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JP4064585B2 - 電動車両用電源システム - Google Patents

電動車両用電源システム Download PDF

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JP4064585B2
JP4064585B2 JP30169399A JP30169399A JP4064585B2 JP 4064585 B2 JP4064585 B2 JP 4064585B2 JP 30169399 A JP30169399 A JP 30169399A JP 30169399 A JP30169399 A JP 30169399A JP 4064585 B2 JP4064585 B2 JP 4064585B2
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一宏 林
潤史 寺田
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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、例えば電動自転車,電動車椅子,電動スクータ等にエネルギ源として採用されるNi−Cd,Ni−MH等の充電式電池の追い充電条件を管理する追い充電指令手段を備えた電動車両用電源システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
充電式電池の充電においては、例えば充電電流5Aの急速充電器又は充電電流2Aの標準充電器が使用されている。またニッケル水素電池は高温にさらされると電池寿命が短縮するので、これを防止するために充電停止温度を設け、電池温度が充電停止温度に達した場合には充電を終了するようにしている。しかし充電停止温度の検出により充電を終了した場合、十分充電量を確保できない場合がある。そのため充電量を確保することを目的として、上記充電を主充電とみてさらに追い充電を行うようにしている。そしてこの追い充電の制御では、追い充電の開始温度,停止温度を設定し、該温度の範囲内で追い充電を行うことが考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし上記追い充電を例えば上記2Aで行った場合、主充電停止温度よりも追い充電開始温度を下げた設定としないと、主充電終了後の温度オーバーシュートが大きいために追い充電停止温度まで電池温度が短時間で上がってしまい、追い充電による充電量がほとんど得られない。またその後の温度オーバーシュート量が増えることで電池がさらに高温にさらされる時間が延びるため寿命の低下を早めることが判明した。一方、追い充電を上記5Aで行った場合、オーバーシュートが小さく、従って主充電後に直ちに追い充電を開始した場合でも追い充電停止温度まではある程度の時間があることから追い充電による充電量の確保が可能であることが判明した。
【0004】
本発明は、上記状況に鑑みてなされたもので、主充電停止温度検出後の追い充電において寿命の早期低下を防止しながらより多くの充電量を確保できる電動車両用電源システムを提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、充電式電池と、該充電式電池を充電する充電手段と、上記電池を主充電停止後に追い充電するための追い充電制御信号を上記充電手段に出力する追い充電指令手段とを備えた車両用電源システムにおいて、上記追い充電指令手段は、充電電流値が大なるときの主充電終了時から追い充電開始時までの時間を上記充電電流値が小なるときより短く制御することを特徴としている。
【0006】
請求項2の発明は、充電式電池と、該充電式電池を充電する充電手段と、上記電池を主充電停止後に追い充電するための追い充電制御信号を上記充電手段に出力する追い充電指令手段とを備えた車両用電源システムにおいて、上記追い充電指令手段は、充電電流値が大なるときの追い充電開始温度を上記充電電流値が小なるときより高く制御することを特徴としている。
【0011】
請求項の発明は、請求項1又は2において、上記追い充電における充電電流がパルス波形部分を備えていることを特徴としている。
【0012】
【発明の作用効果】
請求項1の発明によれば、充電電流値が大なるときの主充電終了時から追い充電開始時までの時間を上記充電電流値が小なるときより短くし、また請求項2の発明によれば充電電流値が大なるときの追い充電開始温度を上記充電電流値が小なるときより高くしたので、電池寿命の早期低下を防止しながらより多くの充電容量を確保できる。
【0014】
具体的には、充電電流値が比較的大きい場合には主充電終了後、待機時間を設けることなく直ちに追い充電を開始するのであるが、比較的大きい電流値で新品電池を充電した場合、追い充電の開始により温度上昇率が主充電時より小さくなるため、追い充電停止温度検出までにある程度の追い充電容量が確保でき、また温度待機有りに比べて短時間で追い充電が終了するため高温にさらされる時間が短くなり、電池寿命の早期低下を防止できる。また、内部抵抗の上がった劣化電池の場合、主充電時の温度上昇率が大きいことから充電深度の浅い時点で主充電停止温度を検出してしまうため、追い充電の開始により電池温度はむしろ低下する傾向があり、温度待機の有無に関わらず追い充電容量,追い充電時間ともほとんど差がない。従って、充電電流値が比較的大きい場合には、待機時間設けることなく直ちに追い充電を開始でき、電池寿命の早期低下を防止しつつ多くの充電量を確保できる。
【0015】
また充電電流値が比較的小さい場合には、主充電終了後、待機時間が経過した後に追い充電を開始するのであるが、新品電池を温度待機無しで追い充電を開始した場合、短時間で追い充電停止温度に達してしまい、追い充電容量はほとんど得られない。一方、温度待機して電池温度を追い充電開始温度に低下させてから追い充電を開始することにより温度上昇率を下げることができ、短時間で追い充電停止温度に達することを回避でき、ある程度の追い充電量を確保できる。また、内部抵抗の上がった劣化電池の場合でも略同様の結果となる。
【0017】
請求項の発明の発明によれば、上記追い充電における充電電流がパルス波形部分を備えているので、電池温度の上昇率を小さくできるという効果がある。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1ないし図15は、本発明の一実施形態による電動補助自転車用電源システムを説明するための図であり、図1は上記電動車両としての電動補助自転車の側面図、図2は上記電源システムのブロック構成図、図3は〜図5は電池管理装置と充電装置との間で送受信される信号データを説明するための図、図6,図7は充電装置の動作を示すフローチャート、図8〜図15は追い充電における電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【0019】
図において、1は本実施形態電源システムのうち充電装置112を非車載とし、着脱式電池ケース100を備えた電動車両としての電動補助自転車であり、これの車体フレーム2はヘッドパイプ3と、該ヘッドパイプ3から車体後方斜め下方に延びるダウンチューブ4と、該ダウンチューブ4の後端から上方に略起立して延びるシートチューブ5と、上記ダウンチューブ4の後端から後方に略水平に延びる左, 右一対のチェーンステー6と、該両チェーンステー6の後端部と上記シートチューブ5の上端部とを結合する左, 右一対のシートステー7と、上記ヘッドパイプ3とシートチューブ5とを接続するトップチューブ11とを備えている。
【0020】
上記ヘッドパイプ3にはフロントフォーク8が左右に回動可能に枢支されている。該フロントフォーク8の下端には前輪9が軸支されており、上端には操向ハンドル10が固着されている。また上記シートチューブ5の上端にはサドル12が装着されている。さらに上記チェーンステー6の後端には後輪(車輪)13が軸支されている。
【0021】
なお、図示していないが、上記操向ハンドル10の中央には速度メータ等を備えた計器パネル(不図示)が設けられており、このパネル部分に、リフレッシュ放電が必要と判断された時にその旨が表示される表示装置を設けても良い。
【0022】
上記車体フレーム2の下端部には、クランク軸16の両端突出部に取り付けられたクランクアーム16aを介してペダル16bに入力されたペダル踏力(人力)と、内蔵する電動モータ17からの人力の大きさに比例した補助動力との合力を出力するパワーユニット15が搭載されている。即ち、ペダル踏力の大きさがモータ駆動指令28となる。上記パワーユニット15からの出力はチェーン30を介して上記後輪13に伝達される。
【0023】
なお、本実施形態自転車1は外部からモータ駆動指令28を入力するための自走レバー14をも備えており、該自走レバー14を操作することにより、ペダル16bに入力することなく電動モータ17からの動力のみで走行することも可能となっている。
【0024】
また上記電動モータ17等の電源となる電池ケース100は上記シートチューブ5の後面に沿うように、かつ左,右のシートステー7,7に挟まれるように車体に対して着脱自在に配設されている。上記電池ケース100は、多数の単電池101を直列に接続してなる電池(充電式電池)102を収納しており、また上記電池102の温度を検出する温度センサ103と、該電池102の電流値を測定する電流計104とを備えている。さらに上記電池ケース100は、上記電池102の管理等を行なう電池管理装置105と、所定のデータを記憶するEEPROM106とを備えている。このEEPROM106には、上記所定のデータとして、充電式電池の充電中の残存容量, 温度等が記憶される
【0025】
また、上記電池ケース100は車載時には、コネクタ107, 108によりモータ駆動回路22と装着と同時に自動接続され、またコネクタ110, 111により上記電動補助自転車1の走行制御を行なう走行制御部109と通信I/F120a,120bを介して自動接続される。
【0026】
一方、上記電池ケース100は、充電時には車体から取り外された状態で、あるいは車載状態のままで上記コネクタ113, 114により非車載で全く独立に構成された充電装置112の出力側と接続され、コネクタ115, 116により上記充電装置112の通信I/F127,120cを介して接続される。
【0027】
ここで図1において、100aは電池ケース100に設けられた充電口であり、該充電口100aに上記コネクタ113,114,115,116の電池ケース側端子が配置される。また121は充電装置112の充電プラグであり、この中に上記コネクタ113〜116の充電装置側端子が配置されており、上記充電口100aに差し込み自在となっている。上記電池ケース100と充電装置112とで本実施形態における電源システム21が構成される。
【0028】
上記電池管理装置105は、上記温度センサ103からの電池温度データTと、電流計104からの電流値データIと、電池102の電圧データVとが入力され、上記充電式電池102のリフレッシュ放電の制御等を行なう電池管理・制御部117と、所定のデータを記憶する上記EEPROM106とを備えている。また、上記電池管理装置105は、上記電池管理・制御部117からの信号に基づいて、表示を必要とするときに表示ボタン118を押すことにより電池残存容量やリフレッシュ情報,実力容量が表示される表示装置119と、上記充電装置112や走行制御部109との通信を行なう通信I/F120cや120aとを備えている。なお、上記表示装置119は、速度メータ等が設置される車両側の表示パネル部分, 又は上記充電装置112側に設けても良い。
【0029】
そして、上記電池管理・制御部117は、上記主充電中に充電式電池の残存容量及び温度に応じた主充電電流を上記充電装置112に指令する主充電指令手段として、また上記主充電終了後に追い充電するための追い充電制御信号を上記充電装置112に出力する追い充電指令手段として機能する。本実施形態では、上記電池102は5Arの初期容量を有するものであり、また充電電流5Aの急速充電装置又は充電電流2Aの標準充電装置により主充電及び追い充電を行うものとする。
【0030】
そして上記追い充電指令手段は、電池状態、例えば充電電流値あるいは電池の内部抵抗に基づいて追い充電条件を変化させる。例えば追い充電電流値が大(5A、以下同じ)なるときの追い充電開始温度を充電電流値が小(2A、以下同じ)なるときより高く制御し、充電電流値が大なるときの主充電終了時から追い充電開始時まで時間を充電電流値が小なるときより短く制御し、充電電流値が大なるときの追い充電開始から追い充電停止までの追い充電時間を充電電流値が小なるときより長く制御する。また内部抵抗の大きい電池(劣化電池)の追い充電継続時間を内部抵抗の小さい電池(新品電池)の追い充電継続時間より長く制御する。そしてこれらの追い充電においては、充電電流がパルス波形をなすように制御する。
【0031】
具体的には、電池温度が主充電停止温度T0 に達すると主充電を終了し、急速充電装置を使用している場合には、そのまま追い充電を開始し、電池温度が追い充電停止温度T2 に達すると追い充電を終了する。また標準充電装置を使用している場合には、電池温度が追い充電開始温度T1 に低下するまで温度待機し、該追い充電開始温度T1 で追い充電を開始し、電池温度が追い充電停止温度T2 に達すると追い充電を終了する。
【0032】
そして主充電においては、内部抵抗の大きい電池(劣化電池)の場合、温度上昇率が大きく、そのため充電深度の浅いうちに主充電停止温度T0 に達する。その点に起因して、主充電を停止し、温度待機している場合、あるいは追い充電を開始した場合、電池温度がむしろ低下するかあるいは温度上昇率が小さくなる傾向がある。従って結果的に、上記追い充電停止温度T2 に達するまでの時間、即ち充電継続時間が内部抵抗の小さい電池(新品電池)より長くなる。
【0033】
上記充電装置112は、プラグ123をコンセントに接続することにより供給された交流電源を直流に変換するAC/DCコンバータ(充電手段)124と、該コンバータ124の出力の電圧値, 電流値を計測する電圧計125, 電流計126と、上記充電式電池102のリフレッシュ放電を行なう放電器135と、上記電圧計125, 電流計126からの計測値や上記通信I/F127からの所定の信号等が入力される充電/放電制御部128とを備えている。
【0034】
また、上記充電装置112は、この充電装置112と上記電池ケース100とが接続されていることを示す接続信号を、上記充電/放電制御部128に出力する電池接続検知部129を備えている。
【0035】
さらにまた、上記充電装置112には、後述する表示装置133にリフレッシュ中の表示がされて、リフレッシュ放電が開始された時、これをキャンセルして充電モードに移行させる充電リフレッシュ解除スイッチ131が設けられている。
【0036】
上記AC/DCコンバータ124の出力は出力制御部132を介して上記充電/放電制御部128により制御される。また、表示装置133や上記放電器135は上記充電/放電制御部128により制御される。そして上記表示装置133には、充電待機中,充電中,充電完了,充電停止,リフレッシュ中,リフレッシュ終了等の情報が表示される。
【0037】
次に、図3〜図5に基づいて、上記電動補助自転車1における電池管理装置105と充電装置112との間で送受信される信号データについて説明する。なお、図3〜図5は、信号データのナンバー(No),及び該ナンバーの内容を示している。
【0038】
図3は、上記電池管理装置105から充電装置112にまとめて送信される充放電制御データを示しており、1として「リフレッシュ放電実行要求」が、2として「リフレッシュ放電電流値」が、3として「リフレッシュ放電停止電圧」が、4として「リフレッシュタイマー値」が、5として「主充電開始下限温度」が、6として「主充電開始上限温度」が、7として「主充電停止温度T0 」が、8として「追い充電開始温度T1 」が、9として「追い充電停止温度T2 」が、10として「追い充電タイマ−値」が、11として「主充電電流値」が、12として「追い充電電流値」が、含まれている。なお、上記「リフレッシュ放電実行要求」は、「有」又は「無」が示され、リフレッシュ放電実行か否かを知らせる信号として機能する。
【0039】
図4は、上記電池管理装置105から充電装置112にまとめて送信される電池状態データを示しており、1として「電流値(計測値)」が、2として「電池温度(1)」が、3として「電池温度(2)」が、4として「電池電圧」が、5として「現時点での電池残存容量」が、6として「電池実力容量、即ち現時点での容量学習値」が含まれている。なお、この容量学習値とは、充放電等を繰り返すうちに電池は次第に劣化し、最大容量も次第に変化(低下)していく中で現時点での学習した最大の容量値のことである。
【0040】
また、上記電池温度(1)は、図2に示すように上記充電式電池102を1組備える構成の電池温度を、上記電池温度(2)は2組備える構成の2組目の電池温度をそれぞれ意味している。なお、上記充電式電池102を複数組備える場合には電池温度(1)〜(n)が含まれる。
【0041】
図5は、上記充電装置112から電池管理装置105にまとめて送信される充電器状態データを示しており、1として「充放電制御データ要求」が、2として「電池状態データ要求」が、3として「リフレッシュ中」が、4として「リフレッシュ終了」が、5として「充電中」が、6として「充電待機中」が、7として「充電完了」が、8として「充電停止」が含まれる。なお、「充電完了」とは100%充電されたことを意味し、「充電停止」とはこれ以上充電を続けると危険である等の理由により充電を止めたことを意味している。
【0042】
次に、図6に基づいて、本実施形態装置における充電動作について説明する。上記充電装置112が充電モードに移行すると(ステップF1)、該充電装置112から電池管理装置105に図5に示す「電池状態データ要求」信号を含む充電器状態データが送信開始される(ステップF2)。上記電池管理装置105から送信された図4に示す電池状態データ(C12)が正常に受信されると(ステップF3)、この電池状態データ内の電池温度が充放電制御データ内に設定されている充電開始下限温度と充電開始上限温度との間の充電開始温度かどうか判定され(ステップF4)、該充電開始温度でない時は充電は待機され(ステップF5)、上記表示装置133が充電待機表示として点滅されて(ステップF6)、上記ステップF3に処理が移行する。
【0043】
上記ステップF4において電池温度が充電開始温度と判定されると、充電が開始され(ステップF7)、トータルタイマーによる経過時間の計測が開始され(ステップF8)、この充電装置112から上記電池管理装置105に図5に示す「電池状態データ要求」信号を含む充電器状態データ(C8)が送信される(ステップF9)。上記電池管理装置105から送信された図4に示す電池状態データ(C12)が正常に受信されれば(ステップF10)、充電の終了判定が行なわれる(ステップF11)。
【0044】
上記ステップF11において電池状態データより充電終了と判定された時は、この充電装置112から上記電池管理装置105に、上記図6に示すNo7の「充電完了」信号, 又はNo8の「充電停止」信号の何れかを含む充電器状態データ(C14)が送信される(ステップF12)。
【0045】
また、上記管理装置105から送信された図3に示す追い充電制御データが正常受信され、この追い充電制御データにより電池102が接続されている充電装置112の種類が判別され(ステップF21)、充電電流2Aの標準充電装置である場合には、電池温度が追い充電開始温度T1 (図3のNo8)に低下するまで温度待機し、該追い充電開始温度T1 に低下すると追い充電が開始され、追い充電タイマーが起動する(ステップF22〜25)。一方、電池102が接続されている充電装置112が、充電電流5Aの急速充電装置である場合には、温度待機することなく直ちに追い充電が開始される(ステップF22,F24)。
【0046】
そして充電器状態データが電池管理装置105に送信されるとともに、電池状態データが正常受信され(ステップF26,F27)、電池温度が追い充電停止温度T2 (図3のNo9)以上となるか、又は追い充電継続時間が追い充電タイマー値(図3のNo10)に達するかすると追い充電は終了となる(ステップF28,F29)。
【0047】
なお、上記ステップF21,F27において、上記電池管理装置105からの電池状態データが正常に受信されないときは、通信異常として、異常表示が表示装置133に表示され(ステップF30,F31)、この処理が終了する。
【0048】
また上記ステップF11において充電終了と判定されない時は、充電電流のデータが変更されたかどうかが判断され(ステップF18)、変更されていればトータルタイマーが再設定され(ステップF19)、充電電流が変更されて上記ステップF9に処理が戻る(ステップF20)。なお、上記ステップF18において充電電流データが変更されていない時は充電電流を変更することなく上記ステップF9に処理が戻る。
【0049】
図8〜15は追い充電の条件を見い出すために行った実験結果を説明するための図である。本実験では、主充電停止温度T0 で主充電を終了し、追い充電開始温度T1 に低下するまで温度待機した後、追い充電停止温度T2 まで追い充電した場合と、主充電停止温度T0 で主充電を終了し、温度待機することなく引き続いて追い充電停止温度T2 まで追い充電した場合とで得られる追い充電容量の大きさを比較した。
【0050】
また本実験では、図示していないが追い充電における電流がパルス波形をなすよう設定されており、充電電圧は主充電終了時の充電電圧より低いピーク電圧を有するパルス波形をなすものとなっている。このように追い充電時における充電電圧,充電電流がパルス波形をなすようにしたので、電池温度の上昇率を小さくできる効果がある。
【0051】
図8〜11は急速充電装置を用いた場合で、図8,9は新品電池の温度待機有り,温度待機無しの場合を示し、図10,11は内部抵抗が大きくなった劣化電池の温度待機有り,温度待機無しの場合を示す。また図12〜15は標準充電装置を用いた場合で、図12,13は新品電池の温度待機有り,温度待機無しの場合を示し、図14,15は劣化電池の温度待機有り,温度待機無しの場合を示す。
【0052】
まず、図8に示すように、新品電池を、急速充電装置(充電電流5A)を用いて、主充電終了後、電池温度が追い充電開始温度T1 に低下した後追い充電を開始した場合は、温度待機時間約2500秒、追い充電容量Q1(約0.8Ah),追い充電継続時間t1(約6500秒)であった。一方、図9に示すように、温度待機無しの場合、追い充電容量Q1´(約0.6Ah),追い充電継続時間t1´(約4000秒)であった。
【0053】
同様に、図10に示すように、劣化電池を、急速充電装置(充電電流5A)を用いて、追い充電開始温度T1 に低下した後追い充電を開始した場合、温度待機時間約1000秒、追い充電容量Q2(約2.1Ah),追い充電継続時間t2(約18000秒)であった。一方、図11に示すように、温度待機無しの場合、追い充電容量Q2´(約2.2Ah),追い充電継続時間t2´(約19600秒)であった。
【0054】
このように充電電流が5Aと比較的大きい場合には、温度待機無しで追い充電した方が温度待機有りよりの場合より有利である。まず、新品電池を温度待機無しで追い充電した場合、追い充電の開始により温度上昇率が主充電時より小さくなるため、追い充電停止温度検出までにある程度の追い充電容量が確保でき、また温度待機有りに比べて短時間で追い充電が終了するため高温にさらされる時間が短くなり、電池寿命の早期低下を防止できる。
【0055】
また、内部抵抗の上がった劣化電池の場合、主充電時の温度上昇率が大きいことから充電深度の浅い時点で主充電停止温度T0 を検出してしまうため、追い充電の開始により電池温度はむしろ低下する傾向があり、温度待機の有無に関わらず追い充電容量,追い充電時間ともほとんど差がない。従って温度待機無しの方が有利である。
【0056】
さらにまた内部抵抗の高い電池の場合、主充電終了後は電池温度が低下傾向にあることから、追い充電停止温度T2 に達するまでの追い充電継続時間t2,t2´が新品電池の追い充電継続時間t1,t1´より長くなり、そのため追い充電容量を大きく確保でき、全体としての充電容量を新品電池と同等に確保できる。
【0057】
次に、図12に示すように、新品電池を、標準充電装置(充電電流2A)を用いて、追い充電開始温度T1 に低下した後追い充電を開始した場合、温度待機時間約7000秒、追い充電容量Q3(約0.5Ah),追い充電継続時間t3(約4200秒)であった。一方、図13に示すように、温度待機無しの場合、追い充電容量Q3´(約0.2Ah),追い充電継続時間t3´(約1200秒)であった。
【0058】
同様に、図14に示すように、劣化電池を、標準充電装置(充電電流2A)を用いて、追い充電開始温度T1 に低下した後追い充電を開始した場合、温度待機時間約2500秒、追い充電容量Q4(約0.6Ah),追い充電継続時間t4(約6000秒)であった。一方、図15に示すように、温度待機無しの場合、追い充電容量Q4´(約0.2Ah),追い充電継続時間t4´(約2200秒)であった。
【0059】
このように充電電流が2Aと比較的小さい場合には、温度待機有りで追い充電した方が温度待機無しの場合より有利である。まず、新品電池の場合、温度待機無しの場合、追い充電を開始しても温度上昇率が小さくなることはなく、短時間で追い充電停止温度T2 に達してしまい、追い充電容量はほとんど得られない。一方、温度待機して電池温度を追い充電開始温度T1 に低下させてから追い充電を開始することにより温度上昇率を下げることができ、短時間で追い充電停止温度T2 に達することを回避でき、ある程度の追い充電量を確保できる。また、内部抵抗の上がった劣化電池の場合でも略同様の結果となる。従って温度待機有りの方が有利である。
【0060】
さらにまた内部抵抗の高い電池の場合、主充電終了後は電池温度の上昇率が小さくなる傾向にあることから、追い充電停止温度T2 に達するまでの追い充電継続時間t4,t4´が新品電池の追い充電継続時間t3,t3´より長くなり、そのため追い充電容量を比較的増加できる。
【0061】
このように本実施形態では、充電装置112が、充電電流値の比較的大きい急速充電型のものであるか、又は充電電流値の比較的小さい標準充電型のものであるかによって、あるいは内部抵抗の大小によって追い充電の条件を変えたので、何れの型の充電装置を使用する場合でも、電池を高温に長い間さらすことなくある程度の追い充電量を確保できる。
【0062】
ここで、上記実施形態では、本発明における充電電流に基づいて追い充電条件を変化させる例として、充電装置が急速充電装置又は標準充電装置の何れであるかによって追い充電開始前の温度待機を無し,有りとした例を示したが、上記実施形態は、以下のように言い換えて表現することも可能である。
【0063】
即ち、上記充電電流値が大なるときの追い充電開始温度を上記充電電流値が小なるときより高く制御する。具体的には充電電流5A,2Aの場合には追い充電開始温度をそれぞれ上記T0 ,T1 とする。
【0064】
また上記充電電流値が大なるときの主充電終了時から追い充電開始時までの時間を上記充電電流値が小なるときより短く制御する。具体的には充電電流5A,2Aの場合には上記時間をそれぞれ0,待機時間とする。
【0065】
なお、上記実施形態では、急速充電装置,標準充電装置の何れかを選択的に使用する場合を説明したが、本発明は1つの充電装置において、比較的大きい電流値で充電する場合又は小さい電流値で充電する場合を選択する場合にも勿論適用可能である。
【0066】
また、充電電流が5Aと2Aである場合を説明したが、この電流値は勿論例示であり、電池容量等によって適宜別の値が選択されるべきものである。この場合、QAhの電池を1時間で充電可能の充電電流値を1Cとした場合、概ね0.5Cを境界としてこれより大きい電流値,小さい電流値をそれぞれ本発明でいう充電電流値が大なるとき,小なるときとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による電動補助自転車の側面図である。
【図2】上記実施形態における電源システムのブロック構成図である。
【図3】上記実施形態における電池管理装置と充電装置との間で送受信される信号データを説明するための図である。
【図4】上記電池管理装置と充電装置との間で送受信される信号データを説明するための図である。
【図5】上記電池管理装置と充電装置との間で送受信される信号データを説明するための図である。
【図6】上記電池管理装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【図7】上記電池管理装置の動作を説明するためのフローチャート図である。
【図8】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図9】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図10】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図11】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図12】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図13】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図14】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【図15】上記実施例装置における充電電圧,電池温度,電池容量の時間経過を示す特性図である。
【符号の説明】
21 電源システム
102 充電式電池
105 電池管理装置(追い充電指令手段)
112 充電装置(充電手段)
T0 充電電流大なるときの追い充電開始温度
T1 充電電流小なるときの追い充電開始温度

Claims (3)

  1. 充電式電池と、該充電式電池を充電する充電手段と、上記電池を主充電停止後に追い充電するための追い充電制御信号を上記充電手段に出力する追い充電指令手段とを備えた車両用電源システムにおいて、
    上記追い充電指令手段は、充電電流値が大なるときの主充電終了時から追い充電開始時までの時間を上記充電電流値が小なるときより短く制御することを特徴とする電動車両用電源システム。
  2. 充電式電池と、該充電式電池を充電する充電手段と、上記電池を主充電停止後に追い充電するための追い充電制御信号を上記充電手段に出力する追い充電指令手段とを備えた車両用電源システムにおいて、
    上記追い充電指令手段は、充電電流値が大なるときの追い充電開始温度を上記充電電流値が小なるときより高く制御することを特徴とする電動車両用電源システム。
  3. 請求項1又は2において、上記追い充電における充電電流がパルス波形部分を備えていることを特徴とする電動車両用電源システム。
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