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JP2946539B2 - ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物 - Google Patents

ポリフェニレンスルフィド樹脂組成物

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JP2946539B2
JP2946539B2 JP20625589A JP20625589A JP2946539B2 JP 2946539 B2 JP2946539 B2 JP 2946539B2 JP 20625589 A JP20625589 A JP 20625589A JP 20625589 A JP20625589 A JP 20625589A JP 2946539 B2 JP2946539 B2 JP 2946539B2
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acid
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resin composition
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Description

【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は、耐熱性、耐衝撃性、押出安定性および摺動
性が均衡に優れたポリフェニレンスルフィド樹脂組成物
に関するものである。
<従来の技術> ポリフェニレンスルフィド樹脂(以下、PPS樹脂と略
称する)は、耐熱性、耐薬品性、難燃性および寸法安定
性などに優れたエンジニアリングプラスチックとして知
られており、電気・電子部品、自動車部品およびフィル
ムなどの分野に広く用いられている。また、PPS樹脂の
欠点である耐衝撃性の低さについても近年改良検討が活
発に行われ、例えば特開昭58−154757号公報には、エポ
キシ基含有オレフィン系重合体としてα−オレフィンと
α、β−不飽和酸のグリシジルエステルからなるオレフ
ィン系共重合体を配合せしめてなる組成物が、特開昭62
−153343号公報、特開昭62−153344号公報および特開昭
62−153345号公報には、特定の処理を施したPPS樹脂に
α−オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステ
ルからなるオレフィン系共重合体を配合せしめてなる組
成物が開示されている。
<発明が解決しようとする課題> しかしながら、上述した従来のPPS樹脂およびα−オ
レフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルから
なるオレフィン系共重合体の配合組成物においては、両
者を溶融混練する際に、オレフィン系共重合体中のグリ
シジル基が好ましくない副反応を起こすことにより増粘
したりあるいは特に混練時の異常滞留時にゲルが発生す
るなどの問題がある。そればかりか、混練により生成し
た樹脂組成物は耐衝撃性は高いものの、軸受けやギアな
どの摺動部品に応用する際の摩耗が激しいという問題も
ある。
そこで本発明は、耐衝撃性が良好でかつ押出加工特性
が改良され、さらには優れた摺動特性をも兼備したPPS
樹脂組成物の取得を課題とするものである。
<問題を解決するための手段> 本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討した結
果、PPS樹脂とα−オレフィンとα、β−不飽和酸グリ
シジルエステルとの共重合体からなる樹脂組成物に対
し、さらに少量のシリコーンオイルを配合することによ
り、上記問題が一挙に解決し、耐衝撃性、押出成形加工
性、摺動特性の全てが良好なPPS樹脂組成物が得られる
ことを見出し本発明に到達した。
すなわち本発明は、(A)PPS樹脂50〜95重量%およ
び(B)α−オレフィン60〜99重量%とα、β−不飽和
カルボン酸のグリシジルエステル1〜40重量%を必須成
分とするオレフィン系共重合体5〜50重量%からなる組
成物100重量部に対し、シリコーンオイルを0.05〜10重
量部配合してなることを特徴とするポリフェニレンスル
フィド樹脂組成物を提供するものである。
さらに本発明は、上記ポリフェニレンスルフィド樹脂
組成物を必須成分とする摺動部品用材料およびそれから
なる摺動部品である。
本発明で使用するPPS樹脂とは、構造式 で示される繰返し単位を70モル%以上、より好ましくは
90モル%以上を含む重合体であり、上記繰返し単位が70
モル%未満では耐熱性が損なわれるため好ましくない。
PPS樹脂は一般に、特公昭45−3368号公報で代表され
る製造法により得られる比較的分子量の小さい重合体
と、特公昭52−12240号公報で代表される製造法により
得られる本質的に線状で比較的高分子量の重合体などが
あり、前記特公昭45−3368号公報記載の方法で得られた
重合体においては、重合後酸素雰囲気下において加熱す
ることによりあるいは過酸化物などの架橋剤を添加して
加熱することにより高重合度化して用いることも可能で
あり、本発明においてはいかなる方法により得られたPP
S樹脂を用いることも可能であるが、本発明の効果が顕
著であることおよびPPS樹脂自体の靭性が優れるという
理由で、前記特公昭52−12240号公報で代表される製造
法により得られる本質的に線状で比較的高分子量の重合
体がより好ましく用いられる。
また、PPS樹脂はその繰返し単位の30モル%未満を下
記の構造式を有する繰返し単位などで構成することが可
能である。
本発明で用いられるPPS樹脂の溶融粘度は、成形品を
得ることが可能であれば特に制限はないが、PPS樹脂自
体の靭性の面では100ポアズ以上のものが、成形性の面
では10,000ポアズ以下のものがより好ましく用いられ
る。
本発明で用いられるPPS樹脂は、上記重合工程を経て
生成した後、酸処理、酸水処理または有機溶媒による洗
浄を施されたものであることが好ましい。
酸処理を行う場合は次のとおりである。本発明でPPS
樹脂の酸処理に用いる酸は、PPS樹脂を分解する作用を
有しないものであれば特に制限はなく、酢酸、塩酸、硫
酸、リン酸、珪酸、炭酸およびプロピル酸などが挙げら
れ、なかでも酢酸および塩酸がより好ましく用いられる
が、硝酸のようなPPS樹脂を分解、劣化させるものは好
ましくない。
酸処理の方法は、酸または酸の水溶液にPPS樹脂を浸
漬せしめるなどの方法があり、必要により適宜撹拌また
は加熱することも可能である。例えば、酢酸を用いる場
合、pH4の水溶液を80〜90℃に加熱した中にPPS樹脂粉末
を浸漬し、30分間撹拌することにより十分な効果が得ら
れる。酸処理を施されたPPS樹脂は残留している酸また
は塩などを物理的に除去するため、水または温水で数回
洗浄することが必要である。
洗浄に用いる水は、酸処理によるPPS樹脂の好ましい
化学的変性の効果を損なわない意味で、蒸留水、脱イオ
ン水であることが好ましい。
熱水処理を行う場合は次のとおりである。
本発明において使用するPPS樹脂を熱水処理するにあ
たり、熱水の温度を100℃以上、より好ましくは120℃以
上、さらに好ましくは150℃以上、特に好ましくは170℃
以上とすることが重要であり、100℃未満ではPPS樹脂の
好ましい化学的変性の効果が小さいため好ましくない。
本発明の熱水洗浄によるPPS樹脂の好ましい化学的変
性の効果を発現するため、使用する水は蒸留水あるいは
脱イオン水であることが好ましい。熱水処理の操作は、
通常、所定量の水に所定量のPPS樹脂を投入し、圧力容
器内で加熱、撹拌することにより行われる。PPS樹脂と
水との割合は、水の多い方が好ましいが、通常、水1
に対し、PPS樹脂200g以下の浴比が選択される。
また、処理の雰囲気は、末端基の分解は好ましくない
ので、これを回避するため不活性雰囲気下とすることが
望ましい。さらに、この熱水処理操作を終えたPPS樹脂
は、残留している成分を除去するため温水で数回洗浄す
るのが好ましい。
有機溶媒で洗浄する場合は次のとおりである。
本発明でPPS樹脂の洗浄に用いる有機溶媒は、PPS樹脂
を分解する作用などを有しないものであれば特に制限は
なく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルホルムア
ミド、ジメチルアセトアミド、1,3−ジメチルイミダゾ
リジノン、ヘキサメチルホスホラスアミド、ピペラジノ
ン類などの含窒素極性溶媒、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルスルホン、スルホランなどのスルホキシド・スル
ホン系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチル
ケトン、アセトフェノンなどのケトン系溶媒、ジメチル
エーテル、ジプロピルエーテル、ジオキサン、テトラヒ
ドロフランなどのエーテル系溶媒、クロロホルム、塩化
メチレン、トリクロロエチレン、2塩化エチレン、パー
クロルエチレン、モノクロルエタン、ジクロルエタン、
テトラクロルエタン、パークロルエタン、クロルベンゼ
ンなどのハロゲン系溶媒、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、ペンタノール、エチレングリ
コール、プロピレングリコール、フェノール、クレゾー
ル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコー
ルなどのアルコール・フェノール系溶媒およびベンゼ
ン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒な
どが挙げられる。これらの有機溶媒のうちでも、N−メ
チルピロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミドおよ
びクロロホルムなどの使用が特に好ましい、また、これ
らの有機溶媒は、1種類または2種類以上の混合で使用
される。
有機溶媒による洗浄の方法としては、有機溶媒中にPP
S樹脂を浸漬せしめるなどの方法があり、必要により適
宜撹拌または加熱することも可能である。
有機溶媒でPPS樹脂を洗浄する際の洗浄温度について
は特に制限はなく、常温〜300℃程度の任意の温度が選
択できる。洗浄温度が高くなる程洗浄効率が高くなる傾
向があるが、通常は常温〜150℃の洗浄温度で十分効果
が得られる。
圧力容器中で、有機溶媒の沸点以上の温度で加圧下に
洗浄することも可能である。また、洗浄時間についても
特に制限はない。洗浄条件にもよるが、バッチ式洗浄の
場合、通常5分間以上洗浄することにより十分な効果が
得られる。また連続式で洗浄することも可能である。
重合により生成したPPS樹脂を有機溶媒で洗浄するの
みで十分であるが、本発明の効果をさらに発揮させるた
めに、水洗浄または温水洗浄と組合わせるのが好まし
い。また、N−メチルピロリドンなどの高沸点水溶性有
機溶媒を用いた場合は、有機溶媒洗浄後、水または温水
で洗浄することにより、残存有機溶媒の除去が容易に行
えて好ましい。これらの洗浄に用いる水は蒸留水、脱イ
オン水であることが好ましい。
また、本発明で用いるPPS樹脂組成物には、本発明の
効果を損なわない範囲で、酸化防止剤、熱安定剤、滑
剤、結晶核剤、紫外線防止剤、着色材などの通常の添加
剤および少量の他ポリマを添加することができ、さら
に、PPS樹脂の架橋度を制御する目的で、通常の過酸化
剤および特開昭59−131650号公報に記載されているチオ
ホスフィン酸金属塩などの架橋促進剤または特開昭58−
204045号公報、特開昭58−20406号公報などに記載され
ているジアルキル錫ジカルボキシレート、アミノトリア
ゾールなどの架橋防止剤を配合することも可能である。
次に、本発明で用いるオレフィン系共重合体とはα−
オレフィンとα、β−不飽和酸のグリシジルエステルか
らなる共重合体であり、ここでいうα−オレフィンとし
てはエチレン、プロピレンおよびブテン−1などが挙げ
られるが、なかでもエチレンが好ましく用いられる。ま
た、α、β−不飽和酸のグリシジルエステルとは、 (Rは水素原子または低級アルキル基を示す)で示され
る化合物であり、具体的にはアクリル酸グリシジル、メ
タクリル酸グリシジルおよびエタクリル酸グリシジルな
どが挙げられるが、なかでもメタクリル酸グリシジルが
好ましく使用される。オレフィン系共重合体における
α、β−不飽和酸のグリシジルエステルの共重合量は0.
5〜40重量%、特に3〜30重量%が好ましく、0.5重量%
未満では衝撃特性向上効果が得られず、40重量%を越え
るとPPS樹脂との溶融混練時にゲル化を生じ、押出安定
性、成形性および機械的特性が低下するため好ましくな
い。
また、オレフィン系共重合体には40重量%以下で、か
つ本発明の目的を損なわない範囲で、さらに共重合可能
な他の不飽和モノマ、例えば、ビニルエーテル、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、アクリル酸メチル、メタク
リル酸メチル、アクリロニトリルおよびスチレンなどを
共重合せしめてもよい。
PPS樹脂とオレフィン系共重合体の配合割合におい
て、オレフィン系共重合体が5重量%未満では衝撃特性
の向上効果が得にくく、また、50重量%を越えるとPPS
樹脂の強度、剛性、耐熱性が損なわれる恐れが生ずるば
かりでなく、溶融混練時にゲル化を生じ、押出安定性、
成形性が損なわれる傾向が生じるため、PPS樹脂50〜95
重量%に対し、オレフィン系重合体50〜5重量%が好ま
しく、より好ましくは、PPS樹脂60〜95重量%に対し、
オレフィン系共重合体40〜5重量%、特にPPS樹脂70〜9
0重量%に対し、オレフィン系重合体30〜10重量%の範
囲を選択することができる。
また、本発明においてはエチレン/プロピレン共重合
体、エチレン/ブテン共重合体、エチレン/(メタ)ア
クリル酸およびその誘導体の共重合体およびスチレン/
ブタジエン/スチレンブロック共重合体の水添物などの
エラストマー成分を上記オレフィン系共重合体と併用す
ることもできる。
本発明で使用するシリコーンオイルはポリジメチルシ
ロキサンに代表されるポリオルガノシロキサンおよびポ
リジメチルシロキサンの側鎖および/または末端のメチ
ル基の1部にエポキシ基、カルボキシル基、アミノ基、
水酸基、メルカプト基などの反応性置換基を導入した変
性ポリオルガノシロキサンである。
シリコーンオイルの粘度は特に制限なく、通常25℃の
おける粘度が10〜100,000CSの範囲のものが使用可能で
あるが、ハンドリング性や成形加工特性改良効果の点か
ら100〜50,000CSの範囲のものが特に好ましい。
シリコーンオイルの配合量は、オレフィン系共重合体
を含有してなるPPS樹脂組成物100重量部に対して、0.05
〜10重量部、好ましくは0.1〜7重量部の範囲が適当で
ある。0.05重量部未満では目的とする摺動特性および押
出安定性改良効果が得られず、10重量部を越えると組成
物の衝撃強度が低下するため好ましくない。
本発明において、繊維状および/または粒状の強化剤
は必須成分ではないが、必要に応じてPPS樹脂とオレフ
ィン系共重合体の合計100重量部に対して300重量部を越
えない範囲で配合することが可能であり、通常10〜300
重量部の範囲で配合することにより強度、剛性、耐熱
性、寸法安定性などの向上を図ることが可能である。
かかる維状強化材としては、ガラス繊維、アルミナ繊
維、炭化珪素繊維、セラミック繊維、アスベスト繊維、
石コウ繊維、金属繊維などの無機繊維および炭素繊維な
どが挙げられる。
また粒状の強化材としては、ワラステナイト、セリサ
イト、カオリン、マイカ、クレー、ベントナイト、アス
ベスト、タルク、アルミナシリケートなどの珪酸塩、ア
ルミナ、塩化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウ
ム、酸化チタンなどの金属酸化物、炭酸カルシウム、炭
酸マグネシウム、ドロマイトなどの炭酸塩、硫酸カルシ
ウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩、ガラス・ビーズ、窒
化ホウ素、炭化珪素およびシリカなどが挙げられ、これ
らは中空であってもよい。これら強化材は2種以上を併
用することが可能であり、必要によりシラン系およびチ
タン系などのカップリング剤で予備処理して使用するこ
とができる。
本発明の組成物の調製手段は特に制限はないが、PPS
樹脂、オレフィン系重合体およびシリコーンオイルと、
さらに必要に応じて強化材とをPPS樹脂の融点以上の温
度で押出機内で溶融混練後、ペレタイズする方法が代表
的である。
なお、溶融混練温度は組成物の溶融を十分に行うた
め、通常、280℃以上、オレフィン系共重合体の熱劣化
およびゲル化防止の点から、通常、340℃以下、すなわ
ち280〜340℃が好ましい。
かくして得られるPPS樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃
性、押出安定性および摺動特性が均衡して優れるため、
摺動部品用材料として特に適しており、摺動部品として
有用である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明す
る。
<実施例> 参考例1(PPS樹脂の重合) オートクレブに硫化ナトリウム3.26kg(25モル、結晶
水40%を含む)、水酸化ナトリウム4g、酢酸ナトリウム
三水和物1.36kg(約10モル)およびN−メチル−2−ピ
ロリドン(以下、NMPと略称する)7.9kgを仕込み、撹拌
しながら徐々に205℃まで昇温し、水1.36kgを含む留出
水1.5を除去した、残留混合物に1,4−ジクロルベンゼ
ン3.75kg(25.5モル)およびNMP2kgを加え、265℃で4
時間加熱した。反応生成物を70℃の温水で5回洗浄し、
80℃で24時間減圧乾燥して、溶融粘度約2,500ポアズ(3
20℃、剪断速度1,000秒-1)の粉末状PPS樹脂約2kgを得
た。
同様の操作を繰返し、以下に記載の実施例に供した。
実施例1〜4 参考例1で得られたPPS樹脂粉末約2kgを90℃に加熱さ
れたpH4の酢酸水溶液20中に投入し、約30分間撹拌し
続けた後、過し、液のpHが7になるまで約90℃の脱
イオン水で洗浄し、120℃で24時間減圧乾燥して粉末状
とした。
このPPS樹脂粉末とエチレン−メタクリル酸グリシジ
ル(88/12重量比)共重合体(以下、オレフィン共重合
体と略称する)およびシリコーンオイルを第1表に示し
た組成でドライブレンドした後、290〜320℃に設定した
40mmφ単軸押出機に供給し、溶融混練してPPS樹脂組成
物ペレットを得た。また溶融混練の際、異常滞留による
ゲル状物発生の有無を押出ガット表面外観目視により判
定した。
このペレットをシリンダー温度300〜320℃、金型温度
150℃に設定した射出成形機に供給し、テストピースを
成形した。上記樹脂組成物のアイゾット衝撃強さおよび
摺動特性を次の方法に従い測定し、その結果を第1表に
示した。
A.アイゾット衝撃強さ:ASTM D256 B.摺動特性(動摩擦係数および摩耗係数) 鈴木式スラスト摩耗試験機 荷 重 15kgf/cm2 速 度 30m/分 相手材 SCM 21 第1表から明らかなように、本発明のPPS樹脂組成物
はアイゾット衝撃強さが高く、かつ動摩擦係数および摩
耗係数の極めて小さな摺動特性の優れた材料であること
がわかる。
比較例1 オレフィン系共重合体を配合しない以外は、実施例1
と同様に行い、結果を第1表に示した。動摩擦係数およ
び摩耗係数は小さくなったがアイゾット衝撃強さの低い
材料であった。
比較例2 シリコーンオイルを配合しない以外は実施例1と同様
に行い、結果を第1表に示した。この組成物の押出ガッ
ト中には多数の異物が見られ、また成形品についてもア
イゾット衝撃強さは高いが、動摩擦係数および摩耗係数
の大きい材料であった。
比較例3 シリコーンオイルを12重量部配合した以外は実施例1
と同様に行い、結果を第1表に示した。アイゾット衝撃
強さが大幅に低下した。
<発明の効果> 本発明のPPS樹脂組成物は、耐熱性、耐衝撃性、押出
安定性および摺動特性が均衡して優れているため、断熱
スリーブ、ギヤー、チューブなどの摺動用材料として実
用価値が極めて大きい。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08L 81/00 - 81/02 C08L 23/00 - 23/02 C08L 83/04

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンスルフィド樹脂50〜
    95重量%および(B)α−オレフィン60〜99重量%と
    α,β−不飽和カルボン酸のグリシジルエステル1〜40
    重量%を必須成分とするオレフィン系共重合体5〜50重
    量%からなる組成物100重量部に対し、シリコーンオイ
    ルを0.05〜10重量部配合してなることを特徴とするポリ
    フェニレンスルフィド樹脂組成物。
  2. 【請求項2】ポリフェニレンスルフィド樹脂が酸処理、
    熱水処理または有機溶剤による洗浄を施されたものであ
    ることを特徴とする請求項1記載のポリフェニレンスル
    フィド樹脂組成物。
  3. 【請求項3】請求項1記載のポリフェニレンスルフィド
    樹脂組成物を必須成分とする摺動部品用材料。
  4. 【請求項4】請求項3記載の摺動部品用材料からなる摺
    動部品。
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