JP3912722B2 - 皮膚外用剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は皮膚外用剤に関する。さらに詳しくは使用感触及び保湿効果に優れた皮膚外用剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
健康な皮膚を保つためには水分の保持が不可欠であり、保湿を目的とした皮膚外用剤が数多く開発されている。また、皮膚外用剤の使用感としては、なめらかさがあり、べたつき感のないものが求められている。
【0003】
保湿剤に関する研究も盛んに行なわれ、今日では、皮膚外用剤に、有機酸塩類、多価アルコール類、水溶性高分子類等の保湿剤が配合されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これらの保湿剤は、保湿効果をさらに上げるためには配合量を増やさなければならず、その結果、系が不安定になったり、使用性が悪くなったり、また、皮膚に適用した場合、皮脂によりはじかれ、肌へのなじみが悪くなる等の解決すべき課題があった。
【0005】
本発明者等は、上述の課題に鑑み鋭意研究した結果、皮膚外用剤に特定の油分を配合すると、使用感触、特になめらかさに優れ、べたつき感がなく、且つ保湿効果に優れた皮膚外用剤が得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明の目的は使用感触及び保湿効果に優れた皮膚外用剤を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、25℃で水に1〜15重量%溶解し、かつトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに5重量%以上溶解する25℃で液状の油分を含有する皮膚外用剤において、前記油分が、ポリオキシエチレン(9モル)カプリン酸グリセリンであり、さらに保湿剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供するものである。
【0008】
また、本発明は、25℃で水に1〜15重量%溶解し、かつトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに5重量%以上溶解する25℃で液状の油分を含有する皮膚外用剤において、前記分が、コハク酸ジネオペンチルであり、さらに保湿剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成について詳述する。
【0014】
本発明に使用する油分は25℃で液体の水溶性油分である。水に対しては1〜15重量%溶解しなければならず、かつ、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに対しては5重量%以上溶解しなければならない。25℃で固体状であると目的とする使用感触が得られない。また、水に対して15重量%を超えて溶解するか、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに対して5重量%未満しか溶解しない油分であると、親油性に乏しく使用感触、特になめらか感がなくなってくる。
【0015】
「請求項1の発明」
上記条件を満足する油分として、好ましくは、ポリオキシエチレン(9モル)カプリン酸グリセリンが挙げられる。
【0021】
「請求項2の発明」
上記条件を満足する油分として、好ましくは、コハク酸ジネオペンチルが挙げられる。
【0030】
上記油分の配合量は特に限定しないが、好ましくは皮膚外用剤全量に対して0.001〜20.0重量%、更に好ましくは0.1〜10.0重量%である。0.001重量%未満であると本発明の効果は少なく、20.0重量%を超えて配合すると使用後、べたつきを感じるようになってくる。
【0031】
本発明の皮膚外用剤には、上記した必須成分の他に通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えばアボガド油、パーム油、ピーナッツ油、牛脂、コメヌカ油、ホホバ油、カルナバロウ、ラノリン、流動パラフィン、オキシステアリン酸、パルミチン酸イソステアリル、イソステアリルアルコール等の油分;グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール、ピロリドンカルボン酸およびその塩、コラーゲン、ヒアルロン酸およびその塩、コンドロイチン硫酸およびその塩等の保湿剤;パラジメチルアミノ安息香酸アミル、ウロカニン酸、ジイソプロピルケイヒ酸エチル等の紫外線吸収剤;エリソルビン酸ナトリウム、セージエキス、パラヒドロキシアニソール等の酸化防止剤;ステアリル硫酸ナトリウム、セチル硫酸ジエタノールアミン、セチルトリメチルアンモニウムサッカリン、イソステアリン酸ポリエチレングリコール、アラキン酸グリセリル等の界面活性剤;エチルパラベン、ブチルパラベン等の防腐剤;オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキョウ、オトギリソウ、オノニス、ローズマリー、ニンニク等の抽出物;グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等の消炎剤;胎盤抽出物、グルタチオン、ユキノシタ抽出物、アスコルビン酸誘導体等の美白剤;ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体、各種アミノ酸類等の賦活剤;γ−オリザノール、デキストラン硫酸ナトリウム等の血行促進剤;硫黄、チアントール等の抗脂漏剤;香料;水;アルコール;カルボキシビニルポリマー等の増粘剤;チタンイエロー、カーサミン、ベニバナ赤等の色剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
【0032】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水−油二層系、水−油−粉末三層系等、どのような剤型でも構わない。また、本発明の皮膚外用剤の用途も任意であり、化粧水、乳液、クリーム、パック等のフェーシャル化粧料やファンデーション、ボディー化粧料、軟膏等に用いることができる。
【0033】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、配合量は特に指定がない限り重量%で示す。
【0034】
実施例で用いた液状油分について、水と2−エチルヘキサン酸グリセリルの溶解性を以下により確認した。
「溶解性試験」
室温(25℃)で混合攪拌したサンプルを50mlのサンプル管(ガラス瓶)に充填し、その溶解性(外観)を肉眼により確認して溶解性を評価した。
○:溶解する(透明である)
×:溶解しない(白濁または油滴が認められる)
【0035】
「保湿性評価:コンダクタンス測定による試験法」
10名のパネルの前腕部を用い、塗布前と塗布後30分、60分後、120分後の皮膚コンダクタンスを測定し、この変化率から保湿効果を評価した。尚、皮膚コンダクタンスの変化率は、以下の式(1)により求められ、角層の吸水性、水分保持能への影響を検討することが可能であり、この変化率が小さいと、角層水分の増加があり、保湿効果が高いと評価できる。
(式1)
コンダクタンス変化率=(塗布前のコンダクタンス)/(塗布後のコンダクタンス)
【0036】
「コンダクタンス測定による試験」の評価基準は以下の通りである。
◎…パネル10名のコンダクタンス変化率の平均:0以上0.1未満
○…パネル10名のコンダクタンス変化率の平均:0.1以上0.2未満
△…パネル10名のコンダクタンス変化率の平均:0.2以上0.5未満
×…パネル10名のコンダクタンス変化率の平均:0.5以上
【0037】
使用性評価
「肌へのなじみの良さ」
使用中の肌のなめらかさを専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が使用中肌へのなじみが良いと認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が使用中肌へのなじみが良いと認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が使用中肌へのなじみが良いと認めた。
×…専門パネラー3名未満が使用中肌へのなじみが良いと認めた。
【0038】
「肌のなめらかさ」
使用中及び使用後の肌のなめらかさを専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が使用中及び使用後肌がなめらかであると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が使用中及び使用後肌がなめらかであると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が使用中及び使用後肌がなめらかであると認めた。
×…専門パネラー3名未満が使用中及び使用後肌がなめらかであると認めた。
【0039】
「肌へのべたつきのなさ」
使用中、及び使用後の肌へのべたつきのなさを専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が使用中及び使用後肌へのべたつきがないと認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が使用中及び使用後肌へのべたつきがないと認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が使用中及び使用後肌へのべたつきがないと認めた。
×…専門パネラー3名未満が使用中及び使用後肌へのべたつきがないと認めた。
【0040】
「保湿効果感」
使用120分後の保湿効果感の有無を専門パネラー10名により実使用試験を実施した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が保湿効果感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が保湿効果感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が保湿効果感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が保湿効果感があると認めた。
【0041】
「請求項1の発明」
「表1」〜「表3」に示す液状油分について溶解性を試験した。「表4」に示す実施例及び比較例について、コンダクタンス変化率を求めた。「表5」に示す実施例(化粧水)について使用性を評価した。結果を各表に示した。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
「表1」〜「表3」から、ポリオキシエチレン(9モル)カプリン酸グリセリンは、本発明に用いる液状油分の要件に適合する溶解性を有することが分かる。
【0046】
【表4】
【0047】
「表4」から、ポリオキシエチレン(9モル)カプリン酸グリセリンと保湿剤とを組み合わせると相乗的に保湿効果が上がることが分かる。
【0048】
【表5】
【0051】
「表5」から、本発明に用いる特定の液状油分を配合した化粧水は使用性に優れていることが分かる。
【0052】
以下に本発明のその他の実施例を挙げる。
【0056】
実施例14 ファンデーション
A.油相
セタノール 3.5 重量%
脱臭ラノリン 4.0
ホホバ油 5.0
ワセリン 2.0
スクワラン 6.0
ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.5
POE(60)硬化ヒマシ油 1.5
POE(20)セチルエーテル 1.0
ピリドキシントリパルミテート 0.1
防腐剤 適量
香料 0.3
B.水相
プロピレングリコール 10.0
ポリオキシエチレン(9モル)カプリン酸グリセリン 2.0
調合粉末 12.0
エチレンジアミンヒドロキシエチル3酢酸3ナトリウム 1.0
精製水 残余
(製法及び評価)
実施例11に準じてファンデーションを得た。得られたファンデーションは、なめらかさに優れ、べたつき感がなく、且つ保湿効果が持続した。
【0058】
「請求項2の発明」
「表8」〜「表10」に示す液状油分について溶解性を試験した。「表13」に示す実施例(化粧水)について使用性を評価した。結果を各表に示した。
【0059】
【表8】
【0060】
【表9】
【0061】
【表10】
【0062】
「表8」〜「表10」から、コハク酸ジネオペンチルは、本発明に用いる液状油分の要件に適合する溶解性を有することが分かる。
【0066】
【表13】
【0068】
「表13」から、本発明に用いる特定の液状油分を配合した化粧水は使用性に優れていることが分かる。
【0069】
以下に本発明のその他の実施例を挙げる。
【0074】
実施例33 ファンデーション
A.油相
セタノール 3.5 重量%
脱臭ラノリン 4.0
ホホバ油 5.0
ワセリン 2.0
スクワラン 6.0
ステアリン酸モノグリセリンエステル 2.5
POE(60)硬化ヒマシ油 1.5
POE(20)セチルエーテル 1.0
ピリドキシントリパルミテート 0.1
防腐剤 適量
香料 0.3
B.水相
プロピレングリコール 10.0
コハク酸ジネオペンチル 2.0
調合粉末 12.0
エチレンジアミンヒドロキシエチル3酢酸3ナトリウム 1.0
精製水 残余
(製法及び評価)
実施例29に準じてファンデーションを得た。得られたファンデーションは、なめらかさに優れ、べたつき感がなく、且つ保湿効果が持続した。
【0078】
【発明の効果】
本発明の皮膚外用剤は、使用感触、特になめらかさに優れ、べたつき感がなく、且つ保湿効果の持続性を有するものである。
Claims (2)
- 25℃で水に1〜15重量%溶解し、かつトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに5重量%以上溶解する25℃で液状の油分を含有する皮膚外用剤において、前記油分が、ポリオキシエチレン(9モル)カプリン酸グリセリンであり、さらに保湿剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
- 25℃で水に1〜15重量%溶解し、かつトリ2−エチルヘキサン酸グリセリルに5重量%以上溶解する25℃で液状の油分を含有する皮膚外用剤において、前記油分が、コハク酸ジネオペンチルであり、さらに保湿剤を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
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