JP3982868B2 - 電子写真感光体 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真感光体に関するものである。詳しくは感光層中にヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造単位を有する化合物と、アリール基又は複素環基で置換されたアルキル基が窒素原子に結合している3級アミンとを含有する耐久性に優れた電子写真感光体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真用感光体の感光層にはセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛等の無機系の光導電性物質が広く用いられてきた。
近年、ポリビニルカルバゾールに代表される有機系の光導電性物質を感光層に用いる研究が盛んになり、最近では、光を吸収して電荷キャリアーを発生させる機能と、発生した電荷キャリアーを移動させる機能を分離した、電荷発生層及び電荷移動層の二層からなる積層型の感光体が研究の主流となっている。積層型感光体は、それぞれ効率の高い電荷発生作用及び電荷移動作用を有する有機化合物を組み合わせることにより、高感度な感光体が得られ実用化に至っている。
【0003】
一方、電子写真方法において、感光体の帯電は通常はコロナ放電によって行われているが、正のコロナ放電は負のコロナ放電に比べ、放電ワイヤーの全長に亘って均一な放電をさせ易く、従って帯電の均一性に優れること、及び感光体の劣化の原因となるオゾンや窒素酸化物の発生が抑制できることなどの利点がある。
しかしながら、従来実用化されている積層型電子写真感光体は、電荷発生層の上に電荷移動層が積層されている。この構造では、電荷移動層は通常は正孔移動機能しか持たないため、負に帯電した場合にのみ感度を有し、正帯電下では使用できない。
【0004】
電荷輸送層の上に電荷発生層を積層した感光体も提案されているが、塗布操作上の制約から、欠陥のない感光体を得るには高度な技術が必要とされる。
また、電荷移動媒体中に電荷発生物質の粒子を分散した分散型感光体についても検討が行われている。分散型感光体では、光を吸収して電荷キャリアーを発生する領域が表面付近となり、正帯電で使用することが出来る。更に、基本的に感光層が一層から成るため、塗布の生産性が良いことが期待される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の感光体は、帯電性、感度、耐繰り返し疲労性などの電気特性が不十分であり、またオゾンや窒素酸化物による損傷を受け易いという欠点がある。本発明は従来の感光体の有するこのような欠点の解消ないしは軽減された電子写真感光体を提供せんとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、導電性基体上に光導電性物質を含有する感光層を設けてなる電子写真感光体において、感光層中に電荷発生物質としてフタロシアニン系顔料、ヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造単位を有する化合物、及び一般式(1)で表される3級アミンを含有させることにより、帯電性や感度などの基体特性を損うことなしに、オゾンや窒素酸化物による損傷に対する耐性と、繰り返し疲労に対する耐性を高め、電子写真感光体の耐久性を向上させることができる。
【0007】
【化4】
(Ar−P)3 −N (1)
【0008】
〔式中、Arは置換基を有していてもよいアリール基又は複素環基を表し、Pは置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。なお3個の(Ar−P)は相互に異っていてもよい〕
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明すると、本発明では感光層中に前示一般式(1)で表される3級アミンを含有させる。一般式(1)において、Arはフェニル基、ナフチル基などのアリール基、又はピロリル基、チエニル基、カルバゾリル基などの複素環基である。これらのアリール基や複素環基には置換基が結合していてもよい。置換基は通常は塩素、臭素などのハロゲン原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、水酸基、カルボン酸基であるが、シクロアルキル基、アラルキル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、モノ又はジ置換アミノ基などであってもよい。Pはメチレン基、エチレン基、プロピレン基などC1 〜C4 のアルキレン基であるが、アルキレン鎖にはメチル基、エチル基などのアルキル基が結合していてもよい。好ましくは、前示一般式(1)において、Ar−Pは環に置換基を有していてもよいベンジル基又はフェネチル基である。
【0010】
本発明で上述の3級アミンと一緒に感光層中に含有させるヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造単位を有する化合物とは、アミノ基又はアミド基の窒素原子の近傍に嵩高の原子団を有することで特徴づけられる構造単位を有する化合物である。このヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造を有する化合物は脂肪族又は芳香族であってもよいが、下記一般式(6)で表される脂環式構造を有しているのが好ましい。
【0011】
【化5】
【0012】
上記式において、R7 〜R10は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、Zは環形成に必要な原子団であるが、R7 〜R10のいずれかがZに組込まれて2重結合を形成していてもよい。R11は水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基又はアシル基を示す。
好ましくはR7 〜R10は炭素数1〜40の置換基を有していてもよいアルキル基であり、置換基としてはアリール基、アルコキシ基、酸基、アミド基、ハロゲン原子などが挙げられる。また、Zは両端の2個の炭素原子及びその間の窒素原子と一緒になって5員環又は6員環、例えばピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環などを構成しているのが好ましい。通常は、下記の表−1に例示するような、4−位に置換基が結合しており、2−位及び6−位にそれぞれ少くとも1個のアルキル基が結合しており、かつ1−位に置換基を有していてもよいアルキル基又はアシル基が結合していてもよいピペリジン環を有する化合物が好んで用いられる。
【0013】
【表1】
【0014】
【表2】
【0015】
本発明の電子写真感光体の感光層は、前述の一般式(1)で表される3級アミン及び上述のヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造単位を有する化合物の他に、通常の感光層と同じく電荷輸送物質、バインダー樹脂及び電荷発生物質の粒子を含有する。
電荷輸送物質としては、この用途に公知の種々の物質が使用できる。カルバゾール、インドール、イミダゾール、チアゾール、オキサジアゾール、ピラゾール、ピラゾリン等の複素環化合物、アニリンの誘導体、スチルベン誘導体、ヒドラジン誘導体、ヒドラゾン誘導体又はこれらの化合物構造を主鎖又は側鎖に有する重合体等の電子供与性物質があげられる。特に好ましい物質としては、ヒドラゾン誘導体、アニリン誘導体、スチルベン誘導体が挙げられ、特に下記一般式(2)〜(5)で表されるヒドラゾン化合物が好適である。
【0016】
【化6】
【0017】
(式中、B1 はアルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基などの置換基を有していても良い芳香族炭化水素基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基を表し、R1 及びR2 は、それぞれ独立して、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、aは1又は2を表す。)
【0018】
【化7】
【0019】
(これらの式において、B2 、B3 、X及びYは置換基を有していても良い芳香族炭化水素基又は複素環基、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基、インドリル基、カルバゾリル基を表す。これらの芳香族炭化水素基又は複素環基に結合する置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルフェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基などが挙げられる。また、R3 、R4 、R5 、R6 は、それぞれ独立して、アルキル基、アラルキル基又はアリール基を表し、bは1又は2、cは1又は2、dは0又は1を表す。)
一般式(2)〜(5)で表される化合物のいくつかを表−2に示す。
【0020】
【表3】
【0021】
【表4】
【0022】
【表5】
【0023】
【表6】
【0024】
本発明の電子写真感光体の感光層に含有させる電荷発生物質としては、無機、有機種々の公知の電荷発生物質を用いることができる。無機系の電荷発生物質としては、無定形セレン、セレン−テルル合金、三方晶セレン、三セレン化ヒ素などセレンを主成分とした各種合金材料;硫化カドミウム、セレン化カドミウムなどのII−VI族化合物半導体材料;無定形シリコン、水素化シリコンなど公知の材料が微粒子の状態で使用される。有機系の電荷発生物質としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ系顔料等のアゾ系顔料;オキシチタニウムフタロシアニン、ジハロゲノスズフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料;ペリノン系顔料、チオインジゴ、キナクリドン、ペリレン系顔料、キノン系顔料、シアニン系顔料、ベンズイミダゾール顔料、トリフェニルメタン染料、チアジン染料、キノン染料、シアニン染料、ピリリウム塩、チアピリリウム塩、ベンゾピリリウム塩、スクエアリリウム塩などが使用できる。
【0025】
特にアゾ系顔料、フタロシアニン系顔料が好ましい。アゾ系顔料としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料、テトラキスアゾ系顔料等、種々のものが挙げられるが、特に好ましいアゾ顔料としては、下記一般式(7)、(8)、(9)、(10)のいずれかで示されるカップラー成分を有するものが挙げられる。
【0026】
【化8】
【0027】
(式中R12は置換基を有しいてもよいアルキル基、アルケニル基、又はアリール基を示す。)
【0028】
【化9】
【0029】
(式中、A1 は2価の芳香族炭化水素基、又は窒素原子を環内に含む2価の複素環基を示す。)
【0030】
【化10】
【0031】
(式中、Qは水素原子、ハロゲン原子、置換基を有していてもよいアルキル基、アリール基、複素環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、又はアシル基を示し、A2 はベンゼン環と縮合して、芳香族炭化水素環又は複素環を形成するのに要する2価の基を示す。)
【0032】
【化11】
【0033】
(式中、R13及びR14は、それぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよい低級アルキル基、アリール基又は複素環基を示すか、又はR13とR14が互いに結合して環を形成している。A2 は前記一般式(9)におけるのと同じである。)
フタロシアニン系顔料としては、下記一般式(11)で示されるものが用いられる。
【0034】
【化12】
【0035】
(式中、MはCu、Fe、Mg、Si、Ge、Sn、Pbなどの金属原子、InCl、GaCl、AlCl、TiOなどの金属化合物又は2個の水素原子を示し、Xは低級アルキル基、低級アルコキシ基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子などを示し、mは0〜4の整数を表す)。2種以上のフタロシアニンを混合して用いることも可能である。
【0036】
電荷発生物質は微粒子の状態で感光層内に分散して含有させるが、その粒子径は十分小さいことが必要であり、好ましくは1μm以下、より好ましくは0.5μm以下である。
バインダー樹脂としては、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル系の重合体や共重合体、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリスルホン、ポリエーテル、ポリケトン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられ、また、これらの部分的架橋硬化物も使用される。
【0037】
また感光層には、成膜性、可とう性、機械的強度などを向上させるための可塑剤、残留電位の蓄積を抑制するための添加剤、分散の安定性を向上させるための分散補助剤、酸化による劣化を防止するための酸化防止剤など公知の助剤を添加してもよい。
本発明の電子写真感光体の感光層は、公知の任意の構成とすることができる。例えば、1)導電性支持体上に、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有する電荷発生層、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有する電荷輸送層の順に積層した積層型感光体、2)導電性支持体上に、電荷輸送物質とバインダー樹脂を含有する電荷輸送層、電荷発生物質とバインダー樹脂を含有する電荷発生層の順に積層した逆二層型感光体、3)導電性支持体上に、電荷輸送物質、電荷発生物質及びバインダー樹脂を含有する層を設けた分散型感光体など、いずれの構成であってもよい。好ましくは電荷輸送物質と電荷発生物質とが同一層中に含有されている分散型感光体とする。
【0038】
本発明に使用される導電性支持体としては、種々の公知のものが使用できる。例えば、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、スチール等の金属ドラム;蒸着又はスパッタリングにより金属又は導電性酸化物などを付着させたり、金属粉末、カーボンブラック、ヨウ化銅、酸化錫などの導電性物質をバインダー樹脂と共に塗布するなどして導電性を付与したプラスチックフィルム、プラスチックドラム、ガラスドラム、紙などが挙げられる。
【0039】
感光層と上記の導電性支持体の間には公知の接着層、又はバリアー層が設けられていてもよい。バリアー層としてはポリアミド類、カゼイン類、ポリウレタン類などの0.05〜5.0μm程度の厚みの層が挙げられる。また必要に応じて、感光層表面に保護層、バリアー層を設けてもよい。
感光層が積層型又は逆二層型の場合について説明すると、電荷発生層は、電荷発生物質を蒸着やスパッタリング等により均一な薄層に付着させるか、または微粒子をバインダー中に分散させた塗料を塗布して形成した層であり、その厚さは通常5μm以下、好ましくは約0.1から1μmである。
【0040】
電荷輸送層は、電荷輸送物質とバインダー樹脂を主成分として構成され、電荷輸送物質のバインダー樹脂に対する割合は、バインダー樹脂100重量部に対して30から300重量部、好ましくは40から200重量部、さらに好ましくは40〜150重量部の範囲である。電荷輸送層の厚さは10〜60μm、特に10〜45μmが好ましい。
【0041】
分散型感光層の場合には、感光層の厚さは10〜50μm、特に13〜40μmであるのが好ましく、電荷輸送物質のバインダー樹脂に対する比率はバインダー樹脂100重量部に対して、好ましくは20重量部〜200重量部、より好ましくは30重量部〜150重量部の範囲である。電荷発生物質は微粒子の状態で感光層内に分散されるが、その量はバインダー樹脂100重量部に対し0.05〜40重量部である。また、一般式(1)で表される3級アミンは、バインダー樹脂100重量部に対し0.1〜10重量部、特に0.1〜5重量部用いるのが好ましく、ヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造単位を有する化合物はバインダー樹脂100重量部に対し0.1〜20重量部、特に1〜10重量部用いるのが好ましい。
【0042】
【実施例】
次に本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り以下の実施例によって限定されるものではない。尚、実施例中に「部」とあるのは、「重量部」を表す。
また耐オゾン性の指標としての帯電圧保持率は、感光体をオゾン濃度120ppmの常温の雰囲気中に6時間放置し、放置前後の帯電圧を川口電機製作所製EPA8100で測定し、次式により算出した。
【0043】
【数1】
帯電圧保持率=(オゾン曝露後の帯電圧/オゾン曝露前の帯電圧)×100 (%)
【0044】
参考例1
下記構造を有するビスアゾ化合物5部にテトラヒドロフラン180部を加えサンドグラインドミルによって予備分散を行った。
【0045】
【化13】
【0046】
一方、下記の繰り返し構造単位からなる粘度平均分子量30,000のポリカーボネート樹脂50部、
【0047】
【化14】
【0048】
表−2におけるH−1のヒドラゾン化合物50部、トリベンジルアミン1部、及び表−1におけるA−1のヒンダードアミド化合物(サノールLS−440、三共株式会社製)4部をテトラヒドロフラン380部に溶解した。これに上記で調製したアゾ化合物の予備分散液を加え、サンドグラインドミルによって分散処理を行い、塗布液を調製した。この塗布液を、アルミニウムを蒸着したポリエステルフィルムの上に、乾燥後の膜厚が20μmになる様に塗布して感光体を製造し得た。この感光体の帯電圧保持率は92%であった。
【0049】
比較例1
参考例1において、トリベンジルアミンとヒンダードアミド化合物を添加しない以外は参考例1と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて参考例1と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は50%であった。
【0050】
比較例2
参考例1において、トリベンジルアミンを添加しない以外は参考例1と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて参考例1と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は74%であった。
実施例1
電荷発生物質としてオキシチタニウムフタロシアニンを用い、電荷輸送物質として表−2におけるH−6のヒドラゾン化合物を使用した以外は、参考例1と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて参考例1と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は87%であった。
【0051】
比較例3
実施例1において、トリベンジルアミンとヒンダードアミド化合物を添加しない他は実施例1と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて実施例1と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は32%であった。
参考例2
ヒンダードアミン化合物として表−1のA−5の化合物(サノールLS−770、三共株式会社製)を用いた以外は参考例1と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて参考例1と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は90%であった。
【0052】
参考例3
参考例1でビスアゾ化合物の使用量を1部とした以外は参考例1と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて参考例1と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は98%であった。
比較例4
参考例3においてトリベンジルアミンとヒンダードアミド化合物を添加しない以外は参考例3と全く同様にして塗布液を調製し、かつこれを用いて参考例3と全く同様にして感光体を製造した。この感光体の帯電圧保持率は80%であった。
【0053】
実施例2
オキシチタニウムフタロシアニン10部、ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、商品名#6000−C)5部に1,2−ジメトキシエタン500部を加え、サンドグラインドミルで粉砕、分散処理を行った。鏡面仕上げを施したアルミニウム円筒上に上記の分散液を浸漬塗布したのち、乾燥して膜厚が約0.3μmの電荷発生層を設けた。次にこの表面に電荷発生層を有するアルミニウム円筒を、1,4−ジオキサンとテトラヒドロフランの混合溶媒に表−2のH−14で表される電荷輸送物質60部、参考例1で用いたと同じポリカーボネート樹脂100部、トリベンジルアミン1部及び表−1のA−1のヒンダードアミド化合物4部を溶解させた電荷移動層用塗料を用いて浸漬塗布することにより、電荷発生層の上に乾燥膜厚が17μmの電荷移動層を有する積層型の感光体を製造した。
【0054】
この感光体を、有機感光体を用いる市販の負帯電プロセスの電子写真方式のプリンターに装着し、耐久性評価を行った。その結果10万枚のランニングテスト後も傷、トナーフィルミング等による画像ノイズその他の画像欠陥のない鮮明な画像が得られた。初期帯電圧は耐久性評価前が950Vに対して、10万枚プリント後も930Vとほとんど変化が無く、10万枚以上の出力が可能な極めて高耐刷な感光体であることが判った。
【0055】
比較例5
実施例2において、トリベンジルアミンとヒンダードアミド化合物を使用しない以外はすべて実施例2と同様にして感光体を製造した。この感光体の耐久性評価を実施例2と同様にして測定したところ、初期帯電圧は耐久性評価前が950Vに対して、10万枚プリント後は810Vと大幅な減衰が観察された。
【0056】
【発明の効果】
本発明の電子写真感光体は、オゾンや窒素酸化物により損傷を受けることが少なく、繰り返し使用にも安定であるなど、優れた電気特性を有し、また、クリーニングブレートの摺擦による摩耗も少なく、傷に対しても強く、環境による画質の低下、特に高湿時に白点が出現するなどの画像欠陥を生じることのない、優れた耐刷性を有している。
本発明の感光体は電子写真複写機のほか、各種プリンターなど、電子写真の広い応用分野に用いることが出来る。
Claims (4)
- 感光層が、少なくとも電荷輸送物質及びバインダー樹脂を含有する層中に電荷発生物質の粒子を分散含有させたものであることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- ヒンダードアミン又はヒンダードアミド構造単位が、4−位に置換基が結合しており、2−位及び6−位にそれぞれ少なくとも1個のアルキル基が結合しており、かつ1−位に置換基を有していてもよいアルキル基又はアシル基が結合していてもよいピペリジン環であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の電子写真感光体。
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