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JP3903801B2 - インフレータの固定方法及び構造並びにエアバッグ装置 - Google Patents

インフレータの固定方法及び構造並びにエアバッグ装置 Download PDF

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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインフレータの固定方法及び固定構造と、この構造により固定されたインフレータを有したエアバッグ装置とに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の高速移動体に設けられるエアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、該エアバッグ及びインフレータを収容したケーシングとを有する。このインフレータをケーシングに固定するために、インフレータをインフレータホルダ内に収容して固定し、このインフレータホルダをボルトによってケーシングに固定することがある。
【0003】
従来のこの種のインフレータ固定方法について第5図を参照して説明する。
【0004】
インフレータ10は略円柱形状であり、その一端面からボルト12が突設されている。また、この一端側にはフランジ14が設けられている。図示はしないが、このインフレータ10の外周面にガス噴出口が設けられている。
【0005】
インフレータホルダ20は、略々半割円筒形の本体部22と、該本体部22の一端側から立設されたエンドプレート24と、該エンドプレート24に設けられたボルト挿通孔26と、本体部22の他端側から立設された環体28と、該本体部22の図の底面部分から突設されたスタッドボルト30とを有する。
【0006】
インフレータ10は、環体28を通って該インフレータホルダ20内に挿入され、そのボルト12がボルト挿通孔26に挿入され、フランジ14がエンドプレート24に当接される。このボルト12にナット32が締め込まれることにより、インフレータ10がインフレータホルダ20に固定される。
【0007】
図示は省略するが、このインフレータホルダ20がエアバッグ装置のケーシング内に配置され、スタッドボルト30がケーシングのボルト挿通孔に挿入され、ナット締めされることにより、インフレータホルダ20がケーシングに固定される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記第5図のインフレータ固定方法及び構造にあっては、インフレータをインフレータホルダに固定するに際し、ボルト12にナット32を締めこむナット締め作業が必要である。
【0009】
本発明は、ナット締め工程が不要であり、インフレータの固定作業効率が良く、またナットが不要であり部品点数も減少したインフレータ固定方法及び構造を提供することを目的とする。また、本発明は、この構造を採用したエアバッグ装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明のインフレータ固定方法は、略円柱形のインフレータ(40)をインフレータホルダ(50)内に収容して固定する方法において、該インフレータホルダ(50)の内面に、インフレータ(40)の周方向に位置が異なる第1,第2及び第3の3箇所の押え部(62,64,66)を設けておき、インフレータホルダ(50)端側から該インフレータ(40)をインフレータホルダ(50)内に挿入し、インフレータ(40)を該第1,第2及び第3の押え部(62,64,66)により外周部から押えつけて固定する方法であって、該インフレータホルダ(50)は、該インフレータ(40)の外周を取り囲む角筒状であり、該インフレータホルダ(50)の長手方向の略中間部に各押え部(62,64,66)が設けられており、各押え部(62,64,66)はインフレータホルダ(50)の内方に突出しており、第1及び第2の押え部(62,64)は略円錐台形状の突起よりなり、第3の押え部(66)は、該インフレータホルダ(50)の長手方向に延在する凸条であり、該第1及び第2の押え部(62,64)同士の間に、該インフレータホルダ(50)の内外を連通する透口(56)が設けられており、インフレータ(40)の中心(C)と各押え部(62,64,66)とを結ぶ線分同士の挟角はいずれも180°よりも小であることを特徴とするものである。
【0011】
かかる本発明のインフレータ固定方法にあっては、インフレータホルダに設けられた3個の押え部によりインフレータを押えるようにしており、ナット及びナット締め工程が不要である。インフレータホルダに固定されたインフレータは、インフレータホルダの周方向の3箇所でインフレータホルダに当接し、且つインフレータの中心と各押え部とを結ぶ線分同士の挟角はいずれも180°よりも小であるので、インフレータにガタツキが生じない。
【0012】
本発明では、第1,第2及び第3の押え部はインフレータホルダの内面から突出している。このようにインフレータホルダの内面から突出した押え部をインフレータに当接させることにより、周方向の3箇所のみをインフレータ外周面に当接させ、インフレータのガタツキを確実に防止することができる。
【0013】
本発明のインフレータ固定方法では、インフレータホルダの一端側から延出片が突設されており、インフレータを該インフレータホルダ内に挿入した後、該延出片を折曲させてインフレータの一端面と対峙させることが好ましい。このように延出片を折曲させることにより、インフレータの長手方向への位置ズレを防止することができる。
【0014】
本発明のインフレータ固定構造は、かかる本発明方法によりインフレータをインフレータホルダに収容して固定したものである。
【0015】
本発明のエアバッグ装置は、折り畳まれたエアバッグと、該エアバッグを膨張させるためのインフレータと、該エアバッグ及びインフレータを収容したケーシングとを有するエアバッグ装置において、インフレータを上記本発明構造によりインフレータホルダに固定し、このインフレータホルダをエアバッグ装置のケーシングに固定したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。第1図は実施の形態を説明する分解斜視図、第2図は第1図のII−II線に沿うインフレータホルダの断面図、第3図は第2図のIII−III線に沿うインフレータホルダの断面図、第4図はエアバッグ装置の断面図である。
【0017】
インフレータ40は、略円柱状であり、一端側(第1図の右端側)にガス噴出口42が設けられている。インフレータホルダ50は、該インフレータ40の外周を取り囲む筒状であり、この実施の形態ではその長手方向と垂直方向の断面が多角形となっている。
【0018】
このインフレータホルダ50は、金属板を所定形状に打抜及びプレス加工した後、角筒状に形成し、第1図〜第3図の底部側において金属板の辺縁部同士をスポット溶接したものである。
【0019】
このインフレータホルダ50の第1〜3図の上面側には、長手方向に間隔をあけて透口52,54,56,58が設けられている。インフレータホルダ50の第1〜3図の底面側には2本のボルト60が外方に突出するように固着されている。
【0020】
インフレータホルダ50の長手方向の略中間部には、インフレータホルダ50の上面側に第1及び第2の押え部62,64が設けられ、底面側に第3の押え部66が設けられている。これらの押え部62,64,66はインフレータホルダ50の内方に突設されている。
【0021】
第1及び第2の押え部62,64は、略円錐台形状の突起よりなるものであり、透口56の端部近傍に設けられている。第1及び第2の押え部62,64は、透口56を挟んで互いに反対側に位置している
【0022】
第3の押え部66はインフレータホルダ50の長手方向に所定長さ延在する凸条として設けられている。第3の押え部66の長さは、透口54から透口58に至る長さと略等しい。第3の押え部66の長手方向の両端は、インフレータホルダ50の底部内面に向って次第に高さを減じる斜面66aとなっている。なお、第3の押え部として、インフレータホルダ50の長手方向に間隔をあけて複数の突起を設けてもよい。
【0023】
透口54,58は、それらの透口56側の縁部がインフレータホルダ50の周方向に延在した切込状のスリット部54a,58aとなっている。これは、後述の通り、第1及び第2の押え部62,64がインフレータ50によって押圧されたときに該押え部62,64の近傍部分を外方に退動させ易くするためである。
【0024】
インフレータホルダ50の両端には、延出片70,72が設けられており、一方の延出片70は、インフレータホルダ50の長手方向に延出している。他方の延出片72は、インフレータ50の挿入前に略直角にインフレータホルダ50の端面の中央側に折り立てられている。
【0025】
インフレータ40は、該延出片70を有した側からインフレータホルダ50内に挿入される。インフレータ40は、その挿入方向の先頭側が第3の押え部66の端部(第2図の右端)に達し、次いでさらに第1,第2の押え部62,64に達する。
【0026】
第3図の通り、第1,第2,第3の押え部62,64,66に内接する内接円はインフレータ40の外周よりも小径となっている。そのため、インフレータ40の挿入方向先頭側が第1,第2押え部62,64に達すると、それ以降は、インフレータ40は押え部62,64,66を互いに離反させるようにこれらを押圧しながらインフレータホルダ50内に押し込まれる。第1,第2の押え部62,64は透口56の縁部近傍に位置しており、その周囲におけるインフレータホルダ50の剛性は、第3押え部66付近のインフレータホルダの剛性よりも低い。そのため、インフレータ40が押し込まれると、主として第1,第2の押え部62,64付近が第3図の寸法tだけ退動するようにインフレータホルダ50が拡径変形する。
【0027】
インフレータ40は、その後、押え部62,64,66と強く擦れ合いながら押し込まれ、やがてインフレータ40の挿入先端側の端部がインフレータホルダ50の端部に形成された延出片72に当接するまで押し込まれると、インフレータ40の全体がインフレータホルダ50内に収容される。そこで、延出片70を略直角にインフレータホルダ50の端面の中央側に折り立て、インフレータ40の挿入作業を終了する。
【0028】
第3図の通り、インフレータホルダ50内にあっては、インフレータ40の外周に第1,第2,第3の押え部62,64,66のみが強く押し付けられ、インフレータ40が固定されている。そして、インフレータ40は周方向に位置の異なる3点の押え部62,64,66にのみ接しており、インフレータ40にはガタツキは全く生じない。なお、第3図の通り、各押え部62,64,66とインフレータ40の中心Cとを結ぶ線分(図示略)の挟角(ただし、インフレータの長手方向と垂直な面内における挟角)がいずれも180°よりも小となるように押え部62,64,66が配置されている。
【0029】
このインフレータ固定方法によると、ナット及びナット締め作業が不要であり、部品点数が少なく、インフレータ固定作業も容易である。また、インフレータホルダ50内への挿入後のインフレータ40の固定は十分に堅固である。
【0030】
第4図は、このようにインフレータ40をインフレータホルダ50に保持させた組立体を有するエアバッグ装置の断面図である。
【0031】
このエアバッグ装置80は、全体として合成樹脂よりなるケーシング82と、折り畳まれて該ケーシング82内に収容されたエアバッグ84と、上記インフレータ40及びインフレータホルダ50とを有するケーシング82には、前面の開放可能なリッド部分を係止しておくためのフック部80aと、屈曲用の薄肉部(ヒンジ部)80bとが設けられている。インフレータ40及びインフレータホルダ50はエアバッグ84内に配置されており、ボルト60はエアバッグ84とケーシング82とを貫通してケーシング82外に突出している。このボルト60にナット締めされることにより、インフレータ40、インフレータホルダ50及びエアバッグ84がケーシング82に固定される。
【0032】
インフレータ40が作動すると、ガス噴出口42からのガスが主として透口52を通ってエアバッグ84内に流入しエアバッグ84を膨張させる。エアバッグ84内のガス圧によりケーシング82のフック部80aが押されて外れ、ケーシングの前面が薄肉部80bに沿って屈曲し開き出す。これによりエアバッグ84は、ケーシング82外に展開し、人体を保護する。
【0033】
第4図のエアバッグ装置80は、例えば自動車の座席の側方に展開するサイドエアバッグ装置として好適であるが、本発明のインフレータ固定構造を有したインフレータ及びインフレータホルダ組立体は、助手席用、後席用、脚部保護用、頭部保護用など各種のエアバッグ装置に適用できる。
【0034】
本発明は、図示の構成に限定されるものではなく、図示以外の種々の構成をとりうる。例えば、上記実施の形態では、インフレータ40は一端側にガス噴出口42を備えているが、両端側にガス噴出口を備えたものであってもよく、全体にガス噴出口を備えたものであってもよい。また、インフレータホルダの形状も図示以外としてもよいことは明らかである。
【0035】
【発明の効果】
以上の通り、本発明によると、インフレータをインフレータホルダに対し容易に且つ堅固に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態を説明する分解斜視図である。
【図2】第1図のII−II線に沿うインフレータホルダの断面図である。
【図3】第2図のIII−III線に沿うインフレータホルダの断面図である。
【図4】エアバッグ装置の断面図である。
【図5】従来例を示す分解斜視図である。
【符号の説明】
10 インフレータ
20 インフレータホルダ
32 ナット
40 インフレータ
50 インフレータホルダ
52,54,56,58 透口
60 ボルト
62 第1の押え部
64 第2の押え部
66 第3の押え部
70,72 延出片

Claims (5)

  1. 略円柱形のインフレータ(40)をインフレータホルダ(50)内に収容して固定する方法において、
    該インフレータホルダ(50)の内面に、インフレータ(40)の周方向に位置が異なる第1,第2及び第3の3箇所の押え部(62,64,66)を設けておき、インフレータホルダ(50)端側から該インフレータ(40)をインフレータホルダ(50)内に挿入し、インフレータ(40)を該第1,第2及び第3の押え部(62,64,66)により外周部から押えつけて固定する方法であって、
    該インフレータホルダ(50)は、該インフレータ(40)の外周を取り囲む角筒状であり、
    該インフレータホルダ(50)の長手方向の略中間部に各押え部(62,64,66)が設けられており、各押え部(62,64,66)はインフレータホルダ(50)の内方に突出しており、
    第1及び第2の押え部(62,64)は略円錐台形状の突起よりなり、
    第3の押え部(66)は、該インフレータホルダ(50)の長手方向に延在する凸条であり、
    該第1及び第2の押え部(62,64)同士の間に、該インフレータホルダ(50)の内外を連通する透口(56)が設けられており、
    インフレータ(40)の中心(C)と各押え部(62,64,66)とを結ぶ線分同士の挟角はいずれも180°よりも小であることを特徴とするインフレータの固定方法。
  2. 請求項1において、前記透口(56)よりも前記インフレータホルダ(50)の一端側及び他端側に、それぞれ該インフレータホルダ(50)の内外を連通する透口(54,58)が設けられており、
    該透口(54,58)から、それぞれ、該インフレータホルダ(50)の周方向にスリット(54a,58a)が延設されていることを特徴とするインフレータの固定方法。
  3. 請求項1又は2において、前記インフレータホルダ(50)の前記一端側から延出片(70)が突設されており、
    前記インフレータ(40)を該インフレータホルダ(50)内に挿入した後、該延出片(70)を折曲させてインフレータ(40)の一端面と対峙させることを特徴とするインフレータの固定方法。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1項の方法により、インフレータ(40)をインフレータホルダ(50)内に収容して固定したインフレータの固定構造。
  5. 折り畳まれたエアバッグ(84)と、該エアバッグ(84)を膨張させるためのインフレータ(40)と、該エアバッグ(84)及びインフレータ(40)を収容したケーシング(82)とを有するエアバッグ装置において、
    該インフレータ(40)が請求項4に記載の構造によりインフレータホルダ(50)内に固定されており、
    該インフレータホルダ(50)が該ケーシング(82)に固定されていることを特徴とするエアバッグ装置。
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