JP3993002B2 - インサート成形品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定の樹脂組成物と金属又は無機固体とをインサート成形してなるインサート成形品に関し、詳しくは高低温衝撃性が改良されたインサート成形品に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
インサート成形法は、樹脂の特性と金属又は無機固体(以下、金属等と略す)の素材の特性を生かし、金属等を樹脂に埋め込む成形法であり、自動車部品や電気・電子部品、OA機器部品等の広い分野に応用され、今では一般的な成形法の一つとなっている。
【0003】
しかしながら、樹脂と金属等では温度変化による膨張や収縮率(いわゆる線膨張係数)が極端に異なることから、成形品の樹脂部が肉薄であったり、肉厚の変化の大きい部分があるもの及び金属等がシャープコーナーを有していたりするものは、成形直後に割れたり、使用中の温度変化で割れたりするトラブルが多い。このため、用途や成形品の形状等がかなり制限されたものとなっているのが現状である。
【0004】
また、最近は、自動車の分野でもエンジン廻りの樹脂化が進み、インサート成形品も重要な部品となってきている。特にイグニッションシステムやディストリビューターの部品では、アルミや銅、鉄、真鍮等の金属部品をポリフェニレンサルファイド(以下PPSと略す)に代表されるポリアリーレンサルファイド(以下PASと略す)樹脂で包むインサート成形品が検討されているが、このものはインサート部品の構造が複雑なこと、樹脂の肉厚変化部分が多いことの他に、使用する場所がエンジン付近であるため高低温度変化が大きいことから、インサート成形品に要求される性能も高度である。従って、これらのことからも最近では長期間の高低温度変化に耐え得る樹脂、即ち高低温衝撃特性の優れた樹脂が強く求められるようになってきた。
【0005】
PAS樹脂は、高い耐熱性、機械的物性、耐化学薬品性、寸法安定性、難燃性を有していることから、電気・電子機器部品材料、自動車機器部品材料、化学機器部品材料等に広く使用されているが、PAS樹脂は靱性に乏しく脆弱であり、インサート成形品の長期間の高低温度変化に耐える信頼性が低いという欠点があった。
【0006】
この問題を解決する従来の方法としては、各種エラストマーを配合することが知られている。しかし、PAS樹脂のプロセス温度が300 ℃以上であるため、エラストマーが熱劣化しやすく、このためモールドデポジットが著しく増加するため、この方法のみによる高低温衝撃特性の改良は困難であった。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題に鑑み、高低温衝撃特性に優れたインサート成形品を得るべく鋭意検討した結果、PAS樹脂を主体とし、これに特定の共重合体、特定化合物及び無機充填剤を配合した組成物は、機械的物性の大きな低下なしに高低温衝撃特性(特に樹脂が肉薄であったり、金属等がシャープコーナーを有している場合であっても)が著しく改良され、成形時のモールドデポジット発生量も少ないことを見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
即ち本発明は、
(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に対して、
(B) α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルから成るオレフィン系共重合体に下記一般式(1)で示される繰返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上が分岐又は架橋構造的に化学結合したグラフト共重合体0.5 〜25重量部
【0009】
【化2】
【0010】
(但し、R は水素又は低級アルキル基、X は-COOCH3 、-COOC2H5、-COOC4H9、-COOCH2CH(C2H5)C4H9 、-C6H5 、-CN から選ばれた一種又は二種以上の基を示す)
(C) シリコーンオイル0.5 〜15重量部
(D) 無機充填剤20〜250 重量部
を配合した樹脂組成物と金属又は無機固体とをインサート成形してなるインサート成形品である。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、順次本発明の樹脂材料の構成成分について詳しく説明する。本発明に用いる(A) 成分としてのPAS樹脂は、繰り返し単位として-(Ar-S)-(ただしArはアリーレン基)で主として構成されたものである。アリーレン基としては、例えばp−フェニレン基、m−フェニレン基、o−フェニレン基、置換フェニレン基、p,p'−ジフェニレンスルフォン基、p,p'−ビフェニレン基、p,p'−ジフェニレンエーテル基、p,p'−ジフェニレンカルボニル基、ナフタレン基などが使用できる。この場合、前記のアリーレン基から構成されるアリーレンサルファイド基の中で、同一の繰り返し単位を用いたポリマー、即ちホモポリマーの他に、組成物の加工性という点から、異種繰り返し単位を含んだコポリマーが好ましい場合もある。
【0012】
ホモポリマーとしては、アリーレン基としてp−フェニレン基を用いたp−フェニレンサルファイド基を繰り返し単位とするものが特に好ましく用いられる。又、コポリマーとしては、前記のアリーレン基からなるアリーレンサルファイド基の中で、相異なる2種以上の組合せが使用できるが、中でもp−フェニレンサルファイド基とm−フェニレンサルファイド基を含む組合せが特に好ましく用いられる。この中で、p−フェニレンサルファイド基を70モル%以上、好ましくは80モル%以上含むものが、耐熱性、成形性、機械的特性等の物性上の点から適当である。
【0013】
又、これらのPAS樹脂の中で、2官能性ハロゲン芳香族化合物を主体とするモノマーから縮重合によって得られる実質的に直鎖状構造の高分子量ポリマーが特に好ましく使用できるが、直鎖状構造のPAS樹脂以外にも、縮重合させるときに3個以上のポリハロゲン芳香族化合物等のモノマーを少量用いて、部分的に分岐構造又は架橋構造を形成させたポリマーも使用できるし、比較的低分子量の直鎖状ポリマーを酸素又は酸化剤の存在下、高温で加熱して、酸化架橋又は熱架橋により溶融粘度を上昇させ、成形加工性を改良したポリマーも使用可能である。
【0014】
又、(A) 成分のPAS樹脂としては、前記直鎖状PAS樹脂(310 ℃、ずり速度 1200sec-1における粘度が10〜300 Pa・s )を主体とし、その一部(1〜30重量%、好ましくは2〜25重量%)が比較的高粘度(300 〜3000Pa・s 、好ましくは500 〜2000Pa・s )の分岐又は架橋PAS樹脂との混合系も好適である。
【0015】
又、本発明に使用するPAS樹脂は、重合後、酸洗浄、熱水洗浄、有機溶媒洗浄(或いはこれらの組合せ)を行って副生不純物等を除去精製したものが好ましい。
【0016】
次に本発明に用いるグラフト共重合体(B) は、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルから成るオレフィン系共重合体を主成分とするグラフト共重合体であるが、共重合部分を構成する一方の成分であるα−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、ブチレンなどが挙げられるが、エチレンが好ましい。
【0017】
また、他の成分であるα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、一般式(2)
【0018】
【化3】
【0019】
(ここで、R1は水素原子又は低級アルキル基を示す)
で示される化合物であり、アクリル酸グリシジルエステル、メタクリル酸グリシジルエステル、エタクリル酸グリシジルエステル等が挙げられるが、メタクリル酸グリシジルエステルが好ましい。α−オレフィン(例えばエチレン)とα,β−不飽和酸のグリシジルエステルから成るオレフィン系共重合体は、通常よく知られたラジカル重合反応により共重合させることによって得ることができる。α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルとの比率は、α−オレフィン70〜99重量%、α,β−不飽和酸のグリシジルエステル1〜30重量%が好適である。
【0020】
本発明の(B) 成分は、上記オレフィン系共重合体に、更に耐衝撃性、耐熱性向上およびモールドデポジット発生量低減のために、上記一般式(1)で示される繰返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上を分岐又は架橋構造的に化学結合させたグラフト共重合体である。
【0021】
分岐又は架橋鎖としてグラフト重合させる重合体又は共重合体セグメントとしては、ポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸フェニル、ポリメタクリル酸ブチル、ポリアクリル酸−2エチルヘキシル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリアクリロニトリル−スチレン共重合体、ポリメタクリル酸メチルとポリアクリル酸ブチルの共重合体、ポリアクリル酸ブチルとポリスチレンの共重合体等が挙げられる。好ましくは、上記一般式(1)におけるX が-COOCH3 、-COOC4H9から選ばれた一種又は二種以上の基であるものであり、 特にメタクリル酸メチルとアクリル酸ブチルの共重合体が耐熱性向上およびモールドデポジット発生量低減のためには好ましい。
【0022】
また、これら重合体又は共重合体の分岐又は架橋反応も、ラジカル反応によって容易に調製できる。例えば、グリシジル基含有オレフィン系共重合体の存在下で少なくとも一種の分岐又は架橋構造を構成する重合体又は共重合体のビニル単量体と特定のラジカル(共)重合有機過酸化物(過酸化基を有するビニル化合物等)を共重合せしめて過酸化基含有共重合体を生成させ、これを加熱混練しビニル系共重合体中の過酸化基の反応によって、両ポリマーを化学結合させることによりグラフト共重合体が調製される。分岐又は架橋鎖は、α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフィン系共重合体 100重量部に対し、10〜100 重量部を分岐又は架橋することが好適である。
【0023】
グラフト共重合体(B) の配合量としては、(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し、0.5 〜25重量部、好ましくは0.5 〜15重量部、更に好ましくは2〜10重量部が用いられる。(B) 成分が少なすぎると高低温衝撃特性の改良効果が得られず、多すぎると熱変形温度の低下を生じ、剛性等の機械的特性を阻害し、モールドデポジットの発生量が増加するために好ましくない。
【0024】
次に、本発明に用いられる(C) 成分のシリコーンオイルには、未変性シリコーンオイル、あるいは官能基が導入された変性シリコーンオイルが含まれる。未変性シリコーンオイルはポリジメチルシロキサン及びポリメチルフェニルシロキサンが代表的であり、後者には例えばポリジメチルジフェニルシロキサンコポリマー、ポリジメチルフェニルメチルシロキサンコポリマー、ポリメチルフェニルジフェニルシロキサンコポリマーが含まれる。一方、変性シリコーンオイルは、上記未変性シリコーンオイルの一部を官能基で変性したものであり、その官能基として好ましいものとして、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、カルビノール基、エポキシ基、メタクリロキシ基、メルカプト基等が挙げられ、官能基導入は、側鎖、片末端、両末端、および側鎖および両末端のいずれでもよい。これら変性シリコーンオイルの具体例としては、末端シラノールポリジメチルシロキサン、末端シラノールポリジメチルジフェニルシロキサン、末端ヒドロキシプロピルポリジメチルシロキサン、ポリジメチルヒドロキシアルキレンオキシドメチルシロキサン、末端アミノプロピルポリジメチルシロキサン、アミノアルキル含有T構造ポリジメチルシロキサン、末端カルボキシプロピルポリジメチルシロキサン、カルボキシプロピル含有T構造ポリジメチルシロキサン、末端グリシドキシプロピルポリジメチルシロキサン、グリシドキシプロピル含有T構造ポリジメチルシロキサン、ポリグリシドキシプロピルメチルシロキサン、末端カルビノールポリジメチルシロキサン、末端アセトキシポリジメチルシロキサン、末端ジメチルアミノポリジメチルシロキサン、末端メタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン、メタクリロキシプロピル含有T構造ポリジメチルシロキサン、メルカプトプロピル含有T構造ポリジメチルシロキサン、ポリメルカプトプロピルメチルシロキサン等が挙げられる。
【0025】
本発明に用いるシリコーンオイル(C) の粘度は、25℃で10〜500000cSt (センチストークス)の範囲で特に制限はないが、ハンドリング性や混合時の分散性等の面から100 〜100000cSt のものが好ましい。また、シリコーンオイルを無機微粉末に担持したものの使用は、ハンドリング性や混合時の分散性等の品質面からより好ましい。
【0026】
また、(C) 成分のシリコーンオイルの配合量は、(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し、0.5 〜15重量部、好ましくは0.5 〜10重量部、更に好ましくは1〜3重量部が用いられる。0.5 重量部未満では高低温衝撃特性の改良効果が得られず、また15重量部を超えると成形品表面へのオイル成分の染み出しがあるため好ましくない。
【0027】
次に、(C) シリコーンオイルと併用することにより、高低温衝撃特性を更に向上することが可能な(E) 芳香族多価カルボン酸エステルとは、下記一般式で表される化合物である。
【0028】
【化4】
【0029】
(式中、Y は-COOR2を表し、R2はアルキル基、n は2〜4の整数である。また、各Y のR2は同一であっても異なっていてもよい。)
特に、n が3以上の場合、耐熱性が高くより好ましい。例えば、トリメリット酸エステルやピロメリット酸エステルが好適な化合物の例として挙げられる。芳香族多価カルボン酸エステルは、一種または二種以上を併用することができる。
【0030】
本発明における(E) 芳香族多価カルボン酸エステルの配合量は、(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂100 重量部に対し、0.5 〜5重量部であり、好ましくは0.5 〜4重量部である。0.5 重量部未満では高低温衝撃特性の改良効果が得られず、また5重量部を超えると、剛性等の物性を損なう、成形品表面へ染み出す、モールドデポジット量が増加する等の不具合が発生するため好ましくない。
【0031】
本発明では、高低温衝撃特性に優れたインサート成形品を得るため、(B) 特定のグラフト共重合体と(C) シリコーンオイルを併用することを必須とする。
【0032】
(B) 特定のグラフト共重合体のみを使用した組成物でも、ある程度は高低温衝撃特性に優れたインサート成形品が得られるものの、良好な効果を発現するにはその使用量を比較的多くしなければならないことあり、熱劣化によりモールドデポジット発生量が顕著となる問題がある。また、(B) 特定のグラフト共重合体を使用しない系では、(C) 成分を配合しても高低温衝撃特性の改良効果は小さい。しかし、本発明の如く、(B) 特定のグラフト共重合体と(C) シリコーンオイルとを特定の割合で併用することにより、著しく高低温衝撃特性及びモールドデポジット発生量が改善されたインサート成形品を得ることが可能となる。
【0033】
また、(C) シリコーンオイルと(E) 芳香族多価カルボン酸エステルを併用した場合、高低温衝撃特性が更に改良される。
【0034】
本発明の樹脂組成物には、機械的強度、耐熱性、寸法安定性(耐変形、そり)、電気的性質等の性能の改良のため(D) 無機充填剤が配合され、これには目的に応じて繊維状、粉粒状、板状の充填剤が用いられる。
【0035】
繊維状充填剤としては、ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化硼素繊維、硼素繊維、チタン酸カリウム繊維、さらにステンレス、アルミニウム、チタン、銅、真鍮等金属の繊維状物などの無機質繊維状物質が挙げられる。特に代表的な繊維状充填剤はガラス繊維、又はカーボン繊維である。なおポリアミド、フッ素樹脂、アクリル樹脂などの高融点有機質繊維物質も使用することができる。
【0036】
一方、粉粒状充填剤としてはカーボンブラック、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、硅酸カルシウム、硅酸アルミニウム、カオリン、タルク、クレー、硅藻土、ウォラストナイトのごとき硅酸塩、酸化鉄、酸化チタン、酸化亜鉛、アルミナのごとき金属の酸化物、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウムのごとき金属の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウムのごとき金属の硫酸塩、その他炭化硅素、窒化硅素、窒化硼素、各種金属粉末が挙げられる。
【0037】
又、板状充填剤としてはマイカ、ガラスフレーク、各種の金属箔が挙げられる。これらの無機充填剤は一種又は二種以上併用することができる。
【0038】
以上の充填剤の中で、高低温衝撃特性向上のために有効な充填剤としてはガラス繊維が挙げられ、特に繊維径10μm 以下のガラス繊維を配合することにより、非常に高低温衝撃特性が向上する。
【0039】
これらの充填剤の使用にあたっては必要ならば収束剤又は表面処理剤を使用することが望ましい。この例を示せば、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、シラン系化合物、チタネート系化合物等の官能性化合物である。これ等の化合物はあらかじめ表面処理又は収束処理を施して用いるか、又は材料調製の際同時に添加してもよい。
【0040】
無機充填剤の使用量は(A) 成分のPAS樹脂 100重量部あたり20〜250 重量部であり、20重量部より過小の場合は機械的強度が劣り、過大の場合は成形作業が困難になるほか、成形品の機械的強度にも問題が出る。
【0041】
本発明で用いるインサート成形品の樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、バリ等を改良する目的でシラン化合物を配合することができる。シラン化合物としては、ビニルシラン、メタクリロキシシラン、エポキシシラン、アミノシラン、メルカプトシラン等の各種タイプが含まれ、例えばビニルトリクロロシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトトリメトキシシラン等が例示されるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
又、本発明で用いるインサート成形品の樹脂組成物には、その目的に応じ前記成分の他に、他の熱可塑性樹脂成分を補助的に少量併用することも可能である。ここで用いられる他の熱可塑性樹脂としては、高温において安定な樹脂であれば何れのものでも良い。例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ジカルボン酸とジオール或いはオキシカルボン酸等からなる芳香族ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ABS、ポリフェニレンオキサイド、ポリアルキルアクリレート、ポリサルホン、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、フッ素樹脂などを挙げることができる。またこれらの熱可塑性樹脂は、二種以上混合して使用することもできる。
【0043】
さらに本発明で用いるインサート成形品の樹脂組成物には、その目的に応じた所望の特性を付与するために、一般に熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂に添加される公知の物質、即ち難燃剤、染料や顔料等の着色剤、潤滑剤、結晶化促進剤、結晶核剤、各種酸化防止剤、熱安定剤、耐候性安定剤等を要求性能に応じ配合することが可能である。
【0044】
本発明で用いるインサート成形品の樹脂組成物の調製は、一般に合成樹脂組成物の調製に用いられる設備と方法により調製できる。一般的には、必要な成分を混合した後、1軸又は2軸の押出機を使用して溶融混練し、押出して成形用ペレットとすることができる。この溶融混練時の樹脂温度は、(B) グラフト共重合体の熱劣化を防止するため360 ℃以下が好ましい。また、樹脂成分を溶融押出し、その途中で繊維状無機充填剤を添加配合するのも好ましい方法の一つである。
【0045】
インサート成形品は成形用金型に金属等をあらかじめ装着し、その外側に上記の配合樹脂組成物を充填して複合成形品としたものである。樹脂を金型に充填するための成形法としては射出、押出圧縮成形法などがあるが、射出成形法が一般的である。また、樹脂にインサートする素材は、その特性を生かし且つ樹脂の欠点を補う目的で使用されるため、成形時に樹脂と接触したとき、形が変化したり溶融しないものが使用される。このため、主としてアルミニウム、マグネシウム、銅、鉄、真鍮及びそれらの合金などの金属類やガラス、セラミックスのような無機固体類であらかじめ棒、ピン、ネジ等に成形されているものが使用される。
【0046】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0047】
尚、以下の例に示した物性評価の測定法は次の通りである。
(1) 高低温衝撃特性
樹脂ペレットを、樹脂温320 ℃、金型温度150 ℃、射出時間40秒、冷却時間60秒で、金属製ピン(14mm×14mm×24mm)に、樹脂部の最小肉厚が1mmとなるようにインサート射出成形し、インサート成形品を製造した。
【0048】
得られたインサート成形品について、冷熱衝撃試験機を用いて180 ℃にて2時間加熱後、−40℃に降温して2時間冷却後、さらに180 ℃に昇温する過程を1サイクルとする高低温衝撃試験を行い、成形品にクラックが入るまでのサイクル数を測定し、高低温衝撃性を評価した。
(2) 成形時のモールドデポジット量評価
射出成形機で下記の条件で特定の成形品の成形を行い、所定ショット数を成形後、金型表面及びベント周辺部のモールドデポジット付着を目視により下記3段階で評価した。
【0049】
○;付着がない、もしくは付着量が著しく少ない
△;付着はあるが、付着量は少ない
×;付着量が多い
(成形条件)
射出成型機 :東芝IS30FRA−1A
シリンダー温度:340 ℃
射出時間 :2秒
冷却時間 :5秒
金型温度 :60℃
成形ショット数:500 ショット
実施例1〜15
表1に示すように、(A) 、(B) 、(C) 、(E) 成分をヘンシェルミキサーで5分間混合し、これをシリンダー温度320 ℃の1軸押出機に投入し、(D) 成分は押出機のサイドフィード部より別添加し、1軸押出機内で樹脂温度350 ℃で溶融混練し、樹脂組成物のペレットを作り、上記物性の評価を行った。結果を表1に示す。
比較例1〜6
表2に示すように、(B) 、(C) 、(D) 成分の1乃至2成分を添加しない場合、(B) 成分の配合量が多すぎる場合、(B) 成分として本発明の要件を外れる共重合体を用いた場合について、上記実施例と同様にして樹脂組成物のペレットを作り、上記物性の評価を行った。結果を表2に示す。
【0050】
尚、実施例及び比較例で用いた各成分の具体的物質は以下の通りである。
(A) ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂
呉羽化学工業(株)製、フォートロンKPS(310 ℃、ずり速度 1200sec-1における粘度30Pa・s )
(B) グラフト共重合体
B-1 ;エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体にメチルメタクリレート/ブチルアクリレート共重合体をグラフトさせた共重合体
B-2 ;エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体にスチレン/アクリロニトリル共重合体をグラフトさせた共重合体
B'-1;エチレン/グリシジルメタクリレート共重合体
(C) シリコーンオイル
C-1 ;ポリジメチルシロキサンオイル 粘度5000cSt (東レ/ダウコーポレーション製SH200オイル)
C-2 ;ポリジメチルシロキサンオイル 粘度500cSt(東レ/ダウコーポレーション製SH200オイル)
C-3 ;ポリジメチルシロキサンオイル 粘度60000cSt(東レ/ダウコーポレーション製SH200オイル)
C-4 ;OH変性ポリジメチルシロキサンオイル 粘度4000cSt (東レ/ダウコーポレーション製BY16−817)
C-5 ;エポキシ変性ポリジメチルシロキサンオイル 粘度1500cSt (信越シリコーン製KF−101)
C-6 ;粘度60000cStのシリコーンオイルを粒径10〜300 μm の無機微粉末に担持した物(東レ/ダウコーポレーション製トレフィルF202、シリコーンオイル分;60重量%)
(D) 無機充填剤
D-1 ;ガラス繊維 13 μm φチョップドストランド(日本電気ガラス製ECS03−717)
D-2 ;ガラスビーズ(東芝バロディーニ製EGB053Z−A)
D-3 ;炭酸カルシウム(東洋ファインケミカル製ホワイトンP−30)
D-4 ;ガラス繊維 10 μm φチョップドストランド(旭ファイパーガラス製CS03JAFT636)
(E) 芳香族多価カルボン酸エステル
E-1 ;ピロメリット酸エステル(旭電化製アデカサイザーUL−100)
【0051】
【表1】
【0052】
【表2】
【0053】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のインサート成形品は、極めて高低温衝撃特性に優れ、特に自動車工業の分野、例えば各種センサー部品(車速センサー等)、イグニッションシステムやディストリビューターの部品等に好適に使用される。
Claims (6)
- (A) ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に対して、
(B) α−オレフィンとα,β−不飽和酸のグリシジルエステルから成るオレフィン系共重合体に下記一般式(1)で示される繰返し単位で構成された重合体又は共重合体の一種又は二種以上が分岐又は架橋構造的に化学結合したグラフト共重合体0.5 〜25重量部
(C) シリコーンオイル0.5 〜15重量部
(D) 無機充填剤20〜250 重量部
を配合した樹脂組成物と金属又は無機固体とをインサート成形してなるインサート成形品。 - (B) グラフト共重合体が、メタクリル酸メチル及びアクリル酸ブチルからなる共重合体を分岐鎖として化学結合させたグラフト共重合体である請求項1記載のインサート成形品。
- 更に(A) ポリアリーレンサルファイド樹脂 100重量部に対して、(E) 芳香族多価カルボン酸エステルを0.5 〜5重量部配合した請求項1又は2記載のインサート成形品。
- (E) 芳香族多価カルボン酸エステルが、トリメリット酸エステル及びピロメリット酸エステルから選ばれた一種又は二種以上である請求項3記載のインサート成形品。
- (D) 無機充填剤が、繊維状、粉粒状、板状充填剤から選ばれた一種又は二種以上である請求項1〜4の何れか1項記載のインサート成形品。
- (D) 無機充填剤が、繊維径10μm 以下のガラス繊維である請求項5記載のインサート成形品。
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