JP3912002B2 - カラー画像形成用の静電潜像現像用トナーと画像形成方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はカラー複写機、カラープリンタ等に用いられるカラー画像形成用の静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
今日、高速高画質を要求される画像形成装置においては、電子写真法を中心とする静電潜像現像方式を用いた画像形成方法が採用されている。
【0003】
静電潜像現像方式を用いた画像形成方法は、長期使用においても安定的に高速高画質を達成することが出来るほかに、カラー画像形成にも好ましく適用出来る。
【0004】
しかし、カラー画像形成方法に適用した場合には、幾つかの問題もあり、現在多くの検討が成されているに係わらず、なお解決されていないのも事実である。
【0005】
中でも大きなものとして下記の問題がある。黒色トナーに着色剤としてカーボンを用いるのが普通であるが、カーボンブラックの抵抗は有彩色用の着色剤に比して低いため、高温高湿でカブリが発生しやすい。さらに放置による帯電量低下が大きく、トナー帯電後長く放置された後現像に用いられると、現像過多による文字潰れ、ハーフトーンの画像濃度上昇、階調性変動の問題がある。
【0006】
一方、有彩色トナーは、黒色トナーに比較してトナーの抵抗が高いため、低温低湿下で現像トナー量が低下し、黒色トナーに比して現像トナー量が低下し、相互のバランスがくずれて画質を低下させる問題がある。
【0007】
又、有彩色トナーは粉砕法で造られた場合に、形状、粒度分布がブロードになり、結果的に帯電量分布がブロードとなる。その結果、潜像周辺のチリ(トナーの散らばり)が多く、微細ドット、細線の再現性が不十分となってしまう傾向がある。
【0008】
これらの問題に関連し、再分散導電度(分散伝導度ということもある)に注目した発明は従来にもあった。例えば特開平7−319205号公報には、トナーの再分散導電度を1〜100μS/cmとする発明が記載されている。又、特開2000−172007号公報にはトナーの再分散導電度が20μS/cm以下で、トナー粒度を特定範囲に規定した発明が記載されている。
【0009】
しかし、これらにより上記問題が解決されたわけではなく、現在なお大きな問題として残っている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決するためになされた。
【0011】
即ち、本発明の目的は、画像形成時の温湿度環境が変わっても、常にカブリがなく、微細ドットや細線の再現性が良く、常に一定のカラーバランスを保った画像形成が可能なカラー画像用の静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、鋭意検討した結果、トナーの再分散導電度の調整のみではその効果に限界があり、トナーの再分散導電度、黒色トナー表面上の遊離着色剤量及び黒色トナー表面状態をコントロールし、黒トナーと有彩色トナーの帯電特性のバランスを取ることにより、始めて、良好なフルカラー画像を得るという本発明の目的を達成することが出来ることが判明した。
【0013】
即ち、本発明の目的は、下記構成の何れかを採ることにより達成されることがわかった。
【0014】
〔1〕 イエロー、マゼンタ、シアンの有彩色トナーと黒色トナーとを組み合わせてカラー画像を形成するための静電潜像現像用トナーにおいて、各色のトナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーであって、各有彩色トナーの再分散導電度と黒色トナーの再分散導電度との差が、0.8〜12μS/cmであり、黒色トナー500個当たりのトナー表面に遊離した着色剤粒子が9個未満且つ黒色トナーの再分散液の500nmにおける吸光度が0.08以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
【0015】
〔2〕 イエロートナーの再分散導電度をρy、マゼンタトナーの再分散導電度をρm、シアントナーの再分散導電度をρc、および黒色トナー再分散導電度をρbkとしたとき、ρy>ρbk、ρm>ρbk、ρc>ρbkであることを特徴とする〔1〕記載の静電潜像現像用トナー。
【0016】
〔3〕 前記各色のトナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめたのち、塩析/凝集、洗浄して得られるトナーであることを特徴とする〔1〕記載の静電潜像現像用トナー。
【0017】
〔4〕 前記有彩色トナーの個数平均粒径が3〜8μmであり、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔3〕の何れか1項記載の静電潜像現像用トナー。
【0018】
〔5〕 前記有彩色トナーの個数平均粒径が3〜8μmであり、角がないトナー粒子が50個数%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔4〕の何れか1項記載の静電潜像現像用トナー。
【0019】
〔6〕 トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕の何れか1項記載の静電潜像現像用トナー。
【0020】
〔7〕 イエロー、マゼンタ、シアンの有彩色トナーと黒色トナーとを組み合わせてカラー画像を形成するための画像形成方法において、各色のトナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーであって、各有彩色トナーの再分散導電度と黒色トナーの再分散導電度との差が、0.8〜12μS/cmであり、黒色トナー500個当たりのトナー表面に遊離した着色剤粒子が9個未満、且つ黒色トナーの再分散液の500nmにおける吸光度が0.08以下であることを特徴とす画像形成方法。
【0021】
〔8〕 イエロートナーの再分散導電度をρy、マゼンタトナーの再分散導電度をρm、シアントナーの再分散導電度をρc、およびの黒色トナー再分散導電度をρbkとしたとき、ρy>ρbk、ρm>ρbk、ρc>ρbkであることを特徴とする〔7〕記載の画像形成方法。
【0022】
トナーの再分散導電度とは、重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーを洗浄し、トナー表面に残存している界面活性剤等の塩類を除去して乾燥処理後、再び水に分散させ得られたトナーの分散導電度のことをいう。
【0023】
即ち、再分散導電度とは、重合して得られたトナーを水に再分散し、その分散液の電気伝導率を指す。トナーの電気伝導率は、トナーに含有される着色剤粒子の種類のみでなく、そのトナー中における分散性や、トナー粒子表面に残存する界面活性剤等の塩の影響に大きく依存する。
【0024】
尚、着色剤粒子を含有し、重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られた粒子に、シリカ等の外添剤を加えたものをトナーとよぶことがあり、それ以前のものを着色粒子ということがある。しかし、本発明の記述では、特に区別が必要な場合を除き外添剤を加える以前のものもトナーとよんでいる。
【0025】
<トナーの再分散導電度の測定>
トナーの再分散導電度を実際に測定するには、トナー1質量部を20質量部の導電度1.0〜1.5のイオン交換水または蒸留水に添加し、25℃、10分間超音波分散した後、40℃ でさらに10分間程度、超音波分散して得られた水溶性抽出液を導電率計(東亜電波工業社製:CONDUCTIVE METER
CM−11P)を用いて測定する。
【0026】
各色トナーの再分散導電度は、帯電特性を安定させる観点から2〜40μS/cmが好ましく、3〜15μS/cmが特に好ましい。
【0027】
本発明では、各色の分散導電度の差が、0.8〜12μS/cmであるカラートナーを用いるが、好ましくは2〜10μS/cm、さらには4〜8μS/cmが好ましい。再分散導電度の差が12μS/cmより大きくては、高温高湿下で色差、色バランスが崩れ、0.8μS/cmより小さいと、元来(半)導電性の着色剤を使用した黒色トナーと絶縁性の着色剤を使用した有彩色トナーの間に特に湿度による環境によって現像量差が出来、黒色トナーの墨入れ効果が変動し、その結果画像品質を低下させる。
【0028】
本発明の再分散導電度の差は、特に、各有彩色のトナーの再分散導電度と、黒色トナーの再分散導電度との差をいうものである。具体的にはイエローと黒色トナー、マゼンタトナーを黒色トナー、シアントナーと黒色トナーの再分散導電度の差を示すものである。本発明ではイエロートナーの再分散導電度をρy、マゼンタトナーの再分散導電度をρm、シアントナーの再分散導電度をρc、およびの黒色トナー再分散導電度をρbkとしたとき、ρy>ρbk、ρm>ρbk、ρc>ρbkであるカラートナーを用いることが好ましい。上記の関係の時、各色トナーの現像量の環境差が縮小し、黒色トナーの安定した墨入れ効果が得られる。
【0029】
〈黒色トナーの再分散液の500nmにおける吸光度〉
トナーの再分散導電度と同様、トナー1質量部を20質量部の導電度1.0〜1.5のイオン交換水または蒸留水に添加し、25℃、10分間超音波分散した後、40℃でさらに10分間程度、超音波分散して得られた水溶性抽出液の波長500nmにおける吸光度を分光光度計にて測定したものをいう。なお、吸光度のリファレンスは、抽出に用いたイオン交換水あるいは蒸留水を用いて測定する。
【0030】
本発明に当たっての検討において、吸光度が0.08以下がよいことがわかった。吸光度のより好ましい値は0.01以下である。
【0031】
〈黒色トナー500個当たりのトナー表面に遊離した着色剤粒子個数〉
トナー表面を電界効果型走査電子顕微鏡JSM6400F(日本電子社製)にてトナー500個を観察し、表面に存在するカーボンブラック粒子の個数をカウントする。
【0032】
本発明の目的に対する検討の中で、高い導電性を有する黒色の着色剤を表面に多く存在させないことで、帯電の環境依存性を最小限に抑制することができ、実用上は9個未満が好ましいことがわかった。好ましくは7個以下、特に好ましくは0〜3個である。
【0033】
トナーの再分散導電度、黒色トナー上の遊離着色剤量は、重合条件、塩析/会合条件、重合、会合液中の界面活性剤の種類、および界面活性剤濃度、洗浄条件、乾燥条件により制御可能である。そのうち、もっとも容易であるのは、一旦乾燥工程を経た着色粒子を再びイオン交換水中に分散させ、再び乾燥させる操作を繰り返すことで適正なものを製造可能である。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に用いられる各種構成材料、画像形成方法等を更に説明する。
【0035】
(トナー製造方法)
本発明のトナーは、具体的には懸濁重合法により、または、乳化重合、ミニエマルション重合によって得られた樹脂粒子を塩析/凝集して得られたものを用いることができる。
【0036】
懸濁重合法により作製する場合は、例えば下記のごとくして行う。重合性単量体中に着色剤や必要に応じて離型剤、荷電制御剤、さらに重合開始剤等の各種構成材料を添加し、ホモジナイザー、サンドミル、サンドグラインダー、超音波分散機などで重合性単量体に各種構成材料を溶解あるいは分散させる。この各種構成材料が溶解あるいは分散された重合性単量体を分散安定剤を含有した水系媒体中にホモミキサーやホモジナイザーなどを使用しトナーとしての所望の大きさの油滴に分散させる。その後、撹拌機構が2段の撹拌翼である反応装置(撹拌装置)へ移し、加熱することで重合反応を進行させる。反応終了後、分散安定剤を除去し、濾過、洗浄し、さらに乾燥することでトナーを調製する。なお、本発明でいうところの「水系媒体」とは、少なくとも水が50質量%以上含有されたものを示す。
【0037】
また、本発明のトナーは、乳化重合、ミニエマルジョン重合によって得られた樹脂粒子を塩析/凝集して得ることも出来る。
【0038】
この方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、特開平5−265252号公報や特開平6−329947号公報、特開平9−15904号公報に示す方法を挙げることができる。すなわち、樹脂粒子と着色剤などの構成材料の分散粒子、あるいは樹脂および着色剤等より構成される微粒子を複数個会合させる方法、特に水中にてこれらを乳化剤を用いて分散した後に、臨界凝集濃度以上の凝集剤を加え塩析させると同時に、形成された重合体自体のガラス転移点温度以上で加熱融着させて融着粒子を形成しつつ徐々に粒径を成長させ、目的の粒径となったところで水を多量に加えて粒径成長を停止し、さらに加熱、撹拌しながら粒子表面を平滑にして形状を制御し、その粒子を含水状態のまま流動状態で加熱乾燥することにより、トナーを形成することができる。なお、ここにおいて凝集剤と同時に水に対して無限溶解する溶媒を加えてもよい。
【0039】
本発明に係るトナーの製造方法の一例を以下に示す。
トナーの製造工程は、例えば、以下に示す工程より構成されている。
【0040】
1:離型剤及び最外層以外の領域(中心部または中間層)に含有されている複合樹脂粒子を得るための多段重合工程(I)
2:複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/凝集させてトナー粒子を得る塩析/凝集工程(II)
3:トナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別し、当該トナー粒子から界面活性剤などを除去する濾過・洗浄工程
4:洗浄処理されたトナー粒子を乾燥する乾燥工程、
5:乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程
から構成される。
【0041】
上記の工程順にほぼ沿って、以下、各工程について詳細に説明する。
〔多段重合工程(I)〕
多段重合工程(I)は、樹脂粒子の表面に、単量体の重合体からなる被覆層を形成する多段重合法により、複合樹脂粒子を製造する工程である。
【0042】
本発明においては、製造の安定性および得られるトナーの破砕強度の観点から三段重合以上の多段重合法を採用することが好ましい。
【0043】
以下に、多段重合法の代表例である二段重合法および三段重合法について説明する。
【0044】
〈二段重合法〉
二段重合法は、離型剤を含有する高分子量樹脂から形成される中心部(核)と、低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0045】
この方法を具体的に説明すると、先ず、離型剤を単量体に溶解させて単量体溶液を調製し、この単量体溶液を水系媒体(例えば、界面活性剤水溶液)中に油滴分散させた後、この系を重合処理(第1段重合)することにより、離型剤を含む高分子量の樹脂粒子(重合体粒子)の分散液を調製するものである。
【0046】
次いで、この樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体Lとを添加し、樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第2段重合)を行うことにより、樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂(重合体)からなる被覆層を形成する方法である。
【0047】
〈三段重合法〉
三段重合法は、高分子量樹脂から形成される中心部(核)、離型剤を含有する中間層及び低分子量樹脂から形成される外層(殻)とにより構成される複合樹脂粒子を製造する方法である。
【0048】
この方法を具体的に説明すると、先ず、常法に従った重合処理(第1段重合)により得られた樹脂粒子の分散液を、水系媒体(例えば、界面活性剤の水溶液)に添加するとともに、上記水系媒体中に、離型剤を単量体Mに溶解させてなる単量体溶液を油滴分散させた後、この系を重合処理(第2段重合)することにより、樹脂粒子(核粒子)の表面に、離型剤を含有する樹脂(単量体の重合体)からなる被覆層(中間層)を形成して、複合樹脂粒子(高分子量樹脂−中間分子量樹脂)の分散液を調製する。
【0049】
次いで、得られた複合樹脂粒子の分散液に、重合開始剤と低分子量樹脂を得るための単量体とを添加し、複合樹脂粒子の存在下で単量体を重合処理(第3段重合)することにより、複合樹脂粒子の表面に、低分子量の樹脂からなる被覆層を形成する。上記方法において、第2段重合を組み入れることにより、離型剤を微細かつ均一に分散することができ好ましい。
【0050】
本発明に係るトナーの製造方法においては、重合性単量体を水系媒体中で重合することが1つの特徴である。実際には、離型剤を含有する樹脂粒子(核粒子)または被覆層(中間層)を形成する際に、離型剤を単量体に溶解させ、得られる単量体溶液を水系媒体中で油滴分散させ、この系に重合開始剤を添加して重合処理することにより、ラテックス粒子として得る方法である。
【0051】
本発明でいう水系媒体とは、水50〜100質量%と水溶性の有機溶媒0〜50質量%とからなる媒体をいう。水溶性の有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン等を例示することができ、得られる樹脂を溶解しないアルコール系有機溶媒が好ましい。
【0052】
離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するために好適な重合法としては、臨界ミセル濃度以下の濃度の界面活性剤を溶解してなる水系媒体中に、離型剤を単量体に溶解した単量体溶液を、機械的エネルギーを利用して油滴分散させて分散液を調製し、得られた分散液に水溶性重合開始剤を添加して、油滴内でラジカル重合させる方法(以下、本発明では「ミニエマルジョン法」という。)を挙げることができ、本発明の効果をより発揮することができ好ましい。なお、上記方法において、水溶性重合開始剤に代えて、あるいは水溶性重合開始剤と共に、油溶性重合開始剤を用いても良い。
【0053】
機械的に油滴を形成するミニエマルジョン法によれば、通常の乳化重合法とは異なり、油相に溶解させた離型剤が脱離することがなく、形成される樹脂粒子または被覆層内に十分な量の離型剤を導入することができる。
【0054】
ここで、機械的エネルギーによる油滴分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、例えば、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)、超音波分散機、機械式ホモジナイザー、マントンゴーリンおよび圧力式ホモジナイザーなどを挙げることができる。また、分散粒子径としては、10〜1000nmとされ、好ましくは50〜1000nm、更に好ましくは30〜300nmである。
【0055】
なお、離型剤を含有する樹脂粒子または被覆層を形成するための他の重合法として、乳化重合法、懸濁重合法、シード重合法などの公知の方法を採用することもできる。また、これらの重合法は、複合樹脂粒子を構成する樹脂粒子(核粒子)または被覆層であって、離型剤及び結晶性ポリエステルを含有しないものを得るためにも採用することができる。
【0056】
この重合工程(I)で得られる複合樹脂粒子の粒子径は、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定される質量平均粒径で10〜1000nmの範囲にあることが好ましい。
【0057】
また、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)は48〜74℃の範囲にあることが好ましく、更に好ましくは52〜64℃である。
【0058】
また、複合樹脂粒子の軟化点は95〜140℃の範囲にあることが好ましい。
〔塩析/凝集工程(II)〕
この塩析/凝集工程(II)は、前記多段重合工程(I)によって得られた複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/凝集させる(塩析と融着とを同時に起こさせる)ことによって、不定形(非球形)のトナー粒子を得る工程である。
【0059】
本発明でいう塩析/凝集とは、塩析(粒子の凝集)と融着(粒子間の界面消失)とが同時に起こること、または、塩析と融着とを同時に起こさせる行為をいう。塩析と融着とを同時に行わせるためには、複合樹脂粒子を構成する樹脂のガラス転移温度(Tg)以上の温度条件下において粒子(複合樹脂粒子、着色剤粒子)を凝集させる必要がある。
【0060】
この塩析/凝集工程(II)では、複合樹脂粒子および着色剤粒子とともに、荷電制御剤などの内添剤粒子(数平均一次粒子径が10〜1000nm程度の微粒子)を塩析/凝集させてもよい。また、着色剤粒子は、表面改質されていてもよく、表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができる。
【0061】
着色剤粒子は、水性媒体中に分散された状態で塩析/凝集処理が施される。着色剤粒子が分散される水性媒体は、臨界ミセル濃度(CMC)以上の濃度で界面活性剤が溶解されている水溶液が好ましい。
【0062】
着色剤粒子の分散処理に使用する分散機は、特に限定されないが、好ましくは、高速回転するローターを備えた撹拌装置「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム・テクニック社製)、超音波分散機、機械的ホモジナイザー、マントンゴーリン、圧力式ホモジナイザー等の加圧分散機、ゲッツマンミル、ダイヤモンドファインミル等の媒体型分散機が挙げられる。
【0063】
複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/凝集させるためには、複合樹脂粒子および着色剤粒子が分散している分散液中に、臨界凝集濃度以上の塩析剤(凝集剤)を添加するとともに、この分散液を、複合樹脂粒子のガラス転移温度(Tg)以上に加熱することが必要である。
【0064】
塩析/凝集させるために好適な温度範囲としては、(Tg+10℃)〜(Tg+50℃)とされ、特に好ましくは(Tg+15℃)〜(Tg+40℃)とされる。また、融着を効果的に行なわせるために、水に無限溶解する有機溶媒を添加してもよい。
【0065】
〔濾過・洗浄工程〕
この濾過・洗浄工程では、上記の工程で得られたトナー粒子の分散系から当該トナー粒子を濾別する濾過処理と、濾別されたトナー粒子(ケーキ状の集合物)から界面活性剤や塩析剤などの付着物を除去する洗浄処理とが施される。
【0066】
ここに、濾過処理方法としては、遠心分離法、ヌッチェ等を使用して行う減圧濾過法、フィルタープレス等を使用して行う濾過法など特に限定されるものではない。
【0067】
〔乾燥工程〕
この工程は、洗浄処理されたトナー粒子を乾燥処理する工程である。
【0068】
この工程で使用される乾燥機としては、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機などを挙げることができ、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などを使用することが好ましい。
【0069】
乾燥処理されたトナー粒子の水分は、5質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは2質量%以下とされる。
【0070】
なお、乾燥処理されたトナー粒子同士が、弱い粒子間引力で凝集している場合には、当該凝集体を解砕処理してもよい。ここに、解砕処理装置としては、ジェットミル、ヘンシェルミキサー、コーヒーミル、フードプロセッサー等の機械式の解砕装置を使用することができる。
【0071】
本発明のトナーは、着色剤の不存在下において複合樹脂粒子を形成し、当該複合樹脂粒子の分散液に着色剤粒子の分散液を加え、当該複合樹脂粒子と着色剤粒子とを塩析/凝集させることにより調製されることが好ましい。
【0072】
このように、複合樹脂粒子の調製を着色剤の存在しない系で行うことにより、複合樹脂粒子を得るための重合反応が阻害されることがない。このため、本発明のトナーによれば、優れた耐オフセット性が損なわれることはなく、トナーの蓄積による定着装置の汚染や画像汚れを発生させることはない。
【0073】
また、複合樹脂粒子を得るための重合反応が確実に行われる結果、得られるトナー粒子中に単量体やオリゴマーが残留するようなことはなく、当該トナーを使用する画像形成方法の熱定着工程において、異臭を発生させることがない。
【0074】
さらに、得られるトナー粒子の表面特性は均質であり、帯電量分布もシャープとなるため、鮮鋭性に優れた画像を長期にわたり形成することができる。このようなトナー粒子間における組成・分子量・表面特性が均質であるトナーによれば、接触加熱方式による定着工程を含む画像形成方法において、記録材(記録紙等、画像支持体ということもある)に対する良好な接着性(高い定着強度)を維持しながら、耐オフセット性および巻き付き防止特性の向上を図ることができ、適度の光沢を有する画像を得ることができる。
【0075】
次に、トナー製造工程で用いられる各構成材料について、詳細に説明する。
(重合性単量体)
本発明に用いられる樹脂(バインダー)を造るための重合性単量体としては、疎水性単量体を必須の構成成分とし、必要に応じて架橋性単量体が用いられる。また、下記するごとく酸性極性基を有する単量体又は塩基性極性基を有するモノマーを少なくとも1種類含有するのが望ましい。
【0076】
(1)疎水性単量体
単量体成分を構成する疎水性単量体としては、特に限定されるものではなく従来公知の単量体を用いることができる。また、要求される特性を満たすように、1種または2種以上のものを組み合わせて用いることができる。
【0077】
具体的には、モノビニル芳香族系単量体、(メタ)アクリル酸エステル系単量体、ビニルエステル系単量体、ビニルエーテル系単量体、モノオレフィン系単量体、ジオレフィン系単量体、ハロゲン化オレフィン系単量体等を用いることができる。
【0078】
ビニル芳香族系単量体としては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロロスチレン、p−エチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、3,4−ジクロロスチレン等のスチレン系単量体およびその誘導体が挙げられる。
【0079】
アクリル系単量体としては、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ヘキシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、β−ヒドロキシアクリル酸エチル、γ−アミノアクリル酸プロピル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル等が挙げられる。
【0080】
ビニルエステル系単量体としては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル等が挙げられる。
【0081】
ビニルエーテル系単量体としては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルフェニルエーテル等が挙げられる。
【0082】
モノオレフィン系単量体としては、エチレン、プロピレン、イソブチレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン等が挙げられる。
【0083】
ジオレフィン系単量体としては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等が挙げられる。
【0084】
(2)架橋性単量体
樹脂粒子の特性を改良するために架橋性単量体を添加しても良い。架橋性単量体としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、ジビニルエーテル、ジエチレングリコールメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、フタル酸ジアリル等の不飽和結合を2個以上有するものが挙げられる。
【0085】
(3)酸性極性基を有する単量体
酸性極性基を有する単量体としては、(a)カルボキシル基(−COOH)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物及び(b)スルホン基(−SO3H)を有するα,β−エチレン性不飽和化合物を挙げることができる。
【0086】
(a)の−COOH基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、フマール酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、マレイン酸モノブチルエステル、マレイン酸モノオクチルエステル、およびこれらのNa、Zn等の金属塩類等を挙げることができる。
【0087】
(b)の−SO3H基を有するα,β−エチレン性不飽和化合物の例としてはスルホン化スチレン、そのNa塩、アリルスルホコハク酸、アリルスルホコハク酸オクチル、そのNa塩等を挙げることができる。
【0088】
(4)塩基性極性基を有する単量体
塩基性極性基を有する単量体としては、(i)アミン基或いは4級アンモニウム基を有する炭素原子数1〜12、好ましくは2〜8、特に好ましくは2の脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステル、(ii)(メタ)アクリル酸アミド或いは随意N上で炭素原子数1〜18のアルキル基でモノ又はジ置換された(メタ)アクリル酸アミド、(iii)Nを環員として有する複素環基で置換されたビニール化合物及び(iv)N,N−ジアリル−アルキルアミン或いはその四級アンモニウム塩を例示することができる。中でも、(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルが塩基性極性基を有する単量体として好ましい。
【0089】
(i)のアミン基或いは四級アンモニウム基を有する脂肪族アルコールの(メタ)アクリル酸エステルの例としては、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、上記4化合物の四級アンモニウム塩、3−ジメチルアミノフェニルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−メタクリルオキシプロピルトリメチルアンモニウム塩等を挙げることができる。
【0090】
(ii)の(メタ)アクリル酸アミド或いはN上で随意モノ又はジアルキル置換された(メタ)アクリル酸アミドとしては、アクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N−ジブチルアクリルアミド、ピペリジルアクリルアミド、メタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−オクタデシルアクリルアミド等を挙げることができる。
【0091】
(iii)のNを環員として有する複素環基で置換されたビニル化合物としては、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニル−N−メチルピリジニウムクロリド、ビニル−N−エチルピリジニウムクロリド等を挙げることができる。
【0092】
(iv)のN,N−ジアリル−アルキルアミンの例としては、N,N−ジアリルメチルアンモニウムクロリド、N,N−ジアリルエチルアンモニウムクロリド等を挙げることができる。
【0093】
(重合開始剤)
本発明に用いられるラジカル重合開始剤は、水溶性であれば適宜使用が可能である。例えば、過硫酸塩(例えば、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等)、アゾ系化合物(例えば、4,4′−アゾビス4−シアノ吉草酸及びその塩、2,2′−アゾビス(2−アミジノプロパン)塩等)、パーオキシド化合物等が挙げられる。更に、上記ラジカル性重合開始剤は、必要に応じて還元剤と組み合わせレドックス系開始剤とする事が可能である。レドックス系開始剤を用いることにより、重合活性が上昇し、重合温度の低下が図れ、更に重合時間の短縮が達成でき好ましい。
【0094】
重合温度は、重合開始剤の最低ラジカル生成温度以上であればどの温度を選択しても良いが例えば50℃から90℃の範囲が用いられる。但し、常温開始の重合開始剤、例えば過酸化水素−還元剤(アスコルビン酸等)の組み合わせを用いる事で、室温またはそれ以上の温度で重合する事も可能である。
【0095】
(連鎖移動剤)
分子量を調整することを目的として、公知の連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタン等のメルカプト基を有する化合物が用いられる。特に、メルカプト基を有する化合物は、加熱定着時の臭気を抑制し、分子量分布がシャープであるトナーが得られ、保存性、定着強度、耐オフセット性に優れるため好ましく用いられ、好ましいものとしては、例えば、チオグリコール酸エチル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸プロピル、チオグリコール酸ブチル、チオグリコール酸t−ブチル、チオグリコール酸2−エチルヘキシル、チオグリコール酸オクチル、チオグリコール酸デシル、チオグリコール酸ドデシル、エチレングリコールのメルカプト基を有する化合物、ネオペンチルグリコールのメルカプト基を有する化合物、ペンタエリストールのメルカプト基を有する化合物を挙げることができる。このうち、トナー加熱定着時の臭気を抑制する観点で、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステルが、特に好ましい。
【0096】
(界面活性剤)
前述の重合性単量体を使用して、特にミニエマルジョン重合を行うためには、界面活性剤を使用して水系媒体中に油滴分散を行うことが好ましい。この際に使用することのできる界面活性剤としては、特に限定されるものでは無いが、下記のイオン性界面活性剤を好適な化合物の例として挙げることができる。
【0097】
イオン性界面活性剤としては、例えば、スルホン酸塩(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アリールアルキルポリエーテルスルホン酸ナトリウム、3,3−ジスルホンジフェニル尿素−4,4−ジアゾ−ビス−アミノ−8−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム、オルト−カルボキシベンゼン−アゾ−ジメチルアニリン、2,2,5,5−テトラメチル−トリフェニルメタン−4,4−ジアゾ−ビス−β−ナフトール−6−スルホン酸ナトリウム等)、硫酸エステル塩(ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナトリウム、ペンタデシル硫酸ナトリウム、オクチル硫酸ナトリウム等)、脂肪酸塩(オレイン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリル酸ナトリウム、カプロン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、オレイン酸カルシウム等)が挙げられる。
【0098】
また、ノニオン性界面活性剤も使用することができる。具体的には、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドとポリエチレンオキサイドの組み合わせ、ポリエチレングリコールと高級脂肪酸とのエステル、アルキルフェノールポリエチレンオキサイド、高級脂肪酸とポリエチレングリコールのエステル、高級脂肪酸とポリプロピレンオキサイドのエステル、ソルビタンエステル等をあげることができる。
【0099】
本発明において、これら界面活性剤は、主に乳化重合時の乳化剤として使用されるが、他の工程または他の目的で使用してもよい。
【0100】
(樹脂粒子、トナーの分子量分布)
本発明のトナーは、ピークまたは肩が100,000〜1,000,000、および1,000〜50,000に存在することが好ましく、さらにピークまたは肩が100,000〜1,000,000、25,000〜150,000及び1,000〜50,000に存在することがさらに好ましい。
【0101】
樹脂粒子の分子量は、100,000〜1,000,000の領域にピークもしくは肩を有する高分子量成分と、1,000から50,000未満の領域にピークもしくは肩を有する低分子量成分の両成分を少なくとも含有する樹脂が好ましい。さらに好ましくは、ピーク分子量で15,000〜100,000の部分にピーク又は肩を有する中間分子量体の樹脂を使用することが好ましい。
【0102】
トナーあるいは樹脂の分子量測定方法は、THF(テトラヒドロフラン)を溶媒としたGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)による測定がよい。すなわち、測定試料0.5〜5mg、より具体的には1mgに対してTHFを1.0ml加え、室温にてマグネチックスターラーなどを用いて撹拌を行い、充分に溶解させる。ついで、ポアサイズ0.45〜0.50μmのメンブランフィルターで処理した後に、GPCへ注入する。GPCの測定条件は、40℃にてカラムを安定化させ、THFを毎分1.0mlの流速で流し、1mg/mlの濃度の試料を約100μl注入して測定する。カラムは、市販のポリスチレンジェルカラムを組み合わせて使用することが好ましい。例えば、昭和電工社製のShodex GPC KF−801、802、803、804、805、806、807の組合せや、東ソー社製のTSKgelG1000H、G2000H、G3000H、G4000H、G5000H、G6000H、G7000H、TSKguard columnの組合せなどを挙げることができる。又、検出器としては、屈折率検出器(IR検出器)、あるいはUV検出器を用いるとよい。試料の分子量測定では、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて作成した検量線を用いて算出する。検量線作成用のポリスチレンとしては10点程度用いるとよい。
【0103】
(凝集剤)
本発明で用いられる凝集剤は、金属塩の中から選択されるものが好ましい。
【0104】
金属塩としては、一価の金属、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属の塩、二価の金属、例えばカルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属の塩、マンガン、銅等の二価の金属塩、鉄、アルミニウム等の三価の金属塩等が挙げられる。
【0105】
これら金属塩の具体的な例を以下に示す。一価の金属の金属塩の具体例として、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、二価の金属の金属塩として塩化カルシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン等が挙げられる。三価の金属塩としては、塩化アルミニウム、塩化鉄等が挙げられる。これらは、目的に応じて適宜選択される。一般的には一価の金属塩より二価の金属塩のほうが臨界凝集濃度(凝析値或いは凝析点)が小さく、更に三価の金属塩の臨界凝集濃度は小さい。
【0106】
本発明で言う臨界凝集濃度とは、水性分散液中の分散物の安定性に関する指標であり、凝集剤を添加し、凝集が起こる点の濃度を示している。この臨界凝集濃度は、ラテックス自身及び分散剤により大きく変化する。例えば、岡村誠三他著高分子化学17,601(1960)等に記述されており、これらの記載に従えば、その値を知ることが出来る。又、別の方法として、目的とする粒子分散液に所望の塩を濃度を変えて添加し、その分散液のζ電位を測定し、ζ電位が変化し出す点の塩濃度を臨界凝集濃度とすることも可能である。
【0107】
本発明では、金属塩を用いて臨界凝集濃度以上の濃度になるように重合体微粒子分散液を処理する。この時、当然の事ながら、金属塩を直接加えるか、水溶液として加えるかは、その目的に応じて任意に選択される。水溶液として加える場合には、重合体粒子分散液の容量と金属塩水溶液の総容量に対し、添加した金属塩が重合体粒子の臨界凝集濃度以上になる必要がある。
【0108】
本発明における凝集剤たる金属塩の濃度は、臨界凝集濃度以上であれば良いが、好ましくは臨界凝集濃度の1.2倍以上、更に好ましくは1.5倍以上添加される。
【0109】
(着色剤)
本発明のトナーを構成する着色剤(複合樹脂粒子との塩析/凝集に供される着色剤粒子)としては、各種の無機顔料、有機顔料、染料を挙げることができる。無機顔料としては、従来公知のものを用いることができる。具体的な無機顔料を以下に例示する。
【0110】
黒色の顔料としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラック等のカーボンブラック、更にマグネタイト、フェライト等の磁性粉も用いられる。
【0111】
これらの無機顔料は所望に応じて単独または複数を選択併用する事が可能である。また顔料の添加量は重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0112】
有機顔料及び染料としても従来公知のものを用いることができる。具体的な有機顔料及び染料を以下に例示する。
【0113】
マゼンタまたはレッド用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222等が挙げられる。
【0114】
オレンジまたはイエロー用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー180、C.I.ピグメントイエロー185、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156等が挙げられる。
【0115】
グリーンまたはシアン用の顔料としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:2、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントグリーン7等が挙げられる。
【0116】
また、染料としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ソルベントブルー25、同36、同60、同70、同93、同95等を用いることができ、またこれらの混合物も用いることができる。
【0117】
これらの有機顔料及び染料は、所望に応じて、単独または複数を選択併用することが可能である。また、顔料の添加量は、重合体に対して2〜20質量%であり、好ましくは3〜15質量%が選択される。
【0118】
本発明のトナーを構成する着色剤(着色剤粒子)は、表面改質されていてもよい。表面改質剤としては、従来公知のものを使用することができ、具体的にはシランカップリング剤、チタンカップリング剤、アルミニウムカップリング剤等を好ましく用いることができる。シランカップリング剤としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等のアルコキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン等のシロキサン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ウレイドプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。チタンカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクト」と称する商品名で市販されているTTS、9S、38S、41B、46B、55、138S、238S等、日本曹達社製の市販品A−1、B−1、TOT、TST、TAA、TAT、TLA、TOG、TBSTA、A−10、TBT、B−2、B−4、B−7、B−10、TBSTA−400、TTS、TOA−30、TSDMA、TTAB、TTOP等が挙げられる。アルミニウムカップリング剤としては、例えば、味の素社製の「プレンアクトAL−M」等が挙げられる。
【0119】
これらの表面改質剤の添加量は、着色剤に対して0.01〜20質量%であることが好ましく、更に好ましくは0.1〜5質量%とされる。
【0120】
着色剤粒子の表面改質法としては、着色剤粒子の分散液中に表面改質剤を添加し、この系を加熱して反応させる方法を挙げることができる。
【0121】
表面改質された着色剤粒子は、濾過により採取され、同一の溶媒による洗浄処理と濾過処理が繰り返された後、乾燥処理される。
【0122】
(離型剤)
本発明に使用されるトナーは、離型剤を内包した樹脂粒子を水系媒体中に於いて融着させたトナーであることが好ましい。この様に樹脂粒子中に離型剤を内包させた樹脂粒子を着色剤粒子と水系媒体中で塩析/凝集させることで、微細に離型剤が分散されたトナーを得ることができる。
【0123】
本発明のトナーでは、離型剤として、低分子量ポリプロピレン(数平均分子量1500〜9000)や低分子量ポリエチレン等が好ましく、特に好ましくは、下記式で表されるエステル系化合物である。
【0124】
R1−(OCO−R2)n
式中、nは1〜4の整数、好ましくは2〜4、さらに好ましくは3〜4、特に好ましくは4である。R1、R2は、各々置換基を有しても良い炭化水素基を示す。R1は、炭素数1〜40、好ましくは1〜20、さらに好ましくは2〜5がよい。R2は、炭素数1〜40、好ましくは16〜30、さらに好ましくは18〜26がよい。
【0125】
次に代表的な化合物の例を以下に示す。
【0126】
【化1】
【0127】
【化2】
【0128】
上記化合物の添加量は、トナー全体に対し1〜30質量%、好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
【0129】
(荷電制御剤)
トナーは、着色剤、離型剤以外にトナー用構成材料として種々の機能を付与することのできる材料を添加することができる。具体的には、荷電制御剤等が挙げられる。これらの成分は前述の塩析/凝集段階で樹脂粒子と着色剤粒子と同時に添加し、トナー中に包含する方法、樹脂粒子自体に添加する方法等種々の方法で添加することができる。
【0130】
荷電制御剤は、種々の公知のもので、且つ水中に分散することができるものを使用することができる。具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸または高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体等が挙げられる。
【0131】
(外添剤)
本発明のトナーには、流動性の改良やクリーニング性の向上などの目的で、いわゆる外添剤を添加して使用することができる。これら外添剤としては特に限定されるものでは無く、種々の無機微粒子、有機微粒子及び滑剤を使用することができる。
【0132】
外添剤として使用できる無機微粒子としては、従来公知のものを挙げることができる。具体的には、シリカ微粒子、チタン微粒子、アルミナ微粒子等を好ましく用いることができる。これら無機微粒子は疎水性であることが好ましい。
【0133】
シリカ微粒子の具体例としては、日本アエロジル社製の市販品R−805、R−976、R−974、R−972、R−812、R−809、ヘキスト社製のHVK−2150、H−200、キャボット社製の市販品TS−720、TS−530、TS−610、H−5、MS−5等が挙げられる。
【0134】
チタン微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品T−805、T−604、テイカ社製の市販品MT−100S、MT−100B、MT−500BS、MT−600、MT−600SS、JA−1、富士チタン社製の市販品TA−300SI、TA−500、TAF−130、TAF−510、TAF−510T、出光興産社製の市販品IT−S、IT−OA、IT−OB、IT−OC等が挙げられる。
【0135】
アルミナ微粒子の具体例としては、例えば、日本アエロジル社製の市販品RFY−C、C−604、石原産業社製の市販品TTO−55等が挙げられる。
【0136】
外添剤として使用できる有機微粒子としては、数平均一次粒子径が10〜2000nm程度の球形の微粒子を挙げることができる。かかる有機微粒子の構成材料としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体などのを挙げることができる。
【0137】
外添剤として使用できる滑剤としては、高級脂肪酸の金属塩を挙げることができる。かかる高級脂肪酸の金属塩の具体例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸銅、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等のステアリン酸金属塩;オレイン酸亜鉛、オレイン酸マンガン、オレイン酸鉄、オレイン酸銅、オレイン酸マグネシウム等のオレイン酸金属塩;パルミチン酸亜鉛、パルミチン酸銅、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸カルシウム等のパルミチン酸金属塩;リノール酸亜鉛、リノール酸カルシウム等のリノール酸金属塩;リシノール酸亜鉛、リシノール酸カルシウムなどのリシノール酸金属塩等が挙げられる。
【0138】
外添剤の添加量としては、トナーに対して0.1〜5質量%程度であることが好ましい。
【0139】
〈外添剤の添加工程〉
この工程は、乾燥処理されたトナー粒子に外添剤を添加する工程である。
【0140】
外添剤を添加するために使用される装置としては、タービュラーミキサー、ヘンシエルミキサー、ナウターミキサー、V型混合機などの種々の公知の混合装置を挙げることができる。
【0141】
(トナー粒子)
本発明のトナーの粒径は、個数平均粒径で3〜10μmであることが好ましく、更に好ましくは3〜8μmとされる。この粒径は、トナーの製造方法において、凝集剤(塩析剤)の濃度や有機溶媒の添加量、融着時間、重合体の組成によって制御することができる。
【0142】
個数平均粒径が3〜10μmであることにより、定着工程において、飛翔して加熱部材に付着しオフセットを発生させる付着力の大きいトナー微粒子が少なくなり、また、転写効率が高くなってハーフトーンの画質が向上し、細線やドット等の画質が向上する。
【0143】
トナーの個数平均粒径は、コールターカウンターTA−II、コールターマルチサイザー、SLAD1100(島津製作所社製レーザー回折式粒径測定装置)等を用いて測定することができる。
【0144】
本発明においては、コールターマルチサイザーを用い、粒度分布を出力するインターフェース(日科機社製)、パーソナルコンピューターを接続して使用した。前記コールターマルチサイザーにおけるアパーチャーとしては、100μmのものを用いて、2μm以上(例えば2〜40μm)のトナーの体積分布を測定して粒度分布および平均粒径を算出した。
【0145】
〈トナー粒子の好ましい形状係数の範囲〉
本発明のトナーの形状係数は、下記式により示されるものであり、トナー粒子の丸さの度合いを示す。
【0146】
形状係数=((最大径/2)2×π)/投影面積
ここに、最大径とは、トナー粒子の平面上への投影像を2本の平行線ではさんだとき、その平行線の間隔が最大となる粒子の幅をいう。また、投影面積とは、トナー粒子の平面上への投影像の面積をいう。本発明では、この形状係数は、走査型電子顕微鏡により2000倍にトナー粒子を拡大した写真を撮影し、ついでこの写真に基づいて「SCANNING IMAGE ANALYZER」(日本電子社製)を使用して写真画像の解析を行うことにより測定した。この際、100個のトナー粒子を使用して本発明の形状係数を上記算出式にて測定したものである。
【0147】
又、角のない粒子とは、トナー粒子の長径をLとすると、L/10を半径Rとする円で、トナー粒子周囲線に対し1点で内接させつつ転がしたとき、その円がトナーの外側に実質的にはめ出さない場合を言う。ここで実質的にはみ出さないとは、はみ出す円が1箇所以下のことをいう。測定個数はトナー粒子100個にておこなった。
【0148】
さらに本発明のトナーとしては、トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であるトナーであることが好ましい。
【0149】
相対度数(m1)と相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることにより、トナー粒子の粒度分布の分散が狭くなるので、当該トナーを画像形成工程に用いることにより選択現像の発生を確実に抑制することができる。
【0150】
本発明において、前記の個数基準の粒度分布を示すヒストグラムは、自然対数lnD(D:個々のトナー粒子の粒径)を0.23間隔で複数の階級(0〜0.23:0.23〜0.46:0.46〜0.69:0.69〜0.92:0.92〜1.15:1.15〜1.38:1.38〜1.61:1.61〜1.84:1.84〜2.07:2.07〜2.30:2.30〜2.53:2.53〜2.76・・・)に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムであり、このヒストグラムは、下記の条件に従って、コールターマルチサイザーにより測定されたサンプルの粒径データを、I/Oユニットを介してコンピュータに転送し、当該コンピュータにおいて、粒度分布分析プログラムにより作成されたものである。
【0151】
〔測定条件〕
1:アパーチャー:100μm
2:サンプル調製法:電解液〔ISOTON R−11(コールターサイエンティフィックジャパン社製)〕50mlに界面活性剤(中性洗剤)を適量加えて撹拌し、これに測定試料10mgを加える。この系を超音波分散機にて1分間分散処理することにより調製する。
【0152】
(現像剤)
本発明のトナーは、一成分現像剤でも二成分現像剤として用いてもよい。
【0153】
一成分現像剤として用いる場合は、非磁性一成分現像剤、あるいはトナー中に0.1〜0.5μm程度の磁性粒子を含有させ磁性一成分現像剤としたものがあげられ、いずれも使用することができる。
【0154】
また、キャリアと混合して二成分現像剤として用いることができる。この場合は、キャリアの磁性粒子として、鉄、フェライト、マグネタイト等の金属、それらの金属とアルミニウム、鉛等の金属との合金等の従来から公知の材料を用いることが出来る。特にフェライト粒子が好ましい。上記磁性粒子は、その体積平均粒径としては15〜100μm、より好ましくは25〜80μmのものがよい。
【0155】
キャリアの体積平均粒径の測定は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0156】
キャリアは、磁性粒子が更に樹脂により被覆されているもの、あるいは樹脂中に磁性粒子を分散させたいわゆる樹脂分散型キャリアが好ましい。コーティング用の樹脂組成としては、特に限定は無いが、例えば、オレフィン系樹脂、スチレン系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、エステル系樹脂或いはフッ素含有重合体系樹脂等が用いられる。また、樹脂分散型キャリアを構成するための樹脂としては、特に限定されず公知のものを使用することができ、例えば、スチレン−アクリル系樹脂、ポリエステル樹脂、フッ素系樹脂、フェノール樹脂等を使用することができる。
【0157】
(画像形成方法)
次に、本発明に係わる画像形成方法を説明する装置の一例としてカラー画像形成装置の断面構成図を示す。図1において、21は潜像担持体である感光体ドラムで、OPC感光体(有機感光体)をドラム基体上に塗布形成したものであり、接地されて図示の時計方向に駆動回転される。22は帯電手段たるスコロトロン帯電器で、感光体ドラム21周面に対し高電位VHの一様な帯電をグリッド電位VGに電位保持されたグリッドとコロナ放電ワイヤによるコロナ放電によって与える。このスコロトロン帯電器による帯電に先だって、前プリントまでの感光体の履歴をなくすために発光ダイオード等を用いたPCL(帯電前除電器)による露光を行って感光体周面の除電をしておくとよい。
【0158】
感光体ドラム21への一様帯電の後、露光手段23により画像信号に基づいた像露光が行われる。露光手段23は図示しないレーザーダイオードを発光光源とし回転するポリゴンミラー131、fθレンズ132、シリンドリカルレンズ133を経て反射ミラー134により光路を曲げられ主走査がなされるものである。
【0159】
感光体ドラム21の回転(副走査)と同期して像露光がなされ潜像が形成される。本例では文字部に対して露光を行い、文字部の方が低電位VLとなるような反転潜像を形成する。
【0160】
感光体ドラム21の周縁には、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒色(K)等のトナーとキャリアとから成る二成分現像剤をそれぞれ内蔵した現像手段24Y、24M、24C、24Kが設けられている。
【0161】
画像形成プロセスを説明すると、先ず1色目として例えばイエローの現像が行われる。通常現像剤はフェライトをコアとしてそのまわりに絶縁性樹脂をコーティングしたキャリアと、ポリエステルを主材料として色に応じた顔料と荷電制御剤、シリカ、酸化チタン等を加えたトナーとからなる。現像剤は層形成手段によって現像スリーブ上に100〜600μmの現像剤層厚に規制されて現像域へと搬送される。
【0162】
現像域における現像スリーブと感光体ドラム21との間隙は現像剤層厚よりも大きい0.2〜1.0mmとして、この間にVACのACバイアスとVDCのDCバイアスが重畳して印加される。VDCとVH、トナーの帯電は同極性であるため、VACによってキャリアから離脱するきっかけを与えられたトナーはVDCより電位の高いVHの部分には付着せず、VDCより電位の低いVL部分に付着し顕像化(反転現像)が行われる。
【0163】
1色目の顕像化が終った後2色目のマゼンタの画像形成行程にはいり、再びスコロトロン帯電器よる一様帯電が行われ、2色目の画像データによる潜像が露光手段23によって形成される。
【0164】
再び感光体ドラム21周面の全面に亘ってVHの電位となった感光体のうち、1色目の画像のない部分に対しては1色目と同様の潜像がつくられ現像が行われるが、1色目の画像がある部分に対し再び現像を行う部分では、1色目の付着したトナーにより遮光とトナー自身のもつ電荷によってVM′の潜像が形成され、VDCとVM′の電位差に応じた現像が行われる。この1色目と2色目の画像の重なりの部分では1色目の現像をVLの潜像をつくって行うと、1色目と2色目とのバランスが崩れるため、1色目の露光量を減らしてVH>VM>VLとなる中間電位VMとすることもある。
【0165】
3色目のシアン、4色目の黒色についても2色目のマゼンタと同様の画像形成行程が行われ、感光体ドラム21周面上には4色の顕像が形成される。
【0166】
一方、給紙カセットより半月ローラを介して搬出された一枚の記録材(記録紙等)Pは、送り出しローラ対を経てレジストローラ対(給紙ローラ)近傍で一旦停止し、転写のタイミングの整った時点でレジストローラの回転作動により転写域へと給紙される。
【0167】
転写域においては転写のタイミングに同期して感光体ドラム21の周面に転写手段が圧接され、給紙された記録材Pを挟着して多色像が一括して転写される。
【0168】
次いで、記録材Pは分離手段によって除電され、感光体ドラム21の周面より分離して定着装置(定着手段)40に搬送され、加熱ローラ(上ローラ)41と加圧ローラ(下ローラ)42の加熱,加圧によってトナーを溶着したのち、排紙ローラを経て装置外部の排紙トレイ上に排出される。なお、前記の転写手段は記録材Pの通過後感光体ドラム21の周面より退避離間して、次なるトナー像の形成に備える。
【0169】
一方、記録材Pを分離した感光体ドラム21は、除電器により除電を受けたのち、クリーニング手段25のブレードの圧接により残留トナーを除去、清掃され、再び前記PCLによる除電とスコロトロン帯電器による帯電を受けて次なる画像形成のプロセスに入る。なお、前記のブレードは感光体面のクリーニング後、直ちに移動して感光体ドラム21の周面より退避する。ブレードによってクリーニング手段25内に掻き落された廃棄トナーは、スクリューにより排出されたのち、図示しない廃トナー回収容器内へ貯留される。
【0170】
本発明に使用される好適な定着方法としては、いわゆる接触加熱方式をあげることができる。特に、接触加熱方式として、熱圧定着方式、さらには熱ロール定着方式および固定配置された加熱体を内包した回動する加圧部材により定着する圧接加熱定着方式をあげることができる。
【0171】
熱ローラー定着方式では、多くの場合表面にテトラフルオロエチレンやポリテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルコキシビニルエーテル共重合体類等を被覆した鉄やアルミニウム等で構成される金属シリンダー内部に熱源を有する上ローラーとシリコーンゴム等で形成された下ローラーとから形成されている。熱源としては、線状のヒーターを有し、上ローラーの表面温度を120〜200℃程度に加熱するものが代表例である。定着部に於いては上ローラーと下ローラー間に圧力を加え、下ローラーを変形させ、いわゆるニップを形成する。ニップ幅としては1〜10mm、好ましくは1.5〜7mmである。定着線速は40mm/sec〜600mm/secが好ましい。ニップが狭すぎる場合には熱を均一にトナーに付与することができなくなり、定着のムラを発生する。一方でニップ幅が広過ぎる場合には樹脂の溶融が促進され、定着オフセットが過多となる問題を発生する。
【0172】
本画像形成装置は定着クリーニングの機構を付与して使用してもよい。この方式としてはシリコーンオイルを定着の上ローラーあるいはフィルムに供給する方式やシリコーンオイルを含浸したパッド、ローラー、ウェッブ等でクリーニングする方法が使用できる。
【0173】
尚、シリコーンオイルとしては、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサン、ポリジフェニルシロキサン等を使用することが出来る。さらに、フッ素を含有するシロキサンも好適に使用することが出来る
具体的構成は例えば図2に示す加熱定着装置の概略図の如くである。
【0174】
表面をPFA(テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体)の被覆層(厚み:120μm)12を有し内径40mmで全幅が310mmの、ヒーター13を中央部に内蔵した円柱状の厚み1.0mmのアルミ合金パイプ11を加熱ローラー(上ローラー)41として有し、表面が同様にスポンジ状シリコーンゴム(アスカーC硬度48、厚み2mm)17で構成された内径40mmの肉厚2.0mmの鉄パイプ16を有する加圧ローラー(下ローラー)42を有している。ニップ幅は5.8mmとした。この定着装置を使用して、印字の線速を250mm/secに設定した。
【0175】
なお、定着装置のクリーニング機構としてポリジフェニルシリコーン(20℃の粘度が10Pa・sのもの)を含浸したウェッブ方式の供給方式を使用した。
【0176】
定着の温度は上ロールの表面温度で制御し、175℃の設定温度とした。なお、シリコーンオイルの塗布量は、0.6mg/A4とする。
【0177】
【実施例】
次に本発明の態様を具体的に実施例を示して説明するが、無論本発明はこれらの態様に限定されるわけではない。尚、文中「部」とは「質量部」を表す。
【0178】
ラテックスの製造
〔ラテックス1HML〕
(1)核粒子の調製(第1段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管、窒素導入装置を取り付けた5000mlのセパラブルフラスコに、下記アニオン系界面活性剤(101)
C10H21(OCH2CH2)20SO4Na 7.08g
をイオン交換水3010gに溶解させた界面活性剤溶液(水系媒体)を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。
【0179】
この界面活性剤溶液に、重合開始剤(過硫酸カリウム;KPS)9.2gをイオン交換水200gに溶解させた開始剤溶液を添加し、温度を75℃とした後、スチレン70.1g、n−ブチルアクリレート19.9g、メタクリル酸10.9gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下し、この系を75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合(第1段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の分散液)を調製した。これを「ラテックス(1H)」とする。
【0180】
(2)中間層の形成(第2段重合)
撹拌装置を取り付けたフラスコ内において、スチレン105.6g、n−ブチルアクリレート30.0g、メタクリル酸6.4g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル5.6gからなる単量体混合液に、前記例示化合物19)で表される化合物(以下、「例示化合物(19)」という。)72.0gを添加し、80℃に加温し溶解させて単量体溶液を調製した。
【0181】
一方、上記アニオン系界面活性剤(101)1.6gをイオン交換水2700mlに溶解させた界面活性剤溶液を80℃に加熱し、この界面活性剤溶液に、核粒子の分散液である前記ラテックス(1H)を固形分換算で28g添加した後、循環経路を有する機械式分散機「クレアミックス(CLEARMIX)」(エム−テクニック社製)により、前記例示化合物(19)の単量体溶液を混合分散させ、均一な分散粒子径(284nm)を有する乳化粒子(油滴)を含む分散液(乳化液)を調製した。
【0182】
次いで、この分散液(乳化液)に、重合開始剤(KPS)5.1gをイオン交換水240mlに溶解させた開始剤溶液と、イオン交換水750mlとを添加し、この系を80℃にて3時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第2段重合)を行い、ラテックス(高分子量樹脂からなる樹脂粒子の表面が中間分子量樹脂により被覆された構造の複合樹脂粒子の分散液)を得た。これを「ラテックス(1HM)」とする。
【0183】
(3)外層の形成(第3段重合)
上記のようにして得られたラテックス(1HM)に、重合開始剤(KPS)7.4gをイオン交換水200mlに溶解させた開始剤溶液を添加し、80℃の温度条件下に、スチレン300g、n−ブチルアクリレート95g、メタクリル酸15.3g、n−オクチル−3−メルカプトプロピオン酸エステル10.4gからなる単量体混合液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたり加熱撹拌することにより重合(第3段重合)を行った後、28℃まで冷却しラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有し、前記中間層に例示化合物(19)が含有されている複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(1HML)」とする。
【0184】
このラテックス(1HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および13,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は122nmであった。
【0185】
〔ラテックス2HML〕
界面活性剤(101)に代えて、アニオン系界面活性剤(ドデシルスルフォン酸ナトリウム:SDS)7.08g を使用したこと以外は上記調製例と同様にして、ラテックス(高分子量樹脂からなる中心部と、中間分子量樹脂からなる中間層と、低分子量樹脂からなる外層とを有する複合樹脂粒子の分散液)を得た。このラテックスを「ラテックス(2HML)」とする。
【0186】
このラテックス(2HML)を構成する複合樹脂粒子は、138,000、80,000および12,000にピーク分子量を有するものであり、また、この複合樹脂粒子の重量平均粒径は110nmであった。
【0187】
〔黒色着色粒子の製造例1Bk〜5Bk、および比較用着色粒子1bk〕
アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイドの付加数3)59.0gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、カーボンブラック「リーガル330」(キャボット社製)420gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液1Bk」という)を調製した。
【0188】
ラテックス1HML420.7g(固形分換算)と、イオン交換水900gと、着色剤分散液1Bkを160gとを、温度センサー、冷却管、窒素導入装置、撹拌装置、粒径および形状のモニタリング装置を取り付けた反応容器に入れ撹拌した。内温を30℃に調整した後、この溶液に5モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを11.0に調整した。
【0189】
次いで、塩化マグネシウム6水和物12.1gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、この系を6〜10分間かけて90±3℃まで昇温した(昇温速度10℃/分)。その状態で、「コールターカウンターTA−II」にて会合粒子の粒径を測定し、体積平均粒径が5.5μmになった時点で、塩化ナトリウム80.4gをイオン交換水1000mlに溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成処理として液温度85±2℃にて0.5〜15時間にわたり加熱撹拌することにより融着を継続させた。
【0190】
その後、8℃/分の条件で30℃まで冷却し、塩酸を添加してpHを2.0に調整し、撹拌を停止した。生成した会合粒子をヌッチェを用いて濾過し、イオン交換水で洗浄し、その後、フラッシュジェットドライヤーを用いて吸気温度60℃にて乾燥させ、ついで流動層乾燥機を用いて60℃の温度で乾燥させ、離型剤例示化合物19)を含有する着色粒子を得た。
【0191】
一旦乾燥後、得られた着色粒子を再び5000mlのイオン交換水に分散させ、濾過、分離する工程を任意に繰り返して、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度、再分散液吸光度からなる着色粒子1Bk〜5Bkおよび比較用着色粒子1bkを得た。
【0192】
〔黒着色粒子製造例6Bk〜10Bk〕
ラテックス1HMLに代えて、複合樹脂粒子にラテックス2HMLを420.7g(固形分換算)使用し、塩析/凝集段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整したこと以外はトナー製造例1Bk〜5Bkと同様にして、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度、再分散液吸光度からなる着色粒子6Bk〜10Bkを得た。
【0193】
(黒色着色粒子製造例11:懸濁重合法の例)
スチレン165g、n−ブチルアクリレート35g、カーボンブラック10g、ジ−t−ブチルサリチル酸金属化合物2g、スチレン−メタクリル酸共重合体8g、パラフィンワックス(mp:70℃)20gを60℃に加温し、TKホモミキサー(特殊機化工業社製)にて12000rpmで均一に溶解、分散した。
【0194】
これに重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−バレロニトリル)を10g加えて溶解させ、重合性単量体組成物を調製した。
【0195】
ついで、イオン交換水710gに0.1モル/L燐酸ナトリウム水溶液450gを加え、TKホモミキサーにて13000rpmで撹拌しながら1.0モル/L塩化カルシウム68gを徐々に加え、燐酸三カルシウムを分散させた懸濁液を調製した。この懸濁液に上記重合性単量体組成物を添加し、TKホモミキサーにて10000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。その後、2段の撹拌翼を持つ反応装置(翼交差角αは45°)を使用し、75〜95℃にて5〜15時間反応させた。塩酸により燐酸三カルシウムを溶解除去し、次に遠心分離機を用いて、遠心沈降法により液中にて分級を行い、ついで濾過、洗浄、乾燥、さらに得られた着色粒子をイオン交換水に再分散させ、洗浄と乾燥する工程を4回繰り返し、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度からなる着色粒子11Bkを得た。
【0196】
〔有彩色着色粒子製造例1Y〜5Y及び12Y〕
アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイドの付加数3)90.0gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、染料(C.I.ソルベントイエロー93)42.0gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(Y)」という。)を調製した。この着色剤分散液(Y)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で250nmであった。
【0197】
着色剤分散液「着色剤分散液1Bk」に代えて着色剤分散液(Y)166gを使用したこと以外はトナー製造例1Bk〜5Bkと同様にして、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度からなる着色粒子1Y〜5Y、およびを着色粒子12Y得た。
【0198】
〔有彩色トナー製造例6Y〜10Y〕
ラテックス1HMLに代えて、複合樹脂粒子としてラテックス2HMLを420.7g(固形分換算)使用し、塩析/凝集段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整したこと以外はトナー製造例1Y〜5Y、および12Yと同様にして、表1に示す形状特性、粒度分布特性および表2に示す分散導電度からなる着色粒子6Y〜10Yを得た。
【0199】
〔有彩色トナー製造例11Y〕
黒色着色粒子製造例11において、カーボンブラックの代わりにC.I.ソルベントイエロー93を使用した以外は同様にして、表1に示す形状特性、粒度分布特性および表2に示す再分散導電度からなる着色粒子11Yを得た。
【0200】
〔有彩色着色粒子製造例1M〜5M、および12M〕
アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイドの付加数3)90gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、顔料(C.I.ピグメントレッド122)26.3gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(M)」という)を調製した。この着色剤分散液(M)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径で221nmであった。
【0201】
着色剤分散液(Bk)に代えて着色剤分散液(M)166gを使用したこと以外はトナー製造例1Bk〜5Bkと同様にして、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度からなる着色粒子1M〜5M、および着色粒子12Mを得た。
【0202】
〔有彩色トナー製造例6M〜10M〕
ラテックス(1HML)に代えて、複合樹脂粒子にラテックス(2HML)420.7g(固形分換算)を使用し、塩析/凝集段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整したこと以外はトナー製造例1M〜5M、および12Mと同様にして、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度からなる着色粒子6M〜10Mを得た。
【0203】
〔有彩色トナー製造例11M〕
黒色トナー製造例11において、カーボンブラックの代わりにC.I.ソルベントイエロー93を使用した以外は同様にして、表1に示す形状特性、粒度分布特性および表2に示す再分散導電度からなる着色粒子11Mを得た。
【0204】
〔有彩色トナー製造例1C〜5C、および12C〕
アニオン系界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイドの付加数3)90gをイオン交換水1600mlに撹拌溶解した。この溶液を撹拌しながら、顔料(C.I.ピグメントブルー15:3)26.3gを徐々に添加し、次いで、「クレアミックス」(エム−テクニック社製)を用いて分散処理することにより、着色剤粒子の分散液(以下、「着色剤分散液(C)」という。)を調製した。この着色剤分散液(C)における着色剤粒子の粒子径を、電気泳動光散乱光度計「ELS−800」(大塚電子社製)を用いて測定したところ、重量平均粒子径は221nmであった。
【0205】
着色剤分散液(Bk)に代えて着色剤分散液(C)166gを使用したこと以外はトナー製造例1Bk〜4Bkと同様にして、表1に示す形状特性、粒度分布特性および表2に示す再分散導電度からなる着色粒子1C〜5C、および着色粒子12Cを得た。
【0206】
〔有彩色トナー製造例6C〜10C〕
ラテックス(1HML)に代えて、複合樹脂粒子にラテックス(2HML)420.7g(固形分換算)を使用し、塩析/凝集段階および形状制御工程のモニタリングにおいて、撹拌回転数、および加熱時間を制御することにより、形状および形状係数の変動係数を制御し、粒径および粒度分布の変動係数を任意に調整したこと以外はトナー製造例1C〜5C、および12Cと同様にして、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度からなる着色粒子6C〜10Cを得た。
【0207】
〔有彩色トナー製造例11C〕
黒色トナー製造例11において、カーボンブラックの代わりにC.I.ソルベントイエロー93を使用した以外は同様にして、表1、2に示す形状特性、粒度分布特性および表3、4に示す再分散導電度からなる着色粒子11Cを得た。
【0208】
【表1】
【0209】
【表2】
【0210】
以上のようにして得られた着色粒子の各々に、疎水性シリカ(数平均一次粒子径10nm、疎水化度63)を1.0質量%となる割合で添加するとともに、疎水性酸化チタン(数平均一次粒子径:25nm、疎水化度:60)を0.8質量%となる割合でそれぞれ添加し、ヘンシェルミキサーにより混合し各々のトナーを得た。
【0211】
なお、これらの着色粒子について、疎水性シリカおよび疎水性酸化チタンの添加によっては、その形状および粒径は変化しない。
【0212】
各トナーの 遊離着色剤数、再分散液吸光度を表3、4に示す。
【0213】
【表3】
【0214】
【表4】
【0215】
現像剤の製造
疎水性シリカおよび疎水性酸化チタンが添加された着色粒子(トナー)の各々と、体積平均粒径30μmのシリコーンコートキャリアとを混合し、トナー濃度が9質量%の現像剤を調製した。
【0216】
評価項目
図1および図2に示す装置により、低温低湿環境下(温度10℃、相対湿度20%)、および高温高湿環境下(温度33℃、相対湿度80%)において、フルカラー画像(Y/M/C/Bkそれぞれの画素率が15%)を形成する実写テストを行うことにより、10%網点の濃度、ライン幅、文字潰れ、微細ドットのチリ、色差、カブリついて評価した。結果を表5に示す。
【0217】
〔測定方法および評価方法〕
(1)10%網点の濃度
20mm×20mmの10%網点画像部について、マクベス反射濃度計「RD−918」を用いて白地部に対する相対画像濃度を測定した。10%網点濃度の評価は、ドットの再現性およびハーフトーンの再現性を評価するために行ったもので、濃度変化が0.10以内であれば画質変化は少なく問題ないといえる。
【0218】
(2)ライン幅
2ドットラインの画像信号に対応するライン画像のライン幅を印字評価システム「RT2000」(ヤーマン社製)によって測定した。1枚目の形成画像のライン幅および20000枚目の形成画像のライン幅の何れもが200μm以下であり、かつ、ライン幅の変化が10μm未満であれば、細線再現性は問題ないといえる。
【0219】
(3)文字つぶれ
3ポイント、5ポイントの文字画像を形成し、下記の判断基準で評価した。
【0220】
◎:3ポイント、5ポイントとも明瞭であり、容易に判読可能
○:3ポイントは、一部判読不能な文字が発生、5ポイントは明瞭であり、容易に判読可能。
【0221】
×:3ポイントは、殆どの文字が判読不能、5ポイントも、一部あるいは全部が判読不能な状態
(4)微細ドットのチリ
二次色(レッド、ブルー、グリーン)画像全面に10%網点画像を形成し、ルーペにてドット周辺のチリを観察した。チリがほとんど検知できないモノを「◎」、微かにチリがあるが、注視しなければ気づかない程度を「○」、チリが容易に検知できるものを「×」とした。
【0222】
(5)色差
1枚目の形成画像および20,000枚目の形成画像各々における二次色(レッド、ブルー、グリーン)のソリッド画像部の色を「Macbeth Color−Eye7000」により測定し、CMC(2:1)色差式を用いて色差を算出した。
【0223】
CMC(2:1)色差式で求められた色差が5以下であれば、形成された画像の色味の変化が許容できる程度といえる。
【0224】
カラートナーの二次色の評価ついては、表3に示すトナーの組み合わせにより画像を形成して評価した。
【0225】
(6)カブリの発生状況:
高温高湿環境下(温度33℃、相対湿度80%)において、フルカラー画像(Y/M/C/Bkそれぞれの画素率が15%)を連続して1000枚印字した後、電源をオフにして2時間休止するモードを100回(合計100,000枚)にわたり繰り返して行い、形成画像を逐次観察して、画像汚れ(カブリ)が認められた時点の枚数で測定した。
【0226】
「◎」は、10万枚まで画像汚れなし、「○」は、5万枚まで画像汚れ成しなし、「△」は、5万枚以下で汚れ発生、「×」2万枚以下で汚れ発生の場合を表示した。
【0227】
【表5】
【0228】
上記表5から明らかな如く、本発明内の実施例1〜11は何れの特性も問題ないことがわかる。一方、本発明外の比較例1〜3は少なくとも何れかの特性に問題がでることがわかる。
【0229】
【発明の効果】
本発明により、画像形成時の温湿度環境が変わっても、常にカブリがなく、微細ドットや細線の再現性が良く、常に一定のカラーバランスを保った画像形成が可能なカラー画像用の静電潜像現像用トナーとそれを用いた画像形成方法を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるカラー画像形成装置の断面構成図。
【図2】本発明に係わる加熱定着装置の概略図。
【符号の説明】
21 感光体ドラム(潜像担持体)
22 帯電手段
23 露光手段
24、24Y、24M、24C、24K 現像手段
25 クリーニング手段
P 記録材(記録紙)
Claims (8)
- イエロー、マゼンタ、シアンの有彩色トナーと黒色トナーとを組み合わせてカラー画像を形成するための静電潜像現像用トナーにおいて、各色のトナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーであって、各有彩色トナーの再分散導電度と黒色トナーの再分散導電度との差が、0.8〜12μS/cmであり、黒色トナー500個当たりのトナー表面に遊離した着色剤粒子が9個未満且つ黒色トナーの再分散液の500nmにおける吸光度が0.08以下であることを特徴とする静電潜像現像用トナー。
- イエロートナーの再分散導電度をρy、マゼンタトナーの再分散導電度をρm、シアントナーの再分散導電度をρc、および黒色トナー再分散導電度をρbkとしたとき、ρy>ρbk、ρm>ρbk、ρc>ρbkであることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記各色のトナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめたのち、塩析/凝集、洗浄して得られるトナーであることを特徴とする請求項1記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記有彩色トナーの個数平均粒径が3〜8μmであり、形状係数が1.2〜1.6の範囲にあるトナー粒子が65個数%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の静電潜像現像用トナー。
- 前記有彩色トナーの個数平均粒径が3〜8μmであり、角がないトナー粒子が50個数%以上であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の静電潜像現像用トナー。
- トナー粒子の粒径をD(μm)とするとき、自然対数lnDを横軸にとり、この横軸を0.23間隔で複数の階級に分けた個数基準の粒度分布を示すヒストグラムにおいて、最頻階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m1)と、前記最頻階級の次に頻度の高い階級に含まれるトナー粒子の相対度数(m2)との和(M)が70%以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の静電潜像現像用トナー。
- イエロー、マゼンタ、シアンの有彩色トナーと黒色トナーとを組み合わせてカラー画像を形成するための画像形成方法において、各色のトナーが少なくとも重合性単量体を水系媒体中で重合せしめて得られるトナーであって、各有彩色トナーの再分散導電度と黒色トナーの再分散導電度との差が、0.8〜12μS/cmであり、黒色トナー500個当たりのトナー表面に遊離した着色剤粒子が9個未満、且つ黒色トナーの再分散液の500nmにおける吸光度が0.08以下であることを特徴とす画像形成方法。
- イエロートナーの再分散導電度をρy、マゼンタトナーの再分散導電度をρm、シアントナーの再分散導電度をρc、およびの黒色トナー再分散導電度をρbkとしたとき、ρy>ρbk、ρm>ρbk、ρc>ρbkであることを特徴とする請求項7記載の画像形成方法。
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