JP3992575B2 - 釣竿 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、魚釣りに用いる釣竿に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の釣竿は、一般に元竿と呼ばれる竿元側に位置する太径の竿体の穂先側に複数の竿体を連結して一本の釣竿となっている。この元竿の周面にはリールを装着するためのリールシート及び釣人が元竿を把持するためのグリップが設けられる。また、いわゆる外通し竿では各竿体の周面にリールからの釣糸を案内する釣糸ガイドが装着され、いわゆる中通し竿では釣糸を竿体内部に導入するための釣糸導入口が竿体の周面に形成される。そして、外通し竿ではリールからの釣糸を釣糸ガイドを介して穂先側に導き、中通し竿では釣糸内部に釣糸を挿通させて、釣りを行うことになる。
【0003】
従来のこのような釣竿においては幾つかの問題点が指摘されてきた。例えば、中通し竿であれば巻きあげる釣糸と共に水が竿体内部に侵入し、その排水が必要となる。また、振出形式に竿体を連結している釣竿にあっては、振出形式に各竿体を連結している場合、穂先側の竿体を手元側の竿体内から出し入れする際に手元側の竿体内の空気の逃げ場がなくなり、スムーズに出し入れできない恐れがある。
【0004】
このため竿体の後端若しくは底栓に開閉自在な排水部を設けた釣竿(例えば、特許文献1参照)などが提案されている。しかし、この技術は排水にのみに着目したに過ぎず、釣竿の操作性への配慮に欠ける。釣竿の竿元側の端部付近は釣人が把持して釣り操作を行う箇所であり、不要な部材を装着すれば操作性を損なう恐れがある。
【0005】
一方、竿体の竿元側周面に操作性を向上させるべくゴム製のグリップ片を装着する釣竿も提案されている(例えば、特許文献2)。しかし、この技術は排水・排気などに配慮するものではない。
【0006】
【特許文献1】
特開平7−213200号公報(図1,図5等)
【0007】
【特許文献2】
特開平11−046634号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、竿体の排気性・排水性に富み且つ操作性にも配慮した釣竿を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
発明1の釣竿は、最も手元側に位置する筒状体であり、周面にリールを脱着自在に装着可能なリールシートを有し且つリールシートと同一の周方向位置の竿元側端部周面に軸方向に間隔を隔てて複数の孔が形成されている元竿と、元竿の貫通孔の形成されている周面部分上に取り付けられる部材であり、孔に連通する貫通路が形成されている突出部材とを備えている。
【0010】
この釣竿では、元竿の孔とこれに連通する突出部材の貫通路を介して元竿の内部に侵入した水が外部に排出される。元竿内の空気もこの孔及び貫通路を介して出入りする。特に、元竿の孔がリールシートと同一の周方向位置の元竿周面に形成されており、例えば、スピニングリールを地面方向に向けて釣竿を使用するに当たっては、元竿内の水が良好に外部に排出されることになる。また、突出部材は孔の形成により低下する元竿の強度を補強しており、且つ、釣人がこの突出部材を含めて元竿を把持することで、周方向の滑り止めにも役立つ。
【0011】
発明2の釣竿は、発明1の釣竿であって、突出部材は元竿の軸方向に延びる部材であり、その裏面は元竿の周面形状に合致して幅方向中央が最も凹入する曲面化され、その表面は幅方向中央が最も元竿の周面より突出するように曲面化されており、貫通路は表面から穂先側方向に傾斜して形成されている。
突出部材の曲面化した裏面は元竿にフィットして安定性を向上させている。また、突出部材表面の曲面化により釣人は突出部材をスムーズに握り絞めることができ、周方向の滑り止めに役立つ。また、穂先側方向に傾斜している貫通路は、元竿内部からの排水及び排気吸気を円滑化することになり、外から竿体内部が直接見えないようになるので意匠性にも優れる。
【0012】
発明3の釣竿は、発明2の釣竿であって、突出部材の裏面の貫通路の出口周縁には、元竿の貫通孔に挿入される係止突起が形成されている。
係止突起が元竿の貫通孔に挿入されることで、突出部材の位置決めが容易になり安定性も向上する。
【0013】
【発明の実施の形態】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について図面を参照しつつ説明する。
本発明の第1実施形態を採用した釣竿は、図1に示すように、複数の竿管を振出形式に連結して構成される竿体ユニット1と、竿体ユニット1の竿元側に振出形式に連結される太径の元竿2とから構成されている。元竿2及び竿体ユニット1を構成する各竿体は、それぞれ繊維強化樹脂に合成樹脂を含浸させたプリプレグ素材を焼成してなり、それぞれ穂先側ほど小径化するテーパが施されている。
【0014】
竿体ユニット1の各竿体の穂先側端部及び/または竿元側端部はそれぞれ連結部分となっており、穂先側の竿体を竿元側の竿体から穂先側に引き出して連結固定可能となっている。また、収納時には穂先側の竿体が順次竿元側の竿体内部に収納される。各竿体の内部は釣糸が挿通する釣糸通路にもなっており、必要に応じて、それぞれの竿体の内周面には釣糸を支持するための釣糸支持突起が螺旋状に連続して形成される。また、最も穂先側に位置する竿体(穂先竿)の穂先側端部にはトップガイド3が装着される。
【0015】
元竿2も、上記竿体ユニットを構成する竿体と同様に、その穂先側端部は連結部分となっており、竿体ユニット1が穂先側から元竿2の内部に収納自在になっている。元竿2の軸方向中央付近の周面にはリール6を脱着自在に装着するためのリールシート7が配置され、穂先側の周面にはリール6からの釣糸100を元竿2の内部から竿体ユニット1を構成する竿体内へ導入するための釣糸導入口5が形成される。この釣糸導入口5の上空には釣糸導入口5に釣糸100を案内する釣糸導入ガイド8を配置してもよい。また、元竿2の竿元側端部内周面はねじ溝が形成されており(図2参照)、ここに尻栓9が脱着自在に螺着している。
【0016】
また、図2に詳しく示すように、元竿2の竿元側の周面のリールシート7の配置される周方向側には軸方向に間隔を隔てて3つの孔2aが形成されており、この周面には突出部材10が装着されている。
突出部材10は、硬質プラスチック若しくは金属等から形成する。意匠性を高めるべく、硬質プラスチックから形成する際にはその周面に金属メッキ等の表面処理を施してもよい。この突出部材10は接着剤や両面テープなどの周知の方法で元竿2の所定の周面に固定される。
【0017】
図3に示すように、突出部材10はその上面視方向において(図3(c)参照)、軸方向に延びて穂先側にかけて幅狭に軸方向中央付近から竿元側端部にかけて幅太になっている。例えば、この突出部材10は、軸方向長さが80〜100mm程度、最大幅で15〜20mm程度に設定される。図4及び図5に示すように、突出部材10の裏面(元竿1の周面に当接する面)は元竿1の周面形状に合致して幅方向中央が最も凹入するように曲面化され、その表面は幅方向中央が最も元竿2の周面より突出するように曲面化されている。この突出部材10の元竿2の周面からの最大の突出高さは3〜5mm程度に設定するのが好ましい。
【0018】
突出部材10には軸方向に間隔を隔てて3つの貫通路10aが上述の元竿2の孔2aにあわせて形成されている。即ち、貫通路10aの裏面側の出口は上述の元竿2の孔2aに合致する。この貫通路10aは突出部材10の表側口から裏面口に向かって穂先側方向に傾斜する傾斜路である(図2・図3(c)参照)。このような傾斜を設けることで、貫通路10aを元竿2に直交する方向から見ても、貫通路10aから元竿2の内部まで直接目視できるような不都合を排除している。
【0019】
また、この3つの貫通路10aの中で最も穂先側に位置する貫通路10aの裏面側の出口の穂先側周縁と、最も竿元側に位置する貫通路10aの背面側の出口の竿元側周縁には、それぞれ元竿2方向に突出する係止突起10b,10cが形成されている(背面視方向の図3(a)参照)。この係止突起10b,10cはそれぞれ元竿2の孔2aに嵌入されて、軸方向の位置決めとなる。もっとも、係止突起10b,10cは元竿2の孔2aから元竿2の内部空間へ飛び出さない程度の大きさに形成する。なお、この実施形態では、軸方向中央の貫通路10aについては係止突起を設けていないが、必要に応じてこの軸方向中央の貫通路10aにも係止突起を他の貫通路10aと同様に形成してもよい。
【0020】
このように構成されている釣竿では、釣糸100をリール6で巻きあげると、釣糸100に付着した水が釣糸100と共に竿体ユニット1及び元竿2の内部に侵入して場合がある。釣竿の穂先側を持ち上げると、この侵入した水は元竿2の孔2aとこれに連通する突出部材10の貫通路10aを介して元竿2外部に排出されることになる。特に、この孔2aがリールシート6と同一の周方向位置の元竿2の周面に形成されており、例えば、スピニングリールを地面方向に向けて釣竿を使用するに当たっては、元竿2内に至った水が良好に孔2aに至る。そして、傾斜した貫通路10aを介して外部に排水される。
【0021】
また、竿体ユニット2を構成する竿体を順次竿元側の竿体内部に元竿2まで収納し、若しくは各竿体を穂先側に引き出す際には、この孔2a及び貫通路10aを介して空気が各種竿体内部に出入りする。よって、竿体内部に空気が溜まり若しくは空気が少なくなり、竿体の出し入れが阻害されるピストン現象も抑えられる。
【0022】
なお、この突出部材10は元竿2に孔2aを形成することによって低下する元竿2の強度を補強している。さらに、釣人がこの突出部材10を含めて元竿2の竿元側端部を把持することで、周方向の滑り止めにもなり釣竿の操作性も向上する。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について説明する。
【0023】
本発明の第2実施形態を採用した釣竿も、第1実施形態と同様に、元竿2及び竿体ユニット1から構成される。元竿2にはリールシートが形成され、上記第1実施形態と同様に、リールシートの配置された周方向位置に軸方向に間隔を隔てて3つの孔2aが形成されている。そして、図7に示すように、この元竿2の3つの孔2a上にはそれぞれ突出部材20が装着されている。
【0024】
図8にも示すように、突出部材20は上面方向視で楕円型の部材であり、ちょうど孔2aを覆う程度の大きさを有している硬質プラスチック若しくは金属製の部材である。表面側は丘状にラグビーボールを半割にしたような形状に盛り上がり、裏面は元竿2の周面形状に合わせて曲面化している。また、この突出部材20には孔2aに連通する貫通路20aが高さ方向に貫いている。貫通路20aの裏面側口の周縁は全周にわたって孔2aの周に沿って突出して係止突起が形成されている。この係止突起も上記第1実施形態と同様に元竿2の内部空間にまで飛び出さないようにしている。
【0025】
このような突出部材20を有する釣竿でも、第1実施形態と同様に、竿体内部の水を排出し、空気の出入りを可能とし、孔の補強及び滑り止めも可能となる。なお、突出部材に関しては、図9に示すような変形例も呈示できる。この変形例に関する突出部材30は、貫通路30aを表面側口から裏面側口に向かって穂先側に傾斜させている。
【0026】
[他の実施形態]
(a)上述の各実施形態では元竿の孔は3つ形成しているが、その数はこれに限定されるものではない。孔の数に応じて突出部材の貫通路若しくは装着する突出部材の数を設定する。
(b)上記実施形態では、いわゆる中通し竿を例示しているがこれに限定されるものではない。特に、元竿及びその穂先側に連結される元上竿とを、元上竿を元竿内に収納した収納状態及び引き出した延伸状態の何れに於いても相互に連結固定可能とし釣竿全体の長さを調整可能とするタイプの釣竿などに、本発明を適用すれば、釣竿全体の長さ調整が容易にもなる。
【0027】
【発明の効果】
本発明にかかる釣竿は排水・通気性に優れる。また、強度低下を防止しつつ操作性も向上している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を採用した釣竿の全体図。
【図2】図1の元竿2の竿元側端部付近の断面図。
【図3】図2の突出部材10の(a)裏面方向視図,(b)側面方向視図,(c)表面方向視図。
【図4】図1の突出部材10を示した図。
【図5】図4のV-V断面図。
【図6】図1の元竿2の参考図。
【図7】本発明の第2実施形態を採用した元竿2の竿元側端部付近を示した図。
【図8】図7の突出部材20の断面図。
【図9】突出部材の変形例30を示した図。
【符号の説明】
1 竿体ユニット
2 元竿
2a 孔
10,20,30 突出部材
10a,20a,30a 貫通路
Claims (3)
- 最も手元側に位置する筒状体であり、周面にリールを脱着自在に装着可能なリールシートを有し且つ前記リールシートと同一の周方向位置の竿元側端部周面に軸方向に間隔を隔てて複数の孔が形成されている元竿と、
前記元竿の貫通孔の形成されている周面部分上に取り付けられる部材であり、前記孔に連通する貫通路が形成されている突出部材と
を備えた釣竿。 - 前記突出部材は前記元竿の軸方向に延びる部材であり、その裏面は前記元竿の周面形状に合致して幅方向中央が最も凹入する曲面化され、その表面は幅方向中央が最も前記元竿の周面より突出するように曲面化されており、前記貫通路は前記表面から穂先側方向に傾斜して形成されている、請求項1に記載の釣竿。
- 前記突出部材の裏面の貫通路の出口周縁には、前記元竿の貫通孔に挿入される係止突起が形成されている、請求項2に記載の釣竿。
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