JP3978773B2 - 車両制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両制御装置に関し、より詳細には、車輪(タイヤ)の空気圧が所定範囲から逸脱したとき等に警報を発するとともに、空気圧の減少に応じて車両の操舵に関する制御特性を変更する車両制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車輪の空気圧を測定し、測定した空気圧が所定範囲から逸脱していた場合にその旨の警報を発して運転者に報知する空気圧警報システムを搭載した自動車が提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
車輪の空気圧が減少すると、タイヤのコーナリングフォース等も変化する。この結果、ステアリングホイールを操作したときの車輌の応答性が変化し、運転者が違和感を覚えたり、場合によっては、車輌の進行方向を所望のように制御できなくなることがある。
【0004】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、車輪(タイヤ)の空気圧が所定範囲から逸脱したときに警報を発することに加えて、空気圧の減少に応じて車両の操舵に関する制御特性を変更し、車輪(タイヤ)の空気圧減少に起因する車両の操舵特性の変化を抑制する車両制御装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前輪の空気圧を検出し、何れかの車輪の空気圧が所定範囲から逸脱したときに警報を発する空気圧警報システムと、舵角の位相進み制御を行う位相進み制御手段とを備え、該位相進み制御手段は、前記前輪の空気圧の減少に伴って前輪の舵角の位相を進める、ことを特徴とする車両制御装置が提供される。
【0006】
このような構成を有する本発明によれば、車輪の空気圧低下による、操舵時の応答性低下が抑制される。
【0007】
本発明の別の好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、舵角が小さい領域で、位相を進める。舵角が小さいときはコーナリングフォース等のタイヤが発生させる力(タイヤ力)の絶対値が小さいので、位相を進めても必要なコーナリングフォース、グリップが維持される。従って、このような構成では、車両の走安性を維持しつつ、操舵時の応答性低下が抑制される。
【0008】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、舵角が大きい領域では、位相を進める制御を禁止する。舵角が大きい領域では、空気圧が低下していると、タイヤのグリップが失われやすい。従って、このような構成によれば、舵角が大きな領域においては、必要なタイヤのグリップが維持される。
【0009】
本発明のもう一つの好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、舵角が大きい領域で車両速度が小さいときには、位相を進める。舵角が大きくても、車両速度が小さいときには、タイヤのグリップが維持できる領域であるので、位相を進めることにより空気圧減少による操舵時の違和感を減少させる。車両速度が小さいとは、例えば、時速30ないし40Km程度である。
【0010】
本発明の別の好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、舵角が大きい領域で舵角速度が大きいときには、切り戻し側のみで位相を進める。切り戻しは、車両を安定させる方向への操作であるので、この方向で位相を進めることで、車両を早期に安定させる。
【0011】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、前記車輪の空気圧が極めて低いときには、位相を進める制御を禁止する。このような構成によれば、操舵時にタイヤにかかる負担が減少される。
【0012】
本発明の他の好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、前記車輪の空気圧が極めて低いときには、切り戻し側のみで位相を進める。このような構成によれば、車両を早期に安定させることが可能となる。
【0013】
本発明の別の好ましい態様によれば、前記位相進み制御手段は、位相進み制御で進める位相の大きさも、変更する。本発明の更に別の態様によれば、前記位相進み制御手段は、位相を進めるときに、操舵のゲインを減少させる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。まず、本発明の実施形態の車両制御装置の構成を説明する。図1は、本実施形態の車両制御装置1が搭載された車両の概略的な構成を示すブロック図である。本実施形態の車両制御装置1は、車輪(タイヤ)2の空気圧を検出し、空気圧が適正範囲から逸脱したときに警報を発するとともに、空気圧の変化に応じて車両の制御特性を補正することができる車両制御装置である。
【0015】
図1に示されているように、車両制御装置1は、車両の各車輪2に取付けられた検出装置4と、車体側に配置された処理装置6を備えている。本実施形態の車両は、アンチロックブレーキシステム(ABS)およびトラクションコントロールシステム(TRC)の機能を有する車両安定性制御装置(DSC:Dynamic Stability Control)を備えている。また、本実施形態の車両は、ギア比が変更可能な(Variable Gear Ratio)機構を備えた電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)装置7を備えている。さらに、本実施形態の車両は、ダンパの硬さ等の変更による操舵特性の変更、ダンパの長さ変更による車高変更等を行うことができるサスペンション装置を備えている。
【0016】
検出装置4は、各車輪2のホイールのエアバルブ付近に取付けられ、各車輪内(タイヤ内)の空気の圧力、温度等を検出し、検出結果等を空気圧信号として、車体側の処理装置6に送信するように構成されている。
【0017】
検出装置4は、図2に示されているように、各車輪(タイヤ)内の空気圧を検出する圧力センサ8と、車輪(タイヤ)内の空気の温度を検出する温度センサ10と、車輪2に加わる加速度を検出する加速度センサ12と、タイヤ識別IDを記憶しているメモリ14を備えている。検出装置4には、さらに、各センサ8、10、12の検出値およびタイヤ識別IDを含む空気圧信号を生成し、これを処理装置6側に送信させる送信CPU16と、送信を行う送信機18が設けられている。検出装置4は、図示しない内蔵バッテリによって作動されるように構成されている。
【0018】
本実施形態では、空気圧信号は、図3に示されているように、タイヤ識別ID、車輪内空気圧信号、車輪内空気温度信号、加速度信号、異常低下コード、バッテリ電圧信号および故障コードが順に並べられたデータフォーマットで、検出装置4から処理装置6側に送信される。
【0019】
空気圧信号に含まれる、タイヤ識別IDは、空気圧信号が自車両に取付けられている車輪からの信号であることを識別するために用いられる符号であり、処理装置4毎に異なる。このタイヤ識別IDは、検出装置4からの送信後、処理装置6側で登録されているタイヤ識別IDと照合される。また、加速度信号は、車輪の回転による円周方向の加速度に車輪の上下動による加速度等が加わった加速度を示している。異常低下コードとは、車輪内の空気圧が急速に低下したことを報知するコードである。さらに、バッテリ電圧信号および故障コードは、それぞれ、検出装置4の内蔵バッテリの電圧および検出装置4の作動状態を処理装置6に報知するために用いられる信号である。
【0020】
本実施形態は、検出装置4が、空気圧信号を、能動的に所定の時間間隔で処理装置6に送信し、この時間間隔が車両の走行状況等に応じて変化するように構成されている。例えば、車両の停車中は、車輪の空気圧が変化する可能性が少ない等の理由から、空気圧信号の送信間隔は極めて長く設定される。なお、車両の停車は、加速度センサ12の出力が零であるか否かで判断される。また、走行中は、空気圧が適正範囲であれば、停車時の間隔よりは短いが比較的長い第1の間隔で送信され、空気圧が適正範囲から逸脱しているときには、第1の間隔より短い第2の間隔で送信される。さらに、空気圧が急変しているときには、第2の間隔より短い第3の間隔で、空気圧信号が送信される。
【0021】
図1に示されているように、各車輪2の近傍の位置に、各検出装置4から送信された空気圧信号を受信するための専用アンテナ19が、それぞれ配置されている。各アンテナ19が受信した空気圧信号は処理装置4に伝えられる。
【0022】
処理装置6は、空気圧警報CPU20と、ABS/TRC/DSC制御用CPU22と、EPS/VGR制御用CPU24と、サスペンション制御用CPU26と、総合制御CPU28と、記憶手段30とを備えている。
【0023】
空気圧警報CPU20は、いずれかの検出装置4から送信されてきた空気圧信号に基づいて算出された車輪の空気圧が、適正範囲から逸脱したときには、インスツルメントパネル内に配置された空気圧警告灯32を点灯させ、乗員に何れかの車輪の空気圧が異常である旨の報知を行うように構成されている。空気圧の適正範囲は、車輪内の空気温度と関連するので、適正範囲であるか否かの判定には、空気圧信号に含まれる車輪内空気温度が勘案される。
【0024】
ABS/TRC/DSC制御用CPU22は、舵角センサ、スロットル開度センサ、車輪速センサ、ヨーレートセンサ等からの種々の情報に基づいて、車載の車両安定性制御装置(DSC:Dynamic Stability Control)の制御特性を決定し、この制御特性に基づいて、これらの装置の作動を制御するように構成されている。
【0025】
同様に、EPS/VGR制御用CPU24は、車両の走行状態、運転状態等に基づいて、電動パワーステアリング(Electric Power Steering)装置のアシスト量の変更、ギア比の変更およびこれらの変更タイミング等の制御特性を決定し、この制御特性に基づいて、EPS装置の作動を制御し、所定の操舵特性が得られるように構成されている。
【0026】
さらに、サスペンション制御用CPU26は、車両の走行状態等に基づいて、サスペンションのダンパの硬さ変更による走行特性制御、ダンパの長さ変更による車高制御等の制御特性を決定し、この制御特性に基づいて、サスペンション装置の作動を制御するように構成されている。
【0027】
また、総合制御CPU28は、車輪の空気圧変化に起因する車両の走行特性の変化、例えば、グリップ力およびコーナリングフォースの変化、操舵時の位相遅れ、車高変化等を補正するために必要な制御特性の変更量を算出する。
【0028】
例えば、一方の前輪の空気圧が或る量低下したときに、この空気圧低下に起因する操舵時の位相遅れを補正し、空気圧が低下していない場合の操舵特性を維持するためには、どの特性をどれだけ変更すればよいか等を演算する。同様に、この空気圧低下に起因する路面に対するタイヤグリップ力の変化を補正し、空気圧が低下していない場合の走行状態を維持するためには、どの制御特性をどれだけ変更すればよいかを演算する。このような演算に基づいて算出された、制御特性の変更量が、各制御を行うABS/TRC/DSC制御用CPU22、EPS/VGR制御用CPU24と、サスペンション制御用CPU26に送られ、制御特性が変更される。
【0029】
記憶手段30は、自車両に装着されているタイヤのタイヤ識別ID、装着されているタイヤの適正空気圧等の空気圧警報を行うときに必要となるデータが記憶されている。さらに、記憶手段30には、空気圧変化に伴う走行特性の変化を補正する制御特性の変更量を算出するために必要なデータが記憶されている。
【0030】
次に、本実施形態の車両制御装置の動作を説明する。車両完成時、タイヤ交換時等には、各車輪に取付けられている検出装置4のタイヤ識別IDが、処理装置6の記憶手段30に記憶させられる。本実施形態では、車輪2毎に専用のアンテナ19が配置されているので、各検出装置4から空気圧信号を各アンテナ19に受信させることにより、どの位置の車輪がどのタイヤ識別IDを有しているかを登録することができる。
【0031】
車両の使用中には、上述したように、状況に応じた時間間隔で、検出装置4から処理装置6に空気圧信号が送られる。この空気圧信号に基づいて、空気圧警報CPU20が各車輪の空気圧が、記憶手段30に記憶されている適正範囲内にあるか否かを判定し、適正範囲から逸脱しているときには、空気圧警告灯32を点灯させる。車両がナビゲーション装置などの表示画面を備えた装置を搭載している場合には、図4に示されてるような表示を画面上に表示させ、どの車輪の空気圧がどの程度不足(または過剰)であるか、さらに、各車輪(左前輪:FL、右前輪:FR、左後輪:RL、右後輪:RR)の空気圧と適正空気圧帯域との関係を知らせるように構成してもよい。さらに、専用腕時計に表示部に、各車輪の現在の空気圧と、適正空気圧とを表示させるように構成してもよい(図5)。
【0032】
さらに、総合制御CPU28は、車輪の空気圧が適正範囲から逸脱したことに起因する走行特性の変化を補正するために必要な、車両の各制御特性の変更量を演算し、この変更量を制御を行う各CPU22、24、26に送り、制御特性を変更させる。
【0033】
本実施形態では、ABS/TRC/DSC制御用CPU22等によって、ドリフトアウトを回避・抑制する制御であるアンダーステア制御と、スピン等を回避・抑制する制御であるオーバーステア制御が行われる。このアンダーステア制御は、制御目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差が介入しきい値より大きいときに、旋回内側の前輪(旋回内前輪)あるいは旋回内側の後輪(旋回内後輪)に対して制動力を付予する制御がおこなわれる。また、オーバーステア制御では、制御目標ヨーレートと実際のヨーレートとの偏差が介入しきい値より小さいときに、旋回外側の前輪(旋回外前輪)に制動力を付予する制御がおこなわれる。
【0034】
このような制御は、基本的には、制御対象(制動対象)となる車輪の空気圧が適正範囲にあることを前提に、制御量(制動量)が設定される。しかしながら、対象となる車輪の空気圧が適正範囲から逸脱していたときには、空気圧が適正範囲にあるときと同じ内容の制御を行ったのでは、所望の効果が得られない。例えば、オーバーステア制御では、旋回外側の前輪(旋回外前輪)に制動力を付予するとき、この旋回外前輪の空気圧が適正範囲より低い状態にあると、空気圧が適正範囲にあることを前提に設定された制御量に基づいて制動力を付予しても、空気圧の低下により十分なグリップ力を発揮できない旋回外前輪は、路面に対して所定の制動力を発揮できず、その結果、所望のオーバーステア制御が行われないことになる。
【0035】
このため、空気圧が適正範囲より低い状態にあってもオーバーステア制御に必要な制動力が得られるように、空気圧の適正範囲からの逸脱量あるいは最適空気圧との差に基づいて制御量が変更される。本実施形態は、総合制御CPU28が、車輪内空気圧に基づいて、制御特性の変更量の演算を行い、この演算結果を、制御を行うABS/TRC/DSC制御用CPU22に送り、変更量を加味した制御が行われる。
【0036】
さらに、操舵輪の空気圧が低下すると、ハンドル操作が重くなり、操舵時の位相遅れが生じる。そこで、本実施形態は、総合制御CPU28が、車輪内の空気圧の減少による操舵時の特性変化を補うために必要なEPS装置の制御の変更量を演算し、この演算結果を、EPS装置の制御を行うEPS/VGR用CPU24に送り、基本的なEPS装置の制御特性に算出した変更量を加味させ、空気圧低下が勘案されたEPS装置の制御を行ように構成されている。
【0037】
そして、本実施形態では、この変更量は、空気圧の低下度合い、舵角の大きさ、および、舵角速度に応じて演算されるものであり、例えば、図6に示されている特性変更が行われるように変更量が演算される。本実施形態の特性変更は、空気圧の低下による位相遅れを補正する位相進み制御を行うことを基本とし、位相進み制御により、安定した走行が阻害される状況では、位相進み制御に制限を加える位相進み制御となる。
【0038】
図6の例では、空気圧が、適正範囲よりは低いが通常の走行には危険を及ぼす程低くはない「やや低い状態」で、舵角が小さく且つ舵角速度が小さいときには、操舵のゲインは変更されず、操舵の位相が進められるようにEPS制御が変更されることになる。この状態は、タイヤが発生させる力(タイヤ力)の絶対値が小さいので、空気圧が低下したタイヤに対して位相を進めても、タイヤのグリップを維持でき、走行上の問題が生じない。したがって、空気圧の低下による位相遅れを抑制することのみを考慮し、位相を進めるようにEPS装置の制御が変更される。
【0039】
また、空気圧が「やや低い状態」で、舵角が小さく且つ舵角速度が大きいときには、操舵のゲインがやや小さく設定され、操舵の位相が進められるようにEPS装置の制御内容が変更されることになる。この状態は、タイヤが発生させる力(タイヤ力)の絶対値は小さいが、舵角速度が高いので、最終的な操舵角が大きくなることが予想される。従って、タイヤがグリップ力を失うことを抑制することも考慮し、ゲインをやや小さめに設定するようにEPS装置の制御が変更される。
【0040】
また、空気圧が「やや低い状態」で、舵角が大きく且つ舵角速度が小さいときには、操舵のゲインが小さく設定され操舵の位相が進められるように、EPS装置の制御内容が変更されることになる。なお、垂直荷重が大きいときには、操舵を切り戻す方向では位相を進めるが、切り足す方向では位相を進めない制御とされる。尚、この垂直荷重は、公知の種々の方法で検出可能であり、本実施形態では、図示しない車高センサによって検出され、その検出値が総合制御CPU28に送られている。
【0041】
更に、空気圧が「やや低い状態」で、舵角が大きく且つ舵角速度も大きいときには、操舵のゲインが小さく設定され、操舵を切り戻す方向では位相を進めるが、切り足す方向では位相を進めないようにEPS装置の制御が変更される。この状態は、タイヤの限界に近い状態であるので、操舵時にタイヤにかかる負担を積極的に減少させるEPS制御が行われる。
【0042】
タイヤにかかる負担を減少させることに重点をおき、空気圧が低下し、舵角が大きいときには、位相を進める制御を一律に禁止する構成でもよい。また、空気圧が低下し舵角が大きくても、車速が時速30〜40Kmの低速時には、位相を進める制御としてもよい。
【0043】
さらに、車輪の空気圧が極めて低い状態では、舵角および舵角速度にかかわらず、操舵のゲインが小さく設定され、且つ、操舵を切り戻す方向では位相を進めるが切り足す方向では位相を進めないEPS装置制御に変更されることになる。この状態も、タイヤの限界に近い状態であるので、操舵時にタイヤにかかる負担を積極的に減少させるようにEPS装置の制御が行われる。また、車輪の空気圧が極めて低い状態では、舵角および舵角速度にかかわらず、位相を進める制御を一律に禁止する構成でもよい。
【0044】
このようにして決定(変更)された特性に基づいてEPS制御が行われる。具体的には、EPS装置のVGRのギア比、および/または、EPS装置のアシスト量、アシストタイミングが変更され、変更された内容のEPS装置制御が実行され、所定の操舵特性が実現される。
【0045】
さらにまた、車輪の空気圧が低くなると、車高が下がるので、本実施形態では、総合制御CPU28が、車輪内空気圧に基づいて、空気圧の低下を補正するようなサスペンションの制御量の変更量を演算し、この演算結果を、制御を行うサスペンション用CPU26に送り、変更量を加味したサスペンション装置の制御を行い、車両が所定の車高で水平に維持される。
【0046】
また、車輪の空気圧が高くなると、振動特性が変化し乗り心地が低下するので、本実施形態では、総合制御CPU28が、各車輪の車輪内空気圧に基づいて、高すぎる空気圧を補正するようなサスペンションの制御量の変更量を演算し、この演算結果を、制御を行うサスペンション用CPU26に送り、変更量を加味した制御を行い、車両の振動特性が適正状態に維持される。
【0047】
上述した制御特性の変更は、複数の車輪の空気圧が適正範囲から逸脱している場合にも、これらに起因する車両の特性変化を補正するように行われる。
【0048】
本発明は、車両の制御特性の変更を、車輪の空気圧が適正範囲から逸脱しているときのみに行う構成であっても、または、車輪の空気圧が最適値からずれたときに行う構成であってもよい。
【0049】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された事項の範囲内で種々の変更・変形が可能である。
【0050】
上記実施形態では、操舵におけるゲインおよび位相の調整をEPS装置の制御特性を変更することによって実現しているが、サスペンション装置のダンパ、スプリング等の特性を変更することによって、操舵におけるゲインおよび位相の調整を行う構成でもよい。
【0051】
上記実施形態では、車両が、車両安定性制御(DSC:Dynamic Stability Control)装置、ギア比が変更可能な(Variable Gear Ratio)機構を備えた電動パワーステアリング(Electric Power Steering)装置および振動特性・長さを変更可能なダンパを備えているが、本発明では、これら全てが備えられてる必要はない。
【0052】
また、上記実施形態では、各検出装置4毎に専用アンテナが配置された構成であるが、1本のアンテナが各検出装置4からの空気圧信号を受信するように構成してもよい。この場合、登録時に、車輪の位置と、タイヤ識別IDとが処理装置側に登録される。
【0053】
さらに、上記実施形態では、各検出装置が、所定時間間隔で能動的に空気圧信号を発信する構成であるが、処理装置側からの命令に応じて、検出装置が空気圧信号を処理装置側に送信する構成でもよい。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、車輪(タイヤ)の空気圧が所定範囲から逸脱したときに警報を発することに加えて、空気圧の減少に応じて車両の操舵に関する制御特性を変更し、車輪(タイヤ)の空気圧減少に起因する車両の操舵特性の変化を抑制する車両制御装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態の車両制御装置が搭載された車両の概略的な構成を示すブロック図である。
【図2】検出装置の構成を示すブロック図である。
【図3】空気圧信号のデータフォーマットを示す図面である。
【図4】車輪の空気圧表示の例示である。
【図5】車輪の空気圧を表示する専用腕時計を示す図面である。
【図6】操舵特性の変更内容を示す表である。
【符号の説明】
1:車両制御装置
2:車輪
4:検出装置
6:処理装置
Claims (9)
- 前輪の空気圧を検出し、何れかの車輪の空気圧が所定範囲から逸脱したときに警報を発する空気圧警報システムと、
舵角の位相進み制御を行う位相進み制御手段とを備え、
該位相進み制御手段は、前記前輪の空気圧の減少に伴って前輪の舵角の位相を進める、
ことを特徴とする車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、舵角が小さい領域で、位相を進める、
請求項1に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、舵角が大きい領域では、位相を進める制御を禁止する、
請求項1または2に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、舵角が大きい領域で車両速度が小さいときには、位相を進める、
請求項1または2に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、舵角が大きい領域で舵角速度が大きいときには、切り戻し側のみで位相を進める、
請求項1または2に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、前記車輪の空気圧が極めて低いときには、位相を進める制御を禁止する、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、前記車輪の空気圧が極めて低いときには、切り戻し側のみで位相を進める、
請求項1ないし5のいずれか1項に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、位相進み制御で進める位相の大きさも、変更する、
請求項1ないし7の何れか1項に記載の車両制御装置。 - 前記位相進み制御手段は、位相進み制御で位相を進めるときに、操舵のゲインを減少させる、
請求項1ないし8の何れか1項に記載の車両制御装置。
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