JP3986280B2 - 空気調和機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、周囲の空気を取り込んで調和した空気を送出する空気調和機に関する。
【0002】
【従来の技術】
図11は従来の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。空気調和機の室内機1は、キャビネット2により本体部が保持されており、キャビネット2には上面側と前面側に吸込口4a、4cが設けられたフロントパネル3が着脱自在に取り付けられている。キャビネット2は後方側面に爪部(不図示)が設けられており、室内の壁に取り付けられた取付板に該爪部を嵌合することにより支持される。
【0003】
フロントパネル3の下端部とキャビネット2の下端部との間隙には、室内機1の幅方向に延びる略矩形の吹出口5が形成されている。室内機1の内部には、吸込口4a、4cから吹出口5に連通する送風経路6が形成されている。送風経路6内には空気を送出する送風ファン7が配されている。送風ファン7として、例えばクロスフローファン等を用いることができる。
【0004】
フロントパネル3に対向する位置には、吸込口4a、4cから吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集・除去するエアフィルタ8が設けられている。送風経路6中の送風ファン7とエアフィルタ8との間には、室内熱交換器9が配置されている。室内熱交換器9は圧縮機(不図示)に接続されており、圧縮機の駆動により冷凍サイクルが運転される。冷凍サイクルの運転によって冷房時には室内熱交換器9が周囲温度よりも低温に冷却される。また、暖房時には、室内熱交換器9が周囲温度よりも高温に加熱される。
【0005】
室内熱交換器9の前後の下部には冷房または除湿時に室内熱交換器9から落下した結露を捕集するドレンパン10が設けられている。送風経路6内の吹出口5の近傍には、外部に臨んで垂直方向の吹出角度を略水平乃至下方向に変更可能な横ルーバ11a、11bが設けられている。横ルーバ11a、11bの奥側には左右方向の吹出角度を変更可能な縦ルーバ12が設けられている。
【0006】
上記構成の空気調和機において、空気調和機の運転を開始すると、送風ファン7が回転駆動され、室外機(不図示)からの冷媒が室内熱交換器9へ流れて冷凍サイクルが運転される。これにより、室内機1内には吸込口4a、4cから空気が吸い込まれ、エアフィルタ8によって空気中に含まれる塵埃が除去される。
【0007】
室内機1内に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右方向及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から下方に向けて室内に送出される。
【0008】
また、空気調和機の運転の開始直後は速やかに室内の空気を循環させる必要がある。このため、送風ファン7の回転速度を高くして室内熱交換器9で熱交換された空気は吹出口5から勢いよく送出される。そして、室温と設定温度との温度差が小さくなると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。これにより、きめ細かに室内が均一な温度分布に形成されるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来の空気調和機によると、空気調和機は通常、使用者の身長よりも高い位置に設置され、吹出口5から略水平方向乃至下方向に送風される。このため、設定温度付近に達した状態で送風を継続すると使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることになる。従って、使用者に不快感を与える問題があった。また、除湿運転時や冷房運転時では局所的に使用者の体温を低下させて健康に害を与える問題もあった。
【0010】
これらの問題を解決するために、吹出口から上方に調和空気を送出できる空気調和機が研究開発されている。図12はこの空気調和機の室内機を示す概略側面断面図であり、図11と同一の部分には同一の符号を付している。室内機1の吹出口5は第1開口部5aと第2開口部5bとを有している。第1開口部5aは送風経路6の終端に下方に臨んで配されている。第2開口部5bは送風経路6から上方に傾斜して分岐する分岐通路13により送風経路6と連通している。分岐通路13の両端には、回動軸14a、15aでフロントパネル3に枢支される回動板14、15が設けられている。
【0011】
空気調和機の運転を開始すると、吸込口4a、4cから室内機1内に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から矢印A1に示すように第1開口部5aから略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0012】
また、空気調和機の運転の開始直後は速やかに室内の空気を循環させる必要がある。このため、送風ファン7の回転速度を高くして室内熱交換器9で熱交換された空気は吹出口5から勢いよく送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサ(不図示)により検知すると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。
【0013】
そして、図13に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞される。同時に、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。これにより、送風経路6を流通する調整空気が分岐通路13を流通して第2開口部5bから送出され、矢印A2に示すように上方に導かれる。
【0014】
従って、使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることがなく、使用者の不快感を防止して快適性を向上することができる。更に、冷房時には局所的に使用者の体温を低下させることがなく健康上の安全性を向上することができるようになっている。
【0015】
しかしながら、上記の空気調和機によると、第2開口部5bから上方に送出された調和空気が、矢印A3に示すようにフロントパネル3に設けられた吸込口4cから室内機1内に取り込まれ、所謂ショートサーキットが生じる。このため、空気調和機の冷却効率または暖房効率を低下させる問題があった。
【0016】
更に、冷房運転時や除湿運転時には第2開口部5bから送出された冷気が室内熱交換器9を通過するため、室内熱交換器9内の冷媒は充分な熱を吸収することができない。このため、室内熱交換器9の温度が通常時に比して低下して結露の増加及び結露水の凍結が発生する。
【0017】
冷房運転または除湿運転を継続すると室内熱交換器9の表面に氷が成長し、室内熱交換器9から離れた位置の氷は低温に維持されずに一部が解ける。この解けた水滴は送風ファン7に滴下すると第2開口部5bから室内に放出される。また、室内熱交換器9の温度が低下してキャビネット2やフロントパネル3の表面が結露して結露水が滴下する。これらにより、室内が浸水する問題があった。また、室内熱交換器9の表面に成長した氷の押圧力によってキャビネット2やフロントパネル3等に破損や変形が発生する問題もあった。
【0018】
本発明は、快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができるとともに、冷却効率を向上することのできる空気調和機を提供することを目的とする。また、本発明は、ショートサーキットを防止して結露による室内の浸水及び空気調和機の破損や変形を防止することのできる空気調和機を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明は、室内の壁面上部に取り付けて、前面を覆うフロントパネルに設けた吸込口から取り入れた空気を調和して通路を介して下部に設けた吹出口から下方乃至上方に切り替えて送出する空気調和機において、
前記吸込口を前記吹出口よりも上方の前面側に配置し、
該吸込口を開閉する開閉部材と、
室内温度と設定温度との温度差を検知する温度検知手段と、
前記吹出口の上部に設けられ、前記吹出口の上部を開閉する回動板と、
前記吹出口の下部に設けられ、風向を変更する風向板と、
を備え、
前記通路は、前方へ行くにしたがって下方に傾斜した第1上壁および下壁と、第1上壁の前方に連続して前記吹出口近傍で前方へ行くほど上方になるように傾斜した第2上壁とを有し、
空気調和機の冷房運転または除湿運転の開始時には、前記開閉部材が前記吸込口を開放するとともに前記回動板が前記吹出口の上部を閉塞して前記吹出口の下部から下方に向けて調和空気を送出し、
室内温度と設定温度との温度差が運転開始時よりも小さくなったことを前記温度検知手段が検知すると、空気の送風量を運転開始時よりも低下させて前記開閉部材により前記吸込口を閉塞し、前記回動板によって前記吹出口の上部を開放するとともに前記風向板によって第1上壁と前記下壁との間を流通する気流の進行方向前方を閉塞し、
前記吹出口の上部から調和空気を上方に向けて送出して前記フロントパネルの前面を通過させることを特徴としている。
【0021】
この構成によると、空気調和機を運転すると、開閉部材の開放により空気調和機の前面側に設けた吸込口から取り込まれた空気が調和されて吹出口から下方に送出される。室内温度と設定温度との温度差が運転開始時よりも小さくなると吹出口から上方に向けて送出される。ここで、上方に向けて送出される際に開閉部材により前面側の吸込口を閉じるので、上方に送出された調和空気は、空気調和機の前面側から取り込まれることなく室内に流通する。尚、空気調和機の前面側という場合には正面から視認できる傾斜面や曲面が含まれる。
【0023】
また本発明は、上記各構成の空気調和機において、前記開閉部材は前記吸込口を覆うように設けられていることを特徴としている。
【0024】
また本発明は、上記各構成の空気調和機において、前記開閉部材は前記フロントパネルを覆うように設けられていることを特徴としている。
【0025】
また本発明は、上記各構成の空気調和機において、前記開閉部材に断熱材を設けたことを特徴としている。この構成によると、開閉部材を閉じた際に空気調和機に取り込まれた空気と、吹出口から上方に送出されて開閉部材の表面を通る空気との温度差による結露が防止される。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施形態を図面を参照して説明する。説明の便宜上、従来例の図12、図13と同様の部分については同一の符号を付している。図1は第1実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。空気調和機の室内機1は、キャビネット2により本体部が保持されている。
【0028】
キャビネット2の前面側には、本体部を覆うようにフロントパネル3が着脱自在に取り付けられている。フロントパネル3の上面側には吸込口4aが設けられており、前面側には吸込口4cが設けられている。吸込口4cは、回動軸19aによりフロントパネル3に枢支された複数の開閉板19の回動により開閉可能になっている。
【0029】
キャビネット2は後方側面に爪部(不図示)が設けられており、室内の壁に取り付けられる取付板に該爪部を嵌合することにより支持される。フロントパネル3の下端部とキャビネット2の下端部との間隙には、室内機1の幅方向に延びる略矩形の第1、第2開口部5a、5bから成る吹出口5が形成されている。
【0030】
室内機1の内部には、吸込口4a、4cから吹出口5に連通する送風経路6が形成されている。送風経路6内のキャビネット2の前方には空気を送出する送風ファン7が配されている。送風ファン7として、例えばクロスフローファン等を用いることができる。
【0031】
フロントパネル3に対向する位置には、吸込口4a、4cから吸い込まれた空気に含まれる塵埃を捕集・除去するエアフィルタ8が設けられている。送風経路6中の送風ファン7とエアフィルタ8との間には、室内熱交換器9が配置されている。フロントパネル3と室内熱交換器9との間には所定間隔の空間が設けられており、吸込口4a、4cから取り入れられた空気が該空間を通って室内熱交換器9と広い面積で接触するようになっている。
【0032】
室内熱交換器9は圧縮機(不図示)に接続されており、圧縮機の駆動により冷凍サイクルが運転される。冷凍サイクルの運転によって、冷房時には室内熱交換器9が周囲温度よりも低温に冷却される。暖房時には、室内熱交換器9が周囲温度よりも高温に加熱される。尚、室内熱交換器9とエアフィルタ8との間には吸い込まれた空気の温度を検知する温度センサ(不図示)が設けられている。
【0033】
室内熱交換器9の前後の下部には冷房または除湿時に室内熱交換器9から落下した結露を捕集するドレンパン10が設けられている。前方のドレンパン10はフロントパネル3に取り付けられ、後方のドレンパン10はキャビネット2と一体に形成されている。送風経路6内の吹出口5の第1開口部5aの近傍には、外部に臨んで垂直方向の吹出角度を略水平乃至下方向に変更可能な横ルーバ11a、11bが設けられている。横ルーバ11a、11bの奥側には左右方向の吹出角度を変更可能な縦ルーバ12が設けられている。
【0034】
第2開口部5bは送風経路6から上方に傾斜して分岐する分岐通路13により送風経路6と連通している。分岐通路13の両端には回動軸14a、15aでフロントパネル3に枢支される回動板14、15が設けられている。回動板15により分岐通路13を閉じると、回動板15が送風経路6の内壁面を形成して気流を案内する。これにより、送風経路6を流通する空気の流通抵抗の増加を防止するようになっている。
【0035】
上記構成の空気調和機において、空気調和機の運転を開始すると、送風ファン7が回転駆動され、室外機(不図示)からの冷媒が室内熱交換器9へ流れて冷凍サイクルが運転される。また、開閉板19が回動して吸込口4cが開放される。これにより、室内機1内には吸込口4a、4cから空気が吸い込まれ、エアフィルタ8によって空気中に含まれる塵埃が除去される。
【0036】
室内機1内に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から矢印A1に示すように略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0037】
また、空気調和機の運転の開始直後は速やかに室内の空気を循環させる必要がある。このため、送風ファン7の回転速度を高くして室内熱交換器9で熱交換された空気は吹出口5から勢いよく送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、送風ファン7の制御により徐々に送風量が低下する。
【0038】
そして、図2に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞され、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。また、開閉板19が回動して吸込口4cが閉塞される。これにより、吸込口4aから取り込まれた空気が送風経路6及び分岐通路13を流通して第2開口部5bから送出され、矢印A2に示すように上方に導かれる。従って、使用者に常に冷たい風や暖かい風が当たることがなく、使用者の不快感を防止して快適性を向上することができる。更に、冷房時には局所的に使用者の体温を低下させることがなく健康上の安全性を向上することができる。
【0039】
また、第2開口部5bから上方に送出される調整空気はフロントパネル3の前面を通過するが、フロントパネル3の前面側が開閉板19により遮蔽されているためショートサーキットを生じることがない。従って、空気調和機の冷却効率または暖房効率の低下を防止することができる。また、ショートサーキットが発生しないため、フロントパネル3の表面の結露や室内熱交換器9の表面に付着した結露水の凍結及び成長を防止できる。従って、結露水や凍結した氷が解けた水の室内へ放出を防止することができるとともに、成長した氷の押圧力によるキャビネット2やフロントパネル3等の変形や破損を防止することができる。
【0040】
また、開閉板19を閉じると、開閉板19の内面は室内機1内に取り込まれた空気と接触し、開閉板19の外面は吹出口から送出された空気と接触する。このため、開閉板19の両面の温度差により結露が生じやすくなるが、発泡樹脂や空気層を有する中空の部材等から成る断熱材を開閉板19に固着すると、結露を防止できるのでより望ましい。
【0041】
更に、開閉板19により吸込口4cが開放されるので、第1開口部5aから略水平方向乃至下方向に調和空気を送出する際に開閉板19を開放することによって充分な風量を確保することができる。従って、運転効率の低下を防止できるとともに、充分な風量を確保するために送風ファン7の回転数を増加させる必要がなく、騒音の増大を防止することができる。室内機1と室内の天井との空間が狭く吸込口4aからの吸気量が少ない場合に上記効果はより大きくなる。
【0042】
尚、空気調和機によって除湿運転を行う際も同様に、室内熱交換器9との熱交換により除湿された低温の空気を上方に送出することにより上記と同様の効果を得ることができる。また、空気調和機は、室内熱交換器内に蒸発部と凝縮部とを備えた再熱ドライ方式の除湿装置であってもよい。即ち、再熱ドライ方式の除湿装置は、蒸発部で熱交換により冷却除湿された空気が凝縮部で熱交換により昇温されて室内に送出される。この時、凝縮器で昇温しても尚、体温よりも低温の空気が常に使用者に当たることを防止することができる。
【0043】
次に、図3は第2実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は、前面側の吸込口4cの略全体を覆うように回動軸20aでフロントパネル3に枢支された開閉板20により吸込口4cが開閉されるようになっている。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0044】
上記と同様に、空気調和機の運転を開始すると、開閉板20の回動により吸込口4cが開放されて室内の空気が吸込口4a、4cから室内機1内に吸い込まれる。室内機1に取り込まれた空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から矢印A1に示すように略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0045】
室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。そして、図4に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞され、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。同時に、開閉板20が回動して吸込口4cが閉塞される。これにより、送風経路6を流通する調整空気は分岐通路13を流通して第2開口部5bから矢印A2に示すように上方に送出される。従って、第1実施形態と同様に、使用者の不快感を防止するとともに、空気量の低下を招くことなくショートサーキットを防止することができる。
【0046】
次に、図5は第3実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、フロントパネル3にスライド移動する複数の移動板21を設けて移動板21の移動によって吸込口4cを開閉している点である。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0047】
空気調和機の運転を開始すると、移動板21により吸込口4cが開放されて吸込口4a、4cから室内機1内に空気が吸い込まれる。該空気は室内熱交換器9と熱交換し、冷却または加熱される。そして、送風経路6を通って縦ルーバ12及び横ルーバ11a、11bによって左右及び上下方向に向きを規制されて吹出口5から矢印A1に示すように略水平方向乃至下方向に向けて室内に送出される。
【0048】
室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、送風ファン7の調整により徐々に送風量が低下する。そして、図6に示すように、横ルーバ11a、11bが回動して第1開口部5aが閉塞され、回動板14、15が回動して第2開口部5b及び分岐通路13の分岐部分が開放される。同時に、移動板21が移動して吸込口4cが閉塞される。これにより、送風経路6を流通する調整空気は分岐通路13を流通して第2開口部5bから矢印A2に示すように上方に送出される。従って、第1実施形態と同様に、使用者の不快感を防止するとともに、空気量の低下を招くことなくショートサーキットを防止することができる。
【0049】
次に、図7は第4実施形態の空気調和機の室内機を示す概略斜視図である。前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。本実施形態は、フロントパネル3の前面に蛇腹状に折り畳み可能な開閉板22を設けている。開閉板22により吸込口4cを開閉することができるようになっている。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0050】
開閉板22を開放して吸込口4a、4cから室内機1内に取り込まれた空気は吹出口の第1開口部5aから矢印A1に示すように略水平方向乃至下方に送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、図8に示すように、第1開口部5aが閉塞され、第2開口部5bが開放される。同時に、開閉板22により吸込口4cが閉塞されて第2開口部5bから矢印A2に示すように調整空気が上方に送出される。従って、第1実施形態と同様に、使用者の不快感を防止するとともに、空気量の低下を招くことなくショートサーキットを防止することができる。
【0051】
次に、図9は第5実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。前述の図1、図2に示す第1実施形態と同様の部分には同一の符号を付している。第1実施形態と異なる点は、吸込口4cをフロントパネル3の上部の1箇所に配置し、吸込口4cを開閉可能な開閉板16を枢支軸16aでフロントパネル3に枢支している点である。その他の部分は第1実施形態と同一である。
【0052】
開閉板16を開いて吸込口4a、4cから室内機1内に取り込まれた空気は吹出口5の第1開口部5aから矢印A1に示すように略水平方向乃至下方に送出される。室温と設定温度との温度差が小さくなったことを温度センサにより検知すると、図10に示すように、横ルーバ11a、11bにより第1開口部5aが閉塞され、回動板14、15の回動により第2開口部5b及び分岐通路13が開放される。同時に、開閉板16により吸込口4cが閉じられる。これにより、第2開口部5bから矢印A2に示すように調整空気が上方に送出される。従って、第1実施形態と同様に、使用者の不快感を防止するとともに、空気量の低下を招くことなくショートサーキットを防止することができる。
【0053】
【発明の効果】
本発明によると、冷房運転または除湿運転時に使用者に常に冷たい風が当たることがなく、使用者の不快感防止による快適性の向上及び健康上の安全性の向上を図ることができるとともに、ショートサーキットを防止できる。従って、冷房運転または除湿運転時に冷却効率を向上させることができる。また、ショートサーキットが発生しないため、冷房運転時や除湿運転時に結露水の凍結及び成長を防止できる。従って、結露水や凍結した氷が解けた水による室内への水の放出を防止することができるとともに、成長した氷の押圧力による空気調和機の変形や破損を防止することができる。
【0054】
また本発明によると、開閉部材は、吹出口から下方に空気を送出する際に該吸込口を開放するとともに吹出口から上方に空気を送出する際に該吸込口を閉塞するので、ショートサーキットを防止するとともに下方向に調和空気を送出する際に充分な風量を確保することができる。従って、運転効率の低下を防止できるとともに、充分な風量を確保するために送風ファンの回転数を増加させる必要がなく、騒音の増大を防止することができる。
【0056】
また本発明によると、開閉部材に断熱材を設けているので、開閉部材の両面の温度差による結露を更に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図2】 本発明の第1実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図3】 本発明の第2実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図4】 本発明の第2実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図5】 本発明の第3実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図6】 本発明の第3実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図7】 本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図8】 本発明の第4実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図9】 本発明の第5実施形態の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図10】本発明の第5実施形態の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【図11】従来の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図12】他の従来の空気調和機の室内機を示す概略側面断面図である。
【図13】他の従来の空気調和機の室内機の動作を示す概略側面断面図である。
【符号の説明】
1 室内機
2 キャビネット
3 フロントパネル
4a、4c 吸込口
5 吹出口
5a 第1開口部
5b 第2開口部
6 送風経路
7 送風ファン
8 エアフィルタ
9 室内熱交換器
10 ドレンパン
11a、11b 横ルーバ
12 縦ルーバ
13 分岐通路
14、15 回動板
16、19、20、22 開閉板
21 移動板
Claims (4)
- 室内の壁面上部に取り付けて、前面を覆うフロントパネルに設けた吸込口から取り入れた空気を調和して通路を介して下部に設けた吹出口から下方乃至上方に切り替えて送出する空気調和機において、
前記吸込口を前記吹出口よりも上方の前面側に配置し、
該吸込口を開閉する開閉部材と、
室内温度と設定温度との温度差を検知する温度検知手段と、
前記吹出口の上部に設けられ、前記吹出口の上部を開閉する回動板と、
前記吹出口の下部に設けられ、風向を変更する風向板と、
を備え、
前記通路は、前方へ行くにしたがって下方に傾斜した第1上壁および下壁と、第1上壁の前方に連続して前記吹出口近傍で前方へ行くほど上方になるように傾斜した第2上壁とを有し、
空気調和機の冷房運転または除湿運転の開始時には、前記開閉部材が前記吸込口を開放するとともに前記回動板が前記吹出口の上部を閉塞して前記吹出口の下部から下方に向けて調和空気を送出し、
室内温度と設定温度との温度差が運転開始時よりも小さくなったことを前記温度検知手段が検知すると、空気の送風量を運転開始時よりも低下させて前記開閉部材により前記吸込口を閉塞し、前記回動板によって前記吹出口の上部を開放するとともに前記風向板によって第1上壁と前記下壁との間を流通する気流の進行方向前方を閉塞し、
前記吹出口の上部から調和空気を上方に向けて送出して前記フロントパネルの前面を通過させることを特徴とする空気調和機。 - 前記開閉部材は前記吸込口を覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 前記開閉部材は前記フロントパネルを覆うように設けられていることを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
- 前記開閉部材に断熱材を設けたことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の空気調和機。
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