JP3979143B2 - 情報処理装置の冷却装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CPU等の発熱部品を搭載した情報処理装置の冷却構造に関し、特に、ヒートパイプや液冷システム等の冷媒による熱輸送放熱手段を使用した冷却システムに好適な冷却装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、パーソナルコンピュータやサーバ等の情報処理装置に用いられるデバイスや集積回路では、集積化が進みその発熱量が増加する傾向にある。また、CPUは、その動作周波数の高速化と集積度の向上により、その発熱量の増加が顕著になっている。
【0003】
従来のパーソナルコンピュータやサーバでは、この高発熱するCPUを冷却するために、CPUにヒートシンクを装着してCPUの発生熱をヒートシンクに熱伝導させ、このヒートシンクを冷却する方法がよくおこなわれる。さらに、情報処理装置外部に放熱をおこなうために、機器内部に冷却ファンを設けて、強制空冷することもある。
【0004】
しかし、増え続けるCPUの発熱量に対応するために、ヒートシンクの大型化や冷却ファンの風量を増加させて、冷却能力を増加させている。このヒートシンクの大型化は情報処理装置の大型化を招き、また、冷却ファンの風量増加は、冷却ファンの大型化による、情報処理装置の大型化を招く。風量増加には、ファンの回転数を上げることで風量を増加させる方法もあるが、この場合には、ファン騒音が増大する傾向にある。
【0005】
また、ヒートシンクに替わるCPU等の発生熱の拡散方法に、熱移送を冷媒によりおこなうヒートパイプや液冷システムがある。これらの方法は、CPU等の発熱部から離れた場所で冷媒を冷却するために構造の自由度が増すという特長がある。しかし、冷媒により移送した熱を装置外部に放熱するために冷却ファンを使用する場合には、上記のの問題が同様に生じる。
【0006】
このような問題を解決方法として、各種の方法が考案されている。例えば、特開2000-154949には、遠心ファンの外周に熱電素子を挟んだ放熱フィンを配置して冷却部を薄型化する技術が開示され、特開2000-77877では発熱部品よりも薄い遠心ファンを用いて冷却部の薄型化する技術が開示されている。また、特開平10-213370号ではCPU等の発熱体の熱を液冷システムにより電源の近くまで輸送し、より大形の電源ファンで冷却する事で冷却風量を確保する技術が開示されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年のCPUの発熱量の増加に対して、上記従来技術を使用した場合に以下の問題が生じる。例えば、先の挙げた特開2000-154949では発熱体には直接風が当たらずにフィンに風を当てている。従って薄型化の為にフィンの高さが制限される場合は冷却性能に限界がある。また、特開2000-77877では発熱体よりも薄いファンが必要となり、ファンの風量確保が困難であり、冷却性能に限界がある。一方、特開平10-213370の方式においてはファンの厚みと熱交換機厚みが必要となり筐体の薄型化が困難であるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、ヒートパイプや液冷システム等の熱輸送手段を用いた冷却構造を持つ情報処理装置において、その放熱部の薄型化,高効率化を実現する情報処理装置の冷却システムを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、情報処理装置内部のCPU等の発熱部からの発生熱を冷却液により外部に放熱する冷却装置において、冷却装置は、CPU等の発熱部で発生した発生熱を冷却液に伝熱する受熱ユニットと、前記冷却液を封入したラジエーターで冷却液の蓄熱を外部に放熱する放熱ユニットとから構成するようにした。ここで、前記受熱ユニットと前記放熱ユニットは、冷却液が循環できるようにチューブで接続する構成とし、受熱ユニットで冷却液に伝熱された熱は、放熱ユニットで外部に放熱するようにした。さらに、ラジエーターの放熱面積を広くし放熱量を増すために、放熱ユニットをCPU等の発熱部を搭載する基板と平行に設置するようにした。この構成により、チューブにより循環する冷却液は、受熱ヘッドにCPU等の発熱部で発生した熱を吸熱し、放熱ユニットのラジエーターで外部に放熱される。
【0010】
ここで、前記ラジエーターは、冷却液を封入する冷却管がラジエーターの中央部から外周部に冷却液が流れるように、渦巻き状あるいは放射状に形成される構造とした。これにより、発熱部の発生熱は、ラジエーターの中央部から周辺部に拡散され、ラジエーター面から放熱することができる。
【0011】
また、ラジエーターの中央部に冷却ファンを設けたり、あるいは、ラジエーターの中央部に冷却風の吹きつけ口を設けて、ラジエーターを強制空冷するようにした。このとき、冷却風をラジエーターの鉛直方向から吹き付け、ラジエーター面で周方向に風向きを変更するか、遠心ファンを使用して、ラジエーター面の周方向の冷却風を発生させるようにした。これにより冷却風は、ラジエーターの周辺部ほど、その流速が低下するが、冷却液も中央部から周辺部に流れる構成となっているので、効率良く強制冷却することができる。
【0012】
さらに、冷却風の流路をつぎの2つのうちのいずれかで構成するようにした。ひとつは、ラジエーターを冷却ユニットのCPU等の搭載側に設置し、ラジエーターと冷却ユニットの外部ケースの間に形成する場合である。もうひとつは、ラジエーターを外部ケースに接するように設置し、冷却ユニット内部に冷却風の流路のための隙間を設ける場合である。
【0013】
後者の場合には、冷却風によるラジエーターの強制空冷だけでなく、ケースの外部面からの自然対流放熱をおこなうことができる。また、CPU側の発熱部から冷却風を吹きつけた場合には、情報処理装置内部の冷却用のファンとの兼用が可能となる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図を用いて詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明をデスクトップPC(スリムタワー型)に適用した場合の参考例を示したものである。デスクトップPCは、PCシステム装置部100と放熱部200から成る。さらに、PCシステム装置部100は、CD−ROM ドライブ3、FDドライブ2等のデバイス類、CPU1、CPU1を搭載する配線基板50から構成されている。なおCPU1は、大量の発熱をおこなっており、冷却のための受熱ヘッダ4が取り付けられている。一方、放熱部200は、ポンプ5とリザーブタンク6とフレキシブルチューブ7とプロペラ9と、プロペラ回転軸9(b)を中心とし渦巻き状に巻いた冷却管8により構成される。以下に詳細に説明するが、放熱機能を有するラジエーターは、前記冷却管8により構成される。
【0016】
つぎの個々の部品の概要について説明する。受熱ヘッダ4は、配線基板50に搭載された CPU1に取り付けられている。CPU1と受熱ヘッダ4との間にサーマルコンパウンド、もしくは高熱伝導性シリコンゴムなどを挟んで圧着しており、CPU1で発生する熱を受熱ヘッダ4に効率よく伝える構造になっている。また、受熱ヘッダ4の内部には冷媒液が流れており、受熱ヘッダ4の熱が冷媒液に伝わる構造になっている。本参考例の受熱ヘッダ4のサイズは、縦横各40mm,高さ5mmの寸法をもち、80W以上のCPU発熱を冷媒液に伝熱する能力をもつ。フレキシブルチューブ7は、受熱ヘッダ4と冷却管8を繋ぎ、チューブ内部に冷媒液を流すことで、受熱ヘッダ4と冷却管8の熱輸送路となっている。なお、本参考例では内径4mm外径6mmのチューブを用いている。
【0017】
次に放熱部200について説明する。まず、ポンプ5であるが、これは冷媒液を受熱ヘッダ4と冷却管8の間を循環させるものである。冷媒液を流れ方向は、冷却管8から冷媒液を吸い込み、CPU1側に吐き出す様にしている。これにより、ポンプ5には冷却後の冷媒液が流れ、ポンプ5の加熱を防いでいる。なお、本参考例では流量200mL/minの超小型ポンプを用いている。また、上記ポンプ5は、CPU1の温度に応じて流量可変制御機能を持ったポンプとするようにしてもよい。この場合、CPU発熱量の少ないときには、流量を落とす制御をすることで省電力化を図ることができる。
【0018】
リザーブタンク6は、基本的には、冷媒液を溜めておくものである。しかし、この目的以外にも、次の3つの機能をいずれかをもたせるようにしてもよい。1つは、水分の蒸発による冷媒液減少等で空気が混入した際に、タンク内に空気を止めておく機能である。2つめは、内部にイオン交換樹脂等を充填することにより、冷媒液のイオン交換機能を提供することである。これにより、冷媒液の金属イオンによる冷却管8等の金属が腐食するのを防止することができる。3つめは、外部から循環装置内部に冷媒液を注入/排出する際のアクセス口の機能である。
【0019】
また、放熱部200に、水漏れ防止機構を持ち着脱容易なチューブ着脱機構部18を設け、さらに、ポンプ5にPCシステム装置部100から電力や制御信号を供給する着脱式コネクタ20を設けるようにしてもよい。これにより、ポンプ5とリザーブタンク6と冷却管8とプロペラ9を含む放熱部200は、PCシステム装置部100に対し、容易に着脱可能な構成とすることもできる。
【0020】
次に、冷却管8とプロペラ9の参考例について、図2を用いて詳細に説明する。
【0021】
本参考例では、冷却管8は、プロペラ9を中心に渦巻き状に巻かれている。冷却管8は、内径5mm、外径6mmの金属製管を使用し、その総延長は約4mある。また、この冷却管8は、カシメ及び半田付け等により熱的に接続され、PCシステム装置部100の壁面12に固定されている。従って、PCシステム装置部100の側面は、ヒートスプレッダの役目も兼ねている。冷却管8を通る冷媒液の流れ方向は、内円から外円に流れるようにしている。これは、受熱ヘッダ4から来る高温の冷媒液が、プロペラ9の一番近くを通る様にするためである。これにより高温の冷媒液をプロペラのより近くの速い風で冷やし、冷却効率の向上を図っている。
【0022】
一方、プロペラ9は、冷却管8の渦巻きの中心に配置される。本参考例では、図2のX-X断面で示すように、プロペラ9のモータ13側が、PCシステム装置部100の壁面12に接している。また、本参考例では、プロペラ9とPCシステム装置部100の壁面12の隙間14は、11mm空いている。
【0023】
次にプロペラ9により送風される空気の流れについて説明する。まず、プロペラ9の上部に設けられた入気口10より外気を吸気される。吸気された空気は、プロペラ9の吹き出し流路上に設けている冷却管8、及び、冷却管8が熱的に接続したPCシステム装置部100の壁面12に吹き付られる。このとき、特に、プロペラ9を軸流ファンのプロペラとしている。これにより、吸気面から数10°下方へ向いた放射状の吹き出し流を冷却管8に吹き付けることで冷却性能の向上を図っている。もちろん、プロペラ9は、遠心ファンのプロペラであってもよい。冷却管8に吹き付けられた空気は、放熱部200の外部壁面とPCシステム装置部100の壁面12で挟まれた流路をとおり、放熱部Bの排気口11を含んだ面から、外部に排気される。
【0024】
このとき、上記冷却風の流路は、吹き出し流路の高さである放熱部200の高さ19(30mm)のうち、冷却管8の太さ(5mm)を除いた部分あり、空気抵抗が小さいため、プロペラ風量を低下しにくく、騒音も抑えた構造となっている。また、冷却管8をプロペラ9の回転軸9(b)を中心として巻かれた渦巻き状とすることで、プロペラ9直下の放射状である流速の速い吹き出し領域に、高温の冷却液が流れる冷却管8を集中させることができ、高い冷却性能が得られる。さらに巻く回数を増やす事により簡単に放熱能力の向上が図れる。さらに、冷却管8と熱的に接続されたヒートスプレッダーの役目をするPCシステム装置部Aの壁面12にもプロペラ9の風が吹き付けられるため、冷却性能が向上される。
【0025】
本参考例で、プロペラ9を、モータ部9を含む厚さ25mm・プロペラ直径110mmで構成した場合、プロペラ9の回転数が2000rpm以下で80Wの発熱量の冷却が可能である。
【0026】
図3に、他の参考例をしめす。この参考例では、先の参考例の放熱部200の構成に加え、冷却管8に垂直に放熱フィン15を熱的に接続したものである。この放熱フィン15は、プロペラ風量の低下、乱流による騒音増加を招かないように取り付ける角度を調整するとともに、風の流れを考えて、プロペラ回転方向に湾曲させて冷却管8に熱的に接続している。これにより、冷却面積が増加し、冷却効率が向上するともに、騒音低下にもつながる。
【0027】
前記参考例ではプロペラ9、及び冷却管8をPCシステム装置部100の筐体側に設置し、外気より吸気していた。他に、図4にしめすように、吸気をPCシステム装置部100側から行う方法もある。この実施例の方法では、プロペラ9、及び冷却管8をその反対側である外気側に設けている。このようにPCシステム装置部100の筐体側面に換気穴16を設けることで、このプロペラ9により冷却管8を冷却するだけでなく、PCシステム装置部100の筐体内の換気にも使用することができる。例えば、図5に示すように電源17内部の排気を行う事も出来る。また、この方式では冷却管8を固定する壁面の裏側は外気に接しているので、この壁面の自然放熱の効果も期待できる。更にこの壁面にヒートシンクや壁面自体をヒートシンク状にする事により更に冷却能力を向上させる事も出来る。
【0028】
また、図6の参考例では、前記実施例である渦巻き状冷却管8の強制冷却に電源付属のファン21を用いている。このように渦巻き状に巻いた冷却管9に対し任意の位置に配置したファン21の風により冷却を行っても良い。
【0029】
上記実施例および参考例では、冷却管8を渦巻き状として説明したが、この形状に限定しなものでない。例えば、図7にしめす参考例のように、管を放射状に配置し、中央部から高温の冷却液を投入し、冷却管8の外周部より排出するようにしてもよい。このとき、冷却風は、冷却管8の中央部に吹き付けて、管に沿って外周部に流れるようにする。
【0030】
また、上記実施例および参考例では、冷却管8をPCシステム装置部100あるいは、放熱部200の壁面に熱接続した状態の例を説明したが、冷却管8の取り付け位置は、この例に限定されたものではなく、図8の参考例のように設置してもよい。図8では、プロペラ9の周方向に冷却管8を配置するようにしている。この場合、冷却管8の両面に冷却風が送風されるので、他の実施例よりも冷却面積が増すので、冷却効率が向上する効果がある。
【0031】
【発明の効果】
以上に述べたように、本発明によれば、高い冷却性能でありながら、薄型で静かな冷却構造を持つ情報処理装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を適用した参考例の装置の斜視図。
【図2】 本発明の参考例の放熱部200の平面図とその断面図。
【図3】 放熱部200に放熱フィンを付けた参考例を示した図。
【図4】プロペラは筐体から吸気する例を示した図。
【図5】プロペラが電源装置の排気を兼ねる例を示した図。
【図6】 プロペラは筐体から吸気する参考例を示した図。
【図7】 冷却管の他の参考例の実施形状をしめす図。
【図8】 冷却管の他の参考例の配置位置をしめす図。
【符号の説明】
1:CPU、 2:FDドライブ、 3:CD-ROMドライブ、 4:受熱ヘッダ、
5:ポンプ、 6:リザーブタンク、 7:フレキシブルチューブ、
8:冷却管、 9:プロペラ、 9(b):プロペラ回転軸、 10:入気口、
11:排気口、 12:PCシステム装置部100の壁面、 13:プロペラのモータ、
14:プロペラと壁面の隙間、 15:放熱フィン、 16:換気穴、
17:電源、 18:チューブ着脱機構部、 19:放熱部Bの高さ、
20:着脱式コネクタ、 21:ファン、 50:基板、
100:PCシステム装置部、 200:放熱部
Claims (1)
- CPU等の発熱部から発生熱を内部の冷却液に吸熱させる受熱ヘッドと、前記受熱ヘッドに接続し、循環する冷却液を封入するチューブとを有する受熱ユニットと、
前記チューブに接続し、循環する冷却液を封入される冷却管から成り、前記冷却管を中央部から外周部に冷却液が流れるように、渦巻き状に形成するラジエーターを有し、前記ラジエーターの中央部鉛直方向から冷却風を吸入し、ラジエーターの外周方向に排気する放熱ユニットとを備え、
前記ラジエーターは、放熱ユニットの外部壁面の内側に接し、情報処理装置の壁面とで冷却風の送風路を形成し、放熱排気するとともに、外部壁面と通じて外部に自然対流放熱することを特徴とする情報処理装置の冷却装置。
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