JP3902911B2 - 自転車 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自転車に関し、特に、車体フレームを構成する前後の部分フレームを互いに分離可能にした自転車に関する。
【0002】
【従来の技術】
ペダルに加えられた踏力を後輪に伝達するための人力駆動系と、前記踏力に応じて前記人力駆動系に補助動力を付加させることができるモータ駆動系とを備えた電動補助自転車が知られている。この電動補助自転車では車体フレームの構造に種々の工夫が提案されている。例えば、特開平10−129571号公報には、車体のリヤアーム側に前記人力駆動系やモータ駆動系を含むパワーユニットを配置し、このパワーユニットおよびリヤアームを、一体として車体前側のフレームに対して着脱可能に構成した電動補助自転車が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近年、電動補助自転車の用途が拡大され、電動補助自転車を自家用車両等で運搬し、リゾート地等、運搬先で使用するようなことがある。このような場合、電動補助自転車を折り畳んだり、分離したりして運搬しやすい状態にできることが望ましい。また、運搬先では、折り畳まれたり分離された電動補助自転車を組み立てて原型に戻す作業を容易に行えることも要望される。さらに、運搬の利便性だけでなく、小さいスペースでの保管のし易さの点からも、折り畳みや分離、および原型への復旧の容易さが求められる。
【0004】
上記の公報に記載された電動補助自転車では、確かに、リヤアームをパワーユニットと一体にして前側のフレームから分離することができる。しかし、この従来の電動補助自転車では上記用途を考慮した通常の使用において車体フレームを分離することを考慮したものではない。したがって、リヤアームと前側のフレームとの連結部分の数が多く、これらそれぞれの連結部部分に関してボルトを緩めたり、再度締め付けをしたりする等、煩雑な作業を伴うことになり、容易に車体を分離できないという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の問題点を解消し、車体の分離と原型への復旧を容易に行うことができる自転車を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、前フレームおよび後フレームを含む車体フレームと、前記前フレームおよび後フレームを折り畳み自在に連結する枢軸部とを備え、前記枢軸部で前記前フレームおよび後フレームを分離可能に構成するとともに、その分離を禁止するロック手段とを具備し、前記ロック手段は、前記前フレームおよび後フレームを前記枢軸部を中心に折り畳まれる動作にて操作可能に構成された点に第1の特徴がある。
【0007】
また、本発明は、前記前フレームおよび後フレームの接合部に、前記ロック手段を収容する閉鎖空間が形成され、前記接合部の閉鎖空間が、前記前フレームおよび後フレームを折り畳む動作で開放される点に第2の特徴がある。
【0008】
第1または第2の特徴によれば、前フレームと後フレームとを折り畳まない状態では、前記枢軸部のロック手段は解除できない。すなわち、通常の使用状態ではロック手段は解除できない。したがって、ロック手段を工具なしでロック解除できないようにするなど、複雑ないし堅固なロック手段を設ける必要がなく、簡易なロック手段を採用できるため、設計の自由度が増す。
【0009】
また、本発明は、前記枢軸部が、枢軸ピンと、該枢軸ピンに回動自在に係合するボス部とを有し、前記枢軸ピンおよび前記ボス部の一方は、前記前フレームおよび後フレームの一方に設けられ、前記枢軸ピンおよび前記ボス部の他方は、前記前フレームおよび後フレームの他方に設けられるとともに、前記ボス部には、該ボス部に対して前記枢軸ピンをその半径方向で脱着自在にする切欠部が形成され、かつ、前記ロック手段が前記切欠部に臨むよう構成されて、前記前フレームおよび後フレームのうち前記ボス部が形成されている方に設けられている点に第3の特徴がある。
【0010】
第3の特徴によれば、前フレームおよび後フレームのいずれか一方に設けられた枢軸ピンを、切欠部を通って、前フレームおよび後フレームの他方に設けられたボス部に装着することで、前フレームおよび後フレームは互いに連結される。そして、前記切欠部にロック手段が臨んでいるので、このロック手段の作用によって枢軸ピンはボス部から脱出しない。
【0011】
さらに、本発明は、前記ロック手段が、前記切欠部を開放する方向に付勢されて回動自在に支持されたロックプレートと、前記ロックプレートの回動を規制して該ロックプレートを前記切欠部に臨んだ位置に保持させる押圧部材と、前記押圧部材を回動させて前記ロックプレートの回動規制を解除するレバー部材とからなり、前記レバー部材が前記押圧部材と一体に形成されている点に第4の特徴がある。
【0012】
第4の特徴によれば、押圧部材によってロックプレートが切欠部に臨んだ位置に保持されて、枢軸ピンが前記ボス部内にロックされている。ロック解除時には、レバー部材を操作することによって押圧部材によるロックプレートの回動規制が解除され、ロックプレートは回動して切欠部が開放される。
【0013】
また本発明は、前記ロック手段が、前記切欠部を塞ぐ方向に付勢されて回動自在に支持されたロックプレートを含み、前記ロックプレートには、該ロックプレートを、人の操作によって前記切欠部に前記枢軸ピンが挿入される方向へ回動させる操作部が形成された点に第5の特徴がある。
【0014】
第5の特徴によれば、ロックプレートで切欠部が塞がれるように付勢されるので、切欠部に対して枢軸ピンは脱着不能であり、ロックプレートの操作部を操作することによりこの脱着が可能になる。特に、ロックプレートは枢軸ピンが挿入される方向へ回動させられるので、人の操作によるほか、枢軸ピンをロックプレートに押し当てて、切欠部からボス内に押し込むことができる。
【0015】
また本発明は、ペダルに加えられた踏力を伝達する人力駆動系と、前記踏力に応じて前記人力駆動系に補助動力を付加させるモータ駆動系とを備えた点に第6の特徴がある。第6の特徴によれば、このようにモータ駆動系を有する比較的重量の大きい自転車の折り畳み操作を容易化できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明の一実施形態に係る電動補助自転車の側面図である。電動補助自転車の車体フレーム2は、車体前方に位置するヘッドパイプ21と、ヘッドパイプ21から略水平後方に延びたパイプ状の前フレーム22と、前フレーム22の後端に連結された後フレーム23とを備える。後フレーム23は左右一対のアルミニュームのダイキャスト製品からなる分割フレームである。この分割フレームは車体前方寄りに結合部231を有する二叉状の構造体をなし、結合部231には、そこから斜め後上方に延びるシートポスト3を保持するためのボス232が形成される。ボス232には締め代が設けられており、クランパ233を締めることにより、シートポスト3はボス232で確実に保持される。このクランパ233を緩めることにより、シートポスト3はボス233に対して上下方向に摺動可能となり、シートポスト3の上端に装着されるシート4の高さを調節することができる。
【0017】
ヘッドパイプ21にはフロントフォーク5がその上部に形成された軸部を介して回動自在に保持される。この軸部の上端にはジョイント6を介してハンドルポスト7が結合され、ハンドルポスト7の上部には操向ハンドル8が結合される。ジョイント6はノブ61の操作によって緩めることができ、この操作により、ジョイント6を中心にハンドルポスト7を折り畳むことができる。フロントフォーク5の下端には前輪WFが回転自在に軸支される。操向ハンドル8のブレーキレバー81から下方に延びるワイヤ82の先端は前輪WFに設けられたフロントブレーキ9に結合される。
【0018】
後フレーム23は、前フレーム22に対してヒンジ24およびヒンジ24の反対側つまり車体左側に設けられるロック装置で連結される。このロック装置のロックを解除することにより、ヒンジ24を枢軸にして車体を折り畳むことができるし、さらにヒンジ24の結合を解除することにより、前フレーム22および後フレーム23を互いに分離することもできる。ロック装置およびヒンジ24の詳細は後述する。
【0019】
後フレーム23の側面視外観は、車体前方寄りの部分が幅広で、後方に向かって幅が狭まった形状である。左右一対の後フレーム23の後端間には、駆動輪としての後輪WRが軸支される。後フレーム23にはリヤブレーキ10が設けられ、操向ハンドル8からワイヤ83が延長されてリヤブレーキ10に結合される。
【0020】
後フレーム23の幅広部分つまり前方寄りの下部には、前記シートポスト3の延長線上よりも後方に配置された電動補助ユニット(アシストユニット)1が懸架される。電動補助ユニット1は、後フレーム23の左右分割部分の締結用のボルト25とボルト27とによって後フレーム23の組み付け時に共締めにより固定される。電動補助ユニット1はその最下部に配された踏力補助用の電動モータMと、モータMの上前方に配されたクランク軸11とを有する。クランク軸11の左右端にはそれぞれクランク12が固定され、クランク12の先端にはペダル13が設けられる。ペダル13は車体の左右方向に水平に延びた状態で使用されるが、ペダル13とクランク12との連結部にヒンジを採用し、不使用時にはクランク12に沿うよう折り畳み可能に構成することができる。
【0021】
ペダル13から入力される踏力、および踏力に応じてこの踏力を軽減させるようモータMによって発生される補助力は電動補助ユニット1内の歯車を含む伝達装置を介して合力され、その出力はスプロケットカバー14で覆われている図示しない駆動スプロケットの回転として取り出される。駆動スプロケットの回転を後輪WRに伝達するチェーン15が設けられる。なお、前輪WFおよび後輪WRの径はともに16インチである。
【0022】
後フレーム23の前記幅広部分および前記結合部231、ならびに左右一対の後フレーム23を後部で互いに結合するボルト25(またはボルトを支持するボス)で囲繞された空間には、前記電動モータMおよびその他の電装部の電源となるバッテリを収容するバッテリボックス16が装着される。なお、左右に分割された後フレーム23を互いに結合するためには、前記ボルト25,27の他、前フレーム22との連結部近傍に配置されるボルト26が使用される。
【0023】
図2は後フレーム23の車体左前方から見た斜視図であり、図3は同平面図である。両図において、後フレーム23は左部分23Lと右部分23Rとからなり前記ボルト25,27が挿通可能な、ボス25BL,25BR,27BL,27BRが設けられる。ボルト26用のボスも形成されるが、図2,図3では図示されていない。ボス25BL,25BR間、ならびにボス27BL,27BR間には前記電動補助ユニット1の上端に形成されるハンガー部(後述する)が挟まれるようにして取り付けられる。
【0024】
後フレーム23の上面にはバッテリボックス16を取り付けるための座234、235、236、ならびにリヤブレーキ10を取り付けるための座237L,237Rが形成される。また、後フレーム23上面の、前記シートポスト用のボス232の前部には、電動補助ユニット1等にバッテリから電流を供給するための電源スイッチを取付ける取付座238が形成される。
【0025】
さらに、後フレーム23の前端つまり前フレーム22との合わせ面にはヒンジ24の一方の部分であるボス241、およびロック装置のピン(図示せず)を回動自在に支持するボス28が形成される。ボス241には枢軸ピン242が差し込まれ、その先端にワッシャ243と止め輪244が装着される。ヒンジの一部を構成する前フレーム22側のフック(後述する)がこのピン242に係合する。
【0026】
図4は、後フレーム23とバッテリボックス16および電動補助ユニット1との取付位置関係を示す要部側面図、図5は図4のA−A断面図である。図4において、電動補助ユニット1のケース本体70の周囲には、電動補助ユニット1を後フレーム23に連結するためのハンガー70a,70bが形成され,このハンガー70a,70bをそれぞれボルト25,27で後フレーム23に締結することにより、電動補助ユニット1は後フレーム23に懸架される。電動補助ユニット1のケース本体70は軽量化のため樹脂成型品によって製作されるのが望ましい。
【0027】
クランク軸11には図示しないワンウェイクラッチを介して踏力入力ギヤ30が結合されており、この踏力入力ギヤ30は合成ギヤ31の小ギヤ31aに噛み合う。一方、モータMのピニオン29には補助動力ギヤ(アシストギヤ)32の大ギヤ32aが噛み合うように設けられ、この大ギヤ32aと一体に回転する小ギヤ32bは前記合成ギヤ31の大ギヤ31bに噛み合う。また、合成ギヤ31の大ギヤ31bは駆動スプロケット33の軸に固定された出力ギヤ34に噛み合う。アシストギヤ32は軽量化のため樹脂成型品によって製作されるのが望ましいし、静粛性等の観点からヘリカルギヤとするのがよい。
【0028】
このように、モータMの回転はピニオン29とアシストギヤ32とを介して合成ギヤ31に伝達され、クランク軸11から入力される踏力は踏力入力ギヤを介して合成ギヤ31に伝達される。そして、踏力と補助動力とは合成ギヤ31で合力されて駆動スプロケット33に伝達される。ケース70内の前部に配置されるコントローラ37は、図示しない踏力検出手段から入力される踏力値に基づいて、モータMの回転を制御する。
【0029】
なお、本体ケース70の後方下部には、アルミニュームの成型品からなるメインスタンド35を回動自在に支持する枢軸36が取り付けられる。また、本体ケース70の下端に設けられた突起70cは前フレーム22と後フレーム23とを分離させたときに、後フレーム23を含む自転車の後部分を自立させるための足部であり、地面に置いたときは、この突起70cと後輪WRとで、地面に自立できる。
【0030】
後フレーム23の前端に設けられたボス28,28にはロックレバー38を有するロックピン39が挿通される。このロックピン39を中心として回動可能にボルト391が設けられ、ボルト391にはナット392が螺着される。ボルト391は前フレーム22から張出すように形成された係合部40の溝(詳細な形状は図6および図7参照)に通され、ナット392の一面がこの係合部40に当接して締付け面を形成する。
【0031】
ロックピン39の中央部分つまりボルト391が装着される部分はボス28の孔に対して偏心しており、ロックレバー38を回動させることによって前記ナット392の締付け面と係合部40との当接強さを強めたり弱めたりすることができる。ナット392の締付け面と係合部40との当接強さの最大値はナット392の回動量により決定できる。
【0032】
図示のように、ロックレバー38が後フレーム23に沿う位置に回動させた状態では、ナット392と係合部40とは強く接触して、前フレーム22と後フレーム23とが強く結合される。一方、ロックレバー38を後フレーム23から離れる方向つまり車体に直交する方向に向かって回動させると、ナット392は前記ロックピン39の偏心形状によりその偏心量に応じた距離だけ係合部40から離れる方向(車体前方)に偏倚して、ナット392と係合部40との当接強さが弱まる。当接強さを弱めたところでロックピン39を軸にしてボルト391を回動させると、ナット392と係合部40との係合を解除でき、前フレーム22と後フレーム23とをヒンジ24を中心に折り畳むことができる。
【0033】
後フレーム23の前部つまりシートポストを保持するためのボス232の前側に設けられた前記取付座238(図2)には、鍵Kで操作される電源スイッチ50が装着される。
【0034】
バッテリボックス16は座234,235,236に支持されて、後フレーム23の左部分23Lと右部分23Rとの間に収容される。バッテリボックス16内にはバッテリ41が収納される。バッテリ41は、例えばニッケル水素電池からなるセル411をケース412内に複数本収容したパック構造に形成される。ケース412の上部にはLED表示により残量を表示するインジケータ42を有する。また、バッテリ41をバッテリボックス16から取外して充電する際に使用される充電コネクタ43やヒューズ(図示せず)もケース412内に設けられる。バッテリボックス16の底部の突出部161にはバッテリ41と前記コントローラ37とを接続する端子(図示せず)が収容される。
【0035】
バッテリボックス16には蓋162が設けられ、この蓋162はヒンジ163を用いてバッテリボックス16に取り付けられる。図中二点鎖線で蓋162を開いた状態を示す。蓋162には前記インジケータ42を見通せるように窓(図示せず)が設けられるほか、鍵装置44が設けられる。この鍵装置44は鍵(電源スイッチを操作する鍵Kと共用できるのがよい)を回して出し入れできる爪441を有していて、この爪441がバッテリボックス16に係合して施錠される。
【0036】
次に、前フレーム22と後フレーム23とを連結する前記ヒンジ24を詳細に説明する。図6はヒンジ24を含む前フレーム22の後端部の平面断面図、図7は同正面図(車体後方から見た図)である。なお、この後端部は前フレーム22を構成するパイプ状部品に溶接で一体化される後端部品(以下、「エンドブロック」という)で構成できる。両図において、エンドブロック45には、フック451が形成され、このフック451は後フレーム23に設けられる前記ボス241,241間に嵌まって、前記枢軸ピン242と係合できるよう、寸法と位置とが設定される。
【0037】
U字状に形成されたフック451の開口部分(切欠部)を塞ぐようにロックプレート452が設けられる。ロックプレート452はエンドブロック45に対してピン453で枢軸支持される。さらに、エンドブロック45には、スプリングピン454によって枢軸支持された操作レバー455が設けられる。操作レバー455は指を押し当てる操作部455aと、フック455bとを有する。操作レバー455は引張りバネ456によってロックプレート452と連結され、フック455bはロックプレート452に形成された切欠窓452aからロックプレート452の表側つまり後フレーム23側に臨み、この切欠窓452aの枠に係合している。このフック455bがロックプレート452に係合していることにより、引張りバネ456が作用しているにもかかわらずロックプレート452の、矢印R方向への回動が規制されている。操作レバー455は前記枢軸支持部分近傍でエンドブロック45に当接する接触部455cを有していて、操作レバー455の図示位置から矢印RR方向への回動が禁止されている。
【0038】
この構成により、フック451の開口部分がロックプレート452の先端部分で塞がれているので、フック451に係合している枢軸ピン242は、フック451から脱出することができない。したがって、前記ロックレバー38で操作されるロック装置を解除したとしても車体フレーム(前フレームと後フレームとからなる)は枢軸ピン242を中心に折り畳み可能になるだけである。
【0039】
この車体フレームを、折り畳んだ後さらに前フレーム22と後フレーム23とに分離するためには、操作レバー455の操作部455aをエンドブロック45の奥(矢印RF方向)へ押し込む。そうすると、操作レバー455はピン454を中心に回動し、ロックプレート452はピン453を中心に回動してフック451の開口部分は開放される。したがって、枢軸ピン242はフック451から脱出できるようになり、車体フレームは前フレーム22および後フレーム23の連結部分で完全に分離できる。
【0040】
操作レバー455とロックプレート452とを回動させた結果、操作レバー455のフック455bとロックプレート452との係合が解除され、操作レバー455の押圧を停止したあとも、前記開口部分の開放状態は維持される。そのために、操作レバー455の押圧操作と車体フレームの分離作業とを段階的に、それぞれ両手を使って容易に実施できる。
【0041】
分離された車体フレームを再び一体に組み立てる場合は、枢軸ピン242をフック451に引っ掛けた後、ロックプレート452をフック451側に押し込んで、操作レバー455のフック456bとロックプレート452とを係合させる。この操作によってフック451の開口部分は塞がれる。続いて、前フレーム22と後フレーム23との接合面を対向させ、図4に示したロック装置のナット392を係合部40に引っ掛け、ロックレバー38を後フレーム23に沿う方向に回動させてロックする。
【0042】
次に、前記ヒンジ24の変形例を説明する。図8はヒンジ24の変型例に係る前フレーム22の後端部の平面断面図、図9は同正面図であり、図6,図7と同符号は同一または同等部分を示す。図において、後フレーム23側に固定される枢軸ピン242はフック451に係合していて、この枢軸ピン242が脱出できないよう、フック451の開口部分(切欠部)を塞ぐ位置にロックプレート457が設けられる。ロックプレート457は指を引掛けられるよう形成された操作部457aと前記切欠部を塞ぐロック部457bとを有し、ピン453を使用してエンドブロック45に枢軸支持される。ロックプレート457には、前記操作部457aをエンドブロック45に近付ける方向に、換言すれば前記ロック部457bをエンドブロック45から離す方向に力が作用するようにバネ(ネジリコイルバネ)458が係合している。但し、ロック部457bの後端つまり操作部457a側の端部452cがエンドブロック45の端面に当接するため、ロックプレート457は、ロック部457bが前記切欠部に対向する位置以上には、エンドブロック45から遠ざかる方向に回動されない。
【0043】
一方、ロック部457bがエンドブロック45に近付く方向(矢印RA)に回動できるよう、エンドブロック45には逃げ部(凹部)459が形成されている。この逃げ部459はロック部457bがエンドブロック45に逃げてフック451の切欠部が開放されるように深さが設定される。
【0044】
この構成により、ロックプレート457がバネ458で付勢されフック451の開口部分がロック部457bで塞がれているので、枢軸ピン242はフック451から脱出することができない。したがって、前記ロックレバー38で操作されるロック装置を解除しただけでは車体フレームは枢軸ピン242を中心に折り畳み可能になるだけである。
【0045】
この車体フレームを、折り畳んだ後さらに前フレーム22と後フレーム23とに分離するためには、ロックプレート457の操作部457aに指を引掛けてエンドブロック45から離す方向(矢印RR方向)へ引っ張る。そうすると、ロック部457bは逃げ部459内に退避してフック451の開口部分は開放される。したがって、枢軸ピン242はフック451から脱出できるようになり、車体フレームは前フレーム22および後フレーム23の連結部分で完全に分離できる。
【0046】
分離された車体フレームを再び一体に組み立てる場合は、枢軸ピン242をロック部457bに押し付けてロック部457bを逃げ部459内に退避させる。枢軸ピン242がフック451に収まったならば、ロック部457bに対する枢軸ピン242の押圧力は解除される。その結果、バネ453の付勢力によってロック部457bは矢印RAと反対側に回動してフック451の開口部分は塞がれる。
【0047】
この変形例によれば、枢軸ピン242をロックプレート457に押し当ててフック451の切欠部を開放することにより、枢軸ピン242をフック451内に挿入させられる。また、枢軸ピン242をフック451から脱出させるときには、ロックプレート457の操作部457aを指で引っ張るだけでフック451の切欠部が開放されるので操作性がよい。
【0048】
なお、上記ヒンジ24の実施形態では、枢軸ピン242を後フレーム23側に設け、該枢軸ピン242が係合するフック451や、ロックプレート452,457および操作レバー455等からなるロック装置を前フレーム22側に設けた。しかし、これを逆にして、枢軸ピン242を前フレーム22側に設け、ロックプレート452等を後フレーム23側に設けてもよい。
【0049】
図10は電動補助自転車を搭載した4輪自動車(ここでは、ワゴン型車またはRV車を想定する)の要部平面図、図11は同自動車前方からの斜視図である。両図において、自動車WGNの後部には電動補助自転車を収納するためのトレイ58が自動車の前後方向に出し入れ自在に設けられる。前フレーム56は自動車WGN内の後部座席57下方に固定され、自動車WGN内でのトレイ58の前方位置の限界を規定する。上フレーム59は前記前フレーム56の後方で自動車内WGNに固定され、上部に棚板(図示せず)を支持する。好ましくは樹脂材料からなるトレイ58は、前記前フレーム56と上フレーム59とで囲まれたスペースに、図示しないレールで案内されて自動車前後方向に摺動自在に配置される。上フレーム59には、その左側にバッテリ41の充電器60が保持される。
【0050】
次に、上記電動補助自転車を折り畳んで自動車に搭載する搭載手順を説明する。電動補助自転車を自動車WGNに搭載するためには、まず、トレイ58を自動車後方寄りに引き出して、トレイ58の上方に自由な空間を設けておく。そうしておいて、まず、バッテリボックス16の蓋162を開いてバッテリ41を電動補助自転車から取り外し、トレイ58の前中央に収納する。次に、クランパ233を緩めてシートポスト3を後フレーム23から引き抜き、さらにシートポスト3とシート4とを分離する。シート4はバッテリ41の右横に、シートポスト3はトレイ58の右隅にそれぞれ収納する。
【0051】
続いて、車体フレームを分離する。この分離に先立ち、前記ジョイント6のノブ61を操作してハンドルポスト7をジョイント6から折り畳む。そして、ロックレバー38を操作し、前フレーム22と後フレーム23の連結部のロックを解除して車体フレームを枢軸ピン242を中心に折り畳む。そうしておいて、前記操作レバー455(図6の例)を押したり、ロックプレート457(図8の例)を引いたりして枢軸ピン242を前フレーム22のフック451から脱出させ、車体フレームを分離する。前フレーム22、ハンドルポスト7、ハンドル8、フロントフォーク5、および前輪WFは、一体的にトレイ58の左側に寄せて収納する。一方、後フレーム23、電動補助ユニット1、および後輪WRは、ペダル13を折り畳んだ後、一体的にトレイ58の右側に寄せて収納する。
【0052】
図12は自動車WGNの後部斜視図、図13は同要部断面図である。図12に示すように、トレイ58を引き出した状態では、電動補助自転車はそのほとんどが全体が棚板65で覆われた範囲から自動車後方に脱出しており、ユーザは棚板65で邪魔されることなく容易に電動自動車を自動車から上げ下ろしできる。
【0053】
また、自動車WGNの内側側壁にはAC100ボルトのコンセント66が設けられる。図13に示すように、棚板65の裏側に装着された充電器60にはコード67を通じてコンセント66から電源を供給され、さらに充電器60で整流された所定電圧の直流はコード68を通じてバッテリ41に供給される。なお、コード68とバッテリ41とはコネクタ43を通じて接続される。
【0054】
このように、ACコンセント66を利用することにより、例えば、リゾート等の目的地に向かうまでの時間を有効に使い、自動車WGNのエンジンで駆動される発電機でバッテリ41に充電することができる。
【0055】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなとおり、請求項1,2の発明によれば、枢軸部を中心として車体フレームを折り畳むことができるとともに、この枢軸部から車体フレームを分離できる。また、車体の分離を規制しているロック手段は、車体フレームを折り畳んでからでないと操作できないので、ユーザの確かな意思に基づいてのみ車体フレームを分離することができる。
【0056】
請求項3,請求項4の発明によれば、枢軸ピンはボス部に対して切欠部を通じて脱着できるので、車体フレームの切り離しが容易である。特に、請求項4の発明では、レバー部材を操作することによって押圧部材によるロックプレートの回動規制が解除され、ロックプレートは回動して切欠部が開放されるので、レバー部材を操作するだけで、枢軸ピンをボス部から脱出させられる。
【0057】
請求項5の発明によれば、枢軸ピンをロックプレートに押し当ててボスの切欠部を開放することにより、枢軸ピンをボス部内に容易に挿入させられる。また、ロックプレートの操作部を操作して枢軸ピンをフック451から容易に脱出させることができる。また、請求項6の発明によれば、比較的重量が大きい電動補助動力付自転車であっても折り畳んだり切り離したりして容易にコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る電動補助自転車の側面図である。
【図2】 後フレームを左前方から見た斜視図である。
【図3】 後フレームの平面図である。
【図4】 アシストユニット周辺の要部側面図である。
【図5】 図4のA−A断面図である。
【図6】 前フレームに設けられるエンドブロックの平面断面図である。
【図7】 前フレームに設けられるエンドブロックの正面図である。
【図8】 エンドブロックの変形例に係る断面平面図である。
【図9】 エンドブロックの変形例に係る正面図である。
【図10】 電動補助自転車を収納したトレイの平面図である。
【図11】 電動補助自転車を収納したトレイの斜視図である。
【図12】 トレイを設けた4輪自動車の後部斜視図である。
【図13】 トレイを設けた4輪自動車の後部断面図である。
【符号の説明】
1…電動補助ユニット、 2…車体フレーム、 3…シートポスト、 8…操向ハンドル、 11…クランク軸、 13…ペダル、 14…スプロケットカバー、 16…バッテリボックス、 22…前フレーム、 23…後フレーム、 24…ヒンジ、 25,26,27…ボルト、 28…ボス、 29…ピニオン、32…アシストギヤ、 33…スプロケット、 38…ロックレバー、 70…ケース本体、 242…枢軸ピン、 451…フック、 452…ロックプレート、 455…操作レバー
Claims (6)
- 前フレームおよび後フレームを含む車体フレームと、前記前フレームおよび後フレームを折り畳み自在に連結する枢軸部とを備えた自転車において、
前記前フレームおよび後フレームの折り畳みを禁止する第1のロック手段と、
前記枢軸部で前記前フレームおよび後フレームを分離可能に構成するとともに、その分離を禁止する第2のロック手段とを具備し、
前記第2のロック手段は、前記前フレームおよび後フレームが前記枢軸部を中心に折り畳まれた状態でのみロック解除操作可能に構成されたことを特徴とする自転車。 - 前記前フレームおよび後フレームの接合部に、前記第2のロック手段を収容する閉鎖空間が形成され、前記接合部の閉鎖空間が、前記前フレームおよび後フレームを折り畳む動作で開放されることを特徴とする請求項1記載の自転車。
- 前記枢軸部が、枢軸ピンと、該枢軸ピンに回動自在に係合するボス部とを有し、前記枢軸ピンおよび前記ボス部の一方は、前記前フレームおよび後フレームの一方に設けられ、前記枢軸ピンおよび前記ボス部の他方は、前記前フレームおよび後フレームの他方に設けられるとともに、前記ボス部には、該ボス部に対して前記枢軸ピンをその半径方向で脱着自在にする切欠部が形成され、かつ、前記第2のロック手段が前記切欠部に臨むよう構成されて、前記前フレームおよび後フレームのうち前記ボス部が形成されている方に設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の自転車。
- 前記第2のロック手段が、前記切欠部を開放する方向に付勢されて回動自在に支持されたロックプレートと、前記ロックプレートの回動を規制して該ロックプレートを前記切欠部に臨んだ位置に保持させる押圧部材と、前記押圧部材を回動させて前記ロックプレートの回動規制を解除するレバー部材とからなり、前記レバー部材が前記押圧部材と一体に形成されていることを特徴とする請求項3記載の自転車。
- 前記第2のロック手段が、前記切欠部を塞ぐ方向に付勢されて回動自在に支持されたロックプレートを含み、前記ロックプレートには、該ロックプレートを、人の操作によって前記切欠部に前記枢軸ピンが挿入される方向へ回動させる操作部が形成されたことを特徴とする請求項3記載の自転車。
- 請求項1〜5のいずれか1項に記載の自転車において、ペダルに加えられた踏力を伝達する人力駆動系と、前記踏力に応じて前記人力駆動系に補助動力を付加させるモータ駆動系とをさらに備えたことを特徴とする自転車。
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