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JP3965913B2 - ドアトリムの位置決め構造 - Google Patents

ドアトリムの位置決め構造 Download PDF

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JP3965913B2
JP3965913B2 JP2001018412A JP2001018412A JP3965913B2 JP 3965913 B2 JP3965913 B2 JP 3965913B2 JP 2001018412 A JP2001018412 A JP 2001018412A JP 2001018412 A JP2001018412 A JP 2001018412A JP 3965913 B2 JP3965913 B2 JP 3965913B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ドアインナパネルの車室側の側面に装着されるドアトリムのドア幅方向の位置決めをなすドアトリムの位置決め構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のドアは、ドアインナパネルの車室側にドアロックの操作のためのインナハンドルや内装材としてのドアトリムを組込むことが行われている。
【0003】
ドアトリムの組込みには、通常、ドアインナパネルの車室側の側面の所定位置にインナハンドルを組付けておき、その後から、インナハンドルを車室側に露出させる開口部が形成されたドアトリムを、ドアインナパネルの側面に装着することが行われている。
【0004】
具体的には、ドアトリムの組込みには、ドアトリムの上縁部を、インナハンドルを組込んであるドアインナパネルの上縁部に係止させた後、同係止部分を支点に残りのドアトリム部分をドアインナパネル側へ回動して、ドアインナパネルの側面に重なり合わせて、開口部からインナハンドルを露出させることが行われている。
【0005】
ところで、ドアの車室側は、特に乗員の目にさらされやすいので、良好な見栄えが求められる。
【0006】
ところが、ドアトリムは、樹脂製で、ドア幅方向ならびに上下方向に延びる大きな外形の部品なので、製品上のばらつきが多い。しかも、ドアトリムのドア幅方向ほぼ中央には、インナハンドルを車室側に露出させる開口部があるために、ドアトリムのばらつきが、インナハンドルに対する取付寸法の差異、具体的にはインナハンドルと開口部の縁部との間の隙間となって表れやすい。
【0007】
ところで、インナハンドルの周辺で発生する隙間(ばらつき)のうち、ドア幅方向の両側部分での隙間は、目視しにくい上下方向両側とは異なり、直接、乗員の目感で評価される。つまり、この部分での取付寸法のばらつきが見栄えを左右する。
【0008】
このため、この乗員の目に付きやすい取付寸法のばらつき(隙間の発生)を防ぐ対策として、従来、ドアトリムの開口部を覆う別体なハンドルカバーを用いた構造が採用されてきた。
【0009】
同構造は、ドアインナパネルにドアトリムを組付けた後、ドアトリムの開口部内に該開口部を覆うように別体なハンドルカバーを収め、同ハンドルカバーをドア幅方向にずらすことで隙間が表れないようにして、取付寸法のばらつきを吸収する構造である。
【0010】
ところが、同構造は、別体なハンドルカバーを用いるので、部品点数が多くなる上、調整作業も増え、作業能率が悪くなる。
【0011】
そこで、インナハンドルのベース自体にハンドルカバーとしての機能をもたせて、目視作業で、ドアトリムに形成されている開口部とドアインナパネルに付いているインナハンドルの周辺との形状を位置合わせしながら、ドアトリムをドアインナパネルに重ね合わせる手法が提案されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、インナハンドルと開口部との位置決めは、かなりの精度で正確に位置合わせすることが求められる。
【0013】
ところが、インナハンドルの周部は、ハンドルの形状により、各部が変化している上、ハンドルを操作しやすく露出させる開口部の各部も、そのインナハンドルにマッチするよう形が複雑に変化している。
【0014】
このため、位置決めには、細心の作業が求められ、簡単には高い精度での位置合わせができない問題がある。
【0015】
一方、ドアインナパネルとドアトリムとの間で取付位置を規定して、ドアインナパネルに付いたインナハンドルとドアトリムの開口部とを合わせることも試みたが、インナハンドルは奥に収まっているので、一人の作業者では、ドアトリムとドアインナパネルとを目視作業で位置決めることはできても、インナハンドルと開口部とを直に目視できないために、インナハンドルと開口部との位置合わせは困難である。しかも、ドアトリムとドアインナパネルとを位置合わせする手法からでは、ドアインナパネルとインナハンドルとの間のばらつきが考慮されていないから、正確にインナハンドルとドアトリムの開口部とを位置合わせをすることは難しい。
【0016】
本発明は上記事情に着目してなされたもので、その目的とするところは、容易にドアトリムの開口部をドアインナパネルに付いたインナハンドルに対して位置決められるようにしたドアトリムの位置決め構造を提供することにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1に記載のドアトリムの位置決め構造は、ドアインナパネルの側面の所定位置に配置されるインナハンドルに、ドアトリムに向かって突き出る位置決め基準用の突起部を設け、ドアトリムの裏面に、上記突起部のドア幅方向に対して噛合い可能な噛合い部を形成した。インナハンドルには、ドアトリムの開口部を覆う意匠面を表面に有するベースを持つ構造を採用した。突起部を、ベースの上側からドアトリムに向かって突き出る先細の位置決め爪から構成し、噛合い部を、ドアトリムの裏面に位置決め爪の先細形状に合わせてドア幅方向にハの字状に配置された一対の位置決めリブから構成した。これら突起部と噛合い部とが、ドアインナパネルの側面にドアトリムが重なり合うまでに徐々に噛合いを進むようにして、開口部をインナハンドルに位置決められるようにした。
【0018】
これにより、インナハンドルと開口部との合わせ具合を目視しながら位置合わせするという面倒で困難な作業を必要とせずに、今までのトリムを組込む作業をそのまま行うだけで、同時にインナハンドルと開口部とにおけるドア幅方向の位置決めが行われる。また、高い意匠性が確保される。また、簡単な構造でインナハンドルに対する開口部の位置決めが行えるようになる。
【0019】
請求項2に記載のドアトリムの位置決め構造は、上記目的に加え、今までのインナハンドルを固定するねじ構造をそのまま流用して、位置決めを終えたドアトリムの固定が行えるよう、インナハンドルのベースを、ドアインナパネルの側面の所定位置への配置に用いられる仮止め部と仮止めにしたがいドアインナパネルの側面と重なる本固定用の取付け部とを有して形成し、さらにドアトリムにドアトリムが位置決められるにしたがい取付け部と重なる重合部を有して形成し、仮止めされたインナハンドルにドアトリムが位置決められた後、重なるドアインパネルのパネル部分、インハンドルの取付け部、ドアトリムの重合部の三者を、外部からねじ込まれるねじ部材で共締めされるようにしたことにある。
【0020】
上記目的を達成するために請求項3に記載のドアトリムの位置決め構造は、ドアインナパネルの側面の所定位置に配置されるインナハンドルに、ドアトリムに向かって突き出る位置決め基準用の突起部を設け、ドアトリムの裏面に、上記突起部のドア幅方向に対して噛合い可能な噛合い部を形成した。インナハンドルには、ドアトリムの開口部を覆う意匠面を表面に有するベースをもつ構造を採用した。インナハンドルのベースを、ドアインナパネルの側面の所定位置への配置に用いられる仮止め部と仮止めにしたがいドアインナパネルの側面と重なる本固定用の取付け部とを有して形成し、さらにドアトリムにドアトリムが位置決められるにしたがい取付け部と重なる重合部を有して形成し、仮止めされたインナハンドルにドアトリムが位置決められた後、重なるドアインナパネルのパネル部分、インナハンドルの取付け部、ドアトリムの重合部の三者を、外部からねじ込まれるねじ部材で共締めされるようにしてある。これら突起部と噛合い部とが、ドアインナパネルの側面にドアトリムが重なり合うまでに徐々に噛合いを進むようにして、開口部をインナハンドルに位置決められるようにした。
【0021】
これにより、インナハンドルと開口部との合わせ具合を目視しながら位置合わせするという面倒で困難な作業を必要とせずに、今までのトリムを組込む作業をそのまま行うだけで、同時にインナハンドルと開口部とにおけるドア幅方向の位置決めが行われる。また、高い意匠性が確保される。また、今までのインナハンドルを固定するねじ構造をそのまま流用して、位置決めを終えたドアトリムの固定が行える。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図1ないし図8に示す一実施形態にもとづいて説明する。
【0023】
図1は、自動車のドア、例えば乗用車のフロンドドアを車室側から見た斜視図を示し、図2は同ドアの一部を分解した斜視図を示していて、同図中1はフロントドアのドア本体を示している。
【0024】
ドア本体1は、例えば図2に示されるようにほぼ角形のハット形状に形成されたドアインナパネル2とほぼ平板状に形成されたドアアウタパネル3とを箱形に組合わせて形成される。このドア本体1の上部の前後端(ドア幅方向の前後端)からはサッシュ4が延びている。また車室側に向くドアインナパネル2の側壁の前後方向中央(ドア幅方向の中央)上段側には、インナハンドル収容用の凹陥部5が形成されている。
【0025】
6はインナハンドルである。このインナハンドル6は、例えば図3および図4に示されるようにたてに向いたほぼ平板状のベース7を有している。このベース7の表面となる車室側に向く側面には、ドアロック機構から延びるワイヤー(いずれも図示しない)につながるバー状のハンドル8が回動可能に組付けてある。またベース7の表面には、ハンドルカバーにならう形状や色彩の意匠面7aが形成されていて、ベース7にハンドルカバーとしての機能をもたせている。
【0026】
このインナハンドル6が、仮止め構造を用いて、図2(a)に示されるように凹陥部5の底壁5aの所定位置に配置させてある。
【0027】
仮止め構造には、図4に示されるようにベース7の裏面の一部、例えば後方寄り(ドア幅方向後側)の地点に仮止め用の係止爪9(仮止め部に相当)を形成し、凹陥部5の底壁5aの後方寄り(ドア幅方向後側)の地点に係止孔10を形成した構造が用いられている。
【0028】
具体的には、係止爪9は、例えばベース7の裏面から突き出て後方(ドア幅方向)へドアインナパネル2の厚み寸法分、ベース7から隙間を空けてL字形に曲げてある。
【0029】
係止孔10は、係止爪9が車室側から余裕を持って差し込める大きさの開口10aと、係止爪9の根元側が挿通できる大きさの開口10bとを、前後方向に並べて互いに連通させた構造が用いられている。なお、開口10bは後方側に配置してある。
【0030】
そして、係止孔10は、予めハンドル取付位置にしたがった地点に形成されていて、ベース7から突き出た係止爪9を、図2(b)、図5および図6に示されるようにベース7の裏面が底壁5aと突き当たるまで開口10aへ差し込んだ後、後方へ止まるまでスライドさせると、係止爪9が開口10bへ移動して、当該開口1bの開口縁と係止するようにしてある。これで、インナハンドル6がドアインナパネル2に支持されるようにしてある。具体的には、図6(c)に示されるようにインナハンドル6は、開口10bの開口縁を挟んでドアインナパネル2の裏面側(開口10bの裏面開口縁)に配置される係止爪9と、ドアインナパネル2の表面側に配置されるベース7とで挟み込まれて、底壁5a上の所定位置に位置決められる。なお、図5中1aはウインドパネルを示す。
【0031】
また図3および図4に示されるようにインナハンドル6のベース7の上部には、インナハンドル6の本固定(動かせないよう固定)用として、開口10aと隣接した底壁5a部分に形成してあるねじ孔部11(底壁5aに穿設された小孔11aと、同小孔11aと連なるよう底壁5aの裏面に接合されたナット部材11bからなる)と組合う取付け片12(取付け部に相当)が形成してある。この取付け片12は、小孔13が形成された帯板部をベース7の上部から突き出して形成される。この取付け片12が、仮止めされたインナハンドル6のねじ孔部11と小孔13とが合致するよう底壁5aの表面と重なり合う。そして、この重なり合う部分から、インナハンドル固定用のねじ部材14がねじ込まれると、インナハンドル6が固定されるようにしてある。
【0032】
15は、ドアインナパネル2の車室側の側面に組付く樹脂製のドアトリムである。ドアトリム15は、図2に示されるようにドア本体1の前後方向(ドア幅方向)ならびに上下方向に延びる平板状部15aと該平板状部15aの上端部からほぼL形に曲がる上部分15bとを有している。上部分15の先端部からは、図7にも示されるように係止部、例えば下方に向かって突き出る係止条15cが突き出ている。なお、平板状部15aには、アームレスト16やスピーカ孔部17(スピーカ音を車室へ出す孔)などが形成されている。
【0033】
これにより、ドアトリム15は、図2(a)に示されるように係止条15cをドアインナパネル3の上端部に形成されているコ字形の係合受け部3c(図5に図示)に係止してから、同係止した部分を支点にドアインナパネル3側へ押し込む(回動)ことにより、アームレスト16やスピーカ孔部17が有る平板状部15aがドアインナパネル3の側面(車室側)に重なり合う構造にしてある。
【0034】
平板状部15aの外周部の各部には、図2に示されるように平板状部15aの裏面から噛合い部分が突き出た姿勢で、トリム固定用のクリップ18が組付けてある。これで、平板状部15aがドアインナパネル3に重なり合うにしたがい、各クリップ18の噛合い部が、ドアインナパネル3の外周側の各部に形成してあるクリップ孔19と噛合うようにしてある。
【0035】
また平板状部15aには、図2に示されるようにアームレスト16やスピーカ孔部17の他に、インナハンドル6露出用の開口部20が形成されている。この開口部20は、例えば図4に示されるようにインナハンドル6の各部形状に合わせて、ハンドル8やハンドル操作のために手指を挿入できる領域を開口し、それ以外の部分を覆い隠したほぼ矩形の開口で形成してある。なお、開口部20の開口縁の各部には、ベース7の外周部と突き当って組合う、トリム裏面へ突き出る周壁部20aが形成してある。
【0036】
これにより、開口部20がインナハンドル6の周辺形状に対して位置決めされると、インナハンドル6が、開口から車室側に露出される。と同時に周壁部20aの先端がベース7の外周部と突き当って、ベース7の意匠面7aを底面としたハンドル操作用の手指が挿入可能な凹部分を形成する。
【0037】
この位置決めのとき、インナハンドル6と開口部20との前後方向(ドア幅方向)の部位で隙間が発生しないよう、ドアトリム15の開口部20を、基準となるドアインナパネル2に付いているインナハンドル6の周辺形状に合わせながら、ドアインナパネル2の側面に重ね合わせることが求められる。
【0038】
このドアトリム15の位置決めを容易にする工夫として、インナハンドル6およびドアトリム15にガイド構造が組付けてある。
【0039】
このガイド構造には、図3および図4に示されるようにベース7、例えば取付け片12と隣接するベース7の上部分に、位置決め基準用の突起部、例えば帯状の位置決め爪21を突設した構造と、位置決め爪21と対応するドアトリム15の裏面、例えば周壁部20aのうち、図7に示されるように開口部20の上側の縁部から裏面下側へ傾斜して延びている周壁部分20bの裏面に、位置決め爪21のドア幅方向両側に対して噛合い可能な噛合い部、例えば一対の位置決めリブ22を突設した構造とを組合わせた構造が採用されている。
【0040】
位置決め爪21は、例えば先端部が先細に形成してある横向き(ドア幅方向にならう向き)の帯状板を上方へ向かって延ばし、先端側を車室側へくの字状に折り曲げて形成してある。これで、先端側をドアインナパネル2に向かって進行する進行方向に向かって突き出させている。
【0041】
一対の位置決めリブ22は、位置決め爪21の先細部21aの形状に合わせて、周壁部分20bの裏面に、図3、図4および図8に示されるようにドア幅方向沿いにハの字状に配置させてなる。
【0042】
これにより、位置決め爪21と位置決めリブ22とは、ドアトリム15の平板状部15aがドアインナパネル2の側面に重なり合うまでの間で、徐々に噛合いが進むようにしてある。この噛合いがもたらすドア幅方向でのガイド機能により、ドアトリム15がドアインナパネル2に重なるまでに、基準となるインナハンドル6の周辺形状に対して、開口部20が所期に合わされる構造にしてある。
【0043】
この他、図4および図7に示されるように周壁部分20bの一部には、ドアトリム15が位置決められるにしたがい、インナハンドル6の取付け片12と重なり合う重合部23が形成されている。この重合部23には、取付け片12の小孔13と連なる通孔23aが形成されていて、ドアトリム15が位置決められた後、車室側から、インナハンドル6を本固定するねじ部材14を、通孔23aから、重なる重合部23、取付け片12を通じて、底壁5aへねじ込むと、当該三者が共締めされるようにしてある。
【0044】
これで、ドアトリム15を組込む作業からインナハンドル6を本固定する作業をそのまま流用して、一人の作業者で、面倒なドアトリム15の位置決め、さらにはドアトリム15の固定までを行えるようにしている。
【0045】
すなわち、今、図2(a)のように所定位置にインナハンドル6が仮止め(仮組み)されているドアインナパネル2に対して、ドアトリム15を組付けるとする。
【0046】
このときには、まず、作業者は、目測などで、開口部20の位置をインナハンドル6の位置に合わせてから、図7(a)に示されるようにドアトリム15の上縁部に有る係止条15を、ドアインナパネル2の斜め上側から、同ドアインナパネル2の上縁部に有る係合受け部3cに差し込んで、同係合受け部3cに係止する。続いて、図7a(a)中の矢印のようにドアトリム15の平板状部15aをドアインナパネル2側へ押し込む。
【0047】
すると、ドアトリム15は、係止した部分を支点に回動変位する。
【0048】
ここで、開口部20は、インナハンドル6の位置に大体合わせてあるから、ドアトリム15の回動にしたがい、図8(a)に示されるようにドアトリム15(周壁部分20b)の裏面に有る一対の位置決めリブ22が、インナハンドル6のべース7から突き出ている位置決め爪21の先端に向かって進行する。
【0049】
そして、平板状部15aがドアインナパネル2に接近するにしたがい、位置決め爪21の先端が、位置決めリブ22間に差し込まれる。
【0050】
ここで、位置決め爪21の先端は先細であり、位置決めリブ22は同先細形状に対応してハの字状に配置されているから、たとえドアトリム15のドア幅方向で位置ずれを起こしていたり、ドアトリム15自身がドア幅方向において製品ばらつきを起こしていたりしていても、図8(b)に示されるように位置決め爪21の先細部21aが、斜めの位置決めリブ22でガイドされながら当該リブ間へ徐々に進んで、所定に噛合うようになる。
【0051】
この噛合いにより、ドアトリム15のドア幅方向のばらつきや位置ずれは、位置決め爪21を基準に矯正される。この矯正により、ドアトリム15は、図1に示されるようにインナハンドル露出用の開口部20とインナハンドル6の周辺形状(ベース7を含む全体形状)とが互いに合わさるよう位置決められる(ドア幅方向)。
【0052】
このドアトリム15の位置決め(ドア幅方向)が、平板状部15aがドアインナパネル2の側面に重なり合うまでに完了する。
【0053】
そして、平板状部15aが重なり合うにしたがい、平板状部15aの外周部から突き出ているクリップ18の噛合い部がドアインナパネル3の外周側に有るクリップ孔19と噛み合い、ドアトリム15をドアインナパネル3にクリップ止めする。また図7(b)に示される開口部20の開口縁から延びている重合部23が、インナハンドル6の取付け片12と重なり合い、通孔23aを小孔13に位置決める。さらに開口部20の開口縁から裏面方向に突き出ている周壁20aの先端がベース7の外周縁に突き当る。
【0054】
これにより、ベース7の意匠面7aが、周壁20aと共に開口部20の開口を覆うように配置され、インナハンドル6回りが形作られる。
【0055】
その後、図7(c)に示されるようにインナハンドル6を止めるねじ部材14を、車室側から通孔23aへ螺挿することにより、ねじ部材14が重なり合う重合部23、取付け片12を通じて、底壁5aに有るねじ孔部11にねじ込まれ、位置決めを終えたドアトリム15が、インナハンドル6と一緒に共締めされ、ドアインナパネル2に固定される。
【0056】
このようにインナハンドル6に対するハンドル露出用の開口部20の位置決めは、インナハンドル6と開口部20とを目視しながら位置合わせするという面倒で熟練を要する作業を必要とせずに、今まで行われていたドアトリム15を組込む作業をそのまま行うだけで、ドアトリム15のドア幅方向のばらつきが是正されて、開口部20とインナハンドル6の周辺形状との位置決めができる。
【0057】
したがって、一人の作業者で、容易に乗員の目に付きやすいインナハンドル6のドア幅方向における取付寸法のばらつき(隙間の発生)を防ぐことができる。特にかなりの位置決め精度が要求される、意匠面7aをもつベース7を採用したインナハンドル6でも、簡単に高い精度の位置合わせが行えるので、高い意匠性が確保できる。
【0058】
しかも、ドアトリム15のドア幅方向のばらつきは、ドアインナパネル2のほぼドア幅方向中央に組付くインナハンドル6を基準に是正されて、ドア幅方向中央から両側にほぼ均等に振り分けられるので、前・後のサッシュ4とこれに向き合うドアトリム端との間の隙間はいずれも均等であり、組付いたドアインナパネル2の見栄えが損なわれずにすむ。
【0059】
そのうえ、ドアトリム15の位置決めは、インナハンドル6のベース7に先細の位置決め爪21を形成し、ドアトリム15の裏面にハの字状の位置決めリブ22を形成しただけなので、簡単な構造ですむ。
【0060】
さらに、インナハンドル6を固定するねじ部材14で、ドアトリム15、インナハンドル6を、ドアインナパネル2に共締めする構造により、今までのインナハンドル6を固定するねじ構造をそのまま流用して、ドアトリム15の固定までができ、ドアトリム15を組付ける作業能率が低下することはない。
【0061】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施しても構わない。例えば上述した実施形態では、ドアトリムを位置決める構造として、爪とその両側に配置されるリブとを組み合せた構造を採用したが、それ以外の構造を用いて、ドアトリムをインナハンドルを基準に位置決めるようにしてもよい。
【0062】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1に記載の発明によれば、インナハンドルと開口部とを目視しながら位置合わせするという面倒で熟練を要する作業を必要とせずに、基準用の突起部と噛合い部とを用いて、容易にドアトリムの開口部をインナハンドルに対して位置決めることができる。
【0063】
しかも、ドアトリムのドア幅方向のばらつきは、ドアインナパネルのほぼドア幅方向中央に組付くインナハンドルを基準に是正されて、ドア幅方向中央から両側にほぼ均等に振り分けられるので、組付いたドアインナパネルの見栄えが損なわれずにすむ。
【0064】
また、上記効果に加え、かなりの位置決め精度が要求される、表面に意匠面を形成したベースを採用したインナハンドルでも、簡単に高い精度の位置合わせが実現できる。また、上記効果に加え、簡単な構造で、インナハンドルに対する開口部の位置決めができるといった効果を奏する。
【0065】
請求項2に記載の発明によれば、上記効果に加え、今までのインナハンドルを固定するねじ構造をそのまま流用して、位置決めを終えたドアトリムの固定ができ、トリムの組付作業性が損なわずにすむといった効果を奏する。
【0066】
請求項3に記載の発明によれば、インナハンドルと開口部とを目視しながら位置合わせするという面倒で熟練を要する作業を必要とせずに、基準用の突起部と噛合い部とを用いて、容易にドアトリムの開口部をインナハンドルに対して位置決めることができる。しかも、ドアトリムのドア幅方向のばらつきは、ドアインナパネルのほぼドア幅方向中央に組付くインナハンドルを基準に是正されて、ドア幅方向中央から両側にほぼ均等に振り分けられるので、組付いたドアインナパネルの見栄えが損なわれずにすむ。また、上記効果に加え、かなりの位置決め精度が要求される、表面に意匠面を形成せいたベースを採用したインナハンドルでも、簡単に高い精度の位置合わせが実現できる。また、上記効果に加え、今までのインナハンドルを固定するねじ構造をそのまま流用して、位置決めを終えたドアトリムの固定ができ、トリムの組付作業性が損なわずにすむといった効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のフロントドアを車室側から見た状態を示す斜視図。
【図2】(a)は同ドアからドアトリムを外した状態を示す斜視図。
(b)はさらにドアからインナハンドルを外した状態を示す斜視図。
【図3】ドアインナパネルに付いているインナハンドルとドアトリムとが組合っている状態を示す斜視図。
【図4】同構造をドアインナパネル、インナハンドル、ドアトリムとに分解した状態を示す斜視図。
【図5】インナハンドルをドアインナパネルに組込むときを説明するための断面図。
【図6】同インナハンドルが係止爪によってドアインナパネルに仮止めされるときを説明するための断面図。
【図7】インナハンドルが仮止めされたドアインナパネルにドアトリムを組付ける作業を説明するための断面図。
【図8】同組付けの途中で、インナハンドルの位置決め取付け爪とドアトリム裏面の位置決めリブとが噛合うことを説明するための図。
【符号の説明】
1…ドア本体
2…ドアインナパネル
4…サッシュ
5…凹陥部
6…インナハンドル
7…ベース
7a…意匠面
8…ハンドル
9…係止爪(仮止め部)
10…係止孔
11…ねじ孔部
12…取付け片(取付け部)
14…ねじ部材
15…ドアトリム
15c…係止条
18…クリップ
19…クリップ孔
20…開口部
21…位置決め爪(突起部)
22…位置決めリブ(噛合い部)
23…重合部

Claims (3)

  1. ドアインナパネルの側面の所定位置に位置決めて配置されたインナハンドルと、
    上端部を前記ドアインナパネルの上縁部に係止し当該係止した部分を支点にドアインナパネル側へ回動することによって、前記インナハンドルを露出させる開口部を有するドアトリムと、
    前記インナハンドルに前記ドアトリムに向かって突き出るように設けられた位置決め基準用の突起部と、
    前記ドアトリムの裏面に形成され、前記突起部のドア幅方向に対して噛合い可能な噛合い部とを有し、
    前記インナハンドルは、前記ドアトリムの開口部を覆う意匠面が表面に形成されたベースを有し、
    前記突起部は、前記ベースの上側から前記ドアトリムに向かって突き出る先細の位置決め爪から構成され、
    前記噛合い部は、前記ドアトリムの裏面に前記位置決め爪の先細の形状に合わせてドア幅方向にハの字状に配置された一対の位置決めリブから構成され、
    前記突起部と前記噛合い部とが、前記ドアインナパネルに前記ドアトリムが重なり合うまでに、前記開口部と前記インナハンドルとの位置合わせをなすよう、徐々に噛合うようにしてあることを特徴とするドアトリムの位置決め構造。
  2. 前記インナハンドルのベースは、前記ドアインナパネルの側面の所定位置に位置決める仮止め部と、該仮止めにしたがい前記ドアインナパネルの側面と重なる本固定用の取付け部とを有して形成され、
    前記ドアトリムは、該ドアトリムが位置決められるにしたがい、前記取付け部と重なる重合を有して形成され、
    仮止めの前記インナハンドルに前記ドアトリムが合わせられた後、互いに重なる前記ドアインナパネルのパネル部分、前記インナハンドルの取付け部、前記ドアトリムの重合部の三者が、外部からねじ込まれるねじ部材で共締めされるようにしてあることを特徴とする請求項1に記載のドアトリムの位置決め構造
  3. ドアインナパネルの側面の所定位置に位置決めて配置されたインナハンドルと、
    上端部を前記ドアインナパネルの上縁部に係止し当該係止した部分を支点にドアインナパネル側へ回動することによって、前記インナハンドルを露出させる開口部を有するドアトリムと、
    前記インナハンドルに前記ドアトリムに向かって突き出るように設けられた位置決め基準用の突起部と、
    前記ドアトリムの裏面に形成され、前記突起部のドア幅方向に対して噛合い可能な噛合い部とを有し、
    前記インナハンドルは、前記ドアトリムの開口部を覆う意匠面が表面に形成されたベースを有して構成され、
    前記インナハンドルのベースは、前記ドアインナパネルの側面の所定位置に位置決める仮止め部と、該仮止めにしたがい前記ドアインナパネルの側面と重なる本固定用の取付け部とを有して形成され、
    前記ドアトリムは、該ドアトリムが位置決められるにしたがい、前記取付け部と重なる重合部を有して形成され、
    仮止めの前記インナハンドルに前記ドアトリムが合わせられた後、互いに重なる前記ドアインナパネルのパネル部分、前記インナハンドルの取付け部、前記ドアトリムの重合部の三者が、外部からねじ込まれるねじ部材で共締めされるようにしてあり、
    前記突起部と前記噛合い部とが、前記ドアインナパネルに前記ドアトリムが重なり合うまでに、前記開口部と前記インナハンドルとの位置合わせをなすよう、徐々に噛合うようにしてあることを特徴とするドアトリムの位置決め構造
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