JP3938242B2 - スクイズ装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクイズ装置に関し、詳しくは、温間温度域に加熱したスケルプ(管素材としての帯鋼類)を管状に成形後、スケルプエッジを加熱し加圧・接合する造管工程において、加圧を有利に行い得るスクイズ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接鋼管は、従来、鍛接管、電縫管に大別される。
鍛接管は、スケルプを連続的に加熱炉で1350〜1400℃に加熱し、成形ロールでV形のオープン部を有する管(オープン管)状に成形し、オープン部の両端をなすエッジ部を酸素ブローによる酸化熱で更に昇温させた後、V先端のところを鍛接ロールで加圧・接合する工程で造管される。鍛接ロールとしては、一般に2本1組の孔型ロールが用いられ、熱損傷を防ぐため作業中のロールには常時外部から冷却水がかけられる。なお、鍛接管は1350℃以上に赤熱されているので、鍛接ロールの冷却水がかかったくらいでは、鍛接できなくなるほど冷えてしまうことはない。
【0003】
一方、電縫管は、常温のスケルプを連続的に成形装置でオープン管状に成形し、オープン部の両端をなすエッジ部を高周波により融点以上の温度域に誘導加熱または通電加熱した後、V先端のところをスクイズ装置で加圧・接合する工程で造管される。スクイズ装置は、通常左右一対の孔型ロールをハウジングで支持してなる。ロールは原理的には無駆動でもよいが、搬送力が不足して管がよじれる等の不都合がある場合は駆動される。その場合、駆動力の伝達には一般にベベルギア方式が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鍛接管は、造管速度が300 m/min 以上と速く生産性は高いが、1350℃以上の高温に加熱されるから、スケルプエッジにスケールが残りやすいためシーム部の強度が母材部に比べてかなり劣ると共に管表面にスケールが生成して表面肌が悪いことから、JISのSTK等の強度信頼性や表面品質を要求される高級鋼管には適用できない。
【0005】
電縫管は、常温で造管されるからシーム品質・表面肌は良好で、高級鋼管に適用されているが、スケルプエッジが溶融・加圧されてできたシーム部の大きな溶接ビードをオンラインで切削する必要があって、造管速度を高々100 m/min 程度までしか上げられず、生産能率が悪い。
これらの問題点は、本発明者らの創案になる、スケルプをスケール生成量の少ない温間温度域(例えば600 ℃前後)に加熱した後、電縫管同様に成形し、エッジ部を大きな溶接ビードの生じない融点未満の温度域に高周波加熱して加圧・接合するという新造管法(電縫型固相圧接造管法と仮称)によれば一挙に解決できる。
【0006】
しかし、この新造管法では、温間温度域にあるオープン管をスクイズ装置で加圧するため、ロールシャフトベアリングが高温のスケルプに接触するロールからの熱伝導により、使用可能温度を超える温度域に上昇して加圧精度が悪くなり、シーム部の品質劣化を招く。これを防止するためにロールの水冷が必要となるが、外部水冷を行うと、鍛接管の場合とは異なり、スケルプにかかる冷却水がスケルプ温度を下げてしまい、エッジ部を高周波加熱によって融点直下の固相圧接可能温度域に保つことが難しくなるので、内部水冷を行わねばならない。
【0007】
また、加圧によるシーム部の盛り上がりを極力防止するために加圧と同時にシーム部を押圧する孔型ロールを備える必要がある。なお、管がシーム部を上にして搬送される場合を想定して、シーム部を押圧する孔型ロールをトップロールと称し、スクイズ装置の左右の孔型ロールをサイドロールと称する。このトップロールもサイドロールと同様の理由から内部水冷を必要とする。また、エッジ部を加熱する高周波電流の漏洩を回避するためトップロールには絶縁体であるセラミックロールを用いるべきであるが、セラミックロールは製作可能なスロート径(孔型ロールの孔底部の直径)に上限(250mm φ程度)がある。これによりサイドロールも寸法的制約を受ける。すなわち、トップロールの押圧力をサイドロールで均等に受け、かつ左右からの加圧(アップセット)とシーム部押圧とを同期させるために、トップロールとサイドロールとは同じ平面上にロール軸心線を置き、同じスロート径をもたせる必要がある。このようにサイドロールのスロート径に上限があり、ロール耐久性を確保するためにロール内部水冷が必須となる。
【0008】
そして、シーム品質安定化のためにはサイドロールを駆動すると共に、この駆動を行いつつ、加圧に対応する変位量(アップセット量)を調節できるようにサイドロールの左右間隔を変更可能とすることが要請されている。
また、一方において、鋼管製品の多様化に伴い、多品種少量生産に対応する必要があり、それには、製品サイズ毎にそれに合ったサイズのスクイズ装置を交換使用する必要があるから、製品サイズ種数だけのスクイズ装置を保有しておかねばならないが、装置保有コストが高くなるからこれを削減することが要請されている。
【0009】
従来のスクイズ装置では、こういった要請を同時に満足することはできない。何となれば、前記したように従来のスクイズ装置では、駆動力の伝達はベベルギア方式により行われている。ベベルギア方式は、左右のサイドロール軸と左右にわたした駆動力伝達軸の軸心線どうしを同一平面内で直交させ、両軸の交差部を傘歯車にてギア結合するものである。該ギア結合部はサイドロール軸の上下いずれかの一方の端に設けられるが、前記要請から上方にはトップロールがあってスペースがないから下方に設けるしかない。しかし、そうすると、ロール内部水冷を行うための必須部材であるロータリージョイントの設置スペースがなくなる。
【0010】
さらに、従来はサイドロール軸が一体物として構成されている。そのため製品サイズ変更に応じたロール替えの際には、駆動力伝達軸とモータ等の駆動源とを連結するユニバーサルジョイントの結合を解除してスクイズ装置全体を交換しなければならず、装置保有コストを削減できる余地がない。
このように、従来のスクイズ装置では、サイドロール駆動、サイドロール開閉、ロール内部水冷を同時に行うことが極めて困難であるため、電縫型固相圧接造管法による製品のシーム品質を安定させにくく、またロールの耐久性が低いという問題があった。また、製品サイズ毎にスクイズ装置全体を保有しなければならないから装置保有コストが高いという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、サイドロール駆動、サイドロール開閉、ロール内部水冷を同時に行うことができ、さらには、製品サイズ毎に揃えるべき装置の保有コストを低減できるスクイズ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、左右一対のサイドロールと、各サイドロールの回転軸をなしサイドロールの下方に延長するサイドロール軸と、この下方延長部位で両サイドロール軸に係合して駆動力を伝達する駆動力伝達軸とを有するスクイズ装置において、サイドロール軸と駆動力伝達軸とをウオームギア方式により係合させ、このウオームギア係合部とサイドロール軸の軸受部とを駆動力伝達軸方向に移動自在に支持してなり、サイドロール軸内部にその下端からサイドロール内部まで延びる通水路を設け、この通水路に給排水するロータリージョイントをサイドロール軸下端に連結したことを特徴とするスクイズ装置である。
【0013】
サイドロール軸と駆動力伝達軸とをウオームギア方式により係合させるには、サイドロール軸にウオームホイールを嵌合し、このウオームホイールに噛み合うウオームを駆動力伝達軸に嵌合すればよい。また、この噛み合った係合部を駆動力伝達軸の軸方向に移動自在に支持するには、ウオームと駆動力伝達軸との嵌合をスプライン嵌合とすればよい。
【0014】
この構成により、駆動力伝達軸とサイドロール軸との位相をずらす(両軸の軸心線を同一平面上に置かない)ことができ、サイドロール軸の下方に、サイドロール内部冷却用の冷却水を給排水するための必須部材であるロータリージョイントを配設するためのスペースが確保できると共に、左右のサイドロールを回転駆動しながらサイドロール開閉を行うことができ、同時にスクイズ装置の上部空間が空いて前記トップロールを内部水冷可能に配設することができる。それゆえ、電縫型固相圧接造管法による製品管シーム品質の安定確保が可能となると共にトップロール、サイドロールのロール耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の第2は、前記第1の構成に加え、サイドロール軸を上下に分割し、両分割端をゴムパッキンを介してギアカップリングで連結したことを特徴とするスクイズ装置である。
これにより、製品サイズ変更に応じたロール替えの際には、分割されたサイドロール軸の上部分を含むスクイズ装置上部のみ交換するだけで事足りるから、スクイズ装置の上部のみを製品サイズ毎に保有しておけばよく、スクイズ装置全体を交換しなければならなかった従来に比べて、装置保有コストを大幅に低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のスクイズ装置の一例を示す一部切欠正面図である。左右一対のサイドロール1,1と、各サイドロール1の回転軸をなしサイドロールの下方に延長するサイドロール軸2と、これの下方延長部位で両サイドロール軸2,2に係合して駆動力を伝達する駆動力伝達軸3とを有する点は従来と同じであるが、本発明のスクイズ装置では、サイドロール軸2と駆動力伝達軸3とを、従来のベベルギア方式ではなく、ウオームギア方式により係合させ、このウオームギア係合部6とサイドロール軸2の軸受部2A,2Bとを駆動力伝達軸3の軸方向に移動自在に支持した。ウオームギア方式は、サイドロール軸2にウオームホイール6Aを嵌合し、このウオームホイール6Aに噛み合うウオーム6Bを駆動力伝達軸3に嵌合することによって構成され、ウオーム6Bは駆動力伝達軸3にスプライン嵌合されており、駆動力伝達軸3の回転に伴って回転すると共に駆動力伝達軸方向(左右方向)に沿って自在に移動できる。
【0017】
ウオームギア係合部6と軸受部2Aは下枠70に、軸受部2Bは上枠71にそれぞれ保持され、下枠70と上枠71とは凹凸嵌合により水平連動可能に係合した状態でハウジング下部材80、ハウジング上部材81にそれぞれ左右摺動自在に保持され、上枠71はハウジング上部材81上の電動ジャッキ8で押し引きされて下枠70と共に左右に動く。よって、サイドロール1を回転駆動したままサイドロール開閉を行うことができる。なお、ハウジング下部材80の上面にはコッタ孔をもつ杭材90が設けられ、一方、ハウジング上部材81には、杭材90の通し孔が開けられており、この通し孔に杭材90を通してコッタ孔にコッタ91を挿入することにより、ハウジング下部材80の上にハウジング上部材81を固定することができる。
【0018】
このウオームギア方式によれば、サイドロール軸2と駆動力伝達軸3の位相をずらすことができて、サイドロール軸2の下方にスペースを確保できるから、本発明のスクイズ装置では、サイドロール軸内部にその下端からサイドロール内部まで延びる通水路4を設け、この通水路4に給排水するロータリージョイント5をサイドロール軸下端に連結することができ、かくしてサイドロール駆動、サイドロール開閉、ロール内部水冷を同時に行うことができる。
【0019】
さらに、サイドロール軸2は上下に分割され、両分割端がゴムパッキン11を介してギアカップリング12で連結されている。これにより上下のサイドロール軸端を水密に連結することができ、切り離しも容易である。なお、分割された上の部分は軸受部2B、上枠71を介してハウジング上部材81で、下の部分はウオームギア係合部6、軸受部2A、下枠70を介してハウジング下部材80で、それぞれ保持されている。
【0020】
なお、図1において、9は電縫型固相圧接造管法の実施に好適なシーム部押圧用のセラミック製のトップロール、10は駆動伝達軸の一端を図示しない駆動源(モータ)に連結するユニバーサルジョイントである。トップロール9にも内部水冷用の通水路4およびロータリージョイント5が設けられている。トップロール9は図示のない支持機構によって昇降可能に支持されている。
【0021】
ロール替えに際しては、トップロール9を上方に退避させると共に、ギアカップリング12を結合解除し、コッタ91を抜いてハウジング上部材81をハウジング下部材80の上方に引き上げればよい。これにより、ハウジング上部材81に保持されている部材(サイドロール1、軸受部2B、上枠71など)を一度に取り外すことができる。ウオームギア係合部6、軸受部2Aを含むスクイズ装置下部は製品サイズが変わっても兼用することができるから、製品サイズ変更に応じた装置保有量は、ユニバーサルジョイント10を切り離してスクイズ装置全体を交換していた従来に比べて約半分で済み、したがって装置保有コストが半減する。
【0022】
【実施例】
600 ℃に加熱した厚さ 4.5mm×幅 270mmのスケルプ(帯鋼)を、そのエッジ部をさらに固相接合温度(450 ℃程度)に高周波加熱しながら、図1に示した形態のスクイズ装置(サイドロールスロート径=250 mmφ)を用いて連続的にアップセットして接合し固相圧接管に造管した。その際、通水路に冷却水を51/min 通水して内部水冷を行った場合と、通水しなかった場合とについて、サイドロールのロール表面およびロール軸側で測定したロール温度の推移を図2に示す。温度の測定は左右のサイドロールの表面(ロール表面)とそれらのつけ根近傍のロール軸部分(ロール軸側)に接触温度計を押し付けて行った。図2には、ロール表面、ロール軸側とも左右の測温データのうち高い方を示した。
【0023】
図2に示すように、内部水冷ありの場合のロール表面の温度は、内部水冷なしの場合の約1/2に抑えられ、ロール軸側の温度は、ベアリング使用可能温度の上限である200 ℃よりもずっと低い120 ℃程度に抑えることができた。
【0024】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、電縫型固相圧接造管法を実施する際、回転駆動しながらのサイドロール開閉とロール内部水冷とを同時に行うことができるから、製品のシーム品質を安定して確保できると共にロール耐久性も向上し、さらには製品サイズ毎の装置保有コストが格段に低減するから多品種少量生産を有利に推進できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクイズ装置の一例を示す一部切欠正面図である。
【図2】内部水冷によりロール温度上昇を抑制した例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 サイドロール
2 サイドロール軸
2A,2B 軸受部
3 駆動力伝達軸
4 通水路
5 ロータリージョイント
6 ウオームギア係合部
6A ウオームホイール
6B ウオーム
8 電動ジャッキ
9 トップロール
10 ユニバーサルジョイント
11 ゴムパッキン
12 ギアカップリング
70 下枠
71 上枠
80 ハウジング下部材
81 ハウジング上部材
90 杭材
91 コッタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、スクイズ装置に関し、詳しくは、温間温度域に加熱したスケルプ(管素材としての帯鋼類)を管状に成形後、スケルプエッジを加熱し加圧・接合する造管工程において、加圧を有利に行い得るスクイズ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶接鋼管は、従来、鍛接管、電縫管に大別される。
鍛接管は、スケルプを連続的に加熱炉で1350〜1400℃に加熱し、成形ロールでV形のオープン部を有する管(オープン管)状に成形し、オープン部の両端をなすエッジ部を酸素ブローによる酸化熱で更に昇温させた後、V先端のところを鍛接ロールで加圧・接合する工程で造管される。鍛接ロールとしては、一般に2本1組の孔型ロールが用いられ、熱損傷を防ぐため作業中のロールには常時外部から冷却水がかけられる。なお、鍛接管は1350℃以上に赤熱されているので、鍛接ロールの冷却水がかかったくらいでは、鍛接できなくなるほど冷えてしまうことはない。
【0003】
一方、電縫管は、常温のスケルプを連続的に成形装置でオープン管状に成形し、オープン部の両端をなすエッジ部を高周波により融点以上の温度域に誘導加熱または通電加熱した後、V先端のところをスクイズ装置で加圧・接合する工程で造管される。スクイズ装置は、通常左右一対の孔型ロールをハウジングで支持してなる。ロールは原理的には無駆動でもよいが、搬送力が不足して管がよじれる等の不都合がある場合は駆動される。その場合、駆動力の伝達には一般にベベルギア方式が用いられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
鍛接管は、造管速度が300 m/min 以上と速く生産性は高いが、1350℃以上の高温に加熱されるから、スケルプエッジにスケールが残りやすいためシーム部の強度が母材部に比べてかなり劣ると共に管表面にスケールが生成して表面肌が悪いことから、JISのSTK等の強度信頼性や表面品質を要求される高級鋼管には適用できない。
【0005】
電縫管は、常温で造管されるからシーム品質・表面肌は良好で、高級鋼管に適用されているが、スケルプエッジが溶融・加圧されてできたシーム部の大きな溶接ビードをオンラインで切削する必要があって、造管速度を高々100 m/min 程度までしか上げられず、生産能率が悪い。
これらの問題点は、本発明者らの創案になる、スケルプをスケール生成量の少ない温間温度域(例えば600 ℃前後)に加熱した後、電縫管同様に成形し、エッジ部を大きな溶接ビードの生じない融点未満の温度域に高周波加熱して加圧・接合するという新造管法(電縫型固相圧接造管法と仮称)によれば一挙に解決できる。
【0006】
しかし、この新造管法では、温間温度域にあるオープン管をスクイズ装置で加圧するため、ロールシャフトベアリングが高温のスケルプに接触するロールからの熱伝導により、使用可能温度を超える温度域に上昇して加圧精度が悪くなり、シーム部の品質劣化を招く。これを防止するためにロールの水冷が必要となるが、外部水冷を行うと、鍛接管の場合とは異なり、スケルプにかかる冷却水がスケルプ温度を下げてしまい、エッジ部を高周波加熱によって融点直下の固相圧接可能温度域に保つことが難しくなるので、内部水冷を行わねばならない。
【0007】
また、加圧によるシーム部の盛り上がりを極力防止するために加圧と同時にシーム部を押圧する孔型ロールを備える必要がある。なお、管がシーム部を上にして搬送される場合を想定して、シーム部を押圧する孔型ロールをトップロールと称し、スクイズ装置の左右の孔型ロールをサイドロールと称する。このトップロールもサイドロールと同様の理由から内部水冷を必要とする。また、エッジ部を加熱する高周波電流の漏洩を回避するためトップロールには絶縁体であるセラミックロールを用いるべきであるが、セラミックロールは製作可能なスロート径(孔型ロールの孔底部の直径)に上限(250mm φ程度)がある。これによりサイドロールも寸法的制約を受ける。すなわち、トップロールの押圧力をサイドロールで均等に受け、かつ左右からの加圧(アップセット)とシーム部押圧とを同期させるために、トップロールとサイドロールとは同じ平面上にロール軸心線を置き、同じスロート径をもたせる必要がある。このようにサイドロールのスロート径に上限があり、ロール耐久性を確保するためにロール内部水冷が必須となる。
【0008】
そして、シーム品質安定化のためにはサイドロールを駆動すると共に、この駆動を行いつつ、加圧に対応する変位量(アップセット量)を調節できるようにサイドロールの左右間隔を変更可能とすることが要請されている。
また、一方において、鋼管製品の多様化に伴い、多品種少量生産に対応する必要があり、それには、製品サイズ毎にそれに合ったサイズのスクイズ装置を交換使用する必要があるから、製品サイズ種数だけのスクイズ装置を保有しておかねばならないが、装置保有コストが高くなるからこれを削減することが要請されている。
【0009】
従来のスクイズ装置では、こういった要請を同時に満足することはできない。何となれば、前記したように従来のスクイズ装置では、駆動力の伝達はベベルギア方式により行われている。ベベルギア方式は、左右のサイドロール軸と左右にわたした駆動力伝達軸の軸心線どうしを同一平面内で直交させ、両軸の交差部を傘歯車にてギア結合するものである。該ギア結合部はサイドロール軸の上下いずれかの一方の端に設けられるが、前記要請から上方にはトップロールがあってスペースがないから下方に設けるしかない。しかし、そうすると、ロール内部水冷を行うための必須部材であるロータリージョイントの設置スペースがなくなる。
【0010】
さらに、従来はサイドロール軸が一体物として構成されている。そのため製品サイズ変更に応じたロール替えの際には、駆動力伝達軸とモータ等の駆動源とを連結するユニバーサルジョイントの結合を解除してスクイズ装置全体を交換しなければならず、装置保有コストを削減できる余地がない。
このように、従来のスクイズ装置では、サイドロール駆動、サイドロール開閉、ロール内部水冷を同時に行うことが極めて困難であるため、電縫型固相圧接造管法による製品のシーム品質を安定させにくく、またロールの耐久性が低いという問題があった。また、製品サイズ毎にスクイズ装置全体を保有しなければならないから装置保有コストが高いという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、サイドロール駆動、サイドロール開閉、ロール内部水冷を同時に行うことができ、さらには、製品サイズ毎に揃えるべき装置の保有コストを低減できるスクイズ装置を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、左右一対のサイドロールと、各サイドロールの回転軸をなしサイドロールの下方に延長するサイドロール軸と、この下方延長部位で両サイドロール軸に係合して駆動力を伝達する駆動力伝達軸とを有するスクイズ装置において、サイドロール軸と駆動力伝達軸とをウオームギア方式により係合させ、このウオームギア係合部とサイドロール軸の軸受部とを駆動力伝達軸方向に移動自在に支持してなり、サイドロール軸内部にその下端からサイドロール内部まで延びる通水路を設け、この通水路に給排水するロータリージョイントをサイドロール軸下端に連結したことを特徴とするスクイズ装置である。
【0013】
サイドロール軸と駆動力伝達軸とをウオームギア方式により係合させるには、サイドロール軸にウオームホイールを嵌合し、このウオームホイールに噛み合うウオームを駆動力伝達軸に嵌合すればよい。また、この噛み合った係合部を駆動力伝達軸の軸方向に移動自在に支持するには、ウオームと駆動力伝達軸との嵌合をスプライン嵌合とすればよい。
【0014】
この構成により、駆動力伝達軸とサイドロール軸との位相をずらす(両軸の軸心線を同一平面上に置かない)ことができ、サイドロール軸の下方に、サイドロール内部冷却用の冷却水を給排水するための必須部材であるロータリージョイントを配設するためのスペースが確保できると共に、左右のサイドロールを回転駆動しながらサイドロール開閉を行うことができ、同時にスクイズ装置の上部空間が空いて前記トップロールを内部水冷可能に配設することができる。それゆえ、電縫型固相圧接造管法による製品管シーム品質の安定確保が可能となると共にトップロール、サイドロールのロール耐久性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明の第2は、前記第1の構成に加え、サイドロール軸を上下に分割し、両分割端をゴムパッキンを介してギアカップリングで連結したことを特徴とするスクイズ装置である。
これにより、製品サイズ変更に応じたロール替えの際には、分割されたサイドロール軸の上部分を含むスクイズ装置上部のみ交換するだけで事足りるから、スクイズ装置の上部のみを製品サイズ毎に保有しておけばよく、スクイズ装置全体を交換しなければならなかった従来に比べて、装置保有コストを大幅に低減することができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明のスクイズ装置の一例を示す一部切欠正面図である。左右一対のサイドロール1,1と、各サイドロール1の回転軸をなしサイドロールの下方に延長するサイドロール軸2と、これの下方延長部位で両サイドロール軸2,2に係合して駆動力を伝達する駆動力伝達軸3とを有する点は従来と同じであるが、本発明のスクイズ装置では、サイドロール軸2と駆動力伝達軸3とを、従来のベベルギア方式ではなく、ウオームギア方式により係合させ、このウオームギア係合部6とサイドロール軸2の軸受部2A,2Bとを駆動力伝達軸3の軸方向に移動自在に支持した。ウオームギア方式は、サイドロール軸2にウオームホイール6Aを嵌合し、このウオームホイール6Aに噛み合うウオーム6Bを駆動力伝達軸3に嵌合することによって構成され、ウオーム6Bは駆動力伝達軸3にスプライン嵌合されており、駆動力伝達軸3の回転に伴って回転すると共に駆動力伝達軸方向(左右方向)に沿って自在に移動できる。
【0017】
ウオームギア係合部6と軸受部2Aは下枠70に、軸受部2Bは上枠71にそれぞれ保持され、下枠70と上枠71とは凹凸嵌合により水平連動可能に係合した状態でハウジング下部材80、ハウジング上部材81にそれぞれ左右摺動自在に保持され、上枠71はハウジング上部材81上の電動ジャッキ8で押し引きされて下枠70と共に左右に動く。よって、サイドロール1を回転駆動したままサイドロール開閉を行うことができる。なお、ハウジング下部材80の上面にはコッタ孔をもつ杭材90が設けられ、一方、ハウジング上部材81には、杭材90の通し孔が開けられており、この通し孔に杭材90を通してコッタ孔にコッタ91を挿入することにより、ハウジング下部材80の上にハウジング上部材81を固定することができる。
【0018】
このウオームギア方式によれば、サイドロール軸2と駆動力伝達軸3の位相をずらすことができて、サイドロール軸2の下方にスペースを確保できるから、本発明のスクイズ装置では、サイドロール軸内部にその下端からサイドロール内部まで延びる通水路4を設け、この通水路4に給排水するロータリージョイント5をサイドロール軸下端に連結することができ、かくしてサイドロール駆動、サイドロール開閉、ロール内部水冷を同時に行うことができる。
【0019】
さらに、サイドロール軸2は上下に分割され、両分割端がゴムパッキン11を介してギアカップリング12で連結されている。これにより上下のサイドロール軸端を水密に連結することができ、切り離しも容易である。なお、分割された上の部分は軸受部2B、上枠71を介してハウジング上部材81で、下の部分はウオームギア係合部6、軸受部2A、下枠70を介してハウジング下部材80で、それぞれ保持されている。
【0020】
なお、図1において、9は電縫型固相圧接造管法の実施に好適なシーム部押圧用のセラミック製のトップロール、10は駆動伝達軸の一端を図示しない駆動源(モータ)に連結するユニバーサルジョイントである。トップロール9にも内部水冷用の通水路4およびロータリージョイント5が設けられている。トップロール9は図示のない支持機構によって昇降可能に支持されている。
【0021】
ロール替えに際しては、トップロール9を上方に退避させると共に、ギアカップリング12を結合解除し、コッタ91を抜いてハウジング上部材81をハウジング下部材80の上方に引き上げればよい。これにより、ハウジング上部材81に保持されている部材(サイドロール1、軸受部2B、上枠71など)を一度に取り外すことができる。ウオームギア係合部6、軸受部2Aを含むスクイズ装置下部は製品サイズが変わっても兼用することができるから、製品サイズ変更に応じた装置保有量は、ユニバーサルジョイント10を切り離してスクイズ装置全体を交換していた従来に比べて約半分で済み、したがって装置保有コストが半減する。
【0022】
【実施例】
600 ℃に加熱した厚さ 4.5mm×幅 270mmのスケルプ(帯鋼)を、そのエッジ部をさらに固相接合温度(450 ℃程度)に高周波加熱しながら、図1に示した形態のスクイズ装置(サイドロールスロート径=250 mmφ)を用いて連続的にアップセットして接合し固相圧接管に造管した。その際、通水路に冷却水を51/min 通水して内部水冷を行った場合と、通水しなかった場合とについて、サイドロールのロール表面およびロール軸側で測定したロール温度の推移を図2に示す。温度の測定は左右のサイドロールの表面(ロール表面)とそれらのつけ根近傍のロール軸部分(ロール軸側)に接触温度計を押し付けて行った。図2には、ロール表面、ロール軸側とも左右の測温データのうち高い方を示した。
【0023】
図2に示すように、内部水冷ありの場合のロール表面の温度は、内部水冷なしの場合の約1/2に抑えられ、ロール軸側の温度は、ベアリング使用可能温度の上限である200 ℃よりもずっと低い120 ℃程度に抑えることができた。
【0024】
【発明の効果】
かくして、本発明によれば、電縫型固相圧接造管法を実施する際、回転駆動しながらのサイドロール開閉とロール内部水冷とを同時に行うことができるから、製品のシーム品質を安定して確保できると共にロール耐久性も向上し、さらには製品サイズ毎の装置保有コストが格段に低減するから多品種少量生産を有利に推進できるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスクイズ装置の一例を示す一部切欠正面図である。
【図2】内部水冷によりロール温度上昇を抑制した例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 サイドロール
2 サイドロール軸
2A,2B 軸受部
3 駆動力伝達軸
4 通水路
5 ロータリージョイント
6 ウオームギア係合部
6A ウオームホイール
6B ウオーム
8 電動ジャッキ
9 トップロール
10 ユニバーサルジョイント
11 ゴムパッキン
12 ギアカップリング
70 下枠
71 上枠
80 ハウジング下部材
81 ハウジング上部材
90 杭材
91 コッタ
Claims (2)
- 左右一対のサイドロールと、各サイドロールの回転軸をなしサイドロールの下方に延長するサイドロール軸と、この下方延長部位で両サイドロール軸に係合して駆動力を伝達する駆動力伝達軸とを有するスクイズ装置において、サイドロール軸と駆動力伝達軸とをウオームギア方式により係合させ、このウオームギア係合部とサイドロール軸の軸受部とを駆動力伝達軸方向に移動自在に支持してなり、サイドロール軸内部にその下端からサイドロール内部まで延びる通水路を設け、この通水路に給排水するロータリージョイントをサイドロール軸下端に連結したことを特徴とするスクイズ装置。
- サイドロール軸を上下に分割し、両分割端をゴムパッキンを介してギアカップリングで連結したことを特徴とする請求項1記載のスクイズ装置。
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JP07469598A JP3938242B2 (ja) | 1998-03-23 | 1998-03-23 | スクイズ装置 |
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JPH11267856A JPH11267856A (ja) | 1999-10-05 |
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ID=13554633
Family Applications (1)
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JP07469598A Expired - Fee Related JP3938242B2 (ja) | 1998-03-23 | 1998-03-23 | スクイズ装置 |
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- 1998-03-23 JP JP07469598A patent/JP3938242B2/ja not_active Expired - Fee Related
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