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JP4054815B2 - 部材の密着性評価方法及び密着性評価装置 - Google Patents

部材の密着性評価方法及び密着性評価装置 Download PDF

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JP4054815B2 JP2005144069A JP2005144069A JP4054815B2 JP 4054815 B2 JP4054815 B2 JP 4054815B2 JP 2005144069 A JP2005144069 A JP 2005144069A JP 2005144069 A JP2005144069 A JP 2005144069A JP 4054815 B2 JP4054815 B2 JP 4054815B2
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Description

本発明は、部材の密着性評価方法及び密着性評価装置に関し、特に、微小領域の薄膜の密着性評価方法及び密着性評価装置に関する。
従来の密着性評価方法(例えば、被成膜基板に対する薄膜の密着性評価方法)としては、引っ張り剥離法、スクラッチ法、圧痕法などが行なわれてきた。
例えば、引っ張り剥離法の一種である碁盤目法においては、基板上に形成された薄膜にカッターで碁盤目状に切れ目を入れた後に、薄膜表面に粘着テープを貼り付け、その後、粘着テープを剥がし、粘着テープとともに基板から剥離した薄膜の升目を計数することにより密着性評価を行なっている。
また、スクラッチ法においては、基板上に形成された薄膜に硬度の高い針(スタイラス)を垂直に押しつけて荷重をかけながら水平方向に動かして薄膜を引っかくことを行ない、薄膜に引っかき傷(スクラッチ)が発生する荷重を測定することにより密着性評価を行なっている。
さらに、圧痕法においては、基板上に形成された薄膜にマイクロビッカース硬度計を用いて荷重をかけることを行ない、その後載荷重を徐々に上げていった時に圧痕の周辺に発生する薄膜の剥離状態を観察することにより密着性評価を行なっている。
また、特許文献1には、基板に塗布されて密着された塗膜の密着性を評価する塗膜の密着性評価方法であって、基板に塗膜が設けられた試料を、所定の径を有する試験ローラの一部に巻回させて屈曲させ、そのときの塗膜の剥離の状態を検出して基板への塗膜の密着性を評価する塗膜の密着性評価方法が開示されている。
上記したように、従来の密着性評価方法は、マクロなサイズの試料を測定対象とすることを前提として発展してきたものであった。
特開2002−005817号公報
一方、近年、成膜技術や微細加工技術などが進展するのにともなって、特に各種デバイス、微小機械などで代表されるようなサイズの小さい試料の特定箇所の微小部の物性評価が求められている。
こうした物性評価の項目としては、形態構造、結晶性、欠陥、不純物、構成元素などがあげられるが、密着性も評価すべき基本的なパラメーターの一つである。
例えば、薄膜の密着性が良くないとデバイスの耐久性、信頼性などの低減につながる場合があり、密着性向上が製品の品質向上につながる場合は決して少なくはない。
ただし、近年の各種デバイス、微小機械などで代表されるようなサイズの小さい試料においては微小部内で複雑な構造をとっているために微小部内の所々で密着性が異なる場合があり、試料の微小部の特定箇所を選択して、その箇所の密着性評価を行なうことが求められている。
しかしながら、従来の密着性評価方法においては、どれもがマクロなサイズの試料を対象としたものであり、試料の微小部の特定箇所(例えばnm〜μm近傍のオーダー)を選択して、その箇所の密着性評価を行なうことは不可能であった。
また、模擬的な試料(例えば基板上に形成されたべたの薄膜)を作製して、従来の密着性評価方法を行なうことにより、実試料(各種デバイス、微小機械など)の微小部の特定箇所の密着性評価を代用することが試みられる場合があるが、模擬的な試料と実試料とが全く同一の状態であるとは限らないために、模擬的な試料の密着性評価が、必ずしも実試料の微小部の特定箇所の密着性評価を反映したものではなかった。
本発明は、各種デバイス及び微小機械等の試料の微小部の特定箇所(例えばnm〜μm近傍のオーダー)を選択して、その箇所の密着性評価を精度良く行なうことが可能になる密着性評価方法及び装置を提供することを目的とする。
本発明の別の目的は、被測定部の切り離し作業を容易にし、切り離し工程中に被測定部あるいは支持部材の破損を抑制し、密着性評価の結果に悪影響を及ぼし難い部材の密着性評価方法及び装置を提供することにある。
本発明の更に別の目的は、被測定部の損傷を抑制し、支持部材の固定強度が強く、精度の高い密着性評価が可能な部材の密着性評価方法及び装置を提供することにある。
本発明者は、上記の目的を達成するために種々の検討を重ねた結果、本発明を完成した。
本発明により提供される部材の密着性評価方法は、第一の部材上に第二の部材が設けられた測定用の試料を用意する工程と前記第二の部材の900μm〜10nmのサイズの被測定部をイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれかを用いて周囲部から切り離す工程と前記第二の部材の被測定部の前記第一の部材への密着性を測定するための支持部材を前記第二の部材の被測定部に堆積物形成用のガス雰囲気中でイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれか一つ以上の照射を行い堆積物を堆積させることにより固定する工程、前記支持部材を介して前記第二の部材の被測定部に引っ張り力を加え、前記第二の部材の被測定部の前記第一の部材への密着性を評価する工程と、を少なくとも有することを特徴とするものである。
また、前記切り離す工程は、イオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれかを用いてなされることを包含する。
また、前記固定する工程は、堆積物を堆積させることにより、前記支持部材を前記第二の部材の被測定部に固定することを包含する。
また、前記固定する工程は、堆積物形成用のガス雰囲気中でイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれか一つ以上の照射を行なうことを包含する。
さらに、前記密着性を評価する工程は、前記支持部材を引っ張る工程又は前記試料を保持するステージを移動させる工程を含む。
本発明により提供される部材の密着性評価装置は、第一の部材上に設けられた第二の部材の所望の個所における900μm〜10nmの領域の第一の部材への密着性を評価するための部材の密着性評価装置であって、第二の部材の被測定部を周囲部から切り離すためのイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれかを照射可能な切り離し手段、前記第二の部材の被測定部に固定され第二の部材の被測定部の第一の部材への密着性を評価するための支持手段、前記支持手段を第二の部材の被測定部に堆積物形成用のガス雰囲気中でイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれか一つ以上の照射を行い堆積物を堆積させることにより固定するための固定手段、前記支持手段を介して前記第二の部材に引っ張り力を加えて、前記第二の部材の第一の部材への密着性を評価するための引っ張り評価手段と、少なくとも有することを特徴とする。


本発明によれば、測定対象物を構成する第二の部材の被測定部の第一の部材への密着性の評価を第二の部材に固定された支持部材に介して第二の部材に引っ張り力を加えることで行うことができる。
支持部材としてμプローブを使用した場合には、試料の微小部の密着性を評価することが可能となる。
また、試料の被測定部の周囲部からの切り離し工程においては、被測定部を任意の箇所を選択することが可能であるので、試料の微小部の特定箇所の密着性を評価することが可能である。
さらに、本発明によれば、試料の被測定部を周囲部から切り離す工程において、被測定部を任意のサイズに選択することが可能であるので、微小部の密着性を評価の自由度を上げ、評価精度を高めることが可能である。
また、切り離す工程において、粒子線を用いてなされる場合には、背景技術で述べたようなカッターで切れ目を入れたりする場合に比べて、引っ張り評価結果に影響を及ぼす可能性のある外力(物理的エネルギー)の被測定部への付与を、抑制することが可能である。
さらに、支持部材を被測定部に固定する工程において、堆積物を堆積させる場合には、発熱溶融による固定を行なう場合に比べて、引っ張り評価結果に影響を及ぼす可能性のある外力(熱エネルギー)の被測定部への付与を、抑制することが可能である。
また、本発明によれば、同一装置内で切り離す工程、固定する工程、引っ張り評価工程容易に短時間で行なうことが可能である。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の実施の形態を説明する。
なお、本明細書においては、便宜上、第一の部材を基板、第二の部材を薄膜として説明するが、本発明における部材はこれらに限定されるものではない。
[構成の説明]
図1は、本発明の一実施の形態としての密着性評価方法を示すための模式断面図である。
図1において、1は第一の部材と第二の部材からなる試料、2は第二の部材からなる薄膜、3は第一の部材からなる基板、4は周囲部、5は周囲部4から切り離した被測定部、6は支持部材であるμプローブ、7はμプローブの物体取り付け箇所、8は引っ張り荷重測定手段、9は堆積物形成用ガス、10は粒子線、11はμプローブ6と薄膜2とを固定するための堆積物である。
また、本実施の形態の工程のうちの少なくともいくつかにおいて、試料1及びμプローブ6の少なくとも一方又は両方の状態を観察する工程があるほうが、微小部密着性評価を円滑に確実に行なう上で望ましいことが多い。
1)試料の被測定部を周囲部から切り離す工程(切り離し工程)
図1(a)に示すように試料1を準備した後に、図1(b)に示すように試料1の被測定部5を周囲部4から切り離す。
本実施の形態で使用される試料としては、メモリやCPU等の半導体デバイス、CCDやCMOSのような撮像デバイス、液晶やELなどの表示デバイス、又は角速度センサーやインクジェットデバイスなどの微小機械など任意のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
また、本実施の形態で使用される試料としては、上記に示されたような完成品でも、レジスト塗布されたSi基板のような完成途中の段階のもの(半完成品)でも良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
本実施の形態の試料の形状としては、膜状、直方体状、球状、円柱状、らせん状、歯車状など任意の形状のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ここで、試料が各種デバイス、微小機械の場合には、図1(a)に示すように、基板上の薄膜などの形状をとる場合が多い。
また、本実施の形態で使用される試料の表面形状としては、平滑なものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
本実施の形態で使用される試料の材質としては、金属、セラミック、有機物など任意の材質のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、上記の試料の材質は単一のものでも、複数以上の材質を組み合わせたものでも、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
本実施の形態の被測定部としては、試料の表面、試料の内部、試料の側面など、試料の任意の箇所があげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ただし、被測定部が試料の内部の場合には、その被測定部の上に載っている部位などを除去する必要性が生じる場合もある。
本実施の形態における被測定部のサイズとしては、nm〜μm近傍のオーダー、例えば、900μm〜10nm、好ましくは数百μm〜数十nm程度のものがあげられるが、より好ましくは数十μm〜数μm程度のものがあげられる。
なお、このような微小領域の薄膜などの密着性を評価できることが本発明の重要な効果の一つである。
本実施の形態における被測定部を切り離す方法としては、粒子線の照射による方法、フォトリソグラフィーによる方法、機械的な引っかきによる方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、これらの切り離し方法は、単独の方法を用いても、複数の方法を組み合わせて用いても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
なお、上記の粒子線としては、イオンビーム、電子ビーム、光ビーム等があげられる。
また、これらの粒子線は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態における切り離し工程を実施する時期としては、被測定部と支持部材であるμプローブとの固定工程の前であることが好ましい。また、固定工程の後に切り離し工程を行うことも可能である。更には、切り離し工程の一部を固定工程の前に行ない残りを固定工程の後に行なうようにすることも可能である。
しかし、以下の理由により、被測定部と支持部材との固定工程の前に被測定部の切り離し工程を設けることが好ましい。
すなわち、被測定部と支持部材との固定後に被測定部を切り離そうとすると、当該被測定部上には支持部材が固定されているため、被測定部を切り離そうとすると切り離し工程時に支持部材が切り離し手段、又は切り離すために使用する粒子線と干渉し、所望の面積、あるいは形状に切り離すことが困難となる場合がある。
また、被測定部と支持部材が固定された状態で被測定部を切り離すと、少なからず被測定部に支持部材からの余計な外力が付与されるために切り離し工程中に被測定部あるいは支持部材が破損する場合や、たとえ破損しなくとも上記外力の付与が引っ張り評価結果に影響を及ぼす場合がある。
この問題は特に被測定部のサイズが小さかったり、又は被測定部あるいはその周囲部の形状が複雑になったりすると、顕著化する場合がある。
2)被測定部と支持部材を固定する工程(固定工程)
図1(c)に示すように、試料1の被測定部5に支持部材であるμプローブ6を近づけた後に、図1(d)に示すように、両者を近づけた状態で、被測定部5とμプローブ6の物体取り付け箇所7を固定する。
本実施の形態で使用されるμプローブ6としては、固定により被測定部を付ける個所(物体取り付け個所)7、引っ張り荷重測定手段8、あるいは移動するための駆動機構を少なくとも有するものなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態で使用されるμプローブの材質としては、金属、セラミック、有機材料など任意の材質のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、上記のμプローブの材質は単一のものでも、複数以上の材質を組み合わせたものでも、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ここで、μプローブを構成するものの材質として圧電材料を用いた場合には、印加電圧や電気的計測によりμプローブにかかる荷重を測定することも可能になる。
本実施の形態の被測定部とμプローブを固定する方法としては、堆積物を形成させて固定する方法、静電気力により固定する方法、接着剤などの粘着物を用いて固定する方法、μプローブの先端を加熱して被測定部を部分的に溶融して固定する方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ただし、実際的には、本発明において被測定部とμプローブを固定する方法は非常に重要である。
すなわち、被測定部と支持部材であるμプローブのいずれにおいても、微小な面積を有する部分同士の固定であるために固定するのに必要な領域も極めて限定された領域となる。
したがって、安易に接着剤などを用いて固定すると、固定される部分が大きくなりすぎて、本来評価すべき微小な領域よりも接着領域が大きくなり、正確な評価が不可能になる場合がある。
また、別の方法としてμプローブの先端を加熱して被測定部を部分的に溶融して固定する方法をあげたが、この方法の場合には溶融によって被測定部自体がダメージを受け本来の密着性が変化することにより正しい引っ張り評価結果が得られない場合がある。
さらに、別の方法として静電気力により固定する方法をあげたが、この方法の場合には他の方法に比べて固定強度が弱くなる場合や材料により固定できない場合がある。
一方、堆積物を形成させて固定する方法(特に堆積物形成用ガス中で粒子線を所望の個所に照射することにより堆積物を形成する方法)は、他の方法における上記の課題を抑制できるという利点がある。
したがって、この方法は本実施の形態において使用するのに適した方法である。
なお、このときの粒子線としては、イオンビーム、電子ビーム、光ビームがあげられる。
さらに、このときの堆積物形成用ガスのガス種としては、有機金属(例えば、W(CO)、Mo(CO)、Ni(CO)、CPt(CH、Cu(hfac)など)、有機化合物(ピレン、スチレン、フェナントレンなど)、シラン化合物(TEOS、TMCTSなど)、金属フッ化物(WFなど)などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、これらの堆積物形成用ガスは単独で用いても、他のガスと混合して用いても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。例えば、TEOS、TMCTSなどはO、Oなどと混合して用いることが多い。
3)被測定部に引っ張り力を加えることにより密着性を評価する工程(引っ張り評価工程)
図1(e)に示すように被測定部5に固定されたμプローブ6に引っ張り力を加えることで、被測定部5を試料1から引っ張ることにより、図1(f)に示すように被測定部5を剥離して、密着性の評価を行なう。
本実施の形態における、被測定部5を試料1から引っ張る方法としては、図1(e)に示すように被測定部5の付いたμプローブ6を移動させる(引っ張り力を加える)方法、試料1(及び試料が固定されている試料ステージ)を移動させる(引っ張り力を加える)方法、あるいはこれらを組み合わせた方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態における引っ張り力を加える運動の種類としては、X方向の並進運動、Y方向の並進運動、Z方向の並進運動、ある軸の周りの回転運動、あるいはそれらを組み合わせたものなどの任意の運動があげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
そのうち、図1(e)に示すように平坦な薄膜の場合には、Z方向の並進運動が最も一般的であり、評価する上で最も好ましい方向であると考えられる。
ただし、評価目的や試料の形状の制約などにより、他のものが好ましくなる場合もある。
さらに、被測定部のサイズが微小であることから、剥離に必要な引っ張り力の絶対値を小さくできるので、剥離が困難な方向についての引っ張り評価も可能になる場合がある。
本実施の形態の引っ張り評価方法としては、μプローブのたわみ量を直接観察する方法によるもの、μプローブのたわみ量を電気的に測定する方法によるものなど直接的なものでも、あるいはプローブの移動量と引っ張り力との関係を示す較正データを用いることによりプローブの移動量から引っ張り力を求める方法によるものなど間接的なものでも、上記の二つの方法を組み合わせたものでも、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、部材の(例えば、微小部)密着性評価の目的に応じては必ずしも被測定部の剥離に要する引っ張り力(引っ張り剥離強度)の絶対値を求める必要はなく、試料ごとの引っ張り剥離強度の相対値を求めて比較することで充分に目的を達成する場合も少なくはない。
図2は、本発明の一実施の形態としての部材の密着性評価装置の構成を示すための模式的断面図である。
本実施の形態の部材の密着性評価装置は、被測定部を周囲部から切り離す手段と、被測定部と支持部材であるμプローブを固定する手段と、被測定部に引っ張り力を加えることにより密着性を評価する手段とを少なくとも有している構成である。
また、本実施の形態の微小部密着性評価装置は、粒子線IIIによって試料及び支持部材であるμプローブの少なくとも一方あるいは両方の状態を観察する手段を有するほうが、微小部密着性評価を円滑に確実に行なう上で望ましいことが多い。
図2において、51は粒子線Iの照射系、52は粒子線IIの照射系、53は粒子線Iを照射したときに発生する信号の検出系、54は粒子線IIを照射したときに発生する信号の検出系、55は粒子線I、56は粒子線II、57は固定するための堆積物、60は試料ステージ、61は第一の部材と第二の部材からなる試料、62は第二の部材からなる薄膜、63は第一の部材からなる基板、64は周囲部、65は周囲部64から切り離した被測定部、66は支持部材であるμプローブ、67はμプローブの物体取り付け箇所、68は引っ張り評価手段、69は制御系、70は観察表示系、71は堆積物形成用ガス導入系、72は堆積物形成用ガスである。
なお、以上のものは必要に応じて真空容器(不図示)内に配置されており、真空排気系(不図示)により真空排気されている。
さらに、制御系69は、粒子線Iの照射系51、粒子線IIの照射系52、粒子線Iを照射したときに発生する信号の検出系53、粒子線IIを照射したときに発生する信号の検出系54、試料ステージ60、μプローブ66、μプローブの引っ張り評価手段68、観察表示系70、堆積物形成用ガス導入系71、真空制御系(不図示)などと信号をやりとりすることにより、密着性評価装置を制御している。
ここで、照射系51を制御することにより、粒子線I55を照射し、また照射したときに発生する信号の検出系53を用いることにより、観察表示系70において粒子線I55の照射位置の確認を行なうことができる。
同様に照射系52を制御することにより、粒子線II56を照射し、また照射したときに発生する信号の検出系54を用いることにより、観察表示系70において粒子線II56の照射位置の確認などを行なうことができる。
また、試料ステージ60は、試料61などをのせており、試料ステージ60を制御することにより、試料ステージ60と同時に試料61の移動が行なわれる。
さらに、μプローブ66は、μプローブの物体取り付け箇所67、引っ張り評価手段68、μプローブの駆動部(不図示)を少なくとも有し、引っ張り評価手段68を制御することにより引っ張り力測定が行なわれ、μプローブの駆動部を制御することによりμプローブの移動などが行なわれる。
また、堆積物形成用ガス導入系71を制御することにより、堆積物形成用ガス72の導入などが行なわれる。
さらに、堆積物形成用ガス72の導入中に、粒子線I55を所望の位置に照射することにより、所望の位置に固定するための堆積物57を選択的に形成することができる(図2(b))。
以下に、本実施形態の密着性評価装置を用いた密着性評価方法について説明する。
(a)試料の被測定部を周囲部から切り離す。
図2(a)に示すように、試料61の被測定部65を周囲部64から切り離す。
本実施の形態の被測定部を切り離す方法としては、粒子線の照射による方法、フォトリソグラフィーによる方法、機械的な引っかきによる方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、これらの切り離し方法は、単独の方法を用いても、複数の方法を組み合わせて用いても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものでも良い。
なお、上記の粒子線としては、イオンビーム、電子ビーム、光ビームなどがあげられる。
また、これらの粒子線は、単独で用いても、複数を組み合わせて用いても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態における切り離し工程を実施する時期としては、被測定部と支持部材であるμプローブとの固定工程の前であっても、固定工程の後であっても良く、また切り離し工程の一部を固定工程の前に行ない残りを固定工程の後に行なうようにしても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
しかし、以下の理由により、被測定部と支持部材との固定工程の前に被測定部の切り離し工程を設けることが好ましい。
すなわち、被測定部と支持部材との固定後に被測定部を切り離そうとすると、当該被測定部上には支持部材が固定されているため、被測定部を切り離そうとすると切り離し工程時に支持部材が切り離し手段、あるいは切り離すために使用する粒子線と干渉し、所望の面積、あるいは形状に切り離すことが困難となる場合がある。
また、被測定部と支持部材が固定された状態で被測定部を切り離すと、少なからず被測定部に支持部材からの余計な外力が付与されるために切り離し工程中に被測定部あるいは支持部材が破損する場合や、たとえ破損しなくとも上記外力の付与が引っ張り評価結果に影響を及ぼす場合がある。
この問題は特に被測定部のサイズが小さかったり、あるいは被測定部又はその周囲部の形状が複雑になったりすると、顕著化する場合がある。
本実施の形態の試料としては、メモリやCPUなどの半導体デバイス、CCDやCMOSのような撮像デバイス、液晶やELなどの表示デバイス、あるいは角速度センサーやインクジェットなどの微小機械など任意のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
また、本実施の形態の試料としては、上記に示されたような完成品でも、レジスト塗布されたSi基板のような完成途中の段階のもの(半完成品)でも良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
本実施の形態の試料の形状としては、膜状、直方体状、球状、円柱状、らせん状、歯車状など任意の形状のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。ここで試料が各種デバイス、微小機械の場合には、図1(a)に示すように、基板上の薄膜などをパターニングした形状をとる場合が多い。
また、本実施の形態の試料の表面形状としては、平滑なものに限らず、曲面を有するもの、表面にある程度の凹凸や段差を有するものなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
本実施の形態の試料の材質としては、金属、セラミック、有機物など任意の材質のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。また上記の試料の材質は単一のものでも、複数以上の材質を組み合わせたものでも、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に限定されるものではない。
本実施の形態の被測定部としては、試料の表面、試料の内部、試料の側面など試料の任意の箇所があげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ただし、被測定部が試料の内部の場合には、その被測定部の上に載っている部位などを除去する必要性が生じる場合もある。
本実施の形態における被測定部のサイズとしては、nm〜μm近傍のオーダー、例えば、900μm〜10nm、好ましくは数百μm〜数十nm程度のものがあげられるが、より好ましくは数十μm〜数μm程度のものがあげられる。
なお、このような微小領域の薄膜などの密着性を評価できることが本発明の重要な効果の一つである。
(b)被測定部と支持部材を固定する。
図2(b)に示すように試料61の被測定部65に支持部材であるμプローブ66を近づけた状態で、被測定部65とμプローブ66の物体取り付け箇所67を固定する。
本実施の形態の被測定部とμプローブを固定する方法としては、堆積物を形成させて固定する方法、静電気力により固定する方法、接着剤などの粘着物を用いて固定する方法、μプローブの先端を加熱して被測定部を部分的に溶融して固定する方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ただし、実際的には、本発明において被測定部とμプローブを固定する方法は非常に重要である。
すなわち、被測定部と支持部材であるμプローブのいずれにおいても、微小な面積を有する部分同士の固定であるために固定するのに必要な領域も極めて限定された領域となる。
したがって、安易に接着剤などを用いて固定すると、固定される部分が大きくなりすぎて、本来評価すべき微小な領域よりも接着領域が大きくなり、正確な評価が不可能になる場合がある。
また、別の方法としてμプローブの先端を加熱して被測定部を部分的に溶融して固定する方法をあげたが、この方法の場合には溶融によって被測定部自体がダメージを受け本来の密着性が変化することにより正しい引っ張り評価結果が得られない場合がある。
さらに、別の方法として静電気力により固定する方法をあげたが、この方法の場合には他の方法に比べて固定強度が弱くなる場合や材料により固定できない場合がある。
一方、堆積物を形成させて固定する方法(特に堆積物形成用ガス中で粒子線を所望の個所に照射することにより堆積物を形成する方法)は、他の方法における上記の課題を抑制できるという利点がある。
したがって、この方法は本実施の形態において使用するのに適した方法の一つである。
なお、このときの粒子線としては、イオンビーム、電子ビーム、光ビームがあげられる。
さらに、このときの堆積物形成用ガスのガス種としては、有機金属(例えば、W(CO)、Mo(CO)、Ni(CO)、CPt(CH、Cu(hfac)など)、有機化合物(ピレン、スチレン、フェナントレンなど)、シラン化合物(TEOS、TMCTSなど)、金属フッ化物(WFなど)などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、これらの堆積物形成用ガスは単独で用いても、他のガスと混合して用いても良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
例えば、TEOS、TMCTSなどはO、Oなどと混合して用いることが多い。
本実施の形態のμプローブとしては、固定により被測定部を付ける個所(物体取り付け個所)、引っ張り荷重測定手段、あるいは移動するための駆動機構を少なくとも有するものなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態のμプローブの材質としては、金属、セラミック、有機材料など任意の材質のものがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、上記のμプローブの材質は単一のものでも、複数以上の材質を組み合わせたものでも、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ここで、μプローブを構成するものの材質として圧電材料を用いた場合には、印加電圧や電気的計測によりμプローブにかかる荷重を測定することも可能になる。
(c)被測定部に引っ張り力を加えることにより密着性を評価する。
図2(c)に示すように被測定部65に引っ張り力を加えることで、被測定部65を試料61から引っ張ることにより、被測定部65を剥離して、密着性の評価を行なう。
本実施の形態における、被測定部65を試料61から引っ張る方法としては、図2(c)に示すように被測定部65の付いたμプローブ66を移動させる(引っ張り力を加える)方法、試料61(及び試料が固定されている試料ステージ60)を移動させる(引っ張り力を加える)方法、あるいはこれらを組み合わせた方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態のおける引っ張り力を加える運動の種類としては、X方向の並進運動、Y方向の並進運動、Z方向の並進運動、ある軸の周りの回転運動、あるいはそれらを組み合わせたものなどの任意の運動があげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
そのうち、図2(c)に示すように平坦な薄膜の場合には、Z方向の並進運動が最も一般的であり、評価する上で最も好ましい方向であると考えられる。
ただし、評価目的や試料の形状の制約などにより、他のものが好ましくなる場合もある。
さらに、被測定部のサイズが微小であることから、剥離に必要な引っ張り力の絶対値を小さくできるので、剥離が困難な方向についての引っ張り評価も可能になる場合がある。
本実施の形態の引っ張り評価方法としては、μプローブのたわみ量を直接観察する方法によるもの、μプローブのたわみ量を電気的に測定する方法によるものなど直接的なものでも、あるいはプローブの移動量と引っ張り力との関係を示す較正データを用いることによりプローブの移動量から引っ張り力を求める方法によるものなど間接的なものでも、上記の二つの方法を組み合わせたものでも、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、微小部密着性評価の目的に応じては必ずしも被測定部の剥離に要する引っ張り力(引っ張り剥離強度)の絶対値を求める必要はなく、試料ごとの引っ張り剥離強度の相対値を求めて比較することで充分に目的を達成する場合は少なくはない。
本実施の形態では、被測定部の切り離し時に粒子線Iを、固定のための堆積物形成時に粒子線IIを、観察時に粒子線IIIを照射するが、ここで粒子線I、II、IIIはすべてが同一のものでも、二つが同一で一つが異なるものでも、すべてが異なるものでも良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、それに伴い、粒子線I、II、IIIの照射のための粒子線照射系はすべてが同一のものでも、二つが同一で一つが異なるものでも、すべてが異なるものでも良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。また、被測定部の切り離しが必要とされない系においては粒子Iの照射系は設けなくても良い。
さらに、粒子線I、II、IIIの照射のための粒子線照射系は、単一のものでも、複数個以上のものでも良く、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態の粒子線の照射方法としては、絞ったビームを所望の領域で走査しながら照射する方法、ある程度の広がったビームを所望の領域に照射する方法、あるいはそれらを組み合わせた方法などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態の粒子線としては、イオンビーム、電子ビーム、光ビームなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
また、上記の粒子線は単独のものとして用いても、複数以上を組み合わせたものとして用いても、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
さらに、複数以上の粒子線を組み合わせて用いる場合において、粒子線を同時に用いても、粒子線を順番に用いても、これらを組み合わせても、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
本実施の形態の粒子線がイオンビームである場合における、イオンビームのイオン種としては、液体金属イオン源である、Ga、Si、Ge、Cs、Nb、Cuなどや、電界電離ガスイオン源であるO、N、H、He、Arなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
ただし、実際には扱いやすさなどの理由から、イオンビームのイオン種としてGaを使用することが多い。
また、本実施の形態の粒子線が電子ビームである場合における、電子の形成方法としては、熱電子放出によるもの、電界放出によるもの、トンネル電子放出によるもの、光電子放出によるものなどがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。
さらに、本実施の形態の粒子線が光ビームである場合における、光ビームの種類としては、X線、紫外線、可視光、赤外線などがあげられるが、被測定部の切り離し、固定、引っ張り評価などに不都合がなければ、特に制限されるものではない。また実際には扱いやすさなどの理由から、レーザービームを使用することが多い。
[実施例]
以下に実施例をあげて、上記の実施の形態を詳細に説明する。
[実施例1]
本実施例では、上記の実施の形態の微小部密着性評価方法を用いて、基板上の薄膜の密着性評価を行なう例について、図1を用いて説明する。
図1において、1は試料、2は薄膜、3は基板、4は周囲部、5は被測定部、6は支持部材であるμプローブ、7はμプローブの物体取り付け箇所、8は引っ張り荷重測定手段、9は堆積物形成用ガスであるタングステンカルボニルガス、10は粒子線であるイオンビーム、11は固定するための堆積物(主要な成分としてタングステンを含んでいる)である。
本実施例では、以下では特に明示はしないが、電子ビームを走査して照射したときに発生する2次電子を検出すること(SEM:Scanning Electron Microscopy、走査電子顕微鏡法)により、試料1やμプローブ6などの状態を観察する工程も適宜含んでいるものとする。
1)試料の被測定部を周囲部から切り離す工程(切り離し工程)
図1(a)に示すように、試料1として基板3上の薄膜2を準備する。
次に、図1(b)に示すように、試料1の被測定部5の周囲部4にイオンビーム10を照射してエッチングすることにより、被測定部5を周囲部4から切り離す。なお被測定部のサイズは7×7μm程度である。
2)被測定部と支持部材を固定する工程(固定工程)
図1(c)に示すように試料1の被測定部5に支持部材であるμプローブ6を近づける。
次に、図1(d)に示すように両者を近づけた状態で、タングステンカルボニルガス9中でイオンビーム10をμプローブ6の物体取り付け箇所7に照射することによりタングステンを含有する堆積物11を被測定部5上に形成することにより、被測定部5にμプローブ6を固定する。
3)被測定部に引っ張り力を加えることにより密着性を評価する工程(引っ張り評価工程)
図1(e)に示すように、被測定部5に固定されたμプローブ6をZ方向に移動させることにより、被測定部5に引っ張り力を加える。
次に、図1(f)に示すように、引っ張り力がある程度以上になると、被測定部5が試料1の基板3から剥離される。このときの引っ張り力を引っ張り評価手段により求める。なお、ここではプローブの移動量と引っ張り力との関係を示す較正データを用いることにより、プローブの移動量から引っ張り力を求めている。
評価
以上説明したように、試料の微小部(7×7μm程度)の特定箇所を選択し、その箇所の密着性評価を行なうことが可能である。
[実施例2]
本実施例では、本実施の形態の微小部密着性評価装置について、図2を用いて説明する。
図2において、51は粒子線Iであるイオンビームの照射系、52は粒子線IIである電子ビームの照射系、53は粒子線Iであるイオンビームを照射したときに発生する信号の検出系、54は粒子線IIである電子ビームを照射したときに発生する信号の検出系、55は粒子線Iであるイオンビーム、56は粒子線IIである電子ビーム、57は固定するための堆積物、60は試料ステージ、61は試料、62は薄膜、63は基板、64は周囲部、65は被測定部、66は支持部材であるμプローブ、67はμプローブの物体取り付け箇所、68は引っ張り評価手段、69は制御系、70は観察表示系、71は堆積物形成用ガス導入系、72は堆積物形成用ガスであるピレンガスである。
なお、以上のものは必要に応じて真空容器(不図示)内に配置されており、真空排気系(不図示)により真空排気されている。さらに制御系69は、イオンビームの照射系51、電子ビームの照射系52、イオンビームを照射したときに発生する信号の検出系53、電子線を照射したときに発生する信号の検出系54、試料ステージ60、μプローブ66、μプローブの引っ張り評価手段68、観察表示系70、堆積物形成用ガス導入系71、真空制御系(不図示)などと信号をやりとりすることにより、微小部密着性評価装置の制御、運転などを行なっている。
ここで、照射系51を制御することにより、イオンビーム55を照射し、また照射したときに発生する信号の検出系53を用いることにより、観察表示系70においてイオンビーム55の照射位置の確認などを行なうことができる。
同様に照射系52を制御することにより、電子ビーム56を照射し、また照射したときに発生する信号の検出系54を用いることにより、観察表示系70において電子ビームの照射位置の確認などを行なうことができる。
また、試料ステージ60は、試料61などをのせており、試料ステージ60を制御することにより、試料ステージ60、と同時に試料61などの移動などが行なわれる。
さらに、μプローブ66は、μプローブの物体取り付け箇所67、引っ張り評価手段68、μプローブの駆動部(不図示)を少なくとも有し、引っ張り評価手段68を制御することにより引っ張り力測定が行なわれ、μプローブの駆動部を制御することによりμプローブの移動などが行なわれる。
また、堆積物形成用ガス導入系71を制御することにより、堆積物形成用ガスであるピレンガス72の導入などが行なわれる。ピレンガス72の導入中に、イオンビーム55あるいは電子ビーム56を所望の位置に照射することにより、所望の位置に固定するための堆積物57(主要な成分としてカーボンを含んでいる)を形成することができる(図2(b))。
さらに、電子ビーム56を走査して照射したときに発生する2次電子の検出系54を用いること(SEM:Scanning Electron Microscopy、走査電子顕微鏡法)により、試料61やμプローブ66などの状態を適宜観察することもできる。
評価
本実施例の微小部密着性評価装置を使用することにより、実施例1と同様な作業を達成することができる。
本発明は、各種デバイスを構成する薄膜の微小な特定領域の密着性を評価することに利用可能である。
本発明の一実施の形態としての評価方法を示すための模式断面図である。 本発明の一実施の形態としての微小部密着性評価装置の構成を示すブロック断面図である。
符号の説明
1 試料
2 薄膜
3 基板
4 周囲部
5 被測定部
6 支持部材であるμプローブ
7 μプローブの物体取り付け箇所
8 引っ張り評価手段
9 堆積物形成用ガス
10 粒子線
11 固定するための堆積物
51 粒子線Iの照射系
52 粒子線IIの照射系
53 粒子線Iを照射したときに発生する信号の検出系
54 粒子線IIを照射したときに発生する信号の検出系
55 粒子線I
56 粒子線II
57 固定するための堆積物
60 試料ステージ
61 試料
62 薄膜
63 基板
64 周囲部
65 被測定部
66 支持部材であるμプローブ
67 μプローブの物体取り付け箇所
68 引っ張り評価手段
69 制御系
70 観察表示系
71 堆積物形成用ガス導入系
72 堆積物形成用ガス

Claims (4)

  1. 第一の部材上に第二の部材が設けられた測定用の試料を用意する工程と
    前記第二の部材の900μm〜10nmのサイズの被測定部をイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれかを用いて周囲部から切り離す工程と
    前記第二の部材の被測定部の前記第一の部材への密着性を測定するための支持部材を前記第二の部材の被測定部に堆積物形成用のガス雰囲気中でイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれか一つ以上の照射を行い堆積物を堆積させることにより固定する工程
    前記支持部材を介して前記第二の部材の被測定部に引っ張り力を加え、前記第二の部材の被測定部の前記第一の部材への密着性を評価する工程と、を少なくとも有することを特徴とする部材の密着性評価方法。
  2. 前記密着性を評価する工程は、前記支持部材を引っ張る工程又は前記試料を保持するステージを移動させる工程を含むことを特徴とする請求項1記載の部材の密着性評価方法。
  3. 第一の部材上に設けられた第二の部材の所望の個所における900μm〜10nmの領域の第一の部材への密着性を評価するための部材の密着性評価装置であって、
    第二の部材の被測定部を周囲部から切り離すためのイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれかを照射可能な切り離し手段
    前記第二の部材の被測定部に固定され第二の部材の被測定部の第一の部材への密着性を評価するための支持手段
    前記支持手段を第二の部材の被測定部に堆積物形成用のガス雰囲気中でイオンビーム、電子ビーム、光ビームのいずれか一つ以上の照射を行い堆積物を堆積させることにより固定するための固定手段
    前記支持手段を介して前記第二の部材に引っ張り力を加えて、前記第二の部材の第一の部材への密着性を評価するための引っ張り評価手段と、を少なくとも有することを特徴とする部材の密着性評価装置。
  4. 前記引っ張り評価手段は、前記支持部材を引っ張る手段又は前記試料を保持するステージを移動させる手段を含むことを特徴とする請求項記載の部材の密着性評価装置。
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