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JP3951931B2 - 溶接制御方法及び消耗電極式パルスアーク溶接装置 - Google Patents

溶接制御方法及び消耗電極式パルスアーク溶接装置 Download PDF

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JP3951931B2 JP2003032147A JP2003032147A JP3951931B2 JP 3951931 B2 JP3951931 B2 JP 3951931B2 JP 2003032147 A JP2003032147 A JP 2003032147A JP 2003032147 A JP2003032147 A JP 2003032147A JP 3951931 B2 JP3951931 B2 JP 3951931B2
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仁志 西村
晶 中川
稔朗 正井
明尚 島田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、消耗電極(以下、ワイヤと称する)を自動送給し、ワイヤと溶接母材(以下、母材と称する)間にピーク電流とベース電流とを交互に繰り返し供給して溶接出力制御を行う溶接制御方法及び消耗電極式パルスアーク溶接装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年では生産性を向上させるために溶接の低スパッタに対する要求が一段と高まってきている。特にアークスタート時及びワークの位置ズレ等による突出し長さが変化するときの低スパッタ化が要求されている。
【0003】
従来の消耗電極式パルスアーク溶接機は、短絡発生時に短絡発生直前の溶接電流にかかわらず所定の第一の電流傾度で溶接電流を上昇し所定の電流値に到達すると第一の傾きと異なる所定の第二の電流傾度で溶接電流を上昇させ短絡開放時の溶接電流を低下させることでスパッタの抑制を行っていた。(例えば特許文献1参照)
図3は上記従来の消耗電極式パルスアーク溶接機を示しており、1は入力電源、2は第1整流部、3はインバータ回路部、4は主変圧器、5は第2整流部、6はリアクタ、7は溶接電圧検出部、8はアーク短絡判定部、9は溶接電流検出部、22はトーチ、23はワイヤ、24は母材、25はワイヤ送給装置、31は第一傾度設定部、32は第二傾度設定部、33は屈曲点判定回路部、34は第二のスイッチング回路部、35は第一のスイッチング回路部、36は増幅部である。
【0004】
以上のように構成された消耗電極式パルスアーク溶接機について説明する。所定の第二の電流傾度を第一の電流傾度より小さくしておくと、短絡発生時の溶接電流値が所定の第一傾度で上昇し所定の電流値に到達すると第二傾度に切り替えるため短絡開放時の溶接電流値が高くなるのを抑制する。これによりスパッタの多量発生を抑制すると共に溶接を安定させていた。
【0005】
【特許文献1】
特許第3156033号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の消耗電極式パルスアーク溶接機は通常溶接時のスパッタ抑制は可能となったが、アークスタート時及びワークの位置ズレ等の突出し長さが変化する時等のアークが不安定となる場合にはスパッタが多いという課題を有していた。
【0007】
このようなアークが不安定となる場合には短絡発生のタイミングはベース期間に限定されない。つまりピーク期間中あるいはピーク電流への立ち上がり傾斜部、ピーク期間からの立下り傾斜部の溶接電流値が高い場合にも短絡発生するため、その電流値から電流を上昇させると短絡開放時の電流は高くなりスパッタが増加するからである。
【0008】
本発明は、上記アーク不安定時のスパッタを抑制する溶接制御方法および消耗電極式パルスアーク溶接機を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、短絡発生直前の溶接電流に応じて短絡中の溶接電流波形を切り替えスパッタの発生を抑制するものである。この制御方法により、短絡発生直前の溶接電流が低い場合は短絡中の溶接電流波形を上昇させ、高い場合は上昇させないことで短絡開放時の溶接電流値を抑制できるためスパッタを抑制できる。
【0010】
また、本発明は、短絡発生直前の溶接電流が予め設定した所定値と比較し前記所定値より高い場合と低い場合で短絡中の溶接電流波形を切り替えるものである。
【0011】
また、本発明の溶接制御方法は、前記の短絡時の溶接電流波形を切り替える所定値を、ワイヤ送給量あるいはワイヤ径あるいはワイヤ材質の少なくとも一つに応じて設定するものである。
【0012】
また、本発明は、短絡開放後を時間起点として予め設定した所定時間中は予め設定した所定の電圧値あるいは所定の電流値のいずれか一方に制御し短絡開放後のアーク長を保持するものである。これにより短絡開放後のアーク長を保持し、短絡の連続発生を抑制する。
【0013】
また、本発明は短絡開放後を時間起点として予め設定した所定時間中は予め設定した所定の電圧あるいは所定の電流のいずれか一方に制御しその後所定の電圧制御あるいは電流制御を開始する際に段階的にスロープ制御し急峻な電圧変化あるいは電流変化を抑制するものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
(実施の形態1)
本実施の形態において従来例と同様の構成については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0015】
図1において、溶接電圧を検出する溶接電圧検出部7と、溶接電流を検出する溶接電流検出部9と、前記溶接電圧検出部7の出力により溶接状態がアークあるいは短絡を判別するアーク短絡判別部8と、短絡時に時間経過と共に電流値を上昇する電流上昇設定部11と、短絡時に時間経過と共に電流値を上昇させない電流下降設定部12と、前記電流上昇設定部11の出力と前記電流下降設定部12の出力と前記溶接電流検出部9の出力を入力とし短絡発生直前の溶接電流が予め設定した電流値より高い場合は前記電流下降設定部12からの入力を低い場合は前記電流上昇設定部11からの入力を選択制御して出力する短絡電流制御部10と、前記短絡電流制御部10の出力と前記アーク短絡判別部8の出力を入力とし短絡時に前記短絡電流制御部10の出力を選択制御して出力する出力制御部14を示す。
【0016】
以上のように構成された本実施の形態について、その動作を説明する。
【0017】
溶接電流検出部9で検出した信号と短絡電流制御部10内で予め設定した電流値とを比較し短絡発生直前の溶接電流が予め設定した所定値と比較し前記所定値より高い場合は電流上昇設定部11からの入力を出力し時間経過と共に溶接電流を上昇させるように電流制御し、前記所定値より低い場合は電流下降設定部12からの入力を出力し時間経過と共に溶接電流を上昇させないように電流制御し、短絡発生直前の溶接電流値により短絡時の溶接電流波形を切り替えることによりスパッタ発生を抑制できる。尚電流下降設定部12では上昇も下降もせずに直前の電流値に等しい値を維持しても良いし、所定時間下降させた後に上昇させても良い。
【0018】
(実施の形態2)
本実施の形態において実施の形態1と同様の構成については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0019】
図2においてワイヤ送給量あるいはワイヤ径あるいはワイヤ材質等の溶接条件を設定する溶接条件設定部18と、前記溶接条件設定部18の出力を入力としてワイヤ送給量あるいはワイヤ径あるいはワイヤ材質の少なくとも一つに応じて短絡時の溶接電流波形を切り替える電流値を設定する前記短絡電流制御部10を備えている。
【0020】
実施の形態1と異なる点は、電流上昇設定部11からの出力と電流下降設定部12からの出力を切り替える電流値をワイヤ送給量あるいはワイヤ径あるいはワイヤ材質の少なくとも一つに応じて設定する点である。これにより、溶接条件毎に最適な上下限値を設定することでスパッタを更に抑制できる。
【0021】
(実施の形態3)
本実施の形態において実施の形態1及び2と同様の構成については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0022】
図2において前記出力制御部14は短絡開放後を時間起点として予め設定した所定時間を計時する時間計時部16を備え、前記時間計時部16が設定する所定時間中は予め設定した所定の電圧値あるいは所定の電流値のいずれか一方に溶接出力を制御し前記出力制御部14に出力する短絡開放制御部15を備えている。
【0023】
実施の形態1及び2と異なる点は、前記時間計時部16にて設定される期間は短絡開放制御部15によって電圧制御あるいは電流制御することで短絡開放後のアーク長を保持することができ短絡の連続発生を抑制できスパッタを更に抑制できる。
【0024】
(実施の形態4)
本実施の形態において実施の形態1及び2、3と同様の構成については同一の番号を付して詳細な説明を省略する。
【0025】
図2において前記出力制御部14は前記短絡開放制御部15による制御を行った後所定の電圧制御あるいは電流制御を開始する際に段階的に電流あるいは電圧をスロープ制御するスロープ制御部17を備えている。
【0026】
実施の形態1及び2、3と異なる点は前記短絡開放制御部15による制御後の急峻な電圧変化あるいは電流変化を抑制できる。電圧あるいは電流の急峻な変化を抑制することにより溶融プールの振動を抑制し短絡の連続発生を抑制できスパッタを更に抑制できる。
【0027】
【発明の効果】
本発明は、アークスタート時及びワークの位置ズレ等の突出し長さが変化する時等のアークが不安定となる場合に発生するスパッタを抑制することができ、溶接品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1を示すブロック回路図
【図2】本発明の実施の形態2を示すブロック回路図
【図3】従来例を示すブロック回路図
【符号の説明】
1・・入力電源
2・・第一整流部
3・・インバータ部
4・・変圧器
5・・第二整流部
6・・リアクタ
7・・溶接電圧検出部
8・・アーク短絡判定部
9・・溶接電流検出部
10・・短絡電流制御部
11・・電流上昇設定部
12・・電流下降設定部
13・・アーク期間制御部
14・・出力制御部
15・・短絡開放制御部
16・・時間計時部
17・・スロープ制御部
18・・溶接条件設定部
22・・トーチ
23・・ワイヤ
24・・母材
25・・ワイヤ送給装置

Claims (9)

  1. 溶接ワイヤと溶接母材間にピーク電流とベース電流をパルス状に繰り返し供給し、短絡発生直前の溶接電流に応じて短絡中の溶接電流波形を切り替える溶接制御方法。
  2. 短絡発生直前の溶接電流を予め設定した所定値と比較し、前記所定値より高い場合と低い場合で短絡中の溶接電流波形を切り替える請求項1記載の溶接制御方法。
  3. ワイヤ送給量、ワイヤ径あるいはワイヤ材質の少なくとも一つに応じて短絡中の溶接電流波形を切り替える電流値を個別に設定する請求項1または2記載の溶接制御方法。
  4. 短絡開放後を時間起点として予め設定した所定時間中は予め設定した所定の電圧値あるいは所定の電流値のいずれか一方を制御する請求項1または2記載の溶接制御方法。
  5. 短絡開放後を時間起点として予め設定した所定時間中は予め設定した所定の電圧あるいは所定の電流のいずれか一方を制御し、その後、所定の電圧制御あるいは電流制御を開始する際に段階的にスロープ制御し、急峻な電圧変化あるいは電流変化を抑制する請求項1から4の何れかに記載の溶接制御方法。
  6. 溶接電圧を検出する溶接電圧検出部と、溶接電流を検出する溶接電流検出部と、前記溶接電圧検出部の出力により溶接状態がアークあるいは短絡を判別するアーク短絡判別部と、短絡時に時間経過と共に電流値を上昇する電流上昇設定部と、短絡時に時間経過と共に電流値を上昇させない電流下降設定部と、前記電流上昇設定部の出力と、前記電流下降設定部の出力と前記溶接電流検出部の出力を、入力と短絡発生直前の溶接電流が予め設定した電流値より高い場合は前記電流下降設定部からの入力を、低い場合は前記電流上昇設定部からの入力を、それぞれ選択制御して出力する短絡電流制御部と、前記短絡電流制御部の出力と前記アーク短絡判別部の出力を入力とし、短絡時に前記短絡電流制御部の出力を選択制御して出力する出力制御部を備え、短絡発生直前の溶接電流が予め設定した所定値と比較し前記所定値より高い場合は時間経過と共に溶接電流を上昇させないように電流制御し、低い場合は溶接電流を上昇させる消耗電極式パルスアーク溶接装置。
  7. 短絡電流制御部は、ワイヤ送給量、ワイヤ径あるいはワイヤ材質の少なくとも一つに応じて短絡中の溶接電流波形を切り替える電流値を個別に設定する請求項6記載の消耗電極式パルスアーク溶接装置。
  8. 出力制御部は、短絡開放後を時間起点として予め設定した所定時間を計時する時間計時部を備え、前記所定時間中は予め設定した所定の電圧値あるいは所定の電流値のいずれか一方に制御し、前記出力制御部に出力する短絡開放制御部を備え、短絡開放後の所定時間中は所定の電圧値あるいは所定の電流値のいずれか一方に制御する請求項6または7記載の消耗電極式パルスアーク溶接装置。
  9. 前記出力制御部は前記短絡開放制御部による制御を行った後、所定の電圧制御あるいは電流制御を開始する際に、段階的に電流あるいは電圧をスロープ制御するスロープ制御部を備え、前記短絡開放制御部による制御後の急峻な電圧変化あるいは電流変化を抑制する請求項6から8の何れかに記載の消耗電極式パルスアーク溶接装置。
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