JP3914176B2 - 能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、エンジンの振動の伝達を抑制すべく制御手段でアクチュエータの作動を制御する能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる能動型防振支持装置は、下記特許文献により公知である。
【0003】
この能動型防振支持装置は、アクチュエータに電流を印加して可動部材を振動させることでバネ定数を変化させるもので、そのバネ定数を設定する印加電流のピーク電流値と位相との関係を予めマップとして記憶しておき、エンジン回転数に応じて前記マップからアクチュエータに印加すべき電流のピーク電流値と位相とを求めることで、種々のエンジン回転数領域で能動型防振支持装置に有効な防振機能を発揮させるようになっている。
【0004】
ところで、例えば4サイクル6気筒のエンジンでは、クランクシャフトが2回転する間に6回の爆発が起きるため、その振動周期はクランクアングルで120°周期となる。従来は、各々の振動周期におけるクランクシャフトの回転変動(角加速度)を例えば15°のクランクアングル毎に出力される8個のクランクパルスの時間間隔から算出し、その回転変動から推定したエンジンの振動波形に基づいて、前記振動周期の次の周期において能動型防振支持装置のアクチュエータの作動を制御していた。
【0005】
【特許文献】
特開平7−42783号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、クランクシャフトが1回転する間に含まれる複数の振動周期におけるエンジンの振動波形にはばらつきがあり、前回の振動周期において推定したエンジンの振動波形に基づいて今回の振動周期のアクチュエータの電流波形を制御した場合に、前回の振動周期のエンジンの振動波形と今回の振動周期のアクチュエータの電流波とが整合しなくなり、能動型防振支持装置の防振機能を有効に発揮できなくなる可能性がある。
【0007】
例えば、図8には4サイクル6気筒のエンジンの振動波形を、気筒が1回爆発する120°のクランクアングルを1周期として推定するものが示されている。各振動周期P1,P2,P3にはクランクアングルの15°毎に出力される8個のクランクパルスが含まれており、それら8個のクランクパルスの時間間隔の変動から前記各振動周期P1,P2,P3の振動波形が推定され、その振動波形に基づいて次の振動周期におけるアクチュエータの制御が行われる。
【0008】
この場合、各振動周期P1,P2,P3において推定された振動波形が変動しなければ問題はないが、図8の例ではクランクシャフトの1回転に含まれる3個の振動周期P1,P2,P3の振動波形が異なっており、例えば振動周期P1において推定した振動波形に基づいて振動周期P2におけるアクチュエータの電流波形を決定すると、両者が整合しなくなって能動型防振支持装置の防振機能を有効に発揮できなくなる可能性がある。
【0009】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、クランクシャフトが1回転する間のエンジン振動の変動を補償して能動型防振支持装置に有効な防振機能を発揮させることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、エンジンの振動の伝達を抑制すべく制御手段でアクチュエータの作動を制御する能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置において、前記制御手段は、エンジンのクランクシャフトの回転周期に含まれる振動波形が異なる複数の振動周期における振幅の平均値を算出し、その平均値に基づいてアクチュエータの作動を制御することを特徴とする、能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置が提案される。
【0011】
上記構成によれば、エンジンのクランクシャフトの回転周期に含まれる振動波形が異なる複数の振動周期における振幅の平均値に基づいてアクチュエータの作動を制御するので、個々の振動周期における振幅と、その振幅に基いて実行されるアクチュエータの作動の制御との間の時間遅れの影響を排除し、能動型防振支持装置に有効な防振機能を発揮させることができる。
【0012】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記制御手段は、前記振幅の平均値に基づいてエンジンの振動状態を推定し、その推定したエンジンの振動状態に基づいてアクチュエータの作動を制御することを特徴とする能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置が提案される。
【0013】
上記構成によれば、複数の振動周期における振幅の平均値から推定したエンジンの振動状態に基づいてアクチュエータの作動を制御するので、能動型防振支持装置に一層有効な防振機能を発揮させることができる。
【0014】
また請求項3に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記複数の振動周期の総和は、クランクシャフトの回転周期の整数倍であることを特徴とする、能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置が提案される。
【0015】
上記構成によれば、振動状態の平均値を算出するための複数の振動周期の総和を、クランクシャフトの回転周期の整数倍に設定したので、クランクシャフトの回転周期を一周期とする振動状態の変動を効果的に補償してアクチュエータの作動を一層的確に制御することができる。
【0016】
尚、実施例の電子制御ユニットUは本発明の制御手段に対応する。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、添付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
図1〜図7は本発明の一実施例を示すもので、図1は能動型防振支持装置の縦断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図1の3−3線断面図、図4は図1の要部拡大図、図5は実施例の作用を説明するタイムチャート、図6はエンジン振動推定ルーチンのフローチャート、図7は図6のフローチャートのステップS8のサブルーチンを示すフローチャートである。
【0018】
図1〜図4に示す能動型防振支持装置Mは、自動車のエンジンE(本実施例で4サイクル6気筒エンジン)を車体フレームFに弾性的に支持するためのもので、エンジンEのクランクシャフトの回転に伴って出力されるクランクパルスを検出するクランクパルスセンサSaが接続された電子制御ユニットUによって制御される。このクランクパルスはクランクシャフトの1回転につき24回、つまりクランクアングルの15°毎に1回出力される。
【0019】
能動型防振支持装置Mは軸線Lに関して実質的に軸対称な構造を有するもので、エンジンEに結合される板状の取付ブラケット11に溶接した内筒12と、この内筒12の外周に同軸に配置された外筒13とを備えており、内筒12および外筒13には厚肉のゴムで形成した第1弾性体14の上端および下端がそれぞれが加硫接着により接合される。中央に開口15bを有する円板状の第1オリフィス形成部材15と、上面が開放した樋状の断面を有して環状に形成された第2オリフィス形成部材16と、同じく上面が開放した樋状の断面を有して環状に形成された第3オリフィス形成部材17とが溶接により一体化されており、第1オリフィス形成部材15および第2オリフィス形成部材16の外周部が重ね合わされて前記外筒13の下部に設けたカシメ固定部13aに固定される。
【0020】
膜状のゴムで形成された第2弾性体18の外周が第3オリフィス形成部材17の内周に加硫接着により固定されており、この第2弾性体18の内周に加硫接着により固定されたキャップ部材19が、軸線L上に上下動可能に配置された可動部材20に圧入により固定される。外筒13のカシメ固定部13aに固定されたリング部材21にダイヤフラム22の外周が加硫接着により固定されており、このダイヤフラム22の内周に加硫接着により固定されたキャップ部材23が前記可動部材20に圧入により固定される。
【0021】
しかして、第1弾性体14および第2弾性体18間に液体が封入された第1液室24が区画され、第2弾性体18およびダイヤフラム22間に液体が封入された第2液室25が区画される。そして第1液室24および第2液室25は、第1〜第3オリフィス形成部材15,16,17により形成された上部オリフィス26および下部オリフィス27によって相互に連通する。
【0022】
上部オリフィス26は第1オリフィス形成部材15および第2オリフィス形成部材16間に形成される環状の通路であって、その一部に設けられた隔壁26aの一側において第1オリフィス形成部材15に連通孔15aが形成され、前記隔壁26aの他側において第2オリフィス形成部材16に連通孔16aが形成される。従って、上部オリフィス26は、第1オリフィス形成部材15の連通孔15aから第2オリフィス形成部材16の連通孔16aまでの略1周の範囲に亘って形成される(図2参照)。
【0023】
下部オリフィス27は第2オリフィス形成部材16および第3オリフィス形成部材17間に形成される環状の通路であって、その一部に設けられた隔壁27aの一側において第2オリフィス形成部材16に前記連通孔16aが形成され、前記隔壁27aの他側において第3オリフィス形成部材17に連通孔17aが形成される。従って、下部オリフィス27は、第2オリフィス形成部材16の連通孔16aから第3オリフィス形成部材17の連通孔17aまでの略1周の範囲に亘って形成される(図3参照)。
【0024】
以上のことから、第1液室24および第2液室25は、直列に接続された上部オリフィス26および下部オリフィス27によって相互に連通する。
【0025】
外筒13のカシメ固定部13aには、能動型防振支持装置Mを車体フレームFに固定するための環状の取付ブラケット28が固定されており、この取付ブラケット28の下面に前記可動部材20を駆動するためのアクチュエータ29の外郭を構成するアクチュエータハウジング30が溶接される。
【0026】
アクチュエータハウジング30にはヨーク32が固定されており、ボビン33に巻き付けられたコイル34がアクチュエータハウジング30およびヨーク32に囲まれた空間に収納される。環状のコイル34の内周に嵌合するヨーク32の筒状部32aに有底円筒状のベアリング36が嵌合する。コイル34の上面に対向する円板状のアーマチュア38がアクチュエータハウジング30の内周面に摺動自在に支持されており、このアーマチュア38の内周に形成した段部38aがベアリング36の上部に係合する。アーマチュア38はボビン33の上面との間に配置した皿ばね42で上方に付勢され、アクチュエータハウジング30に設けた係止部30aに係合して位置決めされる。
【0027】
ベアリング36の内周に円筒状のスライダ43が摺動自在に嵌合しており、可動部材20から下方に延びる軸部20aが、ベアリング36の上底部を緩く貫通してスライダ43の内部に固定したボス44に接続される。ベアリング36の上底部とスライダ43との間にコイルばね41が配置されており、このコイルばね41でベアリング36は上向きに付勢され、スライダ43は下向きに付勢される。
【0028】
アクチュエータ29のコイル34が消磁状態にあるとき、ベアリング36に摺動自在に支持されたスライダ43にはコイルばね41の弾発力が下向きに作用するとともに、ヨーク32の底面との間に配置したコイルばね45の弾発力が上向きに作用しており、スライダ43は両コイルばね41,45の弾発力が釣り合う位置に停止する。この状態からコイル34を励磁してアーマチュア38を下方に吸引すると、段部38aに押されてベアリング36が下方に摺動することによりコイルばね41が圧縮される。その結果、コイルばね41の弾発力が増加してコイルばね45を圧縮しながらスライダ43が下降するため、スライダ43にボス44および軸部20aを介して接続された可動部材20が下降し、可動部材20に接続された第2弾性体18が下方に変形して第1液室24の容積が増加する。逆にコイル34を消磁すると、可動部材20が上昇して第2弾性体18が上方に変形し、第1液室24の容積が減少する。
【0029】
しかして、自動車の走行中に低周波数のエンジンシェイク振動が発生したとき、エンジンEから入力される荷重で第1弾性体14が変形して第1液室24の容積が変化すると、上部オリフィス26および下部オリフィス27を介して接続された第1液室24および第2液室25間で液体が行き来する。第1液室24の容積が拡大・縮小すると、それに応じて第2液室25の容積が縮小・拡大するが、この第2液室25の容積変化はダイヤフラム22の弾性変形により吸収される。このとき、上部オリフィス26および下部オリフィス27の形状および寸法、並びに第1弾性体14のばね定数は前記エンジンシェイク振動の周波数領域で低ばね定数および高減衰力を示すように設定されているため、エンジンEから車体フレームFに伝達される振動を効果的に低減することができる。
【0030】
尚、上記エンジンシェイク振動の周波数領域では、アクチュエータ29は非作動状態に保たれる。
【0031】
前記エンジンシェイク振動よりも周波数の高い振動、即ちエンジンEのクランクシャフトの回転に起因するアイドル時の振動や気筒休止時の振動が発生した場合、第1液室24および第2液室25を接続する上部オリフィス26および下部オリフィス27内の液体はスティック状態になって防振機能を発揮できなくなるため、アクチュエータ29を駆動して防振機能を発揮させる。
【0032】
能動型防振支持装置Mのアクチュエータ29を作動させて防振機能を発揮させるべく、電子制御ユニットUはクランクパルスセンサSaからの信号に基づいてコイル34に対する通電を制御する。
【0033】
次に、図5のタイムチャートに基づいて、能動型防振支持装置Mの制御の内容を説明する。
【0034】
本実施例の4サイクル6気筒のエンジンEでは、クランクシャフトが2回転する間に6回の爆発が起きるため、その振動周期はクランクアングルで120°周期となり、クランクシャフトの1回転に3個の振動周期P1,P2,P3が含まれる。3個の振動周期P1,P2,P3の振動波形は各々異なっているが、クランクシャフトの1回転を単位とする振動波形は同一となる。
【0035】
そこで、クランクシャフトの1回転に含まれる3個の振動周期P1,P2,P3の振動波形をそれぞれ推定し、それら3個の推定振動波形の平均値を、能動型防振支持装置Mのアクチュエータ29を制御するためのエンジンEの振動波形として採用する。このように、各振動周期P1,P2,P3の推定振動波形の平均値に基づいて、次の振動周期における能動型防振支持装置Mのアクチュエータ29の電流波形を制御するので、前記推定振動波形の平均値とアクチュエータ29の電流波形とを整合させ、能動型防振支持装置Mに有効な防振機能を発揮させることができる。
【0036】
次に、上記作用を図6および図7のフローチャートに基づいて更に詳細に説明する。
【0037】
先ず図6のフローチャートのステップS1でクランクパルスセンサSaから各振動周期P1,P2,P3…においてクランクアングルの15°毎に出力されるクランクパルスを読み込み、ステップS2でクランクパルスの時間間隔を演算する。続くステップS3で前記15°のクランクアングルをクランクパルスの時間間隔で除算することでクランク角速度ωを演算し、ステップS4でクランク角速度ωを時間微分してクランク角加速度dω/dtを演算する。続くステップS5でエンジンEのクランクシャフト回りのトルクTqを、エンジンEのクランクシャフト回りの慣性モーメントをIとして、
Tq=I×dω/dt
により演算する。このトルクTqはクランクシャフトが一定の角速度ωで回転していると仮定すると0になるが、膨張行程ではピストンの加速により角速度ωが増加し、圧縮行程ではピストンの減速により角速度ωが減少してクランク角加速度dω/dtが発生するため、そのクランク角加速度dω/dtに比例したトルクTqが発生することになる。
【0038】
続くステップS6で時間的に隣接するトルクの最大値および最小値を判定し、ステップS7で各振動周期P1,P2,P3…毎に、トルクの最大値および最小値の偏差、つまりトルクの変動量としてエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mの位置における振幅を演算する。
【0039】
以上のようにして各振動周期P1,P2,P3…の各々におけるエンジン振動の振幅が演算されると、ステップS8でクランクシャフトの回転数の整数倍(実施例ではクランクシャフトの1回転)に含まれる振動周期P1,P2,P3…におけるエンジン振動の振幅の移動平均を演算する。本実施例ではクランクシャフトの1回転に3個の振動周期P1,P2,P3が含まれるため、振動周期P1,P2,P3の振幅の平均値、振動周期P2,P3,P1の振幅の平均値、振動周期P3,P1,P2の振幅の平均値…(移動平均振幅)が順次演算される。
【0040】
次に、上記ステップS8のサブルーチンを、図7のフローチャートに基づいて説明する。
【0041】
先ずステップS11で前々回の振動周期の振幅を保存し、ステップS12で前回の振動周期の振幅を保存し、ステップS13で今回の振動周期の振幅を保存する。続くステップS14で前々回、前回および今回の振動周期の振幅を加算して振幅の加算値Sを算出し、ステップS15で前記加算値Sを、加算した振動周期の数であるN(=3)で除算して移動平均振幅=S/Nを算出する。
【0042】
尚、実施例ではクランクシャフトの1回転についての移動平均振幅を算出しているが、クランクシャフトの2回転についての移動平均振幅を算出する場合には加算する振動周期の数Nは6になり、クランクシャフトの3回転についての移動平均振幅を算出する場合には加算する振動周期の数Nは9になり、クランクシャフトのX回転についての移動平均振幅を算出する場合には加算する振動周期の数Nは3・Xになる。
【0043】
また4サイクル8気筒のエンジンEでは、クランクシャフトの1回転に含まれる振動周期は4個になるため、クランクシャフトのX回転についての移動平均振幅を算出する場合に加算する振動周期の数は4・Xになり、4サイクル10気筒のエンジンEでは、クランクシャフトの1回転に含まれる振動周期は5個になるため、クランクシャフトのX回転についての移動平均振幅を算出する場合に加算する振動周期の数は5・Xになる。
【0044】
そして、図6のフローチャートのステップS9で、移動平均振幅に基づいて能動型防振支持装置Mのアクチュエータ29のコイル34に印加する電流のデューティ波形およびタイミング(位相)を決定する。
【0045】
以上のように、クランクシャフトの1回転に含まれる3個の振動周期P1,P2,P3の各々について推定したエンジン振動の振幅の平均値を算出し、その平均値に基づいて能動型防振支持装置Mのアクチュエータ29の作動を制御するので、個々の振動周期P1,P2,P3において推定した振幅と、その振幅に基づくアクチュエータ29の作動の制御との間の時間遅れの影響を排除し、能動型防振支持装置Mに有効な防振機能を発揮させることができる。特に、振幅の平均値を算出するための複数の振動周期P1,P2,P3の総和を、クランクシャフトの回転周期の整数倍(実施例では1倍)に設定したので、クランクシャフトの回転周期を一周期とする振幅の変動を効果的に補償することができる。
【0046】
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0047】
例えば、能動型防振支持装置Mは液体を封入したものに限定されず、ピエゾ素子を用いたものであっても良い。
【0048】
また実施例は6気筒のエンジンEを例示したが、本発明は任意の多気筒エンジンに適用することができ、クランクパルスの間隔もクランクアングルの15°に限定されるものではない。
【0049】
また実施例では自動車のエンジンEを支持する能動型防振支持装置Mを例示したが、本発明の能動型防振支持装置Mは自動車以外のエンジンの支持に適用することができる。
【0050】
また実施例ではクランクシャフトの1回転についての移動平均振幅を算出しているが、クランクシャフトの整数回の回転についての移動平均振幅を算出しても良い。
【0051】
【発明の効果】
以上のように請求項1に記載された発明によれば、エンジンのクランクシャフトの回転周期に含まれる振動波形が異なる複数の振動周期における振幅の平均値に基づいてアクチュエータの作動を制御するので、個々の振動周期における振幅と、その振幅に基いて実行されるアクチュエータの作動の制御との間の時間遅れの影響を排除し、能動型防振支持装置に有効な防振機能を発揮させることができる。
【0052】
また請求項2に記載された発明によれば、複数の振動周期における振幅の平均値から推定したエンジンの振動状態に基づいてアクチュエータの作動を制御するので、能動型防振支持装置に一層有効な防振機能を発揮させることができる。
【0053】
また請求項3に記載された発明によれば、振動状態の平均値を算出するための複数の振動周期の総和を、クランクシャフトの回転周期の整数倍に設定したので、クランクシャフトの回転周期を一周期とする振動状態の変動を効果的に補償してアクチュエータの作動を一層的確に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 能動型防振支持装置の縦断面図
【図2】 図1の2−2線断面図
【図3】 図1の3−3線断面図
【図4】 図1の要部拡大図
【図5】 実施例の作用を説明するタイムチャート
【図6】 エンジン振動推定ルーチンのフローチャート
【図7】 図6のフローチャートのステップS8のサブルーチンを示すフローチャート
【図8】 従来例の作用を説明するタイムチャート
【符号の説明】
E エンジン
P1 振動周期
P2 振動周期
P3 振動周期
U 電子制御ユニット(制御手段)
29 アクチュエータ
Claims (3)
- エンジン(E)の振動の伝達を抑制すべく制御手段(U)でアクチュエータ(29)の作動を制御する能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置において、
前記制御手段(U)は、エンジン(E)のクランクシャフトの回転周期に含まれる振動波形が異なる複数の振動周期(P1,P2,P3)における振幅の平均値を算出し、その平均値に基づいてアクチュエータ(29)の作動を制御することを特徴とする、能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置。 - 前記制御手段(U)は、前記振幅の平均値に基づいてエンジン(E)の振動状態を推定し、その推定したエンジン(E)の振動状態に基づいてアクチュエータ(29)の作動を制御することを特徴とする、請求項1に記載の能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置。
- 前記複数の振動周期(P1,P2,P3)の総和は、クランクシャフトの回転周期の整数倍であることを特徴とする、請求項1に記載の能動型防振支持装置のアクチュエータ駆動制御装置。
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