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JP3999340B2 - シリンダブロック構造 - Google Patents

シリンダブロック構造 Download PDF

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  • Lubrication Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジンのシリンダブロック構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
エンジンのシリンダブロック端部には、クランク軸に連結されたフライホイールが装着される。このフライホイールは形状も大きく重量も重いため、シリンダブロック側にフライホイール方向に開口するベル形状のベルハウジングを形成し、このベルハウジングをフライホイール側ケーシングの合い面に接合してこのフライホイールをシリンダブロック端面に結合して支持している。
【0003】
このようなベルハウジングは、シリンダブロックとともに金型等により一体に鋳造成形される。この場合、シリンダブロック端部の外側にベル形状に拡大するベルハウジングを一体成形するため、シリンダブロック端部の外型を、ベル内面に対応した凸形状としている。この外型の深さには限界があるため、ベルハウジングの長さ(クランク軸方向の長さ)は制限され、複数気筒エンジンの場合、シリンダブロック端部に最も近い気筒の外側にのみベルハウジングが形成されていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年エンジン振動音特性向上の要求が大きくなり、フライホイール動作に起因する振動音の低減が強く要求されている。このため、シリンダブロックへのフライホイール支持構造の強度を高め結合剛性をさらに高めることが必要になっている。
【0005】
このようなフライホイールの支持剛性を高めるために、従来はベルハウジングの外側にさらに補強用のリブを一体成形したり、別体のスティフナを用いてフライホイールを固定補強していた。
【0006】
しかしながら、このような補強用のリブやスティフナでは、充分大きな剛性向上の効果が得られず、効果を高めようとすれば、リブの場合にはその本数を増やしたり厚くしなければならず、またスティフナの場合には形状を大型化しなければならず、重量が大幅に増加することになる。このため、シリンダブロックの小型軽量化が図られなかった。
【0009】
本発明は、上記従来技術に対処したものであって、シリンダブロックの重量を増加させることなくベルハウジングの結合剛性を高め、エンジンの小型軽量化を図ることができるシリンダブロック構造の提供を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明では、直列複数気筒エンジンのクランク軸端部にフライホイールを備え、シリンダブロックのシリンダ外壁に、このシリンダ外壁における前記フライホイール側の端部を拡大してこの端部方向に開口するベル形状のベルハウジングを一体成形したエンジンのシリンダブロック構造において、前記シリンダ外壁に、このシリンダ外壁の上部において上下方向に延びるように形成され、カム室からオイルを戻す上側のオイル戻し通路と、シリンダ外壁の上下方向の中間部において複数の気筒に沿って横方向に延び、前記上側のオイル戻し通路の下端に接続されたオイル戻し連通路と、このオイル戻し連通路から下方に延びてオイルパンに連通する下側のオイル戻し通路とが形成され、前記オイル戻し連通路を形成する壁の一端部は、前記ベルハウジングに接続されていることを特徴とするシリンダブロック構造を提供する。
【0015】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の参考となる技術を図面を参照して説明する。図1は、本発明の参考技術となるエンジンのシリンダブロックの立面図であり、図2および図3はそれぞれ図1のII方向およびIII方向からみた平面図である。このエンジンは、共通クランク軸1を前後方向に配置し前から順番に第1気筒#1〜第4気筒#4を配置した直列4気筒エンジンである。フライホイールはクランク軸1の第4気筒側の後端部に装着される。
【0016】
図1に示すように、このエンジンのシリンダブロック2は、シリンダボア3とクランク室4の上側を構成する上ブロック2aと、クランク室4の下側を構成する下ブロック2bとの2分割体を合い面Aで接合してボルト(図示しない)により結合したものである。シリンダボア3の周囲のシリンダ壁肉内には冷却水ジャケット5が形成される。6は砂抜き用の孔である。シリンダ壁肉内にはさらにシリンダ上下方向に、各気筒のシリンダヘッド(図示しない)上部のカム室(図示しない)からオイルをクランク室4の下部のオイルパン(図示しない)に落とし込んで戻すためのオイル戻し通路7が形成される。このオイル戻し通路7は、カム室とクランク室とを連通する通路であり、ブローバイガス通路を兼ねるものである。
【0017】
図2および図3に示すように、クランク軸1の後端部側にはフライホイール8がケーシング8a内に装着されて取付けられる。このフライホイール側のシリンダブロック2の端部には、後端部側に開口するベル状(コーン状)のベルハウジング9が、シリンダブロック2(上ブロック2aおよび下ブロック2b)と一体成形される。このベルハウジング9は、フライホイール8に最も近い最端部の1番目の気筒(#4気筒)とその隣の2番目の#3気筒のシリンダブロックの側壁を拡大して鋳造により一体成形したものである。各気筒#1〜#4の周囲にはシリンダヘッドとシリンダブロックを相互に固定するためのヘッドボルト挿通孔25が設けられる。
【0018】
このベルハウジング9を鋳型で形成する場合、その拡大された開口部側、即ち1番目の#4気筒の後端部側は通常の深さの外型を用いて内部空間を形成することができ、ベルハウジング9の壁の肉厚を薄くすることができる。また、この後端部側の合い面Aにも軽量化のための開口10(図3)が形成される。
【0019】
この後端部側の外型により形成可能なベルハウジング9の内部空間よりさらに奥側、即ち#3気筒に近い側の#4気筒外側のベルハウジング9の壁肉には、図2のシリンダ側壁部に形成されたオイル戻し通路7に連なる拡大オイル戻し通路11が形成される。この拡大オイル戻し通路11は、#4気筒の外側に拡大されて形成されたベルハウジング9の壁厚部分で、開口端部側の外型では形成できない深さの位置の壁肉内に別の鋳型により空間部を形成し、実質上ベルハウジング9の壁の肉厚を薄くするものである。
【0020】
開口端部から2番目の#3気筒のクランク室4は、図3に示すように、他の気筒#1、#2および#4よりも外側に(クランク軸と直角方向に)拡大している。これにより、#3気筒外側に形成したベルハウジング9の壁厚を薄くすることができ、したがって、重量を増加させることなくベルハウジング9を#3気筒の位置まで形成することができる。
【0021】
このように、ベルハウジング9のフライホイール8との合い面部分を通常の外型で形成し、#4気筒の外側の#3気筒に近い部分の壁肉内に拡大オイル戻し通路11を形成し、#3気筒のクランク室4を拡大して形成することにより、壁厚を実質上厚くすることなく、したがって重量を増加させることなく、ベルハウジング9をシリンダブロック2の側壁に沿って端部から2番目の#3気筒まで延長することができ、フライホイール8の支持剛性を高めることができる。また、これにより、エンジン振動やフライホイールの回転振動等に基づく騒音の低減が図られる。
【0022】
なお、さらに端部から3番目の#2気筒のクランク室4も拡大して、壁厚を増すことなくベルハウジング9をさらに#2気筒の位置まで延長して形成することもできる。
【0023】
図4〜図7に本発明の別の参考例となるシリンダブロックを示す。図4は立面図、図5はサーモスタット部分の断面図、図6は側面図、図7は上面図である。この参考例のエンジンは、前述の図1〜図3に示す参考例と同じように、#1〜#4の直列4気筒エンジンであり、シリンダブロック2は同様に上ブロック2aと下ブロック2bとからなる。この参考例は、上ブロック2aの側壁に冷却水循環系のサーモハウジング12を一体成形したものである。
【0024】
サーモハウジング12内にはサーモスタット13が収容される。このサーモハウジング12には、ラジエータ(図示しない)に連通するメインパイプ14と、シリンダヘッド(図示しない)に連通するバイパスパイプ15と、ウォータポンプ16(図6)に連通する送りパイプ17と、オイルクーラー(図示しない)に連通するオイルクーラー用パイプ18と、スロットルボディ(図示しない)に連通するスロットル用パイプ19と、ヒーター(図示しない)に連通するヒーター用パイプ20がそれぞれ接続される。
【0025】
サーモスタット13は、それ自体は公知のものであり、内部に設けたワックスの熱膨張により動作する弁体を開閉動作させるとともに、これに連動してバネ座13a(図5)を動作させて、バイパスパイプ15の端部15aを開閉動作する。図5は、メインパイプ14が閉じられ、バイパスパイプ15が開いた状態を示す。このようなサーモスタット13により、低温時にはラジエータを通さずにバイパスパイプ15を介してシリンダヘッドを循環させ設定温度(例えば70〜80℃)になったらバイパスパイプ15を閉じメインパイプ14側を開いてラジエータに連通させる。
【0026】
このように温度制御により水路を切換えられるサーモスタット13を介して、各パイプ14,15,18,19,20から矢印のように戻ってきた冷却水は、送りパイプ17を介してウォータポンプ16に送られ、ここからシリンダヘッドその他の各部に冷却水が送られる。
【0027】
このサーモスタット13を収容したサーモハウジング12には、その内部に空間部21が形成される。この空間部21は、シリンダブロック表面の突出部の上側に支障なくサーモハウジング12を突出させて各パイプを容易に配設できるようにシリンダブロック2の側壁と一体成形により設ける場合に、サーモハウジング部分の壁厚が厚くなって重量が増加することを避けるためのものである。このような空間部21を内部に設けることにより、冷却水の流れあるいはオイルの流れを充分円滑にしてしかも重量を増加させることなく、サーモハウジング12をシリンダブロックの側壁と一体成形することができる。このようなサーモハウジング12は、図7に示すように、前述の参考例に係るベルハウジング9とともに形成することもできる。
【0028】
なお、上記各参考例に係るエンジンは、自動車等の車両に限らず、船外機にも適用される。船外機用のエンジンの場合には、クランク軸を縦方向(鉛直方向)に配置し、フライホイールはクランク軸の下端部に装着される。
【0029】
図8は、本発明の実施の形態を示す側面図であり、図9および図10はそれぞれ図8のB−B断面図およびC−C断面図である。
【0030】
この実施形態は、ディープスカート型のシリンダブロックであり、図9に示すように、シリンダブロック2の上ブロックの下面側の下ブロック(図示しない)との合い面Aはクランク軸芯部分からクランク室4の周壁に沿って下がりクランク室4の下部まで延びている。これに対し、前述の図1の参考例はショートスカート形のシリンダブロックであって、合い面Aは、クランク軸1の軸芯の位置における平面であり、クランク室4の下半分は上ブロック2aとは別部材の下ブロックにより形成されている。このように本実施形態では、ディープスカート型のシリンダブロックに適用したことが図1の参考例と基本的な相違となる。
【0031】
このシリンダブロック2の上部には図示しないカム室が形成される。また、クランク室4の下部には図示しないオイルパンが設けられる。このカム室からオイルを戻すオイル戻し通路7がシリンダブロック2の側壁上部に、図の手前側に3ヵ所(図8)、奥側に4ヵ所形成される。これらのオイル戻し通路7は横方向に形成されたオイル戻し連通路30により連通される。この連通路30の下側にシリンダブロック2の側壁に沿ってさらに上記上側のオイル戻し通路7に対応してオイルパン(図示しない)に連通するオイル戻し通路31が形成される。
【0032】
このシリンダブロック2の外壁には補強用のリブ35が形成され、またオイルポンプやスタータ等のエンジン補機を取付けるためのボルト孔36が設けられる。この実施形態は図10に示すように、5気筒エンジンであり、各気筒の周囲にはシリンダヘッド(図示しない)を固定するためのヘッドボルト挿通孔25が設けられる。
【0033】
クランク軸1のフライホイール(図示しない)側の端部のシリンダブロック1の外壁にベル型に膨らんだ補強壁が形成され、これがベルハウジング37を構成する。このベルハウジング37のフライホイール側端面は開口している。鋳型によりこの開口部34を形成する場合、開口方向に砂抜きが行われ、製造が容易になるとともに開口部内部全体が空間となり軽量化が図られる。
【0034】
このベルハウジング37は、クランク室周囲を覆って形成され、その内部にオイル戻し空間33が形成される。このオイル戻し空間33は、その底部が閉じ、その側方から前記オイル戻し通路31に連通する。すなわち、このベルハウジング37の底部37aは、図8に示すように、オイル戻し通路31に向かってわずかに傾斜してオイル戻し通路31に開口する。オイルは同図の矢印Dに示すように、オイル戻し空間33からその底面を通ってオイル戻し通路31に流れる。なお、これらのオイル戻し空間33やオイル戻し通路7,31および横方向の連通路30はカム室とオイルパンとを連通してブローバイガスを戻すためのガス通路を兼ねるものである。
【0035】
本実施形態においては、このベルハウジング37の閉じた底部37aは、クランク軸1の軸芯1aより下側の位置にある。これにより、クランク室周囲を閉じた空間で覆ってオイル戻し空間を確保するとともに、フライホイール接合部の強度を高めることができる。本実施形態において、このように、クランク軸芯の下方で閉じた空間を形成できるのは、ディープスカート型のシリンダブロック構造としたためである。
【0036】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明においては、部品点数を増加させることなく、また重量を増加させることなくフライホイール支持用のベルハウジングをシリンダブロックに一体成形することができ、シンプルな構成で組立作業等を容易にし、コストを低減し剛性を高めるとともにエンジンの小型軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の参考例となるシリンダブロックの立面図。
【図2】 図1のシリンダブロックのII方向から見た平面図。
【図3】 図1のシリンダブロックのIII方向から見た平面図。
【図4】 本発明の別の参考例の立面図。
【図5】 図4の参考例のサーモハウジング部分の詳細図。
【図6】 図4の参考例の側面図。
【図7】 図4の参考例の上面図。
【図8】 本発明の実施形態の側面図。
【図9】 図8のB−B断面図。
【図10】 図8のC−C断面図。
【符号の説明】
1:クランク軸、2:シリンダブロック、2a:上ブロック、
2b:下ブロック、3:シリンダボア、4:クランク室、
5:冷却水ジャケット、7:オイル戻し通路、8:フライホイール、
9:ベルハウジング、10:開口、11:拡大オイル戻し通路、
12:サーモハウジング、13:サーモスタット、14:メインパイプ、
15:バイパスパイプ、16:ウォータポンプ、17:送りパイプ、
18:オイルクーラー用パイプ、19:スロットル用パイプ、
20:ヒーター用パイプ、21:空間部、30:オイル戻し連通路、
31:オイル戻し通路、32:補強壁、33:オイル戻し空間、
34:開口部、35:リブ、36:ボルト孔、37:ベルハウジング、
37a:底部。

Claims (2)

  1. 直列複数気筒エンジンのクランク軸端部にフライホイールを備え、シリンダブロックのシリンダ外壁に、このシリンダ外壁における前記フライホイール側の端部を拡大してこの端部方向に開口するベル形状のベルハウジングを一体成形したエンジンのシリンダブロック構造において、
    前記シリンダ外壁に、このシリンダ外壁の上部において上下方向に延びるように形成され、カム室からオイルを戻す上側のオイル戻し通路と、
    シリンダ外壁の上下方向の中間部において複数の気筒に沿って横方向に延び、前記上側のオイル戻し通路の下端に接続されたオイル戻し連通路と、
    このオイル戻し連通路から下方に延びてオイルパンに連通する下側のオイル戻し通路とが形成され、
    前記オイル戻し連通路を形成する壁の一端部は、前記ベルハウジングに接続されていることを特徴とするシリンダブロック構造。
  2. 請求項1記載のシリンダブロック構造において、前記ベルハウジングの底部は、前記クランク軸の軸芯より下側に形成されたことを特徴とするシリンダブロック構造
JP08538698A 1997-12-10 1998-03-31 シリンダブロック構造 Expired - Fee Related JP3999340B2 (ja)

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