JP3929247B2 - 燃焼炉一体型ガス冷却塔 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温排ガスを所定の温度まで減温するガス冷却塔に関するもので、詳しくは冷却塔に送り込まれるガスの流れを整流して効率よく冷却できるようにする燃焼炉一体型ガス冷却塔に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、ごみ焼却炉,灰溶融炉などの設備では、未燃ガス(CO,HCなど)を含むガスを燃焼炉で完全燃焼した後、その高温排ガスをガス冷却塔に導いて減温し、バグフィルターなどの排ガス処理装置に送られて浮遊塵を除去して大気中に放散されている。
【0003】
一般に、ガス冷却塔では、冷却塔出口のガス温度が所定の温度(バグフィルターなどの排ガス処理装置に送り込まれる許容温度、例えば200℃前後)になるように、冷却水を噴霧して気液接触による冷却手段によってガス温度を下げている。ところで、図4(a)で示されるような燃焼炉一体型のガス冷却塔100では、ガスの二次燃焼炉104の出口からそのまま冷却塔100の下部に排ガスを導入させて塔内をガス出口101まで上昇する間に冷却水ノズル102による冷却水噴霧によってガス温度を減温させる方式である。また、図4(b)で示される別置き型ガス冷却塔110では、二次燃焼炉114から排ガスをダクト115によって冷却塔110の上部の排ガス入口111に導いて、その冷却塔110内に流入させて下方に向かって流下させ、塔下部からガス排出管112によって送り出される間に上部から冷却水ノズル113によって冷却水噴霧を行って冷却させる方式である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これらの方式においては冷却塔への排ガスの導入に際して、ガス冷却塔に流入するガスの流れに偏りが生じ、これが冷却塔内にダストの付着,堆積の原因となり、また、ガスが均一に冷却されないという問題がある。特に、塔内にダストの付着や堆積が生じると、その除去処理に多大な費用が発生して運転コストに大きく影響を及ぼすことになる。
【0005】
また、従来の燃焼炉一体型のガス冷却塔では、ガス冷却塔と燃焼炉との間で輻射冷却により燃焼炉内のガス温度が下がり、燃焼に支障を来す(燃焼温度の低下によって、未燃ガス中のダイオキシン類の焼却が困難になるなど)という問題点がある。さらに、冷却塔内でのガスの偏流や排ガス量の変動により、冷却水が完全に蒸発気化しない事態が生じると、凝結水滴が燃焼炉内に落下し、炉内の燃焼に悪影響を与える。一方、別置き型のガス冷却塔では、燃焼炉一体型のガス冷却塔と比較して、そのガス冷却塔を設置する場所が別に必要になる。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、ガス冷却塔においてガス中に含まれるダストの付着や堆積を防ぎ、排ガスを整流して効率よく冷却できる燃焼炉一体型ガス冷却塔を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用・効果】
前述された目的を達成するために、本発明による燃焼炉一体型ガス冷却塔は、冷却塔内部に、塔内を横断して内部からエアを噴出させるようにした複数のセラミック多孔質管を配置してなるガス整流装置を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明によれば、二次燃焼炉からの高温排ガスを冷却塔に導いて、この冷却塔内を上昇してガス出口まで流動する間に、塔内を横断して設置される複数のセラミック多孔質管を配列されたガス整流装置によってガスの流動が整流され、このガス整流装置を通過すると、ガスをほぼ均等に流動させることが可能になるので、塔内に設置される冷却水ノズルからの冷却水噴霧が全般的に有効に作用して冷却効果を高めることができる。また、ガスの流動を均衡にすることで、含有するダストの塔内付着や、堆積を防止することができるので、それらの処理を省くことが可能になり運転効率を高め得るという効果がある。さらに、燃焼炉上部に直結して設置する場合、ガス整流装置によって冷却塔と燃焼炉の間の放射冷却を防ぎ、燃焼炉内のガス温度の低下を防止できるという効果が併せ得られる。そのほかに、冷却水の水滴が発生することがあっても、その水滴が直接燃焼炉内に落下するのを防ぐことができる。
【0009】
前記第1発明において、前記ガス整流装置は、複数のセラミック多孔質管を所要の間隔を置いて多段に配列され、各セラミック多孔質管内に外部からエアを供給して管外に流出させる構成とされているのがよい。こうすることで、所要の間隔で配列される各セラミック多孔質管の間をガスが流れることで、適度な抵抗を与えてガスの流動を整流することができる。そして、セラミック多孔質管は内部にエアを送り込んで、その多孔質部分の空隙から外にエアを流すことで、管の表面にエアの膜を形成させることにより高温に曝されるのを防止して長期使用を可能にする効果が得られる。
【0010】
前記第1発明および第2発明において、前記ガス整流装置を構成する複数のセラミック多孔質管は、少なくとも上下に二段千鳥配列で設けられるのが好ましい(第3発明)。こうすると、下方から上昇するガスは、複数本配列されているセラミック多孔質管の間を直進せずに流動することになって整流効果を高めることができる。また、これら複数のセラミック多孔質管によって塔内を投影的に上下分断することになって、冷却塔と燃焼炉との間での輻射冷却を確実に遮断することができる。
【0011】
さらに、前記第1発明〜第3発明において、ガス整流装置の複数のセラミック多孔質管を多段に配列される場合、それぞれに供給するエア配管を各段ごとに区分して、その各段それぞれの配管に開閉弁を設けて切替え可能に構成されるのがよい。このようにすることで、冷却塔に送られるガス量に応じてセラミック多孔質管へのエア供給を選択することができ、エアの消費量を排ガスの処理能力に合わせて低減でき、ランニングコストの低減を図ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に、本発明による燃焼炉一体型ガス冷却塔の具体的な実施の形態につき、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1に本発明にかかる燃焼炉一体型ガス冷却塔を備える灰溶融処理装置の概要図が示されている。また、図2に本実施形態のガス冷却塔の一部を切欠いて表わした模式図が、図3にガス整流装置におけるセラミック多孔質管群の配列形態を表わす図が、それぞれ示されている。
【0014】
この実施形態のガス冷却塔は、主としてごみ処理・産業廃棄物の焼却処理に伴い発生する飛灰などに溶融処理装置における二次焼却炉からの排ガス処理工程で用いられるものについて説明する。
【0015】
図1に示される灰溶融処理装置1においては、灰溶融炉2における焼却処理で発生する未燃焼ガスを含む排ガスを、その灰溶融炉2の上部に設けられるガス排出口2aからダクト3によって二次燃焼炉4に送り込まれ、この二次燃焼炉4において未燃ガスを含む排ガスを二次燃焼して上部に設けられる冷却塔10により所定の温度に減温して、その排出口からダクト5によってバグフィルター6に送り、ダストを除去して清浄にされたガスを排風機7により吸引してスタック8から大気中に放散するようにされている。なお、図中符号4aは二次燃焼炉へのエア供給機、21は溶解する飛灰Aを灰溶融炉2へ供給する灰供給装置、22は供給スクリュー、23,23′は灰溶融炉の電極、24は溶碎Bの排出処理装置、25はバグフィルターによって捕捉されたダストの搬出コンベアである。
【0016】
前記二次燃焼炉4の炉頂に設けられる冷却塔10は、二次焼却炉4から冷却塔10に導かれる排ガスの流れが塔内11で均等に分散されてガス出口12まで流動上昇するように、その内下部にガス整流装置15が設けられ、塔内中間部に冷却水の噴霧ノズル13が配置され、流動する排ガスを冷却するように構成されている。なお、図中符号14は冷却水供給配管、17は供給エア配管である。
【0017】
前記ガス整流装置15は、複数のセラミック多孔質管16を所要の間隔で横方向に並べて、かつ複数段に配列されて塔内を上下に分断する状態で塔壁部に支持されている。各セラミック多孔質管16は、その一端を塞がれており、他方端から内部に、塔外部からの配管によってエアを供給して、多孔質体を通過させて管周表面から流出させるようにされている。なお、各セラミック多孔質管16に対する供給エア配管17については、多層(多段)に配列される複数本の管の各層ごとに分割して配管し、それら分割された配管ごとに制御弁18を設けるようにしておけば、排ガスの量に応じてエアの供給を制御することができる。
【0018】
このガス整流装置15に用いられるセラミック多孔質管16としては、耐熱温度が約1400℃のもので、運転範囲において、50〜100mmH2O、望ましくは80〜100mmH2Oの通気抵抗となるような空隙率と厚み(例えば、内径40mmで厚さ10mm、空隙率30%程度)のものを用いることにより、そのセラミック多孔質管16の表面から流出する均一な空気流の空気膜厚さを形成することができる。
【0019】
また、前記セラミック多孔質管16の配列は、基本的にはこのガス整流装置15によって上下に区切られた冷却塔内11を流動する排ガスに適度な抵抗を与えて、流れに偏りが生じないようにするものであり、排ガス量,排ガスに含まれるダスト量を考慮してセラミック多孔質管16の1列当りの配置本数および多層に配置する層数を決定する。なお、図2で示すのは配列の要領を表わしており、この本数に制約を受けるものではない。
【0020】
また、セラミック多孔質管16の配列を多層(多段)に配置するには、図3に示されるように、上下の配列を半ピッチずらせて並べる千鳥型配列(a),上下の配列を揃える碁盤目配列(b),上下の配列を交互に交差して配置する格子型配列などが採用でき、さらにこれらを組合せて配置するなど処理する排ガスに応じて選択することができる。なお、前記の配列要領において、千鳥型配列を採用すれば、平面的に見て塔内を遮断した状況を呈するので、冷却塔10内と燃焼炉4との間における冷却輻射の影響を確実になくすることができる利点がある。
【0021】
このように構成されるガス冷却塔10は、塔内下部に前述のガス整流装置15が配置されているので、二次燃焼炉4で発生する高温の排ガスが送り込まれると、その排ガスがガス整流装置15における配列された複数のセラミック多孔質管16によって形成される狭い間隙を通過して塔内11の上部に流動させれらるので、この間での流動抵抗により排ガスの流れが分散され、整流されて塔内上部に流動される。したがって、排ガスは塔内11の中間部に設けられた冷却水の噴霧ノズル13から上向きに噴霧される冷却水と隈なく接触して効率よく冷却され、所定の温度に減温されて塔上部のガス出口12から排出される。
【0022】
また、このような構成によって、ガス冷却塔10内と燃焼炉4内と空間は、ガス整流装置15によって遮断されているから、輻射冷却による燃焼炉4内のガス温度の低下を防ぐことができ、燃焼効率の低下を起こさせない。また、ガス冷却塔10内で冷却水噴霧が完全に蒸発せずに水滴となって落下するようなことがあっても、ガス整流装置15における配列されたセラミック多孔質管16によって受け止められて、燃焼炉4内に水滴が落下するのを防ぐことになる。したがって、燃焼炉に影響を与えることがない。
【0023】
さらに、前記ガス整流装置15の各セラミック多孔質管16は、その表面を管内に供給されるエアによって空気膜層が形成されているので、排ガス中に含まれるダストの付着や堆積を防ぐことができ、排ガスの整流操作を阻害することもない。また、ダストの清掃除去が省けるので作業に支障を来すことがなく、冷却効果の向上と相俟って設備の長期運転を可能にできるという効果が得られるのである。
【0024】
また、前述のように、多段にセラミック多孔質管16を配列して、それらの管にエアを供給するにあたっては、各配列段ごとにエア供給配管17を分割してそれぞれに制御弁18を設けておくことで、例えば冷却処理される排ガス量が多い場合はすべての管にエアを供給し、排ガス量が少ない場合にはたとえば段分の管列へのエア供給を停止するというような制御を行うことができ、こうすることによって消費エアの量を削減して運転コストを引き下げることができる。
【0025】
以上の説明は、灰溶融炉に接続される排ガス処理の設備に用いたものについて記載したが、本発明の趣旨に則すれば、ごみ焼却炉においても用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明にかかる燃焼炉一体型ガス冷却塔を備える灰溶融処理装置の概要図である。
【図2】図2は、本実施形態のガス冷却塔の一部を切欠いて表わした模式図である。
【図3】図3は、ガス整流装置におけるセラミック多孔質管群の配列形態を表わす図である。
【図4】図4は、従来の燃焼炉一体型のガス冷却塔(a)および別置き型ガス冷却塔(b)を表わす模式図である。
【符号の説明】
1
2 灰溶融炉
4 二次燃焼炉
6 バグフィルター
10 ガス冷却塔
11 塔内
12 ガス出口
13 冷却水噴霧ノズル
15 ガス整流装置
16 セラミック多孔質管
17 供給エア配管
18 制御弁
Claims (4)
- 冷却塔内部に、塔内を横断して内部からエアを噴出させるようにした複数のセラミック多孔質管を配置してなるガス整流装置を設けたことを特徴とする燃焼炉一体型ガス冷却塔。
- 前記ガス整流装置は、複数のセラミック多孔質管を所要の間隔を置いて多段に配列され、各セラミック多孔質管内に外部からエアを供給して管外に流出させる構成とされている請求項1に記載の燃焼炉一体型ガス冷却塔。
- 前記ガス整流装置を構成する複数のセラミック多孔質管は、少なくとも上下に二段千鳥配列で設けられる請求項1または2に記載の燃焼炉一体型ガス冷却塔。
- ガス整流装置の複数のセラミック多孔質管を多段に配列される場合、それぞれに供給するエア配管を各段ごとに区分して、その各段それぞれの配管に開閉弁を設けて切替え可能に構成される請求項1〜3のいずれかに記載の燃焼炉一体型ガス冷却塔。
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