JP3912594B2 - 静電潜像現像用キャリア - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、二成分現像方式を用いるプリンタ、複写機、ファクシミリなどの印刷装置、現像装置に用いる静電潜像現像用キャリアに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いるプリント装置は急速にカラー化が進み、また、そのプリント速度の高速化が進んでいる。
従来から、トナーとキャリアからなる現像剤を用いる二成分現像法は高速なプリントに適し、非磁性トナーの取り扱いが容易なため、フルカラー画像の形成装置にも広く利用されてきた。しかし、フルカラープリント装置は装置内に複数の現像装置を備える必要があり、モノクロ機に比べ、装置が大型化し、重量が大きくなるなどの欠点があった。特に二成分現像装置は、一成分現像装置に比べ、トナーとは別にキャリアの収納容積と、その攪拌機構を具備する必要があり、現像ユニットの小型化のためには、現像剤量の少量化が必須であった。
【0003】
現像剤中のキャリアは現像装置内でトナーとの摩擦、スリーブやブレードなどの摺擦部材、規制部材やスクリュー、パドルなどの攪拌搬送部材により機械的な摩擦や衝撃を繰り返し受けている。
現像剤を少量化することは、プリント枚数あたりのトナーとキャリアの摩擦機会の増加、キャリアが現像部を通過する頻度の増加を意味し、結果として現像ユニット内のキャリアの疲労が急速に進行する。
プリント速度の高速化も相まって、キャリアの耐久性、特にキャリア表層の皮膜の高い耐磨耗性とトナーや他部材によるキャリア表面の汚染(スペント)を防ぎながら、長期間に渡って、速やかな帯電性を維持することが以前にもまして重要になってきている。
【0004】
最近のデジタル複写機やプリンタでは負極性に帯電した感光体を用いて、ネガポジ現像を行う場合が多く、負極性に帯電したトナーを用いる場合が多い。トナーを負に帯電するために、キャリア皮膜中に窒素を含有する有機化合物を含有させる例が多く知られている。たとえば、シリコーン樹脂にアミノシランカップリング剤を混合して用いる例や、ある種の酸アミドを内添する例、或いはメラミン、グアナミンなどのアミノ化合物やその誘導体を内添する例などである。
【0005】
こうした窒素含有有機材料をコート材料として用いる例として従来からポリアミドを用いる例が、特開昭49−115549号公報に開示されている。
しかし、ナイロンに代表されるポリアミド樹脂は一般にトナーに負帯電性を付与するには、好ましい材料であるが、その多くが溶媒溶解性に乏しいため、溶液を塗布するなど簡易な方法でキャリアのコート層を形成することが困難であったり、ポリアミド自体の耐磨耗性が十分でないなどの問題点もあった。
【0006】
そこで、ポリアミドを溶媒可溶化して用いる例として、アミド結合の水素原子をアルコキシ化、アルコキシアルキル化して用いる例が、特開平1−118150号公報(特許文献1)、特開平1−118151号公報、特開平4−188160号公報、特開2001−201894号公報、特許第3044390号公報、そうしたポリアミドを主鎖に有するグラフトポリマーを用いる例が特許第2835971号公報、特許第2835972号公報に開示されているが、主成分にこうしたポリアミドを用いた皮膜は皮膜の耐磨耗性において十分とはいえなかった。
【0007】
また、ポリアミドの課題として比較的吸湿性が高く、帯電量の環境変動が大きいことが上げられる。これは主鎖のNHが強い親水性を示すためと考えられ、同様の理由から、皮膜に対するトナーの付着性が高く、いわゆるスペントが生じやすいという不具合もあった。そうした不具合の改善策として、芳香族性のポリアミドを用いる例が特開平7−248653号公報、に開示されているが一般に芳香族性のポリアミドは脂肪族性ポリアミドにもまして溶解する溶媒が限られることや、融点が非常に高く、分解温度に接近しているため、溶融塗布することも、困難な場合が多く実用性に乏しい。
【0008】
【特許文献1】
特開平1−118150号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記の課題を解決し、キャリア皮膜の耐久性を向上することにより、長期間の使用に耐えるキャリアを提供することである。
また、本発明の目的は、帯電の立ち上がり性に優れ、少量の現像剤量でも高速な帯電性が得られるキャリアを提供することである。
さらに、本発明の目的は、温度湿度による帯電量変化がなく、信頼性に優れたキャリアを提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、キャリアの皮膜について鋭意検討を行ったところ、特定の皮膜を形成することによって、上記の課題を解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明によれば、下記(1)〜(21)の静電潜像現像用キャリアが提供される。
(1)磁性を有する球形の微粉体表面に皮膜を有する静電潜像現像用キャリアであって、該皮膜がシラノール基を有するシリコーン樹脂と、アルコキシアルキル化ポリアミドの混合物の縮合物、および金属酸化物粒子からなる皮膜であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
(2)前記ポリアミドが主鎖に芳香族環を有することを特徴とする前記(1)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(3)前記ポリアミドが側鎖にメチル基を有することを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(4)前記ポリアミドがメトキシ化率20%〜70%のN−メトキシメチル化ポリアミドであることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(5)前記シリコーン樹脂がシラノール縮合性のストレートシリコーンであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(6)前記皮膜中の前記ポリアミド含有率が50重量%〜10重量%の範囲であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(7)前記皮膜中に触媒として不飽和カルボン酸を含有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(8)前記皮膜中にメチロールメラミンによる架橋成分を有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(9)前記皮膜の金属酸化物粒子が、シリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(10)前記金属酸化物粒子の親水性がメタノール疎水化度50%以下の微粒子であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(11)前記金属酸化物粒子の粒径が前記皮膜の平均厚みの1/2以下であることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(12)前記金属酸化物粒子の粒径が0.01μm〜0.2μmであることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(13)前記金属酸化物粒子が異なる粒径分布を有する2種類の微粒子からなることを特徴とする前記(1)〜(12)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(14)前記皮膜中の金属酸化物粒子の含有量が皮膜重量の5重量%〜70重量%であることを特徴とする前記(1)〜(13)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(15)前記皮膜中にアミノシランカップリング剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(14)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(16)前記アミノシランカップリング剤が下記構造式で表される化合物であることを特徴とする前記(15)に記載の静電潜像現像用キャリア。
【化2】
(17)前記皮膜中に低抵抗物質を含有することを特徴とする前記(1)〜(16)のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
(18)前記低抵抗物質が導電性カーボンであることを特徴とする前記(17)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(19)前記導電性材料として、抵抗値の異なる2種類の材料を用いることを特徴とする前記(17)又は(18)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(20)前記導電性材料がカーボンブラックと酸化チタンの混合物であることを特徴とする前記(19)に記載の静電潜像現像用キャリア。
(21)前記導電材料がカーボンブラックと導電処理が施された酸化チタンであることを特徴とする前記(20)に記載の静電潜像現像用キャリア。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について述べる。
本発明におけるキャリアの皮膜は次のようにして形成される。
ポリアミドとしては、主鎖のNHの水素原子をアルコキシアルキル化した、溶媒可溶化ポリアミドを用い、該ポリアミドの低級アルコール溶液と、シラノール基を有する及び/又はシラノール基を生成するアルコキシや、オキシムを有するシリコーンの非水系溶液とを混合したコート液を磁性を有する実質的に球形のキャリア芯材に塗布、乾燥して皮膜を形成する。
本発明は、キャリア芯材に該ポリアミドを含有する皮膜を形成させることにより、トナーを負に帯電させるための優れた特性と高速な帯電の立ち上がり性とを付与しうると共に、シリコーン樹脂を併用することによりポリアミドに固有の対温湿度変動を低減させ、さらにまた金属酸化物粒子を含有させることによる補強効果によって皮膜耐摩耗性を向上させることができる。
【0013】
ここでいうポリアミドとは、一般的な、ジカルボン酸成分とジアミン成分から得られるものや、各種のラクタムの開環縮重合によりなるポリアミドなどであり、本発明は該ポリアミドのアルコキシアルキル化物を用いる。
本発明において、ポリアミドのアルコキシアルキル化、例えば、メトキシメチル化の方法としては、蟻酸のようなポリアミドを溶解する酸溶媒中、メタノールなどの低級アルコールの存在下で、ホルマリンと反応させることにより行う。
【0014】
こうして得られたメトキシメチル化ポリアミド等のアルコキシアルキル化ポリアミドはその反応比に応じてメタノールなど低級アルコールに対する溶解性が向上するため、キャリア表面に皮膜形成することが容易になる。また、該メトキシメチル化ポリアミドはゴム弾性を示し、適当な酸触媒の存在下で加熱することにより、自己のメトキシ基の縮合により、架橋し、硬度が増す。これをシラノール縮合性シリコーンと混合して、キャリア皮膜として塗布し、加熱することにより、シリコーンと、ポリアミド間の架橋構造を有する皮膜が形成される。
【0015】
本発明ではさらに、この皮膜中に金属酸化物粒子を混合せしめることにより、その皮膜強度をいっそう強靭なものとする。皮膜中への金属酸化物粒子の導入は、たとえば、次のように行う。可溶化アルコキシアルキル化ポリアミドをメタノール中に、必要に応じて加熱しながら溶解する。溶解した溶液に、金属酸化物粒子を混合し、ホモジナイザーのような分散装置を用いて、均一に分散する。該分散溶液を別途用意したシラノール縮合性シリコーンの非水溶媒溶液と混合、同様にホモジナイザーで攪拌し、適宜帯電調整剤、抵抗調整剤を混合し、キャリア芯材に塗布する。
【0016】
ここで本発明に用いられるポリアミドの例を示すと、ジアミンとしては、例えば1,6−ヘキサンジアミン、1,8−オクタンジアミン、1,2−プロパンジアミンなどの直鎖アルキルジアミン、分岐型アルキルジアミン、m−フェニレンジアミン、P−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、トルエン−2,5−ジアミン、N−フェニル−p−フェニルジアミン、4,4−ジアミノジフェニルアミンなどの芳香族ジアミン等が挙げられ、カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、ドデカン酸、マロン酸などの脂肪族ジカルボン酸、芳香族ジカルボン酸等が挙げられ、これらの縮重合体、これら複数種のモノマーからなる共重合体、また、各種のラクタムの開環縮重合体やアミノウンデカン酸などの各種アミノ酸の自己縮重合体、或いはそれら相互の共重合体などである。
【0017】
なかでも、主鎖の一部に芳香族環を有する、いわゆる芳香族性ポリアミドは、その強靭な性質と、吸湿性の低さから好ましく、温度、湿度に対する帯電量変化を低減できる。さらにパラ位にカルボン酸を持つ芳香族ジカルボン酸を用いた芳香族ポリアミドは、耐磨耗性を飛躍的に向上させ、好ましく用いられる。
【0018】
また、ポリアミドの主鎖の一部にメチル基を側鎖に有するポリアミドは、その親水性を低下させ、温度、湿度に対する帯電量変化を低減できると共に、トナーのスペントを防止する上で、好ましく用いられる。
【0019】
ポリアミドの可溶化のためのアルキルアルコキシ化処理は、アミド結合の活性水素の置換率にして20%〜70%程度がよい。これより少ない場合には、アルコール可溶性が乏しく、皮膜形成時に析出したり、皮膜形成後に偏析するなどの不具合がある。70%より多くなると、皮膜密度が低下し、磨耗性が悪化する。金属酸化物粒子の添加した場合においても同様である。
【0020】
本発明においてキャリア皮膜中の前記ポリアミドの含有率は50重量%〜10重量%が好ましい。
【0021】
本発明において用いるシリコーンとしては、シラノール縮合性シリコーン樹脂すべてが用いられる。ここでシラノール縮合性シリコーン樹脂とはアルコキシ基や、オキシム等を有し、加水分解によりシラノール基を形成するシリコーン樹脂のすべてである。
すなわち、シラノール縮合性シリコーン樹脂とは、Si−Oを基本繰り返し単位として持つポリマー一般が用いられ、例えば、下記の3種の一般式で表わされる繰り返し単位を含むシリコーン樹脂である。
【化3】
(式中、Rは水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、メトキシ基またはC1〜C4の低級アルキル基またはフェニル基を表わす。)
【0022】
こうしたシリコーン樹脂の例として、たとえばストレートシリコーンとし、KR271、KR272、KR282、KR252、KR255、KR152(信越化学工業社製)、SR2400、SR2406(東レダウコーニングシリコーン社製)など、またその一部を有機化合物と、置換、付加することにより得られる変性シリコーンなどがあり、その例としてはエポキシ変性シリコーン、アクリル変性シリコーン、フェノール変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、アルキッド変性シリコーンなどが挙げられる。例としてはエポキシ変性:ES−1001N、アクリル変性:KR−5208、ポリエステル変性:KR−5203、アルキッド変性:KR−206、ウレタン変性:KR−305(以上、信越化学工業社製)、エポキシ変性:SR2115、アルキッド変性:SR2110(東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)などが代表的である。
【0023】
アルコキシアルキル化された可溶化ポリアミドとシラノール縮合性シリコーン樹脂の相互の縮合は、両者の混合物の皮膜を形成したキャリアを焼成することで容易に可能である。その反応温度としては、架橋反応の程度や用いる材料に応じて適宜選択できるが、100℃〜300℃の間であり、反応せしめる量にもよるが、30分〜数時間程度、反応温度に昇温、維持することでよい。
皮膜の縮合は各種の酸触媒を好ましく用いられる。酸触媒はコート時の溶媒溶解性により適切に選ばれる。酸触媒の例としては、クエン酸、イタコン酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、シュウ酸、コハク酸、グリコール酸、マロン酸、クロトン酸、乳酸、マレイン酸、酒石酸、ジ亜りん酸などが代表的なものである。
【0024】
ポリアミドとともに、架橋剤として多価のアミド化合物やその誘導体を用いることで架橋構造を形成することも可能である。多価のアミド化合物の中でもメラミンのNHをポリアミド同様に変性した、メチロールメラミンは皮膜形成時に混合して用いることで、皮膜強度の向上が認められ好ましく用いられ、耐磨耗性に優れた皮膜が得られる。
【0025】
本発明における金属酸化物粒子としては、従来公知の材料を単独、もしくは、混合して用いることが可能であり、代表的にはシリカ、酸化チタン、アルミナなどである。
【0026】
ポリアミドがそもそも強い水素結合性を有するため、用いる金属酸化物微粒子は親水性の金属酸化物微粒子を用いた場合にポリアミドと微粒子の相互作用により、磨耗強度の向上効果が大きい。これらの微粒子は、公知の湿式法、乾式法いずれの方法で作成されたものを用いても良い。
金属酸化物の親水性は、メタノール疎水化度で測定可能であり、50%以下が好ましい。
メタノール疎水化度の測定は次のように行う。イオン交換水100mlをビーカーに入れ、微粒子0.5gを添加する。マグネチックスターラーで攪拌しながら、これにメタノールを滴下していく。すべての微粒子が水中に懸濁したときのメタノールの容量%をメタノール疎水化度とする。
【0027】
微粒子を内包したキャリア表面は、微粒子の形状の影響により、その表面が微細な凹凸のある表面となる。形成する皮膜平均厚みに対して微粒子の粒径を適切に選択することにより、所望の微粒子表面を形成することが可能である。凹凸の大きさは用いるトナーに対して十分に小さく、かつ、皮膜の平均厚みの1/2以下の凹凸であることが好ましい。凹凸が大きい場合、皮膜から微粒子の脱離がしやすくなる。そのため、皮膜の平均厚みに対して1/2以下の粒径の微粒子を用いることがよい。
【0028】
形成する膜厚は任意であり、所望のキャリア抵抗、耐久性に応じて適切に選ばれるが、好ましくは0.01μm〜0.2μmの範囲がであり、用いる添加剤の粒径は0.01〜0.06μmが好ましい。微粒子の粒径は、大塚電子(株)製DLS700により、動的光散乱法により得られる個数平均径とする。
【0029】
また、金属酸化物粒子として異なる大きさの2種類の粒子を用いることで、皮膜の形態を任意に形成しながら、皮膜の強度を十分に高めることができる。微粒子の充填量は皮膜強度に影響するが、皮膜形態を形成する目的で比較的大きな粒径の微粒子を含有せしめ、さらに皮膜厚さに対して十分に微粒の粒子を皮膜の補強剤として用いることができる。
このように、金属酸化物粒子として皮膜の厚みに対して適切な粒径、形状、疎水化度の粒子を選択することにより、皮膜から粒子が脱離することなく、強靭、かつ表面性を制御した皮膜を形成することができる。
【0030】
皮膜中に含有させる金属酸化物粒子は、その含有量として5重量%〜70重量%が好ましく、より好ましくは20重量%〜40重量%の範囲である。5重量%未満では皮膜の耐磨耗効果が発現しにくく、70重量%を超えると、微粒子の脱離が生じやすくなる。
【0031】
また、従来同様、アミノシランカップリング剤を混合して用いることもできる。アミノシランカップリング剤としては、下記構造式を有し、片末端のXとしてアミノ基を含有する各種の炭化水素鎖、シロキサンを持つ化合物である。
【化4】
X−Si(OR)n
(ただし、式中、nは1〜3の整数、Xは有機または無機物との反応性または吸着性を有する各種の官能基、及び官能基を有する飽和または不飽和の炭化水素鎖、もしくはシロキサンを、またORはアルコキシ基を表す。)
【0032】
本発明で用いるアミノシランカップリング剤の好ましい例を下記に示す。
【化5】
【化6】
【化7】
【化8】
【化9】
【化10】
【化11】
【化12】
【化13】
【0033】
特に、その構造中に2つの窒素原子を有する下記構造式を有するアミノシランカップリング剤は好ましく用いられる。
【化14】
【0034】
本発明において、キャリアの電気抵抗を適正にするために、キャリア皮膜中に低抵抗物質として導電性物質を含有させることが好ましい。ここでいう導電性物質とは、公知の導電性材料を用いることができる。また、ポリアミドの複合化に用いた金属酸化物とは異種、同種のいかなる組成で使用することも可能である。なかでも、カーボンブラックは広範囲に抵抗値を得られるために好ましく用いられる。
さらにカーボンブラックと併用して、カーボンブラックより導電性の低い低抵抗物質を用いることでキャリア皮膜の抵抗値の精密な制御が可能になる。
【0035】
カーボンブラックと併用しうる低抵抗物質としては、酸化チタン、酸化スズ等が挙げられ、異なる低抵抗値を有する金属酸化物粒子を併用することにより、キャリアの抵抗値のバラツキなく調製可能となる。特にカーボンブラックと酸化チタンとの併用が好ましい。
殊に、導電処理された酸化チタンが好ましい。
【0036】
本発明において皮膜を設けるキャリア芯材としては、従来公知のものが使用できる。例えば、鉄、コバルトなどの強磁性体、マグネタイト、ヘマタイト、Li系フェライト、Mn−Zn系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Baフェライトなどが挙げられる。キャリア芯材としては上記の磁性粒子が一般的だが、より小粒径の磁性粉をフェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの公知の樹脂中に分散した形態を持つ、いわゆる樹脂分散キャリアも好適に用いられる。
【0037】
キャリアの皮膜形成の方法としては、従来公知の方法がすべて使用でき、すなわちキャリア上に樹脂溶液を塗布、または、樹脂を構成するモノマー、オリゴマー、ポリマーの溶液を塗布し、乾燥固化、もしくは、相応の化学反応によって高分子量化もしくは、芯材表面への化学的な皮膜の析出、積層することでも可能である。具体的には、スプレードライ法、浸漬法、あるいはパウダーコーティング法、その他種々のカプセル化法など公知の方法が使用できる。
【0038】
次に、本発明のキャリアと共に使用されるトナーとしては、バインダー樹脂としての熱可塑性樹脂を主成分とし、着色剤、微粒子、そして帯電制御剤、離型剤等を含むものである。また、一般公知の粉砕法、重合法等の各種のトナー製法により作製されたトナーを用いることができる。
【0039】
バインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−o−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソブチレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または芳香族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが単独あるいは混合して使用できる。
【0040】
ポリエステル樹脂としては、アルコール成分とカルボン酸成分との重縮合反応によって得られ、例えばアルコール成分としては、ポリエチレングリコール、エチレングリコール、ジエチルグリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオールなどのジオール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA、ポリオキシエチレン化ビスフェノールA、ポリオキシプロピレン化ビスフェノールAなどのエーテル化ビスフェノール類、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価のアルコール単量体、その他の2価のアルコール単量体、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−サルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、ショ糖、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等の3価以上の高級アルコール単量体を挙げることができる。
【0041】
また、ポリエステル樹脂を得るために用いられるカルボン酸成分としては、例えばパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸等のモノカルボン酸、マレイン酸、フマール酸、メサコン酸、シトラコン酸、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、セバチン酸、マロン酸、これらを炭素数3〜22の飽和もしくは不飽和の炭化水素基で置換した2価の有機酸単量体、これらの酸の無水物、低級アルキルエステル、リノレイン酸からの二量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4−ブタントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボン酸−2−メチル−2−メチレンカルボキシプロパン、テトラ(メチレンカルボキシル)メタン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸エンボール三量体、これらの酸の無水物等の3価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0042】
またエポキシ樹脂としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの重縮合物等があり、例えば、エポミックR362、R364、R365、R366、R367、R369(以上三井石油化学工業社製)、エポトートYD−011、YD−014、YD−904、YD−017(以上東都化成社製)、エポコート1002、1004、1007(以上シェル化学社製)等の市販のものがある。
【0043】
着色剤としては、カーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、群青、ニグロシン染料、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、ハンザイエローG、ローダミン6Gレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料、モノアゾ系、ジスアゾ系、染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得る。
【0044】
また、トナーは、通常使用されるトナーと同様に摩擦帯電性を制御する目的で含有せしめる薬剤を含有していても何ら不都合はない。そうした、いわゆる極性制御剤としては、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体等を単独または混合して用いることができるが、これらに限定されるものではない。無色トナーに使用される極性制御剤は無色であることが必要であり、極性を有するポリマー型の極性制御性物質は好ましく用いられる。
【0045】
本発明のキャリアと共に使用されるトナーには流動性改質剤を添加することができる。流動性改質剤の例としては、有機樹脂微粒子、金属石鹸など、テフロン(R)、ステアリン酸亜鉛のごとき滑剤、或るいは酸価セリウム、炭化ケイ素などの研磨剤、一般に流動性改質の目的に用いられる公知の金属酸化物、代表的には酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、などの酸化金属微粒子、およびその表面を疎水化した粒子などである。これらのいずれの微粉末もその表面を疎水化することは流動性の面で優れた効果をもたらす。表面を疎水化処理するためには、例えば、シランカップリング剤やシリル化剤として一般に知られる珪素化合物を粒子表面と接触、反応させることができる。
【0046】
疎水化剤としては、例えばクロロシラン類としては代表的にトリクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、プロピルジクロロシラン、ジプロピルジクロロシラン、トリプロピルクロロシラン、などアルキルクロロシラン、フェニルクロロシランなど。そのフッ素置換体としてはフルオロアルキルクロロシラン、パーフルオロアルキルクロロシランの類。シリルアミン類としては、代表的にヘキサメチルジシラザン、ジエチルアミノトリメチルシラン、など。シリルアミド類としては、代表的にN,O−ビストリメチルシリルアセトアミド、N−トリメチルシリルアセトアミド、ビストリメチルシリルトリフルオロアセトアミド、など。
また、アルコキシシラン類として、メチルトリアルコキシシラン、ジメチルジアルコキシシラン、トリメチルアルコキシシラン、エチルジアルコキシシラン、ジエチルアルコキシシラン、トリエチルアルコキシシラン、プロピルトリアルコキシシラン、ジプロピルジアルコキシシラン、トリプロピルアルコキシシラン、などアルキルクロロシランや、フェニル基を有するフェニルアルコキシシランなど。また、そのフッ素置換体としてフルオロアルキルアルコキシシランの類、パーフルオロアルキルアルコキシシランの類。シリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、およびその誘導体、フッ素置換体、ジシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンなど、シロキサンの類など、一般公知の疎水化剤として用いられ化合物すべてが使用できる。
【0047】
【実施例】
以下、実施例を本発明を具体的に説明する。しかしながら本発明はここに例示される実施例に限定されるものではない。
尚、実施例中、部は重量基準である。
【0048】
<キャリア作成>
実施例1
1,6−ヘキサンジアミンの10部をイオン交換水30部に溶解した。この溶液にジアミンの2倍モルに相当する水酸化ナトリウム水溶液を添加した。別途、アジピン酸ジクロライドのジアミン等モル量をTHF30部に溶解した溶液を滴下ロートに入れ、液温度15℃を保ちながら水溶液に滴下した。滴下の最中、溶液はホモジナイザーで攪拌を続けた。全量混合した後、得られた白色懸濁液をエバポレーターで乾固し、大量のイオン交換水、および、アセトンで洗浄し、白色固形物を得た。
ついで、この固形物を蟻酸30部に50℃に加温しながら溶解し、メタノール3部、ホルマリン3部相当の水溶液を混合して、30分間加温を続けた。
蟻酸溶液を冷却して、冷却した後、大過剰のアセトン中に投入して析出した白色物をろ過し、ろ液のpH=7となるまで水洗浄を繰り返して、可溶化ポリアミドAを得た。このポリアミドのメトキシ化率は約32%であった。
この可溶化ポリアミド5部をメタノール95部、シリカA200(日本アエロジル株式会社、0.012μmメタノールウェッタビリティー10%以下)1部とを混合し、液温を45℃に加温しながらホモジナイザーにて30分間分散した。別途、トルエンに対して固形分濃度10重量%となるよう調製したシリコーンレジン(SR2411:東レダウコーニングシリコーン社製)溶液を作成し、ポリアミドとシリコーンの固形分濃度にして重量比が6:4となるよう、先の分散液と混合した。
さらに、カーボンブラック(ライオンアクゾ社製、ケッチェンブラックEC−DJ600)をポリアミドとシリコーンの固形分量に対して3%相当加え、ホモジナイザーで30分間攪拌し、コート剤分散液Aを得た。コート直前に、ジブチル錫ジアセテートをシリコーン固形分に対して5%、イタコン酸メタノール溶液をポリアミド固形分に対して5%添加して、キャリアコートに用いた。
キャリア芯材へのコートは、コート剤分散液の固形分量5部を体積平均粒径42ミクロン、磁気モーメント82emu/g(印加磁界1000ガウス)のフェライト芯材200部に対して流動床塗布装置を用いて、塗布温度85℃で塗布、乾燥した。その後、得られた粒子を電気炉で230℃にて1時間焼成し、冷却後目開き63ミクロンのメッシュで篩いがけして、粗大粒子を取り除き、コートキャリアAを得た。
【0049】
実施例2
実施例1において、1,6−ヘキサンジアミン10部を5部とし、さらにo−フェニレンジアミン5部を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてキャリアBを作成した。
【0050】
実施例3
実施例1において、1,6−ヘキサンジアミンの10部を7部とし、1,2−プロパンジアミン3部を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてキャリアCを得た。
【0051】
実施例4
実施例1において、1,6−ヘキサンジアミンの10部を3部とし、1,2−プロパンジアミン3部、o−フェニレンジアミン4部を用いる以外はすべて実施例1と同様にしてキャリアDを得た。
【0052】
実施例5
実施例4において、さらにポリアミドのメトキシ化を進め、61%のものを用いた以外は、すべて実施例4と同様にしてキャリアEを得た。
【0053】
実施例6
実施例4において、A200シリカの代りにAluminium OxideC(日本アエロジル株式会社製、アルミナ粒子13nm、メタノールウェッタビリティー10%以下)を用いる以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアFを得た。
【0054】
実施例7
実施例4において、A200の代りにMT−150A(テイカ株式会社製、ルチル型酸化チタン15nm、メタノールウェッタビリティー10%以下)を用いる以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアGを得た。
【0055】
実施例8
実施例4において、ポリアミドとシリコーン樹脂を固形分比(重量)を5:5の混合を行う以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアHを得た。
【0056】
実施例9
実施例4において、ポリアミドとシリコーン樹脂を固形分比(重量)を2.5:7.5の混合を行う以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアIを得た。
【0057】
実施例10
実施例4において、カーボンブラックを加えると同時に、下記構造のアミノシランカップリング剤をシリコーン固形分に対して2重量%相当添加する以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアJを得た。
【化15】
【0058】
実施例11
実施例4において、カーボンブラックを加えると同時に、下記構造のアミノシランカップリング剤をシリコーン固形分に対して2重量%相当添加する以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアKを得た。
【化16】
【0059】
実施例12
実施例4において、カーボンブラックを加えると同時に、メチロールメラミンスーパーベッカミン J−820−60(大日本インキ化学工業株式会社製)をポリアミドに対して5%相当添加する以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアLを得た。
【0060】
実施例13
実施例8において、A200の添加量を2部とする以外はすべて実施例8と同様にしてキャリアMを得た。
【0061】
実施例14
実施例8において、A200の添加量を4部とする以外はすべて実施例8と同様にしてキャリアNを得た。
【0062】
実施例15
実施例14において、シリカをR974(日本アエロジル株式会社製、16nm、メタノールウェッタビリティー41%)とする以外はすべて実施例14と同様にしてキャリアOを得た。
【0063】
実施例16
実施例4において、A200 1部とさらにSO−E2シリカ(アドマテックス株式会社製)0.1部を添加する以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアPを得た。
【0064】
実施例17
実施例4において、A200 1部と、さらにAA−03(住友化学工業株式会社製、アルミナ粒子0.3μm)0.5部を添加する以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアQを得た。
【0065】
実施例18
実施例4において、カーボンブラックの添加量を1.5重量%相当とし、針状導電性酸化チタン(FT−1000 石原産業株式会社製、長径1.68ミクロン)の4重量%相当添加する以外はすべて実施例4と同様にしてキャリアRを得た。
【0066】
実施例19
実施例18において、針状導電性酸化チタンの代りにSbドープ導電性酸化チタン(ET500W 石原産業株式会社製、0.2μm)とする以外はすべて実施例18同様にしてキャリアSを得た。
【0067】
比較例1
実施例1において、シリコーン樹脂を用いない以外はすべて実施例1と同様にしてキャリアTを得た。
【0068】
比較例2
実施例1において、A200を用いない以外はすべて実施例1と同様にしてキャリアUを得た。
【0069】
<現像剤の作成と現像剤(キャリア)の評価>
実施例及び比較例で作成したキャリアA〜U 93部とImagio Color 8000用黒トナー7部を混合し、現像剤とし、これをImagio Color 8000に装填して、画像面積率12%、文字画像チャートを用いて10万枚の連続プリント試験を行った。
試験の開始時、および終了時に複写機を10℃ 15%RHの低温低湿環境、35℃ 90%RH の高温高湿環境に設置し、それぞれ1000枚ずつのプリントを行った。続いて25℃、50%の室内環境にもどし、同じく1000枚のプリントを行った。
試験はすべてトナー濃度が7重量%一定となるよう、トナー補給量を制御して行った。各1000枚のプリント終了時点での帯電量の測定、および地肌汚れの評価を行った。
次に帯電の立ち上がり性評価として、補給直後の地肌汚れを評価した。黒ベタ画像を出力し、トナー濃度を4重量%に低下させた後、TC=7重量%相当のトナー補給を行い、地肌汚れ、帯電量を評価した。
その後、10万枚の連続プリントを行い、
プリント終了時の画像の地肌汚れ、現像剤の帯電量を評価した。
また、現像剤中のキャリアの皮膜厚さの測定を連続ラン前後で行った。
(1)現像剤の帯電量は、現像装置のスリーブ上から少量の現像剤を採取し、公知のブローオフ法に基づいて行った。
(2)地肌汚れの評価は目視評価で4段階の評価とした。
◎:大変良好、○:良好、△:若干不良、×:不良(×は許容不可のレベル)とした。
(3)皮膜厚さは蛍光X線により、Si原子に由来する蛍光強度、およびキャリアの破断面のSEM観察によって行った。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】
本発明によるれば、キャリア芯材にアルコキシアルキル化ポリアミド、シラノール基を有するシリコーン樹脂、さらに皮膜の補強剤として金属酸化物を含有する皮膜を形成することにより、キャリア皮膜の耐久性が認められ長期間の使用に耐えるキャリアを提供することができる。
また、帯電の立ち上がり性に優れ、少量の現像剤量でも高速な帯電性が得られるキャリアを提供することができる。
また、皮膜の組成に、芳香族性ポリアミド、および側鎖にメチル基を有するポリアミドを用いることにより、温度湿度による帯電量変化がなく、信頼性に優れたキャリアを提供することができる。
また、皮膜組成に架橋成分を導入することにより、皮膜の耐久性を向上することができる。
さらに、皮膜中の金属酸化物を皮膜に対して適切に選択することにより、現像剤の耐久性を向上することができる。
さらにまた、皮膜の抵抗制御剤として、カーボンブラック、および他の導電材料等の低抵抗物質を併用することにより、地肌汚れのないキャリアを提供できる。
Claims (21)
- 磁性を有する球形の微粉体表面に皮膜を有する静電潜像現像用キャリアであって、該皮膜がシラノール基を有するシリコーン樹脂と、アルコキシアルキル化ポリアミドの混合物の縮合物、および金属酸化物粒子からなる皮膜であることを特徴とする静電潜像現像用キャリア。
- 前記ポリアミドが主鎖に芳香族環を有することを特徴とする請求項1に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記ポリアミドが側鎖にメチル基を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記ポリアミドがメトキシ化率20%〜70%のN−メトキシメチル化ポリアミドであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記シリコーン樹脂がシラノール縮合性のストレートシリコーンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中の前記ポリアミド含有率が50重量%〜10重量%の範囲であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中に触媒として不飽和カルボン酸を含有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中にメチロールメラミンによる架橋成分を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜の金属酸化物粒子が、シリカ、酸化チタン、アルミナから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物粒子であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記金属酸化物粒子の親水性がメタノール疎水化度50%以下の微粒子であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記金属酸化物粒子の粒径が前記皮膜の平均厚みの1/2以下であることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記金属酸化物粒子の粒径が0.01μm〜0.2μmであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記金属酸化物粒子が異なる粒径分布を有する2種類の微粒子からなることを特徴とする請求項1〜12のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中の金属酸化物粒子の含有量が皮膜重量の5重量%〜70重量%であることを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中にアミノシランカップリング剤を含有することを特徴とする請求項1〜14のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記皮膜中に低抵抗物質を含有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記低抵抗物質が導電性カーボンであることを特徴とする請求項17に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記導電性材料として、抵抗値の異なる2種類の材料を用いることを特徴とする請求項17又は18に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記導電性材料がカーボンブラックと酸化チタンの混合物であることを特徴とする請求項19に記載の静電潜像現像用キャリア。
- 前記導電材料がカーボンブラックと導電処理が施された酸化チタンであることを特徴とする請求項20に記載の静電潜像現像用キャリア。
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