JP3981188B2 - ポリアミド酸溶液 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミド酸溶液及びそれから得られるポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
芳香族ポリイミドは耐熱性、対摩耗性、対薬品性、絶縁性などに優れており、フィルム、コーティング材、成形体などに広く利用されている。しかしその一方で芳香族ポリイミドは一般に有機溶媒に対し不溶であり、熱可塑性でない(融点、ガラス転移点を持たない)ので、ポリイミドの状態で成形することは困難であり、ポリイミドフィルムやポリイミド被覆物等の製造には、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸を非プロトン系極性溶媒に溶解した溶液が用いられ、これを基材に塗布又は流延し、溶媒を除去した後、イミド化して製造していた。しかし、非プロトン系極性溶媒は、その沸点あるいはポリアミド酸との溶媒和の強さから溶媒が残留し、線熱膨張係数を低くすることが難しかった。残留溶媒があると線熱膨張係数低くなり難いことがMacromolecules,Vol.28,P4861(1995) に記載されている。なお、非プロトン系極性溶媒とは、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
【0003】
また、従来フレキシブルプリント基板のベースフィルム、あるいは電気・電子部品の被覆保護層などにポリイミドを用いる場合、ポリイミドの線熱膨張係数が他の無機材料と同程度に低いことが、フレキシブルプリント基板上の銅回路パターンの歪みや、ポリイミド被覆層の剥離を防ぐために必要であった。そのため特公昭57−37175号公報に開示されているように、線熱膨張係数を金属と同程度まで低下させたポリイミドが使われるなどしている。
【0004】
しかし、この種のポリイミドの原料となる酸二無水物は一般には高価であるため、本出願人は先に特願平7−261295号として、第3級アミンを用いることにより、汎用の原料からポリアミド酸溶液を得、これから線熱膨張係数が低いポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物を得ることを提案した。しかしながら、そのポリアミド酸溶液からポリアミド酸のフィルム又は被覆物を形成し、それらを大気中で焼成イミド転化すると十分な力学的物性を示すポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物を得ることができず、大気中で焼成を行うにはポリアミド酸から第3級アミンを除く必要があった。また第3級アミンを除くことは環境的、価格的にも望ましいことである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況に鑑み、本発明の課題は、第3級アミンを用いずに、汎用的な原料から得られるポリアミド酸溶液の提供、及びこの溶液から線熱膨張係数が低いポリイミドフィルム又はこのようなポリイミドフィルムが基材上に形成されているポリイミド被覆物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を達成するため検討を行った結果、後述する特定の構造式で示されるポリアミド酸及び特定の溶媒を用いると、第3級アミンを用いずに汎用的な原料からポリアミド酸溶液を製造することができ、この溶液からは線熱膨張係数が低いポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物が得られるという知見を得、この知見に基づき本発明に到達した。
【0007】
すなわち本発明の要旨は、溶質が下記の構造式で示され、Y/Xが1〜2.3であるポリアミド酸であり、溶媒がジアセトンアルコール、アセトニルアルコールから選ばれる化合物であることを特徴とするポリアミド酸溶液である。
【0008】
【化2】
【0010】
【発明の実施の形態】
以下本発明について詳細に説明する。
本発明のポリアミド酸溶液において、溶質として用いられるポリアミド酸は下記の構造式で示される。
【0011】
【化3】
【0012】
上記ポリアミド酸は閉環すると下記の構造式で示されるポリイミドとなる。
【0013】
【化4】
【0014】
前記式において、Y/Xは1以上である。Y/Xが1未満の際にはポリアミド酸溶液から得られるポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物の線熱膨張係数が13.5×10-6cm/cm/℃未満にならない。さらにY/Xは1〜2.3であることが好ましい。
【0015】
また、溶媒として用いられる、同一分子内にカルボニル基とアルコール性水酸基を有する化合物としては、ジアセトンアルコール、アセトニルアルコール等が挙げられる。特に好ましくは、ジアセトンアルコールである。
【0016】
本発明においては、先に述べた溶媒中で4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、パラフェニレンジアミン及びピロメリット酸二無水物をY/Xが1以上になるように配合して反応させることにより、本発明のポリアミド酸溶液を得ることができる。
【0017】
ポリアミド酸溶液中のポリアミド酸の濃度としては0.1〜60重量%が好ましく、より好ましくは5〜20重量%である。0.1重量%未満では粘度が低く塗工が困難であり、60重量%を超えると粘度が高く塗工操作が困難である傾向にある。
【0018】
本発明のポリアミド酸溶液からは、例えば以下の方法によりポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物を得ることができる。
(1)ポリアミド酸溶液を、ガラス、金属等の基材の上に塗布または流延し、10〜80℃で0.1〜4時間乾燥し、基材上にポリアミド酸フィルムが形成されたポリアミド酸被覆物を得る。更にポリアミド酸フィルムを基材から剥離し、ポリアミド酸フィルムを枠などに固定し、150〜300℃で0.5〜5時間熱イミド化処理、またはポリアミド酸フィルムを無水酢酸及びピリジンなどからなる閉環イミド化剤中に10〜40℃で1〜20時間浸漬する化学イミド化処理のいずれかを施し、ポリイミドフィルムを得る。
【0019】
(2)またポリアミド酸フィルムを基材から剥離せずに、ポリアミド酸被覆物を150〜300℃で0.5〜5時間加熱する熱イミド化処理、またはポリアミド酸フィルムを無水酢酸及びピリジンなどからなる閉環イミド化剤中に10〜40℃で1〜20時間浸漬する化学イミド化処理のいずれかを施し、ポリイミド被覆物を得る。
(3)また、(2)で得たポリイミド被覆物からポリイミドフィルムを剥離し、ポリイミドフィルムを得ることもできる。
【0020】
本発明のポリイミドフィルム又はポリイミド被覆物の線熱膨張係数は13.5×10-6cm/cm/℃以下である。これより大きいと一般に無機基材との線熱膨張係数の差が大きく界面剥離の原因となり易い。
前記基材としては、例えば金属箔、金属線、ガラス、半導体等が挙げられる。金属としては金、銀、銅、アルミニウム等が挙げられるが、特に基材として銅を用いたものは回路基板として有用である。
【0021】
【実施例】
以下実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって何等制限を受けるものではない。なお、力学的物性は次のようにして求めた。
弾性率、強度、破断伸びは、インテスコ社製インテスコ精密万能材料試験機(Model 2020)にて、室温で、引っ張り速度10mm/minで測定した。
【0022】
実施例1
0.1lの三ツ口フラスコにジアセトンアルコールを60g入れ、そこへ4,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.17gとパラフェニレンジアミン1.17gを添加し溶解した。そこへピロメリット酸二無水物4.83gを添加し、重合反応させ、一定時間反応させることにより12重量%のポリアミド酸溶液を得た。得られたポリアミド酸の粘度は990ポイズであった。
こうして得たポリアミド酸溶液を、ガラス基板上に塗工厚みが200μmになるよう、安田精機(株)製オートマティックフィルムアプリケーターを用いて塗工速度17.6mm/秒で塗工した後、これを空気中、80℃で6時間、300℃で3時間熱処理することによりポリイミド被覆物を得た。このポリイミド被覆物からポリイミド層を剥離することにより、ポリイミドフィルムを得た。得られたフィルムの力学的特性、線熱膨張係数(CTE)を表1に示す。
【0023】
比較例1
0.1lの三ツ口フラスコにテトラヒドロフランとメタノールをそれぞれ48g,12g入れ、混合し、そこへ4,4’−ジアミノジフェニルエーテル2.90gとパラフェニレンジアミン0.67gを添加し、溶解させた。そこへピロメリット酸二無水物4.61gを添加し重合反応させ、一定時間反応させることにより12重量%のポリアミド酸溶液を得た。このポリアミド酸溶液に、N,N’−ジメチル−n−ヘキサデシルアミン11.2gを添加することにより、ポリアミド酸のアミン塩溶液を得た。この溶液の粘度は870ポイズであった。
こうして得たポリアミド酸アミン塩溶液に、塗工厚みが400μmになるよう、塗工速度35.2mm/秒で塗工した他は実施例と同様の操作をすることによりポリイミドフィルムを得た。得られたポリイミドフィルムの力学的物性、CTEを表1に示す。実施例に比較して力学的物性、熱膨張性の面で劣るものしか得られなかった。
【0024】
比較例2
溶媒をN−メチル−2−ピロリドンとした他は実施例と同様にしてポリイミドフィルムを得た。得られた結果を表1に示すが、実施例に比較して力学物性、熱膨張性の面で劣るものしか得られなかった。
【0025】
【表1】
【0026】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、本発明のポリアミド酸溶液は第3級アミンを用いずに汎用の原料から製造することができ、さらにこのポリアミド酸溶液から得られるポリイミドフィルム又はポリイミ被覆物は、線熱膨張係数が低く、力学的物性も良好なものである。
Claims (1)
- 溶質が下記の構造式で示され、Y/Xが1〜2.3であるポリアミド酸であり、溶媒がジアセトンアルコール、アセトニルアルコールから選ばれる化合物であることを特徴とするポリアミド酸溶液。
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JP17152197A JP3981188B2 (ja) | 1997-06-27 | 1997-06-27 | ポリアミド酸溶液 |
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- 1997-06-27 JP JP17152197A patent/JP3981188B2/ja not_active Expired - Fee Related
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