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JP3946790B2 - ガス分配ノズル - Google Patents

ガス分配ノズル

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JP3946790B2
JP3946790B2 JP24961395A JP24961395A JP3946790B2 JP 3946790 B2 JP3946790 B2 JP 3946790B2 JP 24961395 A JP24961395 A JP 24961395A JP 24961395 A JP24961395 A JP 24961395A JP 3946790 B2 JP3946790 B2 JP 3946790B2
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クランポン パスカル
ジャック パトリス
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Saint Gobain Glass France SAS
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/001General methods for coating; Devices therefor
    • C03C17/002General methods for coating; Devices therefor for flat glass, e.g. float glass

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)
  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Feeding, Discharge, Calcimining, Fusing, And Gas-Generation Devices (AREA)
  • Chemically Coating (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フロートガラス帯タイプの高温の移動基材上への、前駆物質として知られるガス又はガス混合物の熱分解/堆積反応により得られるコーティングを成長させるための技術に関する。より詳しく言えば、本発明は、通常「CVD」(化学気相成長)という用語で知られるこの技術を実施するための装置、とりわけ、接触すると適当な様式で熱分解又は堆積するのに適合した1又は複数の前駆物質ガス流をコーティングすべき基材へ向けて分配し且つ流すのを可能にするノズルに関する。
【0002】
【従来の技術】
フロート浴の囲いの内側に、溶融スズ浴の表面上を滑動するガラス帯の移動の軸線を横切って配置するのに適したこの種の分配ノズルは、とりわけヨーロッパ特許出願公開第0499523号、同第0499524号及び同第0518755号各明細書から、既に知られている。これらのノズルは、適当なガスが供給される入口室を含んでいる。この入口室から放出されたガス流は、次いで、帯の移動の軸線に関して定義された「上流」及び「下流」ヒールが両側にある中央ブロックの壁面により画定されたU字断面の噴射流路(ヨーロッパ特許出願公開第0499524号明細書の場合には二つの流路)に沿って案内される。ガス流は、このようにして、この軸線に沿いガラスの表面に沿って層流の流路をたどり、そしてこの流路に沿ってこの流れの一部分を構成する前駆物質ガスの熱分解が起こる。このガス流は、消費されると、この案内流路からの出口で吸引装置により取り出される。
【0003】
この堆積技術は、例えば陰極スパッタリングタイプの真空を使用する堆積技術の装置より、簡単な装置且つ束縛の少ない堆積条件で、フロートガラスの帯上に直接且つ連続的にコーティングを製造するのを可能にするので、経済的な面から非常に興味深い。その上、CVDにより堆積したコーティングは、概して、基材への付着力が強く、また品質と耐久性が申し分ない。
【0004】
ところが、被覆しようとするフロートガラスの帯は、幅が通常少なくとも2mあり、とりわけほぼ3〜4mある。従って、堆積したコーティングの品質及び/又は厚さの所定の一定性を保証するように、少なくともガラス帯の移動の軸線を横切る方向で、分配ノズルが可能な最も均質なやり方でガス流を分配しなくてはならないのがこの幅を横切る方向であって、その幅はかなりのものである。
【0005】
前述の三つのヨーロッパ特許出願公開明細書に記載されたノズルの場合には、分配は上部に位置する入口室で行われ、この室は、窒素タイプの不活性ガス中に含まれる1又は2種以上の前駆物質ガスを搬送するダクトであり、且つその、当該室の内部にあってガラス帯の移動の軸線を横切る部分全体にわたって均一に分配されたオリフィスにより孔あきにされた供給ダクトにより、ガスの供給を受ける。ノズルへのこのタイプのガス供給には、ガスの組成と流量がそこで調節される単一のダクトのみを使用するので、製作及び制御するのが簡単であるという長所がある。その上、それは標準的な品質のコーティングを堆積させるのに全くよく適していることが分かっている。対照的に、特に厚さに関して、極めて均一なコーティングの製造が要求される場合には、そのような装置ではダクトの孔を出てゆくガスジェットのおのおのの特性が、特に流量に関して、他のものと正確に同じであることを保証することは不可能であるという点で、それは不十分であることが分かる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、CVDタイプの堆積技術で使用される分配ノズルへガスを供給する方法を最適化することにより、とりわけ用いられるガス流の分配の均一性の向上をプロセスの単純さを過度に犠牲にすることなく保証するように、上記の不都合を軽減するのを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フロートガラス帯タイプの移動するガラス基材の表面への1又は2種以上の前駆物質ガス流あるいは前駆物質ガスの混合物のための分配ノズルに関し、この1又は2種以上のガスは基材と接触すると熱分解/堆積対応の反応によってコーティングを形成するのに適合しているものである。このノズルは、ノズル本体への主供給系と称され、且つ生じさせようとする流れのおのおのために共通のガス供給手段を使用する、ガスの供給系を第一に含む供給装置を備えてなる。本発明においては、「主」供給系とは所定の平均厚さのコーティングの堆積のために必要な量の前駆物質ガスを根本的に供給するのがこの供給系であることを意味する。
【0008】
更に、上記の供給系は、上記の主供給系に関して独立した、この主供給系と称される供給系が生じさせる1又は2以上の流れの化学組成を局部的に変更するための、補助供給系と称されるガスの供給系も含む。これを達成するために、この補助供給系は、当該1又は2以上の流れ中に又はその直近に、コーティングの形成に必要な少なくとも1種の前駆物質ガスを含有する少なくとも一つの脈状ガス流(gaseous vein)を生じさせることができる。本発明においては、「補助」供給系とはこの供給系が、特に必要な前駆物質のうちの一つだけを搬送することにより、ノズルへどちらかと言えばより少量の原料を供給することを表す。
【0009】
好ましくは、この二次的な供給系は、堆積コーティングの厚さ又は品質のむら(不ぞろい)を修正又は防止する目的に使用される。この二次的供給系は、1又は2以上の流れの化学組成を局所的に変更することにより、必要ならこの1又は2以上の流れの局所的な不均質性を補償することができる。この時、前述の脈状ガス流は「補償用の」脈状流の役割を果たし、この補償用脈状流は有利には、主供給系により搬送される前駆物質ガスのうちの少なくとも1種を含有し且つこれらの不均一性の修正を達成するのに適切である組成、流量及び局所範囲(localization)を有する。「補償用の」というのは、もっとはっきり言えば、それが、適切な量及び組成のガスを、これの必要なことが分かったなら噴射することによって、主供給系の分布の不均衡をなくしあるいは少なくとも減ずる機能を有することを意味する。とは言うものの、これは、それが所望の組成及び厚さのコーティングを得るのに必要な前駆物質の供給を量的に完全にする機能を有することができないということではない。
【0010】
「二重にする」ことにより、つまり修正用の補助供給系により主供給系をこのように「援助する」ことによって、本発明は、基材の移動の軸線を横切って測定した厚さの変動が極めて小さいコーティングを得るのを可能にし、厚さの変動の少ないことはそれらの品質の著しい向上に役立つ。もっとはっきり言えば、基材がフロートガラス帯でありそしてコーティングを干渉厚さで堆積させる場合に、厚さが余りにも有意に変動すると光学的性質の欠陥を、例えばどちらかと言うと無粋な真珠光効果のようなものを、招くことになる。
【0011】
ノズルへのガスの供給の不均一性の問題を解決するために本発明により提供される解決策は独創的であり、ある意味で驚くべきことであることを強調することができよう。もっとはっきりと言えば、当業者が思いつくであろう第一の考えは、平行な第二の流れを作りだすことよりも、むしろ「主」供給系として知られる供給系に直接働きかけようとすることであろう。更に、本発明により「補助」の供給系によって生じさせるガスの脈状流又は流れの有効性を保証するものは何もなかった。と言うのは、主供給流に接近するこれらの脈状流は、精確で且つ制御されたやり方で局所的に主供給流の不均一性を修正しようとするどころか、「希釈」されるであろうと予期されていたであろうからである。
【0012】
しかしながら、この供給装置は、単一の供給ダクトを有する通常の供給系を変更なしに「主」供給系として使用することが可能である限りにおいて、運転上のある一定の単純さをなおも保持する。具体的に言えば、本発明はそれゆえに、CVD成長のための既存の設備を徹底的に変更することを要求せず、これは工業的規模で運転する場合に常に有利な点である。
【0013】
更に、補助供給系は少量の前駆物質ガスを搬送し従って主供給系のダクトに関係するガス流量より一般にはるかに少ないガス流量を使用するので、補助供給系の脈状ガス流の流量、組成及び局所範囲を細かく且つ正確に調整するための手段を設けるのが容易である。
【0014】
好ましくは、ノズルの供給装置が生じさせるガスの1又は2以上の流れと1又は2以上の脈状流は層流であり、これは被覆すべき基材の表面に沿う前駆物質ガスの進路を最適にし、且つ、ガスの脈状流がガス流内に閉じこめられ又はそれと一緒にあるのを可能な限り補償し、従ってそれらの有効性を補償する。
【0015】
分配ノズルは、フロートガラスの帯の上方にそれを横切って配置されることにより、フロートガラス帯の上にコーティングを堆積させるのに特によく適している。このノズルは、この配置においてその上部に、生じさせるべき流れと同じ数の、主たるガス原料が供給される入口室を備えてなる。
【0016】
本発明によれば、比較的簡単な設計の主供給系を選ぶのが有利である。例えば、この供給系は、生じさせようとする流れのおのおのについて、適当な入口室に通じる複数の入口へ供給する共通のガス供給ダクトを含むことができる。一つの好ましい実施態様は、この供給系が、生じさせるべき各流れについて、適当な前駆物質ガス(又は前駆物質ガスの混合物)を搬送する管を含み、且つその一部分が、とりわけ端部が、均一に分布したオリフィスにより孔あきにされて、適当な入口室に沿って配置されているものである。このように、各オリフィスはガス供給器として働き、これらのオリフィスの分布と数がお互いに十分近接した多数のガスジェットを作りだして、ガスのカーテン、本発明の意味において「流れ」を形成する。
【0017】
補助供給系が、局所的な不均一性のあることがある1又は2以上の流れのためにその修正/補償用の機能を可能なだけ果たすことができるためには、入口室(あるいはいくつかがある場合にはそれらのうちの少なくとも一つ)がこの補助供給系からもガスの供給を受けるのが好ましい。こうして、「主」の流れと補助の1又は2以上の脈状流との近接が保証される。
【0018】
補助供給系は、例えば二つの別のやり方で設計することができ、それは、この目的のために入口室に通じていて且つこの室の長手方向に沿って均一に配分された、ノズルの運転中固定されたままである構成を有する複数のガス入口を含むことができる。この時、この供給系は、必要なときに当のガス流を均質にするのに適当な1又は2以上の脈状流を一緒に又は選択的に生じさせることができる。
【0019】
それはまた、入口室に通じているけれどもノズルの運転中に、とりわけ当該室の長手方向に平行な軸線に沿って、移動可能に取り付けられた、少なくとも一つのガス入口を含むこともできる。並進移動によって、この供給系は、これが必要な場合に先に述べた場合と比べて数を大きく減らしながら「介在」し続けることができる。
【0020】
補助供給系が搬送しようとするガスの種類に関しては、特に、最も普通の場合である、主供給系が前駆物質ガスの混合物を搬送し、単一の前駆物質ガスを搬送しない場合に、やはり二つの運転方法がある。
【0021】
補助供給系は、主供給系により搬送されるガス混合物と同じであり、任意的に前駆物質間の相対比率が同じである、気体混合物の脈状流を発生させるようにすることができる。従ってこれは帰するところ、主供給系から流出する流れのガス流量を、この流れの流量の低下を局所的に補償する目的で局所的に増加させる補助供給系のガスの1又は2以上の脈状流ということになる。このようにして流量を均一にすると、熱分解/堆積反応の収量は、従って堆積したコーティングの厚さは、使用する前駆物質ガスの量に依存するので、コーティングの厚さを均一にするという所望の結果が得られる。
【0022】
補助供給系はまた、主供給系から流出するガス流の組成と異なる組成の脈状ガス流を発生させるようにしてもよく、そして脈上流は特に、前駆物質ガスのうちのただ1種のみを含んでもよく、あるいは主供給系で搬送されない必要な前駆物質ガスを含んでもよい。補助供給系の脈状ガス流は主たる流れの前駆物質間の割合を局所的に変更し、これは、前駆物質間の反応を意味する熱分解の収量を局所的に増大させることができる。この場合には、補助供給系の前駆物質を適切に選べば、先に述べた場合におけるのと同じ結果が得られ、この前駆物質はとりわけ実施するのに最も簡単であるか、あるいは前駆物質間の反応の化学量論を「支配」する(例えば、前駆物質のうちの一つを他のものと比べて過剰にして使用する場合)ものでよい。
【0023】
必ずしも全部の前駆物質ガスでもなく必ずしも同じ割合ででもなく、主供給系の前駆物質のうちの2種以上を使用することからなるいずれの「中間の」解決策も、やはり本発明の枠組みの範囲内にあると考えることができることは自明であろう。この場合、それは単に、脈状ガス流が主ガス流の前駆物質の熱分解反応を局所的に変更する仕方を最適にするよう調節するために、前駆物質の性質と堆積させようとするコーティングの性質とに応じて投入するということである。
【0024】
補助供給系がその機能を果たすことができるためには、それらが生じさせる脈状ガス流の流量又は流量プロファイルを制御及び調節することができるように、この供給系へのガスの入口又は複数の入口のおのおのに、弁タイプの、流量を制御するための手段を設けることが重要である。この場合、一つの好ましい実施態様は、より均一にすることを求められるガス流のための入口室へ、この室の長手方向に沿って均一に配分された箇所で通じる複数のガス入口からなり、各入口は所定のガス流量の0%又は100%を供給し、またことによってはこれらの二つの極端な値の間の任意の中間流量を供給するのに適合した弁を備えてなる。こうして、補助供給系を「オン/オフ」式に運転して、流れの均一度が申し分ないため脈状ガス流を生じさせることが必要ない帯域のガス入口を完全に閉鎖することができる。補助供給系は、ガス入口の全部又は少なくとも一部が継続してある平均の流量(これは主供給系へのガス入口の流量と比べて少ないままである)を送り出し、これを局所的に減らしあるいは増加させることができるようにして、同じように申し分なく運転される。こうして、脈状ガス流の全体によってある一定の流量「プロファイル」が作りだされる。
【0025】
補助供給系は、有利には、主供給系が生じさせる1又は複数の流れにおいて起きることがある不均一性がノズルの運転中に進展する限りにおいて、つまり堆積したコーティングの対応する厚さの不ぞろいの進展により明らかになる、流れの不均一性の局所的な置換、及び/又はその不均一性の減少又は増加からなる進展がある限りにおいて、時間の因子を考慮に入れる。
【0026】
補助供給系の時間的な調節は、手によることができ、すなわちノズルの下流での、堆積したコーティングの局所的な厚さの欠陥の検出に応答して、ガス入口の弁を単純に手動制御することによることができる。
【0027】
補助供給系の調節は自動化してもよく、これはコーティングの欠陥の検出に応答して流量の調整をより微妙に及び/又はより素早く変更するのを可能にすることができる。このために、ノズルの「下流」のコーティングの品質又は厚さを測定するための少なくとも一つの計器に接続した制御装置によって、補助供給系へのガス入口の弁を時間的に自動的に調節する装置を設けてもよい。
【0028】
本発明は、非常に様々なコーティングのためのガス、例えば、ヨーロッパ特許出願公開第0518755号明細書に記載されたもののようなSi、O、Cに基づくフィルムのためのコーティング用のガスの、熱分解による堆積に適用することができる。この例の場合には、主供給系が1又は2種以上のケイ素前駆物質と1又は2種以上の炭素前駆物質を含んでなるガス流を生じさせ、そして補助供給系が、これらの二つのタイプの前駆物質のうちの一方又は他方のみを、好ましくは1又は2種以上の炭素前駆物質を含んでなる、1又は2以上の脈状ガス流を必要なときに生じさせるのが好ましい。それはまた、1993年8月12日出願のフランス国特許出願第93/09916号明細書及び1993年11月2日出願のフランス国特許出願第93/13023号明細書に記載された、TiNタイプの金属窒化物のフィルムの堆積に応用することもできる。
【0029】
本発明はまた、上記の分配ノズルを使用する方法、つまり所定のコーティング特性、特に厚さについて、所定の流量で各流れを分配するための共通の供給ダクトを備えた主供給系をノズルに設ける方法にも関する。この方法は、更に、時間的に所定流量値の0%と100%の間で調節可能なガス流量をおのおのが送りだすガス入口を備えた補助供給系を上記のノズルに設ける。
【0030】
本発明の詳細と有利な特徴は、図面により例示される、以下の非限定の実施態様から理解することができる。
【0031】
【発明の実施の形態】
図1は、CVDによりフロートガラス上へコーティングを堆積させるための分配ノズルを示している。それは、本発明の主題を形成するガス供給系を備えている限りにおいて、上述のヨーロッパ特許出願公開第0518755号明細書に記載されたノズルを最適化したものである。このようなノズルの一般的な機能に関するこれ以上の情報については、その特許出願明細書あるいは既に述べた特許出願明細書の一つを都合よく参照することができる。
【0032】
図1は、フロート浴の囲いの内部の運転位置にあるノズル1を示しており、フロート浴の囲いは図示されていない。この図では、ガラス帯2は溶融したスズの浴3の表面に浮かんでいる。ノズル1は、ガラス帯2の上方の、それが既に寸法安定性を獲得した帯域に、ガラス帯を横切って取り付けられる。それはガラス帯の幅全体を横切って延びる。それは、逆Uの字のプロファイルを含み、その垂直の壁の端は水平のブラケット4、5に固定され、またそれは中央ブロック6、上流ヒールと称されるヒール7、そして下流ヒールと称されるヒール8(ここで「上流」及び「下流」というのは矢印により指示されるガラスの移動方向に対してのものである)を含む。これらの壁はガスのための案内流路を画定しており、そしてそれは、上流ヒール7と中央ブロック6との間の垂直な噴射流路と、中央ブロック6とガラス表面との間の水平流路と、中央ブロック6と下流ヒール8との間のもう一つの垂直流路とに分けることができる。この流路には、入口室9により前駆物質ガスが供給され、この入口室内には均一に間隔をあけたオリフィス11によりその長手方向にわたって孔あきにされたガス供給ダクト10が収容されており、そしてそれは適当なガス源に接続された連続の管を形成している。これらのオリフィスから流出するガスジェットの集合は、開口12を通って流れ出るガスカーテンを作りだす。
【0033】
標準的に、こうして作られそして不活性ガス中に含まれる1又は2種以上の前駆物質を含有している流れは、ガラス帯2の幅に対応するその長手方向の全体にわたり比較的均一である。とは言うものの、オリフィス11により絶対的に均一な分布を保証することも、それらが全て正確に同じ直径であることも、それらが入口室9に収容されたダクト10の端部の一方に位置しているかあるいは他方に位置しているかに応じてそれらの全てが同じガス流量を分配することができるのを保証することも、不可能である。
【0034】
従って、スリット12を通って流出する流れに流量の不均一性が局所的に現れることがあり、そしてこれらは堆積したコーティングの厚さの不ぞろいに至りかねない。それゆえ、本発明は、前駆物質ガスのうちの少なくとも一つのために複数の小さな入口ダクト15の形態をした補助ガスの供給系を提供し、これらのダクトはおのおの、主供給ダクト10の直径と比べて非常に小さい直径を持ち、入口室9の長手方向に沿って均一に配分された異なる箇所から入口室へ通じる。これらの入口ダクトの配置と運転の方法は、図2から一層詳しく理解されよう。
【0035】
更に、ノズルの一般的な説明を完了するために、高温のガラスと接触して反応しコーティングを堆積した前駆物質ガスの量だけ消費されたガス流を吸い出す目的で、吸引装置13をガス案内ダクトの最後の垂直部分の端部に配置された排出室14内に配置することを指摘すべきである。このようにして、ガスは、注意深く制御されたH2 /N2 の混合物であるフロート浴の雰囲気中に漏れ出すのを防止される。
【0036】
次に、図2(非常に模式的な図)を参照すれば、主供給ダクト10と非常に小さい多数の補助供給ダクト15の入口室における相対的な配置をより的確に理解することができる。これは構成の一つの非限定の例に過ぎないことは明白であろう。例えば、ダクト15は主ダクト10の軸線に対して平行でない軸線に沿って配置することもできようし、また例えば、主ダクト10の軸線に対して垂直に配置することもできよう。重要な特徴は、オリフィス11から出てくるガスジェットはダクト15により放出することができるガスジェットに接近すべきであること、そしてダクト15からの放出オリフィスの均一な分布はオリフィス11の均一な分布に対応することができることである。ダクト10は一連の小さなダクト15の上方に位置し、これらの小さなダクトは全て、室の外部で、ダクト10へ供給するガス源17と異なるガス源16に接続される。ダクト10には、所定のタイプ及び厚さのコーティングを製造するために、窒素中に含まれた前駆物質ガスの混合物が所定の割合及び所定の流量で供給される。
【0037】
オリフィス11のおのおのからはガスジェットが出てくる。更に、ダクト15のおのおのが、所定の組成のガスジェットをやはり送り出すようにされており、そしてそのガスジェットの流量は、ノズルの下流の堆積コーティングの厚さを測定するための少なくとも一つの横断測定装置19につながれた制御装置18から電気的に作動される弁によって調節される。ダクト15の出口オリフィスの構成は、それらから流出することができるガスジェットがオリフィス11から流出するそれらと同じ向き(sense)と方向であるようなものである。ガラス帯の幅を連続的に走査する単一の計器、又はその幅を横切るいくつかの箇所における複数の計器を設けることが可能である。
【0038】
反射率計タイプの1又は2以上の装置19により供給される読取り値でもって所定の許容限界値を超える局所的な厚さの差を制御装置が検出するやいなや、それは、コーティングの厚さの局所的な減少を引き起こしたダクト10からの流れの不均一性を補償するためのガスの脈状流又は流れを生じさせるように、ダクト15のうちの少なくとも一つのものの弁を開かせる。この脈状ガス流はダクト10からの流れに「取り囲まれる」が、そこで「希釈」はされず、あるいはわずかに希釈されるだけであって、これがそれの有効性を保証する。
【0039】
この供給の仕方を、ヨーロッパ特許出願公開第0518755号明細書の記載に従ってSi、O、Cに基づくコーティングを製造するのに適用した。
ダクト10には窒素中に含まれたSiH4 とエチレンの混合物を供給し、ダクト15のおのおのは窒素中に含まれたエチレンのみを供給することができる。
厚さが100nmで屈折率が1.68のコーティングを堆積させるために、混合物のガスのおのおのについて次に掲げる体積流量でダクト10に源17からガスを供給する。
【0040】
1 (SiH4 )=7〜15リットル/分
2 (N2 ) =40〜80リットル/分
3 (C2 4 )=40〜80リットル/分
【0041】
従って、理論的には、ダクトのオリフィス11から流出するSiH4 、N2 、C2 4 のおのおののガス流量Q’1 、Q’2 、Q’3 は、オリフィス11の数で割ったQ1 、Q2 、Q3 の流量に正確に等しい。一つのジェットともう一つのものとで流量に変動のあることがある。コーティングの横断方向の厚さのプロファイルがこれらの流量の変動の結果として平均の厚さの5%を超える厚さの変動を示すやいなや、制御装置18が関係するダクト15の弁を開けて、ガス流中のエチレンの流量を局所的に増加させることにより前駆物質間の反応を局所的に促進し、そうして厚さの局所的な減少をなくす。各ダクト15は、エチレンの流量が0〜5リットル/分の範囲のガスのジェットを生じさせることができる。
【0042】
制御装置18(あるいは制御ループを使用しない場合には作業員)は、厚さがここでの例では任意に5%に定めた所定の許容限界値を超えるやいなや、検出された厚さの変動を修正するために適切なダクト15に負荷すべきエチレンの流量がどれだけであるか決めるための前もって確定されたノモグラムを有利に使用することができる。
【0043】
このようにして、厚さが特別に均一であるコーティングが得られ、どのようなむらも本発明による「補助」供給系によって、ノズルへの「主」供給系をかき乱す必要なしに非常に素早く修正される。
【0044】
更に、本発明の「補助」供給系は堆積したコーティングの厚さの均一性を保証するために最適化されていることは自明であろう。とは言え、堆積コーティングの厚さ又は化学組成に、この場合には計画的で且つ制御されたやり方で、少なくとも基材の移動の軸線を横切る方向に勾配をつけたコーティングを製造するのが必要でありあるいは有利であることが判明したならば、この補助供給系をそのような勾配を作りだすために用いることが、本発明の範囲から逸脱することなく同じように可能であろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による分配ノズルの模式断面図である。
【図2】図1によるノズルへガスを供給するための、そしてそれにガスを供給する二つの方法を説明するための、入口室の長手方向の模式断面図である。
【符号の説明】
1…ノズル
2…ガラス帯
9…入口室
10…主供給ダクト
11…オリフィス
15…入口ダクト
18…制御装置
19…測定装置

Claims (22)

  1. フロートガラス帯タイプの移動するガラス基材(2)の表面へ、当該基材と接触すると熱分解/堆積タイプの反応によりコーティングを形成するのに適合している1又は2以上の前駆物質ガス流あるいは前駆物質ガスの混合物を、生じさせようとする各流れについて共通のガス供給手段を使用して分配するためのノズル(1)であり、当該ノズル本体に主供給系と称されるガス供給系を含むガス供給装置を備えてなるノズルであって、当該ガス供給装置が、上記主供給系に関して独立した、コーティングの形成に必要な少なくとも1種の前駆物質ガスを含有する少なくとも一つの脈状ガス流(gaseous vein)を当該1又は2以上の流れ中に又はその直近に生じさせることにより上記主供給系が生じさせる当該1又は2以上の流れの化学組成を必要なときに局所的に変更するための、補助供給系と称されるガスの供給系をも含むことを特徴とするノズル。
  2. 堆積コーティングの厚さ又は品質のむらを修正又は防止するため、前記主供給系により搬送される前記前駆物質ガスのうちの少なくとも1種を含有しており、適当な組成、流量及び局所範囲を有する、少なくとも一つの補償用脈状ガス流を、前記1又は2以上の流れ中に又はその直近に生じさせることにより、前記主供給系に関して独立した、前記補助供給系と称されるガス供給系を、必要なときに前記主供給系により生じさせる1又は2以上の流れの局所的な不均一性を補償するのに使用することを特徴とする、請求項1記載のノズル。
  3. 当該ノズル(1)の前記供給装置により生じさせるガスの流れ又は脈状流が層流であることを特徴とする、請求項1又は2記載のノズル。
  4. フロートガラス帯(2)の上方にそれを横切って配置され、且つ、この配置においてその上部に、生じさせようとする流れと同じ数の、前記主ガス供給系から供給を受ける入口室(9)を備えてなることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか一つに記載のノズル。
  5. 前記主供給系が、生じさせようとする各流れについて、適当な入口室(9)に通じる複数の入口(11)へ分配する共通のガス供給ダクト(10)を含むことを特徴とする、請求項4記載のノズル。
  6. 前記主供給系が、生じさせようとする各流れについて、適当な前駆物質ガス(又は前駆物質ガスの混合物)を搬送する管(10)を含み、そしてその一部分が、均一に分布したオリフィス(11)により孔あきにされており、且つ適当な入口室(9)内にそれに沿って配置されていることを特徴とする、請求項5記載のノズル。
  7. 前記入口室(9)又は複数の入口室のうちの少なくとも一つに前記補助ガスの供給系によりガスを供給することを特徴とする、請求項4から6までのいずれか一つに記載のノズル。
  8. 前記補助供給系が、当該ノズル(1)の運転中固定されたままの構成を有する複数のガス入口(15)を含み、これらの入口が前記1又は2以上の入口室(9)に通じていて当該室の長手方向に沿って均一に配分されていることを特徴とする、請求項7記載のノズル。
  9. 前記補助供給系が、前記1又は2以上の入口室(9)に通じ且つ、当該ノズル(1)の運転時に、とりわけ当該1又は2以上の入口室の長手方向に平行な軸線に沿って、可動式に取り付けられた、少なくとも一つのガス入口(15)を含むことを特徴とする、請求項7記載のノズル。
  10. 前記主供給系が前駆物質ガス混合物流を生じさせ、そして前記補助供給系がこの流れ中のガスの流量の低下を局所的に補償するために同じガス混合物の少なくとも一つの脈状流を生じさせるのに適合していることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載のノズル。
  11. 前記主供給系が前駆物質ガス混合物流を生じさせ、そして前記補助供給系がこの流れ中の前駆物質の比率を局所的に変更するために前駆物質ガスのうちの一つのみの少なくとも一つの脈状ガス流を生じさせることを特徴とする、請求項1から10までのいずれか一つに記載のノズル。
  12. 前記補助供給系の1又は複数のガス入口により生じさせるガスの1又は2以上の脈状流の流量又は流量プロファイルを、適当なガス源に接続された当該1又は複数の入口に作用を及ぼす弁タイプの流量制御手段により制御することを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載のノズル。
  13. 前記補助供給系が前記入口室(9)の長手方向に沿って均一に配分された箇所で当該室に通じる複数のガス入口(15)を含み、おのおののガス入口(15)が所定の流量の0〜100%を送り出すのに適合した弁を備えていることを特徴とする、請求項12記載のノズル。
  14. 前記補助供給系の調節が手動式であることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載のノズル。
  15. 前記補助供給系の調節が、前記供給ガス入口の弁の手動制御により行われることを特徴とする、請求項14記載のノズル。
  16. 前記補助供給系の調節が自動化されていることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載のノズル。
  17. 前記補助供給系の調節が、当該ノズル(1)の下流でコーティングの品質又は厚さを測定するための少なくとも一つの計器(19)に接続された制御装置(18)により当該供給系のガス入口の弁を時間的に自動制御することで行われることを特徴とする、請求項16記載のノズル。
  18. Si前駆物質及びC前駆物質を含むガス流を生じさせる主供給系と、これらの前駆物質の一方又は他方を含む少なくとも一つの脈状ガス流を必要なときに生じさせる補助供給系とを用いて、Si、O、Cに基づくフィルムを堆積させるために使用される、請求項1から17までのいずれか一つに記載のノズル。
  19. 当該少なくとも一つの脈状ガス流がC前駆物質を含む、請求項18記載のノズル。
  20. 金属前駆物質及び窒素前駆物質を含むガス流かあるいはこれらの前駆物質のおのおののためのガス流を生じさせる主供給系と、これらの前駆物質のうちの一つを含有するガスの脈状流を生じさせる補助供給系とを用いて、金属窒化物に基づくフィルムを堆積させのに使用される、請求項1から17までのいずれか一つに記載のノズル。
  21. 当該ガスの脈状流が金属前駆物質を含有する、請求項20記載のノズル。
  22. 所定のコーティング厚さについて、所定流量を分配すべき各流れのために適当な1又は2以上の前駆物質ガスを搬送する共通の供給ダクト(10)を有する主供給系と、おのおのが所定流量値の0%と100%の間を時間的に変動可能なガス流量を送り出すガス入口(15)を備えた補助供給系とを、ノズル(1)に設けることを特徴とする、請求項1から17までのいずれか一つに記載の分配ノズルを使用する方法。
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