JP3922660B2 - 車椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、身体障害者等が使用する車椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車椅子は、一般に、車体フレームの前後に左右一対の転動自在な小径前輪と手扱ぎ駆動可能な大径後輪をそれぞれ配設し、車体中央部に設けられる座席に着座した身体障害者等が、左右の大径後輪をその外側に一体に設けられた手扱ぎ用リングにより適宜前後に回転させて移動するようになっている。また、車椅子は、不使用時の収納や乗用車のトランクへの積載等のために、車体フレームを、左右に離間して設けられる側部フレーム枠をX字状に交差して開閉可能に設けられる交差フレーム等により連結し、横方向に折り畳み可能となっている。
【0003】
上記従来の車椅子は、コンパクトに折り畳むことができるように、その座席を撓曲自在なシート部材により形成しており、そのため、座り心地は良くなく、身体障害者等が車椅子に長時間座っていると疲労や苦痛を伴うことがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は上記問題点に鑑み、身体障害者等の車椅子使用者が快適に長時間でも座っていることができる座席を有し、かつ、乗用車のトランクに積載可能に横方向に折り畳み可能な車椅子を提供することを課題としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために、次のようにした。すなわち、本発明の車椅子は、座席を支持する車体フレームの前後に左右一対の前輪と後輪を備え、かつ、左右に離間して設けられる一対の側部フレーム枠を、折り畳み機構を介して近接可能に連結することにより、横方向に折り畳み可能に前記車体フレームを構成した車椅子において、中央部が下方に凹んだ横フレーム部で左右のサイドフレーム部を連結した座席フレーム枠と、この座席フレーム枠の凹部にクッション体を装着したときに、そのクッション体の上面がサイドフレーム部と略同じ高さ、あるいはそれより高い位置となる厚みを有するクッション体とで、前記座席を構成し、前記座席フレーム枠をその左右一側を軸として上下回動可能に側部フレーム枠に取り付け、当該座席を水平状態から略垂直状態まで回動可能に設けたことを特徴とする。
【0006】
また、前記座席を上方回動させると左右の側部フレーム枠が近接すると共に、前記座席を下方回動させると前記左右の側部フレーム枠が離間する連動機構を設けたことを特徴とする。
【0007】
【作用】
この車椅子に身体障害者等が乗車した状態では、その車椅子使用者は座席すなわちクッション体の上面に着座することになる。このクッション体は、中央部が下方に凹んだ横フレーム部で左右のサイドフレーム部を連結した座席フレーム枠の凹部にクッション体を装着したときに、そのクッション体の上面がサイドフレーム部と略同じ高さ、あるいはそれより高い位置となる厚みを有しており、車椅子の移動中等に起きる座席から伝わる振動等を抑えることができる。また、クッションが良いので、長時間でも快適に座っていることができる。
【0008】
車椅子を折り畳むには、まず、座席をその左右一側を基端として他側を上方へ向けて跳ね上げる。この座席は、クッション体を上面に装着する座席フレーム枠を、中央部が下方へ凹んだ横フレーム部で左右のサイドフレーム部を連結し、この凹部に前記クッション体を納め、かつ前記サイドフレーム部の一方側を回動軸心としているので、この座席を略垂直状態にまで回動させることができる。
【0009】
一方、この車椅子の車体フレームは、左右の側部フレーム枠が折り畳み機構により連結されており、この側部フレーム枠が離間した状態から近接した状態、すなわち、横方向に折り畳み可能であるので、前記座席を跳ね上げて略垂直状態に位置させて車体フレームを折り畳めばコンパクトになり、乗用車のトランクにも積載できる。
【0010】
このとき、座席を跳ね上げると車体フレームが折り畳まれ、逆に車体フレームを広げると座席が水平状態にセットされるように連動機構を構成しているので、折り畳みの操作が極めて容易である。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。
【0012】
この車椅子1は、車体フレーム2の前後にそれぞれ、小径前輪3と大径後輪4を備えている。前記小径前輪3は方向転換自在に設けられており、大径後輪4の外側に設けられた手扱ぎ用リング5により当該大径後輪4を適宜前後に回転させて車椅子1を自由に移動させることができるようになっている。
【0013】
前記車体フレーム2は、左右一対の側部フレーム枠6,6を折り畳み機構7により連結し、前記側部フレーム枠6,6が左右方向に離間した状態から近接した折り畳み状態に変換可能に構成してなる。
【0014】
前記側部フレーム枠6は、後方下部に設けられる後下部フレーム部8と、この後下部フレーム部8に下端を固着して上方に向けて伸びる後部フレーム部9と、この後部フレーム部9の中間部前側に後端を固着して前方に向けて伸びる上部フレーム部10と、この上部フレーム部10の前端から前方下方へ向けて伸びる前部フレーム部11と、この前部フレーム部11の後側に前端を固着して後方に向けて伸びると共にその後端側の軸心が前記後下部フレーム部8の軸心と一致するように設けられた前下部フレーム部12と、前記上部フレーム部10の前端側から下方に向けて伸びると共にその下端を前下部フレーム部12に固着した縦フレーム部13とからなる。前記後部フレーム部9の上端には手押し用ハンドル9aが設けられており、介護者がこれを握って車椅子を後方から手押し走行させることができるようになっている。
【0015】
前記左右の側部フレーム枠6,6を連結する折り畳み機構7について説明すると、前記後下部フレーム部8と前下部フレーム部12の両内径部に挿通される軸14回りを回動する回動フレーム15を設け、この回動フレーム15には前リンク16とこの前リンク16よりもやや長い後リンク17のそれぞれの下端部が固着されている。そして、左右の前リンク16,16の先端部同士と、後リンク17,17のそれに対応する中間部同士をそれぞれ枢着し、これら各リンクが左右方向に開閉可能に設けられ、左右の側部フレーム枠6,6を離間、近接可能としている。18は補強杆であり、同一側の前リンク16と後リンク17とを連結し、各リンクのたわみを防止するものである。
【0016】
また、前記後リンク17の先端部と後部フレーム部9の中間部とを支持リンク19により連結し、側部フレーム枠6,6を常に立設状態で安定保持するようになっている。なお、折り畳み機構7は、左右の側部フレーム枠6,6を立設状態で離間、近接可能とするものであれば他の構成であってもよく、本実施例に限られるものではない。
【0017】
前記側部フレーム枠6の縦フレーム部13外側部には、上下方向の筒体20が固着されており、これに小径前輪3の支持軸を差し込んで、当該小径前輪3が取り付けられている。また、後部フレーム部9の中間部適所には軸受部21が設けられ、これに大径後輪4の車軸を取り付けている。さらに、前部フレーム部11の下端には、車椅子使用者が乗車時に足を置くためのステップ22が取り付けられている。
【0018】
23は座席であり、座席フレーム枠24とその上面部に装着されるクッション体25とからなる。前記座席フレーム枠24は、左右両側に前後方向に設けられるサイドフレーム部24a,24aを、中央部が下方に凹んだ横フレーム部24b,24b…で連結して構成している。そして、前記凹部にすっぽりと嵌まり込むようにクッション体25が装着される。このとき、このクッション体25の上面がサイドフレーム部24aと略同じ高さかそれよりも高い位置となるように、クッション体25は十分な厚みHをもって構成される。
【0019】
前記座席23は、その左右一側を前後方向軸心回りに回動可能に側部フレーム枠6に取り付けている。すなわち、一方のサイドフレーム部24aを上部フレーム部10の内側部隣接位置に、ブラケットを介して前後方向軸心回りに回動可能に取り付け、他方のサイドフレーム部24a側が上下方向回動自在に設けられている。そして、前記他方のサイドフレーム部24a側の上部フレーム部10内側部には支持部材26を突設し、この支持部材26により他方のサイドフレーム部24aを受けて、座席23を水平状態で支持するようになっている。
【0020】
27は前記座席23の後部すなわち最後部に設けられる横フレーム部24bの中間部と前記後リンク17,17の枢着点とを連結するリンクであり、これにより座席23を左右一側を軸として他側を上方へ向けて回動させるとそれに連動して側部フレーム枠6,6が近接し、また、側部フレーム枠6,6を離間させるとそれに連動して座席23が下方へ向けて回動する連動機構Aが構成されている。
【0021】
28は背もたれであり、左右の後部フレーム部9,9間にシート部材を張設して形成されている。なお、この背もたれ28を、前記座席23のように厚みを十分に持たせたクッションの良いものとし、それを少なくとも左右に2分割して略中央部で折り畳み可能に構成すれば、さらに快適となる。
【0022】
29は肘掛けであり、側部フレーム枠6の上部フレーム部10の上部側に設けられるL字型フレーム30の上部に取り付けられている。
【0023】
この車椅子1に身体障害者等が乗車した状態では、その使用者は座席23すなわちクッション体25の上面に着座することになる。このクッション体25は十分な厚みHを有しているので、車椅子の移動中等に起きる座席から伝わる振動等を抑えることができる。また、クッションが良いので、長時間でも快適に座っていることができる。
【0024】
前記座席23は、その左右一側を基端として他側を上方へ向けて跳ね上げることができる。なお、前記クッション体25を上面に装着する座席フレーム枠24は、中央部が下方へ凹んだ横フレーム部24bで左右のサイドフレーム部24aを連結し、この凹部に前記クッション体25を納め、かつ前記サイドフレーム部24aの一方側を回動軸心としているので、この座席23を略垂直状態にまで回動させることができる。
【0025】
一方、この車椅子1の車体フレーム2は、左右の側部フレーム枠6,6が折り畳み機構7により連結されており、この側部フレーム枠6,6が離間した状態から近接した状態、すなわち、横方向に折り畳み可能であるので、前記座席23を跳ね上げて略垂直状態に位置させて車体フレーム2を折り畳めば、乗用車のトランクにも積載できる。
【0026】
このとき、座席23を跳ね上げると車体フレーム2が折り畳まれ、逆に車体フレーム2を広げると座席23が水平状態にセットされるように連動機構Aを構成しているので、折り畳みの操作が極めて容易である。
【0027】
【発明の効果】
以上に説明したように、本発明の車椅子によれば、クッションの良い座席を有しているので身体障害者等の車椅子使用者が快適に長時間でも座っていることができ、かつそのような十分な厚みのあるしっかりとした座席を備えながらも横方向にコンパクトに折り畳み可能であるので乗用車のトランクにも積載することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる車椅子の全体側面図
【図2】その正面図
【図3】座席が水平状態である要部の拡大正面図
【図4】座席が略垂直状態である要部の拡大正面図
【符号の説明】
1 車椅子
2 車体フレーム
3 前輪
4 後輪
6 側部フレーム枠
7 折り畳み機構
23 座席
24 座席フレーム枠
25 クッション体
A 連動機構
Claims (2)
- 座席を支持する車体フレームの前後に左右一対の前輪と後輪を備え、かつ、左右に離間して設けられる一対の側部フレーム枠を、折り畳み機構を介して近接可能に連結することにより、横方向に折り畳み可能に前記車体フレームを構成した車椅子において、中央部が下方に凹んだ横フレーム部で左右のサイドフレーム部を連結した座席フレーム枠と、この座席フレーム枠の凹部にクッション体を装着したときに、そのクッション体の上面がサイドフレーム部と略同じ高さ、あるいはそれより高い位置となる厚みを有するクッション体とで、前記座席を構成し、前記座席フレーム枠をその左右一側を軸として上下回動可能に側部フレーム枠に取り付け、当該座席を水平状態から略垂直状態まで回動可能に設けたことを特徴とする車椅子。
- 座席を上方回動させると左右の側部フレーム枠が近接すると共に、前記座席を下方回動させると前記左右の側部フレーム枠が離間する連動機構を設けたことを特徴とする請求項1に記載の車椅子。
Priority Applications (1)
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JP11739097A JP3922660B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 車椅子 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11739097A JP3922660B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | 車椅子 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10272158A JPH10272158A (ja) | 1998-10-13 |
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Family
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Family Applications (1)
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1997
- 1997-03-31 JP JP11739097A patent/JP3922660B2/ja not_active Expired - Fee Related
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