JP4050448B2 - インクジェット被記録媒体及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット被記録媒体およびその製造方法に関するものであり、更に詳しくは、紙基体のインク吸収層を設ける側に有機顔料を含有する被覆層を設け、その上に無機超微粒子を含有するインク吸収層を設けた、高光沢、高吸収性で優れた画像色彩性を有するインクジェット被記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録方式は、種々の作動原理によりインクの微小液滴を飛翔させて紙などの被記録媒体に付着させ、画像・文字などの記録を行なうものであるが、高速、低騒音、多色化が容易、記録パターンの融通性が大きい、現像−定着が不要等の特徴があり、漢字を含め各種図形及びカラー画像等の記録装置として種々の用途に於いて急速に普及している。更に、多色インクジェット方式により形成される画像は、製版方式による多色印刷やカラー写真方式による印画に比較して、遜色のない記録を得ることが可能である。又、作成部数が少なくて済む用途に於いては、写真技術によるよりも安価であることからフルカラー画像記録分野にまで広く応用されつつある。
【0003】
さらに、用途の多様化に伴い、大判のポスターやPOPアート、製図用途に使用されることが多くなってきている。これら用途では、インクジェットの高鮮鋭性を生かせ、色彩性も優れていることから良好な画像を得ることが可能であり、宣伝効果が大きいものとなる。これらへの適用はパーソナルコンピュータレベルで、鮮鋭性や色彩性といった画像再現性や色再現性に優れた画像を簡単に得ることが可能であるためであり、インクジェット被記録媒体を多用する理由ともなっている。
【0004】
これらインクジェット記録装置の高性能化や用途の多様化により、インクジェット被記録媒体に求められる特性も要求もかなり高度になってきている。特に画像の高精細化を謳った記録装置や大判印字可能な記録装置では、画像を形成するために使用されるインクの量が従来よりかなり増加しており、インクを吸収するためのインク吸収層の改良が進んでいる。
【0005】
又、用途の多様化はインクジェット被記録媒体の外観に対しても生じており、従来からある普通紙やマット紙といった光沢のない或いは光沢の低い外観に加え、アート紙、コート紙、キャストコート紙、印画紙等に類似の光沢を有した外観が求められている。これはインクジェット記録が印刷や写真に匹敵する画像品質を再現できることにより、外観も類似させたいという要望が生じているためである。
【0006】
そこで、光沢表面を備えたインクジェット被記録媒体としては、塗層が湿潤状態にある間にキャスト仕上げして得られるキャストコート紙が特開平6−320857号公報等に開示されているが、銀塩写真印画紙と比較するとその表面光沢は極めて低く、銀塩写真の質感が得られるものではない。
【0007】
一方、表面光沢性を高めたインクジェット被記録媒体としては、支持体上に樹脂からなるインク吸収層を設けたものが提案されている。こうした用途に使用される樹脂の例としては、例えば特開昭57−38185号、同62−184879号公報等に開示されているようなポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体、特開昭60−168651号、同60−171143号、同61−134290号公報に開示されているようなポリビニルアルコールを主体とする樹脂組成物、特開昭60−234879号公報に開示されているようなビニルアルコールとオレフィンまたはスチレンと無水マレイン酸との共重合体、特開昭61−74879号公報に開示されているようなポリエチレンオキサイドとイソシアネートとの架橋物、特開昭61−181679号公報に開示されているようなカルボキシメチルセルロースとポリエチレンオキサイドとの混合物、特開昭61−132377号公報に開示されているようなポリビニルアルコールにメタクリルアミドをグラフト化したポリマー、特開昭62−220383号公報に開示されているようなカルボキシル基を有するアクリル系ポリマー、特開平4−214382号公報等に開示されているようなポリビニルアセタール系ポリマー、特開平4−282282号、同4−285650号公報に開示されているような架橋性アクリル系ポリマー等種々のインク吸収性ポリマーが開示されている。また、特開平4−282282号、同4−285650号公報等には架橋性ポリマーから構成されるポリマーマトリックスと吸収性ポリマーとを併用したインクジェット被記録媒体が開示されている。しかし、これら樹脂からなるインク吸収層は、シリカ等の顔料微粒子からなるインク吸収層と比較して、表面光沢性は得られるものの、吸収速度が遅く、また吸収容量が少ないという欠点を有する。
【0008】
インク吸収速度が速く、表面光沢性を高めたインクジェット被記録媒体としては、近年、アルミナ水和物(カチオン性アルミナ水和物)を用いたインクジェット用被記録材が提案されており、例えば特開昭60−232990号、同60−245588号公報、特公平3−24906号公報、特開平6−199035号、同7−82694号公報に、微細な擬ベーマイト形アルミナ水和物を水溶性バインダーとともに支持体表面に塗工したインクジェット被記録媒体が開示されている。しかしながら、擬ベーマイト形アルミナ水和物を用いたインクジェット被記録媒体は、表面光沢性は非常に高くなるものの、細孔容積が少ないために、例えば特開平5−24335号公報に記載されているように、インク吸収容量が少なく、十分なインク吸収容量を得るためには厚膜塗布が必要である。
【0009】
また、例えば特開平10−203006号公報、同8−174992号公報には、一次粒子径が3nm〜30nmである主として気相法による合成シリカを使用するインクジェット被記録媒体が開示されている。この場合も充分な吸収容量を得るために、30μm以上の膜厚が必要とされている。
【0010】
一方、インク吸収層を設ける支持体に工夫をこらし、画像の鮮鋭性を得ようとする提案もある。例えば特開昭62−162588号公報には、白色度90%以上の晒パルプと吸収性の填料からなる、シート白色度90%以上のインクジェット記録用シートが開示されている。しかしこの方法では十分な白色度と吸収性は得られるものの、高級感のある光沢のある画像を得ることは出来なかった。また特開平11−129613号公報には、蛍光増白効果を有する固体微粒子を含有する層を設けた記録用紙が開示されている。しかしこの方法では特殊な成分を含有する層を設ける工程やインク吸収層に特殊な成分を配合する必要があり、製造工程が複雑になり好ましいものではなかった。
【0011】
また、特開平4−204727号公報、同4−296745号公報には、白色度を改良した樹脂被覆写真用支持体が開示されている。しかしこれらの技術は写真印画紙を作るのが目的であり、樹脂で紙を被覆するため、インク吸収容量が少なく、十分なインク吸収容量を得るためにはインク吸収層の厚膜塗布が必要である。また、特開2000−33771号公報では、硫酸バリウムと熱可塑性中空微細ビーズとを含む層を少なくとも一方の面上に有するベース紙にポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドンとビニルアセテート−ブチルアクリレート共重合体からなるインク吸収層を塗工した、インクジェット記録材料支持体が開示されている。しかし、これはインク吸収層が樹脂のため、シリカ等の顔料微粒子からなるインク吸収層と比較して、表面光沢性は得られるものの、吸収速度が遅く、また吸収量が少ないという欠点を有する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高光沢、高いインク吸収性、優れた画像色彩性を有するインクジェット被記録媒体及びその製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、支持体上に顔料及び接着剤を含有するインク吸収層を設けてなるインクジェット被記録媒体において、該支持体が紙基体のインク吸収層を設ける側に有機顔料を含有する被覆層を設け、該有機顔料の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲であるとともに、被覆層内で有機顔料が充填され、細孔を有するものであり、かつインク吸収層の顔料が気相法シリカあるいはアルミナ水和物から選ばれた少なくとも1種である無機超微粒子であることを特徴とするインクジェット被記録媒体である。
【0014】
該有機顔料が中空有機顔料または中密有機顔料であると好ましく、その混合物でも良い。混合物の場合は中空有機顔料/中密有機顔料=重量比1/10〜10/1の範囲の混合物であるとより好ましい。
【0015】
該中密有機顔料がお椀型であるとより好ましい。
【0016】
該中空有機顔料が平均空隙率が20%以上であるとより好ましい。
【0019】
また、該支持体が紙基体のインク吸収層を設ける側に有機顔料を含有する被覆層を設け、該有機顔料の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲であるとともに、被覆層内で有機顔料が充填され、細孔を有するものであり、熱カレンダー処理をしてから、気相法シリカあるいはアルミナ水和物から選ばれた1種である無機超微粒子を含有するインク吸収層を設けるインクジェット被記録媒体の製造方法である。
【0020】
該熱カレンダー処理をした被覆層の75度鏡面光沢度が60%以上であるとより好ましい。
【0021】
該有機顔料が、中空有機顔料または中密有機顔料であると好ましく、その混合物でも良い。混合物の場合は中空有機顔料/中密有機顔料=重量比1/10〜10/1の範囲の混合物が含まれるとより好ましいインクジェット被記録媒体の製造方法である。
【0022】
該有機顔料がお椀型の中密有機顔料であるとより好ましい。
【0023】
該有機顔料が、平均空隙率20%以上の中空有機顔料であるとより好ましい。
【0024】
該有機顔料が、平均粒径0.3μm以上10μm以下の範囲の有機顔料であるとより好ましい。
【0025】
有機顔料を含有する被覆層を熱カレンダー処理した後に、該顔料が気相法による非晶性合成シリカを含有するインク吸収層を設けるとより好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下に本発明のインクジェット被記録媒体及びその製造方法について、詳細に説明する。
【0027】
本発明のインクジェット被記録媒体用の支持体は、紙基体のインク吸収層を設ける側に、有機顔料を含有する被覆層を設け、該有機顔料の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲であるとともに、被覆層内で有機顔料が充填され、細孔を有するものである。
【0028】
本発明において用いられる紙基体は、一般に用いられている紙が使用できる。紙基体を構成するパルプとしては、天然パルプ、再生パルプ、合成パルプ等を1種もしくは2種以上混合して用いられる。天然パルプとしては、通常製紙用に使用されるパルプ、即ち、針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ等の晒ケミカルパルプ等が、いずれも使用可能である。また、白色度が高いメカニカルパルプであってもよい。更に、藁、エスパルト、バガス、ケナフ等の草類繊維、麻、楮、雁皮、三椏等の靱皮繊維、綿等より製造した非木材パルプでもよい。これらの中では通常工業的に最も多用される針葉樹クラフトパルプ、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹サルファイトパルプ、広葉樹サルファイトパルプ等の晒ケミカルパルプが特に好ましい。
【0029】
パルプは抄紙適性、ならびに、強度、平滑性、地合の均一性等といった紙の諸特性等を向上させるため、ダブルディスクリファイナー等の叩解機により叩解されるのが通常である。叩解の程度は、カナディアン スタンダード フリーネスで250ml〜550mlの通常の範囲で目的に応じて選択することが出来る。
【0030】
叩解されたパルプスラリーは、長網抄紙機、ツインワイヤー抄紙機、または、丸網抄紙機等の抄紙機により抄紙されるが、この際、本発明では、通常抄紙に際して用いられるパルプスラリーの分散助剤、乾燥紙力増強剤、湿潤紙力増強剤、填料、サイズ剤、定着剤等の諸添加物は全て必要に応じて添加することが可能である。更に、必要であれはpH調節剤、染料、有色顔料、及び蛍光増白剤等も添加することが可能である。
【0031】
分散助剤としては例えばポリエチレンオキサイド、ポリアクリルアミド、とろろあおい等が、紙力増強剤としては例えば植物性ガム、澱粉、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等のアニオン性紙力増強剤、カチオン化澱粉、カチオン性ポリアクリルアミド、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性紙力増強剤が、填料としては例えばクレー、カオリン、タルク、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等が、サイズ剤としては例えば高級脂肪酸塩、ロジン、マレイン化ロジン等のロジン誘導体、ジアルキルケテンダイマー、アルケニル或いはアルキルコハク酸塩、エポキシ化脂肪酸アミド、多糖類エステル等が、定着剤としては例えば硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム等の多価金属塩、カチオン化澱粉、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン樹脂等のカチオン性ポリマー等が、pH調節剤としては塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が用いられる。
【0032】
また、本発明に用いられる紙基体は、水溶性高分子添加剤をはじめとする各種の添加剤を含有する液を、タブサイズ、サイズプレス、ゲートロールコーターあるいはフィルムトランスファーコーター等で塗工することも可能である。更に、それらの上にコート層を設けたアート紙、コート紙、キャストコート紙などの塗工紙類を紙基体として使用することもなんら差し支えない。
【0033】
上記水溶性高分子添加剤としては、例えば澱粉、カチオン化澱粉、酸化澱粉、エーテル化澱粉、リン酸エステル化澱粉等の澱粉誘導体、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール誘導体、カルボキシメチルセルローズ、ヒドロキシメチルセルローズ、ヒドロキシエチルセルローズ、セルロースサルフェート等のセルロース誘導体、ゼラチン、カゼイン、大豆蛋白等の水溶性天然高分子、ポリアクリル酸ナトリウム、スチレン−無水マレイン酸共重合体ナトリウム塩、ポリスチレンスルフォン酸ナトリウム等、無水マレイン酸樹脂等の水溶性高分子、メラミン樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性合成樹脂等の水性高分子接着剤等が用いられ、さらにこの他、サイズ剤として石油樹脂エマルション、スチレン−無水マレイン酸共重合体アルキルエステルのアンモニウム塩、アルキルケテンダイマー乳化物、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリ塩化ビニリデン等のディスパーションが挙げられる。その他の添加剤としては、帯電防止剤として、無機電解質である塩化ナトリウム、塩化カルシウム、ボウ硝等が、吸湿性物質としてグリセリン、ポリエチレングリコール等が、顔料としてクレー、カオリン、タルク、硫酸バリウム、酸化チタン等が、pH調節剤として塩酸、苛性ソーダ、炭酸ソーダ等が用いられ、その他染料、蛍光増白剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を組み合わせて使用することも可能である。
【0034】
また、本発明に用いる紙基体は、抄造中または抄造後、カレンダー等にて圧力を印加して圧縮する等施した表面平滑性の良いものが好ましく、JIS−P−8119で測定したベックの平滑度が100秒以上のものが特に好ましい。また、その坪量は30〜250g/m2が好ましい。
【0035】
本発明に用いられる有機顔料としては、例えば、ポリスチレン樹脂、スチレン−アクリル樹脂、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、酢ビ系共重合ポリオレフィン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリアセタール樹脂、塩素化ポリエーテル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂からなるものを挙げることができる。またこれらの樹脂が多層構造を形成している有機顔料であっても良い。上記のうちでは、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂またはスチレン−アクリル樹脂がより好ましい。
【0036】
これら有機顔料の中でも、平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲が好ましい。更に好ましくは、0.3μm以上6μm以下である。平均粒径が0.3μm未満では、被覆層内で有機顔料が密充填され、インク吸収性が阻害され、好ましくない。また、平均粒径が10μmを越えると有機顔料の粒径が大きいため、被覆層内の細孔数が減少し、インクの吸収性が阻害されて、好ましくない。
【0037】
本発明に用いられる有機顔料の形状は、中密球状、中空球状、お椀型、赤血球型、金平糖型のいずれでもよく2種類以上を適宜選択して併用することもできる。インク吸収性の観点から好ましい形状は、粒子内部に1または複数の空隙(中空)部を有する中空有機顔料およびほぼ真球状の中空有機顔料の一部を裁断することにより得られるようなお椀型中密有機顔料である。このような中空有機顔料およびお椀型中密有機顔料には市販の有機顔料を好適に用いることができる。たとえば、中空有機顔料としては、HP−1055、HP−91、OP−84J、HP−433J(以上、ロームアンドハース社製)、お椀型中密有機顔料としては、V2005(ロームアンドハース社製)等が挙げられる。
【0038】
また、本発明の有機顔料を含有する被覆層には、所望の効果を損なわない範囲で他の無機顔料、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、炭酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、水酸化マグネシウム等の無機顔料が1種類あるいは2種類以上を適宜選択して併用することもできる。
【0039】
本発明に用いられる有機顔料を含有する被覆層にはバインダーとして、水溶性の高分子化合物を添加しても良い。例えば、水溶性高分子化合物としてはメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系バインダー、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体等を挙げられる。好ましくは、スチレン−ブタジエン共重合体である。
【0040】
更に、その他の添加剤として、カチオン系染料定着剤、顔料分散剤、増粘剤、流動性改良剤、粘度安定剤、pH調整剤、界面活性剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、着色染料、着色顔料、蛍光増白剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、レベリング剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤、乾燥紙力増強剤などを本発明の目的を害しない範囲で適宜添加することもできる。
【0041】
該被覆層を設ける際に、塗工する方法は、特に限定されず、公知の塗工方法を用いることができる。例えば、エアーナイフコーター、カーテンコーター、スライドリップコーター、ダイコーター、ブレードコーター、ゲートロールコーター、バーコーター、ロッドコーター、ロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドエルブレードコーター、サイズプレスなどの各種装置により紙基体上に塗工することができる。
【0042】
また、塗布された被覆層をカレンダー処理により、平滑化しても良い。その際のカレンダー処理装置としては、グロスカレンダー、スーパーカレンダー、ソフトカレンダーなどが挙げられる。特に熱を加えながら平滑化処理する熱カレンダー処理は好ましく用いられる。
【0043】
このように上記紙基体上のインク吸収層を設ける側に、上記被覆層を設けた支持体のJIS−P8142で測定される75度鏡面光沢度は40%以上であることが好ましい。より好ましくは、50%以上であり、更に好ましくは60%以上である。光沢度が40%未満では、顔料が超微粒子であるインク吸収層を設けても、本発明の目的である高目視光沢が得られない。被覆層表面の75度鏡面光沢度を50%以上にするには上記熱カレンダー処理をする。
【0044】
また本発明のインクジェット被記録媒体は、上記支持体上に無機超微粒子を含有するインク吸収層を設けてなり、該無機超微粒子が気相法シリカあるいはアルミナ水和物から選ばれた少なくとも1種であることが好ましいインクジェット被記録媒体である。
【0045】
本発明のインクジェット被記録媒体における無機超微粒子とは、一次粒子径が100nm以下の無機微粒子を言う、例えば、特開平1−97678号公報、同2−275510号公報、同3−281383号公報、同3−285814号公報、同3−285815号公報、同4−92183号公報、同4−267180号公報、同4−275917号公報などに開示されているアルミナ水和物である擬ベーマイトゾル、特開昭60−219083号公報、同61−19389号公報、同61−188183号公報、同63−178074号公報、特開平5−51470号公報などに記載されているようなコロイダルシリカ、特公平4−19037号公報、特開昭62−286787号公報に記載されているようなシリカ/アルミナハイブリッドゾル、特開平10−119423号公報、特開平10−217601号公報に記載されているような、気相法シリカを高速ホモジナイザーで分散したようなシリカゾル、その他にもヘクタイト、モンモリロナイトなどのスメクタイト粘土(特開平7−81210号公報)、ジルコニアゾル、クロミアゾル、イットリアゾル、セリアゾル、酸化鉄ゾル、ジルコンゾル、酸化アンチモンゾルなどを代表的なものとして挙げることができる。
【0046】
これらの無機超微粒子の中でも特に、気相法シリカ超微粒子、アルミナ水和物を好適に用いることができる。
【0047】
シリカ微粒子は、乾量基準でSiO293%以上、Al2O3約5%以下、Na2O約5%以下から構成される微粒子であり、いわゆるホワイトカーボン、シリカゲルや微粉末シリカなどの非晶性シリカがある。非晶性シリカ微粒子の製造方法としては、液相法、粉砕固相法、晶析固相法および気相法がある。液相法とは、いわゆる液中に存在する珪酸化合物等を、化学変化または物理変化によって固体状態に析出させる微粒子製造方法である。粉砕固相法とはシリカ固体を機械的に粉砕する方法であり、晶析固相法とは溶融や固体の相転移などを利用した微粒子製造方法である。気相法とは、揮発性金属化合物の蒸気の熱分解や、原材料の加熱、蒸発、生成した気相種の冷却、凝縮による微粒子製造方法である。
【0048】
本発明で使用するシリカ微粒子は、上記の内、気相法により合成された非晶性シリカ微粒子である。中でも平均一次粒子径が3nm〜20nmの超微粒子状シリカが好ましい。特に好ましい一次粒子径は4nm〜10nmのものである。またこれらが連結した二次粒子径としては、10nm〜200nmにするのが好ましいが、塗工層の中でどのような形態をとるかは定かではなく、二次粒子の大きさはあまり問題ではない。この気相法により合成された非晶性シリカ微粒子として市販されている製品としては、アエロジル(テグサ社)が該当する。
【0049】
本発明で使用する気相法シリカは、上記の一次粒子径のシリカ微粒子を水に添加し、高速ホモジナイザー等で分散して平均二次粒子径が200nm以下、好ましくは100nm以下にまで分散したものである。
【0050】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、下記の一般式により表すことができる。
Al2O3・nH2O
アルミナ水和物は組成や結晶形態の違いにより、ジプサイト、バイアライト、ノルストランダイト、ベーマイト、ベーマイトゲル(擬ベーマイト)、ジアスポア、無定形非晶質等に分類される。中でも、上記の式中、nの値が1である場合はベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが1を越え3未満である場合は擬ベーマイト構造のアルミナ水和物を表し、nが3以上では非晶質構造のアルミナ水和物を表す。特に、本発明に好ましいアルミナ水和物は、少なくともnが1を越え3未満の擬ベーマイト構造のアルミナ水和物である。
【0051】
本発明に用いられるアルミナ水和物の形状は、平板状、繊維状、針状、球状、棒状等のいずれでもよく、インク吸収性の観点から好ましい形状は平板状である。平板状のアルミナ水和物は、平均アスペクト比3〜8であり、好ましくは平均アスペクト比が3〜6である。アスペクト比は、粒子の「厚さ」に対する「直径」の比で表される。ここで粒子の直径とは、アルミナ水和物を電子顕微鏡で観察したときの粒子の投影面積に等しい円の直径を表す。アスペクト比が上記の範囲より小さい場合は、インク吸収層の細孔径分布が狭くなり、インク吸収性が低下する。一方アスペクト比が上記の範囲を超える場合は、粒子を揃えてアルミナ水和物を製造することが困難となる。
【0052】
本発明に用いられるアルミナ水和物は、アルミニウムイソプロポキシド等のアルミニウムアルコキシドの加水分解、アルミニウム塩のアルカリによる中和、アルミン酸塩の加水分解等公知の方法によって製造することができる。また、アルミナ水和物の粒子径、細孔径、細孔容積、比表面積等の物性は、析出温度、熟成温度、熟成時間、液のpH、液の濃度、共存化合物等の条件によって制御することができる。
【0053】
アルコキシドからアルミナ水和物を得る方法としては、特開昭57−88074号公報、同62−56321号公報、特開平4−275917号公報、同6−64918号公報、同7−10535号公報、同7−267633号公報、米国特許第2,656,321号明細書等にアルミニウムアルコキシドを加水分解する方法として開示されている。これらのアルミニウムアルコキシドとしてはイソプロポキシド、2−ブトキシド等が挙げられる。
【0054】
また、特開昭54−116398号公報、同55−23034号公報、同55−27824号公報、同56−120508号公報には、アルミニウムの無機塩またはその水和物を原料として使用する方法が開示されている。原料としては、例えば塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アンモニウムミョウバン、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウム、水酸化アルミニウム等の無機塩およびその水和物を挙げることができる。
【0055】
更に別の方法として、特開昭56−120508号公報に記載されている如き、pHを酸性側乃至塩基性側に交互に変動させ、アルミナ水和物の結晶を成長させる方法、特公平4−33728号公報に記載されている如き、アルミニウムの無機塩から得られるアルミナ水和物と、バイヤー法で得られるアルミナとを混合し、アルミナを再水和する方法もある。
【0056】
本発明のインクジェツト被記録媒体には、市販のアルミナ水和物も好適に用いることができる。以下にその一例を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
例えば、アルミナ水和物としては、カタロイドAS−1、カタロイドAS−2、カタロイドAS−3(以上、触媒化学工業製)アルミナゾル100、アルミナゾル200、アルミナゾル520(以上、日産化学工業製)、M−200(以上、水澤化学工業製)、アルミゾル10、アルミゾル20、アルミゾル132、アルミゾル132S、アルミゾルSH5、アルミゾルCSA55、アルミゾルSV102、アルミゾルSB52(以上、川研ファインケミカル製)などを挙げることができる。
【0057】
本発明に用いられる無機超微粒子のバインダーとして、水溶性あるいは非水溶性の高分子化合物を添加しても良い。本発明に用いられる高分子化合物は、インク吸収層の構成成分として、インクと親和性を有する化合物である。例えば、水溶性高分子化合物としてはメチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、及びヒドロキシエチルセルロース等のセルロース系バインダー、澱粉及びその変性物、ゼラチン及びその変性物、カゼイン、プルラン、アラビアゴム、及びアルブミン等の天然高分子樹脂またはこれらの誘導体、ポリビニルアルコール及びその変性物、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のラテックスやエマルジョン類、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のビニルポリマー、ポリエチレンイミン、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、及び無水マレイン酸またはその共重合体等を挙げられる。好ましくは、ポリビニルアルコールである。
【0058】
また、非水溶性高分子化合物としては、エタノール、2−プロパノール等のアルコール類やこれらのアルコール類と水との混合溶媒に溶解する非水溶性バインダーが、酸化アルミニウムの分散が安定化されるので特に好ましい。この様な非水溶性バインダーとしては、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のアセタール樹脂を挙げることができ、特にアセタール化度が5モル%以上20モル%以下の範囲のアセタール樹脂は、水を多少含有させることができ、無機超微粒子の分散を容易にすることができる為、特に好ましい。
【0059】
これらの高分子化合物は、単独乃至複数を併用してもよく、無機超微粒子に対し、2〜50重量%を添加する。好ましくは、5〜30重量%を添加する。上記の添加量の範囲以下では塗膜強度が弱くなり、多すぎるとインク吸収性が低下する。
【0060】
本発明における塗工液を塗布する方法は、Eバー塗布、カーテン塗布、ストラドホッパー塗布、エクストルージョン塗布、ロール塗布、エアナイフ塗布、グラビア塗布、ロッドバー塗布等の各種塗布方法を採用することができる。
【0061】
本発明において、インク吸収層の層構成は、単層であっても積層構成であってもよい。積層構成の場合、全層が同じ配合の層であってもよいし、他の成分で構成される層との積層構成であってもよい。
【0062】
本発明の無機超微粒子を含有するインク吸収層の塗工量は、固形分換算で単位平方メートル当たり10g以上が必要であり、本発明のさらなる効果を認めるには、好ましくは単位平方メートル当たり12g以上50g以下である。空隙量などにもよるが、厚さで12μm以上が特に好ましい。
【0063】
塗工後に乾燥する手段としては、一般の公知の方法を用いることができ、限定されない。例えば、熱源により発生した加熱空気を送風した加温器内に搬送する方法、ヒーター等の熱源近傍を通過させる方法等である。
【0064】
更に、本発明の無機超微粒子と必要ならバインダーとを含有するインク吸収層を形成する塗工液は、必要に応じて、界面活性剤、無機顔料、着色染料、着色顔料、インク染料定着剤(カチオン性樹脂)、紫外線吸収剤、酸化防止剤、顔料の分散剤、消泡剤、レベリング剤、防腐剤、蛍光増白剤、粘度安定剤、pH調整剤、硬膜剤等の公知の各種添加剤を添加することができる。
【0065】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。以下における部、%はすべて重量によるものである。
【0066】
<紙基体の作成>
広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP、白色度90%)と針葉樹晒サルファイトパルプ(NBSP、白色度90%)の1:1混合物をカナディアン スタンダード フリーネスで300mlになるまで叩解し、パルプスラリーを調製した。これにサイズ剤としてアルキルケテンダイマーを対パルプ0.5重量%、紙力増強剤としてポリアクリルアミドを対パルプ1.0重量%、カチオン化澱粉を対パルプ2.0重量%、ポリアミドエピクロロヒドリン樹脂を対パルプ0.5重量%添加し、水で希釈して1%スラリーとした。このスラリーを長網抄紙機で坪量170g/m2になるように抄造し、紙基体を作製した。
【0067】
<支持体AおよびACの作成>
上記方法で作製した紙基体の片面に、中空有機顔料(ローペークHP-91:ロームアンドハース社製、平均粒径1.0μm、平均空隙率50%)100部に対して接着剤としてスチレン−ブタジエン共重合体ラテックス(ラックスターDS226、大日本インキ社製)を15部を混合し、作成した塗液をロッドコーターにて絶乾塗工量が13g/m2になるように塗工し、支持体Aを作成した。更に、支持体Aに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体ACを作成した。
【0068】
<支持体BおよびBCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中空有機顔料(ローペークOP−84J;ロームアンドハース社製、平均粒径0.55μm、平均空隙率25%)を用いて、支持体Bを作成した。更に、支持体Bに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体BCを作成した。
【0069】
<支持体CおよびCCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中密有機顔料(L8801;旭化成工業社製、平均粒径0.5μm)を用いて、支持体Cを作成した。更に、支持体Cに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体CCを作成した。
【0070】
<支持体DおよびDCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中密有機顔料(アートパールF-4P:根上工業社製、平均粒径2.1μm)を用いて、支持体Dを作成した。更に、支持体Dに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体DCを作成した。
【0071】
<支持体EおよびECの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中密有機顔料(ケミパールM-200;三井化学社製、平均粒径6.0μm)を用いて、支持体Eを作成した。更に、支持体Eに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体ECを作成した。
【0072】
<支持体FおよびFCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中密有機顔料(ケミパールW-310;三井化学社製、平均粒径9.5μm)を用いて、支持体Fを作成した。更に、支持体Fに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体FCを作成した。
【0073】
<支持体GおよびGCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、お椀型有機顔料(V2005:日本ゼオン社製、平均粒径0.8μm)を用いて、支持体Gを作成した。更に、支持体Gに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体GCを作成した。
【0074】
<支持体HおよびHCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中空有機顔料(ローペークHP91)/中密有機顔料(L8801)を重量比1/10で混合したものを用いて、支持体Hを作成した。更に、支持体Hに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体HCを作成した。
【0075】
<支持体IおよびICの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中空有機顔料(ローペークHP91)/中密有機顔料(L8801)を重量比5/5で混合したものを用いて、支持体Iを作成した。更に、支持体Iに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体ICを作成した。
【0076】
<支持体JおよびJCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中空有機顔料(ローペークHP91)/中密有機顔料(L8801)を重量比10/1で混合したものを用いて、支持体Jを作成した。更に、支持体Jに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体JCを作成した。
【0077】
<支持体KおよびKCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中密有機顔料(L8999:旭化成工業社製、平均粒径0.2μm)を用いて、支持体Kを作成した。更に、支持体Kに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体KCを作成した。
【0078】
<支持体LおよびLCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、中密有機顔料(ケミパールV-100:三井化学社製、平均粒径12.0μm)を用いて、支持体Lを作成した。更に、支持体Lに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体LCを作成した。
【0079】
<支持体MおよびMCの作成>
支持体Aで使用した中空有機顔料に代えて、カオリンクレー(UW-90:エンゲルハード社製)を用いて、支持体Mを作成した。更に、支持体Mに熱カレンダー処理(温度100℃、ニップ圧150kg/cm)を施し、支持体MCを作成した。
【0080】
<支持体Nの作成>
紙基体の表面(インク吸収層が設けられる側)に、密度0.918g/cm3の低密度ポリエチレン100重量%の樹脂に対して、5重量%の割合でアナターゼ型チタンを均一に分散したポリエチレン樹脂組成物を320℃で溶融し、200m/分で20μmの厚さになるように押し出しコーティングし、微粗面化処理したクーリングロールを用いて光沢度60%の樹脂被覆し、支持体Nを作成した。
【0081】
<インク吸収層塗工液A>
インク吸収層の塗被組成物は一次粒子径7nmの気相法超微粒子シリカ(AEROSIL300:日本アエロジル社製)100gを、500gのイオン交換水中に攪拌機にて分散し、10重量%のポリビニルアルコール(PVA105:クラレ社製)水溶液を15部混合し、塗工液Aとした。
【0082】
<アルミナ水和物の合成>
イオン交換水1200g、イソプロピルアルコール900gを3Lの反応器に仕込み、75℃に加熱した。アルミニウムイソプロポキシド408gを加え、75gで24時間、続き95℃で10時間加水分解を行った。加水分解後、酢酸24g加えて95℃で48時間攪拌した。次に、固形分濃度が15重量%になるように濃縮し、白色のアルミナ水和物の分散液を得た。このゾルを室温で乾燥させ、X線回折を測定したところ、擬ベーマイト構造を示した。また、透過型電子顕微鏡で平均粒径を測定したところ、30nmであり、アスペクト比6.0の平板状のアルミナ水和物であった。また、窒素吸着脱離方法によって平均細孔半径、細孔容積およびBET比表面積を測定したところ、それぞれ7.1nm、0.65ml/gそして200m2/gであった。
【0083】
<インク吸収層塗工液B>
前記の15重量%のアルミナ水和物の分散液を用いて、アルミナ水和物分散液100部に対し、10重量%のポリビニルアルコール(PVA105:クラレ社製)水溶液を15部混合した。混合後、ホモミキサーに1万rpmで10分間かけ、均一分散化した。分散液は、所定の濃度になるようにエバポレータにより濃縮化し、塗工液Bとした。
【0084】
<インク吸収層塗工液C>
インク吸収層の塗被組成物は、BET比表面積270m2/gの合成非晶質シリカ(ファインシールX−37B:トクヤマ社製)100部、ポリビニルアルコール(PVA105:クラレ社製)15部、カチオン性染料定着剤(スミレッズレジン1001:住友化学社製)20部を混合し、塗工液Cとした。
【0085】
塗工は、表1記載の支持体の被覆層上に、表1記載のインク吸収層塗工液をワイヤーバーを用いて、絶乾塗工量20g/m2になるように塗工し、90℃中に10分間放置し乾燥して、実施例1〜26、比較例1〜5のインクジェット被記録媒体を作製した。
【0086】
<支持体の75度鏡面光沢度の測定>
各支持体の被覆層側の75度鏡面光沢度を、JIS−P8142に基づいて測定した。
【0087】
<インク吸収性評価>
インク吸収性の評価は、インクジェット記録装置であるキャノン(株)製BJC−420Jを使い、シアンインク、マゼンタインクで重色の矩形パターンを印字し、この印字パターンと未印字部分の境界部分を下記の基準に従って、目視にて評価した。
◎:境界部分には滲みが認められない。
○:境界部分には部分的に僅かに滲みが認められる。
△:境界部分には僅かに滲みが認められるが、実用上問題ない。
×:境界部分に顕著に滲みが認められる。
良好なインク吸収性を示すのは、◎乃至△の評価である。
【0088】
<画像色彩性評価>
キャノンBJC−420Jを用いて、マゼンタおよびシアンのベタ印字を行った。その色彩性を以下の通り目視評価を行った。
◎:色彩が良く、画像が冴えて見える。
○:色彩が良く見える。
△:色彩がややくすんで見える。
×:色彩もにぶく、くすみが激しい。
良好な画像色彩性を示すのは、◎乃至△の評価である。
【0089】
<目視白紙光沢の評価>
実施例3を標準(○)とし、それ以上と感じるものを◎、それ以下だが、実用上問題ないものを△、光沢感が極めて悪いものを×とした。
【0090】
【表1】
【0091】
表1より、紙基体のインク吸収層を設ける側に有機顔料を含有する被覆層を有し、かつインク吸収層の顔料が無機超微粒子である実施例1〜22においては、支持体75度鏡面光沢、目視白紙光沢、画像色彩性、インク吸収性のいずれもバランス良く優れたものが得られている。しかし、通常インクジェット用紙のように無機超微粒子を含まないインク吸収層(比較例1)だと目視白紙光沢および画像色彩性が、また、支持体が有機顔料を含まない被覆層(比較例2、3)および被覆層がない紙基体(比較例5)では、支持体75度鏡面光沢および目視光沢性が悪くなる。また、表面が溶解樹脂で被膜された支持体(比較例4)ではインク吸収性が悪くなる。また、熱カレンダー処理を施すことは、目視白紙光沢が向上するので、好ましい製造法である。
【0092】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によって、インク吸収性、画像色彩性が優れていて、かつ高光沢なインクジェット被記録媒体が提供できる。
Claims (8)
- 支持体上に、顔料および接着剤を含有するインク吸収層を設けてなるインクジェット被記録媒体において、該支持体が紙基体のインク吸収層を設ける側に有機顔料および接着剤を含有する被覆層を設け、該有機顔料の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲であるとともに、被覆層内で有機顔料が充填され、細孔を有するものであり、かつインク吸収層の顔料が気相法シリカあるいはアルミナ水和物から選ばれた少なくとも1種である無機超微粒子であることを特徴とするインクジェット被記録媒体。
- 該有機顔料が中空有機顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
- 該有機顔料が中密有機顔料であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
- 該有機顔料が中空有機顔料/中密有機顔料=重量比1/10〜10/1の範囲の混合物であることを特徴とする請求項1記載のインクジェット被記録媒体。
- 該中密有機顔料がお椀型であることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のインクジェット被記録媒体。
- 該中空有機顔料が平均空隙率が20%以上であることを特徴とする請求項2または4に記載のインクジェット被記録媒体。
- 支持体上に、顔料および接着剤を含有するインク吸収層を設けてなるインク被記録媒体において、該支持体が紙基体のインク吸収層を設ける側に有機顔料を含有する被覆層を設け、該有機顔料の平均粒径が0.3μm以上10μm以下の範囲であるとともに、被覆層内で有機顔料が充填され、細孔を有するものであり、熱カレンダー処理をしてから、少なくとも気相法シリカあるいはアルミナ水和物から選ばれた1種である無機超微粒子を含有するインク吸収層を設ける事を特徴とするインクジェット被記録媒体の製造方法。
- 熱カレンダー処理をした被覆層のJIS−P8142で測定される75度鏡面光沢度が60%以上であることを特徴とする請求項7記載のインクジェット被記録媒体の製造方法。
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