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JP3932217B2 - 光ディスク装置 - Google Patents

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JP3932217B2
JP3932217B2 JP24903197A JP24903197A JP3932217B2 JP 3932217 B2 JP3932217 B2 JP 3932217B2 JP 24903197 A JP24903197 A JP 24903197A JP 24903197 A JP24903197 A JP 24903197A JP 3932217 B2 JP3932217 B2 JP 3932217B2
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克也 渡邊
充郎 守屋
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザ等の光源を用いて光学的に光ディスク上に記録されている信号を再生する光ディスク装置に関し、特に位相差法によるトラッキングエラー検出方式におけるトラッキングエラー信号のバランスを調整し、フォーカス制御における制御目標位置を調整し、フォーカス制御系及びトラッキング制御系におけるゲインを調整する光ディスク装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、映像情報やコンピュータのデータ等が記録された媒体上から信号を再生する光ディスク装置(以下「光学式再生装置」とも言う。)は、データ読み取りの高速化、より一層の装置の信頼性向上が求められている。
【0003】
以下、従来の光学式再生装置を説明する。
【0004】
図10は従来の光ディスク装置の構成を示す。半導体レーザ等の光源101より発せられた光ビームはコリメータレンズ102で平行光にされた後、偏光ビームスプリッタ103で反射され、1/4波長板104を通過し、収束レンズ105で収束されて、モータ111により回転されている光ディスク107上に照射される。この光ディスク107からの光ビームの反射光は、収束レンズ105、1/4波長板104、偏光ビームスプリッタ103および集光レンズ108を通過した後、4分割された光検出器109に照射される。
【0005】
収束レンズ105はアクチュエータ106の可動部に取り付けられている。収束レンズ105は、アクチュエータ106のフォーカス用コイルに電流が流れると光ディスク面に対して垂直な方向に移動し、アクチュエータ106のトラッキング用コイルに電流が流れると光ディスクの半径方向へ移動する。
【0006】
ヘッドユニット110には、アクチュエータ106、1/4波長板104、偏光ビームスプリッタ103、コリメータレンズ102、光源101、集光レンズ108、及び4分割光検出器109が取り付けられている。
【0007】
4分割光検出器109の4つの受光領域109a、109b、109c、及び109dの出力は、それぞれ増幅器113a、113b、113c、及び113dを通った後、フォーカスエラー回路114に入力される。フォーカスエラー回路114は、増幅器113a、113b、113c、及び113dがそれぞれ出力する各信号に基づいて光ビームの焦点と情報記録面との位置ずれを示すフォーカスエラー信号を出力する。フォーカスエラー信号は、加算器115、可変増幅器117、位相を補償するための位相補償器118、及び電力増幅するための駆動回路119を介してアクチュエータ106のフォーカス用コイルに加えられる。ヘッドユニット110は、光ビームの収束点が光ディスク107の情報記録面上に位置するように制御される。
【0008】
また、4分割光検出器109の受光領域109a、109b、109c、及び109dの出力はそれぞれ増幅器113a、113b、113c、及び113dを介して、位相差トラッキングエラー回路120に入力される。位相差トラッキングエラー回路120は、光ビームがトラック上のピットを通過する際の4分割光検出器109の各出力の位相差情報に基づいて、光ビームの焦点とトラックとの位置ずれを示すトラッキングエラー信号を出力する。また、位相差トラッキングエラー回路120はコントローラ150の信号に基づいてトラッキングエラー信号のバランスを調整する。
【0009】
図11は、位相差トラッキングエラー信号の検出原理を示す。ビームスポット107aが光ディスク107上のトラックを構成するピット107b上を通過すると、ビームスポット107aの反射光の強度パターンが時間的に変化する。即ち、図11(b)に示されるように、ビームスポット107aがピット107bの中心、即ちトラックの中心を通過するときは、トラックの中心に対して対称にビームスポット107aの反射光の強度パターンが変化する。
【0010】
一方図11(c)に示されるように、ビームスポット107aがピット107bの中心より左側を通過するときは、反時計方向に回転するようにビームスポット107aの反射光の強度パターンが変化する。反対に図11(a)に示されるように、ビームスポット107aがピット107bの中心より右側を通過するときは、時計方向に回転するようにビームスポット107aの反射光の強度パターンが変化する。ビームスポット107aがピット107bの中心からずれるに従って、ビームスポット107aの反射光の強度パターンのコントラストは鮮明となる。
【0011】
このようなビームスポットの反射光の強度パターンの変化を利用してトラッキングエラー信号を検出する方法は位相差法と呼ばれる。即ち、位相差法は、4分割光検出器109の対角線上の2つの受光領域から得られる二つの信号の位相を比較し、位相の進み量または遅れ量からビームスポットとトラックとの位置ずれを検出する。
【0012】
図12は、位相差トラッキングエラー回路120の内部構成を示す。位相差トラッキングエラー回路120は、ピットの進行方向109eに対して前後に分割された受光領域109a、109bの出力と受光領域109c、109dの出力とに基づいて、トラッキングエラー信号を出力する。
【0013】
4分割光検出器109の4つの受光領域のうちのピットの進行方向(トラックの接線方向)109eに対して前後に分割された受光領域のうちの一方の2つの受光領域109a、109bの出力信号は、それぞれ増幅器113a、113bを介して位相補正部120a、120bへ入力され、位相補正部120a、120bにより遅延もしくは進ませられる。
【0014】
加算器120c、120dは、4分割光検出器109の相対角する受光領域からの出力信号を加算する。即ち、加算器120cは、位相補正部120aからの出力信号と位相補正しない4分割光検出器109の受光領域109cからの出力信号とを加算する。一方加算器120dは、位相補正部120bからの出力信号と位相補正しない4分割光検出器109の受光領域109dからの出力信号とを加算する。比較器120eは、加算器120cの出力と加算器120dの出力との位相差に基づいて、光ビームの焦点とトラックとの位置ずれを示すトラッキングエラー信号を出力する。
【0015】
図10を再び参照して、トラッキングエラー信号は、加算器122、可変増幅器124、位相を補償するための位相補償器125、コントローラ150の出力に基づいてトラッキング制御をオン、オフするスイッチ126、及び電力を増幅するための駆動回路127を介して、アクチュエータ106のトラッキング用コイルに加えられる。このようにして、トラック上に光ビームの焦点が位置するように収束レンズ105が制御される。
【0016】
駆動回路135は、コントローラ150の出力に基づいてモータ111を駆動する。コントローラ150はモータ111の回転数が所定の回転数となるようにディスクモータ111を制御する。
【0017】
光ディスクのばらつき、光ディスクの経年変化、ヘッドのばらつき等により、フォーカス制御系、トラッキング制御系のゲインがばらつく。ゲインが低下すると制御精度が悪くなる。一方ゲインが高くなると制御系が不安定となり、時には発振してしまう。
【0018】
また、フォーカス制御にオフセットがあると、再生信号が劣化するために信号読み取りの信頼性が低下する。
【0019】
これらを防止するために従来の装置では以下のような調整を行っている。
【0020】
フォーカス制御系のゲインの調整を説明する。外乱発生器132は、コントローラ150からの指令信号に応答して外乱信号を出力する。この外乱信号は加算器115でフォーカスエラー信号に加算されることにより、フォーカス制御系に加えられる。フォーカスエラー回路114は、外乱信号に対するフォーカス制御系の応答信号を出力する。フォーカスエラー測定回路136は、フォーカスエラー回路114の出力信号に出現する外乱応答信号を抽出してコントローラ150に出力する。コントローラ150は、外乱発生器132から発生する外乱信号とフォーカスエラー測定回路136からの外乱応答信号とを比較して、両信号が所定の関係となるように可変増幅器117の増幅率を決定する。
【0021】
トラッキング制御系のゲイン調整を説明する。フォーカス制御系のゲインの調整の場合と同様に、外乱発生器134は、コントローラ150からの指令信号に応答して、外乱信号を出力する。この外乱信号は加算器122でトラッキングエラー信号に加算されることにより、トラッキング制御系に加えられる。コントローラ150は、外乱発生器134から発生する外乱信号とトラッキングエラー測定回路133で抽出された外乱応答信号とを比較して、両信号が所定の関係となるように可変増幅器124の増幅率を決定する。
【0022】
フォーカス制御のオフセット調整を説明する。フォーカス制御のオフセット調整は、再生信号のジッターを計測して行なわれる。加算器128は、増幅器113a、113b、113c、及び113dを通った後の4分割光検出器109の受光領域109a、109b、109c、及び109dのそれぞれの信号を全て加算した再生信号(RF信号)をジッター量検出回路129へ出力する。ジッター量検出回路129は、RF信号のジッター量を計測する。コントローラ150は、ジッター量検出回路129で計測したジッター量が最小となるように、加算器115にオフセット信号を出力する。
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
収束レンズ105を光ディスク107の半径方向に移動させると、すなわちレンズシフトさせると、位相差法で検出するトラッキングエラー信号にオフセットが発生する。このオフセット量はデフォーカス状態や光ディスク107上のピット深さにより異なる。レンズシフトによりトラッキングエラー信号にオフセットが発生する状態でトラッキング制御を動作させると、光ディスク107の偏心が大きい場合には、トラッキングエラー信号に、大きなオフセットが発生する。このためトラックずれが大きくなり、トラッキング制御の制御精度が悪くなる。また、トラッキング制御が不安定となるために、装置の信頼性も悪化する。
【0024】
また、フォーカス位置が大きくずれるとRF信号の品質が悪くなる。このためにジッター量検出回路129によりジッター量が検出できなくなる。この結果、収束レンズ105のフォーカス位置を所定の目標位置に調整することが困難となるという課題がある。
【0025】
また、収束レンズ105のフォーカス位置の調整時に、光ディスク装置が振動を受けたり、あるいは光ディスク107上に傷が存在すると、再生信号振幅あるいはジッター量が変動する。このため、収束レンズ105のフォーカス位置の調整精度が悪くなるという課題がある。また、調整による収束レンズ105のフォーカス位置の目標位置を変更する時に、さらに振動あるいは光ディスク107の傷による外乱が加わると、フォーカス飛びが起きるという課題がある。
【0026】
また、フォーカス制御系、トラッキング制御系のゲイン調整時に、光ディスク装置が振動を受けたり、あるいは光ディスク107上に傷が存在すると、ゲインを調整するために制御系に加えた外乱に対して、さらに振動あるいは光ディスクの傷による外乱が加わる。このためフォーカス飛びやトラッキング飛びが起きるという課題がある。
【0027】
さらに、例えば、標準速、2倍速、6倍速といった多段階の再生速度でコンパクトディスク(CD)を再生する光ディスク装置の場合には、それぞれの再生速度の起動時においてゲイン調整等の上記各種調整が行われる。このためそれぞれの再生速度における光ディスク装置の起動時間が長くなるという課題があった。
【0028】
本願発明は上記課題を解決するために為されたものである。本願発明の目的は、光ディスクのばらつき、光ディスクの経年変化等により、光ディスクの偏心が大きい場合であっても、レンズシフトした際のトラッキングエラー信号のオフセットを正確に補正でき、高精度で安定なトラッキング制御により光ディスクを再生できる光ディスク装置を提供することにある。
【0029】
本願発明の他の目的は、多段階の再生速度で再生する光ディスク装置において、レンズシフトした際のトラッキングエラー信号のオフセットを迅速に補正して、調整時間を短縮し、多段階の再生速度における起動時間を短くすることができる光ディスク装置を提供することにある。
【0030】
本願発明のさらに他の目的は、フォーカス位置が大きくずれている場合であっても、確実にジッター量が最小となるように収束手段のフォーカス位置を所定の目標位置に調整できる光ディスク装置を提供することにある。
【0031】
本願発明のさらに他の目的は、振動あるいは光ディスクの傷が存在する場合であっても、フォーカス飛びを起こすことなく、フォーカス制御系のゲインを精度よく安定に調整できる光ディスク装置を提供することにある。
【0032】
本願発明のさらに他の目的は、振動あるいは光ディスクの傷が存在する場合であっても、トラッキング飛びを起こすことなく、トラッキング制御系のゲインを精度よく安定に調整できる光ディスク装置を提供することにある。
【0033】
本願発明のさらに他の目的は、振動あるいは光ディスクの傷が存在する場合であっても、収束手段のフォーカス位置を精度よく所定の目標位置に調整できる光ディスク装置を提供することにある。
【0034】
本願発明のさらに他の目的は、多段階の再生速度で再生する光ディスク装置において、フォーカス制御系のループゲインの調整時間を短縮し、多段階の再生速度における起動時間を短くすることができる光ディスク装置を提供することにある。
【0035】
本願発明のさらに他の目的は、多段階の再生速度で再生する光ディスク装置において、トラッキング制御系のループゲインの調整時間を短縮し、多段階の再生速度における起動時間を短くすることができる光ディスク装置を提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載の光ディスク装置は、記録担体を所定の再生速度で回転させる回転手段と、該記録担体上に光ビームを収束させる収束手段と、該記録担体上に収束されている該光ビームがトラックを横切るように該収束手段を移動させる移動手段と、該記録担体からの反射光を受け取る第1領域から第4領域を有し、該第1領域から第4領域のそれぞれから該反射光に対応する第1検出信号から第4検出信号を出力する光検出手段と、補正量に応じて該第1検出信号の位相を補正することにより第1補正信号を出力し、該補正量に応じて該第2検出信号の位相を補正することにより第2補正信号を出力する位相補正手段と、該位相補正手段から出力される該第1補正信号と該光検出手段から出力される該第4検出信号とを加算することによって得られる第1加算信号と、該位相補正手段から出力される該第2補正信号と該光検出手段から出力される該第3検出信号とを加算することによって得られる第2加算信号との間の位相差に基づいて、該記録担体上に収束されている該光ビームと該トラックとの間の位置ずれを検出し、該位置ずれを示すトラッキングエラー信号を出力するトラックずれ検出手段と、該トラッキングエラー信号に応じて、該記録担体上に収束されている該光ビームが該トラック上に位置するように該移動手段をフィードバック制御するトラッキング制御手段と、該トラッキング制御手段をフィードバック制御させることなく、該トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて、該位相補正手段の該補正量を調整する調整手段とを備え、該調整手段は、該収束手段が所定の方向に移動するように該移動手段を駆動し、該位相補正手段に与えられる複数の補正量候補のそれぞれに応じて、該収束手段の移動中心位置に対する該トラッキングエラー信号の非対称性を計測し、該トラッキングエラー信号の該非対称性に基づいて、該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定する、ことを特徴とする。
【0038】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、請求項に記載の光ディスク装置であって、該所定の方向は、該収束手段の該移動中心位置に対して正及び負の両方向であることを特徴とする。
【0039】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、請求項に記載の光ディスク装置であって、該調整手段は、該収束手段を正の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値と該収束手段を負の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値との差が最も小さくなるように、該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定することを特徴とする。
【0040】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、請求項に記載の光ディスク装置であって、該調整手段は、該収束手段を正の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値と負の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値との絶対値の和が最も小さくなるように、該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定することを特徴とする。
【0041】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置であって、該調整手段は、該トラッキングエラー信号の振幅を計測し、該振幅の値が所定以上の値となるような該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定することを特徴とする。
【0042】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、請求項1に記載の光ディスク装置であって、該調整手段は、該記録担体の再生速度を第1の再生速度から第2の再生速度に変えた際に、該トラッキング制御手段をフィードバックさせることなく、該トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて、該位相補正手段の該補正量を調整することを特徴とする。
【0043】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、記録担体を所定の再生速度で回転させる回転手段と、該記録担体上に光ビームを収束させる収束手段と、該記録担体上に収束されている該光ビームがトラックを横切るように該収束手段を移動させる移動手段と、該記録担体からの反射光を受け取る第1領域から第4領域を有し、該第1領域から第4領域のそれぞれから該反射光に対応する第1検出信号から第4検出信号を出力する光検出手段と、補正量に応じて該第1検出信号の位相を補正することにより第1補正信号を出力し、該補正量に応じて該第2検出信号の位相を補正することにより第2補正信号を出力する位相補正手段と、該位相補正手段から出力される該第1補正信号と該光検出手段から出力される該第4検出信号とを加算することによって得られる第1加算信号と、該位相補正手段から出力される該第2補正信号と該光検出手段から出力される該第3検出信号とを加算することによって得られる第2加算信号との間の位相差に基づいて、該記録担体上に収束されている該光ビームと該トラックとの間の位置ずれを検出し、該位置ずれを示すトラッキングエラー信号を出力するトラックずれ検出手段と、該トラッキングエラー信号に応じて、該記録担体上に収束されている該光ビームが該トラック上に位置するように該移動手段をフィードバック制御するトラッキング制御手段と、該トラッキング制御手段をフィードバック制御させることなく、該トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて、該位相補正手段の該補正量を調整する調整手段とを備え、該調整手段は、該記録担体の再生速度を第1の再生速度から第2の再生速度に切り換える際に、該第1の再生速度における該位相補正手段の第1の補正量に基づいて該第2の再生速度における該位相補正手段の第2の補正量を決定することを特徴とする。
【0044】
本願の請求項に記載の光ディスク装置は、請求項8に記載の光ディスク装置であって、該調整手段は、該第1の再生速度で調整した該位相補正手段の該第1の補正量に、該第1の再生速度を該第2の再生速度で除算した値を乗じた値を、該第2の再生速度における該位相補正手段の第2の補正量とすることを特徴とする。
【0058】
本願発明のある局面に従えば、光ディスク装置は、光ビームを収束させる収束手段を、トラックを横切るように移動する移動手段により移動させ、トラッキング制御手段をフィードバック制御させることなく、トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて位相補正手段の位相補正量を調整する。
【0059】
本願発明の他の局面に従えば、光ディスク装置は、第1の再生速度で調整した位相補正手段の第1の補正量に基づいて、第2の再生速度における位相補正手段の第2の補正量を決定する。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。まずレンズシフト時のオフセット補正を図1、図2、図3、図4、及び図5を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る光ディスク装置の構成を示す。前述した図10の光ディスク装置と同一の要素には同一の参照符号を付している。これらについての詳細な説明はここでは繰り返さない。
【0067】
モータ111は、光ディスク107を回転させる。収束レンズ5は、光ビームの収束点が光ディスク107の情報記録面上に位置するように制御されている。この状態でコントローラ150はスイッチ126をオフする。スイッチ126がオフされると、トラッキング制御は行われない。コントローラ150は、駆動回路127に信号を送り収束レンズ105をトラックを横切る方向に駆動することにより、収束レンズ5を図2に示す第1のレンズ位置x1まで移動させる。
【0068】
コントローラ150は、位相制御回路112a、112bに信号を送り位相制御量を第1の値に設定する。コントローラ150は、測定回路133よりトラッキングエラー信号の基準レベルに対する最大値(Amax)と最小値(Amin)を読み取る。コントローラ150は、AmaxとAminとから第1のレンズ位置x1におけるトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する第1の非対称性を求める。
【0069】
トラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性は次式により演算される。
【0070】
非対称性=(|Amax|−|Amin|)/(|Amax|+|Amin|)ここで、|Amax|はAmaxの値の絶対値を表す。また、(|Amax|−|Amin|)の値をトラッキングエラー信号のオフセットと呼び、(|Amax|+|Amin|)の値をトラッキングエラー信号の振幅と呼ぶ。
【0071】
次にコントローラ150は、位相制御量を第2の値に設定する。コントローラ150は、測定回路133よりレンズ位置x1におけるトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する第2の非対称性を計算する。
【0072】
コントローラ150は、この動作を第nの位相制御量まで繰り返す。コントローラ150は、駆動回路127に信号を送り収束レンズ105をトラックを横切る方向に駆動することにより、第1のレンズ位置x1と反対方向の第2のレンズ位置x2まで収束レンズ5を移動させる。
【0073】
コントローラ150は、位相制御回路112a、112bに信号を送り位相制御量を第1の値に設定する。コントローラ150は、測定回路133よりレンズ位置x2におけるトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する第1の非対称性を計算する。コントローラ150は、位相制御量を第2の値に設定した後、測定回路133よりレンズ位置x2におけるトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する第2の非対称性を計算する。
【0074】
コントローラ150は、この動作を第nの位相制御量まで繰り返す。コントローラ150は各位相制御量におけるレンズ位置x1の非対称性とレンズ位置x2の非対称性の絶対値の和を計算する。コントローラ150は、トラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の絶対値の和がいちばん小さくなる位相制御量になるように、位相制御回路112a、112bの位相制御量を設定する。
【0075】
図2は、本実施の形態に係るトラッキングエラー信号の非対称性からの位相制御量の決定を説明するための図を示す。図2(a)は位相制御量をパラメータにしてトラッキングエラー信号の非対称性を示したグラフである。横軸は収束レンズの位置を示しており、縦軸はトラッキングエラー信号の非対称性を示している。図2(b)は位相制御量を横軸にし、各位相制御量におけるレンズ位置x1の非対称性とレンズ位置x2の非対称性との絶対値の和を縦軸にして示したグラフである。コントローラ150は、第4の位相制御量の値、すなわちトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の絶対値の和がいちばん小さくなる値に位相制御量を設定する。
【0076】
上記のように位相制御量を設定すれば、レンズシフトが起こった場合でもトラッキングエラー信号の非対称性のレンズ位置による変化は最小に抑えられる。このため光ディスクのばらつき、光ディスクの経年変化、ヘッドのばらつき等により、偏心の大きい光ディスクが装着されて大きなレンズシフトが起こった場合であっても、トラッキングエラー信号のオフセットを正確に補正でき、高精度で安定なトラッキング制御により偏心の大きい光ディスクを再生することができる。
【0077】
本実施の形態ではレンズ位置が第1の位置と第2の位置とでのトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性に基づいて位相制御量を決定した。図2に示される様にトラッキングエラー信号の非対称性がレンズの中心位置に対して対称となる場合には、第2のレンズ位置の非対称性を計測せずに、第1のレンズ位置におけるトラッキングエラー信号の非対称性のみに基づいて、トラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性が最も小さくなる位相制御量を決定しても同様の効果が得られる。
【0078】
図3は、本実施の形態に係るトラッキングエラー信号の非対称性からの位相制御量の決定を説明するための図を示す。光ディスクのピット形状あるいは光ヘッドの差によっては図2に示したようなレンズの中心位置に対して対称となる特性が得られず、図3に示したようなレンズの中心位置に対して非対称となる特性になることがある。
【0079】
図3(a)は図2(a)と同様に、位相制御量をパラメータにしてトラッキングエラー信号の非対称性を示したグラフであり、横軸は収束レンズ位置を、縦軸はトラッキングエラー信号の非対称性を示している。また、図3(b)は位相制御量を横軸にし、各位相制御量におけるレンズ位置x1の非対称性とレンズ位置x2の非対称性との差を縦軸にして示したグラフである。
【0080】
図2で前述した例ではレンズ位置の第1の位置と第2の位置とでのトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の絶対値の和がもっとも小さくなるようにコントローラ150は、位相制御量を決定したが、レンズが中心位置にある状態でトラッキングエラー信号にオフセットが存在する図3のような場合には、コントローラ150は、絶対値の和が最小となるように位相制御量を決定する上記方法によっては最適な位相制御量を決定することができない。
【0081】
即ち、図3(a)の場合には、第1のレンズ位置x1と第2のレンズ位置x2でレンズ中心位置に対する非対称性の変化が最も少ない位相制御量は第4の位相制御量である。しかしながら、前述したようにトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の絶対値の和が最も小さくなるように位相制御量が決定されると、第3の位相制御量が選択される。
【0082】
これを避けるためには図3(b)のように、レンズ位置が第1の位置x1と第2の位置x2でのトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の差がもっとも小さくなるように位相制御量を決定すれば、トラッキングエラー信号の非対称性の絶対値のレンズ位置による変化を最小に抑えることができる。この絶対値の和が最小となるように位相制御量を決定する方法は、図2の様にトラッキングエラーレンズ中心位置に対する非対称性がレンズの中心位置に対して対称となる場合にも適応できる。
【0083】
図4は、本実施の形態に係るトラッキングエラー信号を説明するための図を示す。コントローラ150は、図4に示すように、トラッキングエラー信号の正の値を積分した正の積分値m1と、負の値を積分した負の積分値m2とよりトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性を計算することによっても同様の効果が得られる。
【0084】
また、トラッキングエラー信号の測定時に光ビームがトラックを数本横切る程度に収束レンズ105を微小振動させておけば、光ディスクの偏心の有無に関わらず、コントローラ150は、測定時に必ずトラッキングエラー信号の最小値、最大値、もしくはトラッキングエラー信号の正の積分値、負の積分値を検出することができる。
【0085】
さらに、位相制御量によっては、レンズシフトした場合に、トラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性がほぼ零でトラッキングエラー信号の振幅が小さくなる場合がある。このような場合には、コントローラ150は、トラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の測定時に、トラッキングエラー信号の振幅も同時に測定する。トラッキングエラー信号の振幅が一定以上である位相制御量のなかから位相制御量を決定することにより、前記と同様の効果が得られる。
【0086】
また、例えば、コンパクトディスク再生装置は、標準速、2倍速、8倍速等多段階の再生速度で情報を再生する。この場合、コンパクトディスク再生装置は、それぞれの再生速度で上述した計測を行って位相制御量の決定を行えば、多段階の再生速度で前記と同様の効果が得られる。
【0087】
次に、本実施の形態の係る多段階の再生速度を持つ光ディスク装置の、レンズシフト時におけるトラッキングエラー信号の位相制御量の決定を説明する。
【0088】
図1を参照して、コントローラ150は駆動回路135に信号を送り、第1の再生速度になるようにモータ111を制御する。コントローラ150は前述したトラッキングエラー信号のオフセット補正の場合と同様に、位相制御回路112a、112bの位相制御量を決定する。外部からの信号等により第2の再生速度にする場合は、コントローラ150は、駆動回路135に信号を送り、第2の再生速度になるようにモータ111を制御する。
【0089】
コントローラ150は、第2の再生速度の位相制御量を第1の再生速度で決定された位相制御量に基づいて設定する。
【0090】
図5は、本実施の形態に係る再生速度を変えた場合の位相制御量に対するトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の差を示す。図5に示されるように、位相制御量が標準速の際は制御量p1に設定され、2倍速の際はp2に設定されると、レンズシフトが起こった場合でも、標準速、2倍速のそれぞれの再生速度においてトラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の差が最小に抑えられる。図5に示されるように、2倍速の位相制御量p2は標準速の位相制御量p1の1/2である関係にある。即ち、トラッキングエラー信号のレンズ中心位置に対する非対称性の差が最小になる位相制御量の値は、再生速度とほぼ反比例の関係にある。コントローラ150は第2の再生速度時は第1の再生速度時の位相制御量に対して、第1の再生速度を第2の再生速度で除算した値を乗じた値を位相制御回路112a、112bの位相制御量として設定する。
【0091】
即ち、位相制御量の決定は所定の再生速度(例えば標準速)でのみ行い、他の再生速度(例えば2倍速)の位相制御量は所定の再生速度での位相制御量に基づいて決定する。このため、位相制御量の調整を再生速度の種類毎に行う必要がない。したがって再生速度の種類毎に位相制御量を調整する場合に比べて、調整時間を短くすることができる。この結果、装置の起動時間を短くすることができる。
【0092】
次に、収束レンズ105のフォーカス位置が大きくずれている場合であっても、確実にジッター量が最小となるように収束レンズ105のフォーカス位置を調整できる光ディスク装置の実施の形態を説明する。
【0093】
図1を参照して、コントローラ150は、スイッチ126をオンしてトラッキング制御を行わせる。コントローラ150は、RF信号の振幅を測定する振幅測定回路130の出力に基づいて、RF信号振幅が最大となるように加算器115にオフセットを加えフォーカスオフセットを調整する。次に、コントローラ150は、ジッター量測定回路129の出力に基づいてジッター量が最小となるように加算器115にオフセットを加えることにより、オフセットを微調整する。
【0094】
図6は、本実施の形態に係るフォーカスオフセットに対するRF信号のジッター量及び振幅を示す。横軸はフォーカスエラー信号に加えられるオフセットを示し、縦軸はジッター量及びRF信号の振幅を示す。図6に示すように、フォーカスオフセットが正または負の方向に大きくなるとRF信号のS/Nが悪くなる。またフォーカスオフセットが大きくなると、ジッター量の特性が得られず、RF信号のジッター量が検出できなくなる。
【0095】
従って、初期のデフォーカスが大きいとジッター量が検出できないから、ジッター量に基づいたフォーカス位置の調整ができない。一方、フォーカスオフセットに対するRF振幅の特性は広い範囲に渡ってフォーカスオフセットに対応した特性が得られる。このため、初期のデフォーカスが大きくてもRF振幅に基づいたフォーカス位置の調整ができる。しかしながら、RF振幅が最大となるオフセットとジッター量が最小となるオフセットとは一致しない。このためRF振幅のみに基づいた調整では最良のフォーカス位置に調整することができない。
【0096】
そこで、コントローラ150は、振幅測定回路130の出力に基づいて、RF信号の振幅が最大となるようにフォーカスオフセットを調整した後に、ジッター量測定回路129の出力に基づいてジッター量が最小となるように、フォーカスオフセットを調整する。コントローラ150は、このようにして決定したフォーカスオフセットを加算器115に加える。このため、初期のデフォーカスが大きくても確実にジッター量が最小となるように収束レンズ105のフォーカス位置を調整できる。この結果高精度に収束レンズ105のフォーカス位置を調整することができる。
【0097】
次に、振動あるいは光ディスク上の傷等が存在する場合であってもループゲインを精度良く調整できる光ディスク装置の実施の形態を図1及び図9を参照して説明する。
【0098】
まずフォーカス制御系のループゲインの調整を説明する。
【0099】
コントローラ150は、フォーカス制御系のループゲインを調整するために外乱発生器132に信号を送りフォーカス制御系に外乱を加える。異常検出器131は前述したように、RF信号の欠落、トラッキングエラー信号の所定の帯域の成分のレベル等により、光ディスク上の傷、振動等の、外乱発生器から発生する外乱以外の外乱を検出する。
【0100】
コントローラ150は、異常検出器131で異常が検出されると、外乱発生器132に信号を送り外乱の出力を停止させる。また異常検出器131で異常が検出されなくなると、コントローラ150は、外乱発生器132に信号を送り再び外乱を出力させる。
【0101】
図9は、本実施の形態に係る外乱出力一時停止時の各部波形を示す。図9(a)を参照して、前述したように、外乱発生器132による外乱の印加中に光ディスク上の傷等による外乱が検出された場合には、コントローラ150は、計測用の外乱信号の印加を一時停止する。このため、振動あるいは光ディスクの傷による外乱とゲインを調整するために印加される外乱とが加算されることがない。この結果、フォーカス制御が大きく乱れないのでフォーカス飛びを防止できる。
【0102】
次にトラッキング制御系のループゲインの調整を説明する。
【0103】
コントローラ150は、トラッキング制御系のループゲインを調整するため、外乱発生器134に信号を送りトラッキング制御系に外乱を加える。コントローラ150は、異常検出器131で異常が検出されると、外乱発生器134に信号を送り外乱の出力を停止させる。また異常検出器131で異常が検出されなくなると、コントローラ150は、外乱発生器134に信号を送り再び外乱を出力させる。
【0104】
このように外乱発生器134による外乱の印加中に光ディスク上の傷等による外乱が検出された場合には、コントローラ150は、計測用の外乱の印加を一時停止する。このため、トラッキング制御が大きく乱れないので、トラック飛びを防止することができる。
【0105】
本実施の形態では異常を検出した場合に、ゲインを調整するための外乱の発生を瞬時に停止する例を示したが、異常を検出した場合に、図9(b)に示すように、外乱発生器の出力が零になってから外乱の出力を停止しても上記と同様の効果が得られる。外乱出力停止時の外乱のステップ変化を減らすことができるため、制御の乱れをより軽減することができるからである。
【0106】
また、外乱出力の振幅が小さく、外乱によるオフセットが制御に影響を及ぼさない場合には、図9(c)に示すように、異常を検出した時点での外乱発生器の出力値を保持したまま外乱発生器の動作を停止しても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0107】
次に、振動あるいは光ディスク上の傷等が存在する場合であっても、精度良く収束レンズ105のフォーカス位置を調整できる光ディスク装置の実施の形態を説明する。
【0108】
図1を参照して、コントローラ150は、RF信号の振幅を測定する振幅測定回路130の出力に基づいてRF信号の振幅が最大となるように、加算器115にオフセットを加えることにより、収束レンズ105のフォーカスオフセットを調整していく。この調整最中にコントローラ150は異常検出器131により振動あるいは光ディスク上の傷等を検出すると、調整を停止する。
【0109】
また異常検出器131で異常が検出されなくなると、コントローラ150は再び調整を開始する。
【0110】
図7及び図8は、本実施の形態に係る光ディスク装置の異常検出器131の構成及び動作を示す。図7(a)及び図7(b)に示すように、異常検出器131は、RF信号の振幅のピークをホールドした信号のレベルとスレッショルドレベルとを比較することにより、光ディスク上の傷等によるRF信号の欠落を検出する。
【0111】
また図8(a)及び図8(b)に示すように、異常検出器131は、帯域通過フィルター(B.P.F)により検出したトラッキングエラー信号の所定の帯域の成分とスレッショルドレベルとを比較することにより、光ディスク装置に加えられた振動を検出する。
【0112】
このように収束レンズ105のフォーカス位置の調整中に光ディスク上の傷等による外乱を検出した場合には、コントローラ150は、収束レンズ105のフォーカス位置の調整を一時停止する。このためコントローラ150は、振動あるいは光ディスク上の傷等によるRF信号の振幅、ジッター量の変動の影響を受けることなく、収束レンズ105のフォーカス位置を調整することができる。
【0113】
外乱が検出されている間は調整のために収束レンズ105のフォーカス位置の目標位置を変更することはない。このため、外乱とフォーカス位置の目標位置の変更が同時に起こるために発生するフォーカスとびが防止される。
【0114】
なお本実施の形態ではRF信号の振幅が最大となるように、加算器115に加えるオフセットを調整している例を示したが、ジッター量測定回路129の出力に基づいてジッター量が最小となるように、コントローラ150が加算器115に加えるオフセットを調整しても上記と同様の効果が得られる。
【0115】
また、振幅測定回路130の出力とジッター量測定回路129の出力とを所定の比で加算した信号が最小となるように、加算器115に加えるオフセットをコントローラ150が調整しても上記と同様の効果が得られる。
【0116】
次に、多段階の再生速度で再生する光ディスク装置において、ループゲインの調整時間を短縮し、起動時間を短くすることができる光ディスク装置の実施の形態を、図1を参照して説明する。
【0117】
まず、フォーカス制御系のループゲインの調整時間の短縮を説明する。
【0118】
コントローラ150は、駆動回路135に信号を送り、第1の再生速度になるようにモータ111を制御する。コントローラ150は、外乱出力器132に信号を送り、フォーカスエラー信号に外乱を加える。コントローラ150は、フォーカスエラー測定回路136により外乱出力器132から出力される外乱によるフォーカスエラー信号を測定する。コントローラ150は、フォーカス制御系のゲインが所定の値となるように可変増幅器117の増幅率を決定する。
【0119】
外部からの信号等により第2の再生速度にする場合には、コントローラ150は、駆動回路135に信号を送り、第2の再生速度になるようにモータ111を制御する。コントローラ150は、第1の再生速度のループゲインに第2の再生速度時のゲインと第1の再生速度時のゲインとの差を加えたものを第2の再生速度のループゲインとし、可変増幅器117の増幅率を設定する。
【0120】
即ち、ループゲインの決定は所定の再生速度でのみ行い、他の再生速度では所定の再生速度でのループゲインをもとにループゲインを決定する。このため、再生速度毎に調整を行う必要がない。この結果、調整時間を短くすることができる。
【0121】
次に、トラッキング制御系のループゲインの調整時間の短縮を、図1を参照して説明する。
【0122】
コントローラ150は、駆動回路135に信号を送り、第1の再生速度になるようにモータ111を制御する。コントローラ150は、外乱出力器134に信号を送り、トラッキングエラー信号に外乱を加える。コントローラ150は、トラッキングエラー測定器133により外乱出力器134から出力される外乱によるトラッキングエラー信号を測定する。コントローラ150は、トラッキング制御系のゲインが所定の値となるように可変増幅器124の増幅率を決定する。
【0123】
外部からの信号等により第2の再生速度にする場合には、コントローラ150は、駆動回路135に信号を送り、第2の再生速度になるようにモータ111を制御する。コントローラ150は、第1の再生速度のループゲインに第2の再生速度時のゲインと第1の再生速度時のゲインとの差を加えたものを第2の再生速度のループゲインとし、可変増幅器124の増幅率を設定する。
【0124】
即ち、前述したフォーカス制御系のループゲインの調整と同様に、ループゲインの決定は所定の再生速度でのみ行い、他の再生速度では所定の再生速度でのループゲインをもとにループゲインを決定する。このため、再生速度毎に調整を行う必要がない。この結果、調整時間を短くすることができる。
【0125】
【発明の効果】
本願発明によれば、光ディスクのばらつき、光ディスクの経年変化等により、光ディスクの偏心が大きい場合であっても、レンズシフトした際の最適な位相補正量を決定することができる。これにより、高精度で安定なトラッキング制御により光ディスクを再生できる光ディスク装置を提供することができる。
【0126】
また、本願発明によれば、所定の再生速度でのみトラッキングエラー信号のオフセットの調整を行い、他の再生速度では所定の再生速度でのトラッキングエラー信号のオフセットの調整量をもとにオフセットの調整量を決定する。これにより、レンズシフトした際の最適な位相補正量の調整時間を短くすることができる。この結果、多段階の再生速度における光ディスク装置の起動時間を短くすることができる。
【0127】
さらに、本願発明によれば、収束手段のフォーカス位置の調整に際し、RF信号振幅が最大となるように収束手段のフォーカス位置を調整してジッター量が測定できる状態にした後で、ジッター量が最小となるように収束手段のフォーカス位置を調整する。これにより、ジッター量が測定できずに調整が不可能であるという事態を避けることができる。この結果、確実にジッター量が最小となるように収束手段のフォーカス位置を調整することができる。また読み出したデータの信頼性を高めることが可能となる。
【0128】
さらに、本願発明によれば、フォーカス制御系のゲイン調整のための外乱印可時に異常が検出された際には、外乱の印可が一時停止される。これにより、フォーカス制御が外れるのを防ぐことができる。この結果、フォーカス制御系のゲインを精度良く安定に調整することができる。
【0129】
さらに、本願発明によれば、トラッキング制御系のゲイン調整のための外乱印可時に異常が検出された際には、外乱の印可が一時停止される。これにより、トラッキング制御が外れるのを防ぐことができる。この結果、トラッキング制御系のゲインを精度良く安定に調整することができる。
【0130】
さらに、本願発明によれば、収束手段のフォーカス位置の調整時に異常が検出された際には収束手段のフォーカス位置の調整が一時停止される。これにより、収束手段のフォーカス位置の調整精度が維持される。この結果、フォーカス飛びが起きるのを防ぐことができる。
【0131】
さらに、本願発明によれば、所定の再生速度でフォーカス制御のループゲイン調整を行い、所定の再生速度でのループゲイン調整値に基づいて他の再生速度でのフォーカス制御のループゲインを決定する。これにより、多段階の再生速度におけるフォーカス制御のループゲインの調整時間を短くすることができる。この結果、光ディスク装置の起動時間を短くすることができる。
【0132】
さらに、本願発明によれば、所定の再生速度でトラッキング制御のループゲイン調整を行い、所定の再生速度でのループゲイン調整値に基づいて他の再生速度でのトラッキング制御のループゲインを決定する。これにより、多段階の再生速度におけるトラッキング制御のループゲインの調整時間を短くすることができる。この結果、光ディスク装置の起動時間を短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る光ディスク装置の構成図である。
【図2】本実施の形態に係るトラッキングエラー信号の非対称性からの位相制御量の決定を説明するための図である。
【図3】本実施の形態に係るトラッキングエラー信号の非対称性からの位相制御量の決定を説明するための図である。
【図4】本実施の形態に係るトラッキングエラー信号を説明するための図である。
【図5】本実施の形態に係る再生速度を変えた場合の位相制御量に対するトラッキングエラー信号の非対称性の差を示す図である。
【図6】本実施の形態に係るフォーカスオフセットに対するRF信号のジッター量、振幅を示す図である。
【図7】本実施の形態に係る光ディスク装置の異常検出器の説明図である。
【図8】本実施の形態に係る光ディスク装置の異常検出器の説明図である。
【図9】本実施の形態に係る外乱出力一時停止時の各部波形を説明するための図である。
【図10】従来例の光ディスク装置の構成図である。
【図11】位相差トラッキングエラー信号の検出原理の説明図である。
【図12】位相差トラッキングエラー回路の内部構成図である。
【符号の説明】
101 光源
105 収束レンズ
106 アクチュエータ
109 4分割光検出器
112a 位相制御回路
112b 位相制御回路
120 位相差トラッキングエラー回路
129 ジッター量測定回路
131 異常検出器
150 コントローラ

Claims (8)

  1. 記録担体を所定の再生速度で回転させる回転手段と、
    該記録担体上に光ビームを収束させる収束手段と、
    該記録担体上に収束されている該光ビームがトラックを横切るように該収束手段を移動させる移動手段と、
    該記録担体からの反射光を受け取る第1領域から第4領域を有し、該第1領域から第4領域のそれぞれから該反射光に対応する第1検出信号から第4検出信号を出力する光検出手段と、
    補正量に応じて該第1検出信号の位相を補正することにより第1補正信号を出力し、該補正量に応じて該第2検出信号の位相を補正することにより第2補正信号を出力する位相補正手段と、
    該位相補正手段から出力される該第1補正信号と該光検出手段から出力される該第4検出信号とを加算することによって得られる第1加算信号と、該位相補正手段から出力される該第2補正信号と該光検出手段から出力される該第3検出信号とを加算することによって得られる第2加算信号との間の位相差に基づいて、該記録担体上に収束されている該光ビームと該トラックとの間の位置ずれを検出し、該位置ずれを示すトラッキングエラー信号を出力するトラックずれ検出手段と、
    該トラッキングエラー信号に応じて、該記録担体上に収束されている該光ビームが該トラック上に位置するように該移動手段をフィードバック制御するトラッキング制御手段と、
    該トラッキング制御手段をフィードバック制御させることなく、該トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて、該位相補正手段の該補正量を調整する調整手段とを備え、
    該調整手段は、該収束手段が所定の方向に移動するように該移動手段を駆動し、該位相補正手段に与えられる複数の補正量候補のそれぞれに応じて、該収束手段の移動中心位置に対する該トラッキングエラー信号の非対称性を計測し、該トラッキングエラー信号の該非対称性に基づいて、該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定する、ことを特徴とした光ディスク装置。
  2. 該所定の方向は、該収束手段の該移動中心位置に対して正及び負の両方向である、請求項に記載の光ディスク装置。
  3. 該調整手段は、該収束手段を正の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値と該収束手段を負の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値との差が最も小さくなるように、該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定する、請求項記載の光ディスク装置。
  4. 該調整手段は、該収束手段を正の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値と負の方向に移動した際の該トラッキングエラー信号の非対称性を示す値との絶対値の和が最も小さくなるように、該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定する、請求項に記載の光ディスク装置。
  5. 該調整手段は、該トラッキングエラー信号の振幅を計測し、該振幅の値が所定以上の値となるような該複数の補正量候補のうちの1つを該位相補正手段の該補正量として決定する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  6. 該調整手段は、該記録担体の再生速度を第1の再生速度から第2の再生速度に変えた際に、該トラッキング制御手段をフィードバックさせることなく、該トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて、該位相補正手段の該補正量を調整する、請求項1に記載の光ディスク装置。
  7. 記録担体を所定の再生速度で回転させる回転手段と、
    該記録担体上に光ビームを収束させる収束手段と、
    該記録担体上に収束されている該光ビームがトラックを横切るように該収束手段を移動させる移動手段と、
    該記録担体からの反射光を受け取る第1領域から第4領域を有し、該第1領域から第4領域のそれぞれから該反射光に対応する第1検出信号から第4検出信号を出力する光検出手段と、
    補正量に応じて該第1検出信号の位相を補正することにより第1補正信号を出力し、該補正量に応じて該第2検出信号の位相を補正することにより第2補正信号を出力する位相補正手段と、
    該位相補正手段から出力される該第1補正信号と該光検出手段から出力される該第4検出信号とを加算することによって得られる第1加算信号と、該位相補正手段から出力される該第2補正信号と該光検出手段から出力される該第3検出信号とを加算することによって得られる第2加算信号との間の位相差に基づいて、該記録担体上に収束されている該光ビームと該トラックとの間の位置ずれを検出し、該位置ずれを示すトラッキングエラー信号を出力するトラックずれ検出手段と、
    該トラッキングエラー信号に応じて、該記録担体上に収束されている該光ビームが該トラック上に位置するように該移動手段をフィードバック制御するトラッキング制御手段と、
    該トラッキング制御手段をフィードバック制御させることなく、該トラッキングエラー信号の非対称性に基づいて、該位相補正手段の該補正量を調整する調整手段と
    を備え、
    該調整手段は、該記録担体の再生速度を第1の再生速度から第2の再生速度に切り換える際に、該第1の再生速度における該位相補正手段の第1の補正量に基
    づいて該第2の再生速度における該位相補正手段の第2の補正量を決定する、光ディスク装置。
  8. 該調整手段は、該第1の再生速度で調整した該位相補正手段の該第1の補正量に、該第1の再生速度を該第2の再生速度で除算した値を乗じ
    た値を、該第2の再生速度における該位相補正手段の第2の補正量とする、請求項8に記載の光ディスク装置。
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