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JP3901575B2 - 消臭用積層シート - Google Patents

消臭用積層シート Download PDF

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JP3901575B2
JP3901575B2 JP2002127094A JP2002127094A JP3901575B2 JP 3901575 B2 JP3901575 B2 JP 3901575B2 JP 2002127094 A JP2002127094 A JP 2002127094A JP 2002127094 A JP2002127094 A JP 2002127094A JP 3901575 B2 JP3901575 B2 JP 3901575B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消臭用積層シート及びその製造方法に関する。本発明の消臭用積層シートは、例えば吸収性物品における消臭部材として好適に使用される。また本発明は、前記消臭用積層シートを備えた吸収性物品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
本出願人は先に特開2000−318108号公報において、2枚のパルプシートの間に活性炭含有シートを介在させた消臭用積層シートを提案した。この消臭用積層シートは十分な強度があり、活性炭の脱落がなく、製品及び製造ラインを汚さずに製造することができるという利点がある。
【0003】
しかし、この消臭用積層シートは3層のシートの積層体であることから、剛性が高くなり、使用者に硬い感触を与える場合がある。特に、この消臭用積層シートを使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品における表面シートの直ぐ下の位置に配置した場合には、使用者に硬い感触を与え、これに起因して吸収性物品の着用感が損なわれる場合がある。
【0004】
従って、本発明は、柔軟で良好な使用感を有する消臭用積層シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、第1及び第2の2枚のパルプシート間に、消臭剤を含有する消臭剤含有シートを介在させてなる消臭用積層シートにおいて、
前記第1のパルプシートは、接着繊維を含み、更に紙力増強剤及び/又は定着剤を含んでおり、一方前記第2のパルプシートは、前記第1のパルプシートにおける前記接着繊維の含有量よりも少量の接着繊維を含み且つ紙力増強剤及び定着剤を含まないか、或いは紙力増強剤及び/又は定着剤を含む場合には、両者の含有量の合計量が、前記第1のパルプシートにおける前記紙力増強剤及び前記定着剤の含有量の合計量よりも少量であり、
前記第1のパルプシート側にはクレープ加工が施されている消臭用積層シートを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1に示すように、消臭用積層シート1は、同サイズの長方形形状の2枚のパルプシート、即ち第1のパルプシート2及び第2のパルプシート3間に、これらのパルプシート2,3よりも幅方向の長さが短い長方形形状であり且つ消臭剤を含有する消臭剤含有シート4を介在させてなる積層シートである。消臭剤含有シート4を両パルプシート2,3で被覆することで、消臭剤含有シート4に含有される消臭剤の色の遮蔽効果が向上する。
【0007】
消臭用積層シート1の側部1a,1bには、その長さ方向全体に亘って消臭剤含有シート4が介在されておらず、当該側部は2枚のパルプシート2,3が積層されてなる2層構造部分となっている。側部1a,1bにおけるパルプシート2,3同士がそれぞれ接合されることにより、消臭用積層シート1の両側端部が封止されて、側端部からの消臭剤の脱落が防止される。側部1a,1bの幅は、好ましくは0.1〜20cm、更に好ましくは1〜6cmであることが、消臭剤の脱落防止、及び消臭剤の機能を十分に発現させる点から好ましい。
【0008】
消臭剤含有シート4は消臭剤の混抄紙であり、2枚のパルプシート2,3間に幅方向中央部で挟持されている。消臭剤含有シート4とパルプシート2,3とは、抄き合わせによって積層される。
【0009】
消臭用積層シート1における第1のパルプシート2側から、クレープ加工が施されて、第1パルプシート12にはクレープが形成されている。クレープ加工によって、消臭用積層シート1に柔軟さや良好な風合いが付与される。柔軟さや良好な風合いは、第1及び第2のパルプシート2,3に配合させる成分として後述する成分を用いることで一層向上する。
【0010】
第1及び第2のパルプシート2,3は、パルプ繊維を主体として構成されたシートであり、それぞれ湿式抄紙法及び乾式抄紙法の何れの方法で形成されたものであっても良い。パルプ繊維としては、針葉樹晒クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹晒クラフトパルプ(LBKP)等の木材パルプの他、藁、綿等の非木材パルプ等の公知の天然繊維が使用できる。各パルプシート2,3におけるパルプ繊維の含有量は70〜99.9重量%、特に95〜99.5重量%であることが、製造コストと加工性の点から好ましい。
【0011】
両パルプシートのうち、第1のパルプシート2は接着繊維を含んでおり、更に紙力増強剤及び/又は定着剤を含んでいる。接着繊維は、消臭用積層シート1における各シート間の接合強度を向上させる目的で用いられる。また、紙力増強剤はパルプシートにおける構成繊維間の接合強度を向上させる目的で、そして定着剤は紙力増強剤がパルプシートの構成繊維に効率的に付着して繊維間の結合強度が設計通りとなるようにするための補助剤として用いられる。
【0012】
本発明においては、第2のパルプシート3には、第1のパルプシート2と同様に接着繊維が含まれている。但し、第2のパルプシート3における接着繊維の含有量は、第1のパルプシート2におけるそれよりも少量となっている。第1のパルプシート2における接着繊維の含有量を第2のパルプシート3における接着繊維の含有量より多くし、且つ第1のパルプシート2側からクレープ加工を施すことにより、柔軟で風合いの良好な消臭用積層シート1が得られる。第2パルプシート3よりも多量の接着繊維を第1パルプシートに含ませると、後述する紙力増強剤及び定着剤の含有量との相乗効果でクレープ加工が効果的に施され、一層柔軟で風合いの良好な消臭用積層シート1が得られる。
【0013】
一層柔軟で風合いの良好な消臭用積層シート1を得る観点から、第1のパルプシート2における接着繊維の含有量は0.1〜5.0重量%、特に1.0〜3.5重量%であることが好ましい。一方、第2のパルプシート3における接着繊維の含有量は0.1〜4.5重量%、特に0.2〜1.0重量%であることが好ましい。同様の観点から、第2のパルプシート3における接着繊維の含有量は、第1のパルプシート2におけるそれの2〜90%、特に10〜30%であることが好ましい。
【0014】
前述の通り第1のパルプシート2には、紙力増強剤及び定着剤が含有されている。一方、第2のパルプシート3には、紙力増強剤及び/又は定着剤が含有されていてもよく或いは含有されていなくてもよい。第1及び第2のパルプシート2,3に紙力増強剤及び定着剤を配合する主な目的は湿潤時の強度を保つことにある。通常、これらの剤を添加することでパルプシートの強度は増すが、同時に柔軟性が減じてしまう。また、それらの剤を単独で添加してもクレープ形成能がないことから、当初消臭用積層シート1の柔軟性を向上させるためには紙力増強剤及び定着剤は不必要と考えられていた。しかしながら、本発明者らは鋭意検討により、特定量の接着繊維の存在下では、紙力増強剤及び定着剤の存在がクレープ形成能に大きく作用すること、及び柔軟性を改善できることを見出した。そして第2のパルプシート3には、第1のパルプシートに含まれる紙力増強剤及び定着剤の合計量よりも少量で紙力増強剤及び/又は定着剤を含有させるか、或いは第2のパルプシート3には紙力増強剤及び定着剤を全く含有させず、且つ第2のパルプシート3側からはクレープ加工を施さないことによって、両シート2,3ともに柔軟性に富み、風合いに優れた消臭用積層シート1を得ることができた。つまり、第2のパルプシート3に紙力増強剤及び定着剤の双方が含有されている場合には、両者の合計量が、第1のパルプシート2に含有されている紙力増強剤及び定着剤の合計量よりも少量となるようにし、また第2のパルプシート3に紙力増強剤及び定着剤の何れか一方のみが含有されている場合には、その含有量が、第1のパルプシート2に含有されている紙力増強剤及び定着剤の合計量よりも少量となるようにする。尚、後段で詳述するように、クレープ加工は第1のパルプシート面側から施されるが、消臭用積層シート1の厚みが薄い場合には、クレープが第2のパルプシート面にも若干形成されることがある。この場合においては、実使用に耐えうる強度(吸収性物品等に組み込んで壊れない等)を有していれば問題ない。
【0015】
一層柔軟で風合いの良好な消臭用積層シート1を得る観点から、第1のパルプシート2における紙力増強剤の含有量は0.05〜2.0重量%、特に0.1〜1.0重量%であることが好ましい。また第1のパルプシート2における定着剤の含有量は0〜2.0重量%、特に0.1〜1.0重量%であることが好ましい。両者の合計量は、0.05〜3.0重量%、特に0.1〜1.0重量%であることが好ましい。一方、第2のパルプシート3における紙力増強剤の含有量は0〜1.0重量%、特に0〜0.6重量%であることが好ましい。また第2のパルプシート3における定着剤の含有量は0〜1.0重量%、特に0〜0.6重量%であることが好ましい。同様の観点から、第2のパルプシート3における紙力増強剤及び定着剤の合計量(紙力増強剤及び定着剤の双方を含有する場合)、又は紙力増強剤若しくは定着剤の含有量(紙力増強剤及び定着剤の何れか一方のみを含有する場合)は、第1のパルプシート2における紙力増強剤及び定着剤の合計量の0〜90%、特に0〜20%であることが好ましい。
【0016】
更に一層柔軟で風合いの良好な消臭用積層シート1を得る観点から、クレープ加工が施される側でない第2のパルプシート3にのみ柔軟剤を0.05〜1.0重量%、特に0.1〜0.4重量%含有させることが好ましい。本発明において柔軟剤とは、シートを構成する繊維の表面に付着又は結合し、シートの柔軟性や滑らかさ等の風合いを改善するものをいう。従って柔軟剤は、パルプ繊維の表面に皮膜を形成しパルプ繊維間での水素結合の形成を妨げる作用があり、消臭用積層シート1の柔軟化に寄与する。しかし、その分だけクレープ加工を施しにくくなることから、クレープ加工が施される側である第1のパルプシート2には柔軟剤を含有させず、クレープ加工に関係のない第2のシート3にのみ柔軟剤を含有させている。
【0017】
両パルプシート2,3にはそれぞれ前述した成分の他に、抗菌剤、スキンケア剤、消臭剤等を含有させてもよい。
【0018】
両パルプシート18,19は、その坪量がそれぞれ12〜30g/m2 、特に15〜20g/m2 であることが、シートの風合いや液吸収性を損なわずに消臭剤含有シート4外への消臭剤の漏れ出しや、漏れ出した消臭剤による外観の悪化を防止する観点から好ましい。同様の理由から、両パルプシート18,19は、その厚みがそれぞれ0.1〜10mm、特に0.2〜0.5mmであることが好ましい。
【0019】
本実施形態の消臭用積層シート1は、そのバルクソフトネス値が50〜100g、特に70〜90gであることが好ましい。本発明では各パルプシート2,3が前述の成分から構成されており且つ第1のパルプシート2側からクレープ加工が施されていることで、バルクソフトネス値をこのような低い範囲とすることができる。その結果、消臭用積層シート1は柔軟で良好な風合いを呈する。バルクソフトネスの測定方法は後述する実施例において詳述する。
【0020】
前述した接着繊維とは、前述の通り、消臭用積層シート間の接合強度を向上させる目的で用いられるものである。具体的には、ポリビニルアルコール繊維や、ポリエチレン繊維などの熱融着繊維などを用いることができ、特に吸収性物品の材料として用いる場合は吸水性の点からポリビニルアルコール繊維を用いることが好ましい。紙力増強剤としては、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、カチオン澱粉、ポリエチレンイミンなどを用いることができる。定着剤としては、カルボキシメチルセルロース、アニオン性アクリル樹脂などを用いることができる。また柔軟剤としては、両性界面活性剤系、カチオン性界面活性剤系、ノニオン界面活性剤系、油脂系及び多価アルコール系の柔軟剤などを用いることができる。
【0021】
次に、消臭用積層シート1における消臭剤含有シート4について説明する。消臭剤含有シート4は、粉粒状又は繊維状の消臭剤及び繊維材料を主体として構成されている。消臭剤としては、活性炭、ゼオライト、アモルファスシリカ、ベントナイト、活性アルミナ、活性白土等が用いられ、消臭用積層シート1の用途に応じて適切な物質が選択される。消臭剤は、一種又は二種以上を用いることができる。特に、消臭性能と価格とがバランスしている活性炭を用いることが好ましい。
【0022】
活性炭としては、悪臭その他ガス状物質に対して高い吸着性を示すものであれば、原料、活性化法、形状等には制限されない。粒状の活性炭を用いる場合、その平均粒子径は0.1〜50μm、特に1〜20μmであることが好ましい。繊維状の活性炭を用いる場合、その繊維径は、3〜30μm、特に5〜20μmであることが好ましく、その繊維長は0.1〜30mm、特に1〜10mmであることが好ましい。また活性炭の比表面積(BET)は、500〜2000m2/g、特に1000〜1500m2/gであることが好ましい。
【0023】
消臭剤含有シート4における消臭剤の含有率は、十分な消臭効果の発現の点、及び消臭剤含有シート4の強度や柔軟性の確保の点から、1〜50重量%、特に3〜30重量%であることが好ましい。
【0024】
繊維材料としては、NBKP、LBKP等の木材パルプの他、藁、綿等の非木材パルプ等の公知の天然繊維が使用できる。消臭剤含有シート4における繊維材料の含有率は、該シート4の重量に対して50〜99重量%、特に70〜97重量%であることが、十分な消臭効果を発現させる点、及び十分なシート強度及び柔軟性を確保する点から好ましい。また、シート強度を向上させる目的で、ポリビニルアルコール繊維等の合成繊維を適宜混合してもよい。更に、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂やカチオン澱粉、ポリエチレンイミン等の紙力増強剤やアニオン性ポリアクリルアミド、硫酸バンド等の凝集剤を適宜混合してもよい。
【0025】
消臭剤含有シート4は、その坪量が、15〜70g/m2、特に20〜50g/m2であることが、十分な柔軟性が確保でき、また十分な消臭性能が発現する量の消臭剤を保持させられる点から好ましい。また、消臭剤含有シート4は、その厚みが0.1〜10mm、特に0.2〜0.5mmであることが、消臭剤の確実な保持とシート4自身の通気性確保との両立の点から好ましい。
【0026】
次に本実施形態の消臭用積層シート1の好ましい製造方法について説明する。図2には、消臭用積層シート1の製造に用いられる好ましい製造装置が示されている。この製造装置10は、抄紙部20、脱水部30、重ね合わせ部40及び乾燥部50に大別される。
【0027】
抄紙部20は、消臭剤及び繊維材料を含有するスラリーの入ったタンク21及び該タンク21内に設置された丸網型の抄紙ネット22を備えている。脱水部30は、脱水ベルト31及び該脱水ベルト31に隣接して設けられている脱水用の吸引ボックス32を備えている。脱水ベルト31は、通常の抄紙機に用いられているワイヤーメッシュベルトやフェルトベルトから成っている。吸引ボックス32は、脱水ベルト31上に形成された消臭剤含有シートを脱水し、その水分率を調整する。
【0028】
重ね合わせ部40は、第1のパルプシートの巻き出し部41、第2のパルプシートの巻き出し部42、搬送ピックアップベルト43及び接着剤のスプレーノズル44を備えている。乾燥部50は、ヤンキードライヤ51及びドクターブレード52を備えている。
【0029】
斯かる構成を有する製造装置10を用いた消臭用積層シート1の製造方法について説明すると、先ず、抄紙部20において、タンク21内に供給された、消臭剤及び繊維材料を含有するスラリーが、抄紙ネット22によって漉き取られ、該抄紙ネット22上に消臭剤含有シート4が形成される。形成された消臭剤含有シート4は、脱水部30における脱水ベルト31上で、吸引ボックス32の吸引によって脱水され、所定の含水率を有する含水状態となる。
【0030】
含水状態の消臭剤含有シート4は、重ね合わせ部40において、搬送ピックアップベルト43に搬送されながら、その上下面それぞれに、巻き出し部41,42からそれぞれ巻き出された第1のパルプシート2及び第2のパルプシート3が重ね合わされる。消臭剤含有シート4に重ね合わされる両パルプシート2,3は予め製造されたものであり何れも乾燥状態となっている。この理由は、消臭剤含有シート4に含まれている白水(自由水)には、微細な消臭剤が含まれていることが多く、そのような状態下においてパルプシート2,3が必要以上に濡れていると、消臭剤がパルプシート2,3へ移動し易くなり、その結果、装置10が汚れてしまうためである。
【0031】
第1のパルプシート2は、パルプ繊維、紙力増強剤及び定着剤を含む第1のスラリーから予め抄造形成されたものである。第2のパルプシートは、パルプ繊維を含み、且つ紙力増強剤及び/又は定着剤を、両者の合計濃度が、前記第1のスラリーに含まれる紙力増強剤及び定着剤の合計濃度よりも低濃度となるように含む第2のスラリーから予め抄造形成されたものである。或いは第2のパルプシートは、パルプ繊維を含み、且つ紙力増強剤及び定着剤を含まない第2のスラリーから予め抄造形成されたものである。
【0032】
消臭剤含有シート4及び両パルプシート2,3の三者からなる積層体は、乾燥部50に設置されたヤンキードライヤ51の周面に抱かれた状態で搬送されて、この過程において含水状態の消臭剤含有シート4が加熱乾燥される。またこの過程において、前記接着剤によって、及び各シート2,3,4の構成繊維絡間の絡み合いによって、三者の接合が促進される。積層体のヤンキードライヤ51への導入に際しては、該積層体における第1のパルプシート2がヤンキードライヤ51の乾燥面(周面)と当接するようにする。
【0033】
ヤンキードライヤ51の出口には、クレープ加工手段であるドクターブレード52が配置されている。ヤンキードライヤ51の乾燥面(周面)に密着している第1のパルプシート2は、ドクターブレード52によって掻き取られて、第1のパルプシート2の面側にクレープ加工が施される。この場合、第1のパルプシート2の構成成分として前述した成分が含まれているので、第1のパルプシート2とヤンキードライヤ51の乾燥面(周面)との密着が非常に高くなり、クレープ加工が効果的に施される。このようにして、クレープ加工が施された消臭用積層シート1が得られる。クレープ加工が施されることによって、消臭用積層シート1には十分な柔軟さ及び良好な風合いが付与される。この際、消臭用積層シート1が薄いと、第2のパルプシート3にも弱いクレープが形成されるが、ドクターブレード52と第1のパルプシート2との接触圧力を適宜調整するなどして第2のパルプシート3が実使用で壊れない強度を保つようにすれば良い。
【0034】
このようにして得られた消臭用積層シート1は、例えば使い捨ておむつや生理用ナプキンなどの吸収性物品の構成部材として好適に用いられる。具体的には、液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性物品における前記表面シートと前記裏面シートとの間の何れかの位置に配置される。典型的には、図3に示すように吸収体100の一部として用いられる。
【0035】
図3に示すように、吸収体100は、本体部100aとこれを被覆する消臭用積層シート1とから構成されている。本体部100aは高吸収性ポリマーの粒子とパルプ繊維とから構成されている。本体部100aは、消臭用積層シート1の一側部1aと他側部1bとが重ね合わされるようにして、消臭用積層シート1に被覆されている。
【0036】
消臭用積層シート1は、第2のパルプシート3が本体部100aに対向し、第1のパルプシート2が、吸収体100の外面を構成するように配されている。その結果、消臭用積層シート1は、クレープ加工された面である第1のパルプシート2が、吸収性物品における液吸収面側(つまり表面シート側)に臨むように配される。消臭用積層シート1をこのように配することによって、排泄された液が、通液性の高い第1のパルプシート2を通じて素早く吸収体100の内部に透過して、本体部100aで吸収・保持されると共に、消臭用積層シート1に含まれる消臭剤の消臭効果により、吸収された液から発生する臭いが除去される。この場合、消臭用積層シート1における消臭剤含有シート4は、その前後端部以外は2枚のパルプシート2,3で被覆されているので、吸収された液と共に消臭剤が吸収体100の外部に流出しずらく、着用者の身体や着用具の汚れが効果的に防止される。
【0037】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば本発明の消臭用積層シートは、吸収性物品以外の用途、例えば箪笥や下駄箱の消臭剤、マスクやフィルター類等に適用してもよい。
【0038】
また、前記実施形態においては、消臭用積層シートの製造時に、消臭剤含有シートの各面に第1及び第2のパルプシートをそれぞれ同時に重ね合わせたが、これに代えて各パルプシートを逐次に消臭剤含有シートに重ね合わせてもよい。
【0039】
〔実施例1〜7及び比較例1〜5〕
以下の表1に示す成分を用い、図3に示す製造装置を用いて各消臭用積層シートを得た。表1中、各シートの形成に用いた接着繊維は、ポリビニルアルコール繊維、紙力増強剤はポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、定着剤はカルボキシメチルセルロース、凝集剤はアニオン性アクリルアミド樹脂であった。尚、第1及び第2のパルプシートは何れも湿式抄造法によって製造した。また、実施例及び比較例共に第1のパルプシート側からドクターブレードによるクレープ加工を施した。得られた消臭用積層シートについて以下の方法でバルクソフトネスを測定すると共に柔軟性を官能評価した。これらの結果を表1に示す。
【0040】
〔バルクソフトネスの測定方法〕
消臭用積層シートを、その流れ方向へ30mm、幅方向へ150mmの大きさにカットし矩形状の試験片を得る。この試験片から、その短辺方向(30mmの方向)を高さ方向とする直径45mmの円筒を作る。円筒の円周方向の重なり幅は約9mmとする。重なった部分の上端及び下端をMAX製ステープラHD−10D、針No.10−1Mで固定する。このようにして得られた円筒状の測定サンプルを円筒の高さ方向に圧縮したときの最大荷重を圧縮試験機によって測定し、その値を流れ方向(MD)へのバルクソフトネスの値とする。圧縮試験機はオリエンテック(株)社製RTA−100型(商品名)を用いた。圧縮速度は10mm/minとする。幅方向(CD)へのバルクソフトネスは、消臭用積層シートを、その流れ方向へ150mm、幅方向へ30mmの大きさにカットし、流れ方向(MD)へのバルクソフトネスの測定方法と同様の方法で測定する。
【0041】
〔柔軟性の官能評価〕
消臭用積層シートを、その流れ方向へ300mm、幅方向へ200mmの大きさカットした試験片を得る。この試験片が見えない状態(ボックスの中に入れる)で、10人のモニターに試験片を触らせ柔軟性を評価させる。比較例1の試験片を柔軟性の基準とし、比較例1よりも柔軟な場合を4、同じ場合を3、硬い場合を2、非常に硬くなっている場合を1として比較評価を行う。この平均値が3.5〜4の場合を○、2.5〜3.4の場合を△、1.5〜2.4の場合を×、1.0〜1.4の場合を××とした。
【0042】
【表1】
Figure 0003901575
【0043】
表1に示す結果から明らかなように、実施例(本発明品)の消臭用積層シートは、比較例の消臭用積層シートに比べてバルクソフトネスの値が低く柔軟であることが判る。このことは柔軟性の官能評価とも一致している。
【0044】
【発明の効果】
以上詳述した通り、本発明によれば、柔軟で良好な使用感を有する消臭用積層シートが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の消臭用積層シートの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】本発明の消臭用積層シートの製造に好ましく用いられる製造装置を示す模式図である。
【図3】本発明の消臭用積層シートを備えた吸収体を示す一部破断斜視図である。
【符号の説明】
1 消臭用積層シート
2 第1のパルプシート
3 第2のパルプシート
4 消臭剤含有シート

Claims (6)

  1. 第1及び第2の2枚のパルプシート間に、消臭剤を含有する消臭剤含有シートを介在させてなる消臭用積層シートにおいて、
    前記第1のパルプシートは、接着繊維を含み、更に紙力増強剤及び/又は定着剤を含んでおり、一方前記第2のパルプシートは、前記第1のパルプシートにおける前記接着繊維の含有量よりも少量の接着繊維を含み且つ紙力増強剤及び定着剤を含まないか、或いは紙力増強剤及び/又は定着剤を含む場合には、両者の含有量の合計量が、前記第1のパルプシートにおける前記紙力増強剤及び前記定着剤の含有量の合計量よりも少量であり、
    前記第1のパルプシート側にはクレープ加工が施されている消臭用積層シート。
  2. バルクソフトネスが30〜100gである請求項1記載の消臭用積層シート。
  3. 前記第2のシートにのみ柔軟剤が含有されており、該柔軟剤の含有量が0.05〜1.0重量%である請求項1又は2記載の消臭用積層シート。
  4. 前記第1のシートにおける前記接着繊維の含有量が0.1〜5.0重量%であり、前記第2のシートにおける前記接着繊維の含有量が0.1〜4.5重量%である請求項1〜3の何れかに記載の消臭用積層シート。
  5. 前記消臭剤が、物理吸着型又は抗菌型の消臭剤である請求項1〜3の何れかに記載の消臭用積層シート。
  6. 液透過性の表面シート、液不透過性の裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性物品において、前記表面シートと前記裏面シートとの間の何れかの位置に請求項1〜5の何れかに記載の消臭用積層シートを配置した吸収性物品。
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