JP3981315B2 - 用紙処理装置及び画像形成システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、印刷機等の画像形成装置に一体もしくは別体に設けられ、画像形成済みの用紙(記録媒体)に対して所定の処理、例えば仕分け、スタック、綴じ、中綴じ製本を行って排紙する用紙処理装置およびこの用紙処理装置と前記画像形成装置とからなる画像形成システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から複写機やプリンタ等の画像形成装置から排出される用紙に対して、仕分け/パンチ/スティプル等の処理を自動で行う用紙後処理装置が種々提供されているが、近年では用紙の一端縁に沿って綴じる端面1箇所綴じや平行数箇所綴じに加え用紙を2分する中央線に沿って複数箇所を綴じる中綴じ機能及びその後中央部を折って製本する中折り機能を備えた用紙後処理装置のニーズが高くなってきている。そこで、特開平8−192951号公報、特開平10−148983号公報および特開平10−167562号公報に開示された発明が提案され、更には、中綴じ位置や中折り位置を高精度なものとして最終的な品質を高品質なものとして特開2000−211805号公報記載の発明も提案されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−192951号公報
【0004】
【特許文献2】
特開平10−148983号公報
【0005】
【特許文献3】
特開平10−167562号公報
【0006】
【特許文献4】
特開2000−211805号公報
【0007】
【課題を解決するための手段】
一般に整合された用紙束に対してスティプル処理を施す場合、用紙束を位置決めしてスティプラを動作させるように構成されている。用紙束を位置決めするものとしては、搬送中の用紙束を所定のタイミングで停止させたり、用紙束を所定位置で突き当てて用紙端部を揃えた後、突き当て部材を移動させて位置決めする等が考えられる。前記従来技術では、後者の方法によって綴じ位置や折り位置の高精度化を図っている。
【0008】
しかしながら、前記従来技術では突き当て手段の形状がばらついたり、突き当て手段の取り付けがばらつくと装置毎に綴じ位置や折り位置がばらついてしまう。更には、突き当て手段の取り付け方によっては用紙の重量によって突き当て手段が撓んでしまい同一装置内であっても用紙サイズや種類によって綴じ位置や折り位置がばらついてしまう結果となる。
【0009】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、装置の大型化、複雑化を防止して様々な用紙サイズに対しても所望の位置へ綴じ処理を施すことができる用紙後処理装置を提供することにある。
【0010】
また、他の目的は、コスト面に於いても最小となり、且つ中綴じ機能を有さない装置から最小の変更で対応することができる用紙処理装置及び画像形成システムを提供することにある。
【0011】
また、他の目的は、用紙束が搬送方向に対して傾いていてもその傾きの影響を受けにくくし、所望の位置への綴じ処理が可能な用紙処理装置及び画像形成システムを提供することにある。
【0012】
さらに、他の目的は、ユーザーの使い勝手の良い用紙後処理装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、第1の手段は、搬入されてきた用紙を集積し、所定の処理を施して排出する用紙処理装置において、前記用紙を一時的に集積するスタック手段と、スタックされた用紙束を整合する整合手段と、整合された用紙束に綴じ処理を行う綴じ手段と、綴じられた用紙束を移動させる移動手段と、前記移動手段によって移動させられる用紙束の用紙端部を検知する検知手段と、これらの各手段を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記綴じ手段によって中綴じを行わせる際、前記検知手段によって検知した用紙束の端部を検知後、用紙サイズに応じて前記移動手段の移動方向を設定し、前記用紙束を前記設定された方向に移動させた上で、中綴じを実行させることを特徴とする。
【0014】
第2の手段は、第1の手段において、前記制御手段は、前記検知手段からの用紙検知情報に基づいて前記移動手段を制御し、中綴じ位置を設定することを特徴とする。
【0015】
第3の手段は、第2の手段において、前記移動手段の移動量を外部から入力する入力手段をさらに備え、前記制御手段は前記検知手段からの用紙検知情報に加え、前記入力手段から入力された移動量に基づいて中綴じ位置を設定することを特徴とする。
【0016】
第4の手段は、第1の手段において、前記綴じ手段は、前記スタック手段の中央部に設けられ、前記検知手段は前記スタック手段の中央部であって用紙方向下流側の端部に設けられていることを特徴とする。
【0017】
第5の手段は、第1の手段において、前記検知手段は、用紙束の用紙端部を検知することに加え、前記スタック手段に用紙が存在するか否かを検知することを特徴とする。
【0018】
第6の手段は、第1の手段において、前記綴じ手段が中綴じを行う中綴じスティプラからなり、前記検知手段は用紙搬送方向と直交する方向の複数ある中綴じスティプラの間に配置されていることを特徴とする。
【0019】
第7の手段は、記録媒体に可視画像を形成する画像形成装置と、前記画像形成装置と一体あるいは別体に設けられた第1ないし第6の手段に係る用紙処理装置とから画像形成システムを構成したことを特徴とする。。
【0020】
第1及び第7の手段によれば、中綴じされる用紙サイズによっては移動手段により移動される用紙束端部を検知後、移動手段を逆方向へ動作させて綴じ位置迄用紙束を移動させることによって、装置の大型化、複雑化を防止して様々な用紙サイズに対しても所望の位置へ綴じ処理を施すことができる。
【0021】
第2及び第7の手段によれば、移動する用紙束の端部を検知する検知手段からの検知情報に基づいて綴じ処理を施すことによって、中綴じ位置がばらつかないようにすることができる。
【0022】
第3及び第7の手段によれば、中綴じ処理時の綴じ位置はユーザーからの入力により調整可能なので、実際の綴じ位置を見てユーザーが綴じ位置を調整することができ、使い勝手の向上を図ることができる。
【0023】
第4、第6及び第7の手段によれば、用紙束端部を検知する検知手段は用紙搬送方向と直交する方向の複数ある中綴じスティプラの間に配置しているので、用紙束が搬送方向に対して傾いていてもその傾きの影響を受けずに所望の位置へ綴じ処理を施すことができる。
【0024】
第5及び第7の手段によれば、用紙束端部を検知する検知手段がスティプルトレイ内の紙有無検知手段も兼ねるので、コスト面でも最小となり、且つ中綴じ機能を有さない装置から最小の変更で中綴じ機能付きの用紙処理装置として提供することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0026】
1.機械的構成
1.1 全体構成
図1は本発明の実施形態に係る用紙処理装置としての用紙後処理装置と画像形成装置とからなる画像形成システムのシステム構成を示す図であり、図では、用紙後処理装置の全体と画像形成装置の一部を示している。
【0027】
図1において、用紙後処理装置PDは、画像形成装置PRの側部に取付けられており、画像形成装置PRから排出された記録媒体、ここでは用紙は用紙後処理装置PDに導かれる。前記用紙は、1枚の用紙に後処理を施す後処理手段(この実施形態では穿孔手段としてのパンチユニット100)を有する搬送路Aを通り、上トレイ201へ導く搬送路B、シフトトレイ202へ導く搬送路C、整合およびスティプル綴じ等を行う処理トレイF(以下スティプル処理トレイとも称する)へ導く搬送路Dへ、それぞれ分岐爪15および分岐爪16によって振り分けられるように構成されている。
【0028】
搬送路AおよびDを経てスティプル処理トレイFへ導かれ、スティプル処理トレイで整合およびスティプル等を施された用紙は、偏向手段である分岐ガイド板54と可動ガイド55により、シフトトレイ202へ導く搬送路C、折り等を施す処理トレイG(以下、中折り処理トレイとも称する)へ振り分けられるように構成され、中折り処理トレイGで折り等を施された用紙は搬送路Hを通り下トレイ203へ導かれる。また、搬送路D内には分岐爪17が配置され、図示しない低荷重バネにより図の状態に保持されており、用紙後端がこれを通過した後、搬送ローラ9、10、スティプル排紙ローラ11の内少なくとも搬送ローラ9を逆転することで後端を用紙収容部Eへ導き滞留させ、次用紙と重ね合せて搬送することが可能なように構成されている。この動作を繰り返すことによって2枚以上の用紙を重ね合せて搬送することも可能である。
【0029】
搬送路B、搬送路Cおよび搬送路Dの上流で各々に対し共通な搬送路Aには、画像形成装置から受け入れる用紙を検出する入口センサ301、その下流に入口ローラ1、パンチユニット100、パンチかすホッパ101、搬送ローラ2、分岐爪15および分岐爪16が順次配置されている。分岐爪15、分岐爪16は図示しないバネにより図1の状態に保持されており、図示しないソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方に、各々回動することによって、搬送路B、搬送路C、搬送路Dへ用紙を振り分ける。
【0030】
搬送路Bへ用紙を導く場合は、分岐爪15は図1の状態で前記ソレノイドはOFF、搬送路Cへ用紙を導く場合は、図1の状態から前記ソレノイドをONすることにより、分岐爪15は上方に、分岐爪16は下方にそれぞれ回動した状態となり、搬送路Dへ用紙を導く場合は、分岐爪16は図1の状態で前記ソレノイドはOFF、分岐爪15は図1の状態から前記ソレノイドをONすることにより、上方に回動した状態となる。
【0031】
この用紙後処理装置では、用紙に対して、穴明け(パンチユニット100)、用紙揃え+端部綴じ(ジョガーフェンス53、端面綴じスティプラS1)、用紙揃え+中綴じ(ジョガーフェンス53、中綴じスティプラS2)、用紙の仕分け(シフトトレイ202)、中折り(折りプレート74、折りローラ81、82)などの各処理を行うことができる。
【0032】
1.2シフトトレイ部
この用紙後処理装置PDの最下流部に位置するシフトトレイ排紙部Iは、シフト排紙ローラ6と、戻しコロ13と、紙面検知センサ330と、シフトトレイ202と、図2に示すシフト機構Jと、図3に示すシフトトレイ昇降機構Kとにより構成される。なお、図2はシフト機構Jの詳細を示す要部を拡大した斜視図、図3はシフトトレイ昇降機構Kの要部を拡大した斜視図である。
【0033】
図1および図3において、符号13はシフト排紙ローラ6から排出された用紙と接して前記用紙の後端を図2に示すエンドフェンス32に突き当てて揃えるためのスポンジ製のコロを示す。この戻しコロ13は、シフト排紙ローラ6の回転力で回転するようになっている。戻しコロ13の近傍にはトレイ上昇リミットスイッチ333が設けられており、シフトトレイ202が上昇して戻しコロ13を押し上げると、前記トレイ上昇リミットスイッチ333がオンしてトレイ昇降モータ168が停止する。これによりシフトトレイ202のオーバーランが防止される。また、戻しコロ13の近傍には、図1に示すように、シフトトレイ202上に排紙された用紙もしくは用紙束の紙面位置を検知する紙面位置検知手段としての紙面検知センサ330が設けられている。
【0034】
図1に詳細には図示していないが、紙面検知センサ330は、図3に示す紙面検知レバー30と、紙面検知センサ(スティプル用)330aと紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bとから構成されている。紙面検知レバー30は、レバーの軸部を中心に回動可能に設けられ、シフトトレイ202に積載された用紙の後端上面に接触する接触部30aと扇形の遮蔽部30bとを備えている。上方に位置する紙面検知センサ(スティプル用)330aは主にスティプル排紙制御に用いられ、紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bは主にシフト排紙制御に用いられる。
【0035】
本実施形態では、紙面検知センサ(スティプル用)330aおよび紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bは、遮蔽部30bによって遮られたときにオンするようになっている。したがって、シフトトレイ202が上昇して紙面検知レバー30の接触部30aが上方に回動すると、紙面検知センサ(スティプル用)330aがオフし、さらに回動すると紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bがオンする。用紙の積載量が所定の高さに達したことが紙面検知センサ(スティプル用)330aと紙面検知センサ(ノンスティプル用)330bによって検知されると、シフトトレイ202はトレイ昇降モータ168の駆動により所定量下降する。これにより、シフトトレイ202の紙面位置は略一定に保たれる。
【0036】
1.2.1 シフトトレイの昇降機構
シフトトレイ202の昇降機構について詳細に説明する。
【0037】
図3に示すようにシフトトレイ202は、駆動ユニットLにより駆動軸21が駆動されることにより昇降する。駆動軸21と従動軸22との間にはタイミングベルト23がタイミングプーリを介してテンションをもって掛けられ、このタイミングベルト23にシフトトレイ202を支持する側板24が固定されている。このように構成することにより、シフトトレイ202を含むユニットが昇降可能にタイミングベルト23に吊り下げられている。
【0038】
駆動ユニットLは、トレイ昇降モータ168とウォームギア25とから構成され、駆動源としての正逆転可能なトレイ昇降モータ168で発生した動力が、ウォームギヤ25を介して駆動軸21に固定されたギヤ列の最終ギヤに伝達され、シフトトレイ202を上下方向に移動させるるようになっている。動力伝達系統がウォームギヤ25を介しているため、シフトトレイ202を一定位置に保持することができ、このギア構成により、シフトトレイ202の不意の落下事故等を防止することが可能となっている。
【0039】
シフトトレイ202の側板24には、遮蔽板24aが一体に形成され、下方には積載用紙の満載を検出する満杯検知センサ334と下限位置を検出する下限センサ335が配置されており、遮蔽板24aによって満杯検知センサ334と下限センサ335とがオン・オフされるようになっている。満杯検知センサ334と下限センサ335はフォトセンサであり、遮蔽板24aによって遮られたときにオンするようになっている。なお、図3において、シフト排紙ローラ6は省略している。
【0040】
シフトトレイ202の揺動(シフト)機構は図2に示すように、シフトモータ169とシフトカム31とからなり、シフトモータ169を駆動源としてシフトカム31を回転させることにより、シフトトレイ202は用紙排紙方向と直交する方向に往復動する。シフトカム31には回転軸中心から一定量離れた位置にピン31aが立てられ、そのピン31aの他端部がエンドフェンス32の係合部材32aの長孔部32bに遊嵌されている。係合部材32aはエンドフェンス32の背面(シフトトレイ202が位置しない側の面)に固定され、前記シフトカム31のピン31aの回動位置に応じて、用紙排紙方向と直交する方向に往復動し、これにともなってシフトトレイ202も用紙排紙方向と直交する方向に移動する。シフトトレイ202は図1において手前側と奥側の2つの位置で停止し(図2のシフトカム31の拡大図に対応)、その停止制御はシフトカム31の切り欠きをシフトセンサ336により検出し、この検出信号に基づいてシフトモータ169をON、OFF制御することにより行われる。
【0041】
エンドフェンス32の前面側には、前記シフトトレイ202の案内用の突条32cが設けられ、シフトトレイ202の後端部がこの突条32cに上下動自在に遊嵌され、これにより、シフトトレイ202は上下動可能かつ用紙搬送方向と直交する方向に往復動可能にエンドフェンス32に支持される。なお、エンドフェンス32はシフトトレイ202上の積載紙の後端をガイドし、後端を揃える機能を有する。
【0042】
1.2.2 排紙部
図4はシフトトレイ202への排紙部の構造を示す斜視図である。
【0043】
図1および図4において、シフト排紙ローラ6は、駆動ローラ6aと従動ローラ6bを有し、従動ローラ6bは用紙排出方向上流側を支持され、上下方向に揺動自在設けられた開閉ガイド板33の自由端部に回転自在に支持されている。従動ローラ6bは自重または付勢力により駆動ローラ6aに当接し、用紙は両ローラ6a、6b間に挟持されて排出される。綴じ処理された用紙束が排出される時は、開閉ガイド板33が上方に引き上げられ、所定のタイミングで戻されるようになっており、このタイミングはシフト排紙センサ303の検知信号に基づいて決定される。その停止位置は排紙ガイド板開閉センサ331の検知信号に基づいて決定され、排紙ガイド板開閉モータ167により駆動される。なお、排紙ガイド板開閉モータ167は排紙ガイド板開閉リミットスイッチ332のオンオフにより駆動制御される。
【0044】
1.3 スティプル処理トレイ
1.3.1 スティプル処理トレイの全体構成
スティプル処理を施すスティプル処理トレイFの構成を詳細に説明する。
【0045】
図5はこのスティプル処理トレイFを用紙搬送面に垂直な方向から見た平面図、図6はスティプル処理トレイFとその駆動機構を示す斜視図、図7は用紙束の放出機構を示す斜視図である。まず、図6に示すように、スティプル排紙ローラ11によってスティプル処理トレイFへ導かれた用紙は、スティプル処理トレイF上に順次積載される。この場合、用紙ごとに叩きコロ12で縦方向(用紙搬送方向)の整合が行われ、ジョガーフェンス53によって横方向(用紙搬送方向と直交する方向−用紙幅方向とも称す)の整合が行われる。ジョブの切れ目、すなわち、用紙束の最終紙から次の用紙束先頭紙までの間で、制御装置(図16参照)からのスティプル信号により端面綴じスティプラS1が駆動され、綴じ処理が行われる。綴じ処理が行われた用紙束は、ただちに放出爪52aが突設された放出ベルト52によりシフト排紙ローラ6へ送られ、受取り位置にセットされているシフトトレイ202に排出される。
【0046】
なお、図中符号64aは前側板、64bは後側板であり、符号310はスティプル処理トレイF上の用紙の有無を検出する紙有無センサである。紙有無センサ310は、スティプル処理トレイF上の用紙あるいは用紙束の有無を検知するもので、この実施形態では、放出爪52の移動軌跡に近い位置に設けている。
【0047】
1.3.2 用紙放出機構
放出爪52aは、図7に示すように、放出ベルトHPセンサ311によりそのホームポジションが検知されるようになっており、この放出ベルトHPセンサ311は放出ベルト52に設けられた放出爪52aによりオン・オフする。この放出ベルト52の外周上には対向する位置に2つの放出爪52aが配置され、スティプル処理トレイFに収容された用紙束を交互に移動搬送する。また必要に応じて放出ベルト52を逆回転し、これから用紙束を移動するように待機している放出爪52aと対向側の放出爪52a’の背面でスティプル処理トレイFに収容された用紙束の搬送方向先端を揃えるようにすることもできる。したがって、この放出爪52aは用紙束の用紙搬送方向の揃え手段としても機能する。
【0048】
また、図5に示すように、放出モータ157により駆動される放出ベルト52の駆動軸には、用紙幅方向の整合中心に放出ベルト52とその駆動プーリ62とが配置され、駆動プーリ62に対して対称に放出ローラ56が配置、固定されている。さらに、これらの放出ローラ56の周速は放出ベルト52の周速より速くなるように設定されている。
【0049】
1.3.3 処理機構
図6に示すように、叩きコロ12は支点12aを中心に叩きSOL(ソレノイド)170によって振り子運動を与えられ、スティプル処理トレイFへ送り込まれた用紙に間欠的に作用して用紙を後端フェンス51に突き当てる。なお、叩きコロ12は反時計回りに回転する。
【0050】
ジョガーフェンス53は、正逆転可能なジョガーモータ158によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙幅方向に往復移動する。
【0051】
端面綴じスティプラS1は、図8のステイプラS1を移動機構とともに示す斜視図から分かるように、正逆転可能なスティプラ移動モータ159によりタイミングベルトを介して駆動され、用紙端部の所定位置を綴じるために用紙幅方向に移動する。その移動範囲の一側端には、端面綴じスティプラS1のホームポジションを検出するスティプラ移動HPセンサ312が設けられており、用紙幅方向の綴じ位置は、前記ホームポジションからの端面綴じスティプラS1移動量により制御される。端面綴じスティプラS1は、図9の斜視図に示すように針の打ち込み角度を用紙端部と平行あるいは斜めに変更できるように、さらには、前記ホームポジション位置でスティプラS1の綴じ機構部だけを所定角度斜めに回転させ、スティプル針の交換が容易にできるように構成されている。スティプラS1は斜めモータ160によって斜め回転し、針交換位置センサ313によって所定の斜めの角度に、あるいは、前記針の交換位置まで達したことが検出されると、斜めモータ160は停止する。斜め打ちが終了し、あるいは針交換が終了すると、元の位置まで回転して次のスティプルに備える。
【0052】
中綴じスティプラS2は図1および図5に示すように、後端フェンス51から中綴じスティプラS2の針打ち位置までの距離が、中綴じ可能な最大用紙サイズの搬送方向長の半分に相当する距離以上となるように配置され、かつ、用紙幅方向の整合中心に対して対称に2つ配置され、ステー63に固定されている。中綴じスティプラS2自体は公知の構成なので、ここでは詳細についての説明は省略するが、中綴じを行う場合、ジョガーフェンス53で用紙の搬送方向に直交する方向が整合され、後端フェンス51と叩きコロ5で用紙の搬送方向が整合された後、放出ベルト52を駆動して放出爪52で用紙束の後端部を持ち上げ、中綴じスティプラS2の綴じ位置に用紙束の搬送方向の中央部が位置するようにし、この位置で停止して、綴じ動作を実行させる。そして、綴じられた用紙束は、中折り処理トレイG側に搬送され、中折りされる。詳細は後述する。
【0053】
1.4 用紙束偏向機構
前記スティプル処理トレイFで中綴じが行われた用紙束は用紙の中央部で中折りされる。この中折りは中折り処理トレイGで行われる。そのためには、綴じた用紙束を中折り処理トレイGに搬送する必要がある。この実施形態では、スティプル処理トレイFの搬送方向最下流側に、用紙束偏向手段が設けられ、中折り処理トレイG側に用紙束を搬送する。
【0054】
用紙束偏向機構は、図1および図15のスティプル処理トレイFと中折り処理トレイG部分の拡大図に示すように分岐ガイド板54と可動ガイド55とからなる。分岐ガイド板54は図10ないし図12の動作説明図に示すように支点54aを中心に上下方向に揺動自在に設けられ、その下流側に回転自在な加圧コロ57が設けられ、スプリング58により放出ローラ56側に加圧される。また、分岐ガイド板54の位置は、束分岐駆動モータ161より駆動力を得て回転するカム61のカム面61aとの当接位置によって規定される。
【0055】
可動ガイド55は放出ローラ56の回転軸に揺動自在に支持され、可動ガイド55の一端(分岐ガイド板54とは反対側の端部)には連結部60aで回動自在に連結されたリンクアーム60が設けられている。リンクアーム60は図5に示す前側板64aに固定された軸と長孔部60bでされており、これにより可動ガイド55の揺動範囲は規制される。また、スプリング59により下方に付勢されることによって図10の位置に保持される。さらに、束分岐駆動モータ161より駆動を得て回転するカム61のカム面61bによりリンクアーム60が押されると、連結されている可動ガイド55は上方へ回動する。束分岐ガイドHPセンサ315はカム61の遮蔽部61cを検知してカム61のホームポジションを検知する。これにより、カム61はそのホームポジションを基準として束分岐駆動モータ161の駆動パルスをカウントすることにより、停止位置の制御が行われる。
【0056】
図10は、カム61がホームポジションに位置した時の分岐ガイド板54と可動ガイド55の位置関係を示す動作説明図である。可動ガイド55のガイド面55aはシフト排紙ローラ6への経路において、用紙をガイドする機能を有する。
【0057】
図11は、カム61が回転することにより、分岐ガイド板54が支点54aを中心として図において反時計方向(下方)へ回動し、加圧コロ57が放出ローラ56側に接触して加圧している状態を示す動作説明図である。
【0058】
図12は、カム61がさらに回転することにより、可動ガイド55が図において時計方向(上方)に回動し、スティプル処理トレイFから中折り処理トレイGに導く経路を分岐ガイド板54と可動ガイド55とで形成した状態を示す動作説明図である。また、図5には奥行き方向の位置関係を示す。
【0059】
この実施形態では、分岐ガイド板54と可動ガイド55は1つの駆動モータにより動作するが、個々に駆動モータを設けて、用紙サイズや綴じ枚数に応じて、移動タイミングや停止位置を制御可能に構成しても良い。
【0060】
1.5 中折り処理トレイ
1.5.1 各部構成
図13および図14は中折りを行うための折りプレート74の移動機構の動作説明図である。
【0061】
折りプレート74は前後側板64a、64bに立てられた各2本の軸64cに長孔部74aを遊嵌することにより支持され、さらに、折りプレート74から立設された軸部74bがリンクアーム76の長孔部76bに遊嵌され、リンクアーム76が支点76aを中心に揺動することにより、折りプレート74は図13および図14中を左右に往復移動する。すなわち、リンクアーム76の長孔部76cに折りプレート駆動カム75の軸部75bは遊嵌されており、折りプレート駆動カム75の回転運動によりリンクアーム76は揺動し、これに応じて、図15において、折りプレート74は束搬送ガイド板下上91,92に対して垂直な方向に往復動する。
【0062】
折りプレート駆動カム75は折りプレート駆動モータ166により図13中の矢印方向に回転する。その停止位置は半月形状の遮蔽部75a両端部を折りプレートHPセンサ325により検知することで決定される。
【0063】
図13は、処理トレイGの用紙束収容領域から完全に退避したホームポジション位置を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、処理トレイGの用紙束収容領域に突出する。図14は、処理トレイGの用紙束中央を折りローラ81のニップに押し込む位置を示す。折りプレート駆動カム75を矢印方向に回転させると折りプレート74は矢印方向に移動し、処理トレイGの用紙束収容領域から退避する。
【0064】
なお、この実施形態では、中折りについては用紙束を折ることを前提にしているが、この発明は1枚の用紙を折る場合でも適用できる。この場合は、1枚だけで中綴じが不要なので、1枚排紙された時点で中折り処理取り柄G側に送り込み、折りプレート74と折りローラとによって折り処理を実行して下トレイに排紙するようにする。
【0065】
2.制御装置
制御装置350は、図16に示すように、CPU360、I/Oインターフェース370等を有するマイクロコンピュータからなり、画像形成装置PR本体のコントロールパネルの各スイッチ等、および入口センサ301、上排紙センサ302、シフト排紙センサ303、プレスタックセンサ304、スティプル排紙センサ305、紙有無センサ310、放出ベルトホームポジションセンサ311、スティプル移動ホームポジションセンサ312、スティプラ斜めホームポジションセンサ313、ジョガーフェンスホームポジションセンサ314、束分岐ガイドホームポジションセンサ315、束到達センサ321、可動後端フェンスホームポジションセンサ322、折り部通過センサ323、下排紙センサ324、折りプレートホームポジションセンサ325、紙面検知センサ330,330a,330b、排紙ガイド板開閉センサ331等の各センサからの信号がI/Oインターフェース370を介してCPU360へ入力される。
【0066】
CPU360は、入力された信号に基づいて、シフトトレイ202用のトレイ昇降モータ168、開閉ガイド板を開閉する排紙ガイド板開閉モータ167、シフトトレイ202を移動するシフトモータ169、叩きコロ12を駆動する図示しない叩きコロモータ、叩きSOL170等の各ソレノイド、各搬送ローラを駆動する搬送モータ、各排紙ローラを駆動する排紙モータ、放出ベルト52を駆動する放出モータ157、端面綴じスティプラS1を移動するスティプラ移動モータ159、端面綴じスティプラS1を斜めに回転させる斜めモータ160、ジョガーフェンス53を移動するジョガーモータ158、分岐ガイド板54および可動ガイド55を回動する束分岐駆動モータ161、その束を搬送する搬送ローラを駆動する図示しない束搬送モータ、可動後端フェンス73を移動させる図示しない後端フェンス移動モータ、折りプレート74を移動させる折りプレート駆動モータ166、折りローラ81を駆動する図示しない折りローラ駆動モータ等の駆動を制御する。スティプル排紙ローラを駆動する図示しないスティプル搬送モータのパルス信号はCPU360に入力されてカウントされ、このカウントに応じて叩きSOL170およびジョガーモータ158が制御される。なお、折りローラ駆動モータはステッピングモータからなり、CPU360からモータドライバを介して直接的に、あるいは、I/O370とモータドライバを介して間接的に制御される。
【0067】
また、パンチユニット100もクラッチやモータを制御することによりCPU360の指示によって穴明けを実行する。
【0068】
なお、用紙後処理装置PDの制御は前記CPU360が図示しないROMに書き込まれたプログラムを、図示しないRAMをワークエリアとして使用しながら実行することにより行われる。
【0069】
3.動作
以下、前記CPU360によって実行される本実施形態に係る用紙後処理装置の動作について説明する。
【0070】
3.1 処理モードに応じた動作
本実施形態では、後処理モードに応じて下記の排出形態をとる。
【0071】
▲1▼ ノンスティプルモードA
▲2▼ ノンスティプルモードB
▲3▼ ソート、スタックモード
▲4▼ スティプルモード
▲5▼ 中綴じ製本モード
▲6▼ 簡易製本モード
以下、各モードについて説明する。
【0072】
3.1.1 ノンスティプルモードA:
このモードは、搬送路Aから搬送路Bを通り、上トレイ201へ用紙を綴じないで排出するモードである。このモードでは、分岐爪15が図1において時計方向に回動し、搬送路B側が開放された状態になる。
【0073】
このモードでは、動作がスタートし、用紙が画像形成装置PR側から搬入される状態になると、用紙後処理装置PDの搬送路Aの入口ローラ1および搬送ローラ2、搬送路Bの搬送ローラ3および上排紙ローラ4がそれぞれ回転を開始する。そして、入口センサ301のオン、オフと上排紙センサ302のオン、オフをチェックして、用紙の通過を確認し、最終紙が通過し、所定時間経過すると、入口ローラ1、搬送ローラ2、搬送ローラ3および上排紙ローラ4の回転を停止させる。これにより、画像形成装置から搬入されてきた用紙を全て上トレイ201に綴じることなく排紙し、積載する。なお、この実施形態では、パンチユニット100が入口ローラ1と搬送ローラ2間に設けられているので、この間にパンチユニット100によって穴あけすることもできる。
【0074】
3.1.2 ノンスティプルモードB:
このモードは、用紙を綴じることなく搬送路Aから搬送路Cを経て、シフトトレイ202へ排出するモードである。このモードでは、分岐爪15が反時計方向、分岐爪16が時計方向にそれぞれ回動し、搬送路Cが開放された状態になる。
【0075】
このモードでは、動作がスタートし、用紙が画像形成装置PR側から搬入される状態になると、用紙後処理装置PDの搬送路Aの入口ローラ1および搬送ローラ2、搬送路Cの搬送ローラ5およびシフト排紙ローラ6がそれぞれ回転を開始する。そして、分岐爪15および16を駆動するソレノイドをオンにして(ステップS202)分岐爪15を反時計方向、分岐爪16を時計方向にそれぞれ回動させる。次いで、入口センサ301のオン、オフとシフト排紙センサ303のオン、オフをチェックして、搬入されてきた用紙の通過を確認する。
【0076】
そして、最終紙が通過し、所定時間経過すると、入口ローラ1、搬送ローラ2、搬送ローラ5およびシフト排紙ローラ6の回転を停止させ、分岐爪15,16を駆動するソレノイドをオフにする。これにより、画像形成装置PRから搬入されてきた用紙を全てシフトトレイ202に綴じることなく排紙し、積載する。なお、この実施形態では、パンチユニット100が入口ローラ1と搬送ローラ2間に設けられているので、この間にパンチユニット100によって穴あけすることもできる。
【0077】
3.1.3 ソート、スタックモード:
このモードは、用紙を搬送路Aから搬送路Cを経てシフトトレイ202へ排出するモードであるが、その際、シフトトレイ202を部の区切れ毎に排紙方向と直交方向に揺動させ、シフトトレイ202上に排出される用紙を仕分けるモードである。このモードでは、ノンスティプルモードBと同様に、分岐爪15が反時計方向、分岐爪16が時計方向にそれぞれ回動し、搬送路Cが開放された状態になる。
【0078】
このモードでは、動作がスタートし、用紙が画像形成装置PR側から搬入される状態になると、用紙後処理装置PDの搬送路Aの入口ローラ1および搬送ローラ2、搬送路Cの搬送ローラ5およびシフト排紙ローラ6がそれぞれ回転を開始する。そして、分岐爪15および16を駆動するソレノイドをオンにして分岐爪15を反時計方向、分岐爪16を時計方向にそれぞれ回動させる。そして、入口センサ301のオン、オフとシフト排紙センサ303のオンをチェックする。
【0079】
このチェックにより、シフト排紙センサ303を通過した用紙が部の先頭の用紙であれば、シフトモータ169をオンし、シフトセンサ336がシフトトレイ202を検出するまでシフトトレイ202を用紙搬送方向と直交する方向に移動させる。そして、用紙をシフトトレイ202に排紙し、シフト排紙センサ303がオフになり、用紙がシフト排紙センサ303の通過が確認されると、その用紙が最終紙かどうかをチェックする。最終紙でなければ、この場合、先頭の用紙なので、部が1枚でなければ、ステップS303に戻って以降の処理を繰り返し、部が1枚で構成されていれば、ステップS312の処理を実行する。
【0080】
一方、ステップS306でシフト排紙センサ303を通過した用紙が部の先頭紙でなければ、すでにシフトトレイ202は移動しているので、そのまま排紙し、その排紙した用紙が最終紙かどうかをチェックする。最終紙でなければ、次の用紙に対してステップS303からの処理を繰り返し、最終紙であれば、最終紙が通過して所定時間経過した時点で、前記各ローラ、すなわち、入口ローラ1、搬送ローラ2、搬送ローラ5およびシフト排紙ローラ6の回転を停止させ、分岐爪15,16を駆動するソレノイドをオフにする。これにより、画像形成装置から搬入されてきた用紙を全てシフトトレイ202に綴じることなく排紙し、仕分けして積載する。なお、この場合もパンチユニット100によって穴あけした用紙のソートやスタックが可能である。
【0081】
3.1.4 スティプルモード:
このモードは、用紙を搬送路Aと搬送路Dを経てスティプル処理トレイFに搬送し、スティプル処理トレイFで整合および綴じ処理を行った後、搬送路Cを通ってシフトトレイ202へ排出するモードである。このモードでは、分岐爪15と分岐爪16はともに反時計方向に回動し、搬送路AからDに至る経路が開放された状態になる。
【0082】
このスティプルモード時のスティプル処理トレイFの動作を説明する。
【0083】
スティプルモードが選択されると、図6に示すように、ジョガーフェンス53はホームポジションより移動し、スティプル処理トレイFに排出される用紙幅より片側7mm離れた待機位置で待機する。用紙がスティプル排紙ローラ11によって搬送され、用紙後端がスティプル排紙センサ305を通過すると、ジョガーフェンス53が待機位置から5mm内側に移動して停止する。
【0084】
また、スティプル排紙センサ305は用紙後端通過時点にそれを検知し、その信号がCPU360に入力される。CPU360ではこの信号の受信時点からスティプル排紙ローラ11を駆動する図示しないスティプル搬送モータからの発信パルス数をカウントし、所定パルス発信後に叩きSOL170をオンさせる。叩きコロ12は、叩きSOL170のオン・オフにより振り子運動をし、オン時には用紙を叩いて下方向に戻し、後端フェンス51に突き当てて紙揃えを行う。このとき、スティプル処理トレイFに収容される用紙が入口センサ301あるいはスティプル排紙センサ305を通過するたびにその信号がCPU360に入力され、用紙枚数がカウントされる。
【0085】
叩きSOL170がオフされて所定時間経過後、ジョガーフェンス53は、ジョガーモータ158によってさらに2.6mm内側に移動して一旦停止し、横揃えが終了する。ジョガーフェンス53はその後7.6mm外側に移動して待機位置に戻り、次の用紙を待つ。この動作を最終頁まで行う。その後、再び7mm内側に移動して停止し、用紙束の両側端を押えてスティプル動作に備える。その後、所定時間後に図示しないスティプルモータにより端面綴じスティプラS1が作動し、綴じ処理が行われる。このとき2ヶ所以上の綴じが指定されていれば、1ヶ所の綴じ処理が終了した後、スティプル移動モータ159が駆動され、端面綴じスティプラS1が用紙後端に沿って適正位置まで移動され、2ヶ所目の綴じ処理が行なわれる。また、3ヶ所目以降が指定されている場合は、これを繰返す。
【0086】
綴じ処理が終了すると、放出モータ157が駆動され、放出ベルト52が駆動される。このとき、排紙モータも駆動され、放出爪52aにより持ち上げられた用紙束を受け入れるべくシフト排紙ローラ6が回転し始める。このとき、ジョガーフェンス53は用紙サイズおよび綴じ枚数に基づいて異なる制御が行われる。例えば、綴じ枚数が設定枚数より少ない、あるいは設定サイズより小さい場合には、ジョガーフェンス53により用紙束を押えながら放出爪52aにより用紙束後端を引っかけ搬送する。
【0087】
そして、紙有無センサ310あるいは放出ベルトHPセンサ311による検知より所定パルス後にジョガーフェンス53を2mm退避させジョガーフェンス53による用紙への拘束を解除する。この所定パルスは、放出爪52aが用紙後端と接触してからジョガーフェンス53の先端を抜ける間で設定されている。
【0088】
また、綴じ枚数が設定枚数より多い、あるいは設定サイズより大きい場合には、予めジョガーフェンス53を2mm退避させ、放出を行う。いずれの場合も用紙束がジョガーフェンス53を抜けきると、ジョガーフェンス53は、さらに5mm外側に移動して待機位置に復帰し、次の用紙に備える。なお、用紙に対するジョガーフェンス53の距離により拘束力を調整することも可能である。
【0089】
3.1.5 中綴じ製本モード:
このモードは、用紙を搬送路Aと搬送路Dを経てスティプル処理トレイFに搬送し、スティプル処理トレイFで整合および中央綴じを行った後、さらに中折り処理トレイGで中折りし、中折りされた用紙束を搬送路Hを経て下トレイ203へ排出するモードである。このモードでは、分岐爪15と分岐爪16はともに反時計方向に回動し、搬送路AからDに至る経路が開放された状態になる。また、分岐ガイド板54と可動ガイド板55が後述の図24に示すように閉鎖状態となって用紙束を中折り処理トレイGに導き、中折りが行われる。
【0090】
このモードでは、動作がスタートし、用紙が画像形成装置PR側から搬入される状態になると、用紙後処理装置PDの搬送路Aの入口ローラ1および搬送ローラ2、搬送路Dの搬送ローラ7,9,10およびスティプル排紙ローラ11、スティプル処理トレイFの叩きコロ12がそれぞれ回転を開始する。そして、分岐爪15を駆動するソレノイドをオンにして分岐爪15を反時計方向に回動させる。
【0091】
次いで、放出ベルト52のホームポジションも放出ベルトHPセンサ311で検知し、その位置を確認した後、放出モータ157を駆動して放出ベルト52を待機位置に、また、ジョガーフェンス53もジョガーフェンスHPセンサでホームポジション位置を検出した後、待機位置に、さらに、分岐ガイド板54と可動ガイド55をホームポジションにそれぞれ移動させる。
【0092】
そして、入口センサ301のオン、オフ、スティプル排紙センサ305がオン、シフト排紙センサ303がオフであれば、スティプル処理トレイFに用紙が排紙され、用紙が存在しているので、叩きソレノイド170を所定時間オンにし、叩きソレノイド12を用紙に接触させ、後端フェンス51側に付勢して、用紙後端を揃える。次いで、ジョガーモータ158を駆動することによってジョガーフェンス53を所定量内側に移動させて用紙の幅方向(用紙搬送方向に直交する方向)の揃え動作を行った後、待機位置に戻す。これによりスティプル処理トレイFに送り込まれた用紙の縦横(搬送方向に平行な方向と直交する方向)が揃えられる(図17)。
【0093】
これらステップS506からステップS512までの動作を1枚毎に繰り返し、部の最終紙になると、ジョガーフェンス53を所定量内側に移動させて用紙端面がずれない状態にし、この状態で放出モータ157を設定された速度で駆動し、放出ベルト52を所定量回転させ、中綴じスティプラS2の綴じ位置まで用紙束を上昇させる。その後、用紙束の中央部で中綴じスティプラS2をオンし、中綴じを行う(図18)。次いで、分岐ガイド板54と可動ガイド55を所定量を変位させて中折り処理トレイGに向かう経路を形成し、中折り処理トレイGの束搬送ローラ上、下71,72の回転を開始させ、中折り処理トレイGに設けられている可動後端フェンス73のホームポジションを検知した後、当該可動後端フェンス73を待機位置に移動させる。
【0094】
このようにして、中折り処理トレイGの用紙束受け入れ体制が整えられると、放出ベルト52をさらに所定量回転させ、放出ローラ56と加圧ローラ57に銜え込ませた後(図19)、中折り処理トレイG側に用紙束を搬送する。用紙先端が束到達センサ321位置に達したら、折りローラ81を逆転させてやり、図20で示すQ部で紙が折れずに下方へ搬送されるようにする。その後、用紙の先端がQ部を完全に抜けたと思われる一定時間が経過したら折りローラ81を停止させる。そして、所定距離搬送したら、束搬送ローラ上、下71,72の回転を停止させ、束搬送ローラ下72の加圧状態を解除させる(図21)。次いで、折りプレート74による折り動作を開始し、折りローラ81,82および下排紙ローラ83の回転を開始させる(図22)。そして、折り部通過センサ323によって中折りされた用紙束の通過を監視し(図23)、折り部通過センサ323位置を用紙束の後端が通過すると、束搬送ローラ下72を加圧し、折りプレート74、分岐ガイド板54および可動ガイド板55をホームポジションに移動させる(図24)。
【0095】
この状態で用紙束の通過を下排紙センサ324によって監視し、下排紙センサ324を用紙束後端が通過すると、折りローラ81,82、下排紙ローラ83をさらに所定時間回転させた後、停止させる。次いで、放出ベルト52とジョガーフェンス53を待機位置に移動させ、ジョブの最終部かどうかをチェックし、ジョブの最終部でなければ前記動作を繰り返し、最終部であれば、放出ベルト52およびジョガーフェンス53をホームポジションに移動させ、入口ローラ1,搬送ローラ2,7,9,10、スティプル排紙ローラ11および叩きコロ12の回転を停止し、分岐爪15の分岐ソレノイドをオフにしてすべて初期状態に戻し、処理を終える。
【0096】
このようにして画像形成装置から搬入されてきた用紙をスティプル処理トレイFで中綴じし、中折り処理トレイGで中折りした後、下トレイ203上に中折りされた用紙束を排紙して積載する。
【0097】
4.紙有無センサと放出爪
紙有無センサ310は図5に示すように放出爪52a配設位置の近傍のスティプル処理トレイFの下端に設けられている。この位置は、本実施形態では、中綴じステイプラS2の綴じ位置から182mmの位置であり、用紙束の後端を揃える後端フェンス51の用紙後端突き当て位置は中綴じ位置から250mmのところに設定されている。前記182mmの位置はB4サイズ縦の1/2の距離であり、この実施形態では、後述のようにB4サイズを基準に中綴じ時の用紙束の搬送方向を変更している。
【0098】
用紙の幅方向中央部を放出爪52aにより押し上げて用紙束PBを搬送する場合、束がスキューすると、用紙束は図25(a)に示すように放出爪52aを中心にして回転し、その回転した方向へずれる。これは、用紙束搬送時に用紙束PBがジョガーフェンス53と干渉しないように0.5〜2mm程度の隙間を許容しているからで、この隙間により前述のようにずれると、用紙束後端の端部では、0.5〜1mm程度用紙後端突き当て位置からずれることになる。そのため、用紙束の側端部側に紙有無センサ310’を設けると、図25(b)から分かるように用紙束PBがスキューしたとき、用紙束PBの放出爪52a近傍に設けた紙有無センサ310は用紙束PBを検知できても、用紙束PBの側端部側に設けた紙有無センサ310’では、用紙束PBを検知できない場合がある。すなわち、紙有無センサ310を放出爪52aに近い位置に配置して用紙の幅方向中央部に近い位置で端部を検知する方がスキューによる影響を受けずらいことがわかる。
【0099】
図26は図5に示す位置へ紙有無センサ310を配置した場合の放出爪52aの動作を示すフローチャートである。このフローチャートでは、放出モータ157がオンして正回転すると(ステップS101)、放出ベルト52が用紙排出方向に回転を開始する。この回転により放出ベルトホームポジション(HP)センサ311により放出ベルト52の回転位置のホームポジションが検知されると(ステップS102)、放出ベルト52を回転させて放出爪52aを待機位置に移動させ(ステップS103)、スティプル処理トレイF上に積載された用紙束の整合が完了すると(ステップS104)、用紙束放出の準備ができていることから、放出モータ157をオンし(ステップS105)、紙有無センサ310がオンであれば、すなわち用紙の有無を確認し、用紙があれば(ステップS106)用紙サイズをチェックする。ここでは、用紙のサイズ(長手方向)がB4以上であれば、放出モータ157を逆転させて用紙束を搬送方向下流側(図5では下方向)に移動させ(ステップS108)、B4未満であれば放出モータ157を正転させて用紙束を搬送方向上流側(図5では上方向)に移動させる。放出爪52aが所定量移動し、スティプル位置にくると(ステップS110)、放出モータ157を止め(ステップS111)、中綴じステイプラS2によって綴じ(ステップS112)、放出モータ157を正回転させて用紙束を搬送方向上流側に搬送し、排紙する(ステップS113)。
【0100】
すなわち、中綴じを行う際、1部の最終枚まで用紙が排出され、後端フェンス52に突き当てられた状態で用紙束は集積される。この状態では、用紙後端部から250mmの位置に中綴じステイプラS2が位置していることになる。一方、中綴じ位置は、B4サイズで前述のように用紙後端部から182mmの位置であり、B4サイズより小さい場合には182mmよりもさらに小寸となる。そこで、放出爪52aによって用紙束を押し上げ上方向に送る。そして、前記紙有無センサ310を用紙束の端部が切った時点から中綴じ位置への距離を制御すれば、正確に中綴じ位置が出せることになる。放出モータ157はステッピングモータから構成されているので、前記端部切った時点からの送り量はステップ数によって容易に設定することができる。
【0101】
これに対し、B4サイズ以上の場合には、中綴じ位置は182mm以上なので、まず、用紙束を押し上げて用紙束の端部を紙有無センサ3310で検知し、この検知した位置を基準に用紙束を下方向に送る。この場合も上方向に送るときと同様にステッピングモータのステップ数で送り量を管理する。このように紙有無センサ310を用紙端部が切った位置を基準にB4より小サイズの用紙束では上方向に、B4より大サイズでは下方向に送る。B4であれば、紙有無センサ310を切った位置で停止させる。しかし、紙有無センサ310を切った瞬間にモータを停止させることがモータ速度との関係でむずかしい場合には、若干量送った後、下方向に低速で下降させ、紙有無センサ310を切った時点で停止させる。
【0102】
このように構成すると、用紙サイズにかかわらず、精度よく中綴じ位置に用紙束を停止させることが可能となり、中綴じ位置が精度よくそろうことになる。
【0103】
なお、綴じ位置を若干量αだけ調整して中綴じを行う場合には、画像形成装置(複写機やプリンター本体)にて入力される中綴じ位置の調整量に応じ、図26のフローチャートに示すように紙有無センサ310によって用紙端部を検知した後に移動させる放出爪52aの移動量を変化させ、前記ステップS110において、放出爪52aを所定量に調整量α加えて移動させる(ステップS110’)。その他の処理は図25のフローチャートにおける処理と同様である。
【0104】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、
▲1▼装置の大型化、複雑化を防止して様々な用紙サイズに対しても所望の位置へ綴じ処理を施すことができる。
【0105】
▲2▼コスト面に於いても最小となり、且つ中綴じ機能を有さない装置から最小の変更で対応することができる。
【0106】
▲3▼用紙束が搬送方向に対して傾いていてもその傾きの影響を受けにくくし、所望の位置への綴じ処理を行うことができる。
【0107】
▲4▼ユーザーの使い勝手の良い用紙後処理装置を提供することができる。
【0108】
などの効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置を主に示す用紙処理装置と画像形成装置とからなる画像処理システムのシステム構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のシフト機構の詳細を示す要部を拡大した斜視図である。
【図3】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のシフトトレイ昇降機構の要部を拡大した斜視図である。
【図4】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のシフトトレイへの排紙部の構造を示す斜視図である。
【図5】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイを用紙搬送面に垂直な方向から見た平面図である。
【図6】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイとその駆動機構を示す斜視図である。
【図7】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束の放出機構を示す斜視図である。
【図8】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の端面綴じステイプラを移動機構とともに示す斜視図である。
【図9】図8における端面綴じスティプラの斜め回動機構を示す斜視図である。
【図10】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、用紙あるいは用紙束をシフトトレイに排紙するときの状態を示す。
【図11】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、図10の状態から分岐ガイド板が放出ローラ側に回動した状態を示す。
【図12】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の用紙束偏向機構の動作説明図で、図11の状態から可動ガイドが分岐ガイド板側に回動し、中折り処理トレイ側に用紙束を偏向する経路を形成した状態を示す。
【図13】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の折りプレートの移動機構の動作説明図で、中折り動作に入る前の状態を示す。
【図14】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の折りプレートの移動機構の動作説明図で、中折り後、初期位置に戻るときの状態を示す。
【図15】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置のスティプル処理トレイと中折り処理トレイの詳細を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る用紙後処理装置の制御回路を画像形成装置とともに示すブロック図である。
【図17】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイにスタックされた用紙束の状態を示す動作説明図である。
【図18】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイでスタックされ、中綴じされるときの状態を示す動作説明図である。
【図19】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイで中綴じされた用紙束を用紙束偏向機構によって偏向させる初期状態を示す動作説明図である。
【図20】中綴じ製本モードにおいてスティプル処理トレイで中綴じされた用紙束を用紙束偏向機構によって偏向させ、中折り処理トレイに送り込んだときの状態を示す動作説明図である。
【図21】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイで用紙束を中折り位置に位置させたときの状態を示す動作説明図である。
【図22】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイで中折りプレートを作動させて用紙束の中折り動作を開始した時の状態を示す動作説明図である。
【図23】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイで中折りプレートを作動させて用紙束の中折り動作の開始した後2段目の折りローラで折られているときの状態を示す動作説明図である。
【図24】中綴じ製本モードにおいて中折り処理トレイからで用紙束を中折りローラによって中折りして排紙するときの状態を示す動作説明図である。
【図25】用紙束の傾きと紙有無センサの検出位置との関係を示す図である。
【図26】中綴じモード時の放出爪の動作を示すフローチャートである。
【図27】中綴じモード時の放出爪の他の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
51 後端フェンス
52 放出ベルト
52a 放出爪
310 紙有無センサ
350 制御装置
360 CPU
370 I/O
F スティプル処理トレイ
G 中折り処理トレイ
PD 用紙後処理装置
PR 画像形成装置
S1 端面綴じスティプラ
S2 中綴じスティプラ
Claims (7)
- 搬入されてきた用紙を集積し、所定の処理を施して排出する用紙処理装置において、
前記用紙を一時的に集積するスタック手段と、
スタックされた用紙束を整合する整合手段と、
整合された用紙束に綴じ処理を行う綴じ手段と、
綴じられた用紙束を移動させる移動手段と、
前記移動手段によって移動させられる用紙束の用紙端部を検知する検知手段と、
これらの各手段を制御する制御手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記綴じ手段によって中綴じを行わせる際、前記検知手段によって検知した用紙束の端部を検知後、用紙サイズに応じて前記移動手段の移動方向を設定し、前記用紙束を前記設定された方向に移動させた上で、中綴じを実行させることを特徴とする用紙処理装置。 - 前記制御手段は、前記検知手段からの用紙検知情報に基づいて前記移動手段を制御し、中綴じ位置を設定することを特徴とする請求項1記載の用紙処理装置。
- 前記移動手段の移動量を外部から入力する入力手段をさらに備え、前記制御手段は前記検知手段からの用紙検知情報に加え、前記入力手段から入力された移動量に基づいて中綴じ位置を設定することを特徴とする請求項2記載の用紙処理装置。
- 前記綴じ手段は、前記スタック手段の中央部に設けられ、前記検知手段は前記スタック手段の中央部であって用紙方向下流側の端部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の用紙処理装置。
- 前記検知手段は、用紙束の用紙端部を検知することに加え、前記スタック手段に用紙が存在するか否かを検知することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
- 前記綴じ手段が中綴じを行う中綴じスティプラからなり、前記検知手段は用紙搬送方向と直交する方向の複数ある中綴じスティプラの間に配置されていることを特徴とする請求項1記載の用紙処理装置。
- 記録媒体に可視画像を形成する画像形成装置と、
前記画像形成装置と一体あるいは別体に設けられた前記請求項1ないし6のいずれか1項に記載の用紙処理装置と、
からなる画像形成システム。
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