JP3912007B2 - 自動車の車体前部構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は自動車の車体前部構造、とりわけ、ラジエータの上部を支持するラジエータコアアッパレールとフードリッジメンバとの結合部周りの構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の車体前部は、左右両側のフロントサイドメンバと、その上側に連なるフードリッジメンバと、左右フロントサイドメンバの前端部間に結合したファーストクロスメンバと、左右フードリッジメンバの前端部間に結合したラジエータコアアッパレール、および該ラジエータコアアッパレールとファーストクロスメンバとを上下方向に結合するラジエータコアサイドメンバ等によって主要骨格が構成される。
【0003】
このような各種メンバで骨格構造を構成する場合にあって、一般に前記ラジエータコアアッパレールを車幅方向に略直状に形成して、フードリッジメンバの前端部と略直角に結合すると共に、ヘッドランプ装着用の開窓部を備えて前記ラジエータコアアッパレールの側部に接合されるラジエータコアサイドメンバのパネル部を該ラジエータコアアッパレールに沿って平面に形成して、これらラジエータコアアッパレールおよびラジエータコアサイドメンバのパネル部を平面視して直線的に配置構成することで、車体前部のねじれ剛性を確保するようにしている(特開平7−165116号公報,特開平8−301144号公報参照)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のようにラジエータコアアッパレールおよびラジエータコアサイドメンバのパネル部を直線的に配置構成しているため、ヘッドランプを車体側部に廻り込んだ後退状態に装着させたいというデザイン的な要望に応えることはできない。
【0005】
このような要望に応えるためには、当然ながら前記ラジエータコアアッパレールの側部およびラジエータコアサイドメンバのパネル部を、共に斜め後方に向けて屈曲成形することになるが、この場合、車体前部のねじれ剛性が低下してしまうため、ラジエータコアアッパレール及びラジエータコアサイドメンバの全体的なパネル厚増加あるいは閉断面構成等、大幅な重量増加や部品点数増加を伴う補強が必要となって、重量的におよびコスト的に不利となってしまう。
【0006】
そこで、本発明は簡単な構造により車体前部の骨格を構成する各メンバ自体の剛性を活かして、部品点数や重量の大幅な増加を伴うことなく車体前部の剛性を確保してヘッドランプの後退配置を可能とした自動車の車体前部構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にあっては、ラジエータコアアッパレールを、車幅方向に略直状に延在するセンター部と、該センター部から湾曲したコーナー部を介して斜め後方に向けて延在するサイド部とで構成して、該サイド部の後端部をフードリッジメンバの前端部に結合すると共に、前記センター部と該センター部よりも下方に位置するファーストクロスメンバとに跨って結合したラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部の上下方向中間部分と、前記サイド部の湾曲コーナー部近傍とに跨ってステイ部材を斜状に連結配置して、前記湾曲コーナー部分に三角トラス部を構成したことを特徴としている。
【0008】
請求項2の発明にあっては、請求項1に記載のラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部から車幅方向外側に張り出すパネル部に、斜め後方に向けて延在するフレーム部を連設し、該フレーム部の後端部を前記ラジエータコアアッパレールのサイド部の後端部に結合して、これらサイド部とフレーム部とでヘッドランプ装着用の開窓部を構成したことを特徴としている。
【0009】
請求項3の発明にあっては、請求項1,2に記載の自動車の車体前部構造にあって、ステイ部材はその略全長に亘って縦壁面を備えていることを特徴としている。
【0010】
請求項4の発明にあっては、請求項3に記載のステイ部材の上縁部分に、ヘッドランプを締結固定する取付座を形成したことを特徴としている。
【0011】
請求項5の発明にあっては、請求項1〜4に記載の自動車の車体前部構造にあって、ラジエータコアアッパレールのセンター部とサイド部とが連設した湾曲コーナー部を、これらセンター部およびサイド部にそれぞれ形成した下向きの傾斜部相互が合流した下向きの屈曲部として形成したことを特徴としている。
【0012】
請求項6の発明にあっては、請求項5に記載の自動車の車体前部構造にあって、ステイ部材を、ラジエータコアアッパレールのサイド部側の傾斜部の略延長上に配設したことを特徴としている。
【0013】
請求項7の発明にあっては、請求項1〜6に記載の自動車の車体前部構造にあって、ステイ部材の下端部を下向きに湾曲成形して、ラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部に沿って結合したことを特徴としている。
【0014】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、ラジエータコアアッパレールのサイド部は斜め後方に向けて延在してその後端部をフードリッジメンバに結合してあるため、該サイド部の下側に配置されるヘッドランプを車体側部に廻り込んだ後退状態に装着することが可能となって、デザイン的な要求に十分に応えることができる。
【0015】
しかも、このサイド部は極力応力集中が発生しないようにセンター部から湾曲したコーナー部を介して延設していることに加えて、該サイド部とラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部の上下方向中間部とに跨って斜状に連結配置したステイ部材によって、前記湾曲コーナー部分に三角トラス部を構成していて、ラジエータコアアッパレールおよびラジエータコアサイドメンバの剛性を活かして力学的に効率的な荷重の分散伝達を行えるようにしてあるため、車体前端部分の車幅方向剛性はもとよりねじれ剛性を十分に確保することができる。
【0016】
従って、剛性確保のための各骨格メンバの板厚増大を伴うことがなく、左右各1つのステイ部材を用いるだけで剛性確保を行えるため、重量的に及びコスト的に有利に得ることができる。
【0017】
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の発明の効果に加えて、ラジエータコアアッパレールのサイド部自体と、ラジエータコアサイドメンバのフレーム部とでヘッドランプ装着用の開窓部を構成しているため、ラジエータコアサイドメンバのパネル部にヘッドランプ装着用の開窓部を形成した従来の構造に較べて、該開窓部の面積を剛性低下を伴うことなく拡大できて、ヘッドランプの大型化を可能とすることができる。
【0018】
請求項3に記載の発明によれば、請求項1,2の発明の効果に加えて、ステイ部材はその略全長に亘って縦壁面を備えているため、ステイ部材自体の曲げ剛性およびねじれ剛性を高められることは勿論、該ステイ部材によってヘッドランプ装着部周りの剛性が高められるため、通常、ヘッドランプ装着用の開窓部の下縁側に剛性確保のために設けられる縦壁面の上下寸法を小さくすることができ、この結果、ヘッドランプの大型化はもとよりヘッドランプ上下寸法の制約が小さくなってデザイン上の自由度を高めることができる。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、請求項3の発明の効果に加えて、従来ではヘッドランプの上部側の固定点を車体上方からの取付作業性を確保する上からラジエータコアアッパレールに設定していたが、ステイ部材の上縁部に取付座を形成してここにヘッドランプの上部側を締結固定するようにしてあるから、車体上方からの取付作業性を確保できることは勿論、ラジエータコアアッパレールに上方に突出するヘッドランプ固定点がなくなるため、その分、フード前端部をラジエータコアアッパレールにより近付けることができて、デザイン上の自由度を更に高めることができる。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、請求項1〜4の発明の効果に加えて、ラジエータコアアッパレールの湾曲コーナー部分を下向きの屈曲部としてあるため、フード前縁部にフロントグリルとヘッドランプとの各上側隅部間のパーティング部分に入り込む下向きの突縁部を形成して、これらフロントグリルとヘッドランプとのパーティング部分の見栄えを向上させたいというデザイン的な要望に対して、構造的に無理なく応えることができる。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、請求項5の発明の効果に加えて、ラジエータコアアッパレールの湾曲コーナー部分の下向きの屈曲部を構成するサイド部側の傾斜部の略延長上にステイ部材を配設してあるため、該ステイ部材とサイド部の傾斜部とを直線的に連結することができて、ラジエータコアアッパレールの車幅方向剛性を十分に確保することができる。
【0022】
請求項7に記載の発明によれば、請求項1〜6の発明の効果に加えて、ステイ部材の下端部が下向きに湾曲してラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部に沿って結合されているため、該ステイ部材の下端部に応力集中が発生するのを抑制できて、入力の分散,伝達作用を効率よく行わせることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0024】
図1〜3において、1はフロントコンパートメントF・Cの車幅方向両側に配設した車体前後方向骨格部材のフロントサイドメンバを示し、これら左右のフロントサイドメンバ1,1の前端部間を車幅方向骨格部材の1つであるファーストクロスメンバ2で結合してある。
【0025】
3は前記フロントサイドメンバ1の各上側に連なって設けられた車体前後方向骨格部材のフードリッジメンバで、その前端部間を車幅方向骨格部材のラジエータコアアッパレール4で結合してある。
【0026】
フロントサイドメンバ1,ファーストクロスメンバ2,およびフードリッジメンバ3は何れも閉断面に構成してある一方、ラジエータコアアッパレール4は略ハット形の開断面に構成してある。
【0027】
本実施形態では前記ラジエータコアアッパレール4をセンター部4Aとサイド部4Bとに分割して構成しているが、これらセンター部4Aとサイド部4Bを一体に構成することも可能である。
【0028】
ラジエータコアアッパレール4のセンター部4Aとファーストクロスメンバ2の車幅方向中央部間を、フードロックステイ5で上下方向に連結してあると共に、前記センター部4Aの両側部とファーストクロスメンバ2の両側部との間をラジエータコアサイドメンバ6で上下方向に連結して、図外のラジエータおよびエアコンコンデンサ等の熱交換器を、これらファーストクロスメンバ2,ラジエータコアアッパレール4,およびラジエータコアサイドメンバ6で支持するようにしている。
【0029】
ラジエータコアサイドメンバ6は、前記ラジエータコアアッパレール4のセンター部4Aと、ファーストクロスメンバ2、およびフロントサイドメンバ1の前端部内側とに接合される上下方向骨格部6Aと、フロントサイドメンバ1の上方で該上下方向骨格部6Aから車幅方向外側に張り出して一体成形したパネル部6Bとを備えている。
【0030】
前記ラジエータコアアッパレール4のセンター部4Aとサイド部4Bとはそれらの接続側端部を嵌合してスポット溶接等により接合されるが、該センター部4Aとサイド部4Bとの連設部分には湾曲したコーナー部Cが設けられ、サイド部4Bは前記センター部4Aからこの湾曲コーナー部Cを介して斜め後方に向けて延在して、その後端部を前記フードリッジメンバ3の前端部にスポット溶接等により接合してある。
【0031】
本実施形態では前記センター部4Aおよびサイド部4Bの接続側の端部に下向きの傾斜部7,8を形成してあり、前記湾曲コーナー部Cはこれらの傾斜部7,8の相互が合流した下向きの屈曲部として形成してある。
【0032】
一方、ラジエータコアサイドメンバ6の上下方向骨格部6Aは前壁9と側壁10とによりL字形断面に形成すると共に、該側壁10の後端部からパネル部6Bを一体に曲折成形してある。
【0033】
このラジエータコアサイドメンバ6の上端部は、前記上下方向骨格部6Aの前壁9とパネル部6Bとを介してラジエータコアアッパレール4の前,後壁4a,4bに跨ってスポット溶接により接合して、湾曲コーナー部C付近のねじれ剛性を高めており、また、上下方向骨格部6Aの下端部は、該下端部に接合したコネクタメンバ12を介して前記フロントサイドメンバ1の内側とファーストクロスメンバ2の上側とに亘って接合してある。
【0034】
前記パネル部6Bには前側に膨出する膨出部11を形成してパネル剛性を高めてあり、このパネル部6Bの車幅方向外側の端部下側に斜め後方に向けて延在するフレーム部13を連設し、該フレーム部13の後端部を前記ラジエータコアアッパレール4のサイド部4Bの後端部にスポット溶接により接合して、これらサイド部4Bとフレーム部13とでヘッドランプ装着用の開窓部14を構成している。
【0035】
本実施形態では前述のフレーム部13をフロント部13Aと、該フロント部13Aとの接合部分から立上がるリヤ部13Bとに分割して前記パネル部6Bと別体成形してあるが、これらフロント部13A,リヤ部13Bをパネル部6Bと一体成形することも可能である。
【0036】
フロント部13Aは略水平なベース面15と該ベース面15の前縁から下方に曲折した縦壁面16とで略L字形断面に形成してあり、縦壁面16の端部を前記パネル部6Bの端部に重合してスポット溶接により接合してあると共に、ベース面15と該縦壁面16とを、図4に示すようにフードリッジメンバ3の前記フロントサイドメンバ1に連なるフードリッジパネル3Aの前端部にスポット溶接により接合して、閉断面部17を構成して剛性を高めてある。
【0037】
そして、前記ラジエータコアサイドメンバ6の上下方向骨格部6Aの上下方向中間部分と、ラジエータコアアッパレール4のサイド部4Bの湾曲コーナー部Cの近傍とに跨ってステイ部材18を斜状に連結配置して、前記湾曲コーナー部Cの部分にラジエータコアアッパレール4,ラジエータコアサイドメンバ6の上下方向骨格部6A,ステイ部材18をそれぞれ上辺,縦辺,斜辺とする三角トラス部19を構成してある。
【0038】
このステイ部材18は帯板状のベース面20と、該ベース面20の前縁に下端から上端近傍に亘って上向きに曲折成形したフロント側の縦壁面21と、ベース面20の後縁に下端から上端に亘って下向きに曲折形成したリヤ側の縦壁面22とを備えている。
【0039】
ステイ部材18は平面視してラジエータコアアッパレール4のセンター部4Aから湾曲コーナー部Cを経由して斜め後方に向かうサイド部4Bに沿った形状に形成してあり、上端部を図5に示すようにそのベース面20をサイド部4Bで前壁4aの下縁に重合してスポット溶接により接合すると共に、リヤ側の縦壁面22を後壁4bに重合してスポット溶接により接合し、これら前後壁4a,4bに跨って結合して閉断面部23を構成して剛性を高めている。
【0040】
また、このステイ部材18は図3に示すように正面視して前記サイド部4Bの傾斜部8の略延長上となるように斜状に配設してあり、下端部は下向きに湾曲成形してラジエータコアサイドメンバ6の上下方向骨格部6Aに沿って結合してある。
【0041】
具体的には図6に示すように該ステイ部材18の下端部は、フロント側の縦壁面21を上下方向骨格部6Aの前壁9に重合し、ベース面20を上下方向骨格部6Aの側壁10に重合し、そして、リヤ側の縦壁面21を前記側壁10から曲折成形したパネル部6Bの膨出部11に重合して、それぞれスポット溶接により接合してある。
【0042】
また、このステイ部材18の下端部のベース面20にはその中央部にビード部24を上下方向に設けて下端結合部の剛性を高めている。
【0043】
更に、ステイ部材18の上縁部分、具体的にはフロント側の縦壁面21の上縁に略水平に取付座25を形成して、図4に示すように該取付座25にヘッドランプ26の上部側をブラケット26aを介して締結固定するようにしてある。
【0044】
以上の実施形態の構造によれば、ラジエータコアアッパレール4のサイド部4Bは斜め後方に向けて延在してその後端部をフードリッジメンバ3に結合してあるため、該サイド部4Bの下側に配置されるヘッドランプ26を車体側部に廻り込んだ後退状態に装着することが可能となって、デザイン的な要求に十分に応えることができる。
【0045】
しかも、このサイド部4Bは極力応力集中が発生しないようにセンター部4Aから湾曲したコーナー部Cを介して延設してあることに加えて、該サイド部4Bとラジエータコアサイドメンバ6の上下方向骨格部6Aの上下方向中間部とに跨って斜状に連結配置したステイ部材18によって、前記湾曲コーナー部分に三角トラス部19を構成していて、ラジエータコアアッパレール4およびラジエータコアサイドメンバ6の剛性を活かして力学的に効率的な荷重の分散伝達を行えるようにしてあるため、車体前端部分の車幅方向剛性はもとよりねじれ剛性を十分に確保することができる。
【0046】
従って、剛性確保のため前記ラジエータコアアッパレール4,ラジエータコアサイドメンバ6等の各骨格メンバの板厚増大を伴うことがなく、左右各1つのステイ部材18を用いるだけで剛性確保を行えるため、重量的におよびコスト的に有利に得ることができる。
【0047】
特に本実施形態にあっては、ラジエータコアアッパレール4のサイド部4B自体と、ラジエータコアサイドメンバ6のフレーム部13とでヘッドランプ装着用の開窓部14を構成しているため、ラジエータコアサイドメンバのパネル部にヘッドランプ装着用の開窓部を形成した前記従来の構造に較べて、該開窓部14の面積を剛性低下を伴うことなく拡大できて、ヘッドランプ26の大型化を可能とすることができる。
【0048】
また、前記ステイ部材18はその略全長に亘って縦壁面21,22を備えているため、ステイ部材18自体の曲げ剛性およびねじれ剛性を高められることは勿論、該ステイ部材18によってヘッドランプ装着部周りの剛性が高められるため、通常、ヘッドランプ装着用の開窓部の下縁側に剛性確保のために設けられる縦壁面、即ち、本実施形態にあっては前記フレーム部13の縦壁面16の上下寸法を小さくすることができ、この結果、前述のヘッドランプ26の大型化はもとより該ヘッドランプ26の上下寸法の制約が小さくなって該ヘッドランプ26の後退配置をより有利に行えてデザイン上の自由度を高めることができる。
【0049】
更に、従来ではヘッドランプの上部側の固定点を車体上方からの取付作業性を確保する上からラジエータコアアッパレールに設定していたが、前記ステイ部材18の上縁部に取付座25を形成して図4に示すようにここにヘッドランプ26の上部側のブラケット26aを締結固定するようにしてあるから、車体上方からの取付作業性を確保できることは勿論、ラジエータコアアッパレール4に上方に突出するヘッドランプ固定点がなくなるため、その分、フード28の前端部をラジエータコアアッパレール4により近付けることができて、デザイン上の自由度を更に高めることができる。
【0050】
そして、本実施形態では図3に示すように、ラジエータコアアッパレール4の湾曲コーナー部Cの部分を下向きの屈曲部としてあるため、フード28の前端部にフロントグリル27とヘッドランプ26との各上側隅部間のパーティング部分に入り込む下向きの突縁部28Aを形成して、これらフロントグリル27とヘッドランプ26とのパーティング部分の見栄えを向上させたいというデザイン的な要望に対して、構造的に無理なく応えることができる。
【0051】
また、このように前記湾曲コーナー部Cを下向きの屈曲部として形成してあっても、ステイ部材18を該屈曲部を形成するサイド部4B側の傾斜部8の略延長上に配設してあるため、該ステイ部材18とサイド部4B側の傾斜部8とを直線的に連結することができて、ラジエータコアアッパレール4の車幅方向剛性を十分に確保することができる。
【0052】
更に、このステイ部材18の下端部は下向きに湾曲して、ラジエータコアサイドメンバ6の上下方向骨格部6Aに沿って結合してあるため、該ステイ部材18の下端部に応力集中が発生するのを抑制できて、入力の分散,伝達作用を効率よく行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す斜視図。
【図2】図1のA矢視方向から見たステイ部材の配設状況を示す斜視図。
【図3】図1の正面側から見たステイ部材の配設状況を示す説明図。
【図4】図2のB位置における断面説明図。
【図5】図2のC位置における断面説明図。
【図6】図2のD位置における断面説明図。
【符号の説明】
1 フロントサイドメンバ
2 ファーストクロスメンバ
3 フードリッジメンバ
4 ラジエータコアアッパレール
4A センター部
4B サイド部
6 ラジエータコアサイドメンバ
6A 上下方向骨格部
6B パネル部
7 センター部の傾斜部
8 サイド部の傾斜部
13 フレーム部
14 開窓部
18 ステイ部材
19 三角トラス部
25 取付座
C 湾曲コーナー部
Claims (7)
- ラジエータコアアッパレールを、車幅方向に略直状に延在するセンター部と、該センター部から湾曲したコーナー部を介して斜め後方に向けて延在するサイド部とで構成して、該サイド部の後端部をフードリッジメンバの前端部に結合すると共に、前記センター部と該センター部よりも下方に位置するファーストクロスメンバとに跨って結合したラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部の上下方向中間部分と、前記サイド部の湾曲コーナー部近傍とに跨ってステイ部材を斜状に連結配置して、前記湾曲コーナー部分に三角トラス部を構成したことを特徴とする自動車の車体前部構造。
- ラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部から車幅方向外側に張り出すパネル部に、斜め後方に向けて延在するフレーム部を連設し、該フレーム部の後端部を前記ラジエータコアアッパレールのサイド部の後端部に結合して、これらサイド部とフレーム部とでヘッドランプ装着用の開窓部を構成したことを特徴とする請求項1に記載の自動車の車体前部構造。
- ステイ部材はその略全長に亘って縦壁面を備えていることを特徴とする請求項1,2に記載の自動車の車体前部構造。
- ステイ部材の上縁部分に、ヘッドランプを締結固定する取付座を形成したことを特徴とする請求項3に記載の自動車の車体前部構造。
- ラジエータコアアッパレールのセンター部とサイド部とが連設した湾曲コーナー部を、これらセンター部およびサイド部にそれぞれ形成した下向きの傾斜部相互が合流した下向きの屈曲部として形成したことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の自動車の車体前部構造。
- ステイ部材を、ラジエータコアアッパレールのサイド部側の傾斜部の略延長上に配設したことを特徴とする請求項5に記載の自動車の車体前部構造。
- ステイ部材の下端部を下向きに湾曲成形して、ラジエータコアサイドメンバの上下方向骨格部に沿って結合したことを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の自動車の車体前部構造。
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