JP3964875B2 - 角速度センサ - Google Patents
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Description
図1は、本発明の実施例1を示す角速度センサの構成図である。
図1の角速度センサにおける発振部20の動作(a)と、コリオリ出力検出部40の動作(b)と、同期パルス作成部60の動作(c)と、温度補償用関数発生部70の動作(d)と、補正係数設定部80の動作(e)とを説明する。
電源電圧を印加して、圧電振動子11を振動させるための起動時においては、起動検出回路23からの出力が無いため、この出力を受けて、発振ループゲインの切替え設定を行う利得切替回路24の利得が大きくなるように動作し、発振ループゲインが1よりも大きくなる。発振ループゲインが1より大きな状態になったAGC回路32からのAC駆動電圧Voutは、駆動電極12bに与えられ、圧電振動子11が振動を開始する。
一定の周波数で特定方向に振動している圧電振動子11に角速度ωが加わると、この圧電振動子11にコリオリ力Fが作用し、該圧電振動子11の特定方向に対して直交する方向の振動が生まれ、この振動によって圧電振動子11に発生する電荷が検出電極13a,13bによって検出され、このコリオリ出力検出電流が該検出電極13a,13bから出力される。この検出電流は、それぞれI/V変換回路41a,41bで検出電圧に変換され、これらの検出電圧が、それぞれ変換出力電圧調整回路42a,42bによって同相成分の振幅と位相が調整され、差動増幅回路43によって同相成分がキャンセルされ、逆相成分であるコリオリ成分のみが抽出され、高域フィルタ44へ送られる。
同期パルス作成部60は、発振部20内の温度補償型増幅回路22からの温度補償済み電圧を基準にして同期検波回路46を制御することで同期検波を行う、検波のタイミングパルス(同期パルス)を発生する回路である。発振部20内の温度補償型増幅回路22から出力された温度補償済み電圧は、増幅回路61で増幅され、検波のタイミングを設定する位相調整回路62により位相が調整された後、波形整形回路63で波形整形されてタイミングパルス(同相パルス)が作成され、コリオリ出力検出部40内の同期検波回路46へ送られて同期検波が行われる。
温度補償用関数発生部70は、圧電振動子11と、これに接続された発振部20及びコリオリ出力検出部40内の回路との、温度係数と逆の温度係数を持つ温度補償用関数を発生する回路である。温度センサ71からの温度情報を基に、温度補償用関数回路72により、前記温度係数をキャンセルするための反比例の温度係数を有するn次関数が発生され、このn次関数が、発振部20内の温度補償型増幅回路22と、コリオリ出力検出部40内の温度補償型増幅回路45、フルスケール温度補償増幅回路49及び直流オフセット調整回路50とに送られ、所定の温度補償が行われる。
補正係数設定部80は、圧電振動子11と、発振部20内の回路と、コリオリ出力検出部40内の回路との製造ばらつき等に起因する初期ばらつきを補正するための、増幅度の補正係数を設定する回路である。補正係数設定部80は、外部からの書込みが可能な記憶素子81で構成され、これから読出された補正係数が、発振部20内の増幅回路26と、コリオリ出力検出部40内の変換出力電圧調整回路42a,42b及びフルスケール調整回路48と、同期パルス作成部60内の増幅回路61とに送られ、初期ばらつきが補正される。
本実施例1では、次の(1)〜(9)のような効果がある。
図3は、本発明の実施例2を示す図1の発振部20内の温度補償型増幅回路22やコリオリ出力検出部40内の温度補償型増幅回路45の回路図である。
図1の温度補償用関数発生部70から出力された関数が、制御信号入力端子107に入力されると、その関数に応じた増幅度により、入力端子101の入力電圧がオペアンプ102で増幅され、出力端子103から出力される。
本実施例2では、DMOS106のオン抵抗と、逆の温度係数を持つ抵抗105の温度係数とが、キャンセルされるので、図3の温度補償型増幅回路自身の温度係数を無くすことができる。そのため、可変抵抗として用いるDMOS106のオン抵抗が温度係数を持っていても、図1の温度補償用関数発生部70から与えられる温度補償用関数に1対1に対応した温度補償を行うことができる温度補償型増幅回路を実現できると共に、全て半導体集積回路の製造プロセスに合致する素子で構成できるため、極めて経済的である。
図4は、本発明の実施例3を示す図1の発振部20内の温度補償型増幅回路22やコリオリ出力検出部40内の温度補償型増幅回路45の他の構成の回路図である。
入力端子111の入力電圧がオペアンプ11で反転増幅され、これが更にオペアンプ116で反転増幅され、出力端子118から出力される。
本実施例3では、次の(1)、(2)のような効果がある。
図5は、本発明の実施例4を示す図1の利得切替回路24の回路図である。
この利得切替回路は、図1の温度補償型増幅回路22の出力側に接続される入力端子121を有し、この入力端子121にオペアンプ122の非反転入力端子が接続されている。オペアンプ122の出力側の出力端子123は、図1の低域フィルタ25の入力側に接続され、その出力端子123とオペアンプ122の反転入力端子との間に、一方の帰還抵抗124が接続されている。オペアンプ122の反転入力端子とグランドとの間には、他方の帰還抵抗125とトランジスタスイッチ126とが直列に接続されている。トランジスタスイッチ126のゲート側の制御信号入力端子127は、図1の起動検出回路23の出力側に接続される。
図1の発振部20において、起動時には起動検出回路23からの出力が無いため、出力(負論理)がトランジスタスイッチ126のゲートに入力されて該トランジスタスイッチ126がオンするので、この利得切替回路の利得が1よりも大きく、且つ3以下に設定される。すると、図1の発振部20の発振ループゲインが1よりも大きくなるため、圧電振動子11は発振を開始する。発振を開始すると、AC駆動電圧Voutが起動検出回路23に入力され、この起動検出回路23における検出結果の出力(負論理の起動検出信号)が利得切替回路内のトランジスタスイッチ126のゲートに入力するため、このトランジスタスイッチ126がオフする。トランジスタスイッチ126がオフすると、これに接続されている帰還抵抗125がグランドから切離され、オペアンプ122で構成される利得切替回路は、ボルテージフォロワになるため、利得が1になると共に、AGC回路32によって発振ループゲインが1になるように動作し、発振が定常発振に移行する。
本実施例4では、次の(1)、(2)のような効果がある。
図6は、本発明の実施例5を示す図1の起動検出回路23の回路図である。
図1の角速度センサの起動時が完了した時、AC駆動電圧Voutが本実施例5の起動検出回路に入力される。入力端子131から入力したAC駆動電圧Voutは、ゲートとドレインとを接続したPMOS132からなる等価的な整流回路で整流され、負荷抵抗133へ出力される。この出力電圧は、アクティブフィルタで構成した低域フィルタ140にてDC成分が抽出された後、増幅回路150にて論理レベルまで増幅される。増幅回路150の出力電圧は、波形整形回路160にて論理変換され、整流回路130に入力が無い時には出力端子163からHレベルを出力し、有るときには該出力端子163からLレベルを出力する。このHレベル又はLレベルにより、図1の利得切替回路24が制御される。
本実施例5では、起動検出回路を半導体集積回路にした時に、整流回路130におけるPN接合ダイオードや、低域フィルタ140における大容量キャパシタ142及び144を不要にすることができる。そのため、外付け部品が全く無く、しかも全ての素子が低電圧動作が可能になるように構成できるので、例えば、3V電源で動作可能な集積回路を得ることができる。即ち、回路内の中間電位の中で整流器として用いるための純粋なPN接合を有するダイオードは、CMOS型集積回路では構成することができないので、当該ダイオードは外付け部品になってしまい、不経済であるため、当該部品をチップ内に内蔵することにより、経済的なアプリケーション製品を提供することができる。
12a,12b 駆動電極
13a,13b 検出電極
20 発振部
21,41a,41b I/V(電流/電圧)変換回路
22,45 温度補償型増幅回路
23 起動検出回路
24 利得切替回路
25,47 低域フィルタ
26,61 増幅回路
27,44 高域フィルタ
28 基準電源回路
29 振幅情報検出回路
30 比較回路
31 帰還回路
32 AGC(自動利得制御)回路
40 コリオリ出力検出部
42a,42b 変換出力電圧調整回路
46 同期検波回路
48 フルスケール調整回路
49 フルスケール温度補償増幅回路
50 DC(直流)オフセット調整回路
51 出力回路
60 同期パルス作成部
62 位相調整回路
63 波形整形回路
70 温度補償用関数発生部
71 温度センサ
72 温度補償用関数回路
80 補正係数設定部
81 記憶素子
Claims (6)
- 第1及び第2の駆動電極と第1及び第2の検出電極とを有し、前記第2の駆動電極に交流駆動電圧が印加されると、特定方向の振動が励起されて前記第1の駆動電極から駆動電流が出力され、外部から角速度が加えられると、前記角速度に応じた電荷が前記第1及び第2の検出電極により検出されて前記第1及び第2の検出電極からコリオリ出力検出電流が出力される圧電振動子と、
前記圧電振動子の発振特性と検出特性を補償するための逆の温度係数を持つ温度補償用関数を発生する温度補償用関数発生部と、
構成素子の製造ばらつきを補正するための補正係数を設定する補正係数設定部と、
前記駆動電流を電圧に変換して温度補償を行った温度補償済み電圧を生成し、前記温度補償済み電圧から前記交流駆動電圧を生成して前記第2の駆動電極に供給する発振部と、
前記補正係数に基づいて前記温度補償済み電圧を増幅した後に位相調整を行い、同期検波用の同期パルスを作成して出力する同期パルス作成部と、
前記同期パルスに基づいて前記コリオリ出力検出電流の同期検波を行い、前記角速度に応じた直流検出信号を生成して出力するコリオリ出力検出部とを備えた角速度センサであって、
前記発振部は、
前記駆動電流を電圧に変換して変換駆動電圧を出力する第1の電流/電圧変換回路と、
前記温度補償用関数に基づいて前記変換駆動電圧の温度補償を行い、前記温度補償済み電圧を生成して出力する第1の温度補償回路と、
前記交流駆動電圧に基づき、前記圧電振動子の起動状態を検出して起動検出信号を出力する起動検出回路と、
前記起動検出信号に基づいて前記温度補償済み電圧に対し、発振開始時には利得を大きく、且つ定常発振時には前記発振部のループゲインが適正な範囲に入るように利得を切替える利得切替回路と、
前記利得切替回路の出力電圧に対して周波数帯域を制限すると共に、前記補正係数に応じた増幅度で増幅する周波数帯域制限手段と、
前記圧電振動子の起動完了後における前記交流駆動電圧の振幅値と所定の振幅値との誤差分を求め、前記誤差分がゼロになるように前記周波数帯域制限手段の出力電圧に対する利得を制御し、前記交流駆動電圧の振幅値を一定に保持する自動利得制御手段とを備え、
前記コリオリ出力検出部は、
前記第1の検出電極から出力される前記コリオリ出力検出電流を電圧に変換して第1の検出電圧を出力する第2の電流/電圧変換回路と、
前記記第2の検出電極から出力される前記コリオリ出力検出電流を電圧に変換して第2の検出電圧を出力する第3の電流/電圧変換回路と、
前記補正係数に基づき、前記第1の検出電圧における同相成分の振幅と位相を調整する第1の電圧調整回路と、
前記補正係数に基づき、前記第2の検出電圧における同相成分の振幅と位相を調整する第2の電圧調整回路と、
前記第1及び第2の電圧調整回路の出力電圧を差動増幅し、同相成分を除去して逆相成分であるコリオリ成分を抽出する差動増幅回路と、
前記差動増幅回路の出力電圧に対して周波数帯域を制限すると共に、前記温度補償用関数に基づいて温度補償を行う第2の温度補償回路と、
前記同期パルスに基づき、前記第2の温度補償回路の出力電圧に対し同期検波を行ってコリオリ力の方向と大きさを検出すると共に、周波数帯域を制限し直流成分を抽出して直流検出電圧を出力する検波手段と、
前記補正係数に基づいて前記直流検出電圧の感度設定を行うと共に、前記温度補償用関数に基づいて前記設定された感度の温度補償を行う調整補償回路と、
前記温度補償用関数に基づいて前記調整補償回路の出力電圧のゼロ点ドリフトの温度補償を行い、前記直流検出信号を出力するオフセット調整回路とを備えたことを特徴とする角速度センサ。 - 前記第1の温度補償回路は、第1の温度補償型増幅回路で構成し、
前記周波数帯域制限手段は、前記利得切替回路の出力電圧に対する高周波成分を除去する低域フィルタと、前記補正係数に応じた増幅度によって前記低域フィルタの出力電圧を増幅する増幅回路と、前記増幅回路の出力電圧に対する低周波成分を除去する高域フィルタとで構成し、
前記自動利得制御手段は、基準となる前記所定の振幅値を出力する基準電源回路と、前記圧電振動子の起動完了後における前記交流駆動電圧の振幅値を検出して出力する振幅情報検出回路と、前記交流駆動電圧の振幅値と前記所定の振幅値とを比較して前記誤差分を求める比較回路と、前記誤差分を帰還する帰還回路と、前記帰還回路からの前記誤差分に基づき、前記高域フィルタの出力電圧に対する利得を制御して前記発振部の発振ループゲインが1になるように制御する自動利得制御回路とで構成し、
前記第2の温度補償回路は、前記差動増幅回路の出力電圧に対する低周波成分を除去する高域フィルタと、前記温度補償用関数に基づいて前記高域フィルタの出力電圧に対する温度補償を行う第2の温度補償型増幅回路とで構成し、
前記検波手段は、前記同期パルスに基づき、前記第2の温度補償型増幅回路の出力電圧に対し同期検波を行ってコリオリ力の方向と大きさを検出する同期検波回路と、前記同期検波回路の出力電圧に対する前記直流成分を抽出して前記直流検出電圧を出力する低域フィルタとで構成し、
前記調整補償回路は、前記補正係数に基づいて前記直流検出電圧の感度設定を行うフルスケール調整回路と、前記温度補償用関数に基づき、前記フルスケール調整回路で設定された感度の温度補償を行うフルスケール温度補償増幅回路とで構成し、
前記オフセット調整回路は、前記温度補償用関数に基づいて前記フルスケール温度補償増幅回路の出力電圧のゼロ点ドリフトの温度補償を行う直流オフセット調整回路と、前記直流オフセット調整回路の出力電圧に対し緩衝増幅を行って前記直流検出信号を出力する出力回路とで構成したことを特徴とする請求項1記載の角速度センサ。 - 前記第各温度補償型増幅回路は、演算増幅器と、前記演算増幅器における帰還抵抗の一辺に接続され、前記温度補償用関数によりゲート制御されるMOSトランジスタと、前記MOSトランジスタに接続され、前記MOSトランジスタのオン抵抗の温度係数に対して反比例の温度係数を有する抵抗とで構成したことを特徴とする請求項2記載の角速度センサ。
- 前記各温度補償型増幅回路は、演算増幅器で構成された反転増幅回路を複数(N)段、縦続接続し、前記各演算増幅器における帰還抵抗の一辺を、前記圧電振動子の温度係数の1/Nの温度係数の抵抗体で構成したことを特徴とする請求項2記載の角速度センサ。
- 前記利得切替回路は、演算増幅器と、前記演算増幅器の利得を決定する抵抗と、前記抵抗に接続され、前記起動検出信号によりオン、オフ動作するスイッチとを有し、前記発振部の起動時には、前記起動検出信号により前記スイッチがオンして利得が1よりも大きく且つ3以下に設定され、前記圧電振動子が発振を開始すると、前記起動検出信号により前記スイッチがオフして利得が1に設定される構成にしたことを特徴とする請求項2記載の角速度センサ。
- 前記起動検出回路は、ゲート及びドレインを接続したPチャネル型MOSトランジスタで構成した整流回路と、アクティブフィルタで構成した低域フィルタと、増幅回路と、波形整形回路とを縦続接続して構成したことを特徴とする請求項2記載の角速度センサ。
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