図1は、本発明が適用された車両に備えられた車両用駆動装置(以下駆動装置という)6の構成を説明する骨子図である。駆動装置6は、車体に取り付けられる非回転部材としてのトランスミッションケース12内において、共通の軸心上に、第1モータジェネレータMG1、直結クラッチCi、第2モータジェネレータMG2、および有段式自動変速機(以下自動変速機という)10が順次配設されている。自動変速機10は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関であるエンジン8のクランク軸9に専ら直結クラッチCiを介して機械的に連結された入力軸16、第1遊星歯車装置18を主体として構成されている第1変速部20、第2遊星歯車装置22と第3遊星歯車装置24とを主体として構成されている第2変速部26、および出力軸28が順次配設され、入力軸16の回転を変速して出力軸28から出力する。上記入力軸16は直結クラッチCiの出力側回転部材として機能するものであると同時に、自動変速機10の入力回転部材としても機能するものである。また、出力軸28は自動変速機10の出力回転部材に相当するものであり、例えば図示しない差動歯車装置(終減速機)や一対の車軸等を順次介して左右の駆動輪を回転駆動する。また、第1モータジェネレータMG1は、エンジン8に直接作動的に連結され、第2モータジェネレータMG2は入力軸16に直接作動的に連結されている。
上述したように、本実施例の駆動装置6においてはクランク軸9と入力軸16とは直結クラッチCiを介して機械的に連結すなわち直結されている。この直結にはトルクコンバータやフルードカップリング等の流体式伝動装置を介することなく連結されているということであり、例えば脈動吸収ダンパー(振動減衰装置)などを介する連結はこの直結に含まれる。なお、駆動装置6はその軸心に対して対称的に構成されているため、第1図の骨子図においてはその下側が省略されている。
上記第1遊星歯車装置18はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS1、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP1、そのピニオンギヤP1を自転および公転可能に支持するキャリヤCA1、ピニオンギヤP1を介してサンギヤS1と噛み合うリングギヤR1を備えている。キャリヤCA1は入力軸16に連結されて回転駆動され、サンギヤS1は回転不能にトランスミッションケース12に一体的に固定されている。リングギヤR1は中間出力部材として機能し、入力軸16に対して減速回転させられて、回転を第2変速部26へ伝達する。本実施例では、入力軸16の回転をそのままの速度で第2変速部26へ伝達する経路が、予め定められた一定の変速比(=1.0)で回転を伝達する第1中間出力経路PA1であり、第1中間出力経路PA1には、入力軸16から第1遊星歯車装置18を経ることなく第2変速部26へ回転を伝達する直結経路PA1aと、入力軸16から第1遊星歯車装置18のキャリヤCA1を経て第2変速部26へ回転を伝達する間接経路PA1bとがある。また、入力軸16からキャリヤCA1、そのキャリヤCA1に配設されたピニオンギヤP1、およびリングギヤR1を経て第2変速部26へ伝達する経路が、第1中間出力経路PA1よりも大きい変速比(>1.0)で入力軸16の回転を変速(減速)して伝達する第2中間出力経路PA2である。
第2遊星歯車装置22はシングルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS2、ピニオンギヤP2、そのピニオンギヤP2を自転および公転可能に支持するキャリヤCA2、ピニオンギヤP2を介してサンギヤS2と噛み合うリングギヤR2を備えている。第3遊星歯車装置24はダブルピニオン型の遊星歯車装置であり、サンギヤS3、互いに噛み合う複数対のピニオンギヤP2およびP3、そのピニオンギヤP2およびP3を自転および公転可能に支持するキャリヤCA3、ピニオンギヤP2およびP3を介してサンギヤS3と噛み合うリングギヤR3を備えている。
上記第2遊星歯車装置22および第3遊星歯車装置24では、ピニオンギヤP2を回転可能に支持するキャリヤCA2およびCA3、リングギヤR2およびR3は相互に共用されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されている。すなわち、第2遊星歯車装置22のサンギヤS2によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置22のキャリヤCA2および第3遊星歯車装置のキャリヤCA3が互いに一体的に連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置22のリングギヤR2および第3遊星歯車装置24のリングギヤR3が互いに一体的に連結されて第3回転要素RM3が構成され、第3遊星歯車装置24のサンギヤS3によって第4回転要素RM4が構成されている。
第1回転要素RM1(サンギヤS2)は、第1ブレーキB1を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されて回転停止され、第3クラッチC3を介して中間出力部材である第1遊星歯車装置18のリングギヤR1(すなわち第2中間出力経路PA2)に選択的に連結され、さらに第4クラッチC4を介して第1遊星歯車装置18のキャリヤCA1(すなわち第1中間出力経路PA1の間接経路PA1b)に選択的に連結されている。第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびCA3)は、第2ブレーキB2を介してトランスミッションケース12に選択的に連結されて回転停止させられるとともに、第2クラッチC2を介して入力軸16(すなわち第1中間出力経路PA1の直結経路PA1a)に選択的に連結されている。第3回転要素RM3(リングギヤR2およびR3)は、出力軸28に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。第4回転要素RM4(サンギヤS3)は、第1クラッチC1を介してリングギヤR1に連結されている。なお、ブレーキB1、B2、およびクラッチC1〜C4は、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる多板式等の油圧式摩擦係合装置である。
図2は、上記第1変速部20および第2変速部26の各回転要素の回転速度を直線で表すことができる共線図であり、下の横線が回転速度「0」を示し、上の横線が回転速度「1.0」すなわち入力軸16と同じ回転速度を示している。また、第1変速部20の各縦線は、左側から順番にサンギヤS1、リングギヤR1、キャリヤCA1を表しており、それ等の間隔は第1遊星歯車装置18のギヤ比ρ1(=サンギヤS1の歯数/リングギヤR1の歯数)に応じて定められる。図2は、例えばギヤ比ρ1=0.463の場合である。第2変速部26の4本の縦線は、左側から順番に第1回転要素RM1(サンギヤS2)、第2回転要素RM2(キャリヤCA2およびキャリヤCA3)、第3回転要素RM3(リングギヤR2およびリングギヤR3)、第4回転要素RM4(サンギヤS3)を表しており、それ等の間隔は第2遊星歯車装置22のギヤ比ρ2および第3遊星歯車装置24のギヤ比ρ3に応じて定められる。図2は、例えばギヤ比ρ2=0.463、ρ3=0.415の場合である。
そして、この共線図から明らかなように、第1クラッチC1および第2ブレーキB2が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部20を介して入力軸16に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられると、出力軸28に連結された第3回転要素RM3は「1st」で示す回転速度で回転させられ、最も大きい変速比(=入力軸16の回転速度/出力軸28の回転速度)の第1変速段「1st」が成立させられる。
第1クラッチC1および第1ブレーキB1が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部20を介して入力軸16に対して減速回転させられるとともに、第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「2nd」で示す回転速度で回転させられ、第1変速段「1st」よりも変速比が小さい第2変速段「2nd」が成立させられる。
第1クラッチC1および第3クラッチC3が係合させられて、第4回転要素RM4および第1回転要素RM1が第1変速部20を介して入力軸16に対して減速回転させられて第2変速部26が一体回転させられると、第3回転要素RM3は「3rd」で示す回転速度で回転させられ、第2変速段「2nd」よりも変速比が小さい第3変速段「3rd」が成立させられる。
第1クラッチC1および第4クラッチC4が係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部20を介して入力軸16に対して減速回転させられるとともに、第1回転要素RM1が入力軸16と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「4th」で示す回転速度で回転させられ、第3変速段「3rd」よりも変速比が小さい第4変速段「4th」が成立させられる。
第1クラッチC1および第2クラッチC2係合させられて、第4回転要素RM4が第1変速部20を介して入力軸16に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が入力軸16と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「5th」で示す回転速度で回転させられ、第4変速段「4th」よりも変速比が小さい第5変速段「5th」が成立させられる。
第2クラッチC2および第4クラッチC4が係合させられて、第2変速部26が入力軸16と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「6th」で示す回転速度すなわち入力軸16と同じ回転速度で回転させられ、第5変速段「5th」よりも変速比が小さい第6変速段「6th」が成立させられる。この第6変速段「6th」の変速比は1である。
第2クラッチC2および第3クラッチC3が係合させられて、第1回転要素RM1が第1変速部20を介して入力軸16に対して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が入力軸16と一体回転させられると、第3回転要素RM3は「7th」で示す回転速度で回転させられ、第6変速段「6th」よりも変速比が小さい第7変速段「7th」が成立させられる。
第2クラッチC2および第1ブレーキB1が係合させられて、第2回転要素RM2が入力軸16と一体回転させられるとともに、第1回転要素RM1が回転停止させられると、第3回転要素RM3は「8th」で示す回転速度で回転させられ、第7変速段「7th」よりも変速比が小さい第8変速段「8th」が成立させられる。
また、第3クラッチC3および第2ブレーキB2が係合させられると、第1回転要素RM1が第1変速部20を介して減速回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられて、第3回転要素RM3は「Rev1」で示す回転速度で逆回転させられ、逆回転方向で変速比が最も大きい第1後進変速段「Rev1」が成立させられる。第4クラッチC4および第2ブレーキB2が係合させられると、第1回転要素RM1が入力軸16と一体回転させられるとともに、第2回転要素RM2が回転停止させられ、第3回転要素RM3は「Rev2」で示す回転速度で逆回転させられ、第1後進変速段「Rev1」よりも変速比が小さい第2後進変速段「Rev2」が成立させられる。第1後進変速段「Rev1」、第2後進変速段「Rev2」は、それぞれ逆回転方向の第1変速段、第2変速段に相当する。
図3は、上記各変速段を成立させる際の係合要素および変速比を説明する作動表であり、「○」は係合状態を表しており、空欄は解放である。各変速段の変速比は、第1遊星歯車装置18、第2遊星歯車装置22、第3遊星歯車装置24の各ギヤ比ρ1〜ρ3によって適宜定められ、例えばρ1=0.463、ρ2=0.463、ρ3=0.415とすれば、変速比ステップ(各変速段間の変速比の比)の値が略適切であるとともにトータルの変速比幅(=4.532/0.667)も6.578程度と大きく、後進変速段「Rev1」、「Rev2」の変速比も適当で、全体として適切な変速比特性が得られる。
このように本実施例の自動変速機10は、変速比が異なる2つの中間出力経路PA1、PA2を有する第1変速部20および2組の遊星歯車装置22、24を有する第2変速部26により、4つのクラッチC1〜C4および2つのブレーキB1、B2の係合切換えで前進8速の変速ギヤ段が達成されるため、小型に構成され、車両への搭載性が向上する。また、図3に示されるように、本実施例の自動変速機10は、変速比幅を大きくとることができ且つ変速比ステップも適切となっている。しかも、図3から明らかなように、クラッチC1〜C4およびブレーキB1、B2の何れか2つを掴み替えるだけで各変速段の変速を行うことができるため、変速制御が容易で変速ショックの発生が抑制される。
図4は、本実施例の車両において、上記エンジン8、直結クラッチCi、自動変速機10の変速段、モータジェネレータMG1およびMG2などを制御するための制御系統を説明するブロック線図である。図4において、アクセルペダル50の操作量Accがアクセル操作量センサ51により検出されるようになっている。アクセルペダル50は、運転者の出力要求量に応じて大きく踏み込み操作されるものであることからアクセル操作部材に相当し、アクセル操作量Accは出力要求量に相当する。エンジン8の吸気配管には、スロットルアクチュエータ54によってアクセル操作量Accに応じた開き角(開度)θTHとされる電子スロットル弁56が設けられている。また、アイドル回転速度制御のために上記電子スロットル弁56をバイパスさせるバイパス通路52には、エンジン8のアイドル回転速度NIDL を制御するために電子スロットル弁56の全閉時の吸気量を制御するISC(アイドル回転速度制御)バルブ53が設けられている。
この他、エンジン8の回転速度NE(=第1モータジェネレータMG1の回転速度NM1)を検出するためのエンジン回転速度センサ58、エンジン8の吸入空気量Qを検出するための吸入空気量センサ60、上記電子スロットル弁56の全閉状態(アイドル状態)およびその開度θTHを検出するためのアイドルスイッチ付スロットル弁開度センサ62、車速V(出力軸28の回転速度NOUTに対応)を検出するための車速センサ64、自動変速機10の入力軸16の回転速度NIN(=第2モータジェネレータMG2の回転速度NM2)を検出するための入力軸回転速度センサ66、常用ブレーキであるフットブレーキの操作の有無を検出するためのブレーキスイッチ68、シフトレバー72のレバーポジション(操作位置)PSHを検出するためのレバーポジションセンサ74、エンジン8の冷却水温を検出するためのエンジン水温センサ76、モータジェネレータMG1、MG2に接続された蓄電装置108の蓄電量(残容量)SOCを検出するためのSOCセンサ78、自動変速機10の作動油温度を検出するための油温センサ80、排気ガスを浄化する触媒の温度を検出するための触媒温度センサ82、車両の加速度を検出するための加速度センサ84、油圧が前記クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B2の係合トルクを発生させるための所定圧以上となった場合に所定の信号例えばON信号を出力する油圧スイッチ86、などが設けられており、それらのセンサやスイッチなどから、エンジン回転速度NE(=第1モータジェネレータ回転速度NM1)、吸入空気量Q、スロットル弁開度θTH、車速V、入力軸回転速度NIN(=第2モータジェネレータ回転速度NM2)、ブレーキ操作の有無、シフトレバー72のレバーポジションPSH、冷却水温IW、蓄電量SOC、油温TOIL、触媒温度TRE、車両の加速度G、係合油圧のON信号などを表す信号が電子制御装置90に供給されるようになっている。
電子制御装置90は、CPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより、エンジン8の出力制御、自動変速機10の変速制御、第1モータジェネレータMG1や第2モータジェネレータMG2の力行制御や回生制御を行うハイブリッド制御などを実行するようになっており、必要に応じて、エンジン制御用、変速制御用、ハイブリッド制御用等に分けて構成される。
上記電子制御装置90によるエンジン8の出力制御では、スロットルアクチュエータ54により電子スロットル弁56を開閉制御する他、燃料噴射量制御のために燃料噴射装置92を制御し、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置94を制御し、アイドル回転速度制御のためにISCバルブ53を制御する。電子スロットル弁56の制御は、例えば図5に示す関係から実際のアクセル操作量Accに基づいてスロットルアクチュエータ54を駆動し、アクセル操作量Accが増加するほどスロットル弁開度θTHを増加させる。また、エンジン8の始動時には、例えば直結クラッチCiを解放させた状態で第1モータジェネレータMG1を電動モータとして作動させることによってエンジン8のクランク軸9を回転駆動(クランキング)する。
また、上記電子制御装置90による自動変速機10の変速制御では、例えば図6に示す予め記憶された関係から実際の車速Vおよびスロットル弁開度θTHに基づいて変速判断が行われ、その判断された変速が得られるように変速用の油圧制御回路98内のATシフトソレノイド99の励磁、非励磁により油圧回路を切り換えるなどして自動変速機10の変速制御が行われる。この変速制御は、少なくともパワーオン走行において、通常、油圧制御回路98に設けられた直結クラッチ制御弁96により直結クラッチCiが係合させられた状態で実行される。上記ATシフトソレノイド99は、切換弁などの作動状態を変更して油圧制御回路98を切り換えることにより、前記クラッチC1〜C4、ブレーキB1〜B2の係合、解放状態を切り換えて、前記複数の変速段やニュートラル「N」などを成立させるためのものであり、複数設けられている。上記電子制御装置90は、このATシフトソレノイド99により、上記図6に例示する車速Vおよびスロットル弁開度θTHをパラメータとして予め記憶された変速マップ(変速条件)に従って変速制御を行う変速制御手段110(図8参照)を機能的に備えており、車速Vが低くなったりスロットル弁開度θTHが大きくなったりするに従って変速比が大きい低速側の変速段が成立させられるようにする。また、その変速時に係合または解放される前記クラッチC1〜C4やブレーキB1〜B2の過渡油圧をATライン圧コントロールソレノイドやリニアソレノイド弁SLNなどにより制御し、滑らかな変速を実行させる。なお、図6の変速線図において、ダウン変速線は省略されている。
シフトレバー72は、図7に示すように、自動変速機10内の動力伝達経路を解放し且つその出力軸28の回転をロックするための「P」ポジション、自動変速機10の出力軸28を逆回転とするための「R」ポジション、自動変速機10内の動力伝達経路を解放するための「N」ポジション、自動変速機10の第1速乃至第8速の変速を許容する変速範囲(Dレンジ)で自動変速制御を実行させる「D」ポジション、手動変速モードに切り換えるための「M」ポジション、手動変速モードにおいて操作毎に変速範囲或いはギヤ段をアップ側にシフトさせるための「+」ポジション、手動変速モードにおいて操作毎に変速範囲或いはギヤ段をダウン側にシフトさせるための「−」ポジションへ操作されるようになっており、前記レバーポジションセンサ74はそのシフトレバー72の操作位置を検出する。上記電子制御装置90による自動変速機10の変速制御では、上記手動変速モードにおける手動操作に応答して、自動変速機10の変速範囲或いはギヤ段が変更される。
また、上記電子制御装置90によるハイブリッド制御では、車両の走行状態に応じて、モータ走行、エンジン走行、モータ及びエンジン走行、回生制動走行等を行うために、直結クラッチCiの開閉制御、第1モータジェネレータMG1や第2モータジェネレータMG2の力行制御、回生制御等が実行される。例えば、モータ走行制御では、静粛な車両発進や走行のために、油圧制御回路98に設けられた直結クラッチ制御弁96により直結クラッチCiが解放させられた状態で、MG2コントローラ102によりインバータ106から駆動電流が第2モータジェネレータMG2に供給されてそれが駆動される。また、エンジン走行制御では、蓄電装置108の充電残量が少なくなったような場合でも走行するために、直結クラッチ制御弁96により直結クラッチCiが係合されることによりエンジン8の出力が自動変速機10の入力軸16に直接伝達されるとともに、必要に応じて第1モータジェネレータMG1或いは第2モータジェネレータMG2がMG1コントローラ104或いはMG2コントローラ102により発電状態とされ、その発電エネルギが蓄電装置108に蓄電される。また、モータ及びエンジン走行制御では、加速走行のために、上記直結クラッチCiが連結された状態で、エンジン8の出力と第1モータジェネレータMG1および/または第2モータジェネレータMG2の出力が自動変速機10の入力軸16に直接伝達される。回生制動制御では、ブレーキペダルが操作された制動操作時或いはコースト走行時において、所望の制動力を得るためにMG1コントローラ104および/またはMG2コントローラ102によって第1モータジェネレータMG1および/または第2モータジェネレータMG2が発電状態とされ、その発電に消費される回生トルクにより制動力を得ると共に発電エネルギがインバータ106を介して蓄電装置108に貯えられる。
ところで、前述した自動変速機10の変速制御において、例えば変速に関与するクラッチやブレーキの解放と係合とが同時に制御される所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が実行される。例えば、図3の係合作動表に示すように2速→3速のアップシフトでは、ブレーキB1が解放されると共にクラッチC3が係合され、変速ショックを抑制するようにブレーキB1の解放過渡油圧とクラッチC3の係合過渡油圧が適切に制御される。このとき、解放過渡油圧の低下開始時期が遅くなったり、係合過渡油圧の上昇開始時期が早くなったりした場合には、解放側係合装置と係合側係合装置の重複的係合が大きく(長く)なって、自動変速機10が一時的にロック状態とされて自動変速機10の出力軸トルクTOUTが一時的に落ち込む所謂タイアップが発生する可能性があった。
トルクコンバータのような流体式伝動装置が介在させられる動力伝達系では上記タイアップに伴うエンジン回転速度NEの一時的な低下(落ち込み)が抑制されるためエンジン回転速度NEが不安定になりにくい。しかし、本実施例の駆動装置6において、少なくともエンジン走行では直結クラッチCiが係合させられた状態すなわち直結クラッチCiを介してクランク軸9と入力軸16とが機械的に連結される状態で変速制御が実行されるため、上記タイアップ伴ってエンジン回転速度が一時的に低下(落ち込み)してエンジン回転速度が不安定になる可能性があった。
図8は、前記電子制御装置90の制御機能の要部すなわち上記タイアップが発生する変速時においてエンジン回転速度NEを可及的に安定させる制御作動を説明する機能ブロック線図である。図8において、変速制御手段110は、例えば図6に示す予め記憶された変速線図から実際の車速Vおよびスロットル開度θTHに基づいて変速判断を実行し、判断された変速を実行させるための変速出力を油圧制御回路98に対して行うことにより、自動変速機16のギヤ段を自動的に切り換える。例えば、2速→3速アップシフトでは、ブレーキB1を解放開始させ、その係合トルクがある程度維持されているときに、クラッチC3の係合を開始させてその係合トルクを発生させ、この状態で第2速の変速比γ2から第3速の変速比γ3へ移行させつつ、ブレーキB1の解放とクラッチC3の係合とを完了させる。
タイアップ判定手段112は、上記変速制御手段110による自動変速機10のクラッチ・ツウ・クラッチの変速制御期間中のタイアップが発生する時例えばタイアップが発生する可能性および実際にタイアップが発生したことを判定する。
例えば、上記タイアップ判定手段112は、変速制御手段110による変速出力開始を起点として解放側の油圧スイッチ86のON信号が所定時間Aより長く出力された場合、或いは係合側の油圧スイッチ86のON信号が所定時間Bより早く出力された場合に、タイアップが発生する可能性があると判定する。言い換えれば、タイアップ判定手段112は、解放側の油圧スイッチ86のON信号と係合側の油圧スイッチ86のON信号とが同時に出力されている時間が所定時間Cを越えた場合にタイアップが発生する可能性があると判定する。上記所定時間A、所定時間B、或いは所定時間Cは、実際の油圧スイッチ86のON信号がタイアップが発生する可能性があると判定される出力時間であることが予め実験等により求められて記憶されている時間である。
また、上記タイアップ判定手段112は、変速制御手段110による自動変速機10の変速制御期間中に自動変速機10の入力軸回転速度NINの低下速度(=dNIN/dt)が所定値A以上であるか否かに基づいて実際にタイアップが発生したことを判定する。この所定値Aは、実際の入力軸回転速度NINの低下速度がタイアップと判定される入力軸回転速度NINの低下速度であることが予め実験等により求められて記憶されている値である。
前記変速制御手段110は、上記タイアップ判定手段112により実際にタイアップが発生したことが判定された場合には、タイアップの発生しない他の変速段への変速例えば自動変速機10のアップシフトを実行させるための変速出力を油圧制御回路98に対して行う。
タイアップ量算出手段114は、前記変速制御手段110による自動変速機10のクラッチ・ツウ・クラッチの変速制御期間中に発生したタイアップの度合いすなわちタイアップ量を算出する。例えば、タイアップ量算出手段114は、自動変速機10の入力軸回転速度NINおよび入力軸回転速度NINの低下量に基づいてタイアップ量を算出するための予め実験等により定められて記憶された関係(マップ)から実際の入力軸回転速度NINおよび入力軸回転速度NINの低下量に基づいてタイアップ量を算出する。
タイアップ処理終了判定手段116は、タイアップ判定手段112によるタイアップが発生する時の判定に対して、タイアップ発生に対する処理が終了したか否かを判定する。具体的には、タイアップ処理終了判定手段116は、タイアップの発生しない他の変速段への変速制御が変速制御手段110により実行されたか否か、例えば変速制御手段110により自動変速機10をアップシフトする変速出力が行われてアップシフト側の変速段が達成されたか否かを判定する。すなわち、タイアップ処理終了判定手段116は、変速制御手段110により自動変速機10をアップシフトする変速出力が行われてアップシフト側の変速段が達成されたことに基づいてタイアップ発生に対する処理が終了したことを判定する。
直結クラッチ制御手段118は、前記タイアップ判定手段112によりタイアップが発生する可能性があると判定された場合には、タイアップ発生に伴うエンジン回転速度NEの落ち込みを抑制するために、直結クラッチ制御弁96を用いて直結クラッチCiをスリップ制御させて係合トルクを低下させる。例えば、直結クラッチ制御手段118は、タイアップ量とスリップ制御量との予め定められて記憶された関係から、タイアップ量算出手段114により算出されたタイアップ量に基づいてスリップ制御量(スリップ量)を算出し、そのスリップ制御量が得られるように直結クラッチ制御弁96を用いて直結クラッチCiを制御する。このスリップ制御量とは直結クラッチCiのすべり量である。
また、上記直結クラッチ制御手段118は、前記タイアップ処理終了判定手段116によりタイアップ発生に対する処理の終了が判定された場合には、タイアップ発生に伴うエンジン回転速度NEの落ち込みを抑制するためにスリップ制御していた直結クラッチCiを再び係合する。
エンジン回転判定手段120は、上記直結クラッチ制御手段118による直結クラッチCiのスリップ制御中において、その直結クラッチCiのスリップ制御により逆にエンジン回転速度NEが吹き上がっているかを判断するために、実際のエンジン回転速度NEが第1の所定エンジン回転速度NE1以上であるか否かを判定する。この第1の所定エンジン回転速度NE1は、エンジン回転速度NEの吹上り判断可能なように変速制御手段110による変速出力開始直前のエンジン回転速度NEに対して例えば50〜100rpm程度加えた値にエンジン回転判定手段120により設定される。
また、エンジン回転判定手段120は、上記直結クラッチ制御手段118による直結クラッチCiのスリップ制御中において、その直結クラッチCiのスリップ制御にも拘わらずエンジン回転速度NEが不安定になっているかを判断するために、実際のエンジン回転速度NEが第2の所定エンジン回転速度NE2より小さいか否かを判定する。この第2の所定エンジン回転速度NE2は、エンジン回転速度NEが不安定となっていることを判断可能なようにエンジンアイドル回転速度NIDLより低いエンジン回転速度NE例えばアイドル回転速度NIDLを700rpm程度とすると600rpm程度に予め設定されている。
エンジン回転制御手段122は、上記直結クラッチ制御手段118による直結クラッチCiのスリップ制御中におけるエンジン回転速度を一層安定させるために、エンジン回転速度NEを低下させるエンジン回転抑制制御手段124とエンジン回転速度NEを上昇させる電動機トルクアシスト制御手段126とを備え、エンジン回転判定手段120による判定結果に基づいてエンジン回転速度NEを制御する。
上記エンジン回転抑制制御手段124は、エンジン回転判定手段120により実際のエンジン回転速度NEが第1の所定エンジン回転速度NE1以上であると判定された場合には、エンジン回転速度NEを一時的に低下させる。具体的には、エンジン回転抑制制御手段124は、エンジン回転速度NEを低下させるためにスロットルアクチュエータ54により電子スロットル弁56を絞ったり、点火装置94により点火時期の遅角制御したり、或いはまた燃料噴射装置92により燃料噴射量を制限したりする。また、エンジン回転抑制制御手段124は、それらに替えて或いは加えてMG1コントローラ104により第1モータジェネレータMG1を発電状態とし、エンジン8の運動エネルギを発電エネルギ(電気的エネルギ)に変換することでエンジン回転速度NEを一時的に低下させる。
前記電動機トルクアシスト制御手段126は、エンジン回転判定手段120により実際のエンジン回転速度NEが第2の所定エンジン回転速度NE2より小さいと判定された場合には、MG1コントローラ104により第1モータジェネレータMG1を駆動状態としてエンジン回転速度NEを第2の所定エンジン回転速度NE2よりも上昇させる所謂電動機によるトルクアシストを実行する。
図9は、前記電子制御装置90の制御作動の要部すなわちタイアップが発生する変速時においてエンジン回転速度NEを可及的に安定させる制御作動を説明するフローチャートである。このフローチャートは、所定の周期で繰り返し実行される。また、図10は、図9のフローチャートに示す制御作動の一例であって、2速→3速アップシフト時にタイアップが発生した場合の制御作動を説明するタイムチャートである。また、図10の実線はタイアップの発生が判定されないような正常時の場合であり、二点鎖線はタイアップの発生が判定されるような場合である。
図9において、前記タイアップ判定手段112に対応するステップ(以下、ステップを省略する)S1において、変速制御手段110による自動変速機10のクラッチ・ツウ・クラッチの変速制御期間中におけるタイアップが発生する時が判定される。例えば、変速制御手段110による変速出力開始を起点として解放側或いは係合側の各油圧スイッチ86のON信号の出力時間或いは出力開始時間に基づいてタイアップが発生する可能性が判定される。さらに、自動変速機10の入力軸回転速度NINの低下速度(=dNIN/dt)が所定値A以上であるか否かに基づいて実際にタイアップが発生したことが判定される。実際にタイアップが発生したことが判定された場合には、フローチャートに図示はしてないが変速制御手段110によりタイアップの発生しない他の変速段への変速出力例えば自動変速機10のアップシフトを実行させるための変速出力が油圧制御回路98に対して行われる。
図10は、図10のt1時点にて変速制御手段110により2速→3速アップシフトの変速出力が行われてそのアップシフトに伴いエンジン回転速度NEが低下し、図10のt4時点にてタイアップ判定手段112により油圧スイッチ86のON信号に基づいてタイアップが発生する可能性があることが判定されたことを示している。図10のt4時点に示すように、油圧スイッチ86のON信号に基づいてタイアップ発生の可能性が判定されれば、実際にタイアップが発生したことが判定されることに比較して、より早くエンジン回転速度NEを可及的に安定させる制御作動(図9のS3乃至S7)が実行される。また、図10のt5時点は実際にタイアップが発生したことが判定され、変速制御手段110により自動変速機10の3速→4速アップシフトを実行させるための変速出力が行われたことを示している。
上記S1の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合はタイアップ処理終了判定手段116に対応するS2において、タイアップ発生に対する処理が終了したか否かが判定される。例えば、変速制御手段110による自動変速機10をアップシフトする変速出力によりアップシフトが行われてアップシフト側の変速段が達成されたことに基づいてタイアップ発生に対する処理が終了したことが判定される。
前記S2の判断が否定される場合は直結クラッチ制御手段118に対応するS3において、タイアップ発生に伴うエンジン回転速度NEの落ち込みを抑制するために、直結クラッチ制御弁96を用いて直結クラッチCiがスリップさせられる。例えば、タイアップ量とスリップ制御量との予め定められて記憶された関係から、入力軸回転速度NINの低下量等に基づいてタイアップ量算出手段114により算出されたタイアップ量に基づいてスリップ制御量(スリップ量)が算出され、そのスリップ制御量が得られるように直結クラッチ制御弁96を用いて直結クラッチCiが制御される。図10のt4時点は、直結クラッチCiのスリップ制御が開始されたことを示している。
次いで、エンジン回転判定手段120に対応するS4において、実際のエンジン回転速度NEが第1の所定エンジン回転速度NE1以上であるか否かが判定される。言い換えれば、直結クラッチCiのスリップ制御により逆にエンジン回転速度NEが吹き上がっているか否かが判断される。このS4の判断が肯定される場合はエンジン回転抑制制御手段124に対応するS5において、例えば電子スロットル弁56の閉制御、点火時期の遅角制御、或いはまた燃料噴射量の制限制御が実行されてエンジン回転速度NEが一時的に低下させられる。また、それらに替えて或いは加えて第1モータジェネレータMG1の発電制御が実行されてエンジン回転速度NEが一時的に低下させられる。
上記S4の判断が否定される場合は同じくエンジン回転判定手段120に対応するS6において、実際のエンジン回転速度NEが第2の所定エンジン回転速度NE2より小さいか否かが判定される。言い換えれば、直結クラッチCiのスリップ制御にも拘わらずエンジン回転速度NEが不安定になっているか否かが判断される。このS6の判断が否定される場合は本ルーチンが終了させられるが、肯定される場合は電動機トルクアシスト制御手段126に対応するS7において、MG1コントローラ104により第1モータジェネレータMG1を駆動状態としてエンジン回転速度NEが第2の所定エンジン回転速度NE2よりも上昇させられる所謂電動機によるトルクアシストが実行される。
前記S2の判断が肯定される場合は直結クラッチ制御手段118に対応するS8において、S3にてスリップ制御されている直結クラッチCiが係合させられる。図10のt8時点は、3速→4速アップシフトの変速出力により第4変速段の達成が判定されてスリップ制御中の直結クラッチCiが再び係合させられたことを示している。このようにタイアップ中だけ一時的に直結クラッチCiがスリップ制御される。
上述のように、本実施例によれば、自動変速機10の入力軸16が直結クラッチCiを介してエンジン8と機械的に連結された状態で変速が実行される駆動装置6において、自動変速機10内の2つの係合装置の解放および係合作動が行われる変速過程の重複的係合に起因するタイアップが発生する可能性があることがタイアップ判定手段112により判定されると直結クラッチ制御手段118により直結クラッチCiがスリップ制御させられる。よって、実際にタイアップが発生した時には既に直結クラッチCiがスリップ制御させられているので、そのタイアップに伴うエンジン回転速度NEの一時的な低下(落ち込み)が抑制されてエンジン回転速度NEが不安定となることが防止され、車両走行性能が確保される。
また、本実施例によれば、タイアップの度合いを算出するタイアップ量算出手段114を備え、直結クラッチ制御手段118はそのタイアップ量算出手段114により算出されたタイアップ量に基づいて直結クラッチCiのスリップ量を制御するので、直結クラッチ制御手段118によりそのタイアップ量に合わせて直結クラッチCiがスリップ制御させられる。よって、そのタイアップに伴うエンジン回転速度NEの一時的な低下(落ち込み)が抑制されてエンジン回転速度NEが不安定となることが適切に防止され、車両走行性能が確保される。また、直結クラッチ制御手段118により必要以上のスリップ量で直結クラッチCiがスリップ制御されないので、直結クラッチが一時的なスリップ状態から速やかに係合状態へ復帰させられる。
また、本実施例によれば、直結クラッチ制御手段118による直結クラッチCiのスリップ制御中に、実際のエンジン回転速度NEが第1の所定エンジン回転速度NE1以上である時には、エンジン回転速度NEを一時的に低下させるエンジン回転抑制制御手段124をさらに含むので、直結クラッチ制御手段118による直結クラッチCiのスリップ制御によりエンジン負荷が低下することに伴ってエンジン回転速度NEが吹き上がることが抑制される。
また、本実施例によれば、エンジン8に作動的に連結された第1モータジェネレータMG1を備え、直結クラッチ制御手段118による直結クラッチCiのスリップ制御中に、実際のエンジン回転速度NEが第2の所定エンジン回転速度NE2より小さい時には、その第1モータジェネレータMG1を用いてエンジン回転速度NEを第2の所定エンジン回転速度NE2よりも上昇させる電動機トルクアシスト制御手段126をさらに含むので、直結クラッチ制御手段118により直結クラッチCiがスリップ制御されたとしても未だエンジン回転速度NEが不安定とされることが防止される。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、直結クラッチ制御手段118(図9のステップS3)は、タイアップ発生に伴うエンジン回転速度NEの落ち込みを抑制するために、タイアップ量算出手段114により算出されたタイアップ量に基づくスリップ制御量が得られるように直結クラッチCiを制御したが、予め定められた一定量のスリップ量でもよい。また、直結クラッチ制御手段118は、直結クラッチCiのスリップ制御の代りに直結クラッチCiを解放させてもよい。
また、上記直結クラッチ制御手段118は、前記タイアップ判定手段112によりタイアップが発生する可能性があると判定された場合に、タイアップ発生に伴うエンジン回転速度NEの落ち込みを抑制するために、直結クラッチCiをスリップ制御させたが、タイアップ判定手段112により実際のタイアップが発生したことが判定された場合に、直結クラッチCiをスリップ乃至解放制御させてもよい。このようにしても、そのタイアップに伴うエンジン回転速度NEの一時的な低下(落ち込み)が抑制されてエンジン回転速度NEが不安定となることが防止され、車両走行性能が確保される。
また、前述の実施例では、タイアップ発生に対する処理として、例えば変速制御手段110による自動変速機10のアップシフトが実行されたが、このタイアップ発生に対する処理は必ずしも実行される必要はない。従って、図9に示すフローチャートのタイアップ処理終了判定手段116に対応するステップS2は必ずしも必要はない。この場合には、上記直結クラッチ制御手段118は、前記タイアップ判定手段112によりタイアップが発生する時が判定された場合には、タイアップ発生に伴うエンジン回転速度NEの落ち込みを抑制するために、直結クラッチCiを予め定められた一定期間だけスリップ乃至解放制御させる。このようにしても、そのタイアップに伴うエンジン回転速度NEの一時的な低下(落ち込み)が抑制されてエンジン回転速度NEが不安定となることが防止され、車両走行性能が確保される。
また、前述の実施例では、第2モータジェネレータMG2は入力軸16に設けられていたが、自動変速機16の入力軸16よりも下流側例えば入力軸16と出力軸28との間に設けられていてもよい。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。