JP3926921B2 - 熱硬化性粉体塗料組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、熱硬化性粉体塗料組成物に関し、さらに詳細には、優れた外観特性(平滑性、鮮映性等)、物理特性(耐擦傷性等)、耐候性、及び化学特性(耐酸性)、かつ塗料の貯蔵安定性が優れ、低温溶融性/低温硬化性を有する熱硬化性粉体塗料組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
[エコロジー等の観点からの塗料の技術分野における研究開発動向と粉体塗料への期待]
従来、物の塗装は溶剤型の塗料が使用され、自動車用などの厳しい品質を要求される分野に使用するために、種々の要求が満足された塗料が開発され、使用されてきた。
【0003】
近年、塗料の技術分野において、ローカル又はグローバルな環境保全、労働安全衝生環境改善、火災や爆発の予防、省資源等、の観点から、溶剤型塗料にかわって、粉体塗料への変更が期待されてきた。そして、歴史的又は社会的要請により、粉体塗料の高機能化・多様化への期待が大きくなるに従い、粉体塗料にも、溶剤型塗料に匹敵する高度な塗膜性能(例えば、耐衝撃性、耐酸性雨性等)が要求されるようになってきた。
しかしながら、粉体塗料に要求される塗膜性能が厳しくなってきたにもかかわらず、必ずしも、このような要求を完全に満足する粉体塗料が上市されてきたとはいえない。
【0004】
[粉体塗料一般の技術的背景]
従来型の粉体塗料の具体例としては、例えば、ビスフェノールAを主体とするエポキ樹脂及びポリエステル樹脂粉体塗料が挙げられる。しかしながら、これらは耐候性に問題があるばかりでなく、最近特に問題となってきた酸性雨に対する耐性にも問題があり、自動車車体塗装等の屋外での使用を前提とした用途に問題があった。
【0005】
[アクリル樹脂系粉体塗料の技術的背景]
特開昭49−34546号には、グリシジル基を有するアクリル樹脂成分と、硬化剤成分である脂肪旗2塩基酸との反応によって硬化させる塗料が開示されている。しかしながら、該粉体塗料は、硬化速度が必ずしも充分ではなく、高温かつ長時間の焼付け条件が不可欠であった。そして、該粉体塗料から形成した塗膜は、耐溶剤性、密着性等の物性が必ずしも充分ではなかった。
【0006】
また、硬化触媒を用いない、このような技術では、粉体塗料組成物の官能基(アクリル樹脂成分;グリシジル基、硬化剤成分;カルボキシル基)の量を増加させることにより、塗膜形成時の架橋形成を改善し、もって低温溶融/低温硬化を達成しようと意図しても、上記と同様な問題や他の問題点が生じた。
【0007】
[酸無水物基を有する化合物を硬化剤として含むアクリル樹脂系粉体塗料]
特開昭50−51542号に開示されている技術は、アクリル樹脂成分として、5〜20重量%のグリシジル基を有する単量体を含む系から構成された共重合体を、ジカルボン酸、線状酸無水物の硬化剤を使用して架橋、硬化させる方法である。しかし、グリシジル基を有する単量体を20重量%以下含む共重合体の場合には、得られた塗膜の架橋密度が不足しており、耐溶剤性、耐候性に劣っていた。
【0008】
上記公知技術の問題点の解決を目的として、多くの研究開発が推進されてきた。米国特許4,091,048号及び特公昭58−2983号には、グリシジル基を有する単量体を5〜20重量%含むコポリマーと、酸無水物基から架橋、硬化させる塗料が開示されている。しかしながら、これらは、やはりグリシジル基を有する単量体を20重量%以下含むコポリマーを用いるので、得られた塗膜の架橋密度が不足であり、耐溶剤性や耐侯性が必ずしも充分なものではなかった。
また、特に、特公昭58−2983号には、環状酸無水物(環状の酸無水物基を有する化合物)を硬化剤として採用した粉体塗料組成物に関する技術が開示されている。ここで、環状酸無水物は、芳香族系であっても、脂環族系であってもよい。しかしながら、上記環状酸無水物を硬化剤成分として採用した場合、樹脂成分/硬化剤成分間の低い相溶性、及び、樹脂成分/硬化剤成分間の低い架橋形成効率等、に関し問題があった。
【0009】
[硬化触媒を含むアクリル樹脂系紛体塗料の技術的背景〕
特開平8−231893号にはグリシジル基含有アクリル共重合体(A)、脂肪族多価カルボン酸(B)、並びに、脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物(C)またはこれに3級アミン化合物と有機酸との塩(D)及び/又は融点が20℃〜150℃の3級アミン化合物(E)を含む熟硬化性粉体塗料組成物が開示されている。
【0010】
しかしながら、この発明に関しても貯蔵安定性や低温便化性に関し、充分だといえるものではなく、特開平8−231893号に開示されているように、脂肪族多価カルボン酸が共存している粉体塗料組成物に3級アミン化合物と有機酸との塩及び/又は融点が20℃〜150℃の3級アミン化合物を硬化触媒として用いた場合、貯蔵温度が40度程度の比較的高温な条件下では、貯蔵安定性に関しても必ずしも充分ではなかった。
【0011】
特開平9−67530号には(A)グリシジル基含有ビニル系樹脂、(B)脂肪族2塩基酸、(C)熱潜在性カチオン重合開始剤を必須成分として含有することを特徴とする熱硬化性ビニル系樹脂粉体塗料組成物が開示されている。該技術において脂肪族2塩基酸を硬化剤成分(B)を用いて架橋させた塗膜は塗膜の耐擦り傷性や耐溶剤性が必ずしも充分とは言い切れず、成分(A)中のグリシジル基を有する単量体成分の使用量を増加する事で硬化特性を改善しようとしても塗膜の平滑性の悪化や光沢の低下をまねくため低温硬化性及び塗膜特性とのバランスをとる事は困難となる。
【0012】
特開平9−95644号にはエポキシ基化合物にエポキシ基の開環カチオン重合の触媒作用を有する特定の芳香族スルホニウム塩を配合することにより、貯蔵安定性、低温硬化性等に優れ、形成塗膜の塗膜性能にも優れる熱硬化型塗料組成物が開示されている。該明細書において(脂肪族線状ポリ)酸無水物を使用するといった開示や記載は一切ない。またエポキシ化合物にカチオン開環触媒作用を有する芳香族スルホニウム塩のみを配合し、加熱硬化させた場合、塗膜の外観及び耐候性に問題が生じる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、従来技術の問題点に鑑み、従来技術によって達成することが困難であった、
▲1▼ 塗膜形成前(貯蔵時)における、優れた安定性、
▲2▼ 塗膜形成時における、優れた低温溶融性/低温硬化性
▲3▼ 塗膜形成後における、優れた塗膜特性・物性、
を同時発現することができる熱硬化性粉体塗料組成物を提供することにある。
【0014】
また、本発明のさらなる目的は、その様な優れた熱硬化性粉体塗料を良好に製造できる方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の[1]〜[5]に記載した事項を包含する。
【0016】
[1] 共重合体成分(A)、硬化剤成分(B)、及び硬化触媒成分(C)を含んでなる熱硬化性粉体塗料組成物であって、
該共重合体成分(A)は、
(a1)1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性官能基及び少なくとも1個のエポキシ基を併せ持った少なくとも1種のラジカル重合性単量体、及び、
(a2)1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を有し、エポキシ基を有さない少なくとも1種の単量体
を含む反応系でラジカル重合して得られた共重合体であり、
該硬化剤成分(B)は、ドデカン二酸の脱水線状縮合物であり、
該硬化触媒成分(C)は、熱潜在性カチオン重合開始剤であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物。
【0017】
[2] 硬化触媒成分(C)が、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部含有してなる[1]記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
【0018】
[3] 成分(C)が芳香族スルホニウム塩である[1]又は[2]に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
【0019】
[4] 成分(A)の分子内に存在する官能基と成分(B)の分子内に存在する官能基との当量比が、成分(A)の分子内に存在するエポキシ基1当量に対して、成分(B)の分子内に存在するカルボキシル基及び酸無水物(アンヒドリド)基の合計が0.5〜2.0当量となるものである[1]〜[3]の何れかに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
【0021】
[5] 脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の融点が40〜150℃である[1]〜[4]の何れかに記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
【0022】
その他、以下の発明をも開示する。
[i] [1]に記載の組成物を用いて熱硬化性粉体塗料を製造するための方法であって、
少なくとも成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含む原料を溶融混練する工程、並びに、該溶融混練物を冷却し粉砕する工程を有することを特徴とする熱硬化性粉体塗料の製造方法。
【0023】
[ii] 溶融混練工程は、40〜130℃の温度で行なう[i]に記載の熱硬化性粉体塗料の製造方法。
【0024】
また、本発明の本発明の更なる目的は、上記本発明の組成物を用いて熱硬化性粉体塗料を製造するための方法であって、少なくとも共重合体成分(A)、硬化剤成分(B)及び硬化触媒成分(C)を含む原料を溶融混練する工程、並びに、該溶融混練物を冷却し粉砕する工程を有することを特徴とする熱硬化性粉体塗料の製造方法により達成できる。
【0025】
本発明は、上記成分(A)、(B)及び(C)を併用する点、並びに、特定の硬化剤成分(B)を使用する点、及び、硬化触媒成分(C)として熱潜在性カチオン重合開始剤成分(C)を使用する点において、特に特徴的であり、これらの組成、組成比を制御することにより、より高度な作用効果を発揮することができる。
【0026】
また、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物は、水性下塗り塗料の上に塗装、焼き付けした場合においても、上記の優れた性能を発揮することができる。
【0027】
【発明の実施の形態】
[成分(A)]
本願の特許請求の範囲及び明細書において、共重合体とは、ランダム共重合体、交替共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体等のいずれでもよく、また高分子は線状、大環状、分岐状、星形、三次元網目状等のいずれでもよい。
【0028】
[単量体(a−1)]
本発明において共重合体成分(A)中に共重合される単量体(a−1)としては、エポキシ基及びラジカル重合性官能基を実質的に併せ有する化合物であれば特に制限されない。
【0029】
単量体(a−1)としては、具体例としては例えば、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、β−メチルグリシジルアクリレート、β−メチルグリシジルメタクリレート、N−グリシジルアクリル酸アミド、アリルグリシジルエーテル、ビニルスルフォン酸グリシジル等が挙げられる。また単量体(a−1)のその他の具体例としてサイクロマーM−100、サイクロマーM−101、サイクロマーA−200(以上、ダイセル石油化学工業(株)社製、商品名)等の脂環型エポキシ基を有する単量体等が挙げられる。これら単量体(a−1)は単独で又は2種類以上を併せて用いる事ができる。これら単量体(a−1)の中では、グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが好ましい。
【0030】
単量体(a−1)の使用量は、単量体(a−1)、及び単量体(a−2)の合計100重量部に対して、20〜60重量部が好ましく、25〜50重量部がさらに好ましい。単量体(a−1)の使用量が20重量部を超えれば、得られる塗膜の架橋密度が高く、耐衝撃性や耐擦傷性、耐溶剤性等の塗膜特性が良好で好ましい。単量体(a−1)の使用量が60重量部以下にすれば、平滑性や鮮映性等の塗膜外観が良好で好ましい。
【0031】
[単量体(a−2)]
共重合体成分(A)で(a−1)と共重合される(a−2)としては、1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を有し、エポキシ基を有さない少なくとも1種の単量体が用いられる。
【0032】
単量体(a−2)の具体例としては、例えば、不飽和カルボン酸エステル類、不飽和炭化水素類、ニトリル類、アミド類等が挙げられ、これらの中では、不飽和カルボン酸エステル類が好ましく、第1級又は第2級アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルがより好ましい。
【0033】
第1級又は第2級アルコールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステルの具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ベンジルアクリレート、フェニルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートのようなアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ステアリルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、トリシクロデカニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールモノメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレートのようなメタクリル酸誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類、マレイン酸、イタコン酸などとのジカルボン酸エステル類、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、t−ブチルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、クロルスチレン等のような芳香族ビニル類、アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリルアミド等のアミド類、塩化ビニル、塩化ビニリデン、ふっ化ビニル、モノクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、クロロプレン等のハロゲン化エチレン系不飽和単量体類、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、炭素原子数4乃至20のα−オレフィン類や共役ジエン類、ラウリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類、ビニルピロリドン、4−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル類などを包含するエチレン系不飽和単量体が挙げられ、これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0034】
また、一般的には単量体(a−2)としてスチレン等の芳香族ビニル類やブタジエン等の共役ジエン類を用いる場合は塗膜の耐候性の点で、アクリロニトリル等のニトリル類、アクリルアミド等のアミド類を用いる場合は、塗膜の着色及び外観の点で、また分子内にカルボキシル基、酸無水物基、及び、アミノ基等のエポキシ基と反応可能な単量体成分を少量使用する場合は、共重合体成分(A)の製造時にゲル化の点で問題を生じないために、これらの単量体を少量(例えば(a−1)と(a−2)の合計重量を基準として、30重量部以下)使用してそれ以外の(a−2)単量体と併用した方が好ましい。
【0035】
単量体(a−2)の使用量は、単量体(a−1)、及び単量体(a−2)の合計100重量部に対して、40〜80重量部が好ましく、50〜75重量部がより好ましい。
【0036】
共重合体成分(A)のFoxの式により得たガラス転移点(Tg)計算値は、約20〜約100℃が好ましく、約30〜約90℃がさらに好ましく、約50〜約80℃が特に好ましい。Tgを20℃以上にすれば、塗料組成物の貯蔵安定性が向上する傾向がある。
【0037】
[ガラス転移点計算値〜ヘテロポリマーのガラス転移点(Tg)の評価]
特定の単量体組成を有する重合体のガラス転移点(Tg)は、Foxの式により計算により求めることができる。ここで、Foxの式とは、共重合体を形成する個々の単量体について、その単量体の単独重合体のTgに基づいて、共重合体のTgを算出するためのものであり、その詳細は、Bulletin of the American Physical Society,Series 2 1巻・3号・123頁(1956年)に記載されている。
【0038】
Foxの式による共重合体のTgを評価するための基礎となる各種エチレン性不飽和単量体についてのTgは、例えば、新高分子文庫・第7巻・塗料用合成樹脂入門(北岡協三著、高分子刊行会、京都、1974年)168〜169頁の表10−2(塗料用アクリル樹脂の主な原料単量体)に記載されている数値を採用することができる。
【0039】
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0040】
[共重合体成分(A)の合成法]
共重合体成分(A)の合成法は、実質的に所望の特性を有するものが得られるのであれば、特に限定されない。
【0041】
共重合体成分(A)は、公知・公用の常法により合成することができる。例えば、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、塊状重合法を包含するラジカル重合法により調製することができるが、特に、溶液重合法が好適に用いられる。
【0042】
[共重合体成分(A)の分子量]
共重合体成分(A)の分子量を調整する方法としては、ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、ジベンゾイルスルフィドなどのジスルフィド類、チオグリコール酸2−エチルヘキシルなどのチオグリコール酸の炭素原子数1〜18のアルキルエステル類、四臭化尿素などのハロゲン化炭化水素類の連鎖移動剤、イソプロピルアルコール、イソプロピルベンゼン、トルエン等の連鎖移動効果の大なる有機溶剤の存在下に重合する等の手段を用いることができる。
【0043】
共重合体成分(A)の数平均分子量は、約1,000〜約20,000が好ましく、約2,000〜約10,000がより好ましい。数平均分子量が約1,000以上であると、一般的には、塗料組成物の貯蔵安定性が良好で好ましい。数平均分子量が10,000以下では塗膜の仕上がり外観が良好で好ましい。
共重合体成分(A)の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準として評価した。
【0044】
[硬化剤成分(B)]
本発明において、脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物は、実質的に、分子内にカルボキシル基を有する、線状のオリゴ又はポリの脂肪族の酸無水物(アンヒドリド)であって、分子内に実質的に存在するカルボキシル基及び酸無水物(アンヒドリド)基を少なくとも2個有する化合物であれば、特に制限されず、1種類又は2種類以上を用いることができる。
【0045】
また、脂肪族2価カルボン酸等の脂肪族多価カルボン酸等が線状酸無水物に不純物として残存している場合があるが、熱硬化性粉体塗料組成物に悪影響を与えない範囲であれば残存していても良い。
【0046】
脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物は、融点が約40〜約150℃の範囲にあるように調製することが好ましい。一般的には、脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の融点が約40℃以上で塗料組成物の耐ブロッキング性が良好である。
また一般的には、脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の融点が約150℃以下で塗料の加熱流動性が良好であり、得られる塗膜について、平滑性等の外観特性が良好である。
【0047】
脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物は一般的には、多価カルボン酸線状酸無水物、及び/又は、下記一般式(1)で表される脂肪族2価カルボン酸の線状酸無水物である。
HO−[OC(CH2)mCOO]n−H (1)
(m=4〜20、n≧2の、それぞれ、自然数である。)
なお、nの上限は20程度であることが好ましい。
【0048】
ここで、脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の具体例としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシリン酸、エイコサン2酸及びドデカン2酸等の脂肪族2価カルボン酸の中から選択された少なくとも1種の化合物から脱水縮合により誘導された線状縮合物が挙げられる。これらのうち、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン2酸、エイコサン2酸の脱水線状縮合物がさらに好ましい。
【0049】
本出願明細書において、「脂肪族」なる語の概念には、芳香族度が低い脂環族をも包含し、例えば、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸等の脂環式の多価カルボン酸より誘導された線状酸無水物も(B)成分として使用できる。
【0050】
脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物として、2種類以上の脂肪族多価カルボン酸の脱水縮合により誘導された線状酸無水物を使用することもできる。
脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物として、既販の脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物も好適に使用が可能である。これらは、本発明者らが合成した脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物と同等の効果が確認された。
【0051】
これら既販の脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の具体例としては、例えば、岡村製油(株)製の商品名「SL12−AH」、「PS−AH」、「SL20−AH」、フィアノバレジン社製の商品名「Additol VXL1381」。
例えば、フィアノバレジン社製の「Additol VXL1381」の化学的な特性や化学構造については、以下の▲1▼〜▲3▼に開示がある。
それらの記載はすべて、引用文献及び引用範囲を明示することにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより本発明に係る出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0052】
▲1▼「Acryic powder clear coat for automotive OEM」,Schmidt,Holger。
Powder Coat.;What’s Next?,Int.Conf.,13th(1993年)、Paper 13,11頁。
Paint Research Asociation,Teddington,UK。Coden:61SZAA。
【0053】
▲2▼「Auto assembly line coating with polyacrylate−based clear powder」,Fink,Diewtmar及びSchmidt,Holger。
Kunstharz−Nachr.(1994年),30巻,6〜9頁。
Coden:KUNADE;ISSN;0170−0693。
【0054】
▲3▼「Acrylic powder clear coat for automotoive OEM」,Schmidt,Holger。
Pitture Vernici Eur. (1994年),70巻,5〜10頁。
Coden:PVEUEO。
【0055】
[脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物]
「脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物」なる語の概念には、「ポリマー状ポリ酸無水物」、「ポリマー骨格に酸無水物基を含有し、かつ、複数の酸官能基を含有する、ポリマー状ポリ酸無水物」、「脂肪族ポリ酸無水物」「脂肪族カルボン酸のポリ酸無水物」、「polymeric polyanhydride」、「polymeric polyanhydride containing anhydride linkages in the polymeric backbone」及び「polyanhydride of aliphatic carboxylic acids」等をも包含する。
【0056】
無水こはく酸や無水フタル酸のような、環状酸無水物を、共重合体成分(A)と反応させると、該酸無水物は、共重合体成分(A)分子中の特定のグリシジル基のエポキシ環とのみ反応する確率が高いため、複数の共重合体成分(A)分子を橋架けする効果が小さく、かつ硬化触媒成分(C)である熱潜在性カチオン重合開始剤の硬化促進効果が小さいためこの化合物の使用は、好ましくない。
【0057】
[線状のオリゴ又はポリの脂肪族の酸無水物(アンヒドリド)]
本発明明細書において、「線状」なる語の概念には、線状のみならず、線状の2量体以上のオリゴ又はポリの脂肪族の酸無水物が大環状を形成している場合をも包含する。
ここで、「線状」とは、「小環状」と相対する反対の概念を有するが、「分岐状」と相対する反対の概念を有するものではない。
したがって、「脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物」又は「線状酸無水物」は、あくまでも、酸無水物基が、「小環状」(7員環以下)となっておらず、「線状」に連なっているものであって、直鎖状のもののみならず、例えば、大環状、分岐状、分枝状等の一次乃至高次構造を有していても良い。
【0058】
本出願の明細書で用いる「アンヒドリド」、「アンヒドリド基」、「アンヒドリド結合」及び「ポリアンヒドリド」なる語の概念には、「MARUZEN高分子大辞典−Concise Encyclopedia of PolymerScience and Engineering(Kroschwitz編、三田 達監訳、丸善、東京、1994年)」・996〜998頁の「ポリアンヒドリド」の項に記載されているそれぞれの語に関する概念をも包含する。
【0059】
その記載は全て、引用文献及び引用範囲を明示したことにより本出願明細書の開示の一部とし、明示した引用範囲を参照することにより、本出願明細書に記載した事項又は開示からみて、当業者が直接的かつ一義的に導き出せる事項又は開示とする。
【0060】
なお、ポリアンヒドリドは、生分解性バイオ(メディカル)ポリマー材料及び該材料のドラッグデリバリーシステムへの応用に関する研究開発が旺盛であった1980年代初頭、MITの研究者たちにより精力的に研究され、注目されるようになった。
【0061】
脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物は、例えば、溶融重縮合、溶液重縮合、界面重縮合などの方法によって合成することができる。
【0062】
脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の使用量は、共重合体成分(A)中のエポキシ基1当量に対して、脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の分子内に存在するカルボキシル基及び酸無水物基が約0.5〜約2.0当量が好ましく、約0.6〜約1.2当量がより好ましい。脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の使用量が上記範囲であれば、得られた塗膜は外観が良好で、耐溶剤性、耐衝撃性、耐候性等の特性が優れている。
【0063】
[硬化触媒成分(C)]
本発明で用いる硬化触媒成分(C)、すなわち、熱潜在性カチオン重合開始剤(C)であり、熱潜在性カチオン重合開始剤とは室温では長時間にわたって安定であるが、熱をかけることによってカチオン反応が開始されるものであり、これはスルホニウム塩型化合物、アニリニウム塩型化合物、ピリジニウム塩型化合物、トルイジニウム塩型化合物、ホスホニウム塩型化合物、ヨードニウム塩型化合物などである。これらは一般に六フッ化アンチモン、六フッ化リン、四フッ化ホウ素、六フッ化ヒ素を陰イオン成分とする窒素、イオウ、リン、ヨードなどのオニウム塩である。
【0064】
熱潜在性カチオン重合開始剤(C)としては、具体的には、スルホニウム塩型化合物では、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、p−t−ブチルベンジルテトラヒドロチオフェニウム六フッ化アンチモンなど;アニリニウム塩型化合物では、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−ベンジルアニリニウム四フッ化ホウ素、N,N−ジメチル−N−(4−クロロベンジル)アニリニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジメチル−N−(1−フェニルエチル)アニリニウム六フッ化アンチモン;ピリジニウム塩型化合物では、N−ベンジル−4−ジメチルアミノピリジニウム六フッ化アンチモン、N−ベンジル−4−ジエチルアミノピリジニウムトリフルオロメタンスルホン酸、N−(4−メトキシベンジル)−4−ジメチルアミノピリジニウム六フッ化アンチモン、N−(4−メトキシベンジル)−4−ジエチルアミノピリジニウム六フッ化アンチモンなど;トルイジニウム塩型化合物では、N,N−ジメチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモン、N,N−ジエチル−N−(4−メトキシベンジル)トルイジニウム六フッ化アンチモンなど;ホスホニウム塩型化合物では、エチルトリフェニルホスホニウム六フッ化アンチモン、テトラブチルホスホニウム六フッ化アンチモンなど;ヨードニウム塩型化合物では、ジフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−クロロフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−4−ブロムフェニルヨードニウム六フッ化ヒ素、ジ−p−トリルヨードニウム六フッ化ヒ素、フェニル(4−メトキシフェニル)ヨードニウム六フッ化ヒ素などが挙げられる。
【0065】
好ましい具体例としては、トリフェニルスルホニウム四フッ化ホウ素、トリフェニルスルホニウム六フッ化アンチモン、トリフェニルスルホニウム六フッ化ヒ素、トリ(4−メトキシフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、ジフェニル(4−フェニルチオフェニル)スルホニウム六フッ化ヒ素、p−t−ブチルベンジルテトラヒドロチオフェニウム六フッ化アンチモン等のスルホニウム塩型化合物が挙げられ、特により好ましくはp−t−ブチルベンジルテトラヒドロチオフェニウム六フッ化アンチモン等、陰イオン成分としてSbF6−が用いられているスルホニウム塩型オニウム塩が挙げられる。
【0066】
また、既販の熱潜在性カチオン重合開始剤として、例えば、サンエイドSI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L、サンエイドSI−80、サンエイドSI−100、サンエイドSI−145、サンエイドSI−150、サンエイドSI−160(以上、三新化学工業株式会社製、商標名)等が挙げられる。
【0067】
4級アンモニウム塩類、イミダゾール類、アミン類、メラミン類等の既知の硬化触媒は、共重合体成分(A)中のエポキシ基と硬化剤成分(B)中のカルボキシル基との反応が室温でも進行しやすいため、粉体塗料組成物の態様によっては、これらの化合物が、粉体塗料組成物の貯蔵安定牲や塗膜特性(平滑性等の外観)に関し、問題となる場合がある。
【0068】
本発明で使用する熱潜在性カチオン開始剤成分(C)は40℃程度の貯蔵条件下においては安定に存在し不活性であるため、塗料組成物の貯蔵安定性が良好である。
【0069】
一方、本発明に使用する成分(C)は、粉体塗料の貯蔵時には硬化促進効果を殆ど示さず、粉体塗料の貯蔵安定性(化学的安定性)も良好であるが、100℃以上の粉体塗料の焼き付け温度領域では硬化促進効果が顕著に発現する。
【0070】
本発明の構成要素中の成分(A)、成分(B)に対する成分(C)の役割は、次のような効果であると思科される。
【0071】
塗膜の焼き付け温度(一般には100℃以上)になると熱潜在性カチオン重合開始剤成分(C)の熱分解により発生するカチオン種が活性種となり、共重合体成分(A)中のエポキシ基の開環作用を促進し、開環したエポキシ基は他のエポキシ基への開環反応を促進するだけでなく、硬化剤成分(B)中のカルボキシル基との反応も促進し、さらには硬化剤成分(B)中の酸無水物基との逐次的反応をも促進するので、得られた塗膜の架橋が密となり、物理的特性(耐擦り傷性等)及び化学的特性(耐酸性等)が優れた焼き付け塗膜が発現できる。
【0072】
硬化触媒成分(C)の使用量は、一般的には、共重合体成分(A)及び硬化剤成分(B)の合計100重量郭に対して、約0.01〜約5重量部が好ましく、約0.05〜約3重量部がより好ましい。硬化触媒成分(C)の使用量を5重量部以下にすれば、硬化反応が適当な速さで、塗膜の平滑性、塗料の貯蔵安定性が保たれる。
【0073】
[添加剤]
本発明においては、通常、塗料に添加される種々の添加剤を使用できる。
例えば、本発明の粉体塗料組成物には、目的に応じ、適宜、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミドなどを包含する合成樹脂組成物、繊維素又は繊維素誘導体などを包含する天然樹脂又は半合成樹脂成物を配合して塗膜外観又は塗膜物性を向上させることができる。
【0074】
また例えば、本発明の粉体塗料には、目的に応じ、適宜、顔料、流動調整剤、チクソ剤(チクソトロピー調整剤)、帯電調整剤、表面調整剤、光沢付与剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ワキ防止剤、酸化防止剤等の添加剤を配合することもできる。
【0075】
配合組成物中にアミン系化合物やアルカリ化合物を多用すると、焼き付け加熱時に、硬化触媒成分(C)より発生するカチオン種が補足され、硬化阻害を起こすことがあるため、このような場合は好ましくない。
【0076】
[粉体塗料組成物の混練について]
成分(A)、(B)及び(C)を含む組成物を機械的に混練する際の溶融混練装置としては、通常、加熱ロール機、加熱ニーダー機、押出機(エクストルーダー)等を使用する。
【0077】
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を配合する方法の具体例としては、ロール機、ニーダー機、ミキサー(バンバリー型、トランスファー型等)、カレンダー設備、押出機(エクストルーダー)等の混練機や捏和機を、適宜、組み合わせ、各工程の条件(温度、溶融若しくは非溶融、回転数、真空雰囲気、不活性ガス雰囲気等)を、適宜、設定して、充分に均一に混合し、その後、粉砕装置により、均一な微細粉末状態の粉体塗料組成物を得る方法を採用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
本発明の粉件塗料組成物に添加剤等を加える配合混練工程の一態様を例示すると、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物に、必要に応じ、ブロッキング防止剤、表面調整剤、可塑剤、帯電調整剤、顔料、充填剤、増量剤等の添加剤を加え、約40〜約130℃の範囲で、充分に溶融混練し、冷却後、適当な粒度(通常、約100メッシュ以下)に均一に粉砕し、粉体塗料を得る。
【0079】
[塗装方法及び焼付方法]
粉砕により得られた粉体塗料は、塗装対象物に付着せしめ、加熱、熱硬化させ塗膜を形成させる。
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を塗装する方法の具体例としては、例えば、静電塗装法、流動浸漬法等、公知の塗装方法が挙げられる。
【0080】
また、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を上塗り塗料として用いる場合、その下塗り塗料として、従来の溶剤型塗料のみならず、水性塗料を用いた場合においても、焼き付け後の塗膜は溶剤型塗料を用いた場合と同様に、本発明の塗料は優れた特性を有する。
【0081】
即ち、水性下塗り塗料(顔料入り及び/又は金属粉入りを含む)を塗装し、所定の時間乾燥させた後、本発明の熱硬化性粉体塗料組成物を上記の方法によって下塗り塗料の上に付着せしめ、加熱して熱硬化させ塗膜を形成させる。
本発明の熟硬化性粉体塗料組成物の焼付けは、通常100〜200℃の範囲内の温度で行なう。好ましくは約100〜約160℃、さらに好ましくは約120〜約140℃の温度において、通常約10〜約60分間行なうことにより、架橋反応が進行する。焼付け後、室温まで冷却し、優れた特性を有する塗膜を得ることができる。
本発明の熱硬化性粉体塗料組成物物を適用し得る塗装方法は、自動車の車体又は自動車部品へも用いられる。
【0082】
[語「誘導体」の概念]
本出願の特許請求の範囲及び明細書において用いる「誘導体」なる語の概念には、特定の化合物の水素原子が、他の原子あるいは原子団Zによって置換されたものを包含する。
【0083】
ここでZは、少なくとも1個の炭素原子を含む1価の炭化水素基であり、より具体的には、脂肪族、実質的に芳香族度の低い脂環族、これらを組み合わせた基、又はこれらが水酸基、カルボキシル基、アミノ基、窒素、硫黄けい素、りんなどで結合されるような残基であってもよく、これらのうち特に、狭義の脂肪族系の構造のものが好ましい。
【0084】
Zは、上記のものに、例えば、水酸基、アルキル基、シクロアルキル基、アリル基、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリルオキシル基、ハロゲン(F、Cl、Br等)基等が置換した基であってもよい。
【0085】
これらの置換基を適宜選択することにより、本発明の粉体塗料組成物により形成される塗膜の諸特性を制御することができる。
【0086】
[語「貯蔵安定性」の概念]
本出願の明細書において用いる「貯蔵安定性」なる語の概念には、粉体塗料の物理的な安定性(耐ブロッキング性)及び化学的な安定性(耐固相反応性)を包含する。
【0087】
【実施例】
以下に説明する実施例、製造例及び態様は、本発明の内容の理解を支援するためのものであって、その記載によって、本発明が何ら限定される性質のものではない。説明中「部」及び「%」は、特に説明のない限り重量での値である。
【0088】
[製造例1] 共重合体成分(A)の製造
撹拌装置、温度計、還流コンデンサー及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコにキシレン66.7部を装入し、窒素雰囲気中で還流温度まで撹拌しながら昇温した。還流温度まで達した後、表−1に示す単量体と、重合開始剤であるt−ブチル−パーオキシ−2−エチルヘキサノエート(商品名パーブチルO、日本油脂株式会社製)を、5時間にわたり滴下し、さらにその後1時間保持した後、100℃にてパーブチルOを0.6部滴下し2時間保持した。減圧により得られた重合溶液からキシレンを除去することにより、共重合体成分(A−1)を得た。
また、表−1に示すように、モノマーの種類及びモノマー組成を変化させて各種の共重合体成分(A−1)及び(A−2)を得た。
共重合体の諸物性は、以下の方法により測定した。
【0089】
(1)ガラス転移温度(Tg);モノマー組成に基き、Foxの式に計算により求めた。
(2)数平均分子量(Mn);GPCにより、ポリスチレンを標準として測定した。
【0090】
【表1】
【0091】
[製造例2] 脂肪族2価カルボン酸の直鎖線状酸無水物の製造
ドデカン2酸1モル、無水酢酸0.9モルを反応容器に装入し、130℃まで昇温し、無水酢酸が系外に流失しないように、生成してくる酢酸を真空ラインで除去しながら、5時間反応させた。その後、直ちに冷却し、白色の固形物を回収し、ドデカン2酸の直鎖線状無水物を得た。この化合物の融点は81〜91℃であった。
また、セバシン酸の直鎖線状無水物についても、セバシン酸を用いて同様の方法で製造して融点74〜81℃のものを得た。
【0092】
[性能評価]
後に説明する実施例及び比較例で得た粉体塗料は、下記の方法で評価した。
【0093】
(1)平滑性
塗膜外観を観察し、特に平滑性の優れているものを◎、僅かに凸凹のあるものを○、平滑性の劣るものを×とした。
【0094】
(2)鮮映性
DOIメーター(Paul N.Gardner社製)を用い、GM91013に準拠して塗膜の評価を行った。DOI値が90以上100以下のものを鮮映性が優れている塗膜として◎の判定とし、70以上90未満のものを○、70未満を鮮映性の劣っている塗膜として×とした。
【0095】
(3)光沢
光沢計での測定(60°グロス)値で示した。
【0096】
(4)耐衝撃性試験(デュボン式衝撃性試験)
JIS K 5400 6.13.3に従って実施した。ここで採用したおもりの重量は500gである。評価結果の数値は、塗膜に割れやはがれの発生した落下高さで示した。
【0097】
(5)耐溶剤性
キシロールを含浸させたガーゼで、塗膜表面を往復50回擦った後観察を行った。痕跡の無いものを◎、僅かに痕跡の付いているものを○、痕跡のあるものを×とした。
【0098】
(6)耐擦傷性
塗膜表面を、0.3%のクレンザー懸濁液を用いて、ブラシで摩擦する擦傷試験を行い、該摩擦の前後で光沢値(20°グロス)を評価し、光沢保持率を算出した。光沢保持率が60%以上のものを、耐擦傷性がある塗膜として◎の判定をし、50〜60%を○、それ以下を擦傷性の無い塗膜として×と判定した。
【0099】
(7)耐候性試験
QUVテスターによる2000時間の促進テストを行い、促進テスト前後の塗膜の光沢(60°)を測定し、光沢残存率(%)を求めた。光沢残存率は次式[数1]により計算した。
【0100】
【数1】
光沢残存率(%)=
(促進試験後の60°光沢度)÷(促進試験前の60°光沢度)×100
光沢保持率が80%以上のものを◎、70〜80%のものを○、それ以下のものを×とした。
【0101】
(8)粉体塗料の貯蔵安定性試験▲1▼(耐ブロッキング性試験)
粉体塗料6gを内径25mmの円筒型容器に入れを、温度40℃で14日間貯蔵後粉体塗料を円筒型容器から取り出し、そのブロッキング状態を目視及び指触で観察した。その結果、全く異常のないものを◎、やや劣るものを○、劣るものを×とした。
【0102】
(9)粉体塗料の貯蔵安定性試験▲2▼(耐固相反応性拭験)
粉体塗料を上記条件にて貯蔵後、10mmφ、0.3gのペレット状粉体塗料を調製し、プレート上に貼着した後、垂直に保ち、140℃で、30分間、焼付けした際のペレットの垂れ状態を測定した。150mm以上乗れているものを耐固相反応性が優れている紛体塗料として◎の判定をし、100〜150mmを○、それ以下を×とした。
【0103】
〈実施例1〜3、参考例1及び2、比較例1〜5〉
[粉体塗料の調製]
共重合体成分(A)、硬化剤成分(B)及び硬化触媒成分(C)を表−2に示す割合で配合し、成分(A)及び(B)の合計100部に対して、商品名レジミックスRL−4(三井化学株式会社製、低粘度アクリル樹脂、流動調整剤)、商品名チヌビン144(チバガイギー杜製、光安定化剤)、ベンゾイン(ワキ防止剤)を各1部ずつ、商品名チヌビン900(チバガイギー社製、紫外線吸収剤)を2部添加し、充分に均一混合させた後、上記混合物をブッス社のコ・ニーダー「TCS−30」を用いて、90℃の条件下で溶融混練し、冷却後、粉砕機にて微粉砕して、150メッシュのふるいを通過した区分を回収し、粉体塗料を調製した。
【0104】
[下地処理鋼板の調製]
燐酸亜鉛処理を施した0.8mm厚の梨地鋼板に、ポリエステル−メラミン架橋の黒色塗料を20μmの膜厚で塗装し、その後170℃で30分間焼き付けを行い、下地処理鋼板を調製した。
【0105】
[テスト板の調製、塗装及び焼付け]
本発明の方法で得た粉体塗料及び比較例で得た粉体塗料を、上記下地処理鋼板上に膜厚が60〜70μmになるように静電塗装し、150℃で30分間焼付けを行い、テスト板を得た。
【0106】
実施例1〜3、参考例1及び2で形成した粉体塗料及び塗膜の評価を行った結果を表−3、表−4に示す。またこれに関連する比較例1〜5で形成した粉体塗料及び塗膜の評価を行った結果を表−3、表−4に示す。
【0107】
表−2に示した実施例1〜3、参考例1及び2の粉体塗料は、硬化剤成分(B)や硬化触媒成分(C)の種類を変化させた実験であり、これらの結果は優れた塗膜の外観、物性及び耐候性、塗料組成物の優れた貯蔵安定性を示している。
【0108】
比較例1は硬化剤として脂肪族2価カルボン酸を使用した例であり、この場合塗膜の耐溶剤性及び耐擦傷性が劣っている。比較例2は硬化剤として芳香族の環状酸無水物を使用した例であり、この場合種々の性能が劣っている。比較例3は硬化触媒を使用しなかった例であり、この場合塗膜の焼き付けが不十分であり塗膜の諸物性が劣っている。
【0109】
比較例4は硬化剤触媒として本発明請求外のアミン系の化合物の塩を使用した例であり、この場合は、塗料の貯蔵安定性(固相反応性)が劣っている。比較例5は硬化剤成分(B)を用いなかった例であり、この場合、塗膜の耐擦り傷性や耐候性が劣っている。
【0110】
【表2】
[凡例]
DDA無水物:ドデカン2酸の脱水縮合物
セバシン酸無水物:セバシン酸の脱水縮合物
テレフタル酸無水物:テレフタル酸の脱水縮合物
Additol VXL1381:フィアノバレジン社製の脂肪族ポリ酸無水物
DDA:ドデカン2酸
L1:サンエイドSI−60L(三新化学工業株式会社製の芳香族スルホニウム塩系熱潜在性カチオン重合開始剤)
L2:ベンジル−4−ヒドロキシフェニルスルホニウム六フッ化リン
DBU−Fa:DBUギ酸塩
(1,8−ジアザ−ビシクロ酸[5,4,0]ウンデセン−7と蟻酸から生成するアミン塩)。
【0111】
【表3】
【0112】
【表4】
【0113】
【発明の効果】
本発明に係る熱硬化性粉体塗料組成物は、少なくとも以下の▲1▼〜▲3▼の効果を同時に発現する。
▲1▼ 塗膜形成前(貯蔵時)における優れた貯蔵安定性。
▲2▼ 塗膜形成時における優れた低温溶融性/低温硬化性。
▲3▼ 塗膜形成後における優れた塗膜特性・物性。
Claims (5)
- 共重合体成分(A)、硬化剤成分(B)、及び硬化触媒成分(C)を含んでなる熱硬化性粉体塗料組成物であって、
該共重合体成分(A)は、
(a1)1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性官能基及び少なくとも1個のエポキシ基を併せ持った少なくとも1種のラジカル重合性単量体、及び、
(a2)1分子中に少なくとも1個のラジカル重合性官能基を有し、エポキシ基を有さない少なくとも1種の単量体
を含む反応系でラジカル重合して得られた共重合体であり、
該硬化剤成分(B)は、ドデカン二酸の脱水線状縮合物であり、
該硬化触媒成分(C)は、熱潜在性カチオン重合開始剤であることを特徴とする熱硬化性粉体塗料組成物。 - 硬化触媒成分(C)が、成分(A)及び成分(B)の合計100重量部に対して、0.01〜5重量部含有してなる請求項1記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
- 成分(C)が芳香族スルホニウム塩である請求項1又は2に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
- 成分(A)の分子内に存在する官能基と成分(B)の分子内に存在する官能基との当量比が、成分(A)の分子内に存在するエポキシ基1当量に対して、成分(B)の分子内に存在するカルボキシル基及び酸無水物(アンヒドリド)基の合計が0.5〜2.0当量となるものである請求項1〜3の何れか一項に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
- 脂肪族多価カルボン酸線状酸無水物の融点が40〜150℃である請求項1〜4の何れか一項に記載の熱硬化性粉体塗料組成物。
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