送されて、その表面側に感光体1の表面に形成担持されているトナー画像が順次に静電気力と押圧力にて転写されていく。
【0528】
6は熱定着方式等の定着装置である。転写二ップ部bに給紙され感光体1側のトナー像の転写を受けた転写材Pは、感光体1の表面から分離されてこの定着装置6に導入され、トナー像の定着を受けて画像形成物(プリント、コピー)として装置外へ排出される。
【0529】
本例の画像形成装置はクリーニングユニットを除去しており、転写材Pに対するトナー像転写後の感光体1の表面に残留した転写残りの現像剤(転写残トナー粒子)はクリーニング手段で除去されることなく、感光体1の回転に伴い帯電部nを経由して現像部aに至り、現像装置4において現像兼クリーニング(回収)される。
【0530】
本例の画像形成装置は、感光体1、帯電ローラ2、現像装置4の3つのプロセス機器を一括して画像形成装置本体に対して着脱自在のプロセスカートリッジ7として構成してある。本発明においてはプロセスカートリッジ化するプロセス機器の組み合わせ等は上記に限られるものではなく任意である。なお、8はプロセスカートリッジ着脱案内・保持部材である。
【0531】
(2)導電性微粉末の挙動
現像装置4の現像剤4dに含有される導電性微粉末mは、感光体1側の静電潜像の現像装置4によるトナー現像時に、トナー粒子tとともに適当量が感光体1側に移行する。
【0532】
感光体1上のトナー画像(すなわちトナー粒子)は、転写部bにおいて転写バイアスの影響で記録媒体である転写材P側に引かれて積極的に転移する。しかし、感光体1上の導電性微粉末mは導電性であるため転写材P側には積極的には転移せず、感光体1上に実質的に付着保持されて残留する。
【0533】
本実施例においては、画像形成装置はクリーニング工程を有さないため、転写後の感光体1の表面に残存した転写残トナー粒子および導電性微粉末は、感光体1の回転に伴って、感光体1と接触帯電部材である帯電ローラ2の接触部である帯電部nに運ばれて、帯電ローラ2に付着する。従って、感光体1と帯電ローラ2との接触部nにこの導電性微紛末mが存在した状態で感光体1の直接注入帯電が行われる。
【0534】
この導電性微粉末mの存在により、帯電ローラ2に転写残トナー粒子が付着した場合でも、帯電ローラ2の感光体1への綴密な接触性と接触抵抗を維持できるため、該帯電ローラ2による感光体1の直接注入帯電を行わせることができる。
【0535】
つまり、帯電ローラ2が導電性微粉末mを介して密に感光体1に接触し、この導電性微粉末mが感光体1表面を隙間なく摺擦する。これにより、帯電ローラ2による感光体1の帯電を、放電現象を用いない、安定かつ安全な直線注入帯電が支配的とすることが可能になり、従来のローラ帯電等では得られなかった高い帯電効率が得られる。従って、帯電ローラ2に印加した電圧とほぼ同等の電位を感光体1に与えることができる。
【0536】
また帯電ローラ2に付着或いは混入した転写残トナー粒子は、帯電ローラ2から徐々に感光体1上に吐き出され、感光体1表面の移動に伴って現像部aに至り、現像装置4において現像兼クリーニング(回収)される。
【0537】
現像兼クリーニングは、転写後に感光体1上に残留したトナー粒子を、画像形成工程の次回以降の現像時(現像後、再度帯電工程、露光工程を介した後の潜像の現像時)において、現像装置のかぶり取りバイアス(現像装置に印加する直流電圧と感光体の表面電位間の電位差であるかぶり取り電位差Vback)によって回収するものである。本実施例における画像形成装置のように、反転現像の場合、この現像兼クリーニングは、現像バイアスによる感光体の暗部電位から現像スリーブにトナー粒子を回収する電界と、現像スリーブから感光体の明部電位ヘトナー粒子を付着させる(現像する)電界の作用でなされる。
【0538】
また、画像形成装置が稼働されることで、現像装置4の現像剤に含有された導電性微粉末mが、現像部aで感光体1表面に移行し、感光体1表面の移動に伴って転写部bを経て帯電部nに持ち運ばれることによって、帯電部nに新しい導電性微粉末mが逐次供給され続けるため、帯電部nにおいて導電性微粉末mが脱落等で減少したり、帯電部nの導電性微粉末mが劣化したりしても、帯電性の低下が生じることが防止されて感光体1の良好な帯電性が安定して維持される。
【0539】
かくして、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、接触帯電部材として簡易な帯電ローラ2を用いて、像担持体としての感光体1に均一な帯電性を低印加電圧で与えることができる。しかも、帯電部にまで転写残トナー粒子が到着したような場合であっても、オゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、均一な帯電性を与えることができる。よって、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストな画像形成装置を得ることができる。
【0540】
前述のように、導電性微粉末は帯電性を損なわないために、抵抗値が1×109Ω・cm以下である必要がある。導電性微粉末の抵抗値が1×109Ω・cmよりも大きいと、帯電ローラ2が導電性微粉末を介して密に感光体1に接触し、導電性微粉末が感光体1表面を摺擦しても、感光体1への電荷注入が十分には行われず、感光体1を所望の電位に帯電させることが困難となる。また、現像剤が直接感光体1に接触する接触現像装置を用いた場合には、現像部aにおいて現像剤中の導電性微粉末を通じて、現像バイアスにより感光体1に電荷注入され、画像かぶりあるいは画像の欠け、濃度薄が発生してしまう。
【0541】
本実施例では現像装置は非接触型現像装置であるので、現像バイアスが感光体1に注入されることがなく、良好な画像を得ることができる。また、現像部aにおいて感光体1への電荷注入が生じないため、交流バイアスなど現像スリーブ4aと感光体1との間に高電位差を持たせることが可能となる。これにより導電性微粉末mが均等に現像されやすくなるため、均一に導電性微粉末mを感光体1表面に塗布し、帯電部で均一な接触を行い、良好な帯電性を得ることができ、良好な面像を得ることが可能となる。
【0542】
帯電ローラ2と感光体1との接触面に介在された導電性微粉末の潤滑効果(摩擦低減効果)により、帯電ローラ2と感光体1との間に容易に効果的に速度差を設けることが可能となる。この潤滑効果により、帯電ローラ2と感光体1との摩擦を低減し、駆動トルクを低減し、帯電ローラ2や感光体1の表面の削れあるいは傷を防止できる。また、この速度差を設けることにより、帯電ローラ2と感光体1の相互接触部(帯電部)nにおいて導電性微粉末が感光体1に接触する機会を格段に増加させ、高い接触性を得ることができる。よって、良好な直接注入帯電を可能としている。
【0543】
本実施例では、帯電ローラ2を回転駆動し、その回転方向は感光体1表面の移動方向とは逆方向に回転するように構成することで、帯電部nに持ち運ばれる感光体1上の転写残トナー粒子を帯電ローラ2に一時的に回収し、帯電部nに介在する転写残トナー粒子の存在量を均す効果を得ている。このため、転写残トナー粒子の帯電部nでの偏在による帯電不良の発生が防止され、より安定した帯電性が得られる。
【0544】
さらに、帯電ローラ2を逆方向に回転することによって、感光体1上の転写残トナー粒子を感光体1から一旦引き離して帯電を行うことにより、優位に直接注入帯電を行うことが可能である。また、導電性微粉末の帯電ローラ2からの過度の脱落による帯電性の低下を起こさない。
【0545】
<実施例L−1>
現像剤Rs−1、現像剤担持体Dp−l−1の組合せを用いた。トナーカートリッジ内に120gの現像剤Rs−1を充填して、評価環境23℃/60%で、5%カバレッジの画像の3500枚の連続プリントにより、トナーカートリッジ内で現像剤量が少なくなるまで使用した。転写材としては90g/m2のA4コピー紙を用いた。その結果、初期および3500枚の連続プリント後においても画像濃度が十分に高く、カブリが少なく、また現像性の低下は見られなかった。
【0546】
また、3500枚の連続プリント後、帯電ローラ上で感光体との接触部nに対応する部分を観察したところ、微量の転写残トナー粒子が確認されるものの、ほぼ導電性微粒子C−4で覆われていた。
【0547】
また、感光体と帯電ローラとの接触部nに導電性微粒子C−4が存在した状態で、かつ導電性微粒子C−4の抵抗が十分に低いために、初期より3500枚の連続プリント後まで帯電不良に起因する画像欠陥を生じず、良好な直接注入帯電性が得られた。
【0548】
また、潜像担持体として感光体の最表面層の体積抵抗が5×1012Ω・cmの感光体を用いたことにより、静電潜像を維持することができ、シャープな輸郭の文字画像が得られ、3500枚の連続プリント後も十分な帯電性が得られる直接注入帯電を実現できた。3500枚の連続プリント後の直接注入帯電後、感光体電位は、印加帯電バイアス−700Vに対して−690Vであり、初期からの帯電性の低下は見られず、帯電性の低下による画像品質の低下は認められなかった。
【0549】
更に、潜像担持体の表面の水に対する接触角が102度である感光体を用いたこととあいまって、転写効率は初期及び3500枚の連続プリント後も非常に優れていた。転写後の感光体上に転写残トナー粒子量が少ないことを勘案しても、3500枚の連続プリント後の帯電ローラ上での転写残トナー粒子が微量であったことと非画像部のカブリが少ないことより、現像での転写残トナー粒子の回収性が良好であったことが解る。
【0550】
以下、プリント画像の評価法について述べる。
【0551】
(a)画像濃度
初期、及び3500枚の連続プリントアウトを終了した後、2日放置して再び電源を入れた1枚目の画像濃度により評価した。尚、画像濃度は「マクベス反射濃度計」(マクベス社製)を用いて、原稿濃度が0.00の白地部分のプリントアウト画像に対する相対濃度を測定した。評価結果を表11に示す。なお、表11中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好で、グラフィックな画像まで高品位に表現するために十分な画像濃度(1.40以上)。
B:良好で、ノングラフィックで高品位な画質を得るために十分な画像濃度(1.35以上1.40未満)。
C:普通で、文字を認識する上では十分として許容される画像濃度(1.20以上1.35未満)。
D:悪い。非常に薄い画像濃度(1.20未満)。
【0552】
(b)画像カブリ
初期、および3500枚の連続プリントアウトを終了した後に、プリントアウト画像をサンプリングし、プリントアウト画像の白地部分の白色度と転写紙の白色度の差から、カブリ濃度(%)を算出し、画像カブリを評価した。白色度は「リフレクトメーター」(東京電色社製)により測定した。評価結果を表11に示す。なお、表11中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好で、肉限では一般に認識されないカブリ(1.5%未満)。
B:良好で、注意して見ないと認識できないカブリ(1.5%以上乃至2.5%未満)。
C:普通。カブリを認識することは容易であるが、許容されるカブリ(2.5%以上乃至4.0%未満)。
D:悪い。画像汚れとして認識されるカブリ(4.0%以上)。
【0553】
(c)ゴースト
ベタ白部とベタ黒部が隣り合う画像を現像した後、ハーフトーン画像を現像し、ハーフトーン画像上に現れるベタ白部とベタ黒部の境界に起因する濃淡差を目視で観察し、下記の基準で評価した。
A:濃淡差が全く見られない。
B:軽微な濃淡差が見られる。
C:濃淡差がやや見られるが実用可。
D:濃淡差が顕著に見られる。
【0554】
(d)転写性
初期および3500枚プリントアウト終了後に、転写性の評価を行った。転写性は、ベタ黒画像形成時の感光体上の転写残トナー粒子を、マイラーテープによりテーピングしてはぎ取り、はぎ取ったマイラーテープを紙上に貼ったもののマクベス濃度から、マイラーテープのみを紙上に貼ったもののマクベス濃度を差し引いた数値で評価した。評価結果を表11に示す。なお、表11中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好(0.05未満)
B:良好(0.05以上乃至0.10未満)
C:普通(0.10以上乃至0.20未満)
D:悪い(0.20以上)
(e)像担持体の帯電性
約40〜50枚プリントアウトした後、及び3500枚の連続プリントアウトを終了した後、通常通り感光体を帯電し、その際の感光体表面電位を現像器位置にセンサを配置して測定し、両時点における電位の差分により像担持体の帯電性を評価した。評価結果を表11に示す。差分がマイナスに大きくなるほど潜像担持体の帯電性の低下が大きいことを示す。
【0555】
(f)パターン回収不良
縦線の同一パターン(2ドット98スペースの縦線繰り返し)を連続プリントアウトした後、ハーフトーン画像(2ドット3スペースの横線繰り返し)のプリントアウト試験を行い、ハーフトーン画像上に縦線のパターンに対応した濃淡が生じるかどうかを目視で評価した。評価結果を表11に示す。なお、表11中の各記号は、それぞれ以下の評価を意味する。
A:非常に良好(未発生)
B:良好(わずかに濃淡の発生が見られる)
C:普通(濃淡むらを生じるが、実用上許容レベルの範囲である)
D:悪い(濃淡むらが顕著に発生する)
(g)画像汚れ
画像汚れの評価は、定着後の画像を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて評価を行った。評価結果を表11に示す。
A:未発生。
B:かすかに発生。画像への影響は極めて軽微である。
C:ある程度発生。実用上許容できるレベルである。
D:画像汚れが著しい。
【0556】
上記結果を実施例L−1の評価として表11に示す。
【0557】
<実施例L−2〜60、85〜108>
表9と10に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表11〜13、14〜15に示す。
【0558】
<実施例L−61〜72>
表10に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表13に示す。初期からカブリがやや多く、パターン回収不良がやや悪かった。3500枚の連続プリント終了後の像担持体の帯電性の低下もやや大きいが、実用上は許容できる範囲内であった。
【0559】
<実施例L−73〜84>
表10に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表14に示す。初期からやや画像濃度が低く、パターン回収不良の発生も見られたが、実用上は許容できる範囲内であった。
【0560】
<比較例L−0>
導電性微粉末の外添されていない現像剤製造例Rs−0、現像剤担持体Dp−l−1の組合せで評価を行ったところ、像担持体の帯電性の低下が大きく、カブリが悪化した。
【0561】
<比較例L−1〜9、22>
直径16mmのAl円筒体を#80の不定形アルミナ粒子でブラストし、Ra=0.32の現像剤担持体を用いた。現像剤は表9と10の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表11〜15に示す。画像濃度が低かった。
【0562】
<比較例L−10〜21>
表10に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表15に示す。トナー粒子表面の導電性微粉末が欠落しやすくなり、そのため像担持体の帯電性低下が大きく、カブリ及び画像汚れも目立った。
【0563】
【表9】
【0564】
【表10】
【0565】
【表11】
【0566】
【表12】
【0567】
【表13】
【0568】
【表14】
【0569】
【表15】
【0570】
<実施例N−1〜60、85〜108>
表16と17に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表18〜21に示す。
【0571】
<実施例N−61〜72>
表17に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表20に示す。初期からカブリがやや多く、パターン回収不良がやや悪かった。3500枚の連続プリント終了後の像担持体の帯電性の低下もやや大きいが、実用上は許容できる範囲内であった。
【0572】
<実施例N−73〜84>
表17に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表21に示す。初期からやや画像濃度が低く、パターン回収不良の発生も見られたが、実用上は許容できる範囲内であった。
【0573】
<比較例N−0>
導電性微粉末の外添されていない現像剤製造例Rp−0・現像剤担持体Dp−n−1の組合せで評価を行ったところ、像担持体の帯電性の低下が大きく、カブリが悪化した。
【0574】
<比較例N−1〜9、22>
比較例L−1〜9、22のAlブラスト現像剤担持体を用い、現像剤は表16と17の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表18〜22に示す。画像濃度が低かった。
【0575】
<比較例N−10〜21>
表17に示すような現像剤及び現像剤担持体の組合せにて、実施例L−1と同様に評価を行った。結果を表22に示す。トナー粒子表面の導電性微粉末が欠落しやすくなり、そのため像担持体の帯電性低下が大きく、カブリ及び画像汚れも目立った。
【0576】
【表16】
【0577】
【表17】
【0578】
【表18】
【0579】
【表19】
【0580】
【表20】
【0581】
【表21】
【0582】
【表22】
【0583】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、転写残トナー粒子の回収性に優れた現像兼クリーニング画像形成方法を達成することが可能となり、特に、従来は困難であった非接触型現像法を適用した場合にも画像品位に優れた現像兼クリーニング画像形成方法を可能とする現像剤が得られた。
【0584】
また、接触帯電方式、転写方式、トナーリサイクルプロセスの画像形成装置において、潜像形成への阻害が抑制され、転写残トナー粒子の回収性に優れ、パターンゴーストが十分に抑制された現像兼クリーニング画像形成装置が可能となった。
【0585】
また、接触帯電部材への導電性微粉末の供給性を制御し、転写残トナー粒子の付着・混入による帯電阻害に打ち勝って像担持体の帯電を良好に行わせることができる現像剤が得られた。さらに、良好な現像兼クリーニング性を示し、廃トナー量を大幅に減らすことができ、低コストで小型化の点でも優位なプロセスカートリッジを得ることができた。
【0586】
また、接触帯電部材として簡易な部材を用いることができ、接触帯電部材の転写残トナー粒子による汚染にかかわらず、低印加電圧でオゾンレスの直接注入帯電を長期に渡り安定に維持させることができ、しかも像担持体の均一な帯電性を与えることができる。従って、オゾン生成物による障害、帯電不良による障害等のない、簡易な構成、低コストなプロセスカートリッジを得ることができる。
【0587】
更に、導電性微粉末を帯電部材と像担持体との接触部に介在させることによる長期に渡って繰り返し使用された場合での、像担持体上の傷を大幅に減少でき、画像上の画像欠陥を抑制することができる。
【0588】
本発明によれば、従来用いられていた現像剤担持体よりも均一且つ迅速なトナーへの帯電付与能が向上するとともに、更に耐久性が向上するため、良好な画像を長い間提供することができる状態を保持することが可能となる。
【0589】
従って、本発明によれば、繰り返し複写又は耐久による現像剤担持体表面の被覆層の磨耗及びトナー汚染のごとき劣化が生じない高耐久且つ帯電付与能の良好な現像剤担持体によって、異なる環境下においても画像濃度低下やスリーブゴースト、カブリの悪化が発生せず、文字ラインのシャープ性が良好で、画像濃度が高い高品位な画像を長期に渡り提供することができる。
【0590】
また本発明によれば、異なる環境条件下においても長期に渡ってトナーに対する負帯電付与性を安定化させ、更にトナーコートを均一化させ、繰り返し複写又は耐久による現像剤担持体表面の導電性被覆層の摩耗及びトナーによるスリーブ汚染及びスリーブ融着等が生じない高耐久な現像剤担持体によって、画像濃度低下やゴーストの発生、カブリの悪化のない高品位な画像を長期に渡り提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における画像形成装置の概略を示す構成図である。
【図2】各帯電部材の帯電特性を示すグラフである。
【図3】空間周波数による人の視覚特性を示すグラフである。
【図4】本発明において用いた現像剤の帯電量測定装置の概略を示す模式図である。
【図5】本発明の像担持体としての感光体の層構成を示す模型図である。
【図6】本発明の実施例において用いたトナー粒子球形化装置の概略を示す構成図である。
【図7】本発明の実施例において用いたトナー粒子球形化装置の処理部の模式図である。
【図8】樹脂被覆層の帯電極性を測定するための表面帯電量測定装置の説明図である。
Claims (20)
- 潜像担持体を帯電する帯電工程と、該帯電工程において帯電された潜像担持体の帯電面に、画像情報を静電潜像として書き込む潜像形成工程と、前記静電潜像を、現像剤を担持しながら前記潜像担持体と対向する現像領域に現像剤を搬送する現像剤担持体を備えた現像装置を用いて現像し、現像剤像として可視化する現像工程と、前記現像剤像を転写材に転写する転写工程、及び前記転写材上に転写された現像剤像を定着手段により定着する定着工程とを少なくとも有し、これら各工程を繰り返して画像形成を行う画像形成方法において、
前記現像剤は、少なくとも結着樹脂及び着色剤を含有するトナー粒子と導電性微粒子とを有し、
該トナー粒子は下記式より求められる円形度aが0.970未満であり、該導電性微粒子は、体積平均粒径が0.1〜10μmであり、
前記帯電工程は、前記潜像担持体に帯電手段を接触させて帯電を行う工程であり、帯電手段と潜像担持体との当接部に、前記現像剤が有する前記導電性微粒子が介在した状態で電圧を印加することによって、前記潜像担持体の帯電を行う工程であり、
前記現像装置は、現像剤を収容するための現像容器、該現像容器に収容されている該現像剤を担持し、現像領域に搬送するための現像剤担持体、及び該現像剤担持体上に担持される現像剤の層厚を規制するための現像剤層厚規制部材を少なくとも有しており、
転写工程後、帯電工程に至るまでの間には、クリーニング工程が無く、前記現像工程において、前記静電潜像を可視化するとともに、前記現像剤像が前記転写材に転写された後に、前記潜像担持体上に残留した現像剤を回収し、
該現像剤担持体は、少なくとも基体と該基体上に形成された樹脂被覆層とを有しており、
該樹脂被覆層は、少なくとも被覆層用結着樹脂と正帯電性物質を含有しており、
該正帯電性物質がイミダゾール化合物或いは含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体であることを特徴とする画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層が、導電性物質を含有していることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層が、潤滑性物質を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記樹脂被覆層が、導電性物質及び潤滑性物質を含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
- 前記正帯電性物質がイミダゾール化合物であり、下記式(1)又は(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記正帯電性物質が、含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体であり、前記共重合体は、重量平均分子量(Mw)が3,000〜50,000であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記共重合体は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.5以下であることを特徴とする請求項6に記載の画像形成方法。
- 前記含窒素ビニルモノマーは、窒素含有基を有する(メタ)アクリル酸誘導体及び含窒素複素環式N−ビニル化合物からなるグループから選択される1種以上のモノマーを有することを特徴とする請求項6又は7に記載の画像形成方法。
- 前記正帯電性物質が含窒素ビニルモノマーに由来するユニットが含まれる共重合体であり、該含窒素ビニルモノマーがスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーであり、且つ前記被覆層用結着樹脂が、その分子構造中に少なくとも−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを有することを特徴とする請求項1乃至4のい ずれかに記載の画像形成方法。
- 前記共重合体は、ビニル重合性モノマーとスルホン酸基含有アクリルアミドモノマーとの共重合比(質量%)が98:2〜80:20であり、重量平均分子量(Mw)が2,000〜50,000であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
- 前記共重合体が、ビニル重合性モノマーと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸との共重合体であることを特徴とする請求項10に記載の画像形成方法。
- 前記被覆層用結着樹脂が、少なくともフェノール樹脂を含有していることを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記フェノール樹脂が、含窒素化合物を触媒として用いて製造されたフェノール樹脂であり、その構造中に−NH2基、=NH基、もしくは−NH−結合のいずれかを有するフェノール樹脂である請求項13に記載の画像形成方法。
- 前記被覆層用結着樹脂中に、少なくともポリアミド樹脂が含有されることを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記被覆層用結着樹脂中に、少なくともポリウレタン樹脂が含有されることを特徴とする請求項10乃至14のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記現像剤が、粒径0.60μm〜159.21μmの粒子に関する個数基準の粒度分布において、1.00μm以上2.00μm未満の粒径範囲の粒子を15〜60個数%含有し、且つ3.00μm以上8.96μm未満の粒径範囲の粒子を15〜70個数%含有することを特徴とする請求項1乃至16のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記導電性微粒子は、体積抵抗値が100〜109Ω・cmであることを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記導電性微粒子が非磁性であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の画像形成方法。
- 前記導電性微粒子が、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化チタンから選択される少なくとも一種の酸化物を含有することを特徴とする請求項1乃至19いずれかに記載の画像形成方法。
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