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JP4059478B2 - 音場制御方法及び音場制御システム - Google Patents

音場制御方法及び音場制御システム Download PDF

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JP4059478B2 JP2002053483A JP2002053483A JP4059478B2 JP 4059478 B2 JP4059478 B2 JP 4059478B2 JP 2002053483 A JP2002053483 A JP 2002053483A JP 2002053483 A JP2002053483 A JP 2002053483A JP 4059478 B2 JP4059478 B2 JP 4059478B2
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    • H04M9/082Two-way loud-speaking telephone systems with means for conditioning the signal, e.g. for suppressing echoes for one or both directions of traffic using echo cancellers
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、再生音場における音響再生において、再生音に所定の残響を付加することで臨場感に富んだ再生音を得る音場制御方法及び音場制御システムの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来から音楽を再生して受聴するに際し、臨場感に富んだ音響を得る方法やシステムの提案がなされている。その一つとしてトランスオーラルシステムと呼ばれるものがある。このトランスオーラルシステムとは目標とする音空間で、受聴者の位置に対応した位置に置かれたダミーヘッドの両耳部で収録した音を、再生音場において受聴することで、目標とする音空間で受聴していることと同様の臨場感を得ようとするものである。
【0003】
これは収録する際のダミーヘッドの左右両耳のそれぞれの外耳道入り口の音圧PL、PRと、再生音場における受聴者の左右両耳のそれぞれの外耳道入り口の音圧SL、SRとを一致させることにより、収録した音場と同様の音響情報を受聴者に与えるものである。このような再生状態を実現するために、クロストークキャンセルフィルタと呼ばれる再生等価フィルタを備え、再生音場の制御をしている。
【0004】
また、同様に臨場感に富んだ音響を得る方法として、残響付加装置と呼ばれる信号処理装置がある。これは一般にはシステムの前段に有限長の初期反射音生成部があり、その出力信号を後段の残響生成部において再生音源に付加する。残響生成部はコムフィルタのようなIIR(Infinite Impulse Response)タイプのフィルタが並列に並んだ形式が一般的に用いられている。更に、これらの他に実音場のインパルス応答を再生音源に畳み込む形式のものも提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のトランスオーラルシステムでは、原音場の定位、残響、音質等を厳密に制御することを目的とするため、再生音場の特性をキャンセルするフィルタの最適解が必ずしも安定になるとは限らず、また、原音場と再生音場の特性間に大きな差がある場合、音質的に違和感が残ることがあった。また、左右両耳位置での特性を厳密に求めることで、最適位置で聞いたときは原音場での臨場感が得られるが、そのポイントから少しでも外れた位置で聞くと、原音場とは全く異なる臨場感となり、制御エリアの狭さが問題であった。
【0006】
また、従来の残響付加装置では、再生音場の特性を考慮することなく一義的に設計者のノウハウに基づき、音響付加情報、即ち位相、振幅、残響特性等が決定されて提供されていた。そのため各々の再生音場に付加情報が合致しているとは限らず、また、再生音場の音場データを直接、再生音源に畳み込む形態のものでは長いフィルタが必要になり、大規模なシステム構成になっていた。
【0007】
従って本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、それぞれの再生音場に固有の特性に対応して音響情報を付加し、受聴位置によらず原音場と同様の臨場感のある再生音を得る方法とシステムの提供を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の音場制御方法は上記課題を解決するために、受聴する受聴音場の残響特性を測定する工程と、基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を検出する工程と、検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを算出する工程と、前記算出された反射音パターンを前記音源に付加する工程とを備える。
【0009】
本発明の音場制御方法によれば、音響を受聴する際に、例えば狭い受聴空間においても、広い受聴空間と同様の臨場感を得ることが可能となる制御の方法である。基準とする基準音場とは、例えば収録スタジオや音楽ホール等であり、受聴音場とは受聴者の部屋、自動車内等に相当する。臨場感を与えるものとして受聴空間の残響特性が大きく作用するが、この残響特性は広い空間よりも狭い空間の方が早く減衰し、広い空間で収録した音を狭い空間で受聴するときに違和感を与えるものである。
【0010】
従って本発明では、基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性を測定し、2つの残響特性の差を検出して、その差に基づき受聴音場で再生する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを求め、再生する際に原音に加えることで、基準音場で聞くことと同様の臨場感が得られるようにしている。
【0011】
受聴者に到達する音波はスピーカからの直接音と、部屋の壁、天井、床、家具等に反射して、直接音より送れて到達する反射音があり、残響特性はこの反射音に係わる特性である。広い部屋の方が狭い部屋より残響は長時間維持される。従って基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性とから、基準音場での残響特性に近づくよう反射音パターンを求め、再生する際に原音に加えることになる。尚、目的によっては基準音場を種々な状態に設定しても良く、受聴者は設定された環境に近似された音場で聞くことが可能となる。
【0012】
本発明の音場制御方法は上記課題を解決するために、受聴に供する音源を所定の周波数帯域に分割する工程と、受聴する受聴音場の残響特性を、前記分割した周波数帯域ごとに測定する工程と、基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を、前記分割された周波数帯域ごとに検出する工程と、検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを、前記分割された周波数帯域ごとに算出する工程と、前記算出された前記周波数帯域ごとの反射音パターンを前記音源に付加する工程と、周波数帯域ごとの反射音パターンが付加された前記音源を合成する工程とを備える。
【0013】
本発明の音場制御方法によれば、基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性とから、上述したように基準音場での残響特性に近づくよう反射音パターンを求めるに際し、音源を所定の周波数帯域に分けて、それぞれの周波数帯域で最も効果的な反射音パターンを求め、周波数帯域ごとに音源に付加し、更に全てを合成して出力する制御の方法である。
【0014】
残響特性は周波数の高い成分は低い成分に比べて早急に減衰する。従って周波数帯域ごとに最適の反射音パターンを求め、音源に付加することで、更に効果的な臨場感が得られる。
【0015】
本発明の音場制御方法の一態様では、前記音源に付加される反射音パターン反射音情報であるとする。
【0016】
この態様によれば、基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性とから、上述したように受聴音場での残響特性が基準音場での残響特性に近づくように反射音パターンを求めるものである。
【0017】
本発明の音場制御方法の他の態様では、前記残響特性の測定は、スピーカを所定の信号で駆動し、前記スピーカから発せられた音波を所定位置に置かれたマイクロホンで収音し、前記所定の信号と前記マイクロホンで収音した音響情報とから、前記スピーカと前記マイクロホン間のインパルス応答を分析することにより行われる。
【0018】
この態様によれば、残響特性の測定はスピーカに所定の信号を入力し、スピーカから音波を発生させ、その音波をマイクロホンで収音する。入力した所定の信号とマイクロホンで収音した信号とからスピーカとマイクロホン間のインパルス応答を分析することで得られる。マイクロホンは受聴者の頭部に該当する位置に置かれる。測定結果は記録手段に記録され、反射音パターンを求める際のデータとして用いられる。入力信号としては例えばインパルス信号、M系列雑音、タイムストレッチドパルス等が用いられる。また、帯域制限されたバースト信号等を用い、それぞれの周波数帯で残響特性を求めても良い。
【0019】
本発明の音場制御方法の他の態様では、前記残響特性の測定、及び前記音源に付加される反射音パターンの算出は、複数のスピーカの各々に対して行われる。
【0020】
この態様によれば、例えばステレオのシステムにおいて、複数のスピーカを用いて再生する場合、所定の場所に配置されたスピーカの各々に対して個別に基準音場と受聴音場での残響特性を測定する。これら残響特性からそれぞれのスピーカごとに原音に付加される反射音パターンを求め、受聴音場でその付加情報、即ち反射音パターンを加えて再生することで、ステレオ再生においても基準音場と同様の臨場感を得ることが可能となる。
【0021】
本発明の音場制御システムは上記課題を解決するため、受聴する受聴音場の残響特性を測定する手段と、基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を検出する手段と、検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを算出する手段と、前記算出された反射音パターンを前記音源に付加する手段とを備える。
【0022】
本発明の音場制御システムによれば、音響を受聴する際に、例えば狭い受聴空間においても、広い受聴空間と同様の臨場感を得ることが可能となるように制御するシステムである。
【0023】
基準音場の残響特性を測定する手段と受聴音場の残響特性を測定する手段は、それぞれの音場での残響特性を測定するものであり、その構成は同一のものが用いられる。異なる構成を用いる場合は、それら手段間の測定基準等を補正しておくことが必要である。
【0024】
残響特性の差を検出する手段は、基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性の測定結果からその差を検出する。音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを算出する手段は、2つの残響特性の差から受聴音場で再生する音源に付加する情報、即ち反射音パターンを求める。また、反射音パターンを付加する手段は、受聴音場で原音を再生する際に原音にその算出された反射音パターンを付加する。これらの手段により、基準音場で聞くことと同様の臨場感が受聴音場においても得られることになる。
【0025】
本発明の音場制御システムは上記課題を解決するため、受聴に供する音源を所定の周波数帯域に分割する手段と、受聴する受聴音場の残響特性を、前記分割した周波数帯域ごとに測定する手段と、基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を、前記分割された周波数帯域ごとに検出する手段と、検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを、前記分割された周波数帯域ごとに算出する手段と、前記算出された前記周波数帯域ごとの反射音パターンを前記音源に付加する手段と、前記周波数帯域ごとの反射音パターンが付加された前記音源を合成する手段とを備える。
【0026】
本発明の音場制御システムによれば、基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性とから、上述したように基準音場での残響特性に近づくよう反射音パターンを求めるに際し、音源を所定の周波数帯域に分けて、それぞれの周波数帯域で最も効果的な反射音パターンを求め、周波数帯域ごとに音源に付加し、更に全てを合成して出力する構成のシステムである。
【0027】
周波数帯域に分割する手段は、基準音場での残響特性と受聴音場での残響特性とから、受聴音場で再生する際に、音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを所定の周波数帯域ごとに求めるために周波数帯域を所定の帯域幅で分割する。
【0028】
また、基準音場の残響特性を測定する手段と受聴音場の残響特性を測定する手段は、それぞれの音場での周波数帯域ごとの残響特性を測定するものであり、その構成は同一のものが用いられる。異なる構成を用いる場合は、それら手段間の測定基準等を補正することが必要である。
【0029】
残響特性の差を検出する手段は、基準音場及び受聴音場での周波数帯域ごとの残響特性の測定結果からその差を検出する。音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを算出する手段は、2つの残響特性の差から受聴音場で再生する音源に付加する情報、即ち反射音パターンを周波数帯域ごとに求める。また、反射音パターンを付加する手段は、受聴音場で原音を再生する際に原音にその算出された反射音パターンを周波数帯域ごとに付加する。更に音源を合成する手段は、これら周波数帯域ごとに反射音パターンが付加された音源を合成して出力する。
【0030】
本発明の音場制御システムの一態様では、前記分割された周波数帯域ごとに、利得を調整する手段を備える。
【0031】
この態様によれば、分割された周波数帯域ごとにレベルが調整できるので周波数特性を調整することを容易に行うことが可能となる。
【0032】
本発明の音場制御システムの他の態様では、前記周波数帯域を分割する手段と前記算出された反射音パターンを音源に付加する手段と前記利得を調整する手段と前記音源を合成する手段とは、信号入出力間の伝達関数に合致する伝達関数を有するフィルタを用いて構成されている
【0033】
この態様によれば、上記システム構成の信号入出力間の伝達関数に合致する伝達関数を有する1つのフィルタに再生音場の音源を通すことで、音源に所望の残響特性を付加することができ、システムが簡単になる。但し、伝達関数は基準音場と受聴音場の組み合わせに応じて、予め求めておく必要がある。
本発明の音場制御システムの他の態様では、前記各々の周波数帯域において、前記周波数帯域を分割する手段と前記算出された反射音パターンを音源に付加する手段と前記利得を調整する手段とは、これら各々の手段を通した信号入出力間の伝達関数に合致する伝達関数を有するフィルタを用いて構成されている
【0034】
この態様によれば、周波数帯域を分割する手段と情報を音源に付加する手段と利得を調整する手段は、信号入出力間の伝達関数に合致する伝達関数を有するフィルタで構成する。分割した帯域ごとに調整することが可能となる。
【0035】
本発明の音場制御システムの他の態様では、前記残響特性を測定する手段は、スピーカと、該スピーカに入力する所定の信号の発生手段と、前記スピーカから発せられる音波を収音するマイクロホンと、前記所定の信号と前記マイクロホンで収音した音響情報とから、前記スピーカと前記マイクロホン間のインパルス応答を分析する手段とを備える。
【0036】
この態様によれば、所定の信号がスピーカに入力され、スピーカから残響特性測定用の音波が発せられる。マイクロホンはスピーカが発した音波を収音し、音響情報を分析する手段は所定の信号とマイクロホンで収音した音波とからスピーカとマイクロホン間のインパルス応答を分析して残響特性を求める。更に求められた残響特性は受聴音場で付加する反射音パターンを生成するためのデータとして記録装置に記録される。
【0037】
本発明のこのような作用、及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
【0038】
【発明の実施の形態】
まず、残響特性の測定システムと、音場、周波数の帯域による残響特性の特徴について図1〜図3を参照して説明する。ここで残響特性とは例えば音楽を受聴する際の音場において、スピーカから発せられた音響が受聴者に伝達される場合の直接音のほか、音場の壁、天井、床等において反射され、伝達される音響の特性に関していて、受聴者の臨場感に影響を与えるものである。音場の広さや、周波数帯域によって固有の特徴を有する。
【0039】
尚、図1は本発明の音場制御方法及び音場制御システムにおける音場の残響特性を測定する測定系を示す図であり、また、図2は測定される残響特性を示す図であって、同図(a)は広い音場における残響特性の一例であり、同図(b)は狭い音場における残響特性の一例である。また、図3も残響特性を示す図であって、同図(a)は低い周波数における残響特性の一例であり、同図(b)は高い周波数における残響特性の一例である。
【0040】
図1に示すように残響特性の測定システムは、音場1の中に、例えば測定用信号音を発するスピーカ2、スピーカ2から所定距離離れた位置に設けられたマイクロホン3、スピーカ2を駆動する信号を発生するテスト信号発生器4、スピーカ2を駆動する増幅器5、マイクロホン3で受信した音のレベルを調整する増幅器6、テスト信号発生器4の信号とマイクロホン3で収音した音波信号からインパルス応答を分析し残響特性を求めるアナライザー7、求められた残響特性を記録する記録装置8等を備えて構成される。さらにシステムを制御するためのパソコン等の制御手段を備えても良い。
【0041】
この測定システムによる残響特性の測定は、テスト信号発生器4からの信号、例えばインパルス信号、M系列雑音、タイムストレッチドパルス等を増幅器5で所定のレベルに調整し、その出力をスピーカ2に入力して駆動して音波を音場1内に発生させる。音場1内に発せられた音波はマイクロホン3によって収音される。マイクロホン3はスピーカ2の前方に、受聴者が音楽等を聴く場合の頭部に該当する位置に配置される。スピーカ2からの音は符号L1で示すように直接マイクロホン3に到達する音と、符号L2、符号L3で示すように音場1の壁、天井、床等に反射してから到達する音があり、これらが残響音の特徴を示すことになる。
【0042】
マイクロホン3によって収音された音波の信号は増幅器6で所定のレベルに変化され、アナライザー7に入力されて、残響特性の測定が行われる。求められた残響特性は記録装置8に記録され、他の音場との比較、残響特性の補正等のデータとして用いる。
【0043】
また、ステレオ装置のように複数のスピーカを所定の位置において再生する場合は、それぞれのスピーカについて個別に残響特性の測定を行い、再生時にそれぞれのスピーカに対応した残響特性の補正を行う。尚、アナライザー7や記録装置8に替わって測定プログラムが備わったパソコン等を用いても良い。また、このパソコンを測定システム全体の制御に供しても良い。
【0044】
次に、音場1の広さと残響特性の関係については、図2(a)は広い音場1における残響特性の一例であり、同図(b)は狭い音場1における残響特性の一例であって、時刻tまではマイクロホン3に到達する直接音と反射音のトータルのエネルギー積分値であり、時刻t以降は反射音によるエネルギー積分値である。これらの図のように狭い音場1では広い音場1に比べて反射音によるエネルギー積分値の減衰が早い。
【0045】
また、周波数帯域による残響特性については、図3(a)は低い周波数帯における残響特性の一例であり、同図(b)は高い周波数帯における残響特性の一例であって、時刻tまではマイクロホン3に到達する直接音と反射音のトータルのエネルギー積分値であり、時刻t以降は反射音によるエネルギー積分値である。これらの図のように高い周波数帯では低い周波数帯に比べて反射音によるエネルギー積分値の減衰が早い。
【0046】
上述したように音を再生する音場の条件や周波数帯域によって残響特性は異なるものであり、受聴者の音楽を聴く環境によって、反射音の効果による臨場感が異なってくることになる。従って、本発明はこれらの要因に基づき、再生音場の残響特性に応じて、反射音に係わる情報を再生音に付加し、理想とする原音場の臨場感に近い再生音が得られるようにしようとするものである。
【0047】
次に、原音場の臨場感に近い再生音を得るための付加情報、即ち反射音パターンの生成に関し、所定の周波数帯域に分割したケースについて図4〜図7を参照して説明する。尚、図4は音場の残響特性の補正について示す図であり、図5は付加する反射音パターンの生成の流れを示すフローチャートであり、図6は帯域別残響特性の計算の流れを示すフローチャートであり、図7は図5に示す反射音パターン生成における生成サブルーチンの流れを示すフローチャートである。
【0048】
図4に示すように、狭い部屋での再生音場残響特性は原音場残響特性に比べて、短い時間で残響は減衰する。この減衰を原音場での残響特性に近づけるため、直接音が到達した時刻tから所定の時刻tcが経過した時刻teに、最初の反射音パターンを付加し、順次、周波数帯域別の反射音パターンを付加していく。反射音パターンのレベルは再生音場残響特性と原音場残響特性との差が所定の値より小さくなるように決定していく。この反射音パターンを再生する音源に付加することで原音場と同様の臨場感を得ることができる。
【0049】
次に、反射音パターンの生成の流れについて説明する。図5に示すように、まず、原音場でのインパルス応答hを測定しておく。これは図1に示したシステムにより、例えば音楽ホール等の希望する臨場感の得られる音場で測定する(ステップ101)。次にその音場での周波数の帯域別残響特性を計算する(ステップ102)。この計算については図6を参照し、後段で説明する。これにより求められた帯域別(M個)の伝達関数Rは記録しておき、ステップ108の反射音パターンの生成に供される(ステップ103)。以上で目的とする原音場の残響特性のデータが得られたことになる。
【0050】
次に、再生音場でのインパルス応答hを測定する(ステップ104)。これも図1に示したシステムにより再生する音場で測定する。帯域数は原音場と同様にMに分割したとして、最初の帯域についての反射音パターンを求めるためのイニシャライズを行う(ステップ105)。ここで分割する帯域は、例えば中心周波数を63、125、250、500、1k、2k、4k、8k、16kHzの9つの帯域に分割する。
【0051】
次に、帯域i番目のバンドパスフィルタの係数をBとし(ステップ106)、再生音場のインパルス応答とバンドパスフィルタの畳み込み演算を行う(ステップ107)。次に、先に求めた原音場のインパルス応答hとから反射音パターンCを求める(ステップ108)。この反射音パターンの算出について後段で図7を参照し、後段で説明する。
【0052】
その後、次の帯域に設定し(ステップ109)、全ての帯域について反射音パターンの算出を行ったか否かを判別し(ステップ110)、まだ、算出すべき帯域があればステップ106に戻って、次の帯域についての反射音パターンを算出する。一方、全ての帯域について反射音パターンが得られていれば(ステップ111)、終了する。このようにして得られた反射音パターンを再生時に原音に付加することで、目的とする音場、即ち原音場の臨場感で、例えば音楽を聴くことが可能となる。
【0053】
次に、帯域別残響特性の計算について図6を参照して説明する。予め再生音場のインパルス応答を求めておく(ステップ201)。
【0054】
まず、周波数帯域はM個に分割されているとして、計算を最初の帯域に設定する(ステップ202)。次に、バンドパスフィルタの係数をBとし(ステップ203)、原音場のインパルス応答とバンドパスフィルタの畳み込み演算を行う(ステップ204)。次にシュレーダーの残響積分式を用いて残響減衰特性を計算する(ステップ205)。
【0055】
その後、次の帯域に設定し(ステップ206)、全ての帯域について残響減衰特性の算出を行ったか否かを判別し(ステップ207)、まだ、算出すべき帯域があればステップ203に戻って、次の帯域についての残響減衰特性を算出する。一方、全ての帯域について残響減衰特性が得られていれば(ステップ208)、終了する。ここでステップ208はステップ103に該当する。
【0056】
次に、反射音パターンの計算について図7を参照して説明する。まず、反射音パターンの初期状態を設定する(ステップ301)。次に、再生音場の残響特性を計算し(ステップ302)、原音場と再生音場の残響特性の差を演算する(ステップ303)。ここで原音場と再生音場の全帯域における残響特性の差を合計したものをErsとする(ステップ304)。このErsが設定された基準となる差異thより小さいか否かを判別し(ステップ305)、小さければ反射音パターンの生成を終了する。
【0057】
小さくなければ、エラー量の最大値をとる時間teを算出し(ステップ306)、時間teから再生音場のインパルス応答とバンドパスフィルタの畳み込み演算結果が最大となる時間を引いて時刻tcとし(ステップ307)、この時刻tcに反射音パターンCiを設定する(ステップ308)。更に反射音パターンCiに乱数を加え(ステップ309)、シュレーダーの残響積分式によって、帯域iの減衰特性を計算する(ステップ310)。
【0058】
次に、原音場と再生音場の周波数帯域iにおける減衰特性の差を求める(ステップ311)。これら差異を順次合計し(ステップ312)、その値がステップ304で求められたエラーよりも小さいか否かを判別する(ステップ313)。小さくなければステップ308に戻り、ステップ309で新しく発生された乱数を用いて、以下の演算を同様に行う。小さければエラー最小値と反射音パターンCiを設定し、ステップ305に戻って、エラー最小値が設定された値よりか小さいか否かを再度判別する。小さければ反射音パターンの算出を終了し、図5のフローチャートに従って、各周波数帯域の反射音パターンが決定され、再生音に重畳されることになる。
【0059】
以上説明したようにして、原音場と同様の臨場感を得ることができる音響を再生音場で得ることができるものである。尚、反射音パターンの生成方法は上述したことに限るものではない。原音場と再生音場の残響特性の差から、再生音に付加されるべき反射音パターンが得られる方法であれば如何なる方法も利用可能である。
【0060】
(音場制御方法に係わる第一の実施形態)
本発明の音場制御方法の第一実施形態について図8を参照して説明する。本実施形態の音場制御方法の工程は、原音場残響特性測定工程11、再生音場残響特性測定工程12、残響差異検出工程13、付加情報算出工程14、情報付加工程15を備える。
【0061】
原音場残響特性測定工程11は、原音場の残響特性を測定する工程であって、図1を参照して説明したように、スピーカに測定のための信号、例えばインパルス信号を入力して、音波として出力させ、その音波をスピーカの前方の所定の位置に配置されたマイクロホンによって収音し、収音した信号をアナライザーによって分析する工程である。マイクロホンは受聴者が受聴する際の頭部に該当する位置に設定される。原音場としては録音スタジオや音楽ホール等が想定できる。また、受聴者の好みの音場に設定することも可能である。
【0062】
インパルス信号は原理的には全ての周波数成分を含むものであって、スピーカとマイクロホンの特性を含め、音波の伝達経路の伝達関数が一度に測定可能である。音波の伝達経路としてはスピーカからマイクロホンへの直接音と音場の壁、天井、床、家具等に反射されて伝わる反射音があり、これらが音場固有の残響特性を構成する。測定された残響特性は記録装置に記録され、再生音場の残響特性と比較され、再生音への付加情報、即ち反射音パターンの算出に供される。また、インパルス信号に替えてM系列雑音やタイムストレッチドパルス等を用いることも可能である。
【0063】
再生音場残響特性測定工程12は、原音場残響特性測定工程11と同様の方法で再生音場の残響特性を測定する。再生音場とは例えば受聴者の自宅の一室や自動車の座席空間である。一般的に再生音場は原音場より狭い空間であり、狭い空間では残響特性は急速に減衰する。得られた残響特性は原音場の残響特性と比較され、原音場の残響特性と近似するように反射音パターンの算出に供される。
【0064】
残響差異検出工程13は、上述したようにして測定された原音場と再生音場の残響特性の差異を検出する。この差異が原音場と再生音場での臨場感等の差となって受聴者は感じることになる。
【0065】
付加情報算出工程14は、残響差異検出工程13で得られた原音場と再生音場の残響特性の差異に基づき、再生音場の再生音源16に付加して、原音場と同様の臨場感を得ることができるような付加情報、即ち反射音パターンを求める工程である。
【0066】
情報付加工程15は、付加情報算出工程14で求められた反射音パターンを音源16に加え、出力する工程である。出力信号は増幅器を通してスピーカに入力され、音響信号として発せられ、またはディスク等の記録媒体に記録される。ディスク等に記録し再生する場合は、再生するに際しては通常の音響再生装置が使用可能であり、原音場と同様の臨場感を得ることができる。
【0067】
尚、ステレオ等の複数のスピーカを用いる音響システムでは、スピーカごとに残響特性を測定し、反射音パターンを求めることが必要である。
【0068】
(音場制御方法に係わる第二の実施形態)
本発明の音場制御方法の第二実施形態について図9を参照して説明する。本実施形態の音場制御方法は、周波数帯域分割工程21、原音場残響特性測定工程22、再生音場残響特性測定工程23、残響差異検出工程24、付加情報算出工程25、情報付加工程26、合成工程28を備える。
【0069】
周波数帯域分割工程21は、音を所定の周波数帯域(f1〜f2、f2〜f3、・・・)に分割する工程である。残響特性は周波数帯域によって異なり、周波数の高い方は周波数の低い方に比べて残響特性は急速に減衰する。従って、所定の周波数帯域に分割し、各々の周波数帯域ごとに反射音パターンを生成して、音源27に加える。分割は、例えば中心周波数を63、125、250、500、1k、2k、4k、8k、16kHzの9つに分割する等が考えられる。
【0070】
原音場残響特性測定工程22、再生音場残響特性測定工程23、残響差異検出工程24、付加情報算出工程25、情報付加工程26は分割した周波数帯域ごとに作用することおいてのみ第一実施形態とは異なるものであり、その他の機能、作用は同一である。
【0071】
合成工程28は、反射音パターンが音源27に付加された周波数帯域ごとの信号を合成して出力する工程であり、反射音パターンが付加された再生音を復元し、出力する。出力信号は増幅器を通してスピーカに入力され、音響信号として発せられ、またはディスク等の記録媒体に記録されることも第一実施形態と同様である。
【0072】
(音場制御システムに係わる第一の実施形態)
本発明の音場制御システムの第一実施形態について図10を参照して説明する。本実施形態の構成は、スピーカ2、マイクロホン3、テスト信号発生器4、アナライザー7、記録装置8等を備えた残響特性測定手段31と、残響差異検出手段32と、付加情報算出手段33と、情報付加手段34を備える。
【0073】
残響特性測定手段31は、原音場及び再生音場の残響特性を測定する手段であって、図1を参照して説明したように、スピーカ2と、スピーカ2に入力する測定用信号、例えばインパルス信号を発生するテスト信号発生器4と、スピーカ2から発せられた音波を収音するマイクロホン3と、マイクロホン3で収音した音波からスピーカ2とマイクロホン3間のインパルス応答を分析し残響特性を求めるアナライザー7と、残響特性のデータを記録する記録装置8等を備えている。スピーカ2に入力する信号レベルやマイクロホン3で収音した信号のレベルを調整する増幅器等を更に備えていても良い。
【0074】
テスト信号発生器4からのインパルス信号でスピーカ2を駆動し、音波として出力させ、その音波をスピーカ2の前方の所定の位置に配置されたマイクロホン3によって収音し、収音した信号をアナライザー7によって残響特性を求める。マイクロホン3は受聴者が受聴する際の頭部に該当する位置に設定される。
【0075】
残響差異検出手段32は、残響特性測定手段31によって測定された原音場と再生音場の残響特性からその差異を検出する手段である。
【0076】
付加情報算出手段33は、残響差異検出手段32で得られた原音場と再生音場の残響特性の差異に基づき、再生音場の再生音源35に付加して、原音場と同様の臨場感を得ることができるような付加情報、即ち反射音パターンを求める手段である。
【0077】
情報付加手段34は、付加情報算出手段33で求められた反射音パターンを音源35に加え、出力する手段である。出力信号は増幅器を通してスピーカに入力され、音響信号として発せられ、またはディスク等の記録媒体に記録される。以上説明したシステム構成で再生音場における音響再生が、原音場での環境に近い状態で行うことが可能となる。
【0078】
尚、インパルス信号に替えてM系列雑音やタイムストレッチドパルス等を用いることも可能であることは上述したことと同様である。
【0079】
(音場制御システムに係わる第二の実施形態)
次に、本発明の音場制御システムの第二実施形態について図11を参照して説明する。本実施形態の構成は、周波数帯域分割手段41、残響特性測定手段42、残響差異検出手段43、付加情報算出手段44、情報付加手段46、合成手段47を備える。
【0080】
周波数帯域分割手段41は、音を所定の周波数帯域(f1〜f2、f2〜f3、・・・)に分割する手段である。残響特性は周波数帯域によって異なり、周波数の高い方は周波数の低い方に比べて残響特性は急速に減衰する。従って、周波数帯域ごとに反射音パターンを生成して、音源45に加えるために所定の周波数帯域に分割する。分割は上述したことと同様に、例えば中心周波数を63、125、250、500、1k、2k、4k、8k、16kHzの9つに分割する等が考えられる。
【0081】
残響特性測定手段42、残響差異検出手段43、付加情報算出手段44、情報付加手段47は分割した周波数帯域ごとに作用することおいてのみ第一実施形態とは異なるものであり、その他の機能、作用は同一である。
【0082】
合成手段47は、反射音パターンが音源45に付加された周波数帯域毎の信号を合成して出力する工程であり、反射音パターンが付加された再生音を復元する手段である。出力信号は増幅器を通してスピーカに入力され、音響信号として発せられ、またはディスク等の記録媒体に記録されることも第一実施形態と同様である。
【0083】
(音場制御システムに係わる第一の変形例)
次に、本発明の音場制御システムの第一変形例について図12を参照して説明する。本変形例は音源35からの信号を、分割した周波数帯域に相当する周波数帯域分割手段51、即ちバンドパスフィルタに入力し、通過した周波数の信号に対して、情報付加手段52により付加情報、即ち反射音パターンを付加し、その後、各々の周波数帯域の補正された音響信号を合成手段53で合成して、出力するシステム構成である。情報付加手段52により付加される反射音パターンは、それぞれの周波数帯域について、予め図4〜図7を参照して説明した手順で求めておく必要がある。原音場と再生音場がいつも決まっているような場合は、一度反射音パターンを求めておけば良く、システム構成も簡単である。
【0084】
尚、周波数帯域分割手段51と情報付加手段52は入力信号に対して前後を入れ替えることが可能である。
【0085】
(音場制御システムに係わる第二の変形例)
次に、本発明の音場制御システムの第二変形例について図13を参照して説明する。本変形例は第一変形例で示した情報付加手段52の後段にそれぞれ利得調整手段54を設けたものである。周波数帯域のそれぞれの音響信号に反射音パターンが付加された後、その信号レベルを周波数帯域ごとに調整が可能となり、全周波数帯域にわたって周波数特性を調整することが容易である。また、第一の変形例と同様に周波数帯域分割手段51と情報付加手段52は入力信号に対して前後を入れ替えることが可能である。
【0086】
(音場制御システムに係わる第三の変形例)
次に本発明の音場制御システムの第三変形例について図14を参照して説明する。本変形例は第二変形例で示した周波数帯域分割手段51、情報付加手段52、利得調整手段54を、フィルタ55で置き換えたものである。ここでフィルタ55は周波数帯域分割手段51から利得調整手段54までの伝達関数に略一致させて形成されているものである。システム構成が極めて簡単になる。
【0087】
更に、信号の入出力間の伝達関数を略一致させた1つのフィルタ56でシステムを構成することも可能である。
【0088】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う音場制御方法及び音場制御システムもまた本発明の技術思想に含まれるものである。
【0089】
【発明の効果】
以上、説明したように本発明によれば、音響を再生する環境、即ち再生音場固有の残響特性を制御対象としているため、トランスオーラルシステム等の受聴位置でのピンポイント制御とは異なり、受聴位置がずれていても広い部屋と同等の臨場感のある再生音を得ることが可能となる。従って、自動車のような狭い室内においても、広い部屋で受聴しているのと同様な臨場感で聞くことができ、極めて効果的なシステムである。
【0090】
また、分割した周波数帯域ごとに残響特性を制御する形態では、各々の周波数帯域において固有の残響特性が制御されるため、より効果的に原音場と同様な臨場感を得ることが可能である。
【0091】
更に、従来のものでは必要であった逆フィルタに替わって、安定した近似フィルタを用いることが可能であり、比較的小規模のシステムで構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の音場制御方法及び音場制御システムにおける音場の残響特性を測定する測定系を示す図である。
【図2】残響特性を示す図であって、同図(a)は広い音場における残響特性の一例であり、同図(b)は狭い音場における残響特性の一例である。
【図3】残響特性を示す図であって、同図(a)は低い周波数の残響特性の一例であり、同図(b)は高い周波数の残響特性の一例である。
【図4】再生音場の残響特性の補正について示す図である。
【図5】付加する反射音パターンの生成の流れを示すフローチャートである。
【図6】周波数帯域ごとの残響特性の計算の流れを示すフローチャートである。
【図7】図5に示す反射音パターンの生成における生成サブルーチンの流れを示すフローチャートである。
【図8】本発明の音場制御方法における第一の実施形態について示す図である。
【図9】本発明の音場制御方法における第二の実施形態について示す図である。
【図10】本発明の音場制御システムにおける第一の実施形態について示す図である。
【図11】本発明の音場制御システムにおける第二の実施形態について示す図である。
【図12】本発明の音場制御システムにおける第一の変形例について示す図である。
【図13】本発明の音場制御システムにおける第二の変形例について示す図である。
【図14】本発明の音場制御システムにおける第三の変形例について示す図である。
【符号の説明】
1・・・音場
2・・・スピーカ
3・・・マイクロホン
4・・・テスト信号発生器
5、6・・・増幅器
7・・・アナライザー
8・・・記録装置
11、22・・・原音場残響特性測定工程
12、23・・・再生音場残響特性測定工程
13、24・・・残響差異検出工程
14、25・・・付加情報算出工程
15、26・・・情報付加工程
16、27、34、45・・・音源
21・・・周波数帯域分割工程
28・・・合成工程
31、42・・・残響特性測定手段
32、43・・・残響差異検出手段
33、44・・・付加情報算出手段
35、46、52・・・情報付加手段
41、51・・・周波数帯域分割手段
47、53・・・合成手段
54・・・利得調整手段
55、56・・・フィルタ

Claims (11)

  1. 受聴する受聴音場の残響特性を測定する工程と、
    基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を検出する工程と、
    検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを算出する工程と、
    前記算出された反射音パターンを前記音源に付加する工程とを備えること
    を特徴とする音場制御方法。
  2. 受聴に供する音源を所定の周波数帯域に分割する工程と、
    受聴する受聴音場の残響特性を、前記分割した周波数帯域ごとに測定する工程と、
    基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を、前記分割された周波数帯域ごとに検出する工程と、
    検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加する前記基準音場の残響特性に近づけるための反射音パターンを、前記分割された周波数帯域ごとに算出する工程と、
    前記算出された前記周波数帯域ごとの反射音パターンを前記音源に付加する工程と、
    前記周波数帯域ごとの反射音パターンが付加された前記音源を合成する工程とを備えること
    を特徴とする音場制御方法。
  3. 前記音源に付加される反射音パターンは、反射音情報であること
    を特徴とする請求項1及び請求項2のいずれか一項に記載の音場制御方法。
  4. 前記残響特性の測定は、スピーカを所定の信号で駆動し、
    前記スピーカから発せられた音波を所定位置に置かれたマイクロホンで収音し、
    前記所定の信号と前記マイクロホンで収音した音響情報とから、前記スピーカと前記マイクロホン間のインパルス応答を分析することにより行われること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の音場制御方法。
  5. 前記残響特性の測定、及び前記音源に付加される反射音パターンの算出は、複数のスピーカの各々に対して行われること
    を特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の音場制御方法。
  6. 受聴する受聴音場の残響特性を測定する手段と、
    基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を検出する手段と、
    検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加される反射音パターンを算出する手段と、
    前記算出された反射音パターンを前記音源に付加する手段とを備えること
    を特徴とする音場制御システム。
  7. 受聴に供する音源を所定の周波数帯域に分割する手段と、
    受聴する受聴音場の残響特性を、前記分割した周波数帯域ごとに測定する手段と、
    基準とする基準音場の残響特性から、前記受聴音場の残響特性を引いた差異を、前記分割された周波数帯域ごとに検出する手段と、
    検出された前記残響特性の差異が最大となる時間に、前記受聴音場において受聴に供する音源に付加される反射音パターンを、前記分割された周波数帯域ごとに算出する手段と、
    前記算出された前記周波数帯域ごとの反射音パターンを前記音源に付加する手段と、
    前記周波数帯域ごとの反射音パターンが付加された前記音源を合成する手段とを備えること
    を特徴とする音場制御システム。
  8. 前記分割された周波数帯域ごとに、利得を調整する手段を備えること
    を特徴とする請求項7に記載の音場制御システム。
  9. 前記周波数帯域を分割する手段と前記算出された反射音パターンを音源に付加する手段と前記利得を調整する手段と前記音源を合成する手段とは、信号入出力間の伝達関数に合致する伝達関数を有するフィルタを用いて構成されていること
    を特徴とする請求項8に記載の音場制御システム。
  10. 前記各々の周波数帯域において、前記周波数帯域を分割する手段と前記算出された反射音パターンを音源に付加する手段と前記利得を調整する手段とは、これら各々の手段を通した信号入出力間の伝達関数に合致する伝達関数を有するフィルタを用いて構成されている
    を特徴とする請求項8に記載の音場制御システム。
  11. 前記残響特性を測定する手段は、スピーカと、該スピーカに入力する所定の信号の発生手段と、前記スピーカから発せられる音波を収音するマイクロホンと、前記所定の信号と前記マイクロホンで収音した音響情報から、前記スピーカと前記マイクロホン間のインパルス応答を分析する手段と
    を備えることを特徴とする請求項6から請求項10のいずれか一項に記載の音場制御システム。
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