JP3956744B2 - 柱と梁の接合部を含む構造体及びその接合方法並びに構造体の製造方法 - Google Patents
柱と梁の接合部を含む構造体及びその接合方法並びに構造体の製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、柱と梁を備えた構造体に関する。特に、柱と梁とを接合する接合部を含む構造体に関する。また、このような構造体における柱と梁の接合方法、および、構造体の製造方法に関する。
【0002】
【背景技術】
従来から、鉄骨造(S造)、鉄骨コンクリート造(SC造)、鉄骨鉄筋コンクリート造(SRC造)等の構造体が知られている。このような構造体における柱と梁との接合部(いわゆる仕口部)の従来例を図8に示す。
【0003】
同図において、構造体は、柱110と、梁120と、上側のダイアフラム130(上ダイアフラム)と、下側のダイアフラム140(下ダイアフラム)と、スプライスプレート170とを備えている。柱110に接合される梁120の上側のフランジ122(上フランジ)は、直接的又はスプライスプレート170を介して、上ダイアフラム130とボルト接合される。また、梁120の下側のフランジ124(下フランジ)は、直接的又はスプライスプレート170を介して、下ダイアフラム140とボルト接合される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記の従来の接合部の構成では、梁120の上側のフランジ122が上ダイアフラム130に接合され、梁120の下側のフランジ124が下ダイアフラム130に接合されている。そのため、この構成では、それぞれの梁120の桁高さ(上側のフランジ122から下側のフランジ124までの長さ;「梁せい」ともいう)が揃っている必要がある。一方、梁120の桁高さが揃っている場合であっても、梁120の桁高さが揃っていないときと同じ構成で柱と梁を接合できれば、部材の選定の自由度を高めることができる。
【0005】
そこで、本発明は、上記の課題を解決する接合部を有する構造体を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための主たる発明は、柱と梁の接合部を含む構造体であって、上側及び下側のダイアフラムとガセットとが接合した柱と、ウェブ及び上下のフランジを有し、前記下フランジにガセットを接合した梁と、方づえと、を備え、前記下側のダイアフラムと前記柱側のガセットとが接合され、前記上側のダイアフラムと前記上フランジとが接合され、前記ウェブと柱側のガセットとが接合され、前記方づえが前記梁側のガセットと前記柱側のガセットを挟んで両側からボルト接合されることにより、前記梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間が前記方づえを介して接合され、前記梁からの荷重が前記方づえの軸力によって前記柱側のガセットを介して前記柱及び前記下側のダイヤフラムに伝達されるように構成されていることを特徴とする。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【0007】
【発明の実施の形態】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0008】
柱と梁の接合部を含む構造体であって、ダイアフラム及びガセットを接合した柱と、2つのフランジ及びウェブを有し、前記フランジの一方にガセットを接合した梁と、方づえと、を備え、前記ダイアフラムと前記フランジの他方とを接合し、前記ウェブと柱側のガセットとを接合し、梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間を前記方づえを介して接合することを特徴とする構造体。このような構造体によれば、部材の選定の自由度を高めることができる。
【0009】
また、かかる構造体であって、前記柱と前記ダイアフラムとの接合は、部分溶込み溶接又は隅肉溶接であることが望ましい。また、かかる構造体であって、前記柱と前記柱側のガセットとの接合は、完全溶けこみ溶接でも良いが、部分溶込み溶接又は隅肉溶接であることが望ましい。このような構造体によれば、簡易な溶接方法であっても必要な強度を確保することができるので、溶接作業や品質管理が容易になる。
【0010】
また、かかる構造体であって、前記ウェブと前記柱側のガセットとの接合は、直接的又はスプライスプレートを介したボルトによる接合であり、前記方づえと前記梁側のガセットとの接合は、ボルトによる接合であり、前記方づえと前記柱側のガセットとの接合は、ボルトによる接合である。このような構造体によれば、現場では、接合のための主な作業がボルト接合なので、溶接作業を軽減することができ、施工が容易となる。
【0011】
また、かかる構造体であって、前記柱側のガセットは、前記ダイアフラムに接合されていることが望ましい。このような構造体によれば、柱側のガセットの耐力を向上させることができる。
【0012】
また、かかる構造体であって、前記柱側のガセットの下側で、前記柱と接合された下側のダイアフラムを更に有し、前記柱側のガセットは、前記下側のダイアフラムに接合されていることが望ましい。このような構造体によれば、柱側のガセットの耐力を向上させることができる。
【0013】
また、かかる構造体であって、前記接合部は、前記柱と複数の前記梁を接合しており、前記複数の梁のうちの少なくとも1つの梁は、他の梁と桁高さが異なっていることが望ましい。このような構造体によれば、異なる桁高さの複数の梁を接合した接合部を含む構造体を提供することができる。また、前記接合部は、前記柱と複数の前記梁を接合しており、前記複数の梁は、桁高さが同じであっても良い。このような構造体によれば、部材の選定の自由度を高めることができる。
【0014】
また、柱と梁とを接合する接合方法であって、前記柱には、柱側のガセットとダイアフラムとが接合されており、前記梁には、梁側のガセットが接合されており、前記ダイアフラムと前記梁のフランジとを接合し、前記梁のウェブと前記柱側のガセットとを接合し、梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間を前記方づえを介して接合することを特徴とする接合方法。このような接合方法によれば、梁の桁高さが異なっていても接合することができるため、部材の選定が拘束されないので、より自由度の高い設計を行うことができる。
【0015】
また、柱と梁とを接合した構造体の製造方法であって、前記柱には、柱側のガセットとダイアフラムとが接合されており、前記梁には、梁側のガセットが接合されており、前記ダイアフラムと前記梁のフランジとを接合し、前記梁のウェブと前記柱側のガセットとを接合し、梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間を前記方づえを介して接合することを特徴とする構造体の製造方法。このような構造体の製造方法によれば、梁の桁高さが異なっていても接合することができるため、部材の選定が拘束されないので、より自由度の高い設計を行うことができる。
【0016】
【実施例】
以下、本発明に係る構造体等の実施形態の一例について詳述する。
図1は、本実施形態の構造体の接合部を上面から見たときの概略図である。また、図2は、本実施形態の構造体の接合部を横から見たときの概略図である。また、図3は、本実施形態の構造体の接合部を斜め下から見たときの図である。また、図4は、構成要素を説明するための分解図である。なお、図2では、図1の梁の一部(20B)が省略されている。また、図3及び図4でも、図1の梁の一部(20C及び20D)が省略されている。
【0017】
本実施形態の構造体は、柱10と、梁20と、上ダイアフラム30と、下ダイアフラム40と、ガセット50と、方づえ60と、スプライスプレート70とを有する。
【0018】
柱10は、断面が中空の正方形の角形鋼管材である。柱10は、圧延した鋼板を丸めて溶接した溶接鋼管であっても継目無鋼管(シームレス鋼管)であっても良い。なお、図に示す通り、柱の軸方向に沿って上下方向を定義し、以下の説明に用いる。
【0019】
梁20は、断面がH型をしたH型鋼(I型鋼ともいう)である。梁20は、2つのフランジ(上フランジ22及び下フランジ24)と、ウェブ26と、ガセット28とを有する。上フランジ22は、柱側に設けられた上ダイアフラム30とボルト接合するための穴22Hを有する。この穴22Hは、ウェブ26を挟んで両側に複数個配列されている。ウェブ26は、柱側に接合されたガセット50とボルト接合するための穴26Hを有する。この穴26Hは、ウェブの端面に沿って複数個配列されている。ガセット28は、鋼製のプレートであり、ガセットプレートともいう。ガセット28は、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)によって、下フランジ24に接合されている。ガセット28は、方づえ60とボルト接合するための穴28Hを有する。この穴28Hは、柱側の穴が下に位置するように斜めに複数個配列されている。図2によれば、ガセット28の形状は、接合する梁の桁高さに応じて、異なっている。しかし、ガセット28の形状は、必ずしも梁の桁高さに応じて変える必要はなく、同じ形状であっても良い。
【0020】
上ダイアフラム30は、八角形をした鋼製の板であり、柱10の断面と略同形状の貫通穴を有する。この貫通穴に柱10が挿入される。そして、上ダイアフラム30は、上フランジ22の位置に合わせて、ガセット50の上側で、水平に、柱10に接合される。上ダイアフラム30と柱10との接合は、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)による接合である。この溶接は、貫通穴の全周にわたって行われる。上ダイアフラム30が一枚板として一体的に構成されているので、複数の分割プレートによって上ダイアフラム30を構成した場合と比較して、破断に対する耐力が向上する。上ダイアフラム30は、四方に、上フランジ22とボルト接合するための穴30Hを有する。この穴30Hは、1つの上フランジ22に対して、ウェブ26を挟んで両側に複数個配列されている。上ダイアフラム30と上フランジ22とが接合されると、上ダイアフラムは全体で梁20からの荷重を受けるため、応力が集中しないので、上ダイアフラム30の破損や破壊が生じにくい。なお、上ダイアフラム30の形状は、八角形に限らず、他の形状でも良い。また、本実施形態では、上ダイアフラム30は鋼板を用いたが、より剛性の高い鋳鋼製のものを用いても良い。
【0021】
下ダイアフラム40は、八角形をした鋼製の板であり、柱10の断面と略同形状の貫通穴を有する。この貫通穴に柱10が挿入される。そして、下ダイアフラム40は、ガセット50の下側で、水平に、柱10に接合される。但し、下ダイアフラム40は、上ダイアフラム30と異なり、下フランジ26の位置に合わせる必要はなく、任意の位置に設けることができる(もちろん、天井面から出ない等の他の制約はある)。下ダイアフラム40と柱10との接合は、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)による接合である。この溶接は、貫通穴の全周にわたって行われる。下ダイアフラム40が一枚板として一体的に構成されているので、複数の分割プレートによって下ダイアフラム40を構成した場合と比較して、破断に対する耐力が向上する。なお、下ダイアフラム40の形状は、八角形に限らず、他の形状でも良い。また、下ダイアフラム40の形状は、上ダイアフラム30と同じである必要はない。本実施形態では、下ダイアフラム40の方が、上ダイアフラム30よりも、小さい。また、本実施形態では、下ダイアフラム40は鋼板を用いたが、より剛性の高い鋳鋼製のものを用いても良い。
【0022】
ガセット50は、鋼製のプレートであり、ガセットプレートともいう。ガセット50は、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)によって、上ダイアフラム30と下ダイアフラム40の間で、柱の側面に接合されている。ガセット50は、梁20のウェブ26とボルト接合するための穴50Haと、方づえ60とボルト接合するための穴50Hbとを有する。穴50Haは、柱の軸方向と平行に、ウェブの端面に沿って、複数個配列されている。また、穴50Hbは、柱側の穴が下に位置するように斜めに複数個配列されている。ガセット50は、正方形断面の柱10の4面にそれぞれ設けられている。そして、各ガセット50の下端面は、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)によって、下ダイアフラム40と接合されている。ガセット50は、下ダイアフラムに溶接接合されることによって、方づえ60から受ける力に対する耐力が向上する。なお、ガセット50は、必要に応じて、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)によって、上ダイアフラム30に接合されても良い。図2によれば、ガセット50は、接合する梁の桁高さに応じて形状が異なっている。しかし、ガセット50の形状は、必ずしも梁の桁高さに応じて変える必要はなく、同じ形状であっても良い。
【0023】
方づえ60は、柱10と梁20の接合部に設けられる斜材であり、アングル材(断面が山形をなす形鋼)又は溝形鋼などにより構成される。方づえ60は、柱側に接合されたガセット50とボルト接合するための穴60Haと、梁側に接合されたガセット28とボルト接合するための穴60Hbとを有する。穴60Haと穴60Hbは、それぞれ、方づえ60の長手方向に沿って、複数個配列されている。そして、方づえ60は、柱側のガセット50と梁側のガセット28の両側に2つ設けられ、各ガセットを挟んで両側から接合を行う。これにより、梁側のガセット28と柱側のガセット50は、方づえ60を介して、接合される。方づえ60は、柱側のガセット50と梁側のガセット28に接合されると、方づえ60の軸力によって、梁20からの荷重をガセット50に伝達する。ガセット50は柱10と下ダイアフラム40に接合されており、ガセット50が方づえ60から荷重を受けると、ガセット50が接合された柱10及び下ダイアフラム40の全体で荷重を受けるため、応力が集中しないので、ガセット50や下ダイアフラム40の破損や破壊が生じにくい。
【0024】
スプライスプレート70は、鋼製の添え板であり、ガセット50とボルト接合するための穴70Haと、梁20のウェブ26とボルト接合するための穴70Hbとを有する。穴70Haは、柱の軸方向と平行に、ウェブの端面に沿って、複数個配列されている。また、穴70Hbは、ウェブの端面に沿って、複数個配列されている。そして、スプライスプレートは、ガセット50とウェブ26の両側に2つ設けられ、両側からガセット50とウェブ26とを挟むように設けられる。スプライスプレート70は、ガセット50とウェブ26に接合されると、梁からの軸力及びせん断応力を伝達する。
【0025】
上記の構成によれば、四方から取り付けられる複数の梁20のうち、少なくとも1つの梁が他の梁と桁高さが異なっていても、方づえ60によって接合部の調整を図ることができる。その結果、梁の部材選定が拘束されずに済むので、より自由度の高い設計を行うことができる。ただし、四方から取り付けられる複数の梁の桁高さが同じであっても良いことは言うまでもない。梁の桁高さが揃っている場合であっても、梁の桁高さが揃っていないときと同じ構成で柱と梁を接合できれば、部材の選定の自由度を高めることができるからである。
【0026】
また、上記の構成によれば、部分溶込み溶接又は隅肉溶接だけであるので、溶接作業が容易である。また、溶接量が少ないので、接合部の性能が溶接技術者の技能に左右されずに済む。また、完全溶込み溶接がないため、超音波探傷検査を必要としないので、接合部の性能及び品質の管理が容易になる。
【0027】
なお、上記の説明において、『部分溶込み溶接』とは、溶接断面上において溶込み部分を母材の板厚より意図的に小さくした溶接をいう。また、『隅肉溶接』とは、2枚の鋼板を互いに直角に合わせ、その両母材の接触部に溶着金属を用いて接合した溶接をいう。
【0028】
さらに、上記の構成によれば、梁は、二つのフランジのうちの上フランジのみが直接的に柱に接合され、下フランジは直接的には柱に接合されずに方づえを介して間接的に接合されている。そのため、梁20からの曲げ応力は、上ダイアフラム30と方づえ60を介して受けることになる。一方、上記の構成によれば、上ダイアフラム30と方づえ60(方づえ60とガセット50との接合部)との距離を大きく取ることができる。したがって、梁20から大きな曲げ応力を受けたとしても、上ダイアフラム30や方づえ60(又は下ダイアフラム40やガセット50)の接合部の破断が生じにくい。特に、上ダイアフラム30、下ダイアフラム40及びガセット50に施した溶接部の破断が生じにくいという利点もある。
【0029】
次に、本実施形態の構造体の製造方法について説明する。なお、以下の説明は、図3と図4を参照すれば分かりやすい。
【0030】
最初に、柱部材の製作を行う。柱部材は、柱10、上ダイアフラム30、下ダイアフラム40及びガセット50によって構成される。まず、上ダイアフラム30及び下ダイアフラムは、一枚板の鋼板から、中央部を柱の断面と略同形状の貫通穴を切り取る(但し、ダイアフラムが鋳鋼製の場合は、鋳物によって、貫通穴を有する形状を製造する)。そして、上ダイアフラム30と下ダイアフラムの貫通穴に柱10を挿入する。上ダイアフラム30は、梁20の上フランジ22の設計上の位置で、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)により接合される。また、下ダイアフラム40は、梁20の下フランジ24の設計上の位置よりも下側の任意の位置で、溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)により接合される。さらに、接合部が柱の軸に平行になるように、ガセット50を柱10に溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)により接合する。そして、ガセット50と下ダイアフラム40とを溶接(例えば、完全溶けこみ溶接でも良いが、望ましくは隅肉溶接又は部分溶込み溶接)により接合する。以上の工程を経て、柱部材が製作される。
【0031】
次に、梁20の下フランジ24にガセット28を溶接(例えば、完全溶けこみ溶接等)によって接合する。
【0032】
次に、現場において、この柱部材を建方し、梁20と接合させる。まず、梁20の上フランジ22の穴22Hと上ダイアフラム30の穴30Hとを重ね、梁20の上フランジ22と上ダイアフラムとを高力ボルトにより接合する。そして、ガセット50とウェブ26の両側にスプライスプレート70を添えて、ガセット50の穴50Haとスプライスプレート70の穴70Haとを重ね、ウェブ26の穴26Hとスプライスプレート70の穴70Hbとを重ね、ガセット50とスプライスプレート70とを高力ボルトにより接合し、ウェブ26とスプライスプレート70とを高力ボルトにより接合する。これにより、ガセット50とウェブ26とがボルト接合される。そして、ガセット50の穴50Hbと方づえ60の穴60Haとを重ね、ガセット28の穴28Hと方づえ60の穴60Hbとを重ね、ガセット50と方づえ60とを高力ボルトにより接合し、ガセット28と方づえ60とを高力ボルトにより接合する。これにより、方づえ60が、柱側のガセット50と梁側のガセット28に接合される。すなわち、柱側のガセット50と梁側のガセット28が、方づえ60を介して、ボルト接合される。なお、上記の説明では、予め下フランジ24にガセット28を接合した後に、梁20の上フランジ22やウェブ26を柱部材に接合していたが、これに限られるものではない。例えば、梁20の上フランジ22やウェブ26を柱部材に接合した後に、下フランジ24にガセット28を接合しても良い。
【0033】
本実施形態の製造方法によれば、部分溶込み溶接又は隅肉溶接だけであるので、溶接作業が容易である。また、溶接量が少ないので、接合部の性能が溶接技術者の技能に左右されずに済む。また、完全溶込み溶接がないため、超音波探傷検査を必要としないので、接合部の性能の管理が容易になる。
【0034】
また、現場では高力ボルトによる接合が主となるので、現場での溶接作業が無くなり、施工が容易になる。
【0035】
以上、図1〜図4までの一実施形態に基づき、本発明に係る構造体等を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは言うまでもない。特に、以下に述べる実施形態であっても、本発明に係る構造体に含まれるものである。
【0036】
図5は、他の実施形態の構造体の接合部を説明するための分解図である。同図において、前述の実施形態と同じ構成要素については同じ番号を付しているので、説明を省略する。また、前述の実施形態と同じ接合方法を用いた個所は、その接合方法についての説明を省略する。
【0037】
前述の実施形態では、梁20の上フランジ22は、柱10に取り付けられた上ダイアフラム30にボルト接合されていた。しかし、柱10と上フランジ22との接合は、これに限られるものではない。例えば、図に示す通り、上ダイアフラム30と上フランジ22との接合は、スプライスプレート70'を介して行っても良い。なお、この場合、上フランジ22の一部をウェブとともに切り欠き、上フランジ22の端部が上ダイアフラムの一辺と対向するように配置し、上ダイアフラム30とスプライスプレート70'をボルト接合し、上フランジ22とスプライスプレート70'をボルト接合する。このように構成することによって、梁20を軽量化できるとともに、梁20の製作誤差を吸収することもできる。
【0038】
また、前述の実施形態では、梁側のガセット28は、溶接によって、下フランジ24に接合されていた。しかし、梁20に設けるガセットの接合は、これに限られるものではない。例えば、図に示す通り、ガセット28'が、下フランジ24にボルト接合されても良い。なお、この場合、ガセット28'は、断面がT形をしたT形鋼であって、下フランジ24にボルト接合するための穴を有し、また、下フランジ24は、ガセット28'を接合するための穴を有する。このように構成することによって、溶接作業を減らすことができるので、梁20にガセットを取り付ける作業が容易になる。
【0039】
また、前述の実施形態では、柱側のガセット50は、溶接によって、柱10に接合されていた。しかし、柱10に設けるガセットの接合は、これに限られるものではない。例えば、図に示す通り、ガセット50'が、柱10にボルト接合されても良い。なお、この場合、ガセット50'は、断面がT形をしたT形鋼又は断面がL形をしたL形鋼であって、柱10にボルト接合するための穴を有し、また、柱10は、ガセット50'を接合するための穴を有する。このように構成することによって、溶接作業を減らすことができるので、柱10にガセットを取り付ける作業が容易になる。
【0040】
さらに別の実施形態の構造体の接合部を示す、図6は、他の実施形態の構造体の接合部を上面から見たときの概略図である。また、図7は、この実施形態に用いられる上ダイアフラムの斜視図である。同図において、前述の実施形態と同じ構成要素については同じ番号を付しているので、説明を省略する。また、前述の実施形態と同じ接合方法を用いた個所は、その接合方法についての説明を省略する。
【0041】
前述の実施形態では、柱の4方向に対してそれぞれ梁が接合されていた。しかし、柱に接合する梁の方向は、4方向に限られるものではない。例えば、図に示す通り、柱に接合する梁が3方向であっても良い。なお、この場合、上ダイアフラムは、図に示す通り、貫通穴を有する形状であることが望ましい。また、この場合も上ダイアフラムが一体的に構成されていることが望ましい。なお、この場合の下ダイアフラムは、上ダイアフラムの形状とほぼ同様である。また、不図示ではあるが、柱に接合する梁の方向が2方向であっても良いことは言うまでもない。このように構成することによって、上述の実施形態の柱と梁の接合は、構造体の中央部の柱だけでなく、構造体の辺部や隅部の柱に対しても適用することができる。
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、梁の桁高さが異なっていても、それぞれの梁を柱に接合することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態の構造体の接合部を上面から見たときの概略図である。
【図2】本実施形態の構造体の接合部を横から見たときの概略図である。
【図3】本実施形態の構造体の接合部を斜め下から見たときの図である。
【図4】構成要素を説明するための分解図である。
【図5】他の実施形態の構造体の接合部を説明するための分解図である。
【図6】他の実施形態の構造体の接合部を上面から見たときの概略図である。
【図7】図6に用いられる上ダイアフラムの斜視図である。
【図8】従来の構造体の接合部の斜視図である。
【符号の説明】
10 柱
20 梁
22 上フランジ
24 ウェブ
26 下フランジ
28 梁側のガセット
30 上ダイアフラム
40 下ダイアフラム
50 梁側のガセット
60 方づえ
70 スプライスプレート
Claims (3)
- 柱と梁の接合部を含む構造体であって、
上側及び下側のダイアフラムとガセットとが接合した柱と、
ウェブ及び上下のフランジを有し、前記下フランジにガセットを接合した梁と、
方づえと、
を備え、
前記下側のダイアフラムと柱側のガセットとが接合され、
前記上側のダイアフラムと前記上フランジとが接合され、
前記ウェブと前記柱側のガセットとが接合され、
前記方づえが前記梁側のガセットと前記柱側のガセットを挟んで両側からボルト接合されることにより、前記梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間が前記方づえを介して接合され、前記梁からの荷重が前記方づえの軸力によって前記柱側のガセットを介して前記柱及び前記下側のダイヤフラムに伝達されるように構成されている
ことを特徴とする構造体。 - 柱と梁とを接合する接合方法であって、
前記柱には、柱側のガセットと上側及び下側のダイアフラムとが接合されており、
前記梁は、ウェブ及び上下のフランジを有し
前記梁の下フランジには、梁側のガセットが接合されており、
前記柱側のガセットと前記下側のダイアフラムとが接合されており、
前記上側のダイアフラムと前記梁の上フランジとを接合し、
前記梁のウェブと前記柱側のガセットとを接合し、
前記方づえを前記梁側のガセットと前記柱側のガセットを挟んで両側からボルト接合することにより、前記梁からの荷重が前記方づえの軸力によって前記柱側のガセットを介して前記柱及び前記下側のダイヤフラムに伝達されるように、梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間を前記方づえを介して接合することを特徴とする接合方法。 - 柱と梁とを接合した構造体の製造方法であって、
前記柱には、柱側のガセットと上側及び下側のダイアフラムとが接合されており、
前記梁は、ウェブ及び上下のフランジを有し
前記梁の下フランジには、梁側のガセットが接合されており、
前記柱側のガセットと前記下側のダイアフラムとが接合されており、
前記上側のダイアフラムと前記梁の上フランジとを接合し、
前記梁のウェブと前記柱側のガセットとを接合し、
前記方づえを前記梁側のガセットと前記柱側のガセットを挟んで両側からボルト接合することにより、前記梁からの荷重が前記方づえの軸力によって前記柱側のガセットを介して前記柱及び前記下側のダイヤフラムに伝達されるように、梁側のガセットと前記柱側のガセットとの間を前記方づえを介して接合する
ことを特徴とする構造体の製造方法。
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