JP3953780B2 - 含フッ素高分子化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、含フッ素の環状単量体および分子内に2つの重合性不飽和結合を含有した単量体を必須成分に用いた重合体であって、かつ100℃以上の重合温度において過酸化物を用いて製造することにより環状単量体組成比を60モル%以上含有せしめた含フッ素高分子化合物、さらにその高分子化合物を用いた反射防止材料、感光性コーティング材料またはレジスト材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
フッ素系化合物は、フッ素の持つ撥水性、撥油性、低吸水性、耐熱性、耐候性、耐腐食性、透明性、感光性、低屈折率性、低誘電性などの特徴から先端材料分野を中心として幅広い応用分野で使用または開発が続けられている。特に、コーティング用途に関して言えば、低屈折率性と可視光の透明性を応用した反射防止膜、紫外線領域(特に真空紫外波長域)での透明性を応用したレジスト材料などの分野で活発な研究開発が行われている。これらの応用分野において共通の高分子設計としては、できるだけ多くのフッ素を導入することで各使用波長での透明性を実現しつつ、基板への密着性、高いガラス転移点(硬度)を実現させようとするものである。
【0003】
しかしながら、材料設計としてフッ素含量を高める工夫により各波長での透明性を高めることは種々提案されているが、フッ素含有単量体そのものに同時に親水性、密着性を高める工夫や高Tgを得る工夫をしている例は少ない。最近になって、特に真空紫外線領域の次世代F2レジスト分野においてヒドロキシ基含有のフッ素系スチレンやヒドロキシ基含有のフッ素系ノルボルネン化合物が発表されたことで、フッ素を含有し、かつヒドロキシ基の極性を共存させる考え方が見られるようになってきた。しかしながら、まだまだ反射防止膜に必要とされる十分な低屈折率が得られてなく、または紫外線での透明性とエッチング耐性の両立が不十分であったりと改善するべき要因は多く存在している。したがってこれら既存の化合物が発揮しうる機能は必ずしも充分ではなく、更に優れた高分子化合物を与え得る新規な単量体あるいはその原料の創出が望まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、高いフッ素含量を有しながら、同一分子内に極性基を持たせることで、かつ基板への密着性や高い成膜性を併せ持つ新規な高分子化合物、さらにはその高分子化合物をコーティングした反射防止材料、感光性コーティング材料またはレジスト材料を提供することにある。その目的のために最近になってヘキサフルオロカルビノール基を側鎖に有したノルボルネン系モノマーが開発され、無水マレイン酸、テトラフルオロエチレン、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステルなどと共重合した高分子が報告されている。しかしながら、無水マレイン酸の場合は交互共重合体となりその結果紫外光領域とくに真空紫外域での透明性が不十分である欠点が生じたり、テトラフルオロエチレンとの共重合ではTgが低下したり撥水性が強くなり成膜性が低下する欠点があった。さらにαトリフルオロメチルアクリル酸エステルとの共重合ではその共重合比が2:1(H.Ito et al.,Proc.SPIE Vol.4345,p273)となりやすく、その結果ヘキサフルオロカルビノール基を側鎖に有したノルボルネン系単量体組成比を40モル%以上含有させることが困難であった。
【0005】
一方、金属触媒を使用したノルボルネン化合物のビニル付加重合ではノルボルネン単独の重合も可能であることが報告されているが、重合触媒のメタル成分を除去する事が難しい欠点が生じていた。そのためにテキサス大学の研究チームが高温下におけるラジカル重合でノルボルネン系化合物の単独重合を実現させた(Sungseo Cho ドクター論文)が、この場合の重量平均分子量は2000程度であり、分子量を実用化に適切な範囲まで高くすることが難しいとの欠点が生じていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、少なくとも一般式(1)および一般式(2)を分子内に有する重合体が、透明性、密着性、重合度などの面でこれまでにない性能を示すことを見出した。またこの重合を行う場合100℃以上の重合温度において過酸化物を用いて製造する方法を用いたところ、メタル系の開始剤を使用せずに一般式(1)の単量体組成比を60モル%以上に含有せしめることに成功し、かつ適切な分子量を実現した。さらに、このようにして得られた含フッ素高分子化合物をコーティング材料に用いることによって、反射防止膜材料、感光性材料またはレジスト材料などの分野で十分な性能が発現することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は、
[1]. 少なくとも一般式(1)
【0008】
【化3】
【0009】
[式中、R1、R2、R3、R4は水素原子、フッ素原子、その他のハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状もしくは環状構造を有するアルキル基またはフルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基またはこれらの複合された官能基であって、エステル結合、エーテル結合を有してもよく、かつ少なくともR1〜R4の一つ以上はフッ素が含有された官能基である。また、R2およびR3は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい。]で表されるノルボルネン脂環族および一般式(2)
【0010】
【化4】
【0011】
[式中、R5、R6はアルキル基またはフルオロアルキル基であって、少なくともどちらか一方にはフッ素原子を一つ以上含有する。R7は酸素またはCH2である。]の主鎖を形成する同一炭素に一つ以上のフッ素を含有するフルオロアルキル基を有する繰り返し単位を分子内に有する含フッ素高分子化合物
[2].主鎖を形成する同一炭素に複数のCF3を同時に直接結合した構成単位であるヘキサフルオロアセトンまたはヘキサフルオロイソブテンを重合性単量体に用いることによって一般式(2)の繰り返し単位を構成する上記1記載の含フッ素高分子化合物
[3].上記[1]または[2]記載の一般式(1)および一般式(2)の繰り返し単位を有する重合体であって、かつ100℃以上の重合温度において過酸化物を用いて重合することにより一般式(1)の繰り返し単位の組成比を60モル%以上、一般式(2)の繰り返し単位の組成比を2モル%以上に含有せしめた含フッ素高分子化合物
[4].第3成分としてジアクリレート、ジメタクリレート、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエステルから選ばれた少なくとも一種以上の重合性化合物を用いて製造した上記[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素高分子化合物
[5]. 第3成分として無水マレイン酸、アクリル酸エステル系または含フッ素アクリル酸エステル系単量体から選ばれた少なくとも一種以上の重合性化合物を用いて製造した上記[1]〜[3]のいずれかに記載の含フッ素高分子化合物[6]. 上記[1]〜[5]記載の含フッ素高分子化合物を含有した反射防止膜材料、感光性コーティング材料またはレジスト材料
である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0013】
本発明で使用できる一般式(1)で表されるノルボルネン化合物由来の繰り返し単位は、
【0014】
【化5】
【0015】
[式中、R1、R2、R3、R4は水素原子、フッ素原子、その他のハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状もしくは環状構造を有するアルキル基またはフルオロアルキル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、シアノ基またはこれらの複合された官能基であって、エステル結合、エーテル結合を有してもよく、かつ少なくともR1〜R4の一つ以上はフッ素が含有された官能基である。また、R2およびR3は環を形成してもよく、その場合は酸素、硫黄、窒素等のヘテロ原子を含んでもよい。]である。
【0016】
すなわち、本発明による一般式(1)の繰り返し単位を与える重合性単量体としてのノルボルネン化合物は下記に限定される。
【0017】
【化6】
【0018】
などが一例として挙げられる。
【0019】
また本発明による一般式(1)のR1〜R4には酸不安定基を含ませることが可能である。その構造は特に制限なく一般的に使用されているものや報告されている酸不安定基が使用可能であり、例えば前述の列記したようなノルボルネン化合物のCOOHまたはOHに対して酸不安定基を付与した化合物が使用できる。一般的な酸不安定基としては、tert−ブチル構造などを有し酸によってそのエステル部位が切断されるもの、3級の環状を含むアルコールをエステル化したものなどが使用でき、例えば、tert−ブチル基、tert−ブトキシカルボニル基、鎖状または環状エーテル基、環状構造を有するラクトン基、メチルアダマンタンやエチルアダマンタンなどが挙げられる。こういった酸不安基を用いた高分子化合物は活性エネルギー線が照射される前にはアルカリ性水溶液に不溶もしくは難溶であって、活性エネルギー線を照射したことにより酸発生剤から発生した酸により加水分解されアルカリ性水溶液に対して溶解性を示すようになる。さらに前述の列記したようなノルボルネン化合物のCOOHまたはOHに対して炭化水素または含フッ素炭化水素をエーテル化またはエステル化した構成単位もそれが酸不安定基でなくても使用することが可能である。
【0020】
本発明で使用できる一般式(2)で表される繰り返し単位は
【0021】
【化7】
【0022】
[式中、R5、R6はアルキル基またはフルオロアルキル基であって、少なくともどちらか一方にはフッ素原子を一つ以上含有する。R7は酸素またはCH2である。]である。
【0023】
すなわち一般式(2)で表される構成単位は、主鎖を形成する同一炭素に一つ以上のフッ素を含有するフルオロアルキル基を有する重合性単量体によって得られる。すなわち、かかる重合性単量体としては一般式(2)のR5またはR6が少なくとも一カ所にフルオロアルキル基を有していればその構造には制限されないが、好適な化合物を例示するならば、同一炭素に複数のCF3が直接結合した重合性単量体であるヘキサフルオロアセトン、ヘキサフルオロイソブテンを挙げることができる。ヘキサフルオロアセトンの場合は分子主鎖にエーテル結合を含有する特定の構造を有する重合体である。両者とも主鎖の同一炭素に複数のCF3が直接結合することで分子運動を抑制することが可能となり、その結果ガラス転移点を高めることが可能となる。またこれらのCF3は樹脂の紫外線領域での透明性を高める働きを有している。特に真空紫外域の透明性は効果的に高めることが可能である。本発明で使用できる一般式(2)の共重合体中の組成比は2モル%以上の範囲で使用されることが望ましく、より好適には2モル%以上40モル%以下の範囲である。2モル%未満の添加量では透明性や製造時の分子量の増大には影響せず、40モル%を越えると、密着性が低下するなどの実用上の問題点が生じる。
【0024】
本発明にかかる高分子化合物の重合方法としては、ラジカル重合が採用され、ラジカル重合開始剤あるいはラジカル開始源の存在下で、塊状重合、溶液重合、懸濁重合または乳化重合などの公知の重合方法により、回分式、半連続式または連続式のいずれかの操作でおこなえばよい。ラジカル重合開始剤としては特に限定されるものではないが、例としてアゾ系化合物、過酸化物系化合物、レドックス系化合物が挙げられ、その際の重合温度はそれぞれの開始剤に最適な温度範囲が存在する。
【0025】
さらに本発明では100℃以上の重合温度を採用することで一般式(1)を60モル%以上含有せしめることが容易に可能となる。この場合、好ましくは、t−ブトキシラジカルが発生する過酸化物がノルボルネンに対する攻撃性が高いことから好ましく採用される。すなわち、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンなどが最も好ましく使用できるが、必ずしもこれらに限定されるわけではない。
【0026】
本発明の重合反応に用いる反応容器は特に限定されない。また、重合反応においては、重合溶媒を用いてもよいが、ラジカルの連鎖移動をできるだけ低減する必要があることから、溶剤は使用しないかできるだけ少量の溶剤量とすべきか、または連鎖移動の極端に少ない溶媒が特に好適である。そのうえで使用できる重合溶媒の代表的な例としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチルなどのエステル系、アセトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系、トルエン、シクロヘキサンなどの炭化水素系、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール系溶剤などがある。また水、エーテル系、環状エーテル系、フロン系、芳香族系、フルオロカーボン類、パーフルオロエーテル類などの種々の溶媒を使用することも可能である。これらの溶剤は単独でもあるいは2種類以上を混合しても使用できる。
【0027】
このようにして得られる本発明にかかる高分子化合物の数平均分子量としては、通常、2,000〜100,000、好ましくは3,000〜50,000の範囲が適切である。
【0028】
本発明によると、前述した一般式(1)、(2)の化合物を必須成分とし、前述の重合処方に従えば、第3成分として他の重合性単量体を特に制限無く使用することができる。
【0029】
本発明では特に好ましい第3成分としてジアクリレート、ジメタクリレート、ジビニルエーテル、ジアリルエーテル、ジビニルベンゼン、ジビニルエステルから選ばれた分子内に2つの重合性不飽和結合を有する重合性化合物、また無水マレイン酸、アクリル酸エステル系または含フッ素アクリル酸エステル系単量体から選ばれた少なくとも一種以上の重合性化合物を挙げることができる。
【0030】
すなわち、分子内に2つの重合性不飽和結合を含有した化合物を用いることで重合時に一定の割合で架橋反応が進行し、適切な分子量範囲を容易に達成することが可能となる。また本発明によれば一般式として分子内に2つの重合性不飽和結合を含有した化合物を規定しているが、分子内に3つ以上の重合性不飽和結合を含有した化合物も同様の効果を示す化合物として使用することができる。
【0031】
本発明で使用できる分子内に2つ以上の重合性不飽和結合を含有した化合物は、構造上の制限は特にないが、具体的に例示するならばエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、シクロヘキサンジオール、アダマンタンジオール、などのジオールに対してアクリロイル基やメタクリロイル基を付与したジアクリレートあるいはジメタクリレート、ジビニルエーテル、ジアリルエーテルなど、また、アジピン酸、マレイン酸、コハク酸、フルオロアルキルジカルボン酸などをエステル結合で合成したジビニルエステル、さらにはジエポキシドやジイソシアネートなどを出発原料にしたジアクリレートあるいはジメタクリレート、ジビニルエーテル、ジアリルエーテルなど、さらに言えばジビニルベンゼンなどの化合物も好適に採用される。これらの構造中にはフッ素、フルオロアルキル基が含まれても良く、例えばジ−αCF3アクリレートなども好適に使用できる。
【0032】
一方、第3成分として無水マレイン酸、アクリル酸エステル系または含フッ素アクリル酸エステル系単量体などのいわゆるカルボニル含有モノマーを少なくとも一種以上使用することができる。
【0033】
まず、本発明で言うアクリル酸エステルにはメタクリル酸エステルも包含され、エステル側鎖について特に制限なく使用できる。具体的に例示するならば、メチルアクリレートート又はメタクリレート、エチルアクリレート又はメタクリレート、n‐プロピルアクリレート又はメタクリレート、イソプロピルアクリレート又はメタクリレート、n‐ブチルアクリレート又はメタクリレート、イソブチルアクリレート又はメタクリレート、n‐ヘキシルアクリレート又はメタクリレート、n‐オクチルアクリレート又はメタクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート又はメタクリレート、ラウリルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシエチルアクリレート又はメタクリレート、2‐ヒドロキシプロピルアクリレート又はメタクリレートなどのアクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステル、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール基を含有したアクリレート又はメタクリレート、さらにアクリルアミド、メタクリルアミド、N‐メチロールアクリルアミド、N‐メチロールメタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドなどの不飽和アミド、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルコキシシラン含有のビニルシランやアクリル酸またはメタクリル酸エステル、t−ブチルアクリレート又はメタクリレート、3‐オキソシクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、アダマンチルアクリレート又はメタクリレート、アルキルアダマンチルアクリレート又はメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート又はメタクリレート、トリシクロデカニルアクリレート又はメタクリレート、ラクトン環やノルボルネン環などの環構造を有したアクリレートまたはメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸などが使用できる。さらにαシアノ基含有の上記アクリレート類化合物などを共重合することも可能である。
【0034】
また、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタクリル酸エステルとしては、フッ素原子を有する基がアクリルのα位またはエステル部位に結合したアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであれば特に制限なく使用できる。また、α位にシアノ基が導入されていても良い。例えば、α位に含フッ素アルキル基が導入された単量体は、上述した非フッ素系のアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルであって、α位にトリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ノナフルオロ−n−ブチル基などが付与された単量体が好適に採用される。一方、そのエステル部位がパーフルオロアルキル基、フルオロアルキル基であるフッ素アルキル基や、またエステル部位に環状構造とフッ素を共存する単位であって、その環状構造が例えばフッ素やトリフルオロメチル基で置換された含フッ素ベンゼン環、含フッ素シクロペンタン環、含フッ素シクロヘキサン環、含フッ素シクロヘプタン環等を有する単位などを有するアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルである。またエステル部位が含フッ素のt−ブチルエステル基であるアクリル酸またはメタクリル酸のエステルなども使用可能である。そのような単位のうち特に代表的なものを単量体の形で例示するならば、2,2,2−トリフルオロエチルアクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルアクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルアクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルアクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルアクリレート、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピルメタクリレート、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、ヘプタフルオロイソプロピルメタクリレート、1,1−ジヒドロヘプタフルオロ−n−ブチルメタクリレート、1,1,5−トリヒドロオクタフルオロ−n−ペンチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロトリデカフルオロ−n−オクチルメタクリレート、1,1,2,2−テトラヒドロヘプタデカフルオロ−n−デシルメタクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルアクリレート、パーフルオロシクロヘキシルメチルメタクリレートなどが挙げられる。
【0035】
またその他の第3成分として使用可能な共重合単位を具体的に例示するならば、少なくとも、オレフィン、含フッ素オレフィン、ノルボルネン化合物、スチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテルなどの単量体が好適であり、これらの単量体側鎖に酸不安定基を含有変性せしめた化合物も第3成分として採用される。
【0036】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレンなど、フルオロオレフィンとしては、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、含フッ素環状オレフィンなどが例示できる。
【0037】
ノルボルネン化合物は、一核または複数の核構造を有するノルボルネン単量体であって、これらは特に制限なく共重合することが可能である。この際、アリルアルコール、アクリル酸、メタクリル酸、本明細書で記載したすべてのアクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステルなどの不飽和化合物と、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエンとを用いてDiels Alder付加反応を行ったノルボルネン化合物が好ましく採用される。
さらにスチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルシランなども使用することができる。ここでスチレン系化合物、含フッ素スチレン系化合物としてはスチレン、フッ素化スチレン、ヒドロキシスチレンなどの他、ヘキサフルオロアセトンを付加したスチレン系化合物、トリフルオロメチル基で水素を置換したスチレンまたはヒドロキシスチレン、α位にハロゲン、アルキル基、含フッ素アルキル基が結合した上記スチレンまたは含フッ素スチレン系化合物などが使用可能である。一方、ビニルエーテル、含フッ素ビニルエーテル、アリルエーテル、ビニルエステルなども導入することが可能であり、例えば、メチル基、エチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシブチル基などのヒドロキシ基を含有しても良いアルキルビニルエーテルであって、その水素の一部または全部がフッ素で置換されていても良い。またシクロヘキシルビニルエーテルやその環状構造内に水素やカルボニル結合を有した環状型ビニルエーテル、またそれらの環状型ビニルエーテルの水素の一部または全部がフッ素で置換された単量体も使用できる。なお、アリルエーテル、ビニルエステル、ビニルシランについても公知の化合物であれば特に制限なく使用することが可能である。またこれらの共重合性化合物は単独使用でも2種以上の併用でもよい。
【0038】
本発明によれば重合後、有機溶剤に溶解させ、コーティング材料とすることができる。次に本発明による応用分野について記述する。本発明はコーティング用途を基本としており、通常は本発明の高分子化合物を有機溶媒に溶解させて成膜させることで応用に供する。したがって、使用する有機溶媒としては高分子化合物が可溶であれば特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソアミルケトン、2‐ヘプタノンなどのケトン類や、エチレングリコール、エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコール、又はジプロピレングリコールモノアセテートのモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル又はモノフェニルエーテルなどの多価アルコール類及びその誘導体や、ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類、キシレン、トルエンなどの芳香族系溶媒、フロン、代替フロン、パーフルオロ化合物、ヘキサフルオロイソプロピルアルコールなどのフッ素系溶剤、塗布性を高める目的で高沸点弱溶剤であるターペン系の石油ナフサ溶媒やパラフィン系溶媒などが使用可能である。これらは単独で用いてもよいし、2種以上混合して用いてもよい。
【0039】
本発明による反射防止膜としては、本発明による高分子化合物をガラス、プラスチック、液晶オパネル、プラズマディスプレーパネル、エレクトロルミネッセンスパネルなどの表面に極薄膜でコーティングしたものであり、単層または他の屈折率を有する薄膜と組み合わせて使用することもできる。反射防止性能を高めるためには高分子化合物の可視光線における屈折率を1.42以下にする必要があり、好ましくは1.4以下である。通常、フッ素含量が高いほど屈折率が低下するが、一方でフッ素含量が高まった場合、基材との密着性が低下する欠点がある。その場合、本発明による一般式(1)〜(5)の単量体でR3が水素のアルコール側鎖の単量体を重合することで基材への密着性を高めることが可能である。本発明による反射防止膜の膜厚としては被コート物の屈折率によって異なるが、一般的に500から2000オングストロームの範囲である。
【0040】
本発明によるレジスト用途としては、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化する高分子化合物および酸発生剤を基本組成に含有するポジ型レジスト組成物が最も好ましい。特に最近の半導体の微細化に対応した193nmのArFエキシマレーザーや157nmに代表される真空紫外領域のF2レーザー用ポジ型レジストとして好適である。すなわち、酸の作用によりアルカリ性水溶液に対する溶解性が変化する高分子化合物として応用される。使用できる酸不安定基としては一般式(1)のR1〜R4のいずれか一つ以上、また第3成分の側鎖などに導入することで、その目的が達成される。
【0041】
本発明組成物に用いられる光酸発生剤については特に制限はなく、化学増幅型レジストの酸発生剤として用いられるものの中から、任意のものを選択して使用することができる。このような酸発生剤の例としては、ビススルホニルジアゾメタン類、ニトロベンジル誘導体類、オニウム塩類、ハロゲン含有トリアジン化合物類、シアノ基含有オキシムスルホネート化合物類、その他のオキシムスルホネート化合物などが挙げられる。これらの酸発生剤は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、また、その含有量は、高分子化合物100重量部に対して、通常0.5〜20重量部の範囲で選ばれる。この量が0.5重量部未満では像形成性が不十分であるし、20重量部を超えると均一な溶液が形成されにくく、保存安定性が低下する傾向がみられる。
【0042】
本発明のレジストの使用方法としては、従来のフォトレジスト技術のレジストパターン形成方法が用いられるが、好適に行うには、まずシリコンウエーハのような支持体上に、レジスト組成物の溶液をスピンナーなどで塗布し、乾燥して感光層を形成させ、これに露光装置などにより、エキシマレーザー光を所望のマスクパターンを介して照射し、加熱する。次いでこれを現像液、例えば0.1〜10重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液のようなアルカリ性水溶液などを用いて現像処理する。この形成方法でマスクパターンに忠実なパターンを得ることができる。
【0043】
本発明の応用分野は、さらに所望により混和性のある添加物、例えば付加的樹脂、クエンチャー、溶解性抑止剤、可塑剤、安定剤、着色剤、界面活性剤、増粘剤、レベリング剤、消泡剤、相溶化剤、密着剤、酸化防止剤などの種々添加剤を含有させることができる。
【0044】
【実施例】
次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
【0045】
[合成例1] 3−(5−ビシクロ[2.2.1]ヘプテン−2−イル)−1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)−2−プロパノール(以下BTHB−NBと表記)の合成
300mlの耐圧容器に1,1,1−トリフルオロ−2−(トリフルオロメチル)ペンタ−4−エン−2−オール 115.4gとジシクロペンタジエン 59.6gを入れ、180℃で48時間反応を行った。反応終了後、得られた粗生成物を減圧下で蒸留し、目的のBTHB−NB(下図) 28.2gを得た。
【0046】
【化8】
【0047】
[合成例2]t−ブチル (2−トリフルオロメチル)アクリレート(以下TFMA−Bと表記)の合成
1Lの耐圧容器に2−トリフルオロメチルアクリル酸 82.0gと600mlのt−ブチルメチルエーテルを入れ、容器内を窒素置換する。その後、イソブテン 209gを仕込み、ドライアイス−メタノールで冷却して、濃硫酸 14gを仕込んだ。反応液を撹拌しながら徐々に室温に戻し、そのまま30時間反応を行った。反応終了後、反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、溶媒を留去後、減圧下に蒸留を行って目的のTFMA−B(下図) 60gを得た。
【0048】
【化9】
【0049】
[合成例3]t−ブチル 2−(トリフルオロメチル)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン−2−カルボキシレート(以下TFMA−NB−Bと表記)の合成
200mlの三口フラスコに39.2gのTFMA−B、100mlのトルエンを入れ、撹拌しながら15.9gのシクロペンタジエンを滴下した。室温で24時間反応を行った後、溶媒を留去、減圧下に蒸留を行い、目的のTFMA−NB−B(下図) 42.0gを得た。
【0050】
【化10】
【0051】
[合成例4]ブチレングリコールジ(2−トリフルオロメチル)アクリレートの合成
1Lの三口フラスコに45.06gのブチレングリコール、111.3gのトリエチルアミン、500mlの塩化メチレンを入れ撹拌、氷冷し、166.48gの2−トリフルオロメチルアクリル酸クロリドを滴下した。滴下終了後、反応液を室温に戻し、そのまま8hr反応を継続した。反応終了後、飽和炭酸水素ナトリウムで反応液を洗浄し溶媒を留去、減圧下で蒸留を行い目的物 116.98gを得た。
【0052】
実施例1−4
[実施例1]
150mlの耐圧容器に39.70gのBTHB−NB、10.30gのヘキサフルオロアセトン、18.02gのジ−t−ブチルパーオキシドを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後130℃で24hr反応を行った。反応終了後、得られた粘調な液体をテトラヒドロフラン20mlに溶解し、n−ヘキサン1000mlで再沈殿させた後ろ過して粗ポリマーを得た。得られた粗ポリマーを再度テトラヒドロフラン20mlに溶解、n−ヘキサン1000mlで再沈殿を行い、精製、ろ別したポリマーは減圧下で乾燥した。得られたポリマーの重量は16.2g、数平均分子量2300、重量平均分子量2900であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比よりBTHB−NBとヘキサフルオロアセトンのモル比は69/31と算出された。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.361と低い値を示した。
【0053】
[実施例2]
150mlの耐圧容器に39.80gのBTHB−NB、10.20gのヘキサフルオロイソブテン、10.84gのt−ブチルパーオキシピバレートを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後75℃で24hr反応を行った。反応終了後、実施例 1と同様の操作で再沈殿、精製を行い、13.8gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は2700、重量平均分子量は3100であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比よりBTHB−Bとヘキサフルオロイソブテンのモル比は71/29と算出された。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.363と低い値を示した。
【0054】
[実施例3]
150mlの耐圧容器に37.45gのBTHB−NB、10.47gのヘキサフルオロアセトン、2.08gのアジピン酸ジビニル、25.51gのジ−t−ヘキシルパーオキシドを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後120℃で24hr反応を行った。反応終了後、実施例1と同様の操作で再沈殿、精製を行い、21.5gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は3600、重量平均分子量は6600であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比よりBTHB−NBとヘキサフルオロアセトンのモル比は68/32と算出された。ポリマーのフッ素含量は45.5重量%であり、BTHB−NBとヘキサフルオロアセトンの合計モル比は95%と算出された。
また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.365と低い値を示した。
【0055】
[実施例4]
150mlの耐圧容器に18.86gのBTHB−NB、18.04gのTFMA−NB−B、6.53gのヘキサフルオロアセトン、6.57gのブチレングリコールジ(2−トリフルオロメチル)アクリレート、31.82gのジ−t−ヘキシルパーオキシドを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後120℃で24hr反応を行った。反応終了後、実施例 1と同様の操作で再沈殿、精製を行い、16.4gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は3800、重量平均分子量は7300であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比よりBTHB−NB、TFMA−NB−B、ヘキサフルオロアセトン、ブチレングリコールジ(2−トリフルオロメチル)アクリレートのモル比は35/35/19/11と算出された。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.369と低い値を示した。
【0056】
[実施例5]
150mlの耐圧容器に27.22gのBTHB−NB、15.62gのTFMA−NB−B、4.94gのヘキサフルオロアセトン、2.21gのメチルアダマンチルメタクリレート、20.09gのジ−t−ヘキシルパーオキシドを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後120℃で24hr反応を行った。反応終了後、実施例 1と同様の操作で再沈殿、精製を行い、21.5gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は3100、重量平均分子量は3800であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比よりBTHB−NB、TFMA−NB−B、ヘキサフルオロアセトンのモル比は51/30/14と算出された。ポリマーのフッ素含有量は36.2%であり、BTHB−NB、TFMA−NB−B、ヘキサフルオロアセトンの合計モル比は95%と算出された。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.375と低い値を示した。
【0057】
[実施例6]
150mlの耐圧容器に28.33gのBTHB−NB、16.26gのTFMA−NB−B、3.39gのヘキサフルオロイソブテン、2.03gの無水マレイン酸、33.45gのジ−t−ヘキシルパーオキシドを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後120℃で24hr反応を行った。反応終了後、実施例 1と同様の操作で再沈殿、精製を行い、20.5gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は3000、重量平均分子量は4100であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比よりBTHB−NB、TFMA−NB−B、ヘキサフルオロイソブテンのモル比は49/31/10と算出された。ポリマーのフッ素含有量は33.4%であり、BTHB−NB、TFMA−NB−B、ヘキサフルオロイソブテンの合計モル比は90%と算出された。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.383と低い値を示した。
【0058】
[実施例7]
実施例1、2、3、4で得られた精製後のポリマーをそれぞれ5重量%の固形分濃度になるように酢酸ブチルに溶解させ、次いで30ミクロン厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム上にフローコートし、90℃の熱風乾燥機で30分間乾燥したところ、実施例1、2、3、4のポリマーそれぞれに対して膜厚1050、1090、980、1010オングトローム厚みの薄膜を形成でき、それそれの650nm波長における表面反射率はそれぞれ0.98%、0.86%、1.14%、1.20%であり、低反射率の反射防止フィルムが得られた。
【0059】
次いで、得られた反射防止フィルムをサンシャインウエザオメーターで2000時間耐候性試験を行った。試験後の実施例1、2、3、4のポリマーフィルムそれぞれの表面反射率は1.11%、0.95%、1.19%、1.40%と十分な維持性を示した。
【0060】
[実施例8]
実施例5で得られた精製後のポリマーを10重量%の固形分濃度になるようにプロピレングリコールメチルエーテルアセテートに溶解させ、次いでポリマー100重量部に対して酸発生剤としてみどり化学製トリフェニルスルフォニウムトリフレート(TPS105)を2重量部になるように溶解し、レジスト溶液を調整した。これらをスピンコートし、膜厚100ナノメータの光透過率を波長157nmにて測定したところ、78%であり、真空紫外域の波長で高い透明性を発現した。
【0061】
次いで、全レジスト溶液を孔径0.2μmのメンブランフィルターでろ過した後、各組成物溶液をシリコンウェハー上にスピンコートし膜厚250ナノメータのレジスト膜を得た。110℃でプリベークを行った後、KrFエキシマレーザー248nmでの露光を行い、その後120℃でポストエクスポーザーベークを行った。次いで、2.38重量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用い、23℃で1分間、パドル法により現像したのち、純水で水洗し、乾燥した。その結果、レーザー未照射部位がテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で不溶であったのに対し、レーザー照射部位は完全に可溶状態に変化し、レジストとして必要なポジ型挙動が観察された。
【0062】
[比較例1]
50mlの三口フラスコに20gのBTHB−NB、8.53gのジ−t−ブチルパーオキシドを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後130℃で24hr反応を行った。反応終了後、実施例 1と同様の操作で再沈殿、精製を行い、7.4gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は2200、重量平均分子量は2900であった。このポリマーの屈折率は1.367と低かったが、分子量が低くそのままフィルム化することが困難であり、かつもろくフィルム表面に細かなクラックが生じた。分子鎖が全脂環族のために屈曲性に欠けたことが原因と推定された。
【0063】
[比較例2]
50mlの三口フラスコに18..36gのBTHB−NB、1.64gの無水マレイン酸、20mlの酢酸n−ブチル、1.38gのジn−プロピルパーオキシジカーボネートを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後55℃で24hr反応を行った。反応終了後、反応液を濃縮、n−ヘキサン500mlで再沈殿を行った後、得られたポリマーを再度10mlのテトラヒドロフランに溶解しn−ヘキサン500mlで再沈殿、精製を行い、3.1gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は4200、重量平均分子量は5100であった。ポリマーのフッ素含量は30.9%であり、BTHB−NBのモル比は51%と算出され、ほぼ交互の共重合体であった。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.42と高くなった。また、100nm厚みでの157nmの透過率は42%と低くなった。
同様に50mlの三口フラスコに17.12gのBTHB−NB、1.22gの無水マレイン酸、1.65gのアジピン酸ジビニル、20mlの酢酸n−ブチル、1.37gのジn−プロピルパーオキシジカーボネートを入れ、同様の操作で重合、精製を行ったところ、2.8gのポリマーが得られた。得られたポリマーの数平均分子量は4800、重量平均分子量は7200であった。ポリマーのフッ素含量は27.2重量%であり、BTHB−NBのモル比は41%と算出された。
【0064】
[比較例3]
50mlの三口フラスコに16.97gのBTHB−NB、3.03gのTFMA−B、20mlのトルエン、2.16gのt−ブチルパーオキシピバレートを入れ、フラスコ内を減圧、窒素置換した後55℃で24hr反応を行った。反応終了後、反応液を濃縮、n−ヘキサン500mlで再沈殿を行った後、得られたポリマーを再度10mlのテトラヒドロフランに溶解しn−ヘキサン500mlで再沈殿、精製を行い、2.8gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は3900、重量平均分子量は4500であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比より、BTHB−NBのモル比は32%と算出され、60モル%以上の組成比は達成できなかった。また、得られた精製後のポリマーのナトリウムD線による20℃における屈折率は1.40と高くなった。また、100nm厚みでの157nmの透過率は49%と低くなった。
【0065】
同様に50mlの三口フラスコに16.14gのBTHB−NB、2.31gのTFMA−B、1.56gのアジピン酸ジビニル、20mlのトルエン、2.18gのt−ブチルパーオキシピバレートを入れ同様の操作で重合、精製を行い、2.4gのポリマーを得た。得られたポリマーの数平均分子量は4100、重量平均分子量は7600であった。ポリマーの19F−NMRスペクトルのピーク強度比より、BTHB−NBとTFMA−Bのモル比は39/61と算出された。ポリマーのフッ素含量は25.8重量%であり、BTHB−NBとTFMA−Bの合計のモル比は71%と算出された。以上より、BTHB−NBの組成比は28モル%と算出され60モル%以上の組成比は達成できなかった。
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