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JP3981977B2 - 圧電発振器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電子部品用パッケージに関するものであり、また当該電子部品用パッケージを用いた圧電発振器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
圧電発振器は、安定して精度の高い発振周波数を得ることができるため、携帯電話等の通信機器あるいは電子機器等に用いられる等、多種の分野で使用され、また近年はセラミックパッケージ等を用いた表面実装タイプが主流となっている。例えば表面実装用のセラミックパッケージの内部には、圧電振動素子と当該圧電振動素子とともに発振回路を構成するICあるいは圧電発振器の特性を調整する回路素子が収納されている。
【0003】
このような圧電発振器において、内蔵される回路素子を外部からのノイズの影響を回避するため、あるいは圧電発振器を基板上に実装した際に生じる圧電発振器の特性変化を抑制するためにシールド層を形成する工夫が一部製品に採用されている。
【0004】
特開平8−37421号は、圧電発振器においてそのパッケージ内にシールド層が設けられ、当該シールド層がグランドに接続されている例が開示されている。このような構成によって実装基板とシールド層間に形成される浮遊容量が固定され、基板実装時にプリント配線基板とシールド層間に存在する浮遊容量がグランドの影響を受けないため、圧電発振器の周波数変動を防止できるという利点を有している。
【0005】
従来においては、シールド層は特開平8−37421号に開示されているように、セラミックが多層に形成された多層構造基板間に当該基板面積とほぼ同面積のべた状シールド層を設けていた。しかしながらセラミックとシールド層を形成する部材(例えば金属)とは熱膨張係数が異なる等の理由により、セラミック同士の接合の場合と比べて接合強度が低下し、多層構造からなるパッケージが割れる等の問題の生じることがあった。
【0006】
また電子部品用パッケージの底面(裏面)において、端子電極(入出力電極等)以外の部分にべた状のシールド層を設ける構成もあるが、端子電極部分にはシールド電極を形成できない構成であるので、シールド効果は不十分であった。
【0007】
【特許文献1】
特開平8−37421号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、パッケージ強度を低下させることなく、また外部からの影響を抑制し、特性変化を抑制することのできる電子部品用パッケージおよび圧電発振器を得ることを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明による圧電発振器は請求項1に示すように、セラミックが積層して構成された気密封止型電子部品用パッケージに圧電振動素子と発振回路を構成する回路部品とを搭載した圧電発振器であって、当該セラミックパッケージは回路部品が搭載された面の下方にあるセラミック積層間に金属シールド層が形成され、当該金属シールド層の外周領域は多数箇所に貫通孔を有する構成であり、その内側にべた状電極が形成されるとともにアース接続され、かつ回路部品は中心領域に対応する位置に搭載されていることを特徴としている。
【0010】
請求項1により、入出力電極等の端子電極形成面とは異なる面に金属シールド層を形成することにより、シールド効果を十分に得ることができる。そして金属シールド層の多数箇所に貫通孔を有する構成により、多層構造においてシールド電極の上下に配置されたセラミック層がセラミック焼成成形時に貫通孔部分で密着する。この密着領域が多数箇所形成されることにより、各層間の接合強度が向上する。なお、貫通孔を金属シールド層全面に渡って均一に形成することにより、パッケージとしての強度向上させることができ好ましい。また貫通孔のサイズが大きすぎるとシールド電極としての効果が低下するので電子部品として要求される仕様に基づいて適正な設計を行う必要がある。
【0011】
また請求項2に示すように、セラミックが積層して構成された気密封止型電子部品用パッケージに圧電振動素子と発振回路を構成する回路部品とを搭載した圧電発振器であって、当該セラミックパッケージは回路部品が搭載された面の下方にあるセラミック積層間に金属シールド層が形成され、前記金属シールド層は中央部分がべた状電極領域でかつ外周領域は網目状であるとともにアース接続され、かつ回路素子は中心領域に対応する位置に搭載されている構成であってもよい。
【0012】
網目の形成はスクリーン印刷技術を用いることにより、任意の形状、配置、サイズを選択することができる。網目のサイズすなわちメッシュサイズは実装基板の特性等を考慮して、シールド電極としての効果を得ることのできるように設計する必要がある。また網目状領域はシールド電極全面であってもよいし、例えば外周領域のみに形成し、中央部分には従来例に開示されたようなべた状電極であってもよい。前者すなわち網目状領域を金属シールド層全面に形成した場合は、金属シールド層とセラミック層との接合が強固になり、パッケージ強度が向上する。また後者すなわち外周領域のみに網目状領域を形成することにより、パッケージ外周の強度を実用的に高め、かつシールド効果を十分に得ることができる。
【0013】
また請求項1または2により、圧電発振器の特性変動例えば外部要因による周波数等の変動を抑制することができ、気密性に優れかつ特性の安定した圧電発振器を得ることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を水晶発振器を例にとり図1乃至図3とともに説明する。図1は本発明の実施形態を示す水晶発振器の分解斜視図、図2は図1の構成において気密封止した状態を示す内部断面図、図3は金属シールド層の構成を示す平面図である。
【0015】
水晶発振器は、セラミック製のパッケージ1と、当該パッケージ内に格納されるIC33(回路素子)並びに水晶振動板3(圧電振動素子)と、パッケージを気密封止する金属製のリッド(フタ)2とからなる。
【0016】
パッケージ1は平面視長方形状で、かつ断面視凹形状であり、アルミナ等のセラミックスを主材料としたパッケージ本体10とシール用金属層11を有し、全体として上方に開口した収納部12と収納部の開口周縁には堤部10aを有する構成である。パッケージ1は複数のセラミック層を多層に形成した構成で、パッケージ1の下面に近いセラミック層間には金属シールド電極Mが形成されている。図2において、1a,1b,1c,1d,1eは各セラミック層であり、最下位のセラミック層1aとその上部にあるセラミック層1b間には金属シールド層Mがほぼ全面に渡って形成されている。当該金属シールド層Mは図3に示すように網目状の金属層がほぼセラミック層全体に渡って形成され、この金属シールド層は接続電極M1を介して後述するアース電極に接続されている。なお、この金属シールド層Mはセラミック層1aの全面に形成することが好ましいが、図3に示すように金属シールド層Mの外周部分が内方に位置する構成であってもよい。このような構成にすることにより、金属シールド層Mがパッケージ外周部分に露出することにより、他の端子と短絡する事故を防止することができる。金属シールド層Mは例えばその材料がタングステンからなり、数10μmの厚さを有し、またセラミック層1a,1bは例えば0.1〜0.2mmの厚さを有している。
【0017】
このようなセラミック層並びに金属シールド層を形成するには、セラミック積層技術と金属材料のスクリーン印刷技術を用いる。図3に示すような網目状の金属シールド層を形成する場合は、セラミック層1a上に当該網目状パターンを有するスクリーンを用いて、必要な厚さのペースト状金属を印刷し、その上部に次のセラミック層1bを積層する。このようにセラミック積層技術とスクリーン印刷技術を用いて他の必要な配線パターンについても形成し、最終的にセラミック積層体を一体的に焼成成形してセラミックパッケージを得る。
【0018】
パッケージ1の開口周囲の堤部10a上面にはシール用金属層11が形成されている。このシール用金属層11は例えば下層から順にタングステン、ニッケル、金等の多層金属膜からなり、所定の肉厚を形成している。なおシール用金属層は下地の金属膜上にろう付け形成された枠状金属(シーム用金属リング)を用いてもよい。また収納部12には2段の凹部すなわち下方の下部凹部12aとその上方に上部凹部12bが形成されている。下部凹部12aには図示しない電極パッドが形成され、電極パッド上にIC33がフリップチップ搭載されている。当該ICはパッケージに形成された電極とワイヤーボンディングにより電気的接続してもよい。
【0019】
また上部凹部12bにはパッケージ長手方向の一端に金属膜からなる電極パッド14,15が短辺に沿って並列して形成され、他方の短辺には金属膜からなる補助搭載部13が形成されている。当該補助搭載部13は導電性接合材で水晶振動板を接着する際、水晶振動板を水平に保つ役割を担っているが、この補助搭載部は必ずしも設けなくてもよい。後述する水晶振動板3はこれら電極パッドに長手方向の一端を片持ち支持され、導電材料の添加されたペースト状接着剤や半田等の導電性接合材Sにより電気的接続がなされる。なお、前記電極パッド14,15は所定の電極配線によりIC33と電気的接続され、水晶振動板3とIC33により水晶発振回路を構成している。
【0020】
またパッケージの側面にはキャスタレーションC1,C2,C3,C4(一部図示せず)が設けられ、キャスタレーション内部並びにパッケージ底面には各々導出電極E1,E2,E3,E4(一部図示せず)が形成され、パッケージ内部の水晶振動板とICで構成される水晶発振回路の出力端子、電源端子、アース端子が対応して引き出されている。
【0021】
パッケージ1に収納される水晶振動板3は矩形状のATカット水晶板からなり、表裏面に励振電極31,32並びに引出電極311,321(321は図示せず)が真空蒸着法等の薄膜形成手段にて形成されている。当該水晶振動板3は引出電極311,321が電極パッドと当接または近接するように配置し、前述のとおり、導電接合材Sで電気的機械的に接合される。
【0022】
リッド2はコバール等の金属板の表裏にニッケルメッキされた構成である。当該リッドはパッケージ側の構成にもよるが、必要に応じて裏面すなわちパッケージの接合面側に銀ろう等の金属ろう材を設けてもよい。セラミックパッケージの開口周囲部分のシール用金属層11とシーム溶接あるいはビーム溶接等の手段にて接合され、パッケージ内を気密封止する。なお、前記シール用金属層11は前記アース端子に電気的接続されており、リッドによる電磁シールド構成となっている。
【0023】
本発明による他の実施の形態を図面とともに説明する。図4は上記実施の形態で用いた金属シールド層M2において、網目状領域M3を外周のみに形成したものである。このような構成であると回路素子の搭載される中心領域についてシールド効果を高めることができる。また外周領域を網目状とすることにより当該領域のセラミック層と金属シールド層との接合を強固に保つことができる。このような形状のセラミック層へのパターニングは、所定形状にパターニングされたスクリーンを用い、印刷時の位置決めを確実に行うことにより所望位置、形状の金属シールド層を得ることができる。
【0024】
また図5に示すように、金属シールド層M4に多数の貫通孔Hを形成した構成としてもよい。図5に示す例においては、アース接続する以外の電極を上部と下部に導通させる導通パターン4が設けられている。当該貫通孔は均一に配置することにより、シールド効果並びにパッケージ強度を高めることができる。なお、図4,図5に示したいずれの金属シールド層も接続電極M1により、アース電極に接続されている。
【0025】
また、上記実施の形態において、パッケージとしてセラミック製のパッケージを用いたが、これに限定されるものではなく、例えばガラスセラミックスパッケージを用いることも可能である。
【0026】
また気密封止方法もシーム溶接、ビーム溶接のみならず、雰囲気加熱であってもよく、また接合材にガラス材を用いてもよい。ガラス材を用いる場合は、パッケージあるいはリッドの少なくとも一方にガラス材を形成しておき、当該ガラス材を溶融させることにより気密封止を行う。
【0027】
【発明の効果】
本発明によれば、入出力電極等の端子電極形成面とは異なる面に金属シールド層を形成し、また金属シールド層の多数箇所に貫通孔を有する構成により、多層構造においてシールド電極の上下に配置されたセラミック層がセラミック焼成成形時に貫通孔部分で密着する。この密着領域が多数箇所形成されることにより、充分なシールド効果を得るとともに各層間の接合強度が向上する。よって、パッケージ強度を低下させることなく、また外部からの影響を抑制し、特性変化を抑制することのできる電子部品用パッケージおよび圧電発振器を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態を示す分解斜視図
【図2】 第1の実施の形態を示す内部断面図
【図3】 金属シールド層の構成を示す平面図
【図4】 他の実施の形態を示す図
【図5】 他の実施の形態を示す図
【符号の説明】
1 セラミックパッケージ
1a,1b,1c,1d,1e セラミック層
14,15、電極パッド
13 補助搭載部
10 パッケージ本体
11 金属層
2 リッド
21 金属層
3 水晶振動板(圧電振動素子)
33 IC
M 金属シールド層

Claims (2)

  1. セラミックが積層して構成された気密封止型電子部品用パッケージに圧電振動素子と発振回路を構成する回路部品とを搭載した圧電発振器であって、当該セラミックパッケージは前記回路部品が搭載された面の下方にあるセラミック積層間に金属シールド層が形成され、当該金属シールド層の外周領域は多数箇所に貫通孔を有する構成であり、その内側にべた状電極が形成されるとともにアース接続され、かつ前記回路部品は中心領域に対応する位置に搭載されていることを特徴とする圧電発振器。
  2. セラミックが積層して構成された気密封止型電子部品用パッケージに圧電振動素子と発振回路を構成する回路部品とを搭載した圧電発振器であって、当該セラミックパッケージは前記回路部品が搭載された面の下方にあるセラミック積層間に金属シールド層が形成され、前記金属シールド層は中央部分がべた状電極領域でかつ外周領域は網目状であるとともにアース接続され、かつ前記回路部品は中心領域に対応する位置に搭載されていることを特徴とする圧電発振器。
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